HubSpot AI「Breeze」機能完全ガイド|エージェントの使い分け

  • 2025年6月9日
  • 最終更新: 2026年10月19日
HubSpot AI「Breeze」の機能完全ガイド
この記事の結論

HubSpotのAI「Breeze」とは、対話型のBreeze Assistant、データを補完・拡充するデータ機能(データエンリッチメントとData Agent)、業務別に動くエージェント(Agent Hub)の3層で構成される、HubSpot組み込みのAI機能群です。Assistantはすべての製品・プランで使え、エージェントとData Agentの実行にはHubSpotクレジットが必要です。どの機能を自社の業務フローのどこに置くかが、AI活用を成果につなげる分かれ目です。 公式仕様はプランやクレジットの扱いが更新され続けているため、本記事は2026年10月時点の公式ドキュメントで確認できた内容に基づいています。

ブログ目次


HubSpotのAI「Breeze」とは、対話型のBreeze Assistant、データを補完・拡充するデータ機能(データエンリッチメントとData Agent)、業務別に動くエージェント(Agent Hub)の3層で構成される、HubSpot組み込みのAI機能群です。Assistantはすべての製品・プランで使え、エージェントとData Agentの実行にはHubSpotクレジットが必要です。どの機能を自社の業務フローのどこに置くかが、AI活用を成果につなげる分かれ目です。

公式仕様はプランやクレジットの扱いが更新され続けているため、本記事は2026年10月時点の公式ドキュメントで確認できた内容に基づいています。

【投影】株式会社StartLink_サービス資料 (18) 【投影】株式会社StartLink_サービス資料 (17) Breezeコンテンツエージェントの画面 Breeze案件創出エージェントの画面 【投影】株式会社StartLink_サービス資料 (20) Breeze Assistantの日本語対応プロンプト例 Breeze Assistantの機能概要テーブル

「HubSpotにAI機能が入ったと聞くが、Copilot・Assistant・エージェントの違いが分からない」「日本語環境でどこまで使えるのか不安だ」——このように、機能名や使い分けの整理で立ち止まってしまう方は少なくありません。

HubSpot AI「Breeze」とは、マーケティング・営業・カスタマーサービスの業務を横断的に支援する、HubSpotプラットフォームに組み込まれたAIツール群です。単一の機能ではなく、対話型アシスタント・データ拡充・業務別エージェントという役割の異なる層で構成されています。

本記事は「AI × CRMで企業価値を上げる設計思想|経営者が知るべきAI CRM戦略」シリーズの一部です。

本記事はStartLinkの「AI活用完全ガイド」関連記事です。


この記事でわかること

本記事は、HubSpotのAI活用をこれから始める方や、Breezeの機能名が多くて整理しきれていない方に向けて、全体像から業務別の使い分けまでを解説します。

  • Breezeの全体像と3層構造 — Breeze Assistant、Breeze Intelligence、Agent Hubの役割と関係性を整理し、HubSpot AI活用の全体マップが把握できます
  • Breeze Assistantの実務活用 — レコード要約や最新アクティビティ表示など、日々の確認作業を減らす使い方を解説します
  • Breeze Intelligenceのデータ拡充と注意点 — エンリッチとData Agent(スマートプロパティ)の違い、クレジットの考え方、日本語データで気をつける点を整理します
  • Agent Hubの3エージェントの使い分け — 顧客対応・案件創出・コンテンツの各エージェントの特徴、クレジット単価、導入手順を比較します
  • ワークフロー内AIと役割分担 — 「Breezeに依頼」で自動化できる処理と、AIに任せる業務・人が判断すべき業務の線引きを解説します
  • 画面操作の手順と失敗例 — Assistantの開き方、スマートプロパティとワークフローの設定手順、よくある失敗と回避策を示します
  • StartLinkの進め方 — 現状整理から定着まで、AIを業務設計に組み込む5工程を紹介します

HubSpotのAI機能を自社の業務にどう組み込むか検討している方、機能名の違いを整理したい方に向けて書いています。最後まで読むと、自社の業務のどこにどのBreeze機能を当てはめるかを判断し、最初の一歩を決められるようになります。


