HubSpotとb→dashは、機能数ではなく業務の起点で比べます。CRM中心ならHubSpot、複数チャネルのデータ統合中心ならb→dashが有力です。
| プラン |
料金の見方 |
主な機能 |
| 無料 |
上限つきで無料(公式の無料CRMページで確認) |
CRM基本+制限付きMA |
| Starter |
シート単位の月額(公式料金ページで最新を確認) |
カスタムプロパティ拡張 |
| Professional |
利用するHubとシート・コンタクト数で変動(公式料金ページで最新を確認) |
ワークフロー、カスタムレポート、MA |
| Enterprise |
利用するHubとシート・コンタクト数で変動(公式料金ページで最新を確認) |
カスタムオブジェクト、権限セット |
「顧客情報がスプレッドシートや複数のシステムに分散している」「マーケティング施策の反応を営業活動につなげられない」「蓄積した購買データや行動データを配信に生かせない」——このような課題を整理しないまま製品を比較すると、機能は豊富でも現場の業務に定着しない可能性があります。
HubSpotとb→dashの比較とは、CRMを軸に顧客接点をつなぐか、CDPを軸に外部データを統合するかという、業務基盤の起点を見極めることです。HubSpotはCRM・MA・SFA・Content Hubをつなぐプラットフォームであり、b→dashはデータの取り込み・加工・統合・分析・施策実行をまとめるデータマーケティングプラットフォームです。
本記事では、両ツールの設計思想と機能の違いを整理し、自社に最適なデータマーケティング基盤を選ぶための判断基準を解説します。
本記事は「HubSpot vs Pipedrive徹底比較|CRM選定で失敗しないための判断基準」シリーズの一部です。
本記事はStartLinkの「HubSpot完全ガイド」関連記事です。
この記事でわかること
データマーケティング基盤を比較中の担当者が、製品の違いを自社の業務フローへ当てはめるための論点を整理します。機能表だけでは見えにくい、導入後の運用やデータ管理の違いまで把握できます。
- 設計思想の違い — HubSpotのCRM中心の考え方と、b→dashのデータ統合中心の考え方を整理します。
- 機能とデータ活用の違い — CRM・SFA・MA・CDP・BI・配信チャネルを、業務上の役割から比較します。
- BtoBとBtoCの選定基準 — 営業プロセスと顧客接点のどちらを重視するかによって、判断がどう分かれるかを解説します。
- 料金と導入負荷の見方 — 利用料だけでなく、初期設計・データ整備・運用にかかる負荷まで含めて考えます。
- 導入判断の進め方 — 現状整理から小規模な検証、段階的な拡張までの手順を示します。
HubSpotとb→dashの比較サマリー
両製品は一部の機能が重なりますが、中心に置くデータと業務が異なります。HubSpotは顧客との関係や営業プロセスをCRMに集約し、b→dashは複数の接点から得たデータを統合してマーケティング施策に活用します。最初にこの違いを押さえると、細かな機能比較に振り回されにくくなります。
主な違いを一覧で比較
| 比較項目 |
HubSpot |
b→dash |
| 提供会社 |
HubSpot, Inc.(米国/日本法人あり) |
株式会社データX(日本) |
| 製品コンセプト |
CRM中心のオールインワンプラットフォーム |
データマーケティングプラットフォーム |
| 主な強み |
CRM/SFA/MA/CMS統合 |
ノーコードデータ統合・CDP機能 |
| CRM機能 |
CRM/SFAが中心 |
顧客管理を含む(商談管理の深さは公式資料で要確認) |
| データ統合(CDP) |
Data Hubで対応 |
ノーコードCDPが中心 |
| 無料プラン |
あり |
公式サイトに無料プランの記載なし(無料デモあり) |
| 主なターゲット |
BtoB中心(創業期〜中堅企業) |
公式サイトでは「for Enterprise BtoC」と案内(大企業のBtoCが中心) |
| 日本語対応 |
完全対応 |
