HubSpot Breeze vs Salesforce Einstein AI CRM比較と選び方

  • 2026年3月12日
  • 最終更新: 2026年10月24日
HubSpot Breeze vs Salesforce Einstein比較|AI CRMツールの機能・精度・コスト
この記事の結論

「AI CRMを選ぶときは、営業やマーケティングの流れの中で、AIに任せる仕事と人が判断する仕事を分けることが出発点です。」

ブログ目次


「AI CRMを選ぶときは、営業やマーケティングの流れの中で、AIに任せる仕事と人が判断する仕事を分けることが出発点です。」

「メールや顧客情報を別々に管理していて、AIを使う前にデータを整える作業が増えている」

「AIで文章を作れても、誰が確認して次の営業活動につなげるのか決まっていない」

「HubSpot BreezeとSalesforce Einsteinの機能表を見ても、自社の運用にどう当てはめるか判断しにくい」

——こうした課題には、機能名の比較に加え、業務とデータの流れの確認が必要です。

Claudeのような汎用のAIチャットは、コネクタを使わず情報を貼り付ける場合は貼り付けた情報を前提に動きます(コネクタで外部サービスへ接続することもできます)。それに対し、BreezeとEinsteinはCRMの記録を前提に動きます。BreezeとEinsteinの違いは、HubSpotではAIをCRMに組み込んだ機能群とエージェント基盤として、SalesforceではAIをプラットフォームに組み込んだ機能(Einstein)とエージェント(Agentforce)として提供している点にあります。比較の中心は機能名ではなく、データと確認の設計です。

HubSpot BreezeとSalesforce Einsteinを比較するときは、まず支援したい仕事を一つ選びます。その仕事で使う顧客データ、AIの出力を確認する担当者、結果を渡す後工程を決めてから、両製品で同じ条件を試します。必要な情報や確認者が決まっていなければ、機能を試す前に業務手順を整えます。

本記事では、コンテンツ生成、予測分析、AIエージェントの比較項目から、CRMの記録方法、費用と運用負荷、試行後の判断までを順に説明します。機能を使えるかだけでなく、出力を確認し、業務に引き継げるかまで確かめるための手順です。製品ごとの利用可能な機能や契約条件は確認したうえで、自社の業務に当てはめて判断しましょう。

本記事は「HubSpot完全ガイド」関連記事です。


この記事でわかること

AI CRMの選定を担当し、機能の違いを自社の仕事に結びつけたい方に向けて、比較前に決めること、製品ごとに確かめること、試行後に見直すことを順に整理します。読み進めながら、まず試す業務と、その結果を確認する担当者を選んでください。

  • AI機能の比較軸 — コンテンツ生成、予測分析、エージェントについて、対象業務、参照データ、確認工程を揃える方法
  • CRM全体での位置づけ — 顧客情報から取引、顧客化後の対応まで、AIの結果をどこへ渡すかを決める方法
  • 導入前の設計事項 — 取引ステージや入力項目を定義し、AIの出力を使える状態にするための確認事項
  • 選定と開始の進め方 — 同じ業務で製品を比べ、試行結果に応じて利用範囲を広げるか見直すかを決める手順

HubSpot BreezeとSalesforce Einsteinを比較する前に整理すること

AI CRMは、顧客情報を扱う業務で文章作成、分析、顧客対応などを支援します。最初に確認するのは、現在の業務で情報がどこに置かれ、誰が次の行動を決めているかです。

Excelやスプレッドシート、個別のメールに情報が分かれている場合は、今回試す業務に必要な情報を選び、AIが参照できる状態かを確かめます。参照元と結果の受け渡し先が決まれば機能の比較へ進みます。決まらなければ、先に情報の管理方法と担当者を整理します。

機能名ではなく業務の詰まりから始める

「メールの初稿を作る」「問い合わせの内容を分類する」「商談の見通しを把握する」など、解決したい仕事を具体化します。次に、その仕事がコンタクト、会社、取引のどの情報を使い、結果を誰に渡すかを記録します。