HubSpot AI「Breeze」とは?3層で捉える全体像

Breezeは一つの機能名ではなく、役割の異なるAIの集合体です。全体像を「3層」で整理すると、自社の課題にどの機能を当てはめるか判断しやすくなります。CRMを単なるデータベースではなく事業成長のエンジンとして使う上でも、AIがデータをどう加工し、どの業務で力を発揮するのかを押さえておくと、設計がブレにくくなります。

次の画面は、HubSpotが公開しているBreezeの公式紹介ページです。

HubSpot Breezeの公式紹介ページ

参考:HubSpotのAIツールBreezeでハードルの高い成長目標を簡単に達成

対話型の「Breeze Assistant」

Breeze Assistantは、HubSpot CRMや各ハブ内で動作する対話型のAIアシスタントです。チャット形式で質問すると、レコードの要約や活動履歴のサマリーなどを提示してくれます。社内データをナレッジとして持つ「先輩のような壁打ち相手」として、日々の確認作業を助ける層です。

データを強化する「Breeze Intelligence」

Breeze Intelligenceは、CRM内の連絡先・企業レコードを外部データで自動的にエンリッチ(情報付与)する機能です。高度なLLMと広範なデータセットを活用し、購買意図シグナルやターゲット企業の特徴を検出します。データの鮮度と精度を底上げし、営業ターゲティングの土台を整える層です。

業務別の自律型「Agent Hub」

Agent Hubは、顧客対応・案件創出・コンテンツ作成といった業務ごとに特化したAIエージェント群です。Service Hub、Sales Hub、Content Hubと連携し、設定後は24時間稼働でタスクを自動実行します。自律的にWebリサーチを行い、タスクを分解して提案まで持ってきてくれるイメージの層です。

3層の役割分担を表で整理する

層 役割 向いている業務 主な連携先
Breeze Assistant 対話型で情報を引き出す レコード要約・活動履歴の確認・レコード検索 CRM・各ハブ共通
Breeze Intelligence データを拡充する レコードのエンリッチ・購買意図の検出 CRMレコード全体
Agent Hub 業務を自律実行する 問い合わせ対応・リード開拓・コンテンツ制作 Service Hub/Sales Hub/Content Hub

クレジットの見積もりはHubSpot AIクレジット料金ガイド、AI全体の設計はAI活用完全ガイドで整理しています。

これらを組み合わせることで、HubSpotのCRMプラットフォーム上で業務を効率化・自動化し、チームの生産性向上につなげることが期待できます。ただし「超一流の営業担当が考える内容がそのまま出てくる」というより、「アシスタントがウェブリサーチをして、ある程度の方向性を提案段階で持ってきてくれる」程度の位置づけで捉えると、期待値が合いやすいと考えています。

業務フローに沿って言い換えると、問い合わせへの一次対応は顧客対応エージェント、商談前のリサーチやレコード確認は案件創出エージェントやAssistant、受注後のサポートはService Hub側のエージェント、という形で、コンタクト獲得から取引・顧客化へと進む流れの各区間に配置できます。個別の機能として見るより、全体フローのどの区間をAIに手伝ってもらうかで整理する方が、導入の優先順位も立てやすくなります。


Breeze Assistantで日々の確認作業を減らす

Assistantは、Breezeの中で最も手軽に試せる入口です。CRM画面を切り替えて情報を探し回る手間を、自然言語の質問に置き換えられます。まずAI活用の感触を掴みたい場合は、ここから始めるのが取っ掛かりとしておすすめです。

Assistantでできる4つのこと

  • レコードの要約:選択した取引先や商談の概要を自動生成します
  • 最新アクティビティ表示:最近の活動履歴を時系列でサマリー表示します
  • プロパティ情報の解釈:顧客データや会社情報を読み解き、必要事項を抽出します
  • レコード検索:名前から取引先・商談を検索し、最近の更新情報とあわせて詳細を表示します

Assistantを使い始める手順

  1. 管理者が AI設定(app.hubspot.com/l/ai-settings/)で「Give users access to Breeze Assistant」をオンにします。
  2. 利用者はデスクトップ版の上部ナビゲーションバーにある「Breeze Assistant」をクリックします。
  3. プロンプトを入力するか、提案されたプロンプト・保存済みプロンプトを選びます。ファイルや連携アプリのデータはプロンプト欄のツールメニューからコンテキストとして追加できます。
  4. 回答の番号付き引用(ソース)をクリックし、元のレコードや連携アプリを確認してから使います。

