水道トラブル対応のHubSpot活用|依頼受付から定期点検の案内まで顧客管理

水道トラブル対応のHubSpot活用|依頼受付から定期点検の案内まで顧客管理
この記事の結論

水道トラブルは一度きりの依頼で終わりがちですが、作業履歴を残して点検の時期に案内できれば、再訪問につながります。受付から定期点検の案内までと、手配は別システムに任せる線引きを解説します。

ブログ目次

記事の内容を、そのまま実務に落とし込みたい方向け

HubSpotゴールドパートナーのStartLinkが、HubSpot導入・AI活用・CRM整備・業務効率化までをまとめて支援しています。記事で気になったテーマを、そのまま相談ベースで整理できます。


「蛇口の水漏れで一度来てもらったお宅から、半年後にトイレの相談が来た。でも前回の作業内容が、担当した作業員のメモにしか残っていない」

「ありがたいことに連絡をもらった方には対応できているが、その後の点検の案内は誰もできていない」

——水道修理や水回りのメンテナンスで、こうした状況は珍しくないかもしれません。

水道トラブルの依頼は、困ったときに検索して連絡する、という動きが中心です。そのため、一度対応したお客様との関係が、作業の完了で終わってしまいやすい特徴があります。水栓、トイレ、給湯器、排水管といった設備は、数年から十数年単位で次の不具合や交換の時期が来ます。そのときに、前回の作業を知っている業者として声をかけられるかどうかで、再訪問の機会は大きく変わります。

この記事では、HubSpotを使って、依頼の受付から作業履歴の蓄積、定期点検の案内までを一本の流れにする設計を紹介します。同時に、作業員の手配や出動の管理は、HubSpotの領域ではないことも、最初にお伝えしておきます。


訪問型サービスの顧客管理が途切れやすい理由

受付の入口が複数あり、記録の形がバラバラ

水道の依頼は、電話、ウェブサイトのフォーム、紹介、ポータルサイト経由など、入口がさまざまです。電話で受けた内容が手書きのメモに、フォームの内容がメールに、というように、記録の形が揃っていないと、あとから検索できません。

「作業した」記録はあっても「お客様の設備」の記録がない

作業の報告書は残っていても、それが「このお宅の、どの設備の、いつの作業か」という形で整理されているとは限りません。作業ごとの記録はあっても、お客様と設備を軸にした記録がないと、次の訪問の提案ができません。

点検の時期を、人の記憶に頼っている

「あの家の給湯器は、そろそろ10年だった気がする」という判断が、ベテランの記憶に頼っている場合、その人が現場を離れた瞬間に失われます。

緊急対応に追われ、その後のフォローに手が回らない

水漏れや詰まりなどの緊急対応は、迅速さが最優先です。そのぶん、作業の完了後に「その後の様子はいかがですか」と連絡する余裕が持てません。

こうした問題は、現場の頑張りではなく、お客様と設備と作業の記録を、後から引き出せる形で持っていないことが原因です。HubSpotは、この記録を持つ場所として使えます。

お客様のレコードに、依頼・作業・点検予定を並べる(お客様と設備と作業を、引き出せる形で持つ)


依頼の受付を一本にまとめる

ウェブフォームで受ける

ウェブサイトの依頼フォームには、困りごとの種類(水漏れ、詰まり、水栓の交換、給湯器、その他)、対応を希望する時期(今すぐ、日程調整)、設備の場所などを選択式で入力してもらいます。HubSpotのフォームは外部のサイトにも埋め込め、送信内容からコンタクトを作成・更新します(HubSpot公式のフォームの案内)。

緊急度が高い依頼が届いたときは、ワークフローで担当者へ即時に通知する設定にしておきます。ワークフローはProfessionalまたはEnterpriseのサブスクリプションで利用でき、担当者の割り当て、タスク作成、社内通知などを自動化できます(HubSpot公式のワークフローの案内)。フォームの作り方の詳細はフォーム作成完全ガイドにあります。

電話で受けた内容を、同じ形式で残す

電話受付は、水道サービスでは大きな比重を占めます。通話の内容は、受付担当者が、フォームと同じ項目でコンタクトと取引に登録します。フォームでも電話でも、同じ項目で記録することが重要です。記録の形が揃えば、後から検索や集計ができます。