例えばメールの初稿を選ぶなら、誰に何を伝えるメールか、顧客情報のどの項目を参照するか、送信前に誰が事実と表現を確かめるかを書き出します。問い合わせ分類なら、分類結果を見た担当者がどの対応を始めるかまで決めます。出力後の行動が決まっていない場合は、その行動を定めてから機能を試します。

必要な情報が揃い、結果を受け取る担当者も決まっていれば、その仕事に対応する機能を比較します。情報や担当者が曖昧なら、機能の試行前に業務手順を整えます。

Excelや手動管理の範囲を把握する

顧客リストと営業状況を別々の表で管理している場合は、更新先、更新する担当者、記録のタイミングが揃っているかを確認します。AIの出力を業務判断に使う前には、参照元の情報が現在の状況を表し、必要な項目が埋まっているかを確かめます。

棚卸しでは、データの管理場所、更新する担当、後工程へ渡す方法を記録します。同じ顧客や取引について記載が食い違う場合は、どの記録を判断の基準にするかを担当者と決めます。手動の転記が残る箇所は、転記前後の内容を誰が確認するかも定めます。そのうえで、今回の試行に必要な情報から整えます。

CRMを事業の流れとして見る

CRMは顧客情報の記録に加え、コンタクトから取引、顧客化後の対応、請求に関係する業務へ情報を渡すためにも使います。AI機能をどこに置くか考える際は、処理の前後にいる担当者と、引き継ぐデータを確認します。

例えば問い合わせを分類するなら、分類結果を誰が確認し、どの担当者へ渡し、対応結果をどこに記録するかまで決めます。分類後の対応が決まらない場合は、分類機能の評価に進む前に引き継ぎ方法を定めます。引き継ぎ先が決まったら、担当者が分類結果だけで次の対応を選べるかを実際の問い合わせで確かめます。


2026年10月時点の公式情報で確認できる両製品の位置づけ

比較の土台として、各社の公式ページに書かれている現在の位置づけを整理します。2026年10月時点の内容であり、名称や提供範囲は更新されるため、導入判断の直前に公式ページで再確認してください。

観点 HubSpot Breeze Salesforce Einstein/Agentforce
現在の名称 Breeze Assistantに加え、Agent Hubでエージェントを作成・運用します Einsteinはプラットフォームに組み込まれたAI機能で、エージェントはAgentforce(旧Einstein Copilot)です
エージェントの例 Content Agent、Prospecting Agent、Customer Agent、Data Agent、Agent Builder Prospecting Agentのほか、営業・サービス・マーケティング向けの各エージェント
参照するデータ CRMのレコード、アップロードした資料、MCP経由の外部システムなど、エージェントごとに設定します CRMの履歴、通話録音、過去のメール、サードパーティのデータソースなどを参照します
設定の入口 Agent Hubの「Create」から、指示・アクション・ナレッジ・入力を設定します(Super AdminまたはAgent Builder権限が必要) Agentforce Builderで、ローコードにエージェントをカスタマイズします

出典(2026年10月24日に確認):HubSpotのAI製品ページ、HubSpotのエージェントビルダーの手順、SalesforceのAgentforce紹介ページ、SalesforceのProspecting Agentのページ。

この表から言えるのは、どちらもCRMのデータを参照するエージェントを備え、人が結果を確認する前提で設計できるということです。HubSpotの導入・構築を本業とする立場から見ると、差が出やすいのは機能の有無よりも、取引ステージや項目の定義、エージェントに許可する読み取り・書き込みの範囲、権限の割り当てといった設計側の準備です。Salesforceを既に使っている組織は、現在のデータ構造とAgentforceの設定を基準に検討できます。HubSpotでは、権限と参照データを画面上で設定でき、管理者が試行範囲を区切りやすい点を確認できます。各エージェントの設定は、HubSpot Agent Hubの解説とProspecting Agentの解説で詳しく扱っています。


BreezeとEinsteinのAI機能を業務別に比べる

比較する業務を決めたら、コンテンツ生成、予測分析、顧客対応のうち、その業務に必要な用途を選びます。自社の契約条件と権限で使える機能を確認し、同じ入力情報と判断目的で試します。結果を見る際は、出力の内容だけでなく、担当者による確認と後工程への受け渡しも比べます。

