HubSpotのCRMデータをLooker Studioに接続し、目的に沿って可視化する方法を解説します。接続前に指標の定義、判断に必要な更新時点、値が異なった場合の確認先を決めることが設計の要点です。
「経営会議のたびにHubSpotからデータを出して、Excelでグラフを作り直している」
「広告やウェブサイトの数字と、CRM上の商談状況を同じ画面で見たい」
「ダッシュボードはできたけれど、数字の更新時刻や定義が人によって違う」——
HubSpot Looker Studio連携とは、HubSpotに蓄積したコンタクトや取引などのデータを、コネクターを通じてLooker Studioに接続し、他のデータソースと組み合わせてレポートにする方法です。更新のタイミングは接続方法やデータソースによって異なります。
会議資料に使う集計値と、直近の取引状況を確認する値では、求める鮮度を分けて考えます。
本記事は「HubSpot購入グループ(Buying Groups)活用ガイド|ABM戦略を加速する設計 」シリーズの一部です。
本記事はStartLinkの「HubSpot完全ガイド 」関連記事です。
この記事でわかること
HubSpotの数字を毎回Excelに書き出して経営会議の資料を作っているマーケティング・営業企画・経営企画の担当者に向けた記事です。HubSpot標準レポートで足りる範囲と、Looker Studioが必要になる範囲を、Googleの公式ドキュメントとHubSpot公式ナレッジの画面名で説明します。
経営会議やマーケティングの定例報告で使うレポートを題材に、接続する指標の選び方、試験接続での照合、共有後に値が変わった場合の確認手順を整理します。
連携でできること — HubSpotのCRMデータと外部データについて、同じ条件で比較できる指標と、別々に示すべき指標を見分けられます。
接続の進め方 — 必須項目、締め時点、閲覧者を決めてからコネクターを試し、取得結果をHubSpotと照合する順序がわかります。
ダッシュボードの設計 — 営業、マーケティング、経営の各用途で、指標が変化したときに開く内訳と担当者を決められます。
標準レポートとの使い分け — HubSpot内で満たせる要件と、外部データとの比較が必要な要件を切り分けられます。
運用時の確認点 — 更新遅延、欠損、重複、数値差が見つかったときに、利用を保留する条件と再開する条件がわかります。
HubSpot Looker Studio連携の役割と全体像
連携を考える出発点は、ダッシュボードの見た目ではなく、どの判断にどのデータが必要かを決めること です。Excelへの書き出しと手作業の加工を先に再現すると、集計の負担や定義のずれまで持ち込むことになります。
定例資料で使う判断を選ぶ ── まず、定例資料で使う判断を選びます。
必要なHubSpotの指標を定義する ── その判断に必要なHubSpotの指標を定義します。
外部データは後から加える ── HubSpotだけでは答えられない問いが明確になった場合に加えます。
CRMデータを分析画面に接続する
HubSpotにはコンタクト、会社、取引、チケットなどのレコードがあります。コネクターは、これらの情報をLooker Studioから参照できるデータソースとして提供します。利用できるオブジェクトやプロパティ、更新方式はコネクターごとに異なるため、必要な項目が接続対象に含まれるかを事前に照合します。
商談の状況を営業会議で確認するなら、取引の金額、ステージ、担当者、クローズ日などから、実際の判断に使う項目を選びます。続いて、次の点を記録します。
取引の範囲 ── どの取引を含めるか
期間の区切り ── どの日付で期間を区切るか
金額の集計 ── 金額をどう集計するか
たとえば、取引の作成日で区切る集計とクローズ日で区切る集計は、同じ名称でも対象が異なります。
比較に使う日付と除外条件を明記し、HubSpot側とレポート側で揃えられた指標から表示します。
HubSpotの外にあるデータを組み合わせる
HubSpotのCRMデータと、ウェブ解析、広告、予算管理など別の場所にあるデータを同じレポート上で比較できます。マーケティングでは、流入の状況とフォーム送信後のコンタクトや取引の状況をつなげて見る設計が考えられます。
関連指標の整理にはマーケティングKPIの設計方法 も参考になります。
データを並べただけで因果関係が示されるわけではありません。次の順に確認します。
