SalesforceからHubSpotへ乗り換えた企業の事例|決断理由と移行後の変化

この記事の結論

「Salesforceを使っているが、運用コストが年々膨らんでいる」

ブログ目次

記事の内容を、そのまま実務に落とし込みたい方向け

HubSpot導入、AI活用、CRM整備、業務効率化までをまとめて支援しています。記事で気になったテーマを、そのまま相談ベースで整理できます。


「Salesforceを使っているが、運用コストが年々膨らんでいる」

「カスタマイズしすぎて、社内の誰もメンテナンスできなくなっている」

——こうした課題から、SalesforceからHubSpotへの移行を検討する企業が増えています。

SalesforceとHubSpotは、どちらもBtoB CRM市場のトップ製品です。Salesforceの高い拡張性は魅力ですが、運用の複雑さやコストが事業規模に見合わなくなるフェーズがあります。 この分野の体系的な情報はHubSpot営業・CS活用ガイドでまとめています。

この記事では、実際にSalesforceからHubSpotへ乗り換えた企業の事例を通じて、移行の判断基準・プロセス・成果を具体的に解説します。

本記事はStartLinkの「HubSpot完全ガイド」関連記事です。


この記事でわかること

  • SalesforceからHubSpotへ移行する企業に共通する課題 — 「Salesforceを使っているが、運用コストが年々膨らんでいる」
  • 移行を決断した具体的な理由 — HubSpotへの移行で年間コストを試算した結果、年間約550万円の削減が見込まれました。
  • データ移行の進め方と注意点 — ここで結構重要だったのが、Salesforceの設定をそのままHubSpotに再現しないという方針です。
  • 移行後の運用変化と成果 — CRMコスト58%削減、データ入力率50%→85%、レポート作成時間87%短縮など、移行6ヶ月後の定量・定性的な変化を紹介しています。
  • 移行すべき企業・すべきでない企業の判断基準 — 運用コストや外部依存度でHubSpotが向いているケースと、Apexカスタマイズや大規模組織でSalesforceを継続すべきケースを整理しています。

「Salesforceを使っているが、運用コストが年々膨らんでいる」とお感じの方に、特に参考になる内容です。


企業概要

項目 内容
業種 BtoB ITサービス
従業員数 約120名
Salesforce利用歴 5年
有償ライセンス数 Sales Cloud 30名 + Pardot 5名
年間CRM関連コスト 約1,200万円(ライセンス + 保守 + カスタマイズ)


移行前の課題

課題1: 運用コストの肥大化

Salesforceのライセンス費用に加え、カスタマイズの保守費用、外部コンサルへの依頼費用が年々増加。5年間で年間CRM関連コストが当初の3倍に膨らんでいました。

  • ライセンス費: 年間約600万円(Sales Cloud Enterprise × 30名 + Pardot)
  • 保守・カスタマイズ費: 年間約400万円(外部SIerへの委託)
  • 追加開発費: 年間約200万円(Apexカスタマイズ・連携開発)

課題2: カスタマイズの複雑化

5年間でApexトリガー・フロー・プロセスビルダーが増殖し、「このフローを変更すると何が影響を受けるかわからない」という状態に。Salesforce管理者が退職した際、後任が引き継げず、3ヶ月間メンテナンスが止まるという事態も発生しました。

課題3: SFAとMAの分断

Sales CloudとPardotを使っていましたが、UIが異なり、データの同期にタイムラグが発生。マーケティングチームと営業チームが「同じリードを違うデータで見ている」状態が日常化していました。

課題4: 現場の利用率の低下

入力項目が多すぎて営業が面倒に感じ、実際のデータ入力率が50%程度まで低下。CRMに入っているデータの信頼性が低いため、レポートも信頼されなくなるという悪循環に陥っていました。



HubSpot移行を決断した理由

理由1: TCO(総保有コスト)の大幅削減

HubSpotへの移行で年間コストを試算した結果、年間約550万円の削減が見込まれました。

費目 Salesforce HubSpot 差額
ライセンス費 600万円/年 350万円/年 -250万円
保守・カスタマイズ費 400万円/年 100万円/年 -300万円
追加開発費 200万円/年 0〜50万円/年 -150〜200万円
合計 1,200万円/年 450〜500万円/年 -700〜750万円

ただし、移行プロジェクト自体に約200万円のコストがかかったため、初年度の実質削減効果は約550万円でした。

理由2: MAとSFAのワンプラットフォーム統合

HubSpotはMarketing Hub・Sales Hub・Service Hubが1つのプラットフォームに統合されているため、PardotとSales Cloudの間で発生していたデータ同期の問題が根本的に解消されます。

理由3: 運用の内製化

Salesforceではカスタマイズの多くを外部SIerに委託していましたが、HubSpotはノーコードでのカスタマイズ範囲が広いため、社内のマーケティング担当者がワークフローやレポートを自分で作成・変更できるようになります。



移行プロセス

Phase 1(1ヶ月目): アセスメントと設計

  • Salesforceの既存設定の棚卸し(使用中のオブジェクト・フロー・レポートを一覧化)
  • 「本当に必要な設定」と「不要になった設定」の仕分け
  • HubSpotでのデータ構造設計

ここで結構重要だったのが、Salesforceの設定をそのままHubSpotに再現しないという方針です。5年間で溜まった不要なカスタマイズを引き継ぐのではなく、「今のビジネスに本当に必要なもの」だけをHubSpotで設計し直しました。結果として、項目数はSalesforceの約300から約80に削減されました。