比較の記録には、対象業務、入力情報、期待する出力、利用できた機能、担当者が直した箇所、後工程で使えたかを両製品で同じ見出しにして残します。片方だけ入力情報や確認方法を変えた場合は、出力の差を製品の差として判断せず、条件を揃えて確かめます。

以下の表は機能名の優劣ではなく、確認する観点として使ってください。次の図は、HubSpotのワークフローで「カスタムLLMを使用」アクションを使い、問い合わせを分類する場合の設定の流れを一般化したものです。この流れを手がかりに、問い合わせの分類条件、分類後に記録する情報、結果を確認する担当者を整理します。

ワークフローでカスタムLLMアクションを設定する流れ(開始条件、アクション追加とAPIキー接続、モデル選択とプロンプト、応答の利用)の図

接続できるAIプロバイダーとモデル、利用できるプランは、HubSpotのカスタムLLMワークフローアクションの解説で確認してください。

Breezeを検討する際は、利用する画面と担当者が出力を確認する場所を自社環境で確かめます。次の画像は、HubSpot公式サイトでBreezeの機能群を紹介している画面です。製品の全体像をつかむ入口として参照してください。

HubSpot公式サイトのBreeze紹介画面

同条件の試行を記録する:問い合わせ分類の例

比較を機能名の印象で終わらせないために、同じ問い合わせ10件程度を両製品に流し、次の形で記録します。件数は一例で、確認者が全件を見られる量に合わせてください。

記録項目 HubSpot Breezeで試す場合 Salesforceで試す場合
入力 同じ問い合わせ文と、紐づく会社・コンタクトの項目 同じ問い合わせ文と、紐づく取引先・取引先責任者の項目
AIの処理 カスタムエージェントの指示に分類基準と出力形式を書く エージェントの指示に同じ分類基準と出力形式を書く
許可した操作 レコードの読み取りのみ(書き込みは許可しない) 同じく読み取りのみ
担当者の修正 分類を直した件数と、直した理由 分類を直した件数と、直した理由
後工程 担当者がその分類だけで対応を始められたか 担当者がその分類だけで対応を始められたか

HubSpotのエージェントビルダーでは、読み取りと書き込みのアクションを分けて選べます。最初は読み取りだけを許可し、修正理由が「参照情報の不足」に集中しなければ、書き込みの許可を検討します。

コンテンツ生成は利用場所と確認工程を見る

HubSpotの公式資料では、Breezeによるコンテンツ生成を使ってページやブログ記事などの内容を生成・改善でき、AI機能へのアクセスはAI設定で管理できると説明されています。

比較軸 HubSpot Breeze Salesforce Einstein
メール文面 対象の顧客情報を参照して初稿を作れるか確認する 同じ顧客情報と用途で初稿を作れるか確認する
ブログやランディングページ 利用中のコンテンツ作成画面と権限で使える範囲を確認する 必要な制作業務をどの製品・契約で担うか確認する
SNSや広告の文面 対象の投稿・広告業務で使える機能と確認工程を調べる 同じ投稿・広告業務に必要な機能と確認工程を調べる
運用時の確認 内容、顧客情報、表現を人が確認する 内容、顧客情報、表現を人が確認する
CTA文面 作成したいCTAで利用できる機能と権限を確認する 同じCTA制作をどの機能で行うか確認する

同じ依頼内容と顧客情報を使って初稿を作り、事実関係、表現、個人情報、次の行動を確認します。修正箇所は「参照情報が足りなかった」「指示した表現が反映されなかった」「担当者の判断が必要だった」のように理由も記録します。担当者が修正して使えるなら対象の文面で試行し、確認に必要な情報が足りなければ参照データや依頼内容を見直します。顧客への送信は、完成した文章を確認する担当者と手順が決まってから判断します。

予測分析は元データと業務定義を見る

予測分析は、利用できる機能を確認する前に、結果を何の判断に使うかを決めます。例えば商談の優先順位を見たいなら、比較する取引の範囲、取引ステージの意味、判断する担当者を揃えます。