何を数えているか ── それぞれのデータが何を数えているかを確認します。
対応づけの項目 ── 対象期間、キャンペーン名、チャネル名など、対応づけに使う項目を照合します。
対応する名称があっても、一方が流入回数、もう一方がコンタクト件数なら、差をそのまま転換率として扱えません。
集計単位や対応関係を説明できない場合は値を無理に結合せず、別々に表示します。両者の対応づけと計算方法を説明できた範囲から比較します。
全体フローの中で見る
ダッシュボードはCRM運用から独立した成果物ではありません。コンタクトの獲得から取引の進行、顧客化後の支援や請求に関わる情報まで、どの段階を可視化するかを決めると、必要なHubSpotデータと他システムのデータを特定しやすくなります。
各段階で管理元が変わるなら、指標ごとに次の点を記録します。
値の管理元
更新する担当者
レポートで使う締め時点
取引ステージ別の金額が変化したら営業担当が対象取引を確認し、流入後の進行状況が変化したらマーケティング担当が対象期間と流入元の内訳を調べます。
変化の理由を確認する画面と担当者まで決めてから、集計値を会議で使います。
連携によって変わる集計と共有
Looker Studioを加えるメリットは、データの集計、提示、共有を目的に合わせて構成できることです。手作業のExcel集計をそのまま移すのではなく、定例資料で繰り返している加工と確認を見直します。誰がどの数字を見て次の判断をするかを軸に、必要なページと指標を絞ります。
Excelでの転記やグラフ作成を見直す
毎回HubSpotからデータをエクスポートし、表計算シートで列を加工してから資料に貼る運用では、更新のたびに人の作業が発生します。転記や加工の途中で集計条件が変わると、前回との比較もしづらくなります。
接続可能なデータをダッシュボードにまとめる際は、現在の資料で使う加工のうち、計算条件として残すものと、不要になる転記作業を分けます。繰り返し作成するレポートを一つ選び、次の順に進めます。
現行の項目を書き出す ── Excelで使っている元の項目、計算式、除外条件、対象期間を書き出します。
項目を対応づける ── それぞれをHubSpotや他データソースの項目に対応づけます。
同じ締め時点で値を比べる ── 差があれば「元データにないレコード」「加工式で除外されたレコード」「接続後に更新されたレコード」のどこで生じたかを調べます。
説明できた指標から移す ── 差の理由を説明できた指標から定例資料へ移します。説明できない指標は現行の確認方法を続けながら原因を調べます。
共有する情報と権限を決める
ブラウザでレポートを共有し、関係者が同じ画面を参照できる形にできます。ただし、共有範囲やデータソースの認証方法によって、閲覧者が見られる情報の扱いが変わります。次の項目を順に確認します。
接続元の認証
レポートの共有設定
閲覧者に表示される項目
見せ方は閲覧者に合わせて決めます。
経営層向け ── 意思決定に必要な集計値を中心にし、個人情報や詳細な顧客情報を含めるかを個別に判断します。
営業チーム向け ── 担当者やステージで絞り込める形が便利な場合があります。
共有前に想定する閲覧者の権限で画面を開き、表示される項目とフィルター後の結果を確認します。不要な情報が見える場合は、表示内容か共有範囲を見直してから共有します。
更新頻度を「リアルタイム」と混同しない
Looker Studioのデータ鮮度は、データソースの種類と設定によって異なります。Googleの公式資料では、データ鮮度はレポートの応答性やデータソースへの問い合わせ頻度とのバランスを取る設定として説明されています(出典:Manage data freshness )。
HubSpot用コネクターの更新間隔も別に確認し、レポートの表示更新と接続元のデータ更新を区別します 。
公式ドキュメントには、コネクター別の更新間隔の選択肢が載っています。一部を抜粋します。
コネクターの種類
選べる更新間隔
既定値
Google Sheets
15分・1時間・4時間・12時間
15分
BigQuery・Cloud SQLなど
1〜50分、1〜12時間
1〜12時間の範囲
Google Analytics
1時間・4時間・12時間
12時間
Google Ads・Search Consoleなど
12時間で固定
12時間(変更不可)
