HubSpot Solutions Partner Programのティアは、下から Gold、Platinum、Diamond、Elite の順に上位となり、HubSpotの公式ページが定める実績ポイントや維持率などの基準で決まります。 ティアは「HubSpotの導入や運用で積み上げた実績の水準」を示す指標であり、自社の業種・課題・体制に合う支援かどうかまでは示しません。認定資格(Certifications)は個人、アクレディテーション(Accreditation)は組織の資格で、確認には公式のパートナーディレクトリを使います。
「Elite と書いてあるから安心」「Gold だから不安」——ティアの名前だけで判断すると、案件との相性という本来の論点が抜け落ちます。一方で、ティアの意味を知らないまま比較表を読むと、各社の説明を同じ基準で見られません。
この記事では、公式情報で確認できた範囲だけを使い、ティアの見方から確認手順、そして「ティアだけで選ばない」ための判断表までを整理します。
この記事でわかること
- ティアの名称と順序 ── 公式のディレクトリとプログラム説明で確認できる並びと、基本のレベルとの関係
- ティアが何で決まるか ── ポイントの3区分、半期ごとの見直し、維持率、認定資格などの条件
- 認定資格とアクレディテーションの違い ── 誰が持つ資格か、どのティアから申請できるか
- ディレクトリでの確認手順 ── 絞り込み項目、プロフィールの順位の決まり方、読むときの注意
- ティアだけで選ばないための判断表 ── 提案の場で追加して確かめる質問
HubSpotのティアが示すものと、示さないもの
ティアは、パートナー企業がHubSpotの事業にもたらした成果の水準をHubSpotが付与する区分です。公式のディレクトリ上でも「ティアは、HubSpotプラットフォームを活用して顧客にもたらした成果のレベルに応じて付与される」と案内されています(HubSpot Solutions Partner Directory)。
ここで押さえたいのは、評価の中心が「HubSpotとの取引の実績」である点です。ティアの条件には、案件の獲得・支援・既存顧客の運用に由来するポイントや、顧客の継続率に近い指標が含まれます。いずれも、パートナーの規模や継続的な実績を測るうえでは有用です。
ティアから読み取れること
ティアが高いパートナーは、一定期間にわたり、HubSpotの案件獲得や既存顧客の支援で継続的に実績を残していると見ることができます。また、ティアを維持するには、有効なパートナー認定資格を持つ担当者がいること、「good standing(良好な状態)」にあることなどが求められます。これらは、最低限の体制と信頼の基盤を示す材料になります。
ティアから読み取れないこと
一方、ティアは次の点を示しません。自社と同じ業種・規模・システム構成の案件を扱った経験、担当者個人の設計力、見積に書かれた作業範囲の妥当性、導入後の運用定着の進め方です。これらは提案書と面談で確かめる事項であり、ティアの上下で代替できません。
ティアは「候補を探す入口」として使い、「選ぶ理由」は提案内容・担当者・進め方で確かめます。企業様によって最適な形は異なりますので、自社の課題と体制に合わせて評価の軸を決めておくことが前提です。
ティアの名称と順序
公式の特典ページ(Solutions Partner Program Benefits)は、基本のレベルである「Solutions partner」の上に、Gold、Platinum、Diamond、Elite が並ぶ構成を示しています。ディレクトリのティアの絞り込み項目は、確認日2026-10-20時点の画面で、Elite・Diamond・Platinum・Gold の4つでした(HubSpot Solutions Partner Program Benefits、パートナーディレクトリ)。
| 順序(上位から) |
ティア名 |
公式情報から確認できる位置づけ |
| 1 |
Elite |
条件に加え、HubSpotからの招待が必要。専用の特典が設けられている |
| 2 |
Diamond |
ポイントに加え、平均GRRの条件がある |
| 3 |
Platinum |
アクレディテーションの申請対象になる最初のティア |
| 4 |
Gold |
ポイントの条件で付与。パートナーマッチングの対象になる最初のティア |
「GRR」は、公式のティア説明に出てくる売上維持率の指標です。Diamond は平均75%以上、Elite は平均80%以上という条件が明記されています。ポイントの具体的な数値は期間ごとに引き上げられるため、数字そのものは本記事に固定せず、公式の「How do Tiers and Tier Points work?」ページで最新の表を確認する方法を推奨します(公式ティアページ)。