比較軸 HubSpot Breeze Salesforce Einstein
リードや取引の予測 対象レコード、使える予測機能、結果の表示場所を確認する 同じ対象と判断目的で、使える予測機能と表示場所を確認する
カスタム予測 必要な独自条件を設定できるか、契約と設定方法を確認する 同じ独自条件を扱う方法と管理担当者を確認する
運用で見る点 記録の一貫性と、結果を使う担当者 予測に使う項目と、結果を管理する担当者
データ分析 必要なレポートを作り、結果を検証できるか確認する 同じ指標を分析し、結果を検証できるか確認する
異常検知 対象のレポートで異常表示を使えるか確認し、表示された変化の元データと確認者を記録する 対象のレポートを分析する機能と利用条件を確認し、示された変化の元データと確認者を記録する

HubSpotのレポート表示に関する公式説明とSalesforceの公式説明を参照してください。

受注見込みを判断する場合、取引ステージの定義が担当者ごとに異なると、結果を同じ基準で読めません。ステージへ進む条件、記録する項目、結果を見て行う対応を定めます。試行では、予測結果が示した取引について元のレコードを開き、担当者の見立てと異なる理由を確認します。記録漏れやステージの解釈違いが原因なら入力方法を直します。定義を揃えても結果を判断に使えない場合は、入力項目や予測の目的を見直します。

AIエージェントは任せる範囲を区切る

エージェントを比べるときは、名称よりも、参照する情報、実行する作業、人へ戻す条件を揃えます。HubSpotではBreezeのアシスタントとエージェントについて、SalesforceではAgentforce Prospectingについて、公式資料で機能と設定条件を確認できます。

評価項目 確認する内容
参照情報 CRMのどのレコードや社内情報を使うか
実行範囲 調査、下書き、分類、顧客への送信のどこまで任せるか
承認方法 送信やレコード更新の前に誰が確認するか
例外対応 情報不足や判断が難しい場合にどこへ引き継ぐか
見込み客調査 Agentforce Prospectingは調査を自動化し、会社とコンタクトの優先リストを作る機能です。公式説明を参照し、自社で使う情報と結果の確認者を決めます

まず調査や初稿作成など、担当者が結果を確認できる作業を選びます。試行前に、参照してよい情報と、情報が不足した場合に作業を止めて誰へ渡すかを決めます。試行中は、担当者が誤りを発見できた場面と、判断に迷った場面を記録します。顧客への連絡や重要な更新へ範囲を広げるかは、確認者が結果の根拠を追え、例外を処理できることを確かめてから判断します。


AIの出力を業務で使うためのCRM設計

機能の試行に進む前に、AIが参照する顧客情報と営業活動の記録方法を確認します。特に予測結果を使う場合は、取引ステージの意味が揃っているかが判断の分かれ目です。ここでは、パイプラインの定義、入力漏れへの対応、後工程への引き継ぎを順に確認します。

パイプラインを4つの要素で定義する

予測やフォーキャストを営業判断に使うなら、取引ステージ、各ステージの受注確度、ステージの定義、移行時の必須入力項目を一緒に決めます。

例えば「提案中」に進める条件や、その時点で必要な金額・クローズ日が曖昧なら、取引を同じ基準で比較できません。まず実際の営業手順を確認し、各ステージで何が確認できたら次へ進むかを言葉にします。その判断や後続作業に使う項目を選んで入力方法を決めます。

定義した後は、実際の取引を担当者と見ながら、同じ状況なら同じステージを選べるかを確かめます。判断が分かれた取引は、ステージ名だけで解決しようとせず、移行条件や確認すべき情報を見直します。記録の意味が揃ってから予測結果を比較します。

入力漏れは仕組みで防ぐ

担当者が記録すべき情報を理解できるよう、ステージの移行条件と入力項目を対応させます。入力が不足した取引を見つけたときは、項目の必要性、入力する時点、情報を持っている担当者を確認します。

必要な情報なら記録方法を整えます。現場で取得できない情報なら、必須にする時点や項目そのものを見直します。入力ルールを決めた後は、担当者が同じ手順で記録できるかを実際の取引で確かめます。入力漏れが続く場合は、注意喚起を増やす前に、その項目を入力する場面と担当者が業務手順に合っているかを確認します。