変更する手順は、データソースを編集し、「Data freshness」をクリックして、「Check for fresh data」から選び、「Set Data Freshness」で確定します。急いで最新にしたいときは、編集者がレポートの「More options」から「Refresh data」を実行できます(1分間のクールダウンあり)。閲覧者にも更新を許す場合は、レポート設定で「Viewer data refresh」を有効にします。複数のデータソースを結合(ブレンド)したレポートは、構成要素の中で最短の更新間隔が使われます。出典:Looker Studioヘルプ「Manage data freshness」
鮮度の合格条件は用途から決めます。
会議資料 ── 資料を確定する時点を定め、その判断に必要なHubSpotの更新がレポートへ反映されているかを確認します。
反映状況がわからないとき ── 最新値として示さず、確認できる更新時点を記載してHubSpotの値と照合します。
個別の取引について直近の状態を判断する業務 ── レポートの値を待てるかを先に判断します。待てない場合はHubSpotのレコードを直接参照し、その業務をダッシュボードの更新に依存させません。
コネクターの選定から接続まで
HubSpotとLooker Studioをつなぐ方法は、コネクターによって異なります。製品名や価格だけで決めず、取得項目、認証方法、更新頻度、障害時の問い合わせ先などを比べます。
比較を始める前に、最初のレポートに欠かせない項目、利用者、資料の確定時点を決めておくと、試験接続で合否を判断できます。
必要項目から候補を比較する
選択肢は大きく3つあります。Looker Studioのコネクターギャラリーに掲載されているパートナー提供のコネクター(SupermetricsやPorter Metricsなど)、FivetranやHevo DataでHubSpotのデータをBigQueryなどに取り込んでから接続する方法、HubSpotのデータをGoogleスプレッドシートに書き出してから接続する方法です。HubSpot公式ナレッジには、HubSpotが提供するLooker Studio用コネクターの案内は見当たりませんでした。コネクターは各提供元の製品で、Googleの標準機能ではありません。利用条件や提供内容は変更される場合があるため、最新の対応状況は各提供元の案内で確認してください。ここでは比較の軸を先に整理します。
比較項目
確認する内容
選定時の判断
取得対象
コンタクト、会社、取引など必要なオブジェクトがあるか
必須データが欠ける場合は候補から外します
プロパティ
標準項目とカスタムプロパティのどこまで取得できるか
必要項目を試験接続で取得できるものを選びます
更新
更新間隔や手動更新の方法
会議や運用の頻度に合うものを選びます
認証と権限
OAuthなどの認証方式、共有時の権限
管理者が安全に運用できる方式を選びます
運用支援
エラー通知、問い合わせ窓口、仕様情報
不具合時の調査方法が明確なものを選びます
説明上は必要項目に対応していても、実際の接続で取得できるかは別に確認します。
必須項目が取得できない ── その項目を使う指標は作成せず、別の接続方法かHubSpot標準レポートで要件を満たせるかを調べます。
取得はできても必要な時点まで更新されない ── 会議用の集計と直近のレコード確認を分けられるかを判断します。
どちらの方法でも判断に必要な値を確認できない ── その指標の利用を保留します。
3つの接続方式を比べる
Looker Studio側のデータ鮮度の既定値は、接続方式によって異なります。Googleの公式ドキュメントに載っている値と合わせて、次の表で判断します。
接続方式
Looker Studio側の更新間隔
向いているケース
パートナーコネクター
コネクターごとに異なる(「Community and other connectors」はVaries)
最短で試したい。コネクターの取得項目と料金条件を確認できる
Googleスプレッドシート経由
既定は15分。15分・1時間・4時間・12時間から選べる
対象の項目と件数が少なく、ZapierやMakeでシートへ書き出せる
BigQueryなどのデータウェアハウス経由
既定は1〜12時間の範囲。1〜50分、1〜12時間から選べる
全レコードを蓄積し、複数ソースを結合して集計したい
