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「MA(マーケティングオートメーション)を本格導入したいが、HubSpotとMarketoのどちらが自社に合うのかわからない」——こうした悩みは、中堅〜大企業のマーケティング担当者によく聞かれます。
HubSpot Marketing HubはCRM一体型の統合プラットフォームとして世界216,000社以上に導入されているMAツールです。一方、Adobe Marketo Engage(以下Marketo)は2019年にAdobeに買収された高度なカスタマイズ性を持つMA専業ツールです。両者はMA市場を代表するツールですが、設計思想・強み・料金体系が大きく異なります。
この記事では、MA機能・スコアリング・料金・導入のしやすさなど主要な比較軸に沿って、中堅〜大企業の視点からHubSpotとMarketoを徹底比較します。
この記事でわかること
- HubSpotとMarketoの設計思想の違い
- MA機能(メール配信・ワークフロー・スコアリング等)の比較
- 料金体系と総所有コスト(TCO)の違い
- 中堅〜大企業がどちらを選ぶべきかの判断基準
HubSpot vs Marketo 比較サマリー
| 比較項目 | HubSpot Marketing Hub | Adobe Marketo Engage |
|---|---|---|
| 運営会社 | HubSpot社(米国) | Adobe社(米国) |
| 設計思想 | CRM一体型・オールインワン | MA専業・高カスタマイズ |
| CRM連携 | 自社CRM標準搭載 | Salesforce等と外部連携 |
| 操作性 | 直感的・ノーコード中心 | 習熟に時間が必要 |
| スコアリング | Professional以上で利用可 | 全プランで高度な設計が可能 |
| コンテンツ制作 | ブログ・LP・メールをCMS内で完結 | メール・LPが中心 |
| レポート | CRMデータと統合した一気通貫レポート | マーケ施策に特化したレポート |
| 導入期間 | 比較的短い(数週間〜1ヶ月) | 長い(1〜3ヶ月以上) |
| ユーザー評価(G2) | 4.5 / 5(10,800件超) | 4.1 / 5(2,400件超) |
設計思想の違い
HubSpot:CRM一体型のオールインワン
HubSpotの最大の特徴は、MA・SFA・CMS・カスタマーサービスが1つのプラットフォームに統合されている点です。CRMにすべてのデータが集約されるため、マーケティングから営業、カスタマーサクセスまで一気通貫でデータを活用できます。
スプレッドシートや複数ツールでデータを突合する必要がなくなるという点が、HubSpotの本質的な価値と言えます。
Marketo:MA専業の高カスタマイズ
MarketoはMA機能に特化したツールです。マーケターが自ら高度な施策を設計し、ビジネスに合わせた細かいカスタマイズができる柔軟性が強みです。
ただし、CRMは別途用意する必要があります。SalesforceやMicrosoft Dynamics 365と連携させるのが一般的で、Salesforceとの組み合わせで使っている企業様が特に多い印象です。
MA機能の比較
出典: Adobe Marketo Engage (business.adobe.com/jp)
メール配信
| 機能 | HubSpot | Marketo |
|---|---|---|
| ドラッグ&ドロップエディタ | あり(直感的) | あり |
| A/Bテスト | あり | あり(より詳細な設定可) |
| パーソナライゼーション | スマートコンテンツで対応 | トークンベースで高度に対応 |
| 配信最適化 | AI送信時間最適化あり | 配信スケジュール最適化あり |
| テンプレート | 豊富なテンプレート標準搭載 | カスタム中心 |
HubSpotはテンプレートが豊富で直感的な操作が特徴です。Marketoはトークン(変数)を使った高度なパーソナライゼーションが可能で、大規模な配信シナリオに強みがあります。
ワークフロー・自動化
HubSpotのワークフローはビジュアルエディタで構築でき、条件分岐・遅延・アクションを直感的に設定できます。初めてワークフローを組む方でも取り掛かりやすいのが特徴です。
Marketoのスマートキャンペーンは、トリガー・フィルター・フローの3要素で構成され、非常に複雑なシナリオも構築可能です。ただし習熟には時間がかかり、専任のマーケターが必要になるケースが多いです。
スコアリング
スコアリングはMA活用の肝となる機能です。
| 機能 | HubSpot | Marketo |
|---|---|---|
| 行動スコア | ページ閲覧、メール開封、フォーム送信等 | 同様+カスタムアクティビティ |
| 属性スコア | 役職、業種、企業規模等 | 同様+カスタム属性 |
| 複数スコアモデル | Enterprise以上 | 全プランで対応 |
| スコア減衰 | あり | あり(より細かい設定可) |
| 予測スコアリング | Enterprise(AI予測) | 別途Adobe Sensei連携 |
HubSpotでは、定性的な属性情報を20点、ウェブ行動を80点として合計100点満点で設計し、50点以上をMQL化、70点以上を営業トスするといった基準を設けると運用しやすくなります。
Marketoは複数のスコアモデルを標準で作成でき、製品ライン別や地域別のスコアリングが可能です。大規模な組織で複数の事業部を横断するマーケティングを行う場合に強みを発揮します。
ランディングページ・フォーム
HubSpotはContent Hubとの統合により、ブログ・LP・ウェブサイトをすべてHubSpot内で制作・管理できます。ノーコードで結構簡単にページを作れるのが良い点です。通常こうしたページ制作を外部業者に頼むと高かったりしますが、HubSpotなら内製化できます。
Marketoは基本的なLP・フォーム作成機能を持っていますが、コンテンツ制作の幅はHubSpotの方が広いと言えます。
料金比較
出典: HubSpot (hubspot.jp/pricing/marketing)
HubSpot Marketing Hub
| プラン | 月額料金 | マーケティングコンタクト | 主な機能 |
|---|---|---|---|
| Starter | 1,800円〜 | 1,000件 | 基本的なメール配信・フォーム・LP |
