建設業のHubSpot活用|案件管理・元請関係・安全書類をCRMで効率化

この記事の結論

建設業のHubSpot活用は「案件管理の一元化」と「元請・協力会社との関係の可視化」という2つの観点から着手するのが現実的で、いきなりカスタムオブジェクトや工事管理システムとの連携まで構えると現場が付

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記事の内容を、そのまま実務に落とし込みたい方向け

HubSpot導入、AI活用、CRM整備、業務効率化までをまとめて支援しています。記事で気になったテーマを、そのまま相談ベースで整理できます。


建設業でCRM活用が進みにくい理由と突破口。工事案件向けのパイプライン設計

「案件ごとの進捗がバラバラのExcelで管理されていて全体像が見えない」「元請・協力会社との関係管理が属人的になっている」「安全書類や施工報告の管理に手間がかかりすぎる」——建設業の方からは、こうした声をよくいただきます。

建設業におけるHubSpot活用とは、工事案件の受注プロセス管理、元請・下請・協力会社のリレーション管理、安全書類・施工報告などの業務プロセスをCRMに集約し、属人的な管理から脱却するための設計手法です。

この記事では、建設業特有の商流や業務フローを踏まえ、HubSpotをどのように設計すれば現場と管理部門の両方で活用できるかを解説します。 この分野の体系的な情報は業界別HubSpot活用ガイドでまとめています。

本記事は「教育業界のHubSpot活用|生徒募集から保護者対応まで一元管理する設計」シリーズの一部です。

本記事はStartLinkの「HubSpot完全ガイド」関連記事です。


この記事でわかること

  • 建設業でCRM活用が進みにくい理由と突破口 — 建設業では、案件管理をExcelや紙ベースで行っている企業がまだまだ多いかなと思います。
  • 工事案件向けのパイプライン設計 — 建設業の商談プロセスは、一般的なB2Bとは異なり、見積もりから着工までのリードタイムが長く、複数の関係者が関わるのが特徴です。
  • 元請・協力会社の関係管理設計 — 建設業では、元請・一次下請・二次下請・協力会社といった重層的な関係を管理する必要があります。
  • カスタムオブジェクトを使った工事案件管理 — Enterpriseプランであれば、カスタムオブジェクトを活用して建設業特有のデータモデルを構築できます。
  • 安全書類・施工報告のデジタル管理 — 着工ステージへの移行をトリガーに安全書類の提出タスクを自動生成し、未完了時にはリマインドを飛ばす仕組みの作り方を解説します。
  • よくある質問(FAQ) — 「案件ごとの進捗がバラバラのExcelで管理されていて全体像が見えない」「元請・協力会社との関係管理が属人的になっている」

「案件ごとの進捗がバラバラのExcelで管理されていて全体像が見えない」「元請・協力会社との関係管理が属人的になっている」とお感じの方に、特に参考になる内容です。


建設業でCRM活用が求められる背景

建設業では、案件管理をExcelや紙ベースで行っている企業がまだまだ多いかなと思います。特に中堅〜中小の建設会社では、営業情報が個人のメールや手帳に残ったままで、会社としての情報資産になっていないケースが目立ちます。

建設業の課題 HubSpotで実現できること
案件情報がExcel・紙に分散 取引オブジェクトで案件を一元管理
元請・協力会社の関係が不透明 会社オブジェクトの関連付けで商流を可視化
安全書類の管理が煩雑 カスタムオブジェクト + ワークフローで管理
営業担当の退職で情報が消える CRMに全対応履歴が蓄積
受注予測が立てにくい パイプラインの加重金額でフォーキャスト

スプレッドシートで管理していると、こっちにも顧客リストがあり、一方で別の担当者にも情報が入っていたりして、差分が起きてしまうんですよね。CRMに集約することで、こうした情報の分散を根本的に解決できます。


工事案件向けパイプライン設計

建設業の商談プロセスは、一般的なB2Bとは異なり、見積もりから着工までのリードタイムが長く、複数の関係者が関わるのが特徴です。

推奨パイプライン

引合い → 現場調査 → 積算・見積作成 → 見積提出 → 交渉 → 内示 → 契約 → 着工 → 竣工・引渡し
ステージ 受注確度 必須入力項目
引合い 5% 工事種別、概算規模、元請先
現場調査 15% 現場住所、調査日、調査担当
積算・見積作成 25% 積算担当、原価見込
見積提出 40% 見積金額、提出日
交渉 55% 競合有無、交渉メモ
内示 80% 内示金額、着工予定日
契約 95% 契約金額、契約日
着工 100% 着工日、現場責任者

自社に最適なパイプラインを設計するというところが結構ミソになってきます。建設業では特に「引合い」から「見積提出」までのプロセスが重要で、ここをしっかり管理できるかどうかが受注率の向上に直結します。


元請・協力会社の関係管理

建設業では、元請・一次下請・二次下請・協力会社といった重層的な関係を管理する必要があります。HubSpotの会社オブジェクトの関連付け機能を使って、この商流構造をCRM上で可視化できます。

関連付け設計

元請会社(ゼネコン等)
  ├── 関連付けラベル: 「元請」
  ├── コンタクト: 元請の現場監督、購買担当
  └── 取引: 工事案件
        ├── 関連付け: 自社(請負者として)
        └── 関連付け: 協力会社A、協力会社B

これをリレーションデータベースとして管理できるのがHubSpotの強みです。HubSpotだけではなく、他のリレーションデータベースを持つCRMでも同様のことができますが、HubSpotは設定の柔軟性が高いので建設業の複雑な商流にも対応しやすいです。


