研修の管理システムを設計するとき、最初に決めるべきは講師・開催回・受講者をどのオブジェクトに持つかです。「売る単位」と「実施する単位」が一致しない研修事業では、このデータ構造の決定がすべての起点になります。
「営業は案件を追えているが、実施の管理はスプレッドシートのまま」「同じ会社に去年どの研修を提供したかを調べるのに、フォルダを掘る必要がある」——研修・人材開発の事業者から、こうしたご相談をいただくことがあります。
研修事業のデータ設計とは、発注企業・人事担当・受講者・講師・開催回という5つの登場人物を、どのオブジェクトに、どの粒度で持つかを決める作業です。他業種と違うのは、「売る単位」と「実施する単位」と「請求する単位」が一致しないことにあります。1件の受注が10回の開催に分かれ、その各回に別の講師が入り、受講者は毎回違う。この構造をどう表現するかで、CRMの使い勝手はほぼ決まります。
この記事では、HubSpotを例に研修事業のデータモデルの組み立て方を解説します。「すべてをCRMに集約しましょう」で終わらせず、CRMに載せないほうがよい領域まで線を引いてお伝えします。
この記事でわかること
研修会社・人材開発会社で管理の仕組みづくりを担当されている方、営業と実施運営の情報を1か所にまとめたい方に向けて、研修事業のデータ設計の全体像を整理しました。次の4点がわかります。
- 開催回(デリバリー)を独立させる理由 — 受注1件と実施1回を同じレコードで扱うと、稼働も採算も見えなくなります
- 講師をどこに持つか — コンタクトで足りる場合と、独立したオブジェクトが必要な場合の境目を示します
- 受講者を全員コンタクトにするかの判断 — 個人情報の扱いと、後の営業活用の両面から整理します
- 公開講座型と講師派遣型でモデルが変わる — 請求単位と申込の主体が違うためです
研修事業の管理システムを検討している方、CRMのデータ設計をこれから決める方に向けて書いています。最後まで読むと、自社の研修事業をどのデータ構造で持つかの判断軸が固まり、最初の一歩を決められるようになります。
研修事業のデータが分断される理由
まず、なぜ研修会社で情報が分断しやすいのかを整理します。背景にあるのは、受注・実施・受講者という3つの情報が、そもそも異なる単位で動いているという構造上の問題です。どこで分断が起きるかを押さえておくと、この後のデータ設計の意図が理解しやすくなります。分断が起きやすい箇所は次の3つです。
- 売る単位と実施する単位 ── 受注と開催のまとまりがずれている
- 実施運営の管理方法 ── スプレッドシートのほうが速く、営業側から履歴が見えない
- 受講者情報の扱い ── CRMに入れるかどうかの判断を保留しやすい
「売る単位」と「実施する単位」がずれている
営業が受注するのは「管理職研修 全5回 40名」といったまとまりです。一方、実施側が管理するのは「10月14日 第1回 東京会場 講師A 出席32名」という個別の開催です。この2つを1つのレコードで扱おうとすると、受注情報に開催日を10個並べるか、開催ごとに受注レコードを分けるかのどちらかになり、どちらも歪みます。
実施運営はスプレッドシートのほうが速い
次のような実施運営の作業は、表形式のほうが速く、実際にスプレッドシートで回っている事務局が多くあります。
この判断自体は合理的です。問題は、そこに溜まった実施の履歴が営業側から見えないことです。「昨年どの研修を何回提供したか」が分からなければ、翌年の提案は前年の記憶頼りになります。
受講者情報の扱いに迷いがある
研修では、受講者名簿という個人情報を大量に扱います。これをCRMに入れるべきかどうかは、事務局の判断だけで決められません。発注企業との契約や利用目的の範囲に関わるためです。判断を保留したまま運用が始まると、入れる人と入れない人が混在し、データが信用できなくなります。
なお、企業向け研修サービス市場は2024年度が5,858億円(前年度比4.6%増)、2025年度は6,130億円と予測されています(矢野経済研究所「企業向け研修サービス市場に関する調査を実施(2025年)」2025年8月7日公表 2026年8月1日確認)。
2025年時点での予測値ですが、市場が拡大するほど提供回数と講師数が増え、表計算での管理が限界を迎えるタイミングが早く訪れます。
5つの登場人物をどのオブジェクトに持つか
ここからは具体的なデータ構造に入ります。発注企業・人事担当者・受講者・講師・開催回という5つの登場人物と、それらを結ぶ受注案件を、標準オブジェクトとカスタムオブジェクトにどう割り当てるかが設計の主題です。まず全体像を次の図で示します。