Assistantはすべての製品・プランで利用でき、実行できる操作は利用者のユーザー権限で決まります。エージェントの作成やワークフローでの利用にはProfessional以上が必要です。コンテンツ生成は1アカウントあたりローリング1分間で100リクエストまでという上限もあります。出典:Use Breeze Assistant(HubSpot公式ナレッジ)

次の画面は、Breeze Assistantのチャット画面です。

Breeze Assistantのチャット画面

実務での使いどころ

商談前に取引先レコードを要約させて論点を整理したり、前任者から引き継いだリードの活動履歴を時系列で把握したりする用途に向いています。スプレッドシートや別ツールに分散した情報を手作業で集め直す運用から、CRM上のデータをその場で引き出す運用へ切り替える第一歩として位置づけられます。情報がHubSpotに一元化されていれば、過去のやり取りも一覧で確認でき、引き継ぎの抜け漏れも減らせます。

日本語環境での使い方と限界

日本語環境でも、複数のプロンプトを活用することでAssistant機能は利用できます。ただし回答の質はプロンプトの書き方に左右されるため、まずは自然言語で質問してみて、AI体験の感触を掴むところから始めるのがおすすめです。

詳細は以下の記事でも解説しています。

関連記事:HubSpot Breeze Assistant徹底活用ガイド|公式プロンプト58式の紹介と、商談リサーチや問い合わせ傾向分析などの実務プロンプト例を紹介


Breeze IntelligenceでCRMデータを拡充する

Intelligenceは、CRMデータの量と質を外部データで底上げする機能です。ただし日本語環境では現時点で注意すべき挙動があるため、期待と限界の両方を押さえてから有効化を判断するのがよいと考えています。

次の画面は、Breeze Intelligenceのデータエンリッチ画面です。

Breeze Intelligenceのデータエンリッチ画面

エンリッチとバイヤーインテント

Breeze Intelligenceを有効化すると、連絡先・企業レコードが外部データで自動的にエンリッチされ、定期的なデータ更新や購買意図の検出によって、営業ターゲティングの精度を高めることが期待できます。手作業での情報収集や転記を減らし、ターゲット選定の土台を整える機能です。

料金・クレジットの考え方

データエンリッチメントと、Data Agentによるスマートプロパティの自動入力は、別の機能で課金の扱いも異なります。

処理 プラン・クレジット
データエンリッチメント HubSpotクレジットを消費しません(Marketing・Sales・Service・Data・Content HubはStarter以上、Smart CRMとRevenue HubはProfessional以上)
購買意向データ(バイヤーインテント) 企業の追加と意図シグナルの追跡でHubSpotクレジットを消費します(追跡は月次課金)
スマートプロパティ(Data Agent) 実行のたびにクレジットを消費します(値が入らなかった場合も消費)

出典:Get started with data enrichment、Buyer intent、スマートプロパティ(いずれもHubSpot公式ナレッジ)

日本語環境での正直な限界

※日本語環境では、正確なデータを取得できず、既存レコードの正しい情報を英語表記で上書きしてしまう挙動を確認しています。有効化の前に、少数のレコードで検証してから判断してください。

公式の仕様では、既存の値は初期設定では保持され、手動エンリッチで「上書き」を選んだ場合か、エンリッチ設定で「Overwrite incorrect enrichment values」をオンにした場合にだけ上書きされます。また自動エンリッチはコンタクト・企業とも初期状態ではオフです。日本企業のレコードが多い場合は、次の順で進めると事故を防げます。

  1. 自動エンリッチはオフのまま、Super Adminが対象を絞った少数の企業レコードで個別エンリッチを試します。
  2. 上書き設定(Overwrite incorrect enrichment values)がオフであることを確認し、会社名・住所・業種・従業員数の値が英語表記に変わっていないかを見ます。
  3. 問題がなければ、空欄が多いプロパティだけを対象に一括エンリッチへ広げます。
  4. 変更前の値は、エクスポートで控えを取ってから実行します。

日本語の会社情報の補完には、次のData Agent(スマートプロパティ)のほうが、データソースとプロンプトを自社で指定できるため制御しやすい場面があります。詳しくはBreeze Intelligence完全ガイドも参照してください。

