HubSpot CPQ・見積書作成ガイド|見積もり作成から承認・電子署名までの設定方法

  • 2026年4月13日
  • 最終更新: 2026年10月4日
この記事の結論

見積書の作成から承認・送付・電子署名までをHubSpot上で一気通貫で管理できます。核心は、見積もりを取引データの一部としてCRMに載せる設計です。

ブログ目次

記事の内容を、そのまま実務に落とし込みたい方向け

HubSpotゴールドパートナーのStartLinkが、HubSpot導入・AI活用・CRM整備・業務効率化までをまとめて支援しています。記事で気になったテーマを、そのまま相談ベースで整理できます。


見積書の作成から承認・送付・電子署名までをHubSpot上で一気通貫で管理できます。核心は、見積もりを取引データの一部としてCRMに載せる設計です。

「見積書をExcelで作成して、メールに添付して送って、承認は上長にチャットで依頼して...」「見積もりの最新版がどれかわからなくなった」——営業現場でこうした非効率な見積もり管理が続いていませんか。

HubSpotのCPQ(Configure, Price, Quote)ツールとは、CRMに登録された取引データをもとに、見積書の作成・承認・送付・電子署名までを一気通貫で管理できる機能です。製品カタログの設定から見積もりテンプレートのカスタマイズ、承認ワークフロー、電子署名まで、見積もりプロセス全体をHubSpot上で完結させることができます。

この記事では、HubSpot CPQの初期設定から実務での運用方法までを、ステップバイステップで解説します。HubSpotの機能全体を把握したい方はHubSpot完全ガイドも合わせてご覧ください。


この記事でわかること

見積もり業務をExcelとメールで回していて非効率を感じている営業担当者・営業責任者の方に向けて、HubSpot CPQの設定から運用までを整理しています。

  • HubSpot CPQツールの全体像と対応プラン — CPQの定義と、プランごとに使える機能の違いを整理します。
  • 製品カタログ・見積書作成の設定方法 — 製品登録から見積もりエディターの使い方までをステップで解説します。
  • 承認プロセスと電子署名の設定 — 割引の統制と署名フローの設定方法を紹介します。
  • 実務での運用ベストプラクティス — パイプライン連携と見積書ルールの標準化を解説します。
  • 注意点・制限事項 — セキュリティリスクや承認機能の制約など、向かないケースも率直に整理します。

最後まで読むと、自社の見積もりプロセスをHubSpotに乗せるための設定手順と運用ルールが分かるようになります。


HubSpot CPQツールの全体像

まず、CPQという機能が何を解決するのか、HubSpotの中でどこに位置づくのかを整理します。見積もりはコンタクト→取引→顧客→請求という全体フローの中で、「取引から請求へ」の橋渡しを担う部分です。

CPQとは

CPQ(Configure, Price, Quote)とは、製品の構成(Configure)→ 価格設定(Price)→ 見積書作成(Quote)の一連のプロセスを自動化・標準化するツールです。営業担当者が手作業で見積書を作成する手間を削減し、ミスを防ぎ、承認プロセスを効率化します。

HubSpot CPQの位置づけ

HubSpotのCPQツールは、Revenue Hubの一部として提供されています。CRMの取引(Deal)データと紐づいた見積書を作成でき、パイプライン上の取引管理と見積もり管理がシームレスに連携します。

Salesforce経験者の方であれば、Salesforce CPQ(旧SteelBrick)に相当する機能とお考えいただければよいかなと思います。ただし、HubSpotの場合は追加ライセンスなしで基本機能が使える点が大きな違いです。

次の画面は、HubSpotの見積もり一覧画面のイメージです。作成した見積書はこのように一覧で管理され、購入者情報はコンタクト・会社レコードから自動で取得されます。

HubSpotの見積もり一覧画面

対応プランと機能

機能 無料 Starter Professional Enterprise
見積書の作成・送付 ○ ○ ○ ○
製品カタログ ○ ○ ○ ○
見積もりテンプレート 1件 複数 複数 複数
電子署名 - - ○(月10件) ○(月30件)
見積もり承認 - - ○ ○
カスタムフィールド - - ○ ○
決済連携(Stripe) - ○ ○ ○

