インサイドセールスのKPI設計|SDR・BDR別の指標と運用方法

  • 2026年3月3日
  • 最終更新: 2026年10月18日
この記事の結論

インサイドセールスのKPIは、売上から逆算して設計します。SDRとBDRでは、追うべき量・質・速度の組み合わせが異なります。

ブログ目次


インサイドセールスのKPIは、売上から逆算して設計します。SDRとBDRでは、追うべき量・質・速度の組み合わせが異なります。

「どのKPIを追えばよいのかわからない」「目標数値の根拠を現場へ説明できない」「活動量は増えたのに商談が増えない」——インサイドセールスを運営するなかで、このような課題が生じることがあります。

インサイドセールスのKPIとは、売上や受注につながる営業プロセスを分解し、成果・転換率・行動量を継続的に確認するための指標です。最終成果から必要な中間成果と行動を逆算し、SDRとBDRの役割に合わせて設計することが基本です。

KPIが曖昧なままでは、メンバーはコール数やメール送信数を増やすこと自体を目的にしやすくなります。一方で、商談化率だけを評価すると、必要な接触量が不足している問題を見落としかねません。量と質の両方を同じ流れの中で捉え、どこに改善余地があるのかを判断できる状態にすることが重要です。

本記事は「インサイドセールスとは?基礎知識から導入効果まで完全ガイド」シリーズの一部です。


この記事でわかること

KPI設計に悩む営業マネージャーが、指標を選び、目標へ落とし込み、改善を続けるための考え方を整理します。SDRとBDRの違いだけでなく、CRM上での可視化まで一連の流れで確認できます。

  • KGI・KPI・KAIの関係 — 売上や受注から中間成果と行動量へ分解し、指標同士をつなげる方法を解説します。
  • SDRとBDRで分けるべき指標 — 反響対応と新規開拓の役割差を踏まえ、量・質・速度の見方を整理します。
  • 目標設定の逆算方法 — 売上目標、平均受注単価、受注率、有効商談率から必要な活動を算出する順序を示します。
  • KPIダッシュボードの構成 — 経営層、マネージャー、担当者がそれぞれ確認する指標と更新の考え方を紹介します。
  • KPI運用の失敗と改善策 — 行動量への偏り、指標の増やしすぎ、振り返り不足を防ぐ運用方法を整理します。

インサイドセールスのKPI設計は最終成果から始める

KPI設計では、現場が記録しやすいコール数から考えるのではなく、事業として得たい最終成果から順番に分解します。この順序を守ると、各指標が何のために必要なのかを説明しやすくなります。CRMは活動記録を保管するだけでなく、営業プロセスを共通化し、判断に必要な情報を可視化する基盤として捉えることがポイントです。

KGI・KPI・KAIを一本の流れで捉える

KGIは、売上金額や受注件数などの最終成果です。KPIは、その成果へ到達する途中で確認するSQL数、商談化率、有効商談数などの指標です。KAIは、KPIを生み出すためのコール、メール、接続といった行動を表します。

レイヤー 役割 インサイドセールスで確認する内容
KGI 事業の最終成果を確認する 売上金額、受注件数
KPI 最終成果につながる中間成果を確認する SQL数、商談化率、有効商談数
KAI 中間成果を生む行動を確認する コール数、メール送信数、接続数

三つのレイヤーを別々に管理すると、「活動したのに成果が出ない」「成果は出ているが再現条件がわからない」といった状態が起こります。行動から商談、受注までのつながりを同じ設計の中に置くことで、改善すべき場所を特定しやすくなります。

量と質を同じ式で確認する

インサイドセールスの成果は、行動量だけでも転換率だけでも説明できません。基本となる考え方は、次の関係です。

行動量 × 転換率 = 成果

コール数が増えても接続率が下がっていれば、リストや接触方法を見直す必要があります。接続率が高くてもSQLにつながらなければ、ヒアリングや提案への接続に課題があると考えられます。量と質を並べることで、個人の努力という曖昧な評価ではなく、プロセスのどこを直すべきかを話し合えます。