Data Agent(スマートプロパティ)でプロパティを自動入力する

スマートプロパティは、AIが指定したデータソースを読み、プロパティの値を自動で埋める機能です。データソースは「Web research」「Company website」「Property data」「Activities and transcripts」から選びます。作成は、Marketing・Sales・Service・Data・Content HubのStarter以上、Smart CRMはProfessional以上で可能です(Revenue Hubは対象外)。

  1. 「More > CRM > 企業(Companies)」などのインデックスページを開き、ビュータブで三点アイコンから「Add column」を選びます。
  2. 「Create new property」を選び、ラベル(例:自社商材マッチ度)とフィールドタイプ(ドロップダウン選択など)を決めます。
  3. 「Data Agent prompt」にチェックを入れ、「Edit」でプロンプトとデータソースを設定します。プロンプトには既存プロパティをトークンとして差し込めます。
  4. 「Preview record」で既存の1レコードに試し、意図した値が出るかを確認してから「Create and view fill options」で実行します。
  5. 最後にインデックスページ右上の「Save」を押します。

設定には「Edit property settings」権限かSuper Admin権限が必要で、AI設定の生成AIツールとCRMデータのスイッチがオンであることが前提です。実行はクレジットを消費するため、本番の全件に流す前に必ずプレビューで確認します。出典:Automatically populate records using smart properties(HubSpot公式ナレッジ)

Breezeスマートプロパティの設定フォーム(自社商材マッチ度)


Agent Hubの3エージェントを業務で使い分ける

Agent Hubは、業務ごとに特化した自律型エージェントの集合です。顧客対応・案件創出・コンテンツ作成の主な3種類について、それぞれの特徴と実用性を率直に整理します。

顧客対応エージェント(Customer Agent)

顧客対応エージェントは、問い合わせ対応を支援するチャットボット機能です。社内のナレッジベース、ウェブサイト、マニュアルPDFなどを学習させることで、24時間体制の回答が可能になります。学習元には、ナレッジベース記事・Webサイトのページ・ランディングページ・ブログ・アップロードしたファイル・URLを使え、必要に応じてCRMデータも参照します。複雑・機微な依頼は、自分で決めたハンドオフルール(例:「返金」「解約」「ログインできない」といった語が出たら担当者へ引き継ぐ)で人に渡せます。

次の画面は、Breeze顧客対応エージェントのチャット画面です。

Breeze顧客対応エージェントのチャット画面

導入は既存のウェブサイトやナレッジベースを学習元に指定して始められ、設定とテストの間はクレジットを消費しません。クレジットを消費するのは、エージェントが解決(resolution)を届けた場合だけです。日本語コンテンツを学習させて日本語で応答させる使い方で試しやすく、現時点で最も実用可能性が高いエージェントと考えています。利用にはProfessionalまたはEnterpriseのサブスクリプションと、Customer agentエディター権限・シートが必要です。成功の鍵はナレッジの品質で、正しい情報をAIが理解しやすい形でインプットしてあげることがポイントになってきます。出典:Scale 24/7 support(HubSpot公式ナレッジ)。ナレッジ整備の観点はCustomer Agent導入前の準備チェック、機能の詳細は顧客対応エージェントの機能解説で扱っています。

案件創出エージェント(Prospecting Agent)

案件創出エージェントは、営業担当のリード開拓を支援するAIエージェントです。HubSpotのSmart CRMに蓄積された既存データを基に、購買意欲の高い見込み客を自動抽出して優先順位付けし、顧客情報の事前リサーチやアプローチメールのシーケンス形式での作成まで自動化します。営業チームは手作業のリサーチを減らし、本来の商談業務に集中しやすくなります。

次の画面は、案件創出エージェントのリサーチ結果画面です。

案件創出エージェントのリサーチ結果画面

StartLinkでの検証では、リサーチ結果が英語で返る場面があり、日本国内向けの営業支援としては使い方の工夫が要ると感じています。公式ナレッジでは、アウトリーチメールの言語を「コンタクトの優先言語(未設定時のフォールバック言語つき)」か「指定した言語」から選べると説明されています。日本語での品質は、本番に流す前にテスト機能で自社の対象に試して判断してください。メールの承認は「Review emails(送信前に人が承認)」と「Send without review」から選べるため、最初は必ず前者にします。

