営業代行は受託先ごとに案件・架電・商談が散らばりがちです。会社と取引の持ち方、通話結果の残し方、受託先別の見せ方と、精算など専用システムに任せる領域を整理します。
営業代行は受託先ごとに案件・架電・商談が散らばりがちです。会社と取引の持ち方、通話結果の残し方、受託先別の見せ方と、精算など専用システムに任せる領域を整理します。
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HubSpotゴールドパートナーのStartLinkが、HubSpot導入・AI活用・CRM整備・業務効率化までをまとめて支援しています。記事で気になったテーマを、そのまま相談ベースで整理できます。
「この受託先の今月のアポ数は?」と聞かれて、架電リストのスプレッドシートを開き、別のシートで商談結果を確認し、受託先へのレポートは手で集計する——営業代行の現場では、そんな光景が珍しくないかなと思います。
営業代行会社がCRMを使う目的は、受託先ごとに「誰に何回架電して、どうなったか」を同じ形で残し、受託先別の成果をすぐ出せる状態をつくることです。自社の営業管理というより、受託先の数だけ営業チームを運営している感覚に近いのが、この業種の特徴です。
この記事では、HubSpotで受託先ごとの案件と架電成果を一元管理するための設計を、順番に説明します。あわせて、HubSpotに向かない領域(成果報酬の精算・請求計算など)もはっきり線引きします。
受託先が3社以上になって管理表が増えてきた営業代行会社の方、架電の記録が担当者のシートに閉じてしまっている方におすすめの内容です。
営業代行の管理は、受託先が増えるほど難しくなります。原因は担当者の力量というより、構造にあります。
ある受託先向けはアポイント獲得まで、別の受託先は資料送付まで、さらに別の受託先は商談同席までと、成果の定義が受託先ごとに違うのが普通です。そのため管理表も受託先ごとに作られ、項目名も「アポ」「取得」「獲得」と揺れていきます。
月次で全体を見たいとき、シートを開き直して項目を読み替えて足し合わせる作業が発生します。ここで時間を取られる一方、数字の定義が人によってぶれるリスクも残ります。
架電リストを担当者ごとに分けて配ると、「いつ・誰が・どのような反応だったか」が個人のシートに残ります。担当者が替わると、前任者がすでに断られた相手に再度架電してしまう、といった事故が起きます。
個人情報や取引先情報を含む情報が、担当者個人のファイルに分散している点も見逃せません。受託先から預かったリストをどこで管理しているか、説明できる状態にしておくことは、営業代行会社にとって信頼の土台になります。
受託先への月次報告は、架電数・接続数・アポ数・商談結果といった同じ構造の数字を毎月集める作業です。構造が同じなのに毎回手で集めているなら、記録の取り方を変えるだけで自動化の余地があります。

最初に決めるのは、何をどのオブジェクト(レコードの種類)で持つかです。ここが曖昧だと、後でレポートが作れなくなります。
HubSpotの会社オブジェクトに、受託先も架電先(ターゲット企業)も入れます。両者を区別するために、「会社の区分(受託先/架電先)」のような選択式プロパティー(項目)を作るのが基本です。標準のオブジェクトだけで始められるので、まずはこの形をおすすめします。
架電先の会社には、「どの受託先のための架電か」を残す必要があります。会社と会社を関連付けるときに、関連付けラベル(「受託先」「架電先」など)で関係の意味を表せます。ただし、カスタムの関連付けラベルを作るにはProfessional以上が前提です(HubSpot公式: 関連付けラベル)。Starter以下の場合は、取引側に「受託先」プロパティーを持たせて代用します。
取引(Deal)は、受託先に報告する成果の単位で作ります。たとえば「アポイント獲得」から始まり、「商談実施」「見積提出」「受注」と進む流れです。成果の定義は受託先ごとに異なるため、どこまでを営業代行の成果とするかを、契約書と合わせてステージ名に落とし込みます。
取引のステージには、成功確率(Probability)が設定されており、ボード表示で加重金額の計算にも使われます。受注と失注のステージを必ず含める必要がある点は、公式にも明記されています(HubSpot公式: パイプラインの設定)。営業代行では、受託先の受注までを追わない場合でも、「アポ獲得後に先方で無効になった」といった終了ステージを置いておくと、後で数字が揃います。
架電1回1回は、取引ではなく、会社やコンタクトに紐づく通話のアクティビティーとして残します。架電のたびに取引を作ると、取引数が膨れ上がり、パイプラインが見えなくなるためです。
