マーケティングコンタクトの管理は、配信対象と契約上限をそろえる運用です。CRMに登録する人と、マーケティング施策を行う人を分けて考えます。
「上限に近づいた通知が来たけれど、何を見直せばよいのかわからない」「CRMに登録した人がいつの間にか課金対象になっていた」——コンタクトを追加したり、フォームやワークフローを運用したりする中で、こうした疑問が生じます。
HubSpotのマーケティングコンタクトとは、HubSpotのマーケティングツールを通じてマーケティング施策を行う対象として設定したコンタクトです。契約にマーケティングコンタクトが含まれる場合、その数が契約ティアと請求に関係します。
本記事は「HubSpot初期設定・オンボーディング完全マニュアル|アカウント作成後にやるべき設定一覧」シリーズの一部です。
本記事は「HubSpot完全ガイド」関連記事です。
この記事でわかること
マーケティングコンタクト数や契約上限を見直す際に、押さえたい仕組みと管理方法をまとめました。配信の対象者を整理し、日々の運用に落とし込むときの判断材料になります。
- マーケティングコンタクトの定義 — マーケティング対象外コンタクトとの機能や課金上の違いを整理します。
- 契約ティアと変更時期 — 上限を超えた場合の動きと、対象外への変更が反映されるタイミングを確認します。
- 対象者を絞る方法 — リストの見直し、フォーム、ワークフローを使った管理の考え方を解説します。
- 利用状況の可視化 — HubSpot上の利用状況とレポートで、増加傾向を把握する方法を紹介します。
- 運用ルールの作り方 — インポートや配信設定による意図しない対象化を避ける確認手順をまとめます。
マーケティングコンタクトと対象外コンタクトの違い
HubSpotでは、コンタクトをCRMに保存することと、マーケティング施策の対象にすることを分けて管理できます。対象外に設定したコンタクトもレコードとして残り、営業活動などに利用できます。契約しているプランやアカウントの状態によって利用条件が異なるため、まず自社アカウントの対象範囲を確認します。
対象になるのはマーケティング施策を行うコンタクト
マーケティングコンタクトは、マーケティングEメールや広告など、HubSpotのマーケティングツールでアプローチする対象です。コンタクトレコードが存在するだけで全員が同じ課金区分になるわけではなく、マーケティングステータスによって管理されます。
一方、営業担当者が個別に対応するためCRMに保存したコンタクトや、今後の配信対象としていないコンタクトは、マーケティング対象外に設定できます。顧客データを一元管理しながら、実際にマーケティングを行う対象を区別できる点が運用上のポイントです。
利用できる機能を目的別に整理する
マーケティング対象外でも、CRM機能の閲覧・編集・管理や、セールスメール、シーケンス、レポートを利用できます。一方で、マーケティングEメールの一斉配信や広告オーディエンスへの登録は対象外コンタクトには行えないとされています。
| 利用目的 |
マーケティングコンタクト |
マーケティング対象外コンタクト |
| マーケティングEメールの一斉配信 |
対象にできます |
対象にできません |
| 広告オーディエンスへの登録 |
対象にできます |
対象にできません |
| CRMレコードの閲覧・編集・管理 |
利用できます |
利用できます |
| セールスメールなどの個別対応 |
利用できます |
利用できます |
| レポート・分析 |
利用できます |
利用できます |
HubSpot公式ヘルプでは、マーケティングコンタクトをマーケティングツールで毎月エンゲージする対象と説明し、非マーケティングコンタクトは課金対象にならないとしています。(出典:Understand marketing contacts billing)
CRM全体の流れの中で対象を決める
コンタクトは、フォームからの獲得、マーケティング施策、営業への引き継ぎ、取引の管理、顧客対応へと進みます。その流れの中で、マーケティングコンタクトの設定は「誰にマーケティング施策を行うか」を決める区分です。顧客レコードを残すことと、配信可能な対象として維持することは別々に判断します。