  1. AI設定で「Give users access to generate AI tools and features」とCRMデータ・顧客会話データ・ファイルデータのスイッチをオンにします。
  2. 「Sales > Prospecting Agent」で「Create play」を選び、Audience・Context・Outreach・Guardrails・Automationの各タブを設定します。
  3. Testボタンで1件のコンタクトにサンプルのアウトリーチを作り、文面を確認します。
  4. 「Review and turn on」から「Publish」し、対象レコードを登録します。

メールを生成するたびに1リード単位でクレジットを消費します。出典:Set up and use the prospecting agent(HubSpot公式ナレッジ)。実際の検証結果は案件創出エージェントの日本語検証記事にまとめています。

コンテンツエージェント(Content Agent)

コンテンツエージェントは、HubSpotのCRMデータやブランド情報を活用し、ランディングページやブログ記事、ポッドキャスト台本、導入事例などを短時間で生成するAIツールです。1件あたり1,000クレジットを消費するため、量産より要所での利用が向いています。日本語の素材を読み込ませることで一定の成果は見込めます。

ただし当社では、ブログ記事やコンテンツ制作には外部のAIツールを複数組み合わせる方法をおすすめしています。コンテンツエージェント単体では、「AIに事前インプットするナレッジ」や「Webの網羅的なリサーチ情報のインプット」が弱いと感じているためです。現段階では、Notebook LMで外部のWebページ情報や自社のPDF・提案資料をインプットしつつ、ChatGPTやGeminiのディープリサーチを併用する進め方がベストプラクティスだと考えています(あくまで当社の見解であり、さまざまなご意見はあるかと思います)。

3エージェントの比較

エージェント 対象業務 連携ハブ 日本語対応 現状の実用性
顧客対応エージェント 問い合わせ対応 Service Hub 日本語コンテンツの学習で可 現時点で最も高い
案件創出エージェント リード開拓・アプローチ Sales Hub メール言語は指定可(日本語品質は要検証) 英語ドリブンの企業向け
コンテンツエージェント コンテンツ制作 Content Hub 英語中心、日本語素材で一定可 外部ツール併用が現実的

エージェントのクレジット単価

Agent Hubのエージェントは使った分だけクレジットを消費します。追加クレジットは1クレジット0.010ドル(1,000クレジットで10ドル)で、すべての有料プランに一定量のクレジットが含まれます(量は製品とプランで異なるため、最新はHubSpotの公式ページで確認してください)。

機能 クレジット単価 課金の単位
Customer agent(メッセージ) 50クレジット 解決1件ごと
Prospecting agent 100クレジット リード1件ごと
Content agent 1,000クレジット コンテンツ1件ごと
Data agent 10クレジット 1回答ごと

出典:HubSpot Credits(HubSpot公式)。クレジットの見積もり方はHubSpot AIクレジット料金ガイドが詳しいです。Agent Hubは「More > Agents > Agent Hub」から開き、AEO・Data agent・Prospecting agent・Deal progression・Customer agentを有効化(Activate)・管理(Manage)できます。出典:Understand Agent Hub

エージェントは「任せて終わり」ではなく、大型案件のアプローチや最終的な送信判断は人間が行う前提で設計するのが安全です。


ワークフローにBreezeを組み込み、判断は人に残す

Breezeのもう一つの強力な活用法は、HubSpotのワークフローに直接組み込むことです。手作業で行っていた定型タスクをAIで自動化しつつ、最終判断は人が握る設計にすると、精度と安全性を両立できます。

「Breezeに依頼」で自動化できる処理

  • レコードの要約作成
  • 問い合わせ内容の自動分類(例:営業関連か、既存の問い合わせかなど)
  • 従業員数に基づいた企業規模の自動分類(自由テキストや数値を特定のプルダウン値に変換)
  • 部署名や役職からカテゴリ化された値への変換
  • 次のアクション(Next Action)の提案

ワークフローにAIアクションを追加する手順

  1. 「Automation > Workflows」で対象のワークフローを開き(または新規作成し)、登録トリガーを設定します。例:コンタクトの「フォーム送信」が条件を満たしたとき。
  2. プラス(+)アイコンからアクションを追加し、左パネルの「AI」セクションを開いて「Data Agent: Custom prompt」を選びます。
  3. 「Message」に指示を書きます(3,000文字まで。プロンプトに書いた内容以外の文脈は渡らないため、必要なプロパティはトークンで差し込みます)。
  4. 「Action outputs」で出力を追加し、列挙型(Enumeration)を選んで、返してよい値(例:営業関連/サポート/その他)を固定します。
  5. 後続に分岐(If/then)を置き、出力値でオーナー割り当てや通知を振り分けて保存します。