一気通貫の流れに機能を置く

問い合わせの受付から顧客化、その後の請求関連業務までを一連の流れとして整理し、各段階の担当者とデータを明確にします。問い合わせの分類結果は担当者への振り分けに、文章の初稿は顧客への連絡に、予測結果は取引の見通しを確認する場面に置けます。

AIの処理結果をどのレコードに残し、誰が後工程で使うかを決めます。結果を別の表へ転記する必要がある場合は、まず必要な情報と引き継ぎ先を確認し、その工程を試行範囲に含めるか判断します。後工程の担当者が必要な情報を受け取れないなら、出力の内容だけを評価して試行を終えず、記録先や引き継ぎ方法を直します。


導入コストと運用負荷をどう比べるか

費用の比較では、利用したい機能、利用者、必要な契約条件を先に揃えます。料金や利用条件は契約によって変わるため、見積もりの前提と、導入後に担当者が行う作業を分けて確認します。

両製品とも、同じ対象業務について設定、データ整備、出力の確認、利用者への案内を洗い出します。必要な機能を利用できても、確認や修正を担う担当者が決まらなければ、試行範囲を絞って運用方法を先に決めます。

契約費用と運用費用を分ける

比較表では、CRMの基本ライセンス、AI機能、利用量に応じた費用、導入・設定作業を分け、契約に含まれる範囲、追加費用の発生条件、試す業務と利用者を記録します。条件を確認できない項目は見積もりに含めず、確認事項として残します。

費用項目 確認すること
CRMライセンス 利用者、利用する機能、契約プラン
AI機能 標準で使える範囲と追加契約の有無
利用量に応じた費用 クレジットや会話数などの課金条件
導入・設定 データ整備、設計、初期設定に必要な作業
継続運用 出力の確認、設定の見直し、利用者への案内

見積もりを比べるときは、両製品に同じ対象業務と利用者を伝え、回答の前提を並べます。例えば、一方にだけ初期設定や出力確認の作業が含まれていれば、その差を明示してから判断します。利用量の条件が未確認なら、想定する使い方を伝えて契約条件を確認し、条件が揃うまでは費用の優劣を決めません。

運用作業も担当を割り当てます。データを直す人、AIの出力を確認する人、設定を見直す人が同じとは限りません。担当者と作業のタイミングを決められる構成なら試行へ進み、担当を置けない作業があるなら対象業務や利用範囲を見直します。

試行後の判断の分かれ目

同じ問い合わせ10件程度を両製品で試したあとは、まず「担当者が修正した件数」ではなく「修正の理由」を並べます。理由が参照情報の不足に偏っていれば、製品の差ではなくデータ整備の問題なので、項目を整えて同じ条件で再試行します。理由が指示の解釈の違いや分類基準の曖昧さに偏っていれば、基準を文章で定義し直して再試行します。どちらを直しても、一方の製品でだけ後工程が止まる(担当者が分類結果だけでは対応を始められない、権限の都合で必要なレコードを読めない)なら、そこが製品選定の判断材料です。両製品とも後工程が止まらなければ、価格より先に、設定と確認を担う担当者を置ける側の運用構成を選びます。判断の根拠は、修正理由の内訳、後工程が止まった件数、設定変更に要した作業の3つを記録として残します。

判断の目安は、たとえば次のように先に決めておきます。数値は一例で、業務の重さに合わせて変えてください。

記録の結果(10件で試した場合の例) 次の打ち手
修正した件のうち半数以上が「参照情報の不足」 製品の比較を止め、項目の整備を先に行ってから同じ10件で再試行する
修正した件のうち半数以上が「分類基準の解釈違い」 分類基準を文章で定義し直し、同じ10件で再試行する
後工程が止まった件数が一方の製品だけ2件以上 その原因(権限・参照できる項目・出力形式)を製品選定の判断材料にする
2回再試行しても修正件数が減らない 対象業務をAIに任せる範囲から外し、別の業務で試し直す