流れとしては、架電の記録(通話)が貯まり、反応が良かった相手だけが取引に昇格する形になります。この分離ができると、「架電数に対してアポ率はどうか」という営業代行の生命線の指標が自然に取れます。
営業代行の価値は架電の量と質にあります。ここをHubSpotでどう記録するかが、設計の中心です。
HubSpotの通話には、あらかじめ「Busy」「Connected」「Left live message」「Left voicemail」「No answer」「Wrong number」の結果が用意されています。さらに、Sales HubまたはService HubのProfessional以上であれば、独自の結果を追加できます(HubSpot公式: 活動の手動記録)。
営業代行では、受付で止まった・担当者につながった・不在・資料送付で合意・アポ獲得、といった独自の結果が欲しくなります。結果を自由記述ではなく選択式にすることで、受託先別・担当者別の接続率やアポ率が数えられるようになります。結果の選択肢を増やしすぎると入力が負担になるため、最初は5〜6個程度に絞るのがいいかなと思います。
通話の記録は、HubSpotの画面から発信して自動で残す方法と、手動で通話をログする方法があります。外部のCTI(電話連携サービス)を使っている会社も多いので、その場合は連携の可否を先に確認します。HubSpotで録音や文字起こしを扱う場合、連携できる通話サービスは限定されており、対応する一覧はHubSpotのアプリマーケットプレイスにあります。録音の文字起こしにはSales HubまたはService Hubのシートも必要です(HubSpot公式: 通話録音と文字起こし)。
通話機能の詳細はHubSpotの通話機能と電話連携で整理しています。録音を行う場合は、案内の文言や、自社が属する地域の法令・受託先との取り決めも合わせて確認してください。
「3日後に再架電」「担当者名を確認して再度」といった次のアクションは、タスクとして記録します。タスクには担当者・期限・リマインダーを付けられ、通話をログするときに、その場でフォローアップのタスクを作ることもできます(HubSpot公式: タスクの作成)。
ワークフローでタスクを自動作成するにはProfessional以上が必要です。まずは手動で、通話結果に応じて再架電のタスクを作る運用から始め、パターンが固まったら自動化するのが現実的です。ワークフローの設定の考え方はHubSpotワークフローの設定方法も参考になります。
電話勧誘では、契約しない意思を示した相手への再勧誘が、特定商取引法で禁止されています(電話勧誘販売の規定。消費者庁の運用指針に具体例があります)。BtoC寄りの架電を行う営業代行会社では、「断られた」という事実をどう残すかが、運用上の重要な論点になります。
実務では、「架電拒否」という選択式プロパティーを持たせ、該当者を架電リストから外す条件にするのが基本です。HubSpotのセグメント(リスト)では、プロパティーの値を条件に、対象から除外した架電リストを作れます。具体的な法的判断は、必ず専門家や受託先の契約条件に従ってください。BtoB架電を中心とする場合でも、先方が明確に断った相手へ繰り返し架電しない運用は、受託先のブランドを守るうえで重要です。

記録の持ち方が決まったら、次は「どう見るか」です。
受託先ごとに成果の定義が違うなら、パイプラインを分ける方法があります。カスタムパイプラインは、Starterで15、Professionalで100まで作成でき、パイプラインをチーム単位で制限したり複製したりするにはProfessional以上が必要です(HubSpot公式: パイプラインの設定)。
一方、受託先の定義がほぼ同じなら、パイプラインは1本にして、「受託先」プロパティーで切り分けるほうが管理が楽です。パイプラインが増えるほど、ステージ名の変更やレポートの作成がその数だけ必要になるためです。受託先が5社程度までは1本+プロパティー、成果の定義が大きく違う受託先だけ別パイプラインという使い分けが、運用負荷とのバランスがいいかなと思います。
通話結果が選択式で残っていれば、受託先別・担当者別・期間別の集計がレポートで作れます。見たい指標は、架電数、接続数(担当者につながった数)、アポ数、そしてそれぞれの比率です。
受託先への月次報告用に、受託先ごとのダッシュボードを1つ作っておくと、毎月の報告資料づくりがほぼ画面の確認になります。架電の「量」だけでなく、反応の内訳(どこで止まっているか)を見せられると、受託先への提案にもつながります。