基本のレベルとティアの関係
ティアを持たない基本のレベルのパートナーも、ディレクトリへの掲載や収益分配など、プログラムの基本的な特典を受けられます。ティアが付いていないことは、ただちに実績の不足を意味しません。ただし、ティアの絞り込みでは表示されないため、候補を探す段階では見落としやすくなります。
Elite の位置づけ
Elite は、数値条件に加えて、HubSpotからのメール招待があることが公式ページに記載されています。さらに、従業員が持つユーザー認定資格が合計100以上という条件も示されています。これらの特別な条件は変更される可能性があると注記されているため、確認時点の公式情報を見ます。
ティアは何で決まるのか
ティアは、一度取れば終わりの称号ではありません。ポイントの積み上げ、維持率、認定資格の有効性が、半期ごとの見直しで確認されます。ここでは、公式ページで確認できる範囲の仕組みを整理します。ティアの名称だけでなく、何が加点され、何が失効し、いつ見直されるのかを知っておくと、各社の説明を同じ物差しで読めます。数値は期間ごとに更新されるため、仕組みの理解と、数字の確認先の把握を分けて考えます。
ポイントの3区分
公式ページは、ポイントを次の3区分で説明しています。
| ポイントの種類 |
公式の定義 |
見方のヒント |
| Sourced(獲得) |
顧客との案件を獲得し成約することで得るポイント |
新規の導入実績の量を反映しやすい |
| Assisted(支援) |
HubSpot起点の案件を支援し成約させることで得るポイント |
HubSpotとの協業の深さを反映しやすい |
| Managed(運用) |
既存の顧客をサービスすることで得るポイント |
導入後の継続支援の実績を反映しやすい |
Sourced・Assisted のポイントは成約から1年で失効し、Managed は最後のアカウント操作から60日で失効すると説明されています。つまりポイントは「常に新しく積み続ける」性質を持ち、過去の実績だけで高いティアを維持することはできません。
半期ごとの見直しと維持の条件
ティアの下方向の見直しは、1月15日と7月15日の年2回です。一方、上のティアへ移る機会は毎月15日にあり、昇格は月1回、降格の見直しは年2回という非対称な設計です。1月15日の見直しは8月15日から1月15日まで、7月15日の見直しは2月15日から7月15日までの期間が対象になります。期間中に、付与されているティア相当の実績を少なくとも1か月出していればそのティアを維持し、そうでなければ期間中の最高実績に合わせて調整されます(公式ティアページ)。
認定資格と良好な状態が前提になる
ティアを持つパートナーには、有効で確認済みの Solutions Partner Certification が必要です。少なくとも従業員1名が、25か月に1回、パートナー認定試験に合格する必要があり、見直し時に認定が失効していればティアが下がります。加えて、HubSpotのプログラムポリシーの順守、コミッションに必要な書類の提出、顧客やHubSpotとの良好な関係(「at fault」とされる対応履歴がないこと)などの「good standing」が、維持と昇格の前提です。
認定資格とアクレディテーションは何が違うか
「認定」と一括りにされがちですが、HubSpotの公式ページでは、資格の持ち主と審査の重さが分かれています(HubSpot Solutions Partner Credentials)。
| 資格の種類 |
持ち主 |
審査の内容 |
| 認定資格(Certifications) |
個人 |
HubSpot Academyの学習と標準化された試験で、製品や手法の知識を確認 |
| アクレディテーション(Accreditation) |
組織 |
前提となる認定資格、チームの資格の確認、実際の顧客案件での証拠(事例・文書・顧客の推薦など) |
| バッジ(Badges) |
組織 |
業種・専門領域・セキュリティなどの区分で付与 |
アクレディテーションは上位ティアが対象
アクレディテーションは、Platinum 以上のパートナーが申請・維持できる資格です。基準を満たせない状態が続くと失効し、失効後は6か月間、いずれのアクレディテーションにも再申請できません(HubSpot Accreditation Standards)。
この仕組みから、ゴールドティアの企業にアクレディテーションの表示がないのは、制度上の仕様です。「アクレディテーションがない=能力が低い」と読むのは誤りです。ゴールドの企業を評価するときは、個人の認定資格、支援範囲、進め方の具体性を確認します。
ディレクトリで見える認定の区分