完全対応(国産) |
b→dashの機能は、公式サイトでは次のように整理されています(出典:b→dash 公式 機能一覧)。HubSpot側の対応する担当を並べると、どこが重なりどこが違うかが見えます。
| 領域 |
b→dashの公式機能名 |
HubSpotで担う場所 |
| データ統合 |
AI Driven CDP(ノーコードで集約・加工・統合) |
CRMのオブジェクトとData Hub |
| 配信・施策 |
b→dash MA、AI Engagement(チャネルとタイミングの最適化) |
Marketing Hubのメール・ワークフロー |
| 分析 |
Customer Insight、b→dash BI |
レポートとダッシュボード |
| 接客・提案 |
Web接客、レコメンド、AI Personalization |
サイト・フォーム・チャットと営業シーケンス |
導入・料金の詳細は、b→dash公式では「料金プランや導入スケジュール、自社に合う活用方法をご案内します」とされており、問い合わせで確認する形式です(出典:b→dash 公式サイト)。
選定の起点は業務フロー
HubSpotを検討する際は、コンタクトの獲得から取引、顧客対応、請求までをどのようにつなぐかを考えます。CRMを単なる顧客名簿として扱うのではなく、部門間で同じデータを参照し、次の行動を決める事業基盤として設計することがポイントです。
b→dashを検討する際は、EC・アプリ・店舗・広告などに分かれたデータを、どの施策へ利用したいかを起点にします。データを集めるだけではなく、誰に、どのチャネルで、どの内容を届けるかまでつなげられるかが判断軸になります。
HubSpotとb→dashの機能比較
機能名が似ていても、製品内での位置づけは同じではありません。例えば、顧客データを保有できることと、営業担当者が取引ステージを更新しながら商談を進められることは別の要件です。自社で誰がどの画面を使い、どの判断を行うのかまで具体化して比較します。
CRM・MA・SFAの違い
| 機能 |
HubSpot |
b→dash |
| CRM/顧客管理 |
○ リレーションDB(コンタクト・会社・取引紐づき) |
△ 顧客データ管理(CDP寄り) |
| SFA/パイプライン管理 |
○ かんばんビュー・加重金額・条件付きステージ |
× なし |
| メール配信 |
○ MA自動メール+パーソナライズ |
○ メール配信・プッシュ通知 |
| スコアリング |
○ 複合スコアリング |
○ スコアリング機能 |
| ウェブトラッキング |
○ 行動履歴・流入元分析 |
○ ウェブ行動トラッキング |
| ワークフロー |
○ 高度な条件分岐 |
○ シナリオ設計 |
HubSpotでは、フォームから獲得したコンタクトをライフサイクルステージで管理し、見込み度が上がった段階で営業へ引き渡し、取引としてパイプラインへ進める流れを構築できます。マーケティング活動と営業活動が同じCRMレコードに蓄積されるため、引き継ぎ時に情報を転記する作業を減らせます。
b→dashでは、複数のデータソースから取得した属性・購買・行動情報を統合し、セグメントの作成や配信に利用します。営業担当者が商談を進める画面より、マーケティング担当者がデータを分析し、対象者と施策を設計する場面に重点があります。
カスタマイズとレポート
| 機能 |
HubSpot |
b→dash |
| カスタムオブジェクト |
○(Enterpriseプラン) |
△ カスタムテーブル |
| API |
○ 充実したREST API |
○ API提供 |
| アプリ連携 |
○ 1,700以上のアプリ |
○ 各種ツール連携 |
| CMS |
○ Content Hub |
× なし |
| ノーコードデータ加工 |
△ 基本的なデータ操作 |
○ ノーコードETL/データ加工 |
HubSpotのカスタムオブジェクトは、標準オブジェクトでは表現しにくい独自の業務データを扱うための機能で、対象となるEnterpriseエディションが公式資料に示されています(出典:カスタムオブジェクトの作成と編集)。独自データを扱いたいという理由だけで選ぶのではなく、標準のコンタクト・会社・取引で表現できない関係があるかを先に整理します。