例えば、営業が個別にフォローするコンタクトをCRMに残しながら、マーケティングEメールの対象にはしない運用が考えられます。コンタクトを追加するたびに判断できるよう、「マーケティング施策を実施する条件」をルールとして共有しておくと、担当者の経験だけに頼らず引き継げます。
契約ティアとステータス変更のタイミング
マーケティングコンタクトの課金は、契約ティアに含まれる対象数を基準に管理します。契約数を超えたときの影響は、コンタクト数を後から減らしてもすぐには解消されない場合があります。現在の契約内容とアカウントに表示される更新日を併せて確認します。
以下の画面は、撮影時のMarketing Hub料金ページのプラン比較例です。画像中の価格を現行価格の根拠には使用しません。
マーケティングコンタクト数に応じて価格が変わる料金体系のページ
契約ティアを超えた場合
マーケティングコンタクト数が契約上限を超えると、次のティアへ自動アップグレードされ、次回更新まで上位ティアが適用されます。また、ティアが上がった後にコンタクト数を減らしても、契約期間中にダウングレードできない点を挙げています。
このため、現在の人数だけでなく、フォーム登録や一括インポートによって今後増える可能性も見ながら運用します。契約上限に対する利用割合を定期的に記録し、増加の理由と対象者を確かめてから追加施策を実施します。
(出典:Understand marketing contacts billing)
対象化と対象外化は反映時期が異なる
| 変更 |
|
運用上の扱い |
| 対象外からマーケティングコンタクト |
即時にカウント |
追加操作の前に利用数と契約ティアを確認します |
| マーケティングコンタクトから対象外 |
更新日に反映 |
更新日より前に変更し、反映後の人数を確認します |
| コンタクトの削除 |
レコードが削除されカウントから外れる |
履歴を残すか、対象外化するかを先に判断します |
変更を登録した時点と、契約上の人数に反映する時点を同一視しないことが大切です。次回更新日と現在の利用数を並べて確認し、すぐ配信する必要がある人だけを新たに対象化します。
コンタクトを削除する前にデータの用途を確認する
不要なマーケティング対象を見直す場合、レコード削除は対象外化とは異なる対応です。削除すると過去のアクティビティ履歴も失われるため、営業やサポートで参照する可能性があるレコードは、削除ではなくマーケティング対象外への変更を検討します。
対象外にしてもレコードをCRMに残せるため、マーケティング施策の停止と顧客情報の保管を分けて考えられます。削除を選ぶのは、履歴を含めてレコードが不要だと確認できた場合に限ると、後続の営業対応で情報が途切れにくくなります。
利用状況を把握し、増加前に対応する
上限管理は、超過後に不要なレコードを探すだけでは遅れることがあります。日々の運用では、利用数の推移、追加経路、実際のエンゲージメントを見て、対象者を決める仕組みを作ります。まずはHubSpot内の利用状況を確認し、必要に応じてチーム向けのレポートを組み合わせます。
アカウントの利用状況を確認する
HubSpot公式ヘルプによると、「Account & Billing」の「Marketing Contacts」でマーケティングコンタクトの利用数、契約ティア、次回の更新日を確認できます(出典:Understand marketing contacts billing)。
まず現在値を記録し、契約ティアに対する利用状況と、追加されたコンタクトの経路を見ます。数字だけでは必要性を判断できないため、どのフォームやインポート、ワークフローから追加されたのかを確認して、対象化の妥当性を整理します。
変化を追うレポートを選ぶ
コンタクト数の推移、契約上限に対する利用率、新規コンタクトのソース、エンゲージメントがないコンタクト数を確認します。画面で利用できるレポートやデータ項目は契約と設定により異なるため、標準で確認できる利用状況と、チーム用に作成するレポートを分けて設計します。
| 確認する内容 |
見る理由 |
見直しのきっかけ |
| マーケティングコンタクト数の推移 |
増加ペースを把握するため |
特定期間に増加が続く |
| 契約ティアに対する利用状況 |
