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Synergy!は、シナジーマーケティング株式会社が提供するクラウド型CRM/顧客管理システムで、データベースマーケティングやメール配信に強みを持つプラットフォームです。しかし、営業管理(SFA)機能の強化やインバウンドマーケティングとの統合を求めて、HubSpotへの移行を検討する企業が増えています。本記事では、Synergy!の各機能のデータをHubSpotにどう移行するか、データエクスポートから変換・インポートまでの具体的な手順を解説します。
Synergy!は顧客データベースの構築とメール・LINEなどのチャネルを活用したCRM施策に特化しており、ECサイトやBtoC企業を中心に利用されています。一方で、BtoB企業がSFA機能やパイプライン管理、マーケティングオートメーションを本格導入する際に、HubSpotへの移行を選択するケースが見られます。
本記事では、Synergy!の主要機能(顧客データベース、メール配信、フォーム、Webトラッキング)をHubSpotでどう代替するか、データ移行の具体的な手順を実務レベルで解説します。
この記事でわかること
- Synergy!の顧客データベースをHubSpot CRMに移行する手順
- メール配信機能のHubSpotマーケティングメールへの移行方法
- フォーム機能の切り替えと既存フォームの差し替え手順
- Webトラッキングデータの取り扱い
- 移行プロジェクトの推奨タイムラインと注意点
Synergy!とHubSpotの機能比較
Synergy!の主要機能
シナジーマーケティング社の公開情報によると、Synergy!は以下の機能を提供しています。
- 顧客データベース:柔軟なスキーマ設計で、業種や業態に合わせたデータベース構築が可能。RFM分析やセグメント機能を搭載
- メール配信:セグメント配信、ステップメール、HTMLメール、ABテスト対応
- フォーム:Web上の入力フォーム作成。条件分岐、バリデーション設定が可能
- Webトラッキング:サイト訪問者の行動追跡。ページ閲覧、滞在時間の可視化
- LINE配信:LINE公式アカウントとの連携によるメッセージ配信
- 広告連携:Google Ads、Facebook Adsとのオーディエンス連携
HubSpotとの対応関係
Synergy!の各機能は、HubSpotの以下の機能で代替できます。
- 顧客データベース → HubSpot CRM(コンタクト、会社、カスタムオブジェクト)
- メール配信 → HubSpot マーケティングメール(Marketing Hub)
- フォーム → HubSpot フォーム
- Webトラッキング → HubSpotトラッキングコード(自動的にインストール)
- LINE配信 → LINEとのHubSpot連携アプリ(サードパーティ)
- 広告連携 → HubSpot広告管理(Google Ads、Facebook Ads、LinkedIn Ads対応)
顧客データベースの移行
Synergy!のデータベース構造の理解
Synergy!のデータベースは、利用企業ごとに自由にフィールド(カラム)を定義できる柔軟な構造を持っています。BtoB企業の場合、一般的に以下のようなフィールドが設定されています。
- 基本情報:氏名、メールアドレス、電話番号、住所
- 企業情報:会社名、業種、従業員数、売上規模
- マーケティング情報:流入経路、初回接触日、リードソース
- 行動情報:メール開封履歴、フォーム送信履歴、Webページ閲覧履歴
- カスタム情報:商品関心カテゴリ、セミナー参加履歴、購買履歴(ECの場合)
HubSpotプロパティへのマッピング
Synergy!のフィールドをHubSpotのプロパティにマッピングします。HubSpotには標準で多数のプロパティが用意されていますが、Synergy!のカスタムフィールドに対応するプロパティがない場合は、カスタムプロパティを事前に作成します。
マッピング作業のポイント
- Synergy!のフィールド一覧をエクスポートし、スプレッドシートでマッピングシートを作成する
- HubSpotの標準プロパティに対応するフィールドを先にマッピングし、残りをカスタムプロパティとして設計する