上図は、特定の企業の実装ではなく、研修事業でよく出てくる要素を一般化した設計例です。HubSpotの標準機能とカスタムオブジェクトで組める構成として整理しています。なお、この考え方はHubSpot固有のものではなく、リレーショナルなデータベースを持つCRMであれば同様に組めます。ただし、オブジェクトの追加方法や利用できるプランの条件は製品ごとに異なります。
標準オブジェクトへの割り当て
| 登場人物 |
割り当て |
補足 |
| 発注企業 |
会社 |
グループ企業がある場合は親子関係で持ちます |
| 人事・研修担当者 |
コンタクト |
発注の意思決定者と窓口が別なら両方持ちます |
| 受注案件(提案〜契約) |
取引 |
年間契約と単発を区別するプロパティーを持たせます |
| 開催回(デリバリー) |
カスタムオブジェクト |
日付・会場・講師・出席者数を持ちます |
| 講師 |
コンタクトまたはカスタムオブジェクト |
後述の判断軸で決めます |
| 受講者 |
コンタクトまたは持たない |
後述の判断軸で決めます |
開催回を独立させるのが設計の要
研修事業のデータ設計で最も効果が大きいのが、開催回(デリバリー)を独立したレコードにすることです。1件の取引に対して複数の開催回が紐づく1対多の構造にすると、次のことが同時にできるようになります。
- 月別の実施回数と稼働が見えます
- 講師ごとの登壇回数と担当領域が集計できます
- 実施が完了した回だけを対象に請求や振り返りを回せます
- 翌年の提案時に「この会社に何をいつ提供したか」がレコードとして残ります
逆に開催回を取引のプロパティー(開催日1、開催日2……)として持たせると、これらがすべてできません。日付が増えるたびにプロパティーを足すことになり、集計軸としても使えないためです。
ただし、開催回を独立させると取引との関連付けや入力の手間が増えます。1受注1開催がほとんどの事業者であれば、まず取引のプロパティーで持つ設計で足りるケースも多いです。
カスタムオブジェクトはMarketing Hub / Sales Hub / Service Hub / Data Hub / Content Hub の各Enterprise、および Smart CRM Enterprise・Revenue Hub Enterprise で利用できる機能とされています(HubSpotナレッジベース「カスタムオブジェクトを作成する」 2026年8月1日確認)。Professionalプランでは使えないため、開催回を独立させたい場合はプランの前提から確認が必要です。判断軸はカスタムオブジェクトを使うべきかの判断で整理しています。
開催回に持たせる項目
開催日時、会場(またはオンライン)、研修プログラム、担当講師、定員、申込者数、出席者数、実施ステータス、実施報告の有無。この程度が実務で使われる範囲です。当日の進行内容やアンケートの自由記述まで持たせると、入力されずに終わります。検索・絞り込みに使うものと、集計に使うものに絞るのが基本です。
講師をどこに持つか
登場人物の中で、判断が分かれるのが講師の扱いです。社内講師が中心か外部講師を多数起用するか、人数はどの程度かによって、適した持ち方が変わります。次の図は、コンタクトで持つ場合とカスタムオブジェクトで持つ場合の違いを整理したものです。

コンタクトで足りるケース
社内の講師が中心で人数が10名程度、担当領域も固定されている場合は、コンタクトに「講師」の区分プロパティーを持たせるだけで足ります。開催回との関連付けにラベルを付ければ、誰がどの回を担当したかは追えます。
カスタムオブジェクトが必要になるケース
外部の講師・ファシリテーターを多数起用し、次のような管理が必要になると、コンタクトでは手狭になります。
- 対応可能なプログラム領域が複数あり、条件で絞り込んで探したい
- 稼働可能な曜日・時間帯・エリアで検索したい
- 講師料の単価体系(1日あたり、半日あたり、オンライン時)が複数ある
- 受講者アンケートの評価を講師ごとに蓄積したい
- 稼働状況(今月の登壇回数)を見ながらアサインしたい
これらは「コンタクト=人」という枠を超えて、リソースとしての管理になります。ここまで来たら独立したオブジェクトにするほうが、後の運用が軽くなります。
講師をコンタクトと二重に持たない
カスタムオブジェクト化した場合でも、講師とのメールのやり取りはコンタクトとして必要になります。ここで「講師オブジェクト」と「講師コンタクト」を別々に手入力すると、ずれが生じてしまいます。どちらを正とするかを決め、片方は関連付けでたどる形にすることをおすすめします。