スプレッドシート管理の限界を整理する

スプレッドシートで行動量、商談、受注を別々に管理すると、転記や集計が増え、数値の更新時点もそろいにくくなります。担当者ごとに入力方法が異なると、同じ項目名でも意味がずれ、会議で数字の確認から始めることになります。

KPI設計とCRM設計を一緒に考える理由は、指標の定義と元データをつなげるためです。コンタクトへの接触、SQL化、取引の進行、受注という流れを一元的に追える状態にすると、手作業の集計を減らしながら、同じ定義で状況を確認できます。ただし、CRMへ移しただけでは入力の意味までは統一されないため、項目と更新条件の設計が必要です。


SDRのKPIは対応速度・接続・商談品質で設計する

SDRは、資料請求、セミナー参加、Web問い合わせなど、マーケティングが獲得したインバウンドリードへ対応し、商談化を目指す役割です。すでに接点がある相手へ対応するため、活動量だけでなく、初回対応までの速度とフィールドセールスへ渡す商談の品質を確認します。

SDRの役割から指標を選ぶ

SDRのプロセスは、リード発生、初回接触、接続、SQL化、フィールドセールスでの受け入れ、受注という順序で整理できます。各段階の件数と転換率を並べることで、対応の遅れなのか、接続後の会話なのか、商談の見極めなのかを切り分けられます。

この点についてはSDRとBDRの違いを徹底解説が参考になります。

観点 確認する指標 判断できること
行動量 コール数、メール送信数 必要な接触活動が行われているか
速度 リード対応速度 関心が生じた後に滞留していないか
接続 接続数、接続率 リードへ実際に到達できているか
成果 SQL数、アポ獲得率 接続を商談へ進められているか
品質 有効商談率、SQLから受注への転換 フィールドセールスへ渡す商談が適切か

行動量と対応速度を組み合わせる

コール数やメール送信数は、活動の不足を発見するために必要です。しかし、件数だけを目標にすると、接触の優先順位や会話の質が置き去りになりやすくなります。そこで、リード対応速度、接続率、SQL数と合わせて確認します。

例えば、行動量は足りているのに接続率が低ければ、対象リードや接触時間を見直します。接続数は足りているのにSQL数が少なければ、ヒアリング内容や商談化の定義を確認します。このように、前後の指標を組み合わせると、改善の方向を具体化できます。

有効商談率で引き渡し品質を確認する

SDRのSQL数が増えていても、フィールドセールスが受け入れられない商談が多ければ、営業全体の成果にはつながりません。有効商談率を確認し、どの状態をSQLと呼ぶのかを両部門でそろえることが重要です。

SQLの定義には、確認すべき情報や次のアクションが決まっている状態を含めます。これは担当者の感覚だけで判定するのではなく、引き継ぎに必要な項目を仕組みとしてそろえる考え方です。新人や異動者でも同じ基準で運用しやすくなり、引き継ぎ時の認識差も抑えられます。


BDRのKPIは企業単位の到達品質で設計する

BDRは、ターゲット企業へアウトバウンドで接触し、新たな商談をつくる役割です。SDRよりも接触前の対象選定が成果へ影響するため、単純な接触件数だけでなく、狙った企業やキーパーソンへ到達できたかを確認します。

BDRでは企業単位で母数を捉える

BDRで個人への送信件数だけを追うと、同じ企業への重複接触や、対象外企業への活動が数字へ混ざることがあります。新規アプローチ企業数、キーパーソンへの接続、企業単位のアポ獲得をつなげて確認すると、ターゲット戦略と現場活動を結び付けられます。

詳細は営業プロセスの可視化と標準化をご覧ください。

観点 確認する指標 判断できること
対象量 新規アプローチ企業数 対象企業への接触が進んでいるか
接触量 電話やメールなどの接触数 接点をつくる活動が不足していないか
到達品質 キーパーソン接続率 想定した担当者へ到達できているか
成果 企業単位のアポ獲得数と獲得率 対象企業を商談へ進められているか
適合性 ターゲット適合率 狙うべき企業へ活動を集中できているか
事業成果 平均商談単価、受注への転換 BDR経由の商談が売上へつながっているか