上限との距離を把握するため |
余裕が小さくなる |
| 新規コンタクトのソース |
増加経路を把握するため |
想定外の経路から増えている |
| エンゲージメントの状況 |
配信対象の妥当性を考えるため |
反応のない対象が蓄積する |
通知と確認頻度を運用に合わせる
週次の確認では利用数と増加経路を見て、月次では配信対象としての必要性を整理します。通知を受け取ったら、対象化の予定、現在の契約ティア、更新日を同じ画面または記録で照合し、追加を進めるか対象を見直すかを判断します。
マーケティング対象を絞るための5つの見直し
コストの調整をコンタクト削除だけに頼ると、CRMに必要な履歴まで失うおそれがあります。配信する人を選び、対象外化の条件を定め、インポート時点で意図しない追加を防ぐ順で整えます。コンタクトの増加を人が都度思い出して止めるのではなく、共通ルールにします。
上限に余裕を持たせて管理する
マーケティングコンタクト数を契約上限の7〜8割程度に保つことが、運用上の目安になります。これはHubSpotの契約仕様ではなく、急な増加に備えるための運用目安です。契約ティアや獲得の変動幅に応じて、自社の確認ラインを決めます。
例えば、上限に近づいたときに確認を始めるのではなく、一定の余裕を保てているかを定期的に見る方法があります。利用率が社内の目安を超えたら、新規フォーム登録の経路、最近のインポート、ワークフローの対象者を確認し、必要な施策と対象外化できる範囲を分けます。
エンゲージメントと利用目的で対象を見直す
競合他社、ハードバウンス、オプトアウト済み、退職や転職で無効になったアドレス、社内テスト用、長期間エンゲージメントがないコンタクトは見直し候補です。これらは一律に削除する対象ではなく、現状の利用目的とデータの有効性を個別に確かめる候補です。
90日以上メール開封がない対象を見直すことも、運用基準の一つです。開封だけで配信の必要性を判断すると、開封計測だけでは捉えられない反応を見落とす可能性があるため、クリックやフォーム送信など利用できる情報も合わせて判断します。施策の対象から外す場合は、レコードを保持したままマーケティング対象外へ変更します。
フォームとワークフローの対象化条件を決める
フォーム送信者をマーケティング対象にする場合、フォームの目的に沿った条件を整理します。BtoB向けのフリーアドレスや競合ドメインの扱いを見直し、ダブルオプトインによる登録確認を検討します。フォームの設定や取得した同意の内容に応じて、対象化する条件を決めておきます。
ワークフローを使う場合は、対象化と対象外化を分けて考えます。例えば、社内ドメインや競合ドメインを除外してフォーム送信者を対象化する流れ、配信対象として不要になったコンタクトを対象外にする流れを設計します。ただし、マーケティングEメール送信を含むワークフローなど、アクションにより対象者のステータスが変わる場合があるため、実行前に対象人数と設定を確認します。
インポート時の設定を確認する
CSVやExcelから一括インポートするときは、インポート画面でマーケティングコンタクトとして登録するかを確認します。インポート時にデフォルトでマーケティング対象になる場合があります。実際の設定を確認し、全件を配信対象にする理由がなければ、対象の範囲を絞ってから取り込みます。
インポート前には、既存コンタクトへの更新か新規レコードの追加か、ワークフローが登録を契機に動くかも確認します。少量の対象で手順を確かめてから残りを取り込むと、設定の誤りがあった場合に影響範囲を把握しやすくなります。
削除と対象外化を使い分ける
対象外化はマーケティング施策から外しながら、CRMの記録を残す方法です。削除はレコードそのものを取り除き、過去の活動履歴も参照できなくなるため、同じ「不要」という理由でも扱いを分けます。
| 状況 |
対応の考え方 |
| 今後マーケティング施策を行わないが履歴を参照する |
対象外に変更してレコードを保持 |
| 営業や顧客対応で参照する可能性がある |
CRMに残し、必要な担当者が利用できる状態にする |
| レコードと過去の履歴が不要だと判断できる |
削除の影響を確認してから削除を検討 |
ワークフローと運用ルールを段階的に整える