項目を増やしすぎると、入力者が判断に迷い、空欄や表記揺れが増えます。レポートや自動化で使用する項目、担当者が次の行動を決める項目、引き継ぎで参照する項目に絞ると、運用を標準化しやすくなります。
AIと人の役割分担
HubSpotでは、AI機能の名称としてBreezeが使われています。以下の画面は、HubSpotのBreeze AI製品ページです。

Breezeを利用する場合も、顧客区分、営業ステージ、配信対象、送信可否などの業務ルールは人が決めます。AIはレコードの要約や文案作成などの下準備に使い、対外的な送信や重要な顧客への対応は担当者が内容を読んで判断する設計が適しています。
b→dashでも、統合したデータをどのセグメントや施策に利用するかという判断は運用側に残ります。製品選定ではAI機能の有無だけを見るのではなく、元になるデータの品質、承認者、誤った出力を止める工程まで設計できるかを見ます。
データ統合と分析の違い
データ統合では、接続できるかどうかだけでなく、どのシステムを正とするかが重要です。同じ顧客情報を複数のシステムから更新すると、古い値による上書きや重複が起こるケースがあります。同期方向、照合キー、更新担当を決めてから接続方法を選びます。
HubSpotはCRMデータとの接続が中心
HubSpotのData Hubは、HubSpotと対応する外部アプリの間で一方向または双方向のデータ同期を設定できます(出典:HubSpotデータ同期の接続と利用)。例えば、外部システムの会社情報をHubSpotへ渡し、営業活動や取引情報と関連付ける構成を検討できます。
一方で、接続しただけで重複や表記揺れが解消されるわけではありません。メールアドレス、会社ドメイン、外部システムのIDなど、どの値で同一人物や同一企業を判定するかを決めます。更新が競合した場合にどちらの値を採用するかまで設定表に残すと、担当者が変わっても判断を引き継げます。
b→dashはCDP内での加工と活用が中心
b→dashの公式サイトはCDP・MA・BI・ウェブ接客を機能として挙げ、CDPのデータ連携・加工・統合をノーコードで行う構成を説明しています(出典:b→dashの特長)。ECの購買履歴、アプリの利用状況、店舗や広告のデータをまとめて分析し、セグメントや配信へ利用したい場合に検討しやすい製品です。
ただし、統合対象が多いほど、項目名や顧客IDの違いを整理する作業が増えます。最初は成果につながる施策を一つ決め、その施策に使うデータだけを接続します。対象データでセグメントを作成でき、配信結果を元データへ戻せる状態になってから、次のデータソースへ広げます。
データ設計で決める項目
| 設計項目 |
決める内容 |
判断の分かれ目 |
| マスターデータ |
顧客・会社・商品などの正本 |
営業情報を中心にするならCRM、購買・行動情報を中心にするならCDPを軸にする |
| 照合キー |
メールアドレス、会社ドメイン、外部IDなど |
一意性が保てない項目は主キーに使わず、補助条件と組み合わせる |
| 同期方向 |
一方向または双方向 |
更新元を一つに限定できるなら一方向、双方で更新するなら競合ルールを定める |
| 更新頻度 |
即時、定期、手動 |
対応速度に影響するデータは短い間隔、分析用途は業務に合う間隔にする |
| エラー対応 |
重複、欠損、形式不一致への対応 |
自動補正できないエラーは担当者と修正期限を決める |
| 利用目的 |
レポート、配信、営業対応など |
使い道が決まらないデータは初期連携の対象から外す |
スプレッドシートごとに顧客名やステータスが異なる状態では、どの製品を導入しても不整合が残ります。まず入力項目と更新者を減らし、重複した管理表を統合したうえで、システム間の同期へ進むことをおすすめします。
CRMと営業プロセスで比較する
BtoBの営業では、リードを獲得した後の引き継ぎと商談管理が重要です。担当者ごとのメモやスプレッドシートに情報が残ると、マーケティング施策と受注の関係が見えにくくなります。HubSpotは、この流れをCRMのオブジェクトとパイプラインでつなぐ点に強みがあります。
