請求書処理の自動化|クラウド請求管理で入力・照合・承認を効率化する方法

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請求書処理の自動化とは、紙やPDFで届く請求書のデータ化、会計ソフトへの入力、支払い金額の照合、承認フローの管理をクラウドサービスとAI-OCRで効率化する取り組みです。バクラク、Bill One、マネーフォワードクラウド請求書といったクラウド請求管理サービスを活用することで、経理担当者の手入力作業を大幅に削減し、月次決算の早期化と電子帳簿保存法への対応を同時に実現できます。

毎月届く大量の請求書を開封し、内容を確認してExcelに入力し、会計ソフトに仕訳を切り、上長の承認印をもらって支払い処理を行う。この一連の作業に、経理担当者は毎月多くの時間を費やしています。

日本CFO協会の調査によると、請求書処理にかかる1件あたりの平均処理時間は約15分で、月に200件の請求書を処理する企業では、請求書処理だけで月50時間以上の工数が発生しています。さらに2024年1月から電子帳簿保存法の電子取引データ保存が完全義務化され、メールやクラウドで受領した請求書の保存方法にも対応が求められています。

本記事では、請求書処理の自動化を「受領・データ化」「照合・承認」「保管・法令対応」の3ステップで解説し、主要なクラウド請求管理サービスの比較と段階的な導入手順を紹介します。

この記事でわかること

月200件の請求書を処理する企業では、請求書処理だけで月50時間以上の工数が発生しています。本記事では、AI-OCRとクラウド請求管理サービスを活用して、受領からデータ化・照合・承認・支払いまでの一連の工程を自動化する方法を解説します。

こんな方におすすめ: 請求書の手入力や照合作業に毎月多くの時間を費やしている経理担当の方、電子帳簿保存法対応とあわせて請求書処理のデジタル化を進めたいCFO・管理部門の方

  • 請求書処理の5つの工程(受領→データ化→照合→承認→支払い)それぞれの自動化ポイントがわかります
  • バクラク、Bill One、マネーフォワードクラウド請求書など主要サービスの機能比較と選定基準を整理します
  • AI-OCRによる請求書データの自動読取の精度と限界を正しく理解できます
  • 電子帳簿保存法に準拠した請求書の保存方法と、クラウドサービスでの対応手順を解説します
  • freee・マネーフォワードとの連携による仕訳自動化の設計パターンを紹介します

請求書処理の5つの工程と課題

受領:紙・PDF・メールが混在する非効率

請求書の受領方法は企業によってバラバラです。郵送の紙、メール添付のPDF、クラウドサービス上でのダウンロード、FAXなど、複数のチャネルから請求書が届きます。これらを一元的に管理する仕組みがないと、受領漏れや処理遅延が発生します。

Sansan社のBill Oneは、取引先からの請求書を代理受領するサービスを提供しています。紙の請求書はBill Oneの指定住所に転送され、PDFやメール添付の請求書もBill Oneに集約されることで、すべての請求書を1つのプラットフォームで管理できます。

データ化:手入力の工数とミス

受領した請求書の内容(日付、取引先名、金額、消費税、勘定科目)を会計ソフトに手入力する作業は、経理業務の中で最も工数がかかる工程です。手入力では桁間違い、消費税の端数処理ミス、取引先名の表記ゆれなどが発生しやすく、修正作業も含めると1件あたり20分以上かかることがあります。

AI-OCR(光学文字認識にAIを組み合わせた技術)を搭載したクラウド請求管理サービスを使えば、請求書の画像から日付・金額・取引先名を自動で読み取れます。LayerX社のバクラクは、AI-OCRの読取精度が99.7%以上とされており、手入力に比べてミスの発生率を大幅に低減できます。

照合:発注データとの突合

請求書の金額が発注時の見積もりや注文書と一致しているかを確認する照合作業は、不正防止と正確な支払いのために欠かせません。しかし、手動での照合は過去の発注書を探し出して金額を比較する作業が必要で、時間がかかります。