接触回数だけで評価しない

BDRでは、一度の接触で商談になるとは限りません。そのため、接触数は必要な活動を確認する指標になります。ただし、件数を増やすこと自体が目的になると、対象企業の選定やメッセージの適合性を評価できません。

接触数を見るときは、キーパーソン接続率、企業単位のアポ獲得率、ターゲット適合率を隣に置きます。到達できない場合は連絡先や接触方法を、到達しても商談につながらない場合は対象選定や訴求内容を見直します。

SDRとBDRの評価軸を混在させない

SDRは発生したリードへの対応速度が重要ですが、BDRでは対象企業の選定と到達品質が先に問われます。同じインサイドセールスという名称でも、母数とプロセスが異なるため、共通の活動件数だけで比較すると実態を捉えにくくなります。

比較軸 SDR BDR
主な起点 獲得済みのインバウンドリード 選定したターゲット企業
重視する効率 初回対応、接続、商談化 企業への到達、キーパーソン接続
品質の確認 フィールドセールスが受け入れる商談か 対象企業と商談内容が方針に合うか
主な改善対象 対応順序、接続、ヒアリング 対象選定、接触方法、訴求内容

SDRとBDRに共通する成果指標は残しつつ、役割ごとの先行指標を分けることが、納得感のある評価につながります。


目標数値は売上から行動へ順番に逆算する

目標設定では、過去の慣習や他社のベンチマークをそのまま当てはめるのではなく、自社の売上目標と実績値から逆算します。計算の順序を共通化すると、目標が変わったときにも前提を差し替えて再計算できます。数値の根拠を示せるため、現場にとっても改善対象を理解しやすくなります。

売上目標を必要受注件数へ分解する

最初に、売上目標を平均受注単価で割り、必要な受注件数を求めます。

必要受注件数 = 売上目標 ÷ 平均受注単価

平均受注単価は、商材や顧客層によって変わります。複数の商材や価格帯がある場合は、すべてを一つの平均へまとめると実態が見えにくくなるため、必要に応じて対象を分けて考えます。

受注件数を必要SQL数へ戻す

次に、必要受注件数をフィールドセールスの受注率と有効商談率で割り戻し、インサイドセールスがつくるべきSQL数を求めます。

必要SQL数 = 必要受注件数 ÷ フィールドセールス受注率 ÷ 有効商談率

ここで使う受注率や有効商談率は、定義と集計期間をそろえます。SQLの定義が担当者ごとに異なる状態では、計算結果の比較ができません。計算前に、何をSQLとし、何を有効商談とするのかを明文化します。

SQL数を接続数と行動量へ戻す

必要SQL数をアポ獲得率で割ると、必要な接続数を求められます。さらに接続率で割り戻すと、必要なコール数などの行動量へつながります。

必要接続数 = 必要SQL数 ÷ アポ獲得率

必要行動量 = 必要接続数 ÷ 接続率

BDRの場合は、接続数の前にキーパーソンへの接続やアプローチ企業数を置きます。SDRとBDRで計算の骨格は共通していますが、どの母数を使うかは役割によって変わります。

算出結果が現場で実行できるか確認する

逆算した行動量が現在の体制で実行できない場合、個人へそのまま配分して終わらせるべきではありません。受注率、有効商談率、接続率、対象リスト、体制のどこを改善するのかを検討します。

目標設定は、現場へ件数を課すためだけの作業ではありません。売上目標と現在の営業プロセスの間にある差を見つけ、どの条件を変えるかを決める作業です。一律のベンチマークよりも、自社の実績を蓄積し、前提値を更新し続けることが重要です。


KPIと取引パイプラインをつなげて設計する

インサイドセールスのKPIは、SQLをフィールドセールスへ渡した時点で終わるものではありません。商談がどのステージへ進み、どの理由で受注または失注したのかまでつなげることで、リードや企業の選定を見直せます。コンタクトから取引、顧客へ続く全体フローの中にKPIを置くことがポイントです。