受託先に画面を見せるか、レポートを送るかは、契約と運用で決めます。HubSpotでは、ユーザーごとの権限でアクセス範囲を絞れますが、受託先ごとに他社の情報を見せない運用が必要です。受託先のユーザーをHubSpotに招待する運用は、最初は避け、PDFや共有リンクでのレポート送付から始めるのが安全です。
また、受託先から預かったリストの個人情報を、自社のポータルで保有してよいかは、委託契約の条項次第です。契約終了時の返却・削除をどうするかも含めて、設計の前に確認してください。
営業代行にHubSpotを導入するとき、何でもHubSpotで完結させようとすると、運用が破綻します。線引きを表にします。
| 領域 | HubSpotで管理できる | HubSpotには向かない(専用システムの領域) |
|---|---|---|
| 受託先・架電先の情報 | 会社・コンタクトの一元管理、区分や属性の持ち方 | 受託先の基幹システムとの双方向の厳密な同期 |
| 架電の記録 | 通話結果の選択式記録、通話ログ、タスク、録音 | 大量発信のオートダイヤル制御・プレディクティブ発信(専用のCTI・コールセンターシステム) |
| 案件・商談 | 受託先別のアポ・商談・受注の進捗管理 | 受託先側の最終的な契約・請求管理 |
| 成果の報告 | 受託先別ダッシュボード、架電数・アポ数の集計 | 成果報酬の精算・請求金額の計算(請求・精算システム) |
| 稼働・人員 | 担当者別の架電成果の可視化 | 勤怠管理・シフト・稼働時間に基づく報酬計算 |
特に、成果報酬の精算は、HubSpotの得意領域ではありません。成果の定義(アポ1件いくら、受注の何%など)が受託先ごとに異なり、取消・保留・返金などの例外処理も発生するためです。HubSpotは「この成果は、この通話・この取引が根拠である」という証跡を残す役割にとどめ、金額計算は請求・精算システムまたは会計側に任せるのが堅実です。
HubSpotで取引の金額を持たせることも可能ですが、それは受託先に報告する見込み・実績の目安であって、請求の確定金額とは別の話です。両者を混ぜると、後から齟齬が出ます。
最初から全受託先を載せ替えると、設計の見直しが全件に及びます。おすすめの進め方は次のとおりです。
標準のオブジェクトで足りない場合に限り、カスタムオブジェクトを検討します。カスタムオブジェクトの作成にはEnterpriseが必要です(HubSpot公式: カスタムオブジェクト)。判断の考え方はカスタムオブジェクトの設計判断にまとめています。業界別の整理は業界別HubSpot活用ガイドも参照してください。

HubSpotの画面から発信し、通話を自動記録する方法はあります。ただし、大量の自動発信(オートダイヤル)やコールセンター向けの制御が必要な場合は、専用のCTIを使い、通話結果をHubSpotに連携する形が一般的です。連携できるサービスは限られるため、導入前に対応を確認してください。
運用の手間を考えると、まずは1つのポータルで、受託先をプロパティーやパイプラインで分ける方法をおすすめします。受託先ごとに別ポータルにすると、設定・ユーザー管理・レポートがその数だけ増えます。ただし、受託先が自社のHubSpotで直接管理したいと希望する場合などは別の判断になります。
インポート自体は可能ですが、登録するコンタクト数に応じてプランや課金区分に影響する場合があります。リストの全件を載せるのではなく、実際に架電する対象と結果が出たものから載せる運用も検討してください。
できます。自社の営業パイプラインと、受託先向けの案件パイプラインは分けて管理するのがおすすめです。会社の区分プロパティーで、受託先・見込み客・架電先を見分けられるようにしておくと混ざりません。
営業代行の管理は、受託先が増えるほど「表が増える」問題になります。HubSpotでは次の設計で整理できます。
最初の一歩としておすすめするのは、受託先1社分の通話結果の選択肢を5つ決めることです。そこから、架電の記録が同じ形で貯まる状態を作れば、受託先が増えても同じ型で広げられます。
自社の受託形態に合わせた設計を検討したい場合は、StartLinkの無料相談でご相談ください。現状の管理方法をうかがったうえで、設計の方向性をご提案します。
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株式会社StartLink 代表取締役。累計150社以上のHubSpotプロジェクト支援実績を持ち、Claude CodeやHubSpotを軸にしたAI活用支援・経営基盤AXのコンサルティング事業を展開。
HubSpotのトップパートナー企業や大手人材グループにて、エンタープライズCRM戦略策定・AI戦略ディレクションを経験した後、StartLinkを創業。現在はCRM×AIエージェントによる経営管理支援を専門とする。