クラウド移行の戦略と進め方|オンプレミスからの移行計画を成功させるポイント

  • 2026年3月4日
  • 最終更新: 2026年4月25日
この記事の結論

総務省の「情報通信白書」によると、日本企業のクラウド利用率は2024年時点で約77%に達しています。しかし、「全面的にクラウドを活用している」企業はまだ約30%にとどまり、多くの企業がオンプレミスとクラウドの混在環境で運用しています。

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記事の内容を、そのまま実務に落とし込みたい方向け

HubSpot導入、AI活用、CRM整備、業務効率化までをまとめて支援しています。記事で気になったテーマを、そのまま相談ベースで整理できます。


総務省の「情報通信白書」によると、日本企業のクラウド利用率は2024年時点で約77%に達しています。しかし、「全面的にクラウドを活用している」企業はまだ約30%にとどまり、多くの企業がオンプレミスとクラウドの混在環境で運用しています。

クラウド移行は「オンプレミスのサーバーをクラウドに移す」だけの作業ではありません。移行戦略の選択を誤ると、コスト増大やパフォーマンス低下を招きます。本記事では、クラウド移行の戦略パターン、計画の立て方、成功のポイントを解説します。

本記事は「データドリブン経営の進め方|データに基づく意思決定を組織に実装するステップ」シリーズの一部です。

DXのツール選定について体系的に学びたい方は、DXツール・インフラガイドで全体像を把握できます。


この記事でわかること

  • クラウドに移行すべき6つの理由 — コスト最適化やBCP対策など、移行の主な動機と企業の採用率を紹介します
  • 7つの移行パターンの特徴と選び方 — そのまま移す・作り直す・廃止するなど、7つの方法の特徴とリスクを比較します
  • 移行計画の4段階の進め方 — アセスメントから最適化まで、各フェーズで何をすべきかを解説します
  • クラウド移行のコスト試算 — オンプレミスとの比較で見落としやすい項目と注意点を紹介します

これらの比較ポイントを押さえることで、自社に最適なツールを選ぶための判断軸が明確になります。導入で後悔しないためにも、


クラウド移行の動機

移行の主な理由

動機 内容 割合(複数回答)
コスト最適化 ハードウェア投資の削減、従量課金への移行 約60%
スケーラビリティ 需要に応じたリソースの柔軟な増減 約55%
セキュリティ強化 クラウドベンダーの高度なセキュリティ基盤 約40%
BCP(事業継続) 災害対策、冗長化 約35%
DX推進の基盤 SaaS/PaaS活用、API連携の容易さ 約45%
EOL対応 オンプレサーバー/OSのサポート終了 約30%

関連するテーマとして、ノーコード・ローコードツール比較もあわせてご覧ください。


クラウド移行の7つのパターン(7R)

AWSが提唱する移行パターンは、システムごとに最適な移行方法を選択するフレームワークです。

パターン 内容 コスト リスク 所要時間 ポイント
Rehost そのままクラウドに移行(リフト&シフト) EOL対応・緊急時の第一選択
Relocate VMwareなどの仮想基盤ごとクラウドに移行 VMware環境の企業向け
Replatform 一部変更してクラウド最適化 低〜中 DB変更等の部分最適化に
Refactor クラウドネイティブに再設計 中〜高 将来の拡張性を重視する場合
Repurchase SaaSに置き換え 中小企業に最も推奨
Retain 現時点では移行しない - - - 移行の必要性が低い場合
Retire システム自体を廃止 - - - 使われていないシステム

パターン選択の判断基準

判断基準 Rehost推奨 Repurchase推奨 Refactor推奨
移行の緊急度 高い(EOL対応等) 中程度 低い(計画的に進める余裕がある)
カスタマイズ度 高い(独自仕様が多い) 低い(標準業務) 高い(将来の拡張性重視)
SaaSの代替有無 ない ある ない
予算 限られている 中程度 十分にある

関連するテーマとして、マスターデータ管理(MDM)の重要性と整備方法もあわせてご覧ください。


クラウド移行計画の策定

Phase 1: アセスメント(1〜2ヶ月)

やるべきこと:

  • 移行対象システムの棚卸し
  • 依存関係のマッピング(このシステムが止まるとどの業務に影響するか)
  • 各システムの移行パターン(7R)の選択
  • コスト試算(TCO比較:オンプレ維持 vs クラウド移行)

Phase 2: 設計(2〜3ヶ月)

  • クラウドアーキテクチャの設計
  • ネットワーク設計(VPN/専用線、セキュリティグループ)
  • データ移行計画(対象、方法、検証手順)
  • セキュリティ設計(IAM、暗号化、監査ログ)

Phase 3: 移行実行(3〜12ヶ月)

  • テスト環境の構築と検証
  • パイロット移行(影響の小さいシステムから)
  • 本番移行(ビジネスへの影響を最小化するスケジュール)
  • 並行運用と切り替え

Phase 4: 最適化(移行後)

  • コスト最適化(不要リソースの削除、リザーブドインスタンスの活用)
  • パフォーマンスチューニング
  • 監視・アラートの設定

関連するテーマとして、レガシーシステム刷新の計画の立て方もあわせてご覧ください。


クラウド移行のコスト試算

TCO比較の項目

項目 オンプレミス クラウド
ハードウェア サーバー購入費(5年償却) なし
ソフトウェアライセンス OS、ミドルウェア インスタンス費用に含む(場合による)
電力・空調 データセンターの電力費 なし
人件費(運用) 自社のインフラエンジニア マネージドサービスで削減
ネットワーク 固定回線費用 データ転送費用
災害対策 DR環境の構築・維持 マルチリージョンで対応