依頼を取引として持つ

依頼が入ったら、取引(ディール)を作成して、進捗を管理します。

ステージ 内容
依頼受付 一次ヒアリング、概算の説明
訪問日調整 訪問日時の確定
現地確認・見積 現地での状況確認、見積の提示
作業実施 作業の実施
完了・請求 完了報告、請求
フォロー 作業後の確認連絡
失注 見積の見送り・キャンセル(理由を記録)

失注の理由を選択式で残すと、「見積の金額で見送られる件数」「他社に決まった件数」などが見えてきます。パイプラインの作成は、Starter・Professional・Enterpriseで可能です(Set up and manage object pipelines)。


作業履歴を「お客様の設備」に紐づけて残す

作業の記録を、設備ごとに持つ

再訪問の提案につなげるために、作業の記録は「設備」を軸にして持ちます。持ち方は2つあります。

  • コンタクトまたは会社のプロパティ・ノートで持つ:設備の種類、設置時期、最後の作業日などをプロパティにする。標準の機能だけで始められる
  • カスタムオブジェクトで持つ:「設備」や「物件」を独立したレコードにして、お客様や作業の取引と関連付ける。Enterpriseが必要(Create and edit custom objects)

1軒のお客様に複数の物件(賃貸物件を複数管理する大家さんや、不動産管理会社)がある場合や、設備ごとの点検周期が異なる場合は、カスタムオブジェクトが向いています。個人のお客様が中心なら、まずはプロパティで十分なことが多いです。設計の判断はカスタムオブジェクトの設計判断が参考になります。

作業完了時に入れる項目を決める

作業完了のときに、現場の担当者に入力してもらう項目は、最小限にします。

項目 入力の形
作業内容 選択式(水栓交換/トラップ清掃/排水管洗浄など)
対象の設備 選択式(キッチン/浴室/トイレ/給湯器など)
設備の状態 選択式(良好/要注意/交換推奨)
次回の点検・交換の目安 日付または時期
備考 自由記述(補足のみ)

自由記述に頼ると、あとから集計や検索ができなくなります。選択式の項目と、補足の自由記述を分けておくことが、運用が続くためのコツです。「設備の状態」を「交換推奨」とした場合は、すぐに提案しなかった場合でも、あとで案内を出すきっかけになります。

写真や書類の扱い

作業前後の写真や報告書は、HubSpotのレコードにファイルとして添付できます。ただし、現場で写真を撮ってアップロードするひと手間が負担になるなら、無理に全件を入れる必要はありません。「状態が悪かった設備だけ」といった絞り込みで十分です。


定期点検・再訪問の案内を自動で出す

点検時期を日付で持つ

作業完了時に入れた「次回の点検・交換の目安」を使って、案内の対象者を自動で拾います。たとえば、点検予定日の1か月前になったお客様を、ワークフローで案内の対象にします。

案内の流れ

  1. 点検予定日の1か月前に、担当者のタスクを作成する、またはお客様へ案内のメールを送る
  2. 案内には、日程調整のリンクを入れる
  3. 返信がなければ、2週間後に再度の案内、または電話のタスクを作成する
  4. 日程が決まったら、取引を作成して通常の流れへ

日程調整は、ミーティングリンクを使うと、メールの往復が減ります(HubSpot公式のミーティングツールの案内)。ただし、ミーティングリンクは「担当者の空き時間」に基づく予約の仕組みなので、現場に出る作業員の稼働の調整は別の問題です。それは後述の線引きで触れます。

自動送信するメールは、Marketing HubのProfessionalまたはEnterpriseが必要です(Create and send marketing emails)。お客様の同意と、配信停止の導線を整えたうえで運用してください(購読タイプの案内)。

案内は「売り込み」ではなく「知らせ」にする

水道設備の案内は、押しつけになると、かえって信頼を損ねます。「前回の作業から1年が経ちました。状態の確認をご希望の場合はお知らせください」というように、状態を知らせる、確認の機会を提供するというスタンスの文面にしておくほうが、返信が得られやすいように思います。リード育成の考え方はリードナーチャリングの設計と実践にまとめています。