- フィールドの型(テキスト、数値、日付、選択肢)をHubSpotのプロパティタイプに合わせて変換する
- Synergy!で使用頻度の低いフィールドは移行しないという判断も重要(不要データの移行はCRMの品質を下げる)
データエクスポートとクレンジング
ステップ1:Synergy!からのCSVエクスポート
Synergy!の管理画面からデータベースをCSV形式でエクスポートします。大量データの場合はセグメント別にエクスポートするか、API経由で段階的に取得します。
ステップ2:データクレンジング
エクスポートしたCSVファイルに対して、以下のクレンジング作業を実施します。
- メールアドレスの形式チェック(不正なアドレスの除外)
- 重複レコードの特定とマージ(メールアドレスをキーに名寄せ)
- 文字コードの確認とUTF-8への変換
- 会社名・住所の表記揺れの統一
- 空白セルの処理(不要なスペースの除去)
- 配信停止フラグの確認(オプトアウト情報の保持)
ステップ3:HubSpotへのインポート
クレンジング済みCSVファイルをHubSpotのインポート機能でアップロードします。BtoBの場合は「コンタクト+会社」の複合インポートを使用し、コンタクトと会社の関連付けを同時に行います。
セグメントの移行
Synergy!で作成したセグメント(顧客グループ)は、HubSpotのリストまたはビュー機能で再現します。
- 静的セグメント(手動で登録したリスト) → HubSpotのスタティックリスト
- 動的セグメント(条件に基づく自動セグメント) → HubSpotのアクティブリスト
Synergy!のRFM分析で使用していたセグメント条件は、HubSpotのリストフィルター(「最終アクティビティ日」「取引合計金額」「取引件数」など)で再現できます。
メール配信機能の移行
メールテンプレートの再構築
Synergy!で使用しているメールテンプレートは、HubSpotのマーケティングメールエディタで再構築します。
ドラッグ&ドロップエディタの活用
HubSpotのメールエディタでは、コーディング不要でテンプレートを作成できます。Synergy!で使用していたデザイン(ヘッダー画像、配色、フッター情報)を再現し、HubSpotのパーソナライゼーショントークンを設定します。
差し込み変数の変換
Synergy!のメールテンプレートで使用している差し込み変数(宛名、会社名など)を、HubSpotのパーソナライゼーショントークンに変換します。
- Synergy!の差し込みコード → HubSpotのトークン形式に変換
- デフォルト値の設定(値がない場合の表示テキスト)を忘れずに設定
ステップメール(シナリオメール)の移行
Synergy!のステップメール機能で構築したシナリオは、HubSpotのワークフローで再現します。
移行手順は以下のとおりです。
- Synergy!で稼働中のステップメールシナリオを一覧化する(トリガー条件、送信タイミング、メール内容)
- 各シナリオに対応するHubSpotワークフローを設計する
- ワークフローのトリガー条件を設定する(フォーム送信、リスト追加、日付ベースなど)
- メール送信アクションを配置し、送信間隔と分岐条件を設定する
- テスト送信で動作確認を行う
配信リストとオプトアウトの引き継ぎ
メール配信におけるオプトアウト情報の引き継ぎは、法的にも最も重要な作業です。
- Synergy!の配信停止リストをエクスポートし、HubSpotインポート時に「マーケティングメールオプトアウト」フラグを設定する
- 特定電子メール法に基づくオプトアウト情報を漏れなく移行する
- HubSpotのサブスクリプションタイプ(配信カテゴリ)を設計し、ユーザーが配信カテゴリ単位で受信設定を管理できるようにする
フォーム機能の切り替え
Synergy!フォームからHubSpotフォームへの移行
Synergy!で作成したWebフォームは、HubSpotフォームに段階的に切り替えます。
ステップ1:フォームの棚卸し
Synergy!で使用しているすべてのフォームを一覧化します。フォームの種類(資料請求、お問い合わせ、セミナー申込、アンケートなど)、設置場所(自社サイト、LP、外部サイト)、入力項目を記録します。
ステップ2:HubSpotフォームの作成