パイプライン設計の四つの要素

取引パイプラインは、ステージ名を並べるだけでは十分ではありません。次の四つをそろえると、インサイドセールスからフィールドセールスへの引き継ぎと、経営指標の確認を同じルールで進めやすくなります。

要素 設計する内容 KPIとの関係
取引ステージ 営業プロセスの区切り SQL後の進捗と転換を確認する
角度 各ステージの受注見込み パイプラインの見通しを確認する
ステージ定義 そのステージに入る条件 担当者による判断差を抑える
必須入力プロパティ 移行時にそろえる情報 分析に必要なデータを欠けにくくする

KPIの名称とパイプラインの定義が別々に作られていると、SQL数は増えているのに、後工程でどこまで進んだかを追えません。設計時には、インサイドセールスとフィールドセールスが同じ取引の流れを見られるようにします。

取引ボードで滞留と進行を捉える

次の画面は、HubSpotデモポータルの取引パイプラインをボード表示したものです。

HubSpotデモポータルの取引パイプライン

ボード表示では、取引がどのステージにあるかを一覧で確認できます。インサイドセールスのSQL数だけでなく、その後の取引が進行しているかを併せて見ることで、引き渡した商談の品質を振り返れます。

失注理由を前工程の改善へ戻す

失注した取引は、営業活動の終点ではなく、対象選定や商談化条件を見直すための材料になります。失注理由を分類し、SDRではリードソースやヒアリング内容、BDRではターゲット条件や訴求内容と照合します。

この循環をつくると、インサイドセールスのKPIが単なる件数管理ではなくなります。マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスが同じデータを見ながら、次の活動へ改善を戻せるようになります。


KPIダッシュボードは利用者ごとに役割を分ける

すべての指標を一つの画面へ詰め込むと、見る人によって必要な情報が埋もれます。経営層、インサイドセールスマネージャー、担当者では、判断したい内容と確認する頻度が異なります。ダッシュボードは同じ元データを使いながら、役割ごとに表示を分けます。

経営ダッシュボードは成果と見通しを示す

経営層や事業責任者には、SQL数、パイプライン金額、受注予測など、事業成果とのつながりが見える指標を配置します。細かな行動件数よりも、目標に対してどこまで進み、今後の見通しがどうなっているかを確認できる構成にします。

活動量を表示する場合も、成果との関係がわかるようにします。コール数だけを単独で示すのではなく、接続やSQLへの転換と並べることで、事業判断に必要な情報になります。

マネージャーダッシュボードはボトルネックを示す

インサイドセールスマネージャーには、チーム全体の行動量、転換率、個人別進捗を配置します。目的は順位をつけることではなく、チームのどの段階に滞留があるかを発見することです。

例えば、接続率がチーム全体で下がっていれば、個人指導よりもリストや接触方法を見直す必要があります。特定の段階で担当者ごとの差が大きければ、定義の理解や運用方法を確認します。

メンバーダッシュボードは次の行動を示す

担当者には、自分の行動量、残っているタスク、目標に対する進捗を表示します。画面を見たときに、何が不足し、次に何をすべきかがわかる構成にします。

ダッシュボード 主な利用者 主な確認内容
経営ダッシュボード 経営層、事業責任者 SQL、パイプライン、受注見通し
マネージャーダッシュボード ISマネージャー チームの行動量、転換率、個人別進捗
メンバーダッシュボード IS担当者 自分の行動、残タスク、目標進捗

HubSpotのレポートを目的から選ぶ

HubSpotでは、コール数の日別推移、リード対応速度の分布、担当者別のSQL数と目標達成状況、パイプラインのステージ別金額、リードソース別のアポ獲得率などをレポートとして整理できます。

ただし、表示できる指標を先に並べると、ダッシュボードの目的が曖昧になります。まず利用者が何を判断するのかを決め、その判断に必要なレポートだけを配置します。CRMの項目も同様に、分析や次の行動に使うものへ絞ることが、入力を定着させるうえで重要です。