注意: クラウドは常にオンプレミスより安いわけではありません。常時高負荷のシステムはクラウドの方が高くなるケースがあります。ワークロードに応じた試算が必要です。


セキュリティとコンプライアンス

クラウド移行において「セキュリティが心配」は最も多い懸念ですが、主要なクラウドベンダーのセキュリティレベルは、多くの企業のオンプレミス環境より高いです。

「共有責任モデル」の理解:

  • クラウドベンダーが責任を持つ: 物理インフラ、ネットワーク、ホストOS
  • 利用企業が責任を持つ: アプリケーション、データ、アクセス制御、設定

クラウド移行は、DX戦略を加速させるための基盤整備です。CRM、MA、会計ソフトなどのSaaS活用が進む中、インフラもクラウドに統一することで、全社的なデータ連携が容易になります(関連記事: CRM導入の進め方完全ガイド)。まずは影響の小さいシステムからクラウドに移行し、経験を積みながら段階的に拡大するアプローチが推奨されます(関連記事: CRMとERPの連携設計)。なお、クラウド移行に伴うデータ統合では、データクレンジングを事前に実施し、移行先でのデータ品質を確保することが重要です。

HubSpotで実現するクラウド移行の戦略と進め方

クラウド移行の戦略と進め方を実務に落とし込むには、CRMツールの活用が不可欠です。詳しくは「CRMデータ移行の完全マニュアル|既存システムからの安全な移行手順とチェックリスト」で解説しています。


次のステップ

クラウド移行に取り組むなら、CRM・データ基盤の整備が成功の鍵です。以下の記事でHubSpotを使った具体的な実践方法を解説しています。


あわせて読みたい


まとめ

  • クラウド移行の7R(Rehost〜Retire)からシステムごとに最適なパターンを選択する
  • 中小企業はSaaS置換(Repurchase)を優先。CRM・会計・MAなど業務SaaSへの移行が最もROIが高い
  • 移行計画は「アセスメント→設計→移行実行→最適化」の4フェーズ。影響の小さいシステムからパイロット移行
  • クラウドが常にオンプレより安いわけではない。ワークロードに応じたTCO比較が必須
  • セキュリティは「共有責任モデル」を理解し、アプリケーション・データ・アクセス制御は自社の責任範囲

DX推進の全体像についてはDX完全ガイドで基礎から実践まで体系的に解説しています。


よくある質問(FAQ)

Q1. クラウド移行の主な方式にはどんなものがありますか?

リホスト(Lift & Shift、そのまま移行)、リプラットフォーム(一部最適化して移行)、リファクタリング(クラウドネイティブに再設計)、リパーチェス(SaaSに置き換え)の4方式が主流です。既存システムの特性と移行目的に応じて使い分けます。コスト優先ならリホスト、パフォーマンス最適化ならリプラットフォーム、長期的な柔軟性ならリファクタリングが適しています。

Q2. AWS・Azure・Google Cloudのどれを選ぶべきですか?

自社の技術スタックと要件に応じて選択します。AWSはサービスの豊富さとシェアNo.1の安心感、AzureはMicrosoft製品との親和性、Google Cloudはデータ分析・AI/MLの強さが特徴です。CRMとの連携を重視するなら、HubSpotのData Hubが各クラウドとの連携をサポートしている点も考慮します。

Q3. クラウド移行の費用はどう見積もればよいですか?

移行費用(アセスメント・設計・実行)と運用費用(月額利用料)を分けて見積もります。移行費用はシステム規模によりますが、中小企業で数百万円〜が目安です。運用費用はオンプレミスの保守費と比較して判断します。TCO(5年間の総所有コスト)で比較すると、多くの場合クラウドの方が有利です。


StartLinkのHubSpot 基盤による データ活用サポート

StartLinkはHubSpotゴールドパートナーとして、CRM・SFA・MAの設計・導入・運用を一気通貫で支援しています。クラウド移行に合わせた顧客データ・営業データの基盤整備をHubSpotで行い、クラウドネイティブな運用に移行するご提案が可能です。加えて、独自開発した Sync for freee により HubSpot と freee 会計をリアルタイム連携。さらに Claude Code エージェントを活用したAI業務自動化で、レポート作成や定型業務の省力化もご提案可能です。

なお、オンプレミス基幹システムのクラウドリフト&シフトそのものの実装、DWH構築代行、レガシー刷新プロジェクトの実装は対応範囲外です。HubSpot を起点にした顧客データ × 会計データ × AIの領域に特化してご支援します。

クラウド移行に合わせたCRM基盤の設計でお困りの方は、まずはお気軽にご相談ください。


株式会社StartLinkは、事業推進に関わる「販売促進」「DXによる業務効率化(ERP/CRM/SFA/MAの導入)」などのご相談を受け付けております。 サービスのプランについてのご相談/お見積もり依頼や、ノウハウのお問い合わせについては、無料のお問い合わせページより、お気軽にご連絡くださいませ。

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著者情報

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今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLink 代表取締役。累計150社以上のHubSpotプロジェクト支援実績を持ち、Claude CodeやHubSpotを軸にしたAI活用支援・経営基盤AXのコンサルティング事業を展開。
HubSpotのトップパートナー企業や大手人材グループにて、エンタープライズCRM戦略策定・AI戦略ディレクションを経験した後、StartLinkを創業。現在はCRM×AIエージェントによる経営管理支援を専門とする。