コンタクトから請求までの流れ
HubSpotでは、コンタクトと会社を関連付け、商談化した案件を取引として管理します。受注後は顧客対応の履歴をチケットなどに残し、商品や請求に関する情報と接続することで、コンタクトから取引、顧客、請求までの流れを追える構成を目指せます。
この構成で大切なのは、全機能を導入することではありません。最初に問い合わせから商談までを整え、次に受注後の顧客対応、さらに請求との連携へ広げます。各段階で担当者が同じレコードを参照できていることを次へ進む基準にします。
パイプラインを構成する要素
| 要素 |
設計する内容 |
運用への効果 |
| 取引ステージ |
営業プロセス上の節目 |
案件の現在地を共通の言葉で把握できる |
| 受注確度 |
ステージごとの見込み |
案件金額だけに依存しない予測へつながる |
| ステージ定義 |
そのステージへ進む条件 |
担当者による判断のばらつきを減らせる |
| 必須入力プロパティ |
ステージ移行時に入力する情報 |
次工程に必要な情報の抜けを仕組みで防げる |
ステージ数や入力項目を増やしすぎると、営業担当者が更新を後回しにしやすくなります。営業会議、フォーキャスト、失注分析で実際に使う情報へ絞り、入力した値がどのレポートや自動化に使われるかを示します。
失注後まで含めて仕組み化する
商談管理は受注か失注で終わりではありません。失注理由を分類し、時期が合わなかった見込み客をナーチャリングへ戻し、再び条件を満たした段階で営業へ引き渡す流れを設計します。
この流れをワークフローやタスク作成で支えると、担当者の記憶だけに依存せず、引き継ぎ後も同じ基準で運用できます。b→dashを中心に据える場合は、商談ステージや失注後の営業活動をどのCRMやSFAで管理するかを別途決めます。
マーケティング施策とチャネルで比較する
マーケティング機能は、配信できるチャネルの数だけで評価しません。顧客データから対象者を抽出し、施策を実行し、反応を次の営業活動や配信条件へ戻せるかが重要です。HubSpotとb→dashでは、この一連の流れの中心が異なります。
| 機能 |
HubSpot |
b→dash |
| CDP(カスタマーデータプラットフォーム) |
△ Data Hubで基本的なデータ管理 |
ノーコードCDPが中心(外部データ統合) |
| BI/分析 |
○ カスタムレポート・ダッシュボード |
○ BI機能(クロス分析・ファネル分析) |
| LINE連携 |
△ 外部アプリ連携 |
○ LINE公式アカウント連携 |
| プッシュ通知 |
× |
○ アプリプッシュ通知 |
| レコメンド |
△ 限定的 |
○ パーソナライズドレコメンド |
| 広告連携 |
○ Google/Meta/LinkedIn |
○ 広告連携 |
| SMS配信 |
○ 対応 |
○ SMS配信 |
b→dashが合いやすい施策
| 業務 |
b→dashでの位置づけ |
| EC・アプリ・店舗データの統合 |
CDPへ取り込み、顧客単位で加工・統合 |
| メール配信 |
属性や行動に応じた対象者へ配信 |
| LINE連携 |
セグメントに応じたコミュニケーション |
| アプリのプッシュ通知 |
アプリ利用者の属性や行動に応じた通知 |
| SMS配信 |
顧客データを使った配信 |
| 分析 |
BIで広告・アクセス・購買などのデータを組み合わせる |
| レコメンド |
顧客の属性や行動を基に内容を出し分ける |
複数チャネルの反応を顧客単位でまとめ、次の施策へつなげたい場合は、b→dashの設計思想と合いやすくなります。特に、営業担当者が個別に商談を進めるより、購買や行動データから多数の顧客へ施策を実行する業務が中心の場合に比較対象となります。
HubSpotが合いやすい施策
HubSpotでは、フォーム、ウェブ行動、メール反応、広告、営業活動をCRMのコンタクトへ関連付けます。マーケティング部門はライフサイクルステージやスコアを使って対象者を整理し、営業部門は同じレコードから過去の接点を見て対応できます。