注意したいのは、Looker Studioの更新間隔は「レポートがデータソースへ問い合わせる頻度」であり、HubSpotから書き出し先へデータが届く頻度とは別だという点です。スプレッドシート経由なら、シートに書き込むZapやシナリオの実行間隔も加わります。出典:Looker Studioヘルプ「Manage data freshness」
Googleスプレッドシート経由で接続する手順
最初の1本を小さく始めるなら、スプレッドシート経由が確認しやすい方法です。HubSpotのフォーム送信や取引の更新をシートへ書き出す設定は、HubSpot Zapier Make連携の選び方と自動化パターン で、ZapierとMakeの実際のトリガー名とともに解説しています。シートができたあと、Looker Studio側の手順は次のとおりです。
Looker Studioで「作成(Create)」をクリックし、「データソース(Data source)」を選びます。
コネクターの一覧から「Google Sheets」を選びます。
対象のスプレッドシートとワークシートを選びます。シートのURLを貼り付けて指定することもできます。
見出し行がある場合は「Use first row as headers」をオンにします。
右上の「CONNECT」をクリックし、データソースのフィールド一覧が開いたら、型(日付・数値・テキスト)が意図どおりか確認します。
「CREATE REPORT」から「ADD TO REPORT」でレポートに追加します。
列の型が「テキスト」になっている金額や日付は、グラフにする前にフィールド画面で型を直します。HubSpotの項目名が日本語でも、シートの見出し行をそのまま使えるため、見出しは英数字で統一しておくと、後の計算フィールドが書きやすくなります。出典:Looker Studioヘルプ「Google Sheetsへの接続」
データソースを接続する
一般的な作業の流れは、Looker Studioでデータを追加し、接続するコネクターを選び、HubSpotアカウントを認証して対象データを指定する順です。実際の画面名や認証方法はコネクターによって異なります。手順を進めるときは、各段階で取得項目と認証状態を確認します。
手順
作業
次へ進む条件
1
接続したいレポートの指標と集計単位を決める
対象期間と指標の定義が文書化されている
2
コネクターの対応オブジェクトと項目を確認する
必須項目が提供されている
3
Looker Studioでデータソースを追加する
HubSpotの認証が完了し、対象データが表示される
4
サンプルのレコードや集計値をHubSpotと照合する
条件と値が合い、欠損や重複の理由が説明できる
5
必要なグラフを配置して共有設定を行う
閲覧者、更新時刻、利用目的が明確になっている
認証情報をチームで共有する場合は、誰が接続を管理し、担当者変更時にどう引き継ぐかを定めます。
接続した人の個人アカウントだけに依存すると、異動や退職のあとにレポートを更新できなくなることがあります 。
Looker Studioには、データソースの認証情報の種類があります。「Owner's credentials」は、データソースの作成者(既定の所有者)の認可でデータへアクセスする方式で、閲覧者は自分のデータ権限がなくてもレポートを見られます。「Viewer's credentials」は、閲覧者がそれぞれ自分の認証情報で見る方式です。所有者がいなくなった場合に備え、データソースの編集画面の「Data credentials」から別の編集者が「Make me the owner」を選んで所有者になれます。ただし、認証情報の種類を変えると、元データへの権限のない閲覧者のレポートがエラーになることがあります。出典:Looker Studioヘルプ「データの認証情報」
接続の管理者、認証を見直す場面、エラー時の連絡先を記録してから共有します。
最初のレポートで動作を検証する
接続が完了したら、集計値の前に対象レコードを確認します。HubSpotとLooker Studioで対象期間、フィルター、集計単位、締め時点を揃え、取得されたレコードを識別できる項目で突き合わせます。
レコードの範囲が一致したら件数や金額を比べます。この順序なら、対象の違いによる差と計算方法による差を分けて調べられます。
差がある場合は、次の順に切り分けます。
対象レコードが違う場合 は、期間を区切る日付、ステージ、担当者などの条件を照合します。対象が揃ったら、同じ条件で集計し直します。