カスタムオブジェクトを使った工事案件管理

Enterpriseプランであれば、カスタムオブジェクトを活用して建設業特有のデータモデルを構築できます。

工事案件カスタムオブジェクト

フィールド 種類 用途
工事名称 テキスト 案件の正式名称
現場住所 テキスト 施工場所
工事種別 ドロップダウン 新築/改修/解体/設備工事 等
工期(開始) 日付 着工日
工期(完了) 日付 竣工予定日
請負金額 数値 契約金額
原価見込 数値 見込み原価
粗利率 計算プロパティ (請負金額-原価見込)/請負金額
現場責任者 HubSpotユーザー 担当者
安全書類ステータス ドロップダウン 未提出/提出済/承認済

計算プロパティを使えば、粗利率がリアルタイムで自動更新されるので、ワークフローを組まなくても済みます。毎回チェックボックスとかを作ってワークフローで処理していると、ワークフローの数がものすごく増えてしまうので、計算プロパティで代替できるものは積極的に活用するのがおすすめです。


安全書類・施工報告のデジタル管理

タスク + ワークフローで安全書類の提出を管理

工事案件が「着工」ステージに移行したタイミングで、安全書類の提出タスクを自動生成するワークフローを構築します。

  1. 取引が「着工」ステージに移行
  2. ワークフローがタスクを自動作成(作業員名簿、安全衛生計画書、施工要領書 等)
  3. 各タスクに期限と担当者を自動アサイン
  4. 未完了タスクがある場合、リマインダーを自動送信

これにより、安全書類の提出漏れを仕組みで防止できます。営業の方がなかなか書類を出してくれないという問題も、自動リマインドで解決できるので、管理部門の負担がかなり減ります。

スマホアプリで現場からの報告

HubSpotのスマホアプリを使えば、現場から直接CRMにアクティビティを記録できます。現場写真の添付やメモの入力、タスクの完了チェックなど、PCがない環境でもCRMを活用できるのは建設業にとって大きなメリットです。


レポート・ダッシュボード設計

建設業向けKPIダッシュボード

レポート 指標 会議用途
受注パイプライン ステージ別案件数・金額 営業会議
粗利率推移 工事別の粗利率分布 経営会議
元請別受注額 取引先別の受注ランキング 経営会議
安全書類提出率 未提出タスクの残数 安全管理会議
工期遵守率 予定通り竣工した案件の割合 工程会議

ダッシュボードの定期配信でPDF形式のスナップショットを毎週月曜朝8時に送信しておけば、幹部がいちいちCRMにログインしなくても数値を把握できます。代表とか現場所長もレポートだけ見ていればいいという場合は、表示のみシート(無料)で十分です。


まとめ

建設業のHubSpot活用は「案件管理の一元化」と「元請・協力会社との関係の可視化」という2つの観点から着手するのが現実的で、いきなりカスタムオブジェクトや工事管理システムとの連携まで構えると現場が付いてこられません。まずは受注パイプラインを「引合→見積→受注内示→契約→着工→完工」のような業界実態に即した段階で設計し、取引(案件)と会社(元請・協力会社)の基本データを揃えるところから始めてください。運用が安定してきたら、工事案件用カスタムオブジェクト、安全書類のワークフロー自動化、ダッシュボードの週次PDF配信と広げていくと、現場所長や代表がCRMにログインしなくても数字で全体像を掴めるようになります。データが積み上がるほど受注予測と元請別の案件構成が見える化され、次の営業判断の質が変わっていきます。


  • 「建設業でのCRM導入を検討しているが、自社に合った設計がわからない」「現場でも使える仕組みにしたい」——そんなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください

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あわせて、一人マーケター・少人数チームのHubSpot運用術医療・ヘルスケア業界のHubSpot活用法不動産業界のHubSpot活用法なども参考になります。


よくある質問(FAQ)

Q1. 建設業の現場でもHubSpotは使えますか?

スマホアプリが提供されているので、現場からでもアクティビティの記録やタスクの完了チェックが可能です。ただし、図面管理や詳細な工程管理には専用ツール(Photoruction等)との連携が現実的です。CRMは営業・顧客管理の基盤として活用し、施工管理は専用ツールと使い分けるのがおすすめです。

Q2. 工事台帳のようなものはHubSpotで作れますか?

カスタムオブジェクトを使えば、工事案件ごとのデータ管理が可能です。ただし、本格的な工事台帳(出来高管理、原価管理の詳細)は会計システムとの連携が必要になります。HubSpotは受注前の営業管理と、案件の概要レベルの管理に強みがあります。

Q3. 小規模の建設会社でもHubSpotは必要ですか?

5名程度の会社でも、営業情報の属人化防止と受注予測の精度向上のためにCRM導入のメリットはあります。無料CRMから始めて、案件数が増えてきたらStarterプランに移行するアプローチがおすすめです。月1,800円/シートでスタートできるので、投資対効果は十分に見込めます。

Q4. 元請から指定されたシステム(グリーンサイト等)とHubSpotは連携できますか?

直接のAPI連携は現状難しい場合が多いですが、CRMで営業・顧客管理を行い、安全書類関連はグリーンサイト等の専用システムを使うという使い分けが現実的です。将来的にはiPaaS経由での連携も視野に入れられます。


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著者情報

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今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLink 代表取締役。累計150社以上のHubSpotプロジェクト支援実績を持ち、Claude CodeやHubSpotを軸にしたAI活用支援・経営基盤AXのコンサルティング事業を展開。
HubSpotのトップパートナー企業や大手人材グループにて、エンタープライズCRM戦略策定・AI戦略ディレクションを経験した後、StartLinkを創業。現在はCRM×AIエージェントによる経営管理支援を専門とする。