ワークフローの作成にはProfessional以上と、Super Adminまたはワークフロー権限が必要です。クレジットが足りないとCustom promptアクションは失敗し、出力に空(null)が入ります。分岐の最後に「その他」の受け皿を必ず置いてください。出典:Use Breeze to manage data in workflows(HubSpot公式ナレッジ)

問い合わせ内容をAI判定して分岐するワークフロー

次の画面は、Breezeがレコードを一括更新した例です。

Breezeによる製品レコード24件の一括更新

AIに任せる業務と人が判断する業務

AIに任せると効果が出やすい 人が判断すべき領域
問い合わせの分類 パイプラインの設計
レコードの要約 ライフサイクルステージの定義
プロパティ値の変換・クレンジング 最終的なメール送信判断
企業情報のウェブリサーチ 大型案件のアプローチ
次アクションの提案 プロンプトの設計・チューニング

個人の力量に頼るのではなく「分類はAI、定義と判断は人」という形で仕組み化しておくと、担当者が変わっても同じ品質で回り、新人でも運用に乗せやすくなります。

運用ルールとプラン条件

メール送信などの対外アクションは、自律モードでそのまま送らせるのではなく、送信前に人が内容を確認する運用にするのが安全です。AIが問題ない文面を作っても、確認を挟まない自動送信はリスクが残ると考えています。

Breeze以外にもOpenAIと連携すればAPI経由でAIを呼び出せます。Breezeは、Assistantはすべての製品・プランで使え、エージェントやAI搭載ワークフローはProfessional以上とHubSpotクレジットが前提になります。まず契約に含まれるクレジット量を確認し、Assistantと設定・テスト段階の機能(設定とテストはクレジット非消費のものもあります)から試すのがよいかと思います。

詳細は以下の記事でも解説しています。

関連記事:HubSpotの「Breezeに依頼」の機能解説|実現できる実務のユースケース(要約・チケット分類・ネクストアクション提示)


他社AIツールと比較したBreezeの位置づけ

CRM領域では、Salesforce EinsteinやMicrosoft Dynamics 365 Copilotなど、各社からAIソリューションが提供されています。ここでは事実ベースで特徴を整理し、Breezeの強みを確認します。

各社AIの特徴

SalesforceのEinsteinは、Sales/Service/Marketing各クラウドと深く統合され、見込み客のスコアリングや予測分析を提供します。Microsoft Dynamics 365 Copilotは、CRM・ERP全体で定型作業の自動化やメール・会議要約などを支援します。

Breezeの強みと選定の考え方

これらと比較すると(詳しくはSalesforceからHubSpotへの乗り換えガイドも参考になります)、Breezeの強みはHubSpotプラットフォーム全体でのデータ連携にあります。CRMに対してAIを活用するという観点は同じですが、HubSpotの場合は、

  • 営業・マーケティング・カスタマーサポートのデータが一元管理された環境下でAIを利用できる、プラットフォーム型という点
  • Assistantを含め、通常の契約の中でAIを使い始められ、エージェントはクレジットの従量で必要な分だけ増やせる点

が異なるところだと考えています。

次の画面は、HubSpot BreezeとSalesforce Einsteinの比較をまとめたものです。

HubSpot BreezeとSalesforce Einsteinの比較

ただし各ツールにはそれぞれ強みがあります。企業様によって最適な形は異なりますので、自社がどのチャネルで多くのデータを持ち、どの業務を効率化したいかを基準に、最適な組み合わせを検討していただければと思います。


導入前の判断表とよくある失敗

どれから始めるかは、いま一番時間がかかっている業務で決めます。次の表で自社に近い行を探してください。

自社の状況 最初に使う機能 次へ進む判断の目安
レコード確認・引き継ぎに時間がかかる Breeze Assistant 要約と検索の回答品質に納得できる
問い合わせが多く、回答の根拠となる記事・FAQがある Customer agent 解決の質が業務水準に届き、ハンドオフが機能する
プロパティの入力漏れ・表記ゆれが多い Data Agent(スマートプロパティ) プレビューの精度が許容範囲で、クレジット消費が見込める
営業のリサーチ時間を減らしたい Prospecting agent(メールは承認ありで) 承認したメールの修正率が下がる