同じレコードが重複する場合 は、コンタクトや会社など関連レコードを加えた箇所を確認します。取引単位で集計したいなら、取引が重複しない形に直してから再計算します。
対象は同じで値が違う場合 は、空欄の扱い、金額や日付の加工、タイムゾーン、更新状況を確認します。違いを生んだ条件を指標の定義に反映します。
原因を特定できない場合 は、その指標の共有を保留します。HubSpotで対象レコードを確認し、原因と影響範囲を説明できてから照合をやり直します。
集計値を説明できる状態になったら、利用者が必要とするフィルターやグラフを加えます。フィルター追加後は対象範囲が変わるため、表示結果を再度照合します。
経営会議用と営業の日常確認用で判断が異なる場合はページを分け、それぞれに確認すべき内訳を置きます。
経営ダッシュボードを用途から設計する
経営ダッシュボードの品質は、グラフの数ではなく、必要な判断につながるかで決まります。集計値だけを並べると、なぜ変化したのか、誰が調べるのかが見えにくくなります。指標ごとに定義、確認する場面、変化した際に開く内訳、担当者を決めます。
営業パフォーマンスを可視化する
営業向けの画面では、取引ステージごとの件数や金額、受注推移、担当者別の状況などを扱えます。フォーキャストを作る場合は、ステージごとの受注確度と金額の扱いを組織内で定義します。見込みの数字は入力基準が曖昧だと人によって意味が変わるため、集計の前提をレポートの近くに示します。
ステージ別の金額が変化したら、まず対象取引を開き、取引の増減、ステージ変更、金額変更のどれによるものかを確認します。
入力基準に沿った変化 ── 会議で扱います。
更新漏れや分類の違い ── 担当者がHubSpotのレコードを確認します。
修正後は同じ締め時点で集計し直してから、前回の値と比較します。
次の画面は、デモ環境のHubSpotレポートビルダー。
デモ環境のHubSpotレポートビルダー。標準機能でのレポート作成画面です。
失注理由も、単なる円グラフにするだけでは改善につながりません。分類の選択肢を整理し、営業が取引を更新する際に迷わない運用を設計します。
分類の偏りや未入力を確認する ── 内訳を見て、入力内容を説明できる状態になってから、営業とマーケティングで顧客の反応や訴求内容を見直します。
未入力が判断を妨げる場合 ── 集計上の「その他」にまとめて済ませず、対象取引の記録を確認します。
マーケティングの流入から受注までを見る
マーケティングの分析では、チャネル別の流入、コンバージョン、リードから商談への進行、受注状況を一連の流れとして捉えます。
ウェブ解析のセッションとHubSpotのコンタクトや取引は、同一の集計単位とは限りません。まず各指標の対象と期間を明示し、流入元やキャンペーンなど対応づけに使う項目を確認します。
流入が変化したときは、先にチャネルと対象期間の内訳を確認します。コンタクトや取引にも変化が見られた場合は、集計単位と対応づけが揃っているかを確かめてから関係を検討します。
CPAやROIを扱う場合も、次の点を決めます。
広告費の対象期間
成果を数える期間
費用と成果の対応方法
対応を説明できない段階では施策の優劣を判断せず、流入、コンタクト、取引を分けて示します。計算方法と管理元を確認できた指標から比較に進みます。
経営概況は少数の判断指標から始める
売上、粗利、MRR、顧客数などを経営概況として見る構想はありますが、すべての値がHubSpotだけに存在するわけではありません。粗利や請求額など別システムで管理している項目を含める場合は、データの出どころと集計責任者を決めてから接続します。数値の管理元が異なる場合には、レポート上で出典を区別します。
最初は会議で繰り返し使う指標に限定します。各指標について、次の点を決めます。
変化したら何を判断するか
判断前にどの内訳を確認するか
たとえば、会議で次の対応を決める指標なら、集計値から対象レコードや管理元の明細まで辿れるかを確認します。
出典と定義を説明でき、内訳を確認できる指標を表示します。管理元との照合が終わっていない項目は追加を保留します。
HubSpot標準レポートとの使い分け
HubSpot標準レポートとLooker Studioは、利用目的から選びます。HubSpot内のCRM活動を確認するのか、複数データソースを横断して共有するのかを先に決めます。必要な機能を確かめてから拡張すると、指標の管理先も明確にできます。
