ナレッジベースの基本概念と利用可能なプラン。記事の作成・カテゴリ設計の手順。
「同じ質問に何度も回答していて、サポートチームの工数が圧迫されている」
「FAQページを作ったものの、情報が古くなって顧客が自力で解決できない」
——カスタマーサポートの現場でこうした課題を抱えている企業は少なくありません。
HubSpotのナレッジベースとは、Service Hub上でFAQ記事やヘルプドキュメントを作成・公開・管理できるセルフサービス型のヘルプセンター構築機能です。 顧客が自分で答えを見つけられるようになることで、チケット数を削減し、サポートチームがより複雑な問い合わせに集中できる環境を作れます。
さらに、Breeze顧客対応エージェント(AIチャットボット)と連携させることで、ナレッジベースの記事をもとにAIが自動回答する仕組みも構築可能です。
この記事では、ナレッジベースの構築手順からカテゴリ設計、AIチャットボット連携、社内Wiki的な活用法まで詳しく解説します。
本記事は「HubSpot初期設定・オンボーディング完全マニュアル|アカウント作成後にやるべき設定一覧」シリーズの一部です。
本記事はHubSpotゴールドパートナーのStartLinkの「HubSpot完全ガイド」関連記事です。
この記事でわかること
- ナレッジベースの基本概念と利用可能なプラン — ナレッジベースは、Service Hub Professional以上で利用できるセルフサービスポータル機能です。
- 記事の作成・カテゴリ設計の手順 — - ナレッジベースの基本概念と利用可能なプラン — ナレッジベースは、Service Hub Professional以上で利用できるセルフサービスポータル機能です。
- AIチャットボット(Breeze顧客対応エージェント)との連携方法 — ナレッジベースの真価が発揮されるのは、Breeze顧客対応エージェントとの連携です。
- 社内Wiki・社内ナレッジとしての活用パターン — 実際の活用シーンを交えて、実務で再現できるレベルで解説します。
- ナレッジベースの効果測定と改善サイクル — 期待できる効果と成果を最大化するための条件を具体的にお伝えします。
HubSpot・AI・DXの取り組みを検討されている方に、
HubSpotのナレッジベースとは?
ナレッジベースは、Service Hub Professional以上で利用できるセルフサービスポータル機能です。顧客向けのFAQサイトやヘルプセンターをHubSpot上で構築し、検索可能な記事ライブラリとして公開できます。
Salesforceで言えば「Salesforce Knowledge」に相当する機能です。HubSpotの場合、CRMのコンタクトデータと連動しているため、どの顧客がどの記事を閲覧したかをトラッキングでき、サポート対応にも活用できる点がポイントになってくるかなと思います。
利用可能なプラン
| プラン |
ナレッジベース |
記事数上限 |
カスタムドメイン |
分析機能 |
| Free / Starter |
× |
— |
— |
— |
| Professional |
○ |
5,000記事 |
○ |
○ |
| Enterprise |
○ |
10,000記事 |
○ |
○(高度) |
注意: Starterプランでは標準のナレッジベース機能は提供されていません。ただし、ブログ機能を疑似的なナレッジベースとして活用する方法もあります。
デモ環境のナレッジベース画面(未設定状態)。ここから記事の作成を始められます。
ナレッジベースの構築手順
ステップ1: ナレッジベースの初期設定
- HubSpotナビゲーションから「サービス」→「ナレッジベース」を選択
- 初回セットアップでテンプレートとブランドカラーを設定
- ナレッジベースのURL(ドメイン/サブドメイン)を設定
- ヘッダー・フッター・ナビゲーションをカスタマイズ
ステップ2: カテゴリとサブカテゴリの設計
ナレッジベースの使いやすさはカテゴリ設計で決まります。顧客が直感的に目的の記事にたどり着けるよう、以下の観点で設計してください。
| 設計の観点 |
具体例 |
| 製品・サービス別 |
プランA、プランB、オプション機能 |
| 利用シーン別 |
初期設定、日常操作、トラブルシューティング |
| ユーザー種別 |
管理者向け、一般ユーザー向け、開発者向け |
カテゴリは最初から完璧にする必要はありません。まずは3〜5カテゴリで始めて、記事が増えてきたら分割・統合するスモールスタートのアプローチがおすすめです。
ステップ3: 記事の作成
- 「ナレッジベース」→「記事を作成」をクリック
- タイトル、カテゴリ、サブカテゴリを設定
- リッチテキストエディタで本文を執筆
- 画像・動画・表を挿入
- SEOメタ情報(タイトルタグ、メタディスクリプション)を設定
- 公開設定(公開/非公開/パスワード保護)を選択
記事の書き方のコツ
- 1記事1トピック: 複数の問題を1記事にまとめない
- 結論ファースト: 冒頭に答えを書き、詳細は後で説明
- ステップバイステップ: 手順は番号付きリストで
- スクリーンショット活用: 実画面のキャプチャで直感的に理解できるように
- 検索キーワード意識: 顧客が使う言葉でタイトルを付ける
ステップ4: 公開とインデックス
記事を公開すると、ナレッジベースのトップページに自動的に反映されます。検索バーからの全文検索も可能になり、顧客はキーワードで目的の記事を探せるようになります。
AIチャットボット(Breeze顧客対応エージェント)との連携
ナレッジベースの真価が発揮されるのは、Breeze顧客対応エージェントとの連携です。
連携の仕組み