各フォームに対応するHubSpotフォームを作成します。入力項目はSynergy!のフォームに合わせつつ、HubSpotのプログレッシブプロファイリングやスマートフィールドを活用して入力体験を向上させます。
ステップ3:埋め込みコードの差し替え
Synergy!のフォーム埋め込みコードをHubSpotのフォーム埋め込みコードに差し替えます。自社サイトがWordPressの場合はHubSpotのWordPressプラグインを活用すると、フォームの埋め込みが簡単になります。
ステップ4:リダイレクト先の設定
フォーム送信後のサンキューページのURLをHubSpotフォームの設定で指定します。Synergy!で使用していたサンキューページがある場合は、そのURLをそのまま指定するか、HubSpotのランディングページでサンキューページを新規作成します。
Webトラッキングの移行
Synergy!のトラッキングデータ
Synergy!のWebトラッキング機能は、サイトにタグを埋め込むことで訪問者のページ閲覧履歴を追跡し、個人が特定された後にその行動データをCRMレコードに紐づけます。
HubSpotトラッキングコードへの切り替え
HubSpotのトラッキングコードを自社サイトに設置することで、同等のWebトラッキング機能が利用できます。
- HubSpotのトラッキングコードは1行のJavaScriptタグで、サイトの全ページの
タグ直前に設置する - Google Tag Managerを使用している場合は、GTM経由でHubSpotトラッキングコードを配信することも可能
- トラッキングコード設置後、HubSpotのトラフィックアナリティクスでサイト訪問データが蓄積される
注意点:トラッキングデータの引き継ぎ
Synergy!に蓄積されたWebトラッキングデータ(過去のページ閲覧履歴)は、HubSpotに移行することはできません。HubSpotでのトラッキングはHubSpotトラッキングコード設置後のデータのみが対象です。Synergy!の過去データは参照用として一定期間Synergy!の管理画面で確認できる状態を維持しておくことを推奨します。
LINE配信機能の代替
Synergy!のLINE配信
Synergy!はLINE公式アカウントとの連携機能を持ち、CRMのセグメント情報に基づいたLINEメッセージ配信が可能です。BtoC企業やEC事業者にとって重要な機能です。
HubSpotでのLINE対応
HubSpot単体にはLINE配信機能はありませんが、以下の方法で対応できます。
- HubSpot Marketplaceのサードパーティ連携:LINE連携アプリ(LITTLE HELP CONNECT等)を利用して、HubSpotのコンタクト情報とLINE友だちを紐づけ、セグメント配信を実現
- Zapier/Make経由の連携:HubSpotのワークフローからZapierまたはMakeを経由してLINE Messaging APIを呼び出す方法
LINE配信がビジネス上の重要チャネルである場合は、移行前にLINE連携の実現方法を十分に検証してください。
移行プロジェクトのタイムライン
推奨スケジュール(6〜10週間)
第1〜2週:要件整理・設計
- Synergy!の全機能・全データの棚卸し
- HubSpotプロパティマッピングシートの作成
- 移行対象データの範囲確定
- LINE連携など特殊要件の技術検証
第3〜4週:HubSpot環境構築
- HubSpot初期設定(ドメイン接続、メール認証、ユーザー作成)
- カスタムプロパティの作成
- メールテンプレートの再構築
- フォームの作成
第5〜6週:データ移行・テスト
- Synergy!からのデータエクスポートとクレンジング
- テストインポート(10%データ)
- ワークフロー・自動化の設定とテスト
- フォーム埋め込みコードの差し替え準備
第7〜8週:本番移行・並行運用
- 全データの本番インポート
- トラッキングコードの切り替え
- Synergy!との並行運用(2週間)
- ユーザートレーニング
第9〜10週:最適化・安定化
- レポート・ダッシュボードの最適化
- ステップメールの配信実績確認
- 並行運用終了、Synergy!を参照専用に移行
移行時の重要な注意点
Cookie情報の断絶
