「見積書はExcelで作成して、請求書は別のシステムで発行、入金管理はまたスプレッドシート」
「商談は受注したのに、請求漏れや回収遅延が起きてしまう」
——こうした収益管理の分断に課題を感じている企業は少なくありません。
HubSpot Commerce Hub(コマースハブ)とは、HubSpotのCRMプラットフォーム上で見積もり作成・請求書発行・決済リンク・サブスクリプション管理を一元的に行える収益管理機能です。 商談から入金までのプロセスをCRM内で完結させることで、収益の可視化と業務効率化を同時に実現します。
この記事では、Commerce Hubの主要機能、具体的な設定手順、料金体系、そして活用のベストプラクティスまで詳しく解説します。
本記事は「HubSpot初期設定・オンボーディング完全マニュアル|アカウント作成後にやるべき設定一覧 」シリーズの一部です。
本記事はHubSpotゴールドパートナーのStartLinkの「HubSpot完全ガイド 」関連記事です。
この記事でわかること
Commerce Hubの全体像と主要機能 — Commerce Hubは、HubSpotのCRMに統合された収益管理ツール群です。
見積もり・請求書・決済リンク・サブスクリプションの設定方法 — Commerce Hubで決済を受け付けるには、HubSpot決済機能またはStripeのいずれかを接続する必要があります。
Commerce Hubの料金体系(2025年9月改定後) — 2025年9月の改定により、Commerce Hubの料金体系が変更されました。
Stripe連携やfreee連携を含む実務での活用パターン — 実際の活用シーンを交えて、実務で再現できるレベルで解説します。
導入時の注意点とベストプラクティス — よくある落とし穴と、それを回避するための具体的な対策を整理しています。
この分野の取り組みを検討されている方に、
HubSpot Commerce Hubとは?
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SECTION 02
HubSpot Commerce Hubとは?
Commerce Hubは、HubSpotのCRMに統合された収益管理ツール群です。取引(Deal)の情報と連動し、見積もり作成から決済回収、サブスクリプション管理までを一気通貫で管理 できます。
Salesforceで言えば、CPQ(Configure, Price, Quote)とBillingに相当する機能をCRM内に内包しているイメージです。ただし、HubSpotの場合はノーコードで設定できる点が結構ミソになってくるかなと思います。
Commerce Hubの主要機能一覧
機能
概要
利用可能プラン
見積もり(Quotes)
テンプレートベースで見積書を作成・送付。電子署名・承認フロー対応
無料〜
請求書(Invoices)
CRMデータと連動した請求書の作成・送付・入金追跡
無料〜
決済リンク(Payment Links)
共有可能な決済ページURLを生成。1回限り/定期払い対応
無料〜
サブスクリプション管理
定期課金の作成・変更・キャンセルを一元管理
Professional〜
商品ライブラリ(Products)
商品・サービスの価格・SKU・説明を一括管理
無料〜
Commerce Hubを使うメリット
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SECTION 03
Commerce Hubを使うメリット
メリット1: 収益データがCRMに自動集約される
Commerce Hubの最大の価値は、商談データと収益データが同じCRM上で紐づく ことです。見積もりを作成すれば取引レコードに関連付けられ、請求書を送れば入金ステータスがリアルタイムで更新されます。
スプレッドシートや外部の請求システムで管理していると、「この取引の入金はどうなっている?」と確認するために複数のツールを行き来する必要がありました。Commerce Hubならダッシュボード1つで収益全体を把握できます。
メリット2: 見積もりから請求までのプロセスを自動化できる
パイプライン上で取引ステージが「受注」に移行したタイミングで、ワークフローを使って請求書を自動発行するといった仕組みを構築できます。これにより、営業担当者の手作業を減らし、請求漏れのリスクを最小限に抑えられます。
メリット3: 決済リンクでオンライン回収が可能
決済リンクを使えば、メールやWebページに埋め込むだけで顧客がオンラインで支払いを完了できます。特にBtoBの少額決済やサブスクリプション型サービスでは、請求書郵送 → 振込確認という従来のフローを大幅に短縮できるのがポイントになってくるかなと思います。
Commerce Hubの設定方法
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SECTION 04
Commerce Hubの設定方法
ステップ1: 決済処理の接続
Commerce Hubで決済を受け付けるには、HubSpot決済機能 またはStripe のいずれかを接続する必要があります。
HubSpotの設定画面(歯車マーク)を開く
「支払い」セクションに移動
HubSpot決済機能またはStripe 連携を選択してセットアップ
注意点 : HubSpot決済機能は現在、米国の銀行口座を持つ企業のみが対象です。日本企業の場合はStripe連携を利用いただく形になるかなと思います。
ステップ2: 商品ライブラリの設定
見積もりや請求書で使用する商品・サービスを登録します。
「CRM」→「商品」に移動
「商品を作成」をクリック
商品名、価格、請求頻度(1回限り/月次/年次など)を入力
SKUや説明文を設定して保存
商品ライブラリを整備しておくと、見積もり作成時にドロップダウンから選択するだけで済むので、入力ミスの防止にもつながります。
ステップ3: 見積もりの作成
取引レコードを開き、「見積もり」タブから「見積もりを作成」をクリック
見積もりテンプレートを選択
商品ライブラリから商品項目を追加
割引・税金・有効期限を設定
購入者情報を確認して送付
Professionalプラン以上では、見積もりの承認フロー を設定できます。例えば「割引率10%以上の場合はマネージャー承認が必要」といったルールを組み込むことで、値引きのガバナンスを効かせられます。
ステップ4: 請求書の発行
取引レコードまたはメニューから「請求書を作成」を選択