自動化は、対象者の基準が決まってから設定します。先にワークフローを組むと、条件の漏れによって対象数が増えたり、担当者が意図しないメール施策を実行したりする場合があります。小さく始めて、動作と利用数を確かめながら対象範囲を広げます。
手動確認から始めて条件を固める
まず現在のマーケティングコンタクト数と契約ティアを確認し、増加経路を整理します。次に、配信対象の条件と対象外にする条件を言葉にして、担当者間で共有します。条件が曖昧な間は、少数のレコードを手動で確認し、実際の配信目的に合っているかを見ます。
| 段階 |
実施すること |
次へ進む目安 |
| 現状把握 |
利用数、契約ティア、更新日を記録 |
増加経路を説明できる |
| 条件整理 |
対象化と対象外化の条件を定義 |
担当者間で判断がそろう |
| 小規模な運用 |
対象者を絞って設定や手順を確認 |
想定外の対象化がない |
| 自動化 |
確認済み条件をワークフローに反映 |
実行後の数と対象者を照合できる |
対象化と対象外化の流れを分ける
対象化のワークフローでは、フォーム送信などの起点、社内・競合ドメインの除外条件、マーケティング対象として設定するアクションを整理します。対象外化のワークフローでは、メールアドレスの状態や配信停止、エンゲージメントなどの条件を確認してからステータスを変更します。
どちらの流れでも、対象件数、登録元、直近のマーケティング活動を実行前後に照合します。一定期間運用して想定外の対象化がなければ、同じ判断基準を他のフォームやリストにも適用します。条件が異なる場合は、ワークフローを分けて担当者が追跡できる形にします。
役割と確認記録を仕組みにする
マーケティングコンタクトの判断を一人の担当者だけに依存させると、異動や引き継ぎの際に運用が止まりやすくなります。誰が対象化条件を管理し、誰が利用状況を見て、誰がインポート前に確認するかを決め、更新履歴を残します。
プロパティやワークフローは、利用目的に必要な項目に絞って管理します。項目を増やしすぎると入力や確認が複雑になるため、まず契約ティア、マーケティングステータス、登録元、エンゲージメントの確認に使う情報から運用を組み立てます。担当者が交代しても同じ手順で判断できることが、継続的なコスト管理につながります。
よくある質問
マーケティング対象外のコンタクトにも個別メールを送れますか?
対象外コンタクトにもセールスメールなどの個別対応を行えます。一斉配信や広告オーディエンスへの登録と、営業担当者が個別に行う対応を分けて運用します。
対象外に変更したらすぐ契約上の人数から外れますか?
対象外への変更は毎月の更新日に反映されます。
コンタクトを削除すれば契約ティアも下がりますか?
削除するとマーケティングコンタクト数から外れる場合がありますが、契約ティアの引き下げとは別です。
CSVでインポートすると全件がマーケティング対象になりますか?
インポート時にマーケティングコンタクトとして設定される場合があります。インポート画面の設定とワークフローの起動条件を確認し、配信対象にする必要のあるコンタクトだけを対象化します。
契約上限のどの程度を社内の確認目安にすればよいですか?
利用数を契約上限の7〜8割程度に保つことが目安です。これは運用上の提案であり、HubSpotの契約条件そのものではありません。獲得数の変動や更新日を見ながら、対象を見直し始める社内基準として調整します。
まとめ
マーケティングコンタクトは、CRMに保存するコンタクトのうち、マーケティング施策を行う対象として管理する区分です。契約ティアを超えると上位ティアが適用されるため、対象化の条件、更新日、利用数をつなげて把握します。コストだけを理由にレコードを削除せず、マーケティング対象外への変更と使い分けます。
まずは「Account & Billing」の「Marketing Contacts」で現在の利用数と契約ティアを確認します。次に、以下の順で対象を整理します。
- 利用数、契約ティア、次回更新日を記録します。
- 増加した経路と、配信対象としての必要性を確認します。
- 対象化・対象外化の条件を共有し、小規模な運用で確かめてから自動化します。
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