ステップ1: 製品カタログの設定

見積書を作成する前に、まず製品カタログ(製品ライブラリ)を設定します。ここが見積もり品質の土台になる部分です。カタログに登録した製品名・単価・請求頻度は、見積書作成時に明細(ラインアイテム)としてそのまま選択される情報になるため、ここの登録が曖昧だと担当者ごとに表記や価格がぶれる原因になります。逆に、カタログ側で単価と請求頻度を正確に管理しておけば、見積書作成時の手入力が減り、価格の入力ミスを減らせます。

製品の登録方法

  • HubSpotの設定(歯車マーク)→ オブジェクト → 製品に移動
  • 「製品を作成」をクリック
  • 以下の情報を入力します
項目 内容
製品名 サービス名・商品名
単価 基本価格
請求頻度 1回限り / 月次 / 年次 / カスタム
説明 製品の概要
SKU(任意) 管理番号

製品設定のベストプラクティス

  • 製品のバリエーションは別レコードで管理 — 「ベーシックプラン」「プロフェッショナルプラン」「エンタープライズプラン」はそれぞれ別の製品として登録
  • 請求頻度を正確に設定 — MRR/ARR管理に直結するため、月次・年次を正確に区別
  • 説明文を入れる — 見積書に製品説明を含めるオプションがあるため、顧客向けの説明を記載

ここが結構ミソになってくるのですが、製品カタログの設計は見積書の品質に直結します。最初から丁寧に設計しておくと、営業チーム全体の見積もり品質が標準化されます。


ステップ2: 見積書の作成

製品カタログができたら、実際に見積書を作成します。取引レコードから作ることで、顧客情報との紐づけが自動で行われます。

取引レコードからの見積書作成

  • 対象の取引レコードを開く
  • 右サイドバーの「見積もり」セクションで「見積もりを作成」をクリック
  • 見積もりエディターが開く

見積もりエディターでの設定項目

設定項目 内容 ポイント
見積もり名 見積書のタイトル 顧客名+サービス名が望ましい
有効期限 見積もりの有効日数 一般的には30日
明細(ラインアイテム) 製品カタログから選択 数量・割引の調整可能
購入者情報 コンタクト・会社から自動取得 CRMデータと自動連携
送信者情報 営業担当者の情報 署名ブロックのカスタマイズ
コメント 備考・特記事項 支払い条件などを記載
承認方法 電子署名/署名なし承認/印刷署名 プランにより選択肢が異なる

明細の割引設定

見積もりの明細では、個別割引と全体割引の2種類を設定できます。

  • 個別割引: 特定のラインアイテムに対してパーセンテージまたは固定金額で割引
  • 全体割引: 見積もり全体の小計に対して割引を適用

見積もりテンプレートのカスタマイズ

Professional以上のプランでは、会社のロゴ・配色・フォントを反映したカスタムテンプレートを作成できます。

設定場所: 設定 → オブジェクト → 見積もり → 見積もりテンプレート

テンプレートには以下をカスタマイズ可能です。

  • 会社ロゴ
  • ヘッダー/フッターの色
  • デフォルトの有効期限
  • 支払い条件のテンプレート文
  • カスタムフィールドの表示/非表示

見積もりテンプレートのカスタマイズを外部の業者に依頼すると費用がかさむケースもありますが、HubSpotであればノーコードで自社内で調整できる点が利点のひとつです。

HubSpot ゴールドパートナーが開発・提供

HubSpotの取引レコードに表示されるCRMカードから、会計ソフト側の連携ステータスを確認できます。HubSpotゴールドパートナーのStartLinkが提供するSync for freeeとSync for Money Forwardは、見積書・請求書の作成から取引先の同期まで、取引画面を離れずに確認できるよう設計されています。

いずれも無料プランから試せます。インストールは Sync for freee(HubSpotマーケットプレイス) / Sync for Money Forward(同) から。


ステップ3: 承認プロセスの設定

見積書の作成ができるようになったら、次は統制の仕組みです。割引や金額のルールを承認プロセスとして設定します。

なぜ見積もり承認が必要か

営業担当者が自由に割引を設定できると、利益率が想定外に低下するリスクがあります。承認プロセスを設定することで、一定の割引率や金額を超える見積もりは上長の承認を必須にできます。

承認ルールの設定方法

設定場所: 設定 → オブジェクト → 見積もり → 承認

シンプルな承認ルールは、特定の条件に該当するすべての見積もりに対して承認を要求します。設定できる条件の例は以下です。

  • 割引額が一定額を超える見積もり
  • 割引率が一定パーセンテージを超える見積もり
  • 電子署名が有効になっている見積もり
  • 見積もり金額が一定額を超える見積もり