ディレクトリの「認定」の絞り込みには、確認日2026-10-20時点の画面で、CRM Implementation、Onboarding、Platform Enablement、Custom Integration、Data Migration、Solutions Architecture Design の6項目がありました。項目は変更されることがあるため、利用時の画面で確認します。自社が頼みたい領域と、この区分が重なるかを見ると、探す範囲を絞り込めます。
パートナーディレクトリで確認する手順
ティアや資格は、パートナー自身の説明だけでなく、HubSpotが運営するディレクトリで確かめられます。公式の説明では、資格の情報はディレクトリの掲載内容に反映されます。確認の流れは次のとおりです。
- Solutions Partner Directory を開き、サービス(カスタムAPI連携、コンテンツ作成など)で候補を絞る
- 「ティア」の項目(確認日2026-10-20時点では Elite・Diamond・Platinum・Gold)から、探す範囲を決める。ティア指定なしの候補も別に確認する
- 「認定」の項目で、頼みたい領域(データ移行、カスタム連携など)に近い区分があるかを見る
- 候補企業のプロフィールを開き、対応サービス、対応業種、レビューの内容を読む
- 提案を依頼する前に、プロフィールの記載と実際の支援経験が合っているかを面談で確かめる
表示順をどう読むか
公式のパートナー資格のページには、バッジがディレクトリのランキングを押し上げるという記載があります(HubSpot Solutions Partner Credentials)。ランクにはレビューやバッジなどが影響するとされますが、詳しい算出方法は確認できていません。ディレクトリの表示順を、案件への適合度の順位と読まないことが大切です。
レビューの読み方
レビューは、第三者の評価を知る材料です。確認したいのは、評価の点数より、自社に近い課題(移行、連携開発、運用定着など)についての記述があるかどうかです。件数が少ない場合は、点数ではなく具体的な記述の有無で見ます。
「ティアだけで選ばない」判断表
ティアは候補探しの入口として優れています。そのうえで、最終的な選定は次の判断表のように、ティアの情報と、ティアに表れない情報を分けて確認します。
| 確かめたいこと |
ティアからわかる範囲 |
追加で確認する方法 |
| 実績の継続性 |
ポイントと維持率の水準 |
自社に近い業種・規模の支援経験を面談で聞く |
| 担当者の知識 |
認定試験に合格した人がいる |
担当者本人の資格と、実際に担当するメンバーの顔合わせ |
| 専門領域への適合 |
アクレディテーションは上位ティアのみ |
ディレクトリの認定区分、移行・連携などの経験の具体例 |
| 進め方の質 |
ほぼわからない |
工程・成果物・定着支援の提案内容を比べる |
| 自社との相性 |
わからない |
要件整理の質問の深さ、説明の分かりやすさ |
| 契約後の関わり方 |
わからない |
窓口、報告頻度、準委任か請負かなど契約形態の確認 |
提案を同じ条件で比べる
複数社に依頼する場合は、依頼書に「現状の課題」「期待する成果」「社内の担当体制」「予定している期間」を同じ形で書き、提案を同じ項目で比べます。ティアが違っても、同じ依頼書への回答であれば、進め方の違いがそのまま比較できます。パートナー選定の全体の流れは、HubSpotパートナーの選び方とHubSpot導入パートナーの選び方で詳しく扱っています。
ティアが同じでも差が出る場面
同じティアのパートナーでも、得意な領域は異なります。たとえば、既存システムからの移行が中心の支援、カスタム連携の開発が中心の支援、営業プロセスの設計が中心の支援では、必要な経験が異なります。依頼内容に近い領域の実績を、具体的な工程と成果物で説明してもらいます。

提案の場で確かめたいこと:支援の工程から見る
ティアの確認を終えたら、提案の中身を見ます。工程が明確なパートナーは、何を、いつ、誰が決めるかが提案書に書かれています。提案書に書かれているべき工程の例を、次の表に示します。
| 工程 |
この段階で確認すること |
| 現状の整理・要件定義 |
業務の流れ、データの置き場、決めるべき項目を洗い出す |
| 設計・構築 |
プロパティ、パイプライン、ワークフローを設計して設定する |
| データ移行 |
移行対象と件数照合の方法を決め、実行する |
| テスト・検証 |
実際の業務シナリオで動作を確かめる |
| 定着・運用改善 |
運用状況を見ながら設定と使い方を見直す |