基準を試行の前に決めておくと、結果を見てから都合のよい解釈をすることを防げます。

費用対効果は削減時間だけで決めない

試行の評価では、作業にかかる時間に加え、出力が実際に使われたか、修正や確認にどのような作業が必要だったか、後工程へ情報を渡せたかを見ます。

導入前に現在の作業手順と手戻りが起きる箇所を記録します。試行後は同じ業務について、初稿の作成、確認、修正、引き継ぎまでを通して見直します。初稿が早くできても、顧客情報を調べ直したり、後工程で入力し直したりするなら、その作業も評価に含めます。

担当者が確認でき、結果を後工程で使えるなら、利用範囲を広げるか検討します。修正の理由が参照情報の不足ならデータを整え、出力を使う場面が定まらないなら対象業務を選び直します。修正の負担を担当者に割り当てられない場合は、利用範囲を広げる前に運用方法を見直します。

プラン名より実際に必要な条件を見る

料金やクレジットの条件は契約形態によって異なり、本記事では金額を掲載しません。プラン名だけで利用可否を決めず、契約時点の公式情報(HubSpotの価格ページ・Agentforceの価格ページ)で、必要な機能、利用者の権限、利用量の条件を確認します。追加契約が必要な場合は、対象業務で得たい結果と、運用担当者が担える作業を並べて判断します。

必要機能を利用でき、利用量と確認工程の見通しが立つなら、その構成で試します。条件が揃わなければ、対象業務を絞るか、契約条件を確認してから試行内容を決めます。データを補う機能についても、利用可否とクレジットの扱いを契約時点で確認してください。HubSpot側のクレジットの考え方はHubSpot AIクレジットと料金の解説で整理しています。確認した条件は見積もりの前提と一緒に残し、利用者や対象業務を変えるときに見直します。


自社に合うAI CRMを選ぶ判断基準

業務、データ、運用体制の条件を揃えて製品を比較します。マーケティングと営業で共通の情報を使いたいのか、独自の分析条件やエージェントの設計を重視するのかによって、確認すべき点は変わります。

Salesforceを利用しているチームは、現在のデータ構造と営業手順を基準に、使いたい機能を試します。HubSpotを検討するチームは、問い合わせから取引、顧客化後の対応まで、必要な情報をどう記録し渡すかを確認します。いずれも、必要な機能を使えることと、担当者が結果を業務に取り込めることを確かめてから選びます。

結論:既存の基盤と設計の準備で順番を決める

2026年10月時点の公式情報を踏まえると、選び方の結論は次の3点です。

  • すでにSalesforceで営業データが整っている組織は、そのデータ構造を基準にAgentforceとEinsteinの機能を試す
  • マーケティング、営業、サポートの情報を一つのCRMに寄せたい組織は、HubSpotのAgent Hubで同じ業務を試し、権限と参照データの設定のしやすさを確かめる
  • どちらの場合も、取引ステージの定義と確認者が決まっていなければ、製品の比較より先に設計を整える

HubSpotは当社の本業のため、HubSpot起点の見方になる点はご承知ください。Salesforceは大規模で複雑な営業組織を支える実績のある製品で、優劣を決める記事ではありません。公式ページの情報は変わるため、本記事の確認日は2026年10月24日です。

業務とデータの適合性を比べる

以下の質問に対し、製品ごとに「現状で対応できる」「設計や追加作業が必要」「今回の対象外」を記録します。判断に迷う項目は、実際のデータを使った試行で確かめます。

評価基準 確認する質問
業務範囲 マーケティング、営業、サポートのどの業務で使うか
データ構造 コンタクト、会社、取引に必要な情報が揃っているか
AIの用途 生成、分類、予測、顧客対応のどれを優先するか
人の確認 誰が出力や更新結果を確認するか
連携 後工程へどのデータを渡す必要があるか
運用体制 設定や継続改善を誰が担うか

「設計や追加作業が必要」とした項目は、作業内容と担当者を具体化します。両製品とも対応できる場合は、出力を直す作業、記録先、後工程への受け渡しを比べます。どちらかの製品で必要な情報を扱えない、または確認担当者が結果を使えない場合は、機能の印象だけで選ばず、業務条件を満たす方法を再確認します。