対象を絞る

全員に案内を送る必要はありません。「設備の状態が交換推奨のお客様」「前回の作業から2年以上経過したお客様」のように、条件で絞り込んだセグメントを作って、案内の優先順位をつけます(HubSpot公式のセグメントの案内)。

LINE公式アカウントを使って案内を送りたい場合は、連携の考え方をHubSpotとLINE公式アカウントの連携で解説しています。

点検予定日が近いお客様へ、案内を出す流れ(売り込みではなく知らせとして)


HubSpotでできること・専用システムに任せること

水道メンテナンスは、現場での作業が事業の中心です。HubSpotは、お客様との関係を管理するところで力を発揮しますが、現場の手配は別の仕組みの役割です。

領域 HubSpotで管理できる 専用システムに任せる
依頼の受付(フォーム・電話の記録) ○ ―
依頼から見積・作業完了までの進捗 ○(取引パイプライン) ―
お客様・設備ごとの作業履歴 ○ ―
点検・再訪問の案内 ○(ワークフロー・メール) ―
問い合わせ後のフォロー連絡 ○ ―
作業員の手配・割り当て ✕ ディスパッチシステム
出動中の位置情報・到着予定の管理 ✕ ディスパッチシステム
作業員のシフト・稼働の調整 ✕ シフト管理・ディスパッチシステム
部材の在庫・発注 ✕ 在庫管理システム
請求書の発行・入金の管理 △(取引の金額管理まで) 会計・請求システム

特に重要なのは、「誰を、いつ、どの現場に出すか」はHubSpotでは管理しないという点です。緊急対応が多い事業では、リアルタイムでの出動管理が求められます。これをHubSpotで代替しようとすると、運用が複雑になるわりに、現場の役に立ちません。

役割分担としては、次のように考えると整理しやすいです。

  • ディスパッチシステム:今日の現場の動きを管理する
  • HubSpot:お客様との関係と、その履歴を管理する

2つをつなぎたい場合は、作業完了後にディスパッチシステム側の完了情報を、HubSpotの取引や作業履歴へ反映する形が現実的です。連携の方法は、使っているシステムによって異なるため、導入前に確認が必要です。


小さく始める進め方

最初の一歩:依頼の記録を揃える

フォームと電話の記録を、同じ項目で取引に登録する運用から始めます。ここまでで、過去の依頼を検索でき、集計もできるようになります。

次の一歩:作業完了時の項目を決めて入力する

作業内容・設備・設備の状態・次回の目安を、選択式で入れる運用を始めます。現場の入力負担を考えて、項目は最小限にします。

その次:点検の案内を自動化する

データが貯まったところで、点検予定日に基づく案内のワークフローを加えます。最初は、担当者のタスクを作るだけでも十分です。

正直な限界

作業履歴は、現場で入力されなければ貯まりません。入力が負担で現場が使わなくなる、という事態は、最も避けたいところです。入力の項目を絞ること、スマートフォンから入力しやすい形にすること、入力しないと得られない便益(次回の案内が自動で出る、など)を現場に示すことが、定着の鍵になります。

導入支援は、単なるコストではなく、再訪問につながる関係の土台をつくる投資だと考えています。企業様によって最適な形は異なります。まずは、直近1年の依頼のうち、再度連絡をもらった割合がどのくらいかを数えてみるところから始めてみてください。

業界別のHubSpot活用の全体像は、業界別ガイドでも紹介しています。


株式会社StartLinkは、事業推進に関わる「販売促進」「DXによる業務効率化(ERP/CRM/SFA/MAの導入)」などのご相談を受け付けております。 サービスのプランについてのご相談/お見積もり依頼や、ノウハウのお問い合わせについては、無料のお問い合わせページより、お気軽にご連絡くださいませ。

関連キーワード:

サービス資料を無料DL

著者情報

7-1

今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLink 代表取締役。累計150社以上のHubSpotプロジェクト支援実績を持ち、Claude CodeやHubSpotを軸にしたAI活用支援・経営基盤AXのコンサルティング事業を展開。
HubSpotのトップパートナー企業や大手人材グループにて、エンタープライズCRM戦略策定・AI戦略ディレクションを経験した後、StartLinkを創業。現在はCRM×AIエージェントによる経営管理支援を専門とする。