例えば、資料請求後のメール配信だけを自動化するのではなく、一定の条件を満たしたコンタクトを営業へ割り当て、取引を作成し、商談後の結果をマーケティング側へ戻す流れを設計します。個別機能ではなく、獲得から商談、受注後までを一気通貫で見ることがポイントになってきます。
それぞれの限界
HubSpotはCRMと営業プロセスに強みがありますが、多数の外部データソースをCDPとして加工・統合し、アプリのプッシュ通知やレコメンドへ展開する要件では、b→dashや専用ツールも比較対象になります。
b→dashはデータ統合と施策実行に強みがありますが、BtoBの取引ステージ、案件の受注確度、営業担当者の活動、失注後のフォローまで管理する場合は、CRMやSFAとの役割分担を決めます。両製品とも、得意領域の外まで一つの製品で賄おうとすると、運用が複雑になるケースがあります。
料金体系と導入負荷を比較する
料金は、公開されている月額だけでは判断できません。利用する機能、ユーザー、データ量、外部システム連携、初期設定、運用担当者の工数を合わせて考えます。価格が変わる可能性もあるため、契約前には各社の見積もりと契約条件を照合します。
料金体系の違い
| 観点 |
HubSpot |
b→dash |
| 導入の入口 |
無料ツールから開始可能 |
個別見積もり |
| 拡張方法 |
エディションや製品、シートなどを追加 |
利用する機能モジュールや規模に応じて構成 |
| 主な検討要素 |
必要なHub、エディション、利用者、マーケティング対象 |
利用機能、データ量、連携範囲、配信チャネル |
| 見積もり時の論点 |
上位エディションが必要な機能を整理 |
利用するモジュールと初期構築範囲を整理 |
HubSpotは無料ツールから試し、必要な機能が明確になった段階で有料エディションへ広げられます。一方で、ワークフロー、カスタムレポート、カスタムオブジェクトなどは対象エディションが異なるため、使いたい機能と契約内容を対応させます。
b→dashは公開価格ではなく、導入する機能や利用規模に応じた見積もりです。初期段階で利用目的を広げすぎず、接続するデータ、実行する施策、分析する指標を見積もり条件に落とし込みます。
総コストに含める項目
| コスト区分 |
主な内容 |
| 継続費用 |
製品利用料、追加ユーザー、追加機能、外部連携 |
| 初期費用 |
要件整理、データ設計、初期設定、移行、連携構築 |
| 運用費用 |
データ修正、配信設定、レポート管理、権限管理 |
| 教育費用 |
操作研修、運用ルールの整備、担当者の引き継ぎ |
| 見直し費用 |
項目、シナリオ、レポート、データ連携の改修 |
利用料が想定内でも、複雑なデータ加工や連携を継続的に外部へ依頼すると、運用負荷が大きくなるケースがあります。反対に、現場がノーコードで変更できても、ルールを決めずに各担当者が編集すると管理が崩れます。誰が設定を変更できるか、変更前に誰がレビューするかを運用費用と合わせて決めます。
スモールスタートの進め方
HubSpotでは、顧客情報と取引管理から始め、メール配信、自動化、レポートへ広げる進め方があります。b→dashでは、利用価値の高いデータソースと施策を一つ選び、加工・分析・配信の流れを検証してから対象を増やします。
検証段階では、入力が継続できるか、対象者を意図どおり抽出できるか、施策結果を次の判断へ戻せるかを見ます。ここまで運用できれば拡張へ進み、手作業による修正が続く場合はデータ定義や項目数を見直します。
BtoB企業とBtoC企業の選定基準
BtoBとBtoCでは、扱う顧客データと担当者の行動が異なります。
- BtoB ── 会社・担当者・商談の関係が重要になる
- BtoC ── 購買履歴や行動履歴、チャネルをまたいだ顧客理解が重視される
自社の売上が生まれる流れを基に判断します。
BtoB企業での判断
BtoBで、リード獲得、MQL化、SQL化、商談、受注、顧客対応までを一つの流れとして管理したい場合は、HubSpotが有力です。マーケティングと営業が同じコンタクト・会社・取引を参照し、引き渡し条件やパイプラインを共通化できます。