向いている業務を見極める

コンテンツ生成や問い合わせ対応を重視するなら、作成した内容を誰が確認し、顧客情報や対応履歴にどう反映するかを見ます。独自の分析条件やエージェントを重視するなら、その条件を誰が定義し、運用中に見直すかまで確認します。

データが分散し、取引ステージや項目の意味が揃っていない場合は、まず記録方法を整えます。比較する取引の範囲を決め、ステージへ進む条件、判断に使う項目、入力担当、更新のタイミングを揃えます。次に、実際の取引を見て担当者間で解釈が分かれる箇所を直します。

記録の意味が揃ったら、予測結果と担当者の見立て、実際の取引結果を照らします。違いが出たときは、入力漏れ、定義の違い、判断目的の違いのどこに原因があるかを確認します。原因を追えて、結果を使った次の行動を担当者が決められるなら業務での利用を検討します。記録漏れや定義の違いが残る間は、予測結果だけで判断しないようにします。

小さく試してから広げる

最初の対象業務を一つ選び、利用者、入力情報、AIが行う処理、確認担当者、評価方法を決めます。メール初稿の作成を試すなら、対象のメール、参照する顧客情報、担当者の修正内容、送信前の確認方法を記録します。

試行後は、出力が使われたか、どこを修正したか、結果が後工程へ渡ったかを確認します。確認工程が機能し、必要な情報も揃うなら隣接する業務へ広げます。問題が残るなら、修正理由に応じて入力情報、指示、記録先、担当者の手順を直し、同じ業務で再確認します。対象を広げる際は、新しい業務でも確認者と引き継ぎ先を決めてから試します。


導入前に押さえたい注意点

AI CRMの導入では、出力の内容に加え、参照データ、利用範囲、判断する責任者を決めます。顧客向けの文章や自動処理では、想定外の結果を見つけたときに誰が止め、修正するかを明確にします。

利用できる機能は契約や設定によって異なります。公式の製品説明と自社の契約条件を確認し、自社のデータを使った試行で業務への適合性を判断します。確認者が判断に必要な情報を見られる状態になってから、対象業務を広げます。

AIに任せる作業と人が決める作業を分ける

問い合わせの分類、レコードの要約、企業情報の調査、メールの下書きなどは、担当者が結果を確認する手順を設けて試せます。営業プロセスやライフサイクルステージの定義、重要案件の方針、最終的な顧客連絡は、責任者を決めて判断します。

役割分担では、入力、出力、確認者、承認後の処理を記録します。確認者が判断できる情報が不足していれば参照データを見直し、判断が難しい結果は担当者へ戻す手順を設けます。担当者へ戻した後に必要な情報を補えたかも確認し、同じ理由で判断が止まるなら入力条件を見直します。

日本語の表現と業務ルールを検証する

日本語で生成された文章でも、自社の敬語や顧客との関係性に合うかを確認します。試行時には、事実関係、丁寧さ、社内で避ける表現、顧客固有の情報の扱いを見ます。

期待する文体や条件を指示に含め、修正箇所を記録します。事実の修正が続くなら参照情報を、表現の修正が続くなら指示や確認基準を見直します。担当者が修正理由を判断でき、送信前に確認できる手順を整えてから、利用する業務を広げます。

自動化の範囲を段階的に広げる

まず分類や下書きのように、人が結果を見て判断できる処理を試します。次に、結果の記録や担当者への引き継ぎを確認し、誤りが起きたときに検知・修正できるかを見ます。

各段階で、確認者、修正方法、次へ進む条件を定めます。顧客へ直接送る処理や重要なレコードの更新は、対象業務の確認体制と例外への対応が機能することを確かめてから判断します。想定外の結果を誰が見つけ、どの記録を直すか決められない場合は、その処理を広げる前に手順を整えます。


よくある質問

HubSpot BreezeとSalesforce Einsteinはどのように比較すればよいですか?