Phase 2(2〜3ヶ月目): データ移行

  • コンタクト(約15,000件)・会社(約5,000社)・取引(約3,000件)をCSVエクスポート→HubSpotインポート
  • 添付ファイル・メモ・活動履歴の移行(HubSpot Migration APIを利用)
  • データクレンジング(重複排除・表記揺れ統一)

データ移行で注意すべき点は、Salesforceの「参照関係」「主従関係」のリレーションを、HubSpotの「関連付け」に正しくマッピングすることです。1対多・多対多の関係が複雑な場合は、移行用のマッピングシートを事前に作成しておくことが重要です。

Phase 3(4ヶ月目): 並行運用と研修

  • 1ヶ月間のSalesforce×HubSpot並行運用
  • 全社員へのHubSpotオンボーディング研修(2時間×2回)
  • FAQ・操作マニュアルの整備
  • 部門別のQ&Aセッション

Phase 4(5ヶ月目〜): Salesforce完全停止

  • Salesforceのデータバックアップ取得
  • ライセンス契約の解約
  • HubSpotへの完全移行


移行後の成果(6ヶ月時点)

指標 Salesforce時代 HubSpot移行後 変化
CRM年間コスト 1,200万円 500万円 -58%
データ入力率 50% 85% +35pt
レポート作成時間 平均2時間/レポート 平均15分/レポート -87%
ワークフロー変更の対応時間 2〜3週間(外部委託) 即日(社内対応) 大幅短縮
営業チームの満足度(5段階) 2.3 4.1 +1.8pt

定性的な変化

  • マーケティングと営業が「同じデータ」を見て議論できるように
  • カスタマイズの依頼を社内で完結できるようになり、意思決定スピードが向上
  • 不要な入力項目が削減され、営業の入力負担が大幅に軽減
  • CRMの管理者が「メンテナンス」ではなく「改善」に時間を使えるように


移行すべき企業・すべきでない企業

HubSpotへの移行が向いている企業

  • Salesforceの運用コスト(ライセンス+保守)が負担になっている
  • Apexカスタマイズの保守に外部依存している
  • SFAとMAが分断していて非効率を感じている
  • 従業員50〜300名程度で、エンタープライズ級の複雑さは不要

Salesforceを継続すべき企業

  • Salesforceの高度なカスタマイズ(Apex, Lightning Web Components)をフル活用している
  • 1,000名以上の大規模組織で、複雑な権限設計やマルチテナント管理が必須
  • SalesforceのEinsteinアナリティクスを深く活用している
  • 既存のSalesforceエコシステム(外部ツール連携)が広範囲に及ぶ

正直な評価として、すべての企業にHubSpotが最適というわけではありません。自社の規模・複雑さ・将来の成長計画を踏まえて判断することが重要です。



まとめ

SalesforceからHubSpotへの移行は、運用コストの削減・MAとSFAの統合・内製化の実現という3つのメリットを同時に達成できるプロジェクトです

押さえておきたいポイントは以下の通りです。

  • ただし、移行を成功させるには「Salesforceの設定をそのまま再現しない」「必要な機能を取捨選択する」という設計方針が重要です
  • まずは現在のSalesforce環境の棚卸しから始め、本当に必要な機能を見極めた上で移行計画を立てましょう


HubSpotの導入・活用についてお気軽にご相談ください

StartLinkでは、HubSpotの導入設計から運用定着まで、企業様の状況に合わせた支援を行っています。

「SalesforceからHubSpotへの移行を検討している」「移行の費用対効果を具体的に知りたい」——そんなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。

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あわせて、ヘルススコア設計ガイドSFA導入の失敗事例7選アカウントプランニングの実践ガイドなども参考になります。


よくある質問(FAQ)

Q1. Salesforceのデータは完全にHubSpotに移行できますか?

コンタクト・会社・取引の基本データ、メモ・活動履歴は移行可能です。ただし、Salesforceの添付ファイルやカスタムレポートの設定はそのまま移行できないため、再作成が必要です。Apexで構築したカスタムロジックは、HubSpotのワークフローやカスタムコードで再実装します。

Q2. 移行期間はどれくらいかかりますか?

企業規模やデータ量にもよりますが、一般的には3〜5ヶ月が目安です。小規模(データ数千件)なら2ヶ月、大規模(データ数万件+複雑なカスタマイズ)なら6ヶ月程度を見込んでおくと安心です。並行運用期間を1ヶ月設けることを推奨します。

Q3. SalesforceのPardotからHubSpot Marketing Hubへの移行で注意すべきことは?

メールテンプレート・フォーム・自動化ルールの再作成が必要です。特に注意すべきは、Pardotのエンゲージメント履歴(メール開封・クリック)のデータ移行です。全履歴の移行は難しいため、直近12ヶ月分の主要データを優先的に移行し、古いデータはバックアップとして保管するのが現実的です。

Q4. HubSpotからSalesforceに戻すことは可能ですか?

技術的には可能ですが、逆移行は一般的に推奨されません。万が一に備えて、移行後もSalesforceのデータバックアップを一定期間(6ヶ月程度)保管しておくことをおすすめします。HubSpotのAPIでデータエクスポートは容易に行えます。


この記事は2025年3月時点の情報に基づいています。HubSpotの機能は定期的にアップデートされるため、最新情報はHubSpot公式サイトでご確認ください。

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著者情報

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今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLink 代表取締役。累計150社以上のHubSpotプロジェクト支援実績を持ち、Claude CodeやHubSpotを軸にしたAI活用支援・経営基盤AXのコンサルティング事業を展開。
HubSpotのトップパートナー企業や大手人材グループにて、エンタープライズCRM戦略策定・AI戦略ディレクションを経験した後、StartLinkを創業。現在はCRM×AIエージェントによる経営管理支援を専門とする。