請求先情報、商品項目、支払い条件を入力
請求書をメールで送付またはPDFダウンロード
請求書にはオンライン決済リンクを埋め込むことも可能です。顧客がリンクをクリックするだけでカード決済やACH決済が完了し、HubSpot上で入金ステータスが自動更新されます。
ステップ5: 決済リンクの作成
「コマース」→「決済リンク」に移動
「決済リンクを作成」をクリック
商品項目と支払い方法(1回限り/定期)を設定
生成されたURLをメール・Webサイト・チャットに貼り付け
HubSpot ゴールドパートナーが開発・提供
会計ソフトとHubSpotを別々に運用していると、見積・請求データの二重入力が発生しがちです。HubSpotゴールドパートナーのStartLinkが提供する連携アプリを使えば、freee会計はSync for freee 、マネーフォワード クラウドはSync for Money Forward で、取引情報からの請求書・見積書作成や取引先・品目の同期を自動化できます。freee・マネーフォワード両対応で主要クラウド会計をカバーします。
HubSpotの支払いリンク作成画面(日本語表示)。決済リンクの発行設定を行えます。
Commerce Hubの料金体系
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SECTION 05
Commerce Hubの料金体系
2025年9月の改定により、Commerce Hubの料金体系が変更されました。
プラン
月額料金
主な機能
無料
0円
見積もり(基本)、請求書、決済リンク、商品ライブラリ
Professional
要確認
見積もり承認、カスタムテンプレート、自動請求、高度なレポート
Enterprise
要確認
上記に加え、カスタムオブジェクト連携、高度なワークフロー
注意 : 2025年9月以降、Starterプランの提供は廃止されました。無料プランで基本機能を試し、承認フローや自動化が必要になったらProfessionalプランにアップグレードする形が一般的です。
実務での活用パターン
パターン1: BtoBサブスクリプション企業の月次請求管理
SaaS企業のようにMRR(月次経常収益)を管理する場合、Commerce Hubのサブスクリプション機能が活躍します。取引レコードにサブスクリプションを紐づけることで、MRRの可視化 がCRM上で完結します。
パターン2: freee会計との連携で経理業務を効率化
HubSpotで請求書を発行し、freee連携 を使って会計データを自動同期するパターンも有効です。二重入力を排除し、営業と経理の間のデータ受け渡しをスムーズにできます。
パターン3: 展示会後のスポット請求
展示会で獲得したリードに対して即座に決済リンクを送付し、その場で購入を完了してもらうといった使い方も可能です。CRMに顧客データが蓄積されるため、後続のナーチャリングにもシームレスにつなげられます。
導入時の注意点
決済機能の地域制限
HubSpot独自の決済機能は米国限定です。日本企業はStripe経由での決済になりますので、Stripeアカウントの準備が必要です。
見積もりのセキュリティリスク
見積もりのリンクが公開されてしまうリスクや、承認機能があまり強くない点は正直な限界として認識しておく必要があります。大型案件や厳密な承認フローが必要な場合は、運用ルールでカバーするか、専用のCPQツールとの連携を検討してください。
既存の請求システムとの棲み分け
すでにfreeeやマネーフォワードで請求管理をしている場合、Commerce Hubに完全移行するか併用するかの判断が必要です。まずはスモールスタートで一部の商材からCommerce Hubを試し、段階的に範囲を広げていくのがおすすめです。
まとめ
Commerce Hubは、HubSpotのCRM上で見積もり・請求書・決済・サブスクリプションを一元管理できる収益管理機能です
商談データと収益データが同じプラットフォームで紐づくことで、スプレッドシートや複数ツールを使い分ける手間を大幅に削減できます
まずは無料プランで商品ライブラリと見積もり機能を試していただき、自動化や承認フローが必要になったタイミングでProfessionalプランを検討する——という段階的なアプローチがおすすめです
CRMにデータが蓄積されるほど、レポート・ダッシュボード での収益分析の精度が上がり、より正確な経営判断ができるようになります
ぜひトライいただければなと思います
あわせて、HubSpot Data Hub(旧Operations H 、HubSpotのEメール配信を完全攻略 、HubSpotリードスコアリング設定ガイド なども参考にしていただければと思います。
よくある質問(FAQ)
Q1. Commerce Hubは無料で使えますか?
はい、見積もり作成・請求書発行・決済リンクの基本機能は無料プランで利用できます。ただし、見積もりの承認フローや自動請求などの高度な機能はProfessionalプラン以上が必要です。
Q2. 日本でもCommerce Hubの決済機能は使えますか?
HubSpot独自の決済処理機能は現在、米国の銀行口座を持つ企業が対象です。日本企業の場合はStripeと連携して決済を受け付ける形になります。Stripeは日本でも利用可能なため、実質的にオンライン決済の受付は可能です。
Q3. Commerce Hubとfreeeは連携できますか?
直接的な標準連携ではありませんが、連携アプリ「Sync」やZapier/MakeなどのiPaaSを使うことで、HubSpotの請求データをfreeeに連携することが可能です。詳しくはHubSpotとfreee連携の記事 をご覧ください。
Q4. SalesforceのCPQとの違いは何ですか?
SalesforceのCPQは高度なカスタマイズが可能な反面、設定に専門知識が必要で導入コストも高くなりがちです。HubSpotのCommerce Hubはノーコードで設定でき、CRM基盤に統合されている点が特徴です。ただし、複雑な価格設定やバンドル構成が必要な場合は、SalesforceのCPQのほうが柔軟性が高いかなと思います。
Q5. 既存の見積もり・請求フローからの移行は難しいですか?
段階的に移行することをおすすめします。まずは新規案件からCommerce Hubを使い始め、既存の請求システムと並行運用しながら徐々に移行範囲を広げていく形が現実的です。商品ライブラリの整備から始めるとスムーズに進められるかなと思います。