次の画面は、デモ環境のレポート一覧画面。
デモ環境のレポート一覧画面。HubSpot標準で作成したレポートを管理できます。
利用目的で選ぶ
用途
HubSpot標準レポート
Looker Studio
営業の日常管理
CRMと一体で取引状況を確認しやすい
複数データとの統合が必要な場合に検討します
マーケティング施策
HubSpot内の活動やCRMデータを分析します
外部の解析・広告データも並べたい場合に検討します
経営会議
HubSpotデータ中心の基本的な確認に使えます
複数ソースの統合や独自の提示形式が必要な場合に使います
クライアント報告
HubSpot内の権限や共有方法に合わせます
ブラウザ上の共有レポートが要件に合うか確認します
複数ツールの統合
接続範囲に制約がある場合があります
必要なコネクターが提供されている場合に候補になります
HubSpotのカスタムレポートビルダーは、対象となるProfessionalまたはEnterpriseのサブスクリプションで利用できます(出典:HubSpotのカスタムレポートビルダーでレポートを作成する )。契約中の製品やアカウントでの利用可否を確認し、必要な指標と共有方法をHubSpot内で満たせるなら、まず標準レポートで検証します。
標準レポートで先に作る手順
外部データが要らない指標は、先にHubSpotのカスタムレポートビルダーで作ります。HubSpot公式ナレッジでは、Marketing Hub・Sales Hub・Service Hub・Data Hub・Content Hub・Revenue Hubのいずれかの、ProfessionalまたはEnterpriseが必要です。作成手順は次のとおりです。
「レポート(Reporting)> レポート」を開きます。「More」が表示される場合は「More」の中にあります。
右上の「作成(Create)」から「Create report」を選びます。
左サイドバーで「Custom report」を選んで「Next」をクリックし、「Create report on your own」を選びます(Data Hub Enterpriseでは「Start with a dataset」も選べます)。
「Primary data source」でレポートの対象(例:取引)を選びます。複数のオブジェクトを組み合わせる場合は「Add more data sources」をオンにします。
項目・フィルター・グラフを設定し、「Save report」で名前を付けて、既存または新規のダッシュボードに追加します。「Who can access this report?」で閲覧範囲も決めます。
ダッシュボードの共有権限をHubSpot内で決められる点は標準レポートの強みです。Looker Studioへ進むのは、この手順で作れない外部データとの結合が必要になった指標だけにします。出典:HubSpotナレッジベース「カスタムレポートビルダーでレポートを作成」
標準レポートを土台に拡張する
HubSpot内のデータだけで判断できる指標は標準レポートで定義と値を確認します。外部データとの比較や別の共有形式が必要になった指標について、Looker Studioで扱う範囲を決めます。両方に同じ指標を表示する場合は、どちらを定義の管理元とするかを明記します。
導入初期で、レポート要件やHubSpot上のデータ構造が定まっていない場合は、先にHubSpotの導入プロジェクト計画 を整理し、CRM内で扱うデータと外部で管理するデータの境界を決めます。境界が決まったら、外部データが必要な問いを選び、その問いに必要な項目だけを試験接続します。
レポートの更新と保守を分担する
標準レポートとLooker Studioの両方を使うなら、どちらを正式な確認先とするかを指標ごとに決めます。値が違う場合は、先に定義と締め時点を照合します。
管理元の値が更新された直後 ── 反映状況を確認します。
定義の変更による差 ── 両方のレポートで条件を見直します。
差の原因を記録し、対象レコードと集計値を再照合できるまで、その指標を会議の確定値として扱いません。
指標名、計算方法、対象期間、データ所有者を一覧にし、変更した際の連絡先も記録します。定義を変更する場合は、変更前後でどの集計に影響するかを確認し、利用者へ伝えてから反映します。担当者の記憶に頼らずに修正や引き継ぎができるよう、管理手順を仕組みに含めます。