一方で、次の失敗は事前に防げます。

よくある失敗 起きること 回避策
エンリッチの上書き設定をオンのまま一括実行 正しい日本語の会社情報が英語表記に置き換わる 自動エンリッチはオフ、上書き設定を確認し、少数で検証してからエクスポートで控えを取る
ナレッジを整えずにCustomer agentを公開 誤回答が増え、解決にならず人が対応し直す 公開前にナレッジの重複・古い情報を整理し、ハンドオフルールを先に決める
スマートプロパティを全件に一括実行 値が入らなくてもクレジットを消費する Preview recordで確認し、対象セグメントを絞って実行する
AI分類の出力を自由記述にする 後続の分岐やレポートで使えない 出力を列挙型にして、返す値を固定する

スモールスタートで進める導入ステップ

Breezeは一度に全機能を入れるのではなく、効果が出やすい領域から段階的に広げる進め方が合っています。以下の3ステップを目安にしていただければと思います。

ステップ1:AssistantでAIの感触を掴む

まずはBreeze Assistantでレコード要約や活動履歴の確認を試し、AIが自社データに対してどこまで使えるかを確認します。追加設定が少なく始めやすい層のため、トライアルの入口として適しています。

ステップ2:顧客対応エージェントをナレッジ整備とセットで試す

次に、日本語でも実用性の高い顧客対応エージェントを検討します。学習させるナレッジの品質が回答精度を左右するため、FAQやマニュアルの整備とセットで進めるのがポイントになってきます。

ステップ3:ワークフローに組み込んで仕組み化する

効果が確認できたら、「Breezeに依頼」をワークフローに組み込み、分類・要約・プロパティ変換を自動化します。個人の工夫に頼らず仕組みで回す段階まで進められると、担当者が増えても運用品質が安定します。

ステップ やること 次へ進む判断の目安
1 Assistantでレコード要約・検索を試す 日本語の回答品質に納得できる
2 顧客対応エージェント+ナレッジ整備 自動回答の精度が業務水準に届く
3 ワークフローに「Breezeに依頼」を組み込む 分類・変換の誤りが許容範囲に収まる

StartLinkのAIを業務設計に組み込む進め方

StartLinkは、HubSpotゴールドパートナーとして150社以上のHubSpot支援に携わり、Sync for freeeとSync for Notionの開発元でもあります。Breezeの導入では、機能を先に決めるのではなく、次の5工程で業務の側から設計します。

  1. 現状の整理・要件定義:問い合わせ、リード対応、データ入力のうち、時間のかかる業務と、AIに渡せるデータ(ナレッジ・プロパティ)の状態を洗い出します。
  2. 設計・構築:Customer agentの学習元、スマートプロパティのプロンプトとデータソース、ワークフローの分岐と出力値を設計し、構築します。
  3. データ移行:既存のFAQやレコードをHubSpotへ移し、重複や表記ゆれを整えます。
  4. テスト・検証:少数のレコード・会話でプレビューとテストを行い、クレジット消費の見込みを確かめます。
  5. 定着・運用改善:解決の質や修正率を見ながら、対象を段階的に広げます。

スモールスタートで始め、準委任で伴走する形で、BreezeやClaudeなどのAIを業務設計に組み込みます。標準連携で足りない部分は、自社開発のSync for freeeやSync for Notionで補えます。詳しくはHubSpot×AI支援とHubSpot導入・構築支援のページをご覧ください。パートナー選びの観点はHubSpotのAI活用パートナーの選び方にまとめています。


よくある質問

Q1. Breezeはどのような機能で構成されていますか?

大きく3つの層で構成されています。レコード要約や最新アクティビティのサマリー表示を行う対話型の「Breeze Assistant」、CRMの連絡先・企業レコードを外部データでエンリッチする「Breeze Intelligence」、そして顧客対応・案件創出・コンテンツ作成など業務別に稼働する「Agent Hub」です。各エージェントはService Hub、Sales Hub、Content Hubと連携します。

Q2. Breeze Intelligenceは日本語のデータでも安心して使えますか?