KPI運用は週次の振り返りで改善を続ける

KPIは設定した時点では仮説であり、運用を通じて自社の営業プロセスを表す指標へ育てます。週次の振り返りでは、未達という結果だけでなく、行動量、転換率、対象リスト、定義のどこに差があるかを確認します。改善策は担当者の注意だけに頼らず、引き継げる運用ルールへ落とし込みます。

実績と目標の差を分解する

最初に、KGI、KPI、KAIの順で実績と目標の差を確認します。SQLが不足している場合は、次の二つを分けます。

  • 接続数が足りないのか ── 接続不足であれば、行動量と接続率を確認します。
  • 接続からSQLへの転換が低いのか

差分を細かく分けることで、「もっと頑張る」といった曖昧な対策を避けられます。改善対象がリストなのか、対応速度なのか、商談化条件なのかを特定します。

改善アクションは一度に広げすぎない

複数の指標が未達でも、すべてを同時に変えると、どの施策が結果へ影響したのか判断しにくくなります。優先するボトルネックを選び、改善アクションを絞って実行します。

最初から多くの項目やレポートを用意するのではなく、売上、SQL、有効商談、主要な行動と転換から始めます。運用で必要性が確認できた指標を段階的に追加する方が、現場が見るべき数字を共有しやすくなります。

成功条件をチームの仕組みにする

成果が出た担当者の行動を個人の力量だけで終わらせず、対象選定、接触順序、ヒアリング、SQL判定のどこが有効だったかを整理します。再現できる条件は、定義、入力項目、会議の確認順序へ反映します。

この仕組み化によって、担当変更や新人の参加があっても、同じ基準で業務を進めやすくなります。KPIは評価のためだけでなく、営業プロセスを引き継げる形にするための共通言語として使えます。


KPIマネジメントで起きやすい失敗と対策

KPI運用では、測りやすい数字に偏る、指標を増やしすぎる、振り返りが形骸化するといった問題が起こります。どの失敗も、個人の姿勢だけを原因にせず、指標と運用の設計を見直すことが重要です。

コール数だけを追いかける

コール数は目標へ到達しているのにSQLが足りない場合、行動量以外に原因があります。リストの質、接続率、トークスクリプト、ヒアリングの深さを順に確認します。

症状 確認すること 対策
コールしても接続しない 対象リスト、接触時間 リストと接触方法を見直す
接続してもSQLにならない 会話内容、商談化条件 スクリプトとヒアリングを見直す
SQL後に受け入れられない SQL定義、引き継ぎ情報 定義と必要項目をそろえる

ただし、転換率だけを見て対象を過度に絞ると、必要な商談量をつくれない場合があります。量を減らす判断ではなく、量と質のどちらに不足があるかを確認します。

KPIを増やしすぎる

多くの指標を同じ優先度で並べると、担当者は何から改善すべきか判断できません。主要なKPIは、SQL数、有効商談率、リード対応速度など、成果の量・質・効率を代表するものへ絞ります。その他の指標は、原因分析に使うサブ指標として整理します。

項目を追加するときは、「この数字が変わったときに、誰が何を判断するのか」を確認します。判断や行動につながらない指標は、表示しない選択も必要です。

目標を設定したまま振り返らない

目標と実績を記録していても、差分の原因と改善アクションを決めなければ、KPI管理は報告作業になります。振り返りでは、実績、差分、原因、次の改善を順番に確認します。

改善後は、同じ指標で変化を確かめます。効果が見られなければ、仮説を修正します。この流れを継続することで、KPIが現場を管理する数字ではなく、営業プロセスを改善するための数字になります。

共通ベンチマークをそのまま使う

他社や一般的な目安は、初期仮説を考える材料にはなりますが、自社の商材、顧客層、リード獲得方法、分業体制と一致するとは限りません。目安との差だけで担当者を評価すると、現場で変えられない条件まで個人の責任にしてしまうおそれがあります。