選定時には、次の情報を整理します。
- 営業会議で見る取引ステージ
- 受注予測に使う情報
- 失注理由
- 顧客対応へ渡す情報
これらをCRMへ集約したいならHubSpotを中心に考え、購買・行動データの統合が主目的ならb→dashも比較します。
BtoC企業での判断
EC、アプリ、店舗など複数の顧客接点を持ち、購買・閲覧・配信反応を統合したい場合は、b→dashが有力です。メール、LINE、アプリのプッシュ通知、SMSなどを顧客データとつないで運用する要件にも合いやすくなります。
判断するときは、データソースの数だけでなく、統合後に実行する施策を決めます。
- 顧客単位の分析やセグメント配信が中心 ── b→dashを検討する
- 個別相談や法人営業へ引き継ぐ流れが中心 ── HubSpotのCRM・SFAも評価する
BtoBとBtoCを併せ持つ場合
企業向けサービスと消費者向けサービスの両方を展開している場合は、コアとなる業務プロセスがどちらに近いかで判断します。
- 法人商談と顧客対応が中心 ── HubSpotが候補
- 購買・行動データと複数チャネル施策が中心 ── b→dashが候補
一つの製品へ全業務を寄せるのが難しい場合は、CRMとCDPの役割を分けます。その際は、顧客ID、同期方向、更新元、エラー対応を先に決め、同じ項目を両方のシステムで自由に編集する状態を避けます。
HubSpotとb→dashを併用する判断
HubSpotとb→dashは、役割を明確にすれば併用も検討できます。b→dashで統合したデータを分析や配信に利用し、HubSpotでリードや商談を管理する構成です。ただし、システムが増えるほどデータ連携と運用管理の負荷も増えます。
併用が候補になるケース
併用は、BtoCの購買・行動データを使った施策と、BtoBの営業パイプライン管理を分けて運用したい場合に候補となります。例えば、マーケティング対象者の抽出と複数チャネル配信はb→dash、問い合わせ後の法人営業や商談はHubSpotという役割分担です。
併用前には、両製品を単独で使った場合に不足する業務を明文化します。不足がデータ統合にあるならb→dash側を補い、不足が商談管理にあるならHubSpot側を補うという形で、追加する理由を一つずつ整理します。
データの責任範囲を決める
| データ |
主な管理先の考え方 |
連携時に決めること |
| コンタクト・会社 |
営業活動の正本をHubSpotに置く |
顧客ID、会社の照合条件、担当者更新 |
| 購買・行動履歴 |
分析と施策の正本をb→dashに置く |
取得元、更新頻度、保持する粒度 |
| 商談情報 |
HubSpotの取引で管理 |
作成条件、ステージ、失注理由 |
| 配信対象 |
b→dashまたはHubSpotで用途別に管理 |
除外条件、同意情報、重複配信の防止 |
| 施策結果 |
次の判断に使う側へ返す |
開封や反応をどのレコードへ関連付けるか |
担当者間の口頭連絡で整合を保つのではなく、同期ルールとエラー処理を仕組みに落とします。連携に失敗したレコードを誰が確認し、どのシステムで修正し、再同期するかまで運用表に残します。
HubSpotとCRM外のデータを同期する標準機能として、データ同期(Data Sync)があります。設定の流れは次のとおりです(出典:HubSpotナレッジ「HubSpotデータ同期」)。
- 設定(歯車アイコン)の「連携」から「接続済みのアプリ」を開き、対象のアプリを選びます。
- 「同期を設定」を選び、アプリ側のオブジェクトと対応するHubSpotのオブジェクトを選びます。
- 同期の方向(双方向、HubSpotへの一方向、アプリへの一方向)を選びます。
- 項目の対応付けを確認します。独自の項目マッピングにはData Hubの有料契約が必要です。
- 「制限」の画面で、取引ステージの対応付けやライフサイクルステージの条件を決め、「保存して同期」を選びます。
b→dashとの連携が標準のデータ同期の対象かどうかは、HubSpotのアプリマーケットプレイスと、b→dash側の公式案内で事前に確認してください。標準で足りない部分は、API連携や自社開発アプリで補う選択肢があります。