クラウド請求管理サービスでは、事前に登録された発注データと請求書データの自動照合機能を提供しています。金額の不一致や税率の誤りを自動で検出し、経理担当者に確認を促す仕組みにより、照合作業の工数を大幅に削減できます。

承認:紙の回覧が滞留する問題

請求書の支払い承認に上長の押印が必要な企業では、上長が出張中に承認が滞留し、支払い期日に間に合わなくなるリスクがあります。支払い遅延は取引先との信頼関係に直結するため、承認フローの迅速化は経営上の重要課題です。

ワークフロー機能を備えたクラウド請求管理サービスでは、スマートフォンやPCから承認・差し戻しが行えるため、承認者の物理的な所在に依存しない運用が可能になります。

保管:電子帳簿保存法への対応

2024年1月以降、電子取引で受領した請求書(メールやクラウドで受領したもの)は、電子データのまま保存することが義務化されています。紙に印刷して保存する運用は原則として認められなくなりました。

電子帳簿保存法に準拠するためには、タイムスタンプの付与、検索要件の充足(取引年月日・金額・取引先で検索可能にする)、訂正削除の履歴保存の3つの要件を満たす必要があります。クラウド請求管理サービスの多くは、これらの要件を標準機能でカバーしています。

主要クラウド請求管理サービスの比較

バクラク(LayerX)

バクラクはLayerX社が提供するクラウド請求書受領サービスで、AI-OCRによる高精度な読取と会計ソフトとの連携に強みを持ちます。

バクラクの最大の特徴は、AI-OCRの精度の高さです。請求書をアップロードするだけで、日付・金額・取引先名・勘定科目候補を自動で読み取り、仕訳データを生成します。freeeやマネーフォワードクラウド会計との連携に対応しており、生成された仕訳データをそのまま会計ソフトに取り込めます。

LayerXの公開事例では、株式会社メルカリがバクラクを導入し、請求書処理にかかる工数を約50%削減したと報告されています。

Bill One(Sansan)

Bill Oneは名刺管理サービスSansanを提供するSansan社のクラウド請求書受領サービスです。最大の特徴は、紙・PDF・メールなどあらゆる形式の請求書を代理受領し、一元管理する「請求書の受領代行」機能です。

取引先に対してBill Oneの指定住所や専用メールアドレスへの請求書送付を依頼することで、経理部門は1つのプラットフォーム上ですべての請求書を確認・処理できます。Sansanの公開情報では、Bill Oneの導入企業数は3,000社以上とされています。

マネーフォワードクラウド請求書

マネーフォワードクラウド請求書は、請求書の作成・発行と受領・管理の両方に対応したサービスです。マネーフォワードクラウド会計との連携がシームレスで、特にマネーフォワードシリーズで経理業務を統一している企業に適しています。

自社からの請求書発行機能も備えているため、「受領する請求書」と「発行する請求書」の両方を1つのサービスで管理できます。

クラウド請求管理サービス比較表

比較項目 バクラク(LayerX) Bill One(Sansan) マネーフォワードクラウド請求書
最大の強み AI-OCR精度99.7%以上・会計連携 請求書の代理受領で一元管理 請求書の発行と受領を統合管理
受領方式 アップロード(PDF/撮影) 代理受領(紙・PDF・メール全対応) アップロード
AI-OCR 高精度・学習機能あり 対応あり 対応あり
会計ソフト連携 freee・マネーフォワード対応 freee・マネーフォワード等対応 マネーフォワード会計とシームレス
電子帳簿保存法 タイムスタンプ・検索要件に標準対応 タイムスタンプ・検索要件に標準対応 タイムスタンプ・検索要件に標準対応
適した企業 OCR精度と仕訳自動化を重視する企業 紙とPDFが混在し受領を一元化したい企業 MFシリーズで統一している企業

選定の判断基準

受領チャネルの統一を重視するなら:Bill Oneが適しています。代理受領機能により、紙もPDFもすべて1つのプラットフォームに集約できます。

AI-OCRの精度と会計連携を重視するなら:バクラクが適しています。高精度なOCRとfreee・マネーフォワードへの直接連携により、データ入力の自動化率が高まります。