| Professional | 96,000円〜 | 2,000件 | ワークフロー・カスタムレポート・スコアリング |
| Enterprise | 432,000円〜 | 10,000件 | 予測スコアリング・カスタムオブジェクト・権限管理 |
Marketo(Adobe Marketo Engage)
Marketoの料金は公開されておらず、個別見積もりが基本です。一般的に以下のような価格帯と言われています。
| プラン | 月額料金(目安) | 特徴 |
|---|---|---|
| Growth | 15万円〜 | 基本的なMA機能 |
| Select | 25万円〜 | 高度なスコアリング・ABM |
| Prime | 40万円〜 | AI・高度なアナリティクス |
| Ultimate | 個別見積もり | フルカスタム |
総所有コスト(TCO)の観点
料金の比較では月額だけでなく、以下の「隠れコスト」も考慮する必要があります。
| コスト要素 | HubSpot | Marketo |
|---|---|---|
| CRM費用 | 標準搭載(追加なし) | Salesforce等の別途契約が必要 |
| 導入・初期設定 | 比較的低い | コンサルティング費用が発生しやすい |
| トレーニング | HubSpot Academy(無料) | 有料トレーニング中心 |
| 運用人材 | 兼任でも運用可能 | 専任マーケターが必要なケースが多い |
| 外部連携 | 標準コネクター多数 | iPaaS等が必要な場合あり |
HubSpotはCRMが標準搭載で無料のトレーニングが充実しているため、TCOベースで見るとHubSpotの方がコストメリットが大きいケースが多いです。
導入・運用のしやすさ
導入期間
HubSpotは直感的なUIと充実したオンボーディングにより、数週間〜1ヶ月程度で基本的な運用を開始できます。Marketoは高度な設定が可能な反面、導入に1〜3ヶ月以上かかるケースが一般的です。
学習コスト
HubSpotはHubSpot Academyで無料の認定コースが多数提供されており、独学でも習得しやすい環境が整っています。Marketoはコミュニティやドキュメントは充実していますが、習熟には実践経験が必要で、専門家の支援を受けるケースが多いです。
社内展開のしやすさ
HubSpotはCRM一体型のため、営業部門やカスタマーサクセス部門にも展開しやすいです。「代表や副社長もレポートだけ見ていればいいという方は無料でご利用いただけます」という表示のみシートの仕組みもコスト効率に優れています。
Marketoはマーケティング部門に特化しているため、営業部門との連携にはSalesforce等のCRMが別途必要です。
こんな企業にはHubSpotがおすすめ
- マーケティング・営業・CSを1つのプラットフォームで管理したい
- CRMを持っていない、またはCRMの入れ替えも視野に入れている
- マーケティング専任者が少なく、兼任でも運用できるツールが欲しい
- コンテンツ制作(ブログ・LP・ウェブサイト)も内製化したい
- スモールスタートで始めて段階的に拡張していきたい
- TCOを抑えたい
こんな企業にはMarketoがおすすめ
- Salesforceを既に導入しており、MA機能を追加したい
- 複数の事業部・製品ラインを横断する大規模なMA運用が必要
- 専任のマーケターが複数名おり、高度なシナリオを自分たちで構築したい
- Adobe Experience Cloud全体での統合マーケティング基盤を構築したい
- 複雑なB2Bのマルチタッチアトリビューションが必要
まとめ
HubSpotとMarketoは、どちらも優れたMAツールですが、設計思想が根本的に異なります。
- HubSpot:CRM一体型でオールインワン。導入しやすく、TCOが抑えられる。中堅企業やMA初導入の企業に特に適している
- Marketo:MA専業で高カスタマイズ。Salesforceとの組み合わせで大規模運用に強い。専任マーケター体制がある大企業に適している
まずは自社の体制(専任マーケターの有無)、既存CRM(Salesforce利用の有無)、そして求めるカスタマイズレベルを整理した上で、自社に最適なツールを選定いただくのがいいかなと思います。
よくある質問(FAQ)
Q1. HubSpotからMarketoへ(またはその逆)の移行は可能ですか?
はい、可能です。ただしワークフロー・スコアリング設定・コンテンツ資産の移行には計画的な準備が必要です。コンタクトデータはCSVエクスポート/インポートで対応できますが、自動化の設定は再構築が必要になります。
Q2. SalesforceとHubSpot Marketing Hubの組み合わせは可能ですか?
はい、可能です。SalesforceをSFAとして使いつつ、HubSpotのMAだけ導入するのは一般的な併用パターンです。公式のSalesforceコネクターでデータ連携ができます。
Q3. Marketoの方がスコアリングは優れていますか?
Marketoは複数スコアモデルの作成やきめ細かいスコア設計が標準で可能です。ただしHubSpotもProfessional以上で実用的なスコアリングが利用でき、Enterprise以上ではAI予測スコアリングも搭載されています。企業様の運用規模と複雑さによって適切な選択が変わります。
Q4. 中堅企業(従業員100-500名)にはどちらが向いていますか?
マーケティング専任者が1-2名の場合はHubSpot、3名以上の専任チームがあり高度なシナリオを自社構築したい場合はMarketoが向いています。また、既にSalesforceを使っている場合はMarketo、CRMも含めて新規導入する場合はHubSpotを検討いただくのがいいかなと思います。
Q5. 両方のツールを並行して使うことはできますか?
技術的には可能ですが、データの分断やコスト増につながるためおすすめしません。どちらか一方に統一する方が、データの一元管理とコスト効率の両面でメリットがあります。
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著者情報
今枝 拓海 / Takumi Imaeda
株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。
パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。