併用を避けた方がよいケース
連携を管理する担当者が決まっていない場合や、顧客IDが統一されていない場合は、先に一つの製品で業務を整える方が進めやすくなります。二つの製品に同じ配信シナリオや顧客区分を持たせると、変更漏れや重複配信が起こる可能性があります。
また、既存のスプレッドシートが整理されていない状態で両製品へ移行すると、不整合まで複製されます。重複レコード、入力項目、ステータス定義、更新担当を整理し、単独運用でデータが安定してから併用を検討します。
導入製品を決める手順
製品選定は、デモを見て機能を比較する前に、現在の業務とデータを可視化するところから始めます。手作業や転記が発生している場所を見つけ、どの仕組みで解消するかを決めます。次の手順で進めると、要件と製品の対応関係を説明しやすくなります。
手順1 現状の業務とデータを整理する
まず、問い合わせ、購買、営業、顧客対応、請求までの流れを書き出します。各工程で使っているスプレッドシートやシステム、入力者、更新頻度、次工程への引き渡し方法を並べます。
次に、同じ顧客情報を複数回入力している箇所と、担当者が目視で転記している箇所を特定します。営業プロセスの分断が大きければHubSpot、外部データの加工・統合が中心課題ならb→dashを優先候補にします。
手順2 要件を優先順位で分ける
| 優先区分 |
判断基準 |
例 |
| 導入時に求める要件 |
現在の業務を継続するために欠かせない |
顧客管理、取引管理、主要データの取り込み |
| 運用後に追加する要件 |
基盤が安定してから効果を検証する |
高度な自動化、複数チャネル配信、独自レポート |
| 対象外にする要件 |
利用者や利用目的が決まっていない |
使い道が未定のデータ連携や入力項目 |
要件は製品名ではなく、業務の状態で記述します。「ワークフローが欲しい」ではなく、「資料請求後に担当者を割り当て、対応期限を通知したい」と書くと、機能の適合性を比較できます。
手順3 小規模に検証して拡張する
検証では、代表的な業務フローとデータだけを使用します。HubSpotならコンタクトから取引への引き渡し、b→dashなら一つのデータソースからセグメント作成と施策実行までを試します。
入力が継続され、意図した対象者を抽出でき、結果をレポートで確認できる状態になれば、次の部門やデータソースへ広げます。利用されない項目や手作業による補正が残った場合は、機能追加より先に項目定義と運用ルールを修正します。
StartLinkの支援の進め方
StartLinkはHubSpotゴールドパートナーとして、150社以上のHubSpot支援に携わってきました。CRMとデータ基盤の役割分担を決める場合も、次の順番で進めます。
- 現状の整理・要件定義:顧客データの置き場所、営業の進め方、実行したい施策を書き出します。
- 設計・構築:HubSpot側のプロパティ、パイプライン、ワークフローと、外部基盤との顧客IDの持ち方を設計します。
- データ移行:重複と一意の識別子を決め、少量で検証してから本移行します。
- テスト・検証:データが同期され、営業の画面で次の行動が分かるかを実際の画面で確認します。
- 定着・運用改善:スモールスタートで始め、準委任で伴走しながらBreezeなどのAIも業務設計に組み込み、範囲を広げます。
Data Hubの活用はData Hub支援、導入・構築はHubSpot導入・構築支援をご覧ください。他のMAとの比較はHubSpot vs Pardot比較、HubSpot vs BowNow比較、CRM 7製品の比較が参考になります。HubSpotの料金はHubSpot料金プラン比較ガイドで確認できます。企業様によって最適な形は異なります。
よくある質問
HubSpotとb→dashの比較で生じやすい疑問を、運用設計の観点から整理します。単独利用と併用のどちらを選ぶ場合も、データの正本と担当範囲を明確にすることが共通のポイントです。
b→dashとHubSpotを併用するケースはありますか?