請求書の発行と受領を統一したいなら:マネーフォワードクラウド請求書が適しています。特にマネーフォワードシリーズで統一している企業との親和性が高くなります。

段階的な導入ロードマップ

フェーズ1:電子で届く請求書の管理(1〜2ヶ月目)

まず、メールやクラウドで受領する電子請求書の管理から着手します。バクラクやBill Oneにアカウントを開設し、電子で届く請求書をクラウドにアップロードする運用を開始します。

この段階では、紙の請求書は従来通りの運用を維持し、電子請求書だけをクラウドで管理する「部分移行」で進めます。AI-OCRの読取精度を確認し、自動仕訳の精度をチューニングする期間として位置づけます。

フェーズ2:紙の請求書の電子化(3〜4ヶ月目)

電子請求書の管理が安定したら、紙の請求書の電子化に取り組みます。スキャナーやスマートフォンで紙の請求書を撮影し、クラウドにアップロードする運用を導入します。Bill Oneを使っている場合は、紙の請求書をBill Oneの指定住所に転送する運用に切り替えます。

電子帳簿保存法のスキャナ保存要件を満たすため、解像度200dpi以上での撮影、タイムスタンプの付与、原本の保管ルール(一定期間後の廃棄)を定めます。

フェーズ3:会計ソフトとの連携(5〜6ヶ月目)

請求書データの管理が安定したら、freeeやマネーフォワードとの仕訳連携を設定します。バクラクで読み取った請求書データをfreeeの仕訳として自動連携し、手入力の工数をゼロに近づけます。

連携初月は、自動生成された仕訳を経理担当者が1件ずつ確認し、勘定科目のマッピングや消費税区分の設定を調整します。2ヶ月目以降は確認工程を簡略化し、異常値のみをチェックする運用に移行します。

フェーズ4:承認ワークフローの電子化(7〜8ヶ月目)

最終フェーズでは、請求書の支払い承認ワークフローを電子化します。バクラクやBill Oneのワークフロー機能を使い、請求書の確認→承認→支払い指示のフローをオンラインで完結させます。

承認ルートは、金額に応じた段階承認(一定金額以下は課長承認、一定金額以上は部長承認)を設定し、承認漏れを防ぐためのリマインド通知も合わせて設定します。承認プロセスの設計については「承認フローの電子化」も参考にしてください。

AI-OCRの精度と限界

高精度だが完璧ではない

最新のAI-OCR技術は、活字の請求書であれば99%以上の精度で金額・日付・取引先名を読み取れます。しかし、手書きの修正が入った請求書、レイアウトが特殊な請求書、英語と日本語が混在した請求書では、読取精度が低下する場合があります。

バクラクやBill OneのAI-OCRは、学習機能を備えており、同じ取引先から繰り返し届く請求書の読取精度は使い込むほど向上します。ただし、新規取引先の請求書については、初回は手動での確認・修正が必要になる場合があります。

人間によるチェック体制は維持する

AI-OCRがいくら高精度でも、最終的な確認は人間が行うべきです。特に金額の読み取りについては、桁間違いが発生した場合の影響が大きいため、一定金額以上の請求書については必ず目視確認するルールを設けることを推奨します。

まとめ

請求書処理の自動化は、「電子請求書のクラウド管理」から始め、「紙の請求書の電子化」「会計ソフトとの仕訳連携」「承認ワークフローの電子化」へと段階的に進めることが効果的です。バクラクはAI-OCRの精度と会計連携、Bill Oneは受領チャネルの一元化、マネーフォワードクラウド請求書は発行と受領の統合にそれぞれ強みを持っています。電子帳簿保存法への対応も含めて、クラウド請求管理サービスの導入は「やるべきか」ではなく「いつ始めるか」のフェーズに入っています。請求書処理の自動化は、経理DXの中でも投資対効果が最も高い領域の一つです。承認ワークフローの電子化については承認フローの電子化を、間接業務全体のコスト削減戦略は間接業務の削減方法もあわせてご覧ください。


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著者情報

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今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。 パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。