詳細な承認ルール(ワークフローベース)では、ワークフローから承認をトリガーする高度なルール設定が可能です。例えば「割引率が20%以上かつ金額が100万円以上の場合は部長承認、それ以外はマネージャー承認」といった複数条件の分岐が設定できます。シンプルな承認ルールが「条件に合致した見積もりへ一律で承認を要求する」仕組みなのに対し、ワークフローベースでは条件の組み合わせと分岐先の承認者まで設計できるため、金額帯や割引率に応じて承認の重さを変える運用が可能です。分岐先の承認者は、後述のように特定のユーザーを指名する方法のほか、チーム単位での設定や段階的承認にも対応しています。

承認者の設定

  • 特定のユーザーを承認者に指定
  • チーム単位で承認者を設定(誰か一人が承認すればOK)
  • 段階的承認(マネージャー→部長の2段階)

パイプライン設計と同様に、承認プロセスも自社の営業プロセスに最適な形で設計するのがポイントになってきます。よくあるのが、全件承認にしてしまってボトルネックになるケースです。閾値を決めて、低額・標準割引率の見積もりは自動承認にするのがおすすめです。


ステップ4: 電子署名の設定

最後に、見積書の承認をオンラインで完結させる電子署名の設定です。印刷・押印・返送という手間をなくせます。

電子署名とは

HubSpotの電子署名機能を使うと、見積書を受け取った顧客がオンライン上で署名して承認できます。印刷・署名・スキャン・返送の手間がなくなり、見積もりから契約締結までのリードタイムを大幅に短縮できます。

電子署名は、米国、カナダ、EU、英国、日本を含む多くの国で法的に有効で、手書きの署名と同じ法的効力を持つとされています。

電子署名の有効化と月間上限

  • 設定 → オブジェクト → 見積もりに移動
  • 「電子署名」セクションで有効化
  • 見積もり作成時に「承認方法」で「電子署名」を選択
プラン 月間上限
Professional 月10件
Enterprise 月30件

上限を超える場合は追加購入も可能ですが、すべての見積もりに電子署名が必要なわけではありません。金額が大きい案件や正式契約が必要な案件に絞って使用するのが現実的です。

署名フロー

  • 営業担当が見積書を作成し、電子署名を有効にして公開
  • 顧客にメールまたはリンクで見積書を送付
  • 顧客が見積書を閲覧し、内容を確認
  • PO番号、税ID、会社名・住所などの情報を入力
  • 電子署名を入力して承認
  • HubSpot上で署名完了のステータスが自動更新
  • 取引のステージ自動移行も設定可能(ワークフロー連携)

実務での運用ベストプラクティス

設定ができたら、運用で効果を安定させるための設計です。ポイントは「個人の工夫」ではなく「仕組み」として回すことです。

1. パイプラインとの連携設計

見積もりの作成・承認・署名のタイミングを、パイプラインのステージと連動させましょう。推奨する連携例は以下です。

パイプラインステージ 見積もりアクション
提案中 見積書を作成・社内承認を取得
見積もり提示 見積書を顧客に送付
内示 電子署名を依頼
契約締結 署名完了→ステージ自動移行

2. 見積書作成のルールを標準化する

営業チームで見積書の品質にバラつきが出ないよう、以下のルールを定めましょう。

  • テンプレートを統一 — 全営業が同じテンプレートを使用
  • 割引の上限を設定 — 承認不要の割引率上限を明確に(例: 10%まで)
  • 有効期限の統一 — 全見積もりで30日に統一
  • 必須入力項目の設定 — 支払い条件、納品スケジュールなどを必須化

これは仕組みで解決するという考え方が重要です。営業担当ごとに見積もりのフォーマットが違うという状態を防ぐために、テンプレートと承認ルールで統制を効かせましょう。新人でも同じ品質の見積書を出せる状態が理想です。

3. Stripe連携でオンライン決済も可能

HubSpotのRevenue HubはStripeとの連携に対応しており、見積書からそのままオンライン決済を受け付けることも可能です。SaaS企業やサブスクリプションビジネスでは、見積もり→契約→決済の流れをデジタルでつなげられます。


注意点・制限事項

ここまでメリットを中心に説明してきましたが、制約や向かないケースも率直に整理しておきます。

セキュリティリスクの認識

見積書はURLリンクで共有されるため、リンクが外部に漏洩した場合、第三者が見積もり内容を閲覧できるリスクがあります。機密性の高い見積もりでは、パスワード保護やアクセス制限の設定を検討してください。