現時点では慎重な利用をおすすめします。日本語環境では正確なデータを取得できず、既存レコードの正しい情報を英語表記で上書きしてしまう挙動を確認しているためです。公式仕様では既存の値は初期設定で保持され、上書き設定をオンにした場合などにだけ置き換わります。料金面では、データエンリッチメント自体はHubSpotクレジットを消費しませんが、購買意向データ(バイヤーインテント)とスマートプロパティ(Data Agent)はクレジットを消費します。

Q3. Agent Hubの中で現時点で最も実用的なのはどれですか?

顧客対応エージェント(Customer Agent)です。社内のナレッジベースやウェブサイト、アップロードしたファイルを学習させることで24時間体制の回答が可能になります。設定とテストの間はクレジットを消費せず、解決1件ごとに50クレジットを消費します。日本語コンテンツを学習させて日本語で応答させる使い方で、導入しやすい点が特徴です。

Q4. Breezeを使うのに特別なプランや追加契約は必要ですか?

Breeze Assistantはすべての製品・プランで使えます。Customer agentやProspecting agentなどのエージェント、AI搭載ワークフローはProfessional以上のプランとHubSpotクレジットが前提で、一部の機能には追加のサブスクリプションが必要です。なおOpenAIと連携してAPI経由でAIを呼び出す選択肢もあります。

Q5. コンテンツ制作はコンテンツエージェントに任せてよいですか?

当社では、外部のAIツールを複数組み合わせる方法をおすすめしています。コンテンツエージェント単体では「AIに事前インプットするナレッジ」やWebの網羅的なリサーチ情報のインプットが弱いと感じているためです。現段階ではNotebook LMに自社のPDFや提案資料を読み込ませ、ChatGPTやGeminiのディープリサーチを併用する進め方がベストプラクティスと考えています。

Q6. Breezeのクレジットはどのくらい消費しますか?

公式のクレジット単価は、Customer agent(メッセージ)が解決1件あたり50クレジット、Prospecting agentがリード1件あたり100クレジット、Content agentがコンテンツ1件あたり1,000クレジット、Data agentが1回答あたり10クレジットです。追加クレジットは1,000クレジットあたり10ドルです。含まれるクレジット量は製品とプランで異なるため、最新はHubSpotの公式ページで確認してください。


まとめ

HubSpot AI「Breeze」は、対話型のAssistant、データを拡充するIntelligence、業務別に動くAgent Hubの3層で捉えると、自社の業務への当てはめ方が整理しやすくなります。ポイントを再整理すると以下の通りです。

  • Breezeは3層構造で、層ごとに役割と向く業務が異なります
  • 日本語環境では、Assistantと顧客対応エージェントが現時点で実用性の高い領域です。エージェントの実行にはHubSpotクレジットが必要です
  • データエンリッチは日本語データへの適用に注意が必要で、案件創出エージェントは日本語での出力品質を事前に検証します
  • ワークフロー内の「Breezeに依頼」は分類・要約・変換の自動化に向き、最終判断は人が握る設計が安全です

まずはBreeze Assistantでレコード要約から試し、次の3ステップで進めてみてください。

  1. Assistantで自社データへの回答品質を確認する
  2. 顧客対応エージェントをナレッジ整備とセットで検証する
  3. 効果が確認できた領域からワークフローに組み込み、仕組み化する

CRMを活用した業務効率化やAIとの連携に関するご相談は、CRM特化型コンサルティングのHubSpotゴールドパートナーのStartLinkまでお気軽にお問い合わせください。

なおStartLinkでは、150社以上の支援実績をもとに、HubSpotの導入設計から運用定着まで一貫してサポートしています。CRM・SFA・MAの活用にお悩みの方は、お気軽に無料相談をご利用ください。


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著者情報

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今枝 / Imaeda

株式会社StartLink 代表取締役。累計150社以上のHubSpotプロジェクト支援実績を持ち、Claude CodeやHubSpotを軸にしたAI活用支援・経営基盤AXのコンサルティング事業を展開。
HubSpotのトップパートナー企業や大手人材グループにて、エンタープライズCRM戦略策定・AI戦略ディレクションを経験した後、StartLinkを創業。現在はCRM×AIエージェントによる経営管理支援を専門とする。