運用上の注意点と限界
連携後も、データ品質や更新状況の確認は続きます。会議や報告で使う指標ごとに、次の点を残します。
条件を満たさない場合にどの画面で確認し直すかも決めておきます。
コネクターの対応範囲を確認する
コネクターによって、取得できるオブジェクトやカスタムプロパティ、更新方法、エラー時の情報が異なります。必要項目が含まれない場合は、レポート側で無理に代替の数値を作らず、別のコネクターやHubSpot標準レポートで要件を満たせるかを比べます。
試験接続では、必須項目が表示されるだけでなく、対象レコードで値が取得できるかを確かめます。
値が空欄のとき ── HubSpotでも空欄なのか、接続時に取得できていないのかを分けて確認します。
説明上の対応範囲と実データに差があるとき ── 提供元へ確認し、原因がわかるまでその項目を使う指標は共有しません。
取得と照合ができた範囲から利用を広げます。
データの遅延と欠損を検知する
更新遅延の判定は、コネクターの一般的な更新間隔だけで決めません。次の順に確認します。
締め時点を決める ── 会議資料を確定する時点と、そこまでに反映すべきHubSpotの更新を決めます。
更新状態を確認する ── 利用前に接続元とレポートの更新状態を確認します。
反映を確認できなければ最新値として出さない ── 必要な更新が反映されていない、または反映時点を確認できない場合は、その指標を最新値として提示しません。HubSpotを直接参照して判断するか、確認できた対象期間を明示して集計値を扱います。
数値差が見つかったら、まずHubSpotとLooker Studioの対象期間、フィルター、集計単位、締め時点を揃えます。次に対象レコードを照合します。
レコードが足りない ── 日付やステージの条件と更新状況を確認します。
レコードが増えている ── 関連付けによる重複を確認します。
対象が同じ ── 通貨や日付、空欄の扱いを確認します。
差の理由、影響する指標、修正後の照合結果を記録できたときに利用を再開します。説明できない欠損や重複が残る間は、確定値として扱いません 。
管理者と利用者の役割を決める
接続設定、認証情報、共有権限、レポート定義は、変更できる人と利用する人を分けて管理します。計算項目を追加・変更する際は、管理元の定義と照合し、既存指標と同じ名称で異なる計算をしないよう確認します。変更した内容、確認者、反映先を記録してから共有します。
担当管理者が一人だけで設定や数値の意味を把握していると、異動時に運用が止まるおそれがあります。接続先、指標定義、共有範囲、障害時の確認先を記録し、別の担当者も更新状態の確認から値の照合まで手順を追えるようにします。
StartLinkのダッシュボード設計の進め方
StartLinkはHubSpotゴールドパートナーとして、150社以上のHubSpot支援に携わってきました。ダッシュボードは、接続ツールを選ぶ前に「どの会議でどの判断に使う数字か」を決めるところから始めます。進め方はHubSpot導入・構築支援 の工程と同じです。
現状の整理・要件定義 ── 定例資料の指標、計算式、除外条件、締め時点を一覧にします。
設計・構築 ── HubSpot標準レポートで作る指標と、外部データが必要な指標を分け、接続方式を表で選びます。
データ移行・整備 ── 取引ステージや失注理由の表記ゆれを整え、同じ定義で集計できる状態にします。Data Hub支援 でデータ品質の整備も行います。
テスト・検証 ── HubSpotとLooker Studioで同じ条件の件数・金額を突き合わせます。
定着・運用改善 ── 更新時刻の表示、認証情報の所有者、定義の変更履歴を運用に組み込みます。
最初は1つの定例会議から小さく始め、準委任で伴走しながら広げます。GA4のデータと結ぶ場合の計測設計はHubSpot GA4連携ガイド 、連携全体の設計はHubSpot連携ガイド で解説しています。企業様によって最適な形は異なります。
よくある質問
各回答に共通する考え方は、次のとおりです。
定義と時点を先に決める ── 指標の定義、集計期間、資料の確定時点を決めてから使います。
照合できた範囲から広げる ── 対象レコードと集計値を照合し、確認できた指標から表示や共有を進めます。
Looker Studioのレポートはリアルタイムで更新されますか?