まず自社の実績を同じ定義で蓄積し、どの転換率が安定しているかを確認します。そのうえで、目標と現状の差を埋める施策を選びます。KPIは固定的な正解ではなく、自社の営業プロセスを改善するための仮説として扱います。

インサイドセールスのKPI設計を実務へ落とし込む際のHubSpot活用については、「HubSpotのSales Hub(SFA)とは?SFAの機能一覧とAIと連携した、実務で使えるユースケースをご紹介!」で解説しています。


よくある質問

インサイドセールスのKPIを設計・運用する際に生じやすい疑問を整理します。指標の違いだけでなく、目標の決め方やダッシュボードの使い分けまで確認できます。

SDRとBDRでKPIはどう変えるべきですか?

SDRは獲得済みリードへの対応速度、接続、SQL、有効商談率を中心に見ます。BDRは新規アプローチ企業、キーパーソンへの接続、企業単位のアポ獲得、ターゲット適合性を重視します。共通の成果指標を持ちながら、役割ごとの先行指標を分けることがポイントです。

KPIの目標数値はどう算出しますか?

売上目標を平均受注単価で割って必要受注件数を求め、受注率と有効商談率で割り戻して必要SQL数を算出します。さらにアポ獲得率と接続率を使い、必要な接続数と行動量まで分解します。計算に使う転換率は、定義をそろえた自社の実績値を基準にします。

KPIはいくつ設定すればよいですか?

主要なKPIは、成果の量、成果の質、プロセスの効率を代表する指標へ絞ります。すべての指標を同じ優先度で扱わず、原因分析に使う数字はサブ指標として分けます。見る人が次の行動を判断できない指標は、追加する前に目的を見直します。

KPIダッシュボードはどう作り分けますか?

経営層にはSQL、パイプライン、受注見通しを、マネージャーには行動量、転換率、個人別進捗を、担当者には自分の行動、残タスク、目標進捗を表示します。同じ元データを使いつつ、利用者が判断する内容に合わせて画面を分けます。表示項目を増やす前に、その指標から決める行動を明確にします。

KPIを設定しても成果につながらない場合はどうしますか?

KGI、KPI、KAIの順に差分を分解し、行動量と転換率のどちらに課題があるかを確認します。次に、リスト、接続、ヒアリング、SQL定義、引き継ぎのどこで滞留しているかを特定します。改善策を絞って実行し、同じ指標で変化を振り返ります。


まとめ

インサイドセールスのKPI設計では、売上や受注からSQL、有効商談、接続、行動量へ逆算し、各指標を一本の流れとして管理します。SDRでは対応速度と引き渡し品質、BDRでは企業単位の到達品質を重視し、共通の件数だけで評価しないことが重要です。

また、SQLで管理を終わらせず、取引パイプラインの進行や失注理由までつなげることで、対象選定や商談化条件へ改善を戻せます。CRMは記録の置き場ではなく、営業プロセスを標準化し、部門間で同じ判断基準を持つための基盤として設計します。

まずは、現在使っている指標と計算根拠を整理するところから始めます。

  1. 売上目標から必要受注件数と必要SQL数を逆算します。
  2. SDRとBDRの役割に合わせ、主要な量・質・効率の指標を選びます。
  3. 週次で差分と原因を確認し、改善する項目を絞って運用します。

CRMを活用した業務効率化やAIとの連携に関するご相談は、CRM特化型コンサルティングのHubSpotゴールドパートナーのStartLinkまでお気軽にお問い合わせください。


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著者情報

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今枝 / Imaeda

株式会社StartLink 代表取締役。累計150社以上のHubSpotプロジェクト支援実績を持ち、Claude CodeやHubSpotを軸にしたAI活用支援・経営基盤AXのコンサルティング事業を展開。
HubSpotのトップパートナー企業や大手人材グループにて、エンタープライズCRM戦略策定・AI戦略ディレクションを経験した後、StartLinkを創業。現在はCRM×AIエージェントによる経営管理支援を専門とする。