承認機能の制約

HubSpotの見積もり承認機能は基本的なワークフローには対応していますが、大企業の複雑な承認フロー(5段階承認、部門横断承認など)には対応しきれない場合があります。標準機能で組めるのは、シンプルな条件指定による承認要求と、マネージャーから部長への2段階までの段階的承認が中心です。正直なところ、承認機能があまり強くない部分はあります。判断基準としては、承認が「閾値を超えた場合の上長確認」で済む範囲ならHubSpot内で完結し、部門を横断する多段階の稟議フローが必須なら外部ツールとの連携を検討する、という切り分けが現実的です。

日本の商習慣への対応

日本のビジネスでは押印文化が根強く、電子署名だけでは対応できないケースもあります。電子契約サービス(クラウドサインなど)との併用を検討するのも一つの方法です。


よくある質問

Q1. HubSpotの見積書は無料プランでも作成できますか?

はい、基本的な見積書の作成と送付は無料プランでも可能です。ただし、テンプレートのカスタマイズ、電子署名、承認プロセスはProfessional以上のプランが必要です。無料プランではデフォルトテンプレート1件のみ利用可能です。

Q2. 電子署名の法的効力は日本でも有効ですか?

はい、HubSpotの電子署名は日本を含む多くの国で法的に有効です。ただし、日本の法律では一部の契約類型(不動産取引など)で書面が要求されるケースがあります。自社の契約内容に合わせて法務部門に確認することをおすすめします。

Q3. 見積もりの承認者が不在の場合はどうなりますか?

見積もりは承認者が対応するまで「承認待ち」のステータスのまま保留されます。承認者が複数設定されている場合は、いずれか一名が承認すれば通過します。長期不在が想定される場合は、代理承認者を事前に設定しておくとよいでしょう。

Q4. 既存のExcel見積書テンプレートをHubSpotに移行できますか?

Excel形式の直接インポートはできませんが、HubSpotの見積もりテンプレートエディターで同等のレイアウトを再現できます。製品情報はCSVで一括インポート可能です。移行時は、まず主要な製品と頻出パターンの見積もりから順に設定していくスモールスタートがおすすめです。

Q5. SalesforceのCPQとHubSpotのCPQ、どちらが高機能ですか?

Salesforce CPQ(Revenue Cloud)の方が機能の網羅性は高く、複雑な価格設定ルール、バンドル構成、契約管理などに対応しています。一方、HubSpotのCPQは設定がシンプルで追加ライセンスなしで使える点がメリットです。企業様によって最適な選択は異なりますが、見積もりプロセスがシンプルな企業にはHubSpot、複雑な価格体系を持つ大企業にはSalesforce CPQが向いている傾向です。


まとめ

HubSpot CPQは、見積書の作成・承認・送付・電子署名をCRMの取引データと一体化できる機能です。

  • 製品カタログを先に設計すると、営業チーム全体の見積もり品質が標準化される
  • 承認プロセスは全件承認ではなく閾値を決めて、低額・標準割引は自動承認にする
  • 電子署名はProfessionalで月10件、Enterpriseで月30件まで。大型案件に絞る運用が現実的
  • リンク共有の漏洩リスクや複雑承認への制約もあるため、向かないケースは外部ツールとの併用を検討する

まずは製品カタログの登録から始めるのが最初の一歩です。次の3ステップで進められます。

  1. 現在の見積書で使っている製品・サービスを洗い出し、製品カタログに登録する
  2. 頻出パターンの見積書を1通作り、取引レコードからの作成フローを試す
  3. 割引率や金額の承認閾値を決めて、承認ルールを設定する

企業様によって最適な形は異なりますので、まずは主要な製品と頻出パターンの見積もりから順に設定していくスモールスタートがおすすめです。

CRMを活用した業務効率化やAIとの連携に関するご相談は、CRM特化型コンサルティングのHubSpotゴールドパートナーのStartLinkまでお気軽にお問い合わせください。


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著者情報

7-1

今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLink 代表取締役。累計150社以上のHubSpotプロジェクト支援実績を持ち、Claude CodeやHubSpotを軸にしたAI活用支援・経営基盤AXのコンサルティング事業を展開。
HubSpotのトップパートナー企業や大手人材グループにて、エンタープライズCRM戦略策定・AI戦略ディレクションを経験した後、StartLinkを創業。現在はCRM×AIエージェントによる経営管理支援を専門とする。