Synergy!からHubSpotに移行すると、Synergy!のトラッキングCookieとHubSpotのトラッキングCookieは別物になります。移行前にSynergy!で特定されていた訪問者のWeb行動データは、HubSpotでは引き継がれません。HubSpotでのトラッキングは、訪問者がHubSpotフォームを送信して個人特定された時点から蓄積されます。
メール配信のウォームアップ
Synergy!からHubSpotにメール配信を切り替える際、HubSpotの送信ドメインでの配信実績がゼロの状態から始まるため、ISP(Gmail、Yahoo!メールなど)による一時的な配信制限がかかる可能性があります。
HubSpotの配信ドメイン認証(SPF/DKIM/DMARC)を正しく設定したうえで、初期は少量のセグメントから配信を開始し、段階的に配信量を増やす「ウォームアップ」を行ってください。
データの整合性検証
インポート後は必ず以下の検証を行います。
- インポート件数がエクスポート件数と一致しているか
- 重複マージが意図どおりに動作しているか
- オプトアウトフラグが正しく反映されているか
- カスタムプロパティの値が正しくマッピングされているか
- コンタクトと会社の関連付けが正しいか
まとめ
Synergy!からHubSpotへの移行は、データベースマーケティング特化型のCRMからCRM/SFA/MA統合型プラットフォームへの進化です。Synergy!の顧客データベースはHubSpot CRMに、メール配信はMarketing Hubに、フォーム機能はHubSpotフォームに移行することで、営業とマーケティングの連携を強化できます。
移行成功のポイントは、データクレンジングの丁寧さとオプトアウト情報の確実な引き継ぎです。LINE配信などSynergy!特有の機能については、サードパーティ連携で対応可能かを事前に検証し、移行後の運用イメージを明確にしてからプロジェクトを進めてください。HubSpotへの移行により、Webサイトのトラッキング、パイプライン管理、BreezeによるAI活用など、Synergy!では実現が難しかった領域への拡張が可能になります。
CRM移行の全体的なデータ設計については「CRM移行のデータ設計完全ガイド」も参考にしてください。
よくある質問(FAQ)
Synergy!のメール配信実績(開封率・クリック率)はHubSpotに移行できますか?
Synergy!のメール配信実績データをHubSpotに直接インポートすることはできません。過去の配信実績レポートはPDFやCSVとしてエクスポートし、参照用に保管しておくことを推奨します。HubSpotでの配信実績はHubSpotからの配信開始後に蓄積されます。
Synergy!とHubSpotを並行運用する期間はどのくらい必要ですか?
一般的には2〜4週間の並行運用を推奨します。この期間中にメール配信の切り替え、フォームの差し替え、トラッキングコードの移行を段階的に進め、すべての機能がHubSpotに移行できたことを確認してからSynergy!を停止します。
Synergy!のLINE配信機能はHubSpotで完全に代替できますか?
HubSpot単体にはLINE配信機能はありませんが、LITTLE HELP CONNECTなどのサードパーティ連携アプリを活用することで、HubSpotのセグメント情報に基づいたLINE配信が可能です。ただし、Synergy!のLINE配信機能と完全に同等ではないため、移行前に検証環境でテストすることをおすすめします。
CRM移行のご相談はお気軽にどうぞ
Synergy!からHubSpotへの移行は、データベースマーケティングの基盤を維持しながらCRM/SFA機能を強化する重要なステップです。データのクレンジングからオプトアウト情報の引き継ぎ、メール配信のウォームアップまで、移行プロジェクトの全工程をサポートしています。
移行計画の策定や工数見積もりについて、まずはお気軽にご相談ください。
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著者情報
今枝 拓海 / Takumi Imaeda
株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。
パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。