あります。b→dashをCDPやデータ分析、複数チャネル施策に使い、HubSpotをCRM・SFA・MAとして使う構成です。併用する場合は、顧客ID、同期方向、更新元、重複配信を防ぐ条件を設計し、連携エラーの担当者も決めます。
HubSpotのData Hubはb→dashのCDPと同じですか?
役割が完全に同じではありません。HubSpotのData HubはCRMデータと外部アプリの同期やデータ管理に利用し、b→dashは複数データの加工・統合から分析、施策実行までを中心にしています。CRMとの接続を重視するならHubSpot、CDP内での加工と複数チャネル活用を重視するならb→dashを軸に比較します。
BtoB企業がb→dashを選ぶメリットはありますか?
BtoB企業でも、ウェブ行動データの分析やメールマーケティング、外部データの統合を重視する場合はb→dashが候補になります。一方、営業パイプライン、受注予測、商談履歴、失注後のフォローまで管理する場合は、HubSpotなどのCRM・SFAとの役割分担を決めます。
中小企業がb→dashを検討するときの基準は何ですか?
企業規模だけで決めず、統合するデータと実行する施策が明確かで判断します。複数のデータソースと配信チャネルを継続的に使う体制があるならb→dashを比較し、顧客管理や商談管理から整えたいならHubSpotの無料ツールや必要なエディションから段階的に試します。
まとめ
HubSpotとb→dashは、どちらもデータを活用してマーケティングを改善する製品ですが、業務基盤の起点が異なります。HubSpotはCRMを中心に顧客との関係と営業プロセスをつなぎ、b→dashはCDPを中心に外部データの統合・分析・施策実行をつなぎます。
比較で押さえる要点
- BtoBのリード管理、商談、受注後の顧客対応までつなぐならHubSpotが有力です。
- BtoCの購買・行動データを統合し、複数チャネルへ展開するならb→dashが有力です。
- 料金は利用料だけでなく、初期設計、データ移行、連携、運用、教育まで含めて比較します。
- 併用する場合は、顧客ID、データの正本、同期方向、エラー対応を決めます。
- 項目や機能を増やす前に、入力と引き継ぎを仕組み化し、運用できる範囲から広げます。
まずは現状のデータ管理から整理する
まずは、現在使っているスプレッドシートとシステムを並べ、顧客情報が重複している場所を洗い出します。次に、問い合わせから取引、顧客対応、請求までの流れと、購買・行動データから施策実行までの流れのどちらを優先するか決めます。最後に、優先する一つの業務フローで製品を試し、入力・抽出・実行・レポートまで回せた段階で対象を広げてください。
CRMを活用した業務効率化やAIとの連携に関するご相談は、CRM特化型コンサルティングのStartLinkまでお気軽にお問い合わせください。
あわせて読みたい
HubSpotと競合製品の比較や連携に関連するテーマは、次の記事もあわせて確認できます。