常にリアルタイムで更新されるとは限りません。Looker Studio側のデータ鮮度とHubSpot接続用コネクターの更新頻度を別々に確認します。会議で使うなら資料の確定時点と反映すべき更新を決め、必要な値が反映されたと確認できた指標を使います。確認できない場合はデータの時点を明示します。直近のレコード状態が判断に必要な場面ではHubSpotを直接参照します。
HubSpotのカスタムプロパティも接続できますか?
コネクターによって取得できるプロパティが異なります。必須のカスタムプロパティがある場合は、接続後のデータソースに項目があるか、対象レコードの値まで取得できるかを確認します。空欄があればHubSpot側の値と照合します。取得できない場合は、その指標の共有を保留し、標準レポートなど別の方法で要件を満たせるか比較します。
HubSpot標準レポートだけで足りるのはどのような場合ですか?
確認したいデータがHubSpot内にあり、必要な集計と共有が標準レポートで実現できる場合です。まず指標の定義、値、閲覧者の要件を標準レポートで確認します。外部データとの比較や別の共有形式が必要になり、接続後の照合方法も決められた段階で、Looker Studioを検討します。
ダッシュボードをどの範囲から作ればよいですか?
会議や定例報告で繰り返し判断に使う指標から始めます。各指標の定義、集計期間、管理元、変化した際に確認する内訳を決めます。HubSpotの対象レコードと集計値を照合し、差の理由を説明できる状態になってから表示や対象範囲を広げます。
閲覧者にHubSpotアカウントを発行せずに共有できますか?
共有の可否や表示されるデータは、レポートとデータソースの共有設定、認証方法に左右されます。まず閲覧者の範囲と表示してよい項目を決め、想定する権限で実際の画面を確認します。フィルターを操作した後も不要な情報が見えないことを確認し、必要な集計だけを見られる範囲で共有します。
まとめ
HubSpot Looker Studio連携では、CRMのデータを外部データと組み合わせ、用途別の経営ダッシュボードを構成できます。企業様によって最適な形は異なります。判断に使う指標の定義、必要な更新時点、利用者が次に確認するデータを決めてから、接続範囲を選びます。
まずは、Excelで繰り返し作成しているレポートを一つ選び、次の手順で整理します。
レポートの指標、対象レコード、集計条件、資料の確定時点、利用者を一覧にします。
HubSpot標準レポートで足りる範囲と、外部データとの比較が必要な範囲を分けます。
必須項目を取得できる接続方法を試し、同じ条件と締め時点で対象レコードと集計値を照合します。
差の理由を説明でき、必要な更新が反映されていると確認できた指標から共有します。条件を満たせない指標は保留し、管理元の画面で確認します。
CRMを活用した業務効率化やAIとの連携に関するご相談は、StartLinkまでお気軽にお問い合わせください。
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