この例のように、工程ごとの成果物と確認方法が提案書に書かれていれば、比較しやすくなります。スモールスタートで最初に範囲を絞り、効果を確認しながら広げる進め方か、準委任で伴走する形か、一括で請け負う形か、といった契約と進め方の違いも、提案の比較項目になります。導入全体の流れは、HubSpot導入完全ガイドと導入の失敗パターンと回避策を参照してください。
AIや連携の扱いを確認する
HubSpotの支援では、BreezeなどのAIの活用や、会計・ドキュメント管理などの周辺システムとの連携が論点になることがあります。パートナーが自社開発の連携アプリを持っている場合は、どの業務が標準機能で、どの部分をアプリやカスタム開発で補うのかを提案の中で区別して説明してもらいます。
ティア制度は変わる前提で確認する
ティアの名称、数値、特典は、HubSpotの判断で改定されます。公式ページにも、ティアの規則や計算式はHubSpotの裁量で変更されうるとの注記があります。記事や紹介資料の数字をそのまま使わず、確認する時点の公式ページを開くことが基本です。パートナー側の資料に書かれたティアや資格も、同じように公式ページとディレクトリで照合します。照合の手順を決めておけば、制度が改定されても、評価の基準がぶれません。
確認する公式ページの優先順位
最新の情報を見る順番は、①ティアの決まり方(How do Tiers and Tier Points work?)、②特典と条件の一覧(Solutions Partner Program Benefits)、③資格の説明(Partner Credentials)、④ディレクトリの掲載内容です。日本語の案内はHubSpot Japanのパートナーページ、全体の概要はHubSpotのパートナープログラムの紹介ページにあります。ただし、概要ページには各ティアの条件の詳細は記載されていないため、上の①②で確認します。
確認日を記録しておく
稟議や選定資料にティアを記載するときは、確認した日付と参照した公式ページのURLを併記します。後から見直す際に、情報が古くなっていないかを判断できます。選定の根拠として社内で共有する資料ほど、確認日の記載が役に立ちます。
よくある質問
Q1. ティアが高いパートナーほど、自社の案件に向いていますか
必ずしもそうとは言えません。ティアはHubSpotとの取引実績の水準を示す指標で、業種や課題への適合は示しません。自社に近い案件の経験、担当者の資格、進め方を提案と面談で確かめます。
Q2. ティアは永続しますか
永続しません。ポイントの失効、認定資格の有効期限、半期ごとの見直しにより、ティアは上下します。公式ページでも、ティアの規則は変更されうると明記されています。確認時点の情報を使います。
Q3. アクレディテーションがないパートナーは、能力が低いのですか
そうとは限りません。アクレディテーションは、Platinum 以上のパートナーが申請できる資格です。ゴールドのパートナーに表示がないのは制度上の仕様です。個人の認定資格、支援範囲の具体性、進め方で評価します。
Q4. ディレクトリの表示順は、おすすめ順ですか
おすすめ順ではありません。公式のパートナー資格のページには、バッジがディレクトリのランキングを押し上げるとあり、レビューやバッジなどが影響するとされます。表示順は適合性の高さを意味しないため、絞り込み項目とプロフィールの内容で候補を選びます。
Q5. 認定資格は、どのように確認できますか
個人の認定資格について、公式ページには直接の照会手順の記載はありません。資格の情報はディレクトリの掲載内容に反映されるとされています。担当予定者の資格は、面談で本人に確認するのが確実です。
まとめ:ティアを入口に、適合性を提案で確かめる
ティアの見方を整理すると、次の5点になります。
- 順序は下から Gold、Platinum、Diamond、Elite。 基本のレベルの「Solutions partner」は、ティアの絞り込みには出ません
- ティアは実績ポイント・維持率・認定資格などで決まり、半期ごとに見直されます。 数値は改定されるため、確認時点の公式ページを見ます
- 認定資格は個人、アクレディテーションは組織の資格です。 アクレディテーションは Platinum 以上が対象です
- ディレクトリの表示順は、適合度の順位ではありません。 レビューやバッジなどが影響するとされるため、絞り込みとプロフィールの内容で候補を選びます
- ティアで候補を探し、提案の工程・成果物・進め方で選びます。 依頼書の条件をそろえて比べます
最初の一歩としておすすめするのは、依頼したい内容を1枚の依頼書にまとめ、ディレクトリで3社程度に絞って同じ条件で提案を依頼することです。ティアの条件の確認と並行して、工程と成果物を提案書で見比べます。
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