まず支援したい業務を一つ定め、必要なデータ、出力後の担当者、後工程を並べます。同じ業務とデータで利用できる機能を確認し、出力の内容、修正が必要だった理由、後工程へ渡すまでの作業を比較します。入力条件が異なる場合は揃えてから判断します。

AIの予測を使う前に何を整えればよいですか?

取引ステージの定義、ステージごとの受注確度、判断に必要な入力項目を揃えます。担当者によって記録の意味が異なるなら、実際の取引を見ながら定義と入力する時点を決めます。その後、予測結果と担当者の見立てが異なる取引を確認し、記録や判断目的を見直します。

AIが作ったメールはそのまま送信できますか?

送信前に担当者が顧客情報、事実関係、表現、依頼内容、次の行動を確認します。確認に必要な情報が不足している場合は、参照情報や初稿の作成条件を見直します。確認者と送信までの手順を決めてから、その業務で利用します。

初めて導入するとき、どの業務から試せばよいですか?

作業手順が明確で、結果を人が確認できる業務を一つ選びます。問い合わせの分類やメールの下書きなら、入力情報、確認者、結果の引き継ぎ先を決めて試行できます。試行後に修正理由と引き継ぎの状況を確認し、手順が機能してから対象を広げます。

Salesforceを使っている場合もHubSpot Breezeを比較できますか?

比較できます。現在のデータ構造と業務の流れを基準に、両製品で同じ仕事を行うための機能、契約条件、設定作業、確認工程を並べます。必要な情報を扱え、担当者が結果を使えるかを試行で確かめてから、対象業務を担う構成を判断します。


まとめ

HubSpot BreezeとSalesforce Einsteinを比較するときは、支援したい業務、使うデータ、結果を確認する担当者を揃えます。コンテンツ生成、予測分析、エージェントのいずれも、出力を次の業務へどう渡すかまで確認します。

まずは手作業やスプレッドシートで管理している業務を一つ選び、作業手順と担当者を整理して、改善できる工程を確認しましょう。

  1. 現在の作業、利用データ、担当者、後工程を記録します。必要な情報の管理場所や担当者が曖昧なら、先に整理します。
  2. AIに任せる処理と人が判断する工程を分け、両製品で同じ業務を試せる条件を揃えます。
  3. 出力の利用状況、修正点、後工程への受け渡しを確認します。確認工程が機能すれば範囲を広げ、問題があれば原因に応じて入力情報や手順を見直し、同じ業務で再確認します。

企業様によって最適な形は異なります。CRMを活用した業務効率化やAIとの連携に関するご相談は、StartLinkまでお気軽にお問い合わせください。


あわせて読みたい

まずは、対象業務で記録が必要な顧客情報・取引情報と、そのデータを使う後工程を洗い出してください。誰が情報を更新し、どの場面で次の担当者へ渡すかまで整理すると、AI機能を試す前に整えるべき点が見えます。CRMでの記録方法や業務全体の流れを確認する際は、次の記事も参照してください。

記事の内容を、そのまま実務に落とし込みたい方向け

HubSpotゴールドパートナーのStartLinkが、HubSpot導入・AI活用・CRM整備・業務効率化までをまとめて支援しています。記事で気になったテーマを、そのまま相談ベースで整理できます。

記事の内容を、そのまま実務に落とし込みたい方向け


株式会社StartLinkは、事業推進に関わる「販売促進」「DXによる業務効率化(ERP/CRM/SFA/MAの導入)」などのご相談を受け付けております。 サービスのプランについてのご相談/お見積もり依頼や、ノウハウのお問い合わせについては、無料のお問い合わせページより、お気軽にご連絡くださいませ。

関連キーワード:

サービス資料を無料DL

著者情報

7-1

今枝 / Imaeda

株式会社StartLink 代表取締役。累計150社以上のHubSpotプロジェクト支援実績を持ち、Claude CodeやHubSpotを軸にしたAI活用支援・経営基盤AXのコンサルティング事業を展開。
HubSpotのトップパートナー企業や大手人材グループにて、エンタープライズCRM戦略策定・AI戦略ディレクションを経験した後、StartLinkを創業。現在はCRM×AIエージェントによる経営管理支援を専門とする。