Breeze顧客対応エージェントは、ナレッジベースの記事をAIが学習し、顧客の質問に対して自動で回答を生成するRAG(Retrieval-Augmented Generation)型のAIチャットボットです。
- 顧客がチャットで質問を入力
- AIがナレッジベースの記事を検索・参照
- 記事の内容をもとに回答を生成して返答
- 解決しない場合は人間の担当者にエスカレーション
ここが結構ミソになってくるのですが、ナレッジベースの記事品質がAIチャットボットの回答品質を決定するという点です。記事が正確で網羅的であれば、AIも正確に回答できます。逆に、記事が不十分だとAIの回答品質も下がります。
設定手順
- 「自動化」→「AIエージェント」に移動
- 顧客対応エージェントを作成
- ナレッジソースとしてナレッジベースを指定
- チャットフローに顧客対応エージェントを配置
- テストチャットで回答精度を確認
AI回答の品質を上げるコツ
- 記事のタイトルを質問形式にする(「パスワードを忘れた場合はどうすればいいですか?」)
- 回答を記事の冒頭に明確に記載する(AIが引用しやすい)
- 専門用語には簡潔な定義を付ける
- 定期的に記事を更新して情報の鮮度を保つ
Breezeカスタマーエージェントの設定・プレビュー画面(デモ)。回答トーンやソースを設定できます。
社内Wiki・社内ナレッジとしての活用
ナレッジベースは顧客向けだけでなく、社内のナレッジ共有にも活用できます。
社内向けの活用例
- 営業ナレッジ: よくある商談の質問と回答、競合比較情報
- オンボーディング: 新入社員向けの業務マニュアル・ツール操作ガイド
- サポートナレッジ: サポートチーム内の対応マニュアル・エスカレーション基準
アクセス制限の設定
社内向けナレッジベースを作る場合、記事のアクセスを制限できます。
- パスワード保護: 特定の記事にパスワードを設定
- 会員限定(CMS会員機能): ログインが必要なナレッジベースを構築
- IP制限: Enterprise プランで社内ネットワークからのみアクセス許可
効果測定と改善サイクル
把握すべき主要指標
| 指標 |
意味 |
改善アクション |
| 記事別閲覧数 |
どの記事がよく読まれているか |
人気記事の品質を維持・強化 |
| 検索キーワード |
顧客がどんな言葉で検索しているか |
検索ワードに合致する記事を新規作成 |
| 0件ヒット検索 |
検索結果がなかったキーワード |
そのトピックの記事を早急に作成 |
| 記事の評価(Good/Bad) |
記事が役に立ったかどうかの評価 |
低評価記事の内容を改善 |
| チケット数の推移 |
ナレッジベース導入前後のチケット量 |
セルフサービス比率の改善 |
「0件ヒット検索」のデータは重要です。顧客が探しているのに記事がないトピックが一目瞭然になるため、優先的に記事を追加すべき分野を特定できます。
注意点・よくある間違い
記事を作って放置する
ナレッジベースは「作って終わり」ではありません。製品のアップデートや仕様変更に合わせて定期的に記事を見直す運用が必須です。四半期に1回のレビューサイクルを設けることをおすすめします。
カテゴリが多すぎる
カテゴリを細分化しすぎると、顧客がどこを見ればいいか迷ってしまいます。トップレベルのカテゴリは5〜7個程度に抑え、サブカテゴリで詳細を分ける構造がベストです。
社内用語で書いてしまう
顧客が使う言葉と社内で使う専門用語は異なります。顧客がどんなキーワードで検索するかを意識して、タイトルや本文を記述しましょう。
まとめ
- HubSpotのナレッジベースを構築することで、顧客のセルフサービス率を高め、サポートチームの工数を削減できます
- さらに、Breeze顧客対応エージェントと連携させれば、AIが24時間自動で顧客の質問に回答する仕組みを実現できます
- まずは問い合わせ頻度の高いトピックから10〜20記事を作成し、段階的に記事数を増やしていくアプローチがおすすめです
- ナレッジが蓄積されるほどAIの回答精度も上がり、チケット管理の負荷軽減にもつながります
あわせて、HubSpot Data Hub(旧Operations H、HubSpotリードスコアリング設定ガイド、HubSpotのABM機能で実践するアカウントベースドマーケティングなども参考にしていただければと思います。
よくある質問(FAQ)
Q1. ナレッジベースはどのプランから利用できますか?
Service Hub Professional以上で利用できます。Starterプランでは標準機能としては提供されていませんが、ブログ機能を活用した疑似的なナレッジベースの構築は可能です。
Q2. ナレッジベースの記事数に上限はありますか?
Professionalプランでは5,000記事、Enterpriseプランでは10,000記事が上限です。一般的な企業のFAQサイトであれば十分な数かなと思います。
Q3. AIチャットボットとの連携にはどのプランが必要ですか?
Breeze顧客対応エージェントはService Hub Professional以上で利用できます。ナレッジベースの記事をAIのナレッジソースとして指定することで、自動回答の仕組みを構築できます。
Q4. 多言語のナレッジベースは作成できますか?
はい、HubSpotでは多言語グループ機能を使って複数言語のナレッジベースを構築できます。日本語と英語のFAQサイトを並行運用するといったケースに対応可能です。
Q5. ナレッジベースの記事はSEOに効果がありますか?
はい、ナレッジベースの記事は検索エンジンにインデックスされるため、SEO効果が期待できます。「[製品名] 使い方」「[製品名] エラー」などのロングテールキーワードでの流入が見込めます。メタ情報やURL構造も最適化できるので、SEOツールと併用するとより効果的です。