受講者をコンタクトとして持つかどうか
研修事業のデータ設計で、最も慎重に決めるべき論点です。受講者情報は個人情報でもあるため、「システム上持てるか」と「持つべきか」は別の問題として扱う必要があります。どちらが合うかは、提供形態と受講者との関わり方によって企業ごとに異なります。判断の基準を順に整理します。
全員をコンタクトにする場合の利点と負担
受講者を全員コンタクトとして持つと、受講履歴が個人単位で蓄積され、フォローアップメールや継続学習の案内が送れます。個人向けにも講座を提供している事業者にとっては、将来の顧客基盤にもなります。
一方で、負担も明確です。研修1回で30名、年間200回であれば6,000件のコンタクトが毎年増えます。同姓同名や転職による重複、退職者の扱いといったデータ品質の課題が継続的に発生します。
持たない・部分的に持つという選択
受講者名簿を発注企業側が管理し、自社は人数と出席状況だけを持つという設計も現実的です。開催回のレコードに「申込者数」「出席者数」を持たせれば、稼働と請求の管理には足ります。
判断の基準は次の3点です。
| 確認すること |
全員コンタクト化に向く |
人数のみで足りる |
| 受講者個人へ直接連絡するか |
する(フォロー、アンケート、継続案内) |
しない(連絡は人事経由) |
| 受講者が将来の個人顧客になりうるか |
なりうる(公開講座・資格講座を提供) |
ならない(法人研修のみ) |
| 個人情報の利用目的を説明できるか |
説明でき、同意が取れる |
契約上、発注企業の管理下にある |
3つのうち2つ以上が右側であれば、無理にコンタクト化しないほうが運用が安定します。個人情報は「持てるから持つ」ものではなく、使う目的が明確なときに持つものです。
中間案:出席の記録だけを残す
受講者をコンタクトとして持ちつつ、プロパティーは氏名・所属企業・受講履歴に絞り、マーケティング配信の対象からは外すという設計もあります。この場合、配信対象かどうかを明確に区別できる仕組みを持たせることが前提になります。
公開講座型と講師派遣型でモデルが変わる
同じ研修事業でも、提供形態によってデータモデルは変わります。申込の主体と請求の単位が違うため、取引と開催回を作る順序も変わってきます。次の図は、公開講座型と講師派遣型(企業内研修)の違いを整理したものです。

2類型の比較
| 観点 |
公開講座型 |
講師派遣型(企業内研修) |
| 申込の主体 |
個人または企業が個別に申込 |
企業が一括で発注 |
| 取引の単位 |
申込ごと、または年間の受講契約 |
研修プログラム単位、または年間契約 |
| 開催回の位置づけ |
先に開催が決まり、そこへ申込が集まる |
受注後に日程を決める |
| 受講者 |
申込者=コンタクトとして必須 |
発注企業の名簿。持たない選択もある |
| 請求単位 |
受講人数×単価 |
研修1回あたり、または一式 |
公開講座型は「開催回が先」
公開講座では、開催回のレコードが先に作られ、そこへ申込が集まります。したがって開催回は「商品」に近い性質を持ちます。定員、残席、申込締切といった項目が必要になり、Webからの申込フォームと直結させる設計になります。フォームからの申込を開催回に紐づける流れを作れば、残席の管理まで一貫します。
講師派遣型は「受注が先」
企業内研修では受注が先にあり、日程は後から決まります。したがって取引のステージは提案〜受注までを扱い、受注後に開催回のレコードが作られる順序になります。受注時点では開催回が0件でも成立するという点が、公開講座型との構造的な違いです。
両方やっている場合
多くの研修会社は両方を提供しています。この場合、パイプラインを分けるのが基本です。営業プロセスも受注単価も違うため、1本にまとめると受注見込みのレポートが読めなくなります。パイプラインを分ける考え方は工事案件のパイプライン設計でも同じ論点として扱っています。
提案から受注までのパイプライン設計
ここまではデータ構造の話に集中しましたが、営業側のパイプラインも同じ設計思想で組みます。受注率が変化するポイントでステージを分け、各ステージで持つべき情報を決めるという考え方です。自社の営業プロセスにフィットした形で定義することが重要で、ここでは研修事業に沿った一例を示します。
研修事業のステージ案
| # |
ステージ |
次に進む条件 |
このステージで持つ情報 |
| 1 |
問い合わせ・引合 |
案件情報を受領し担当を割り当てた |
獲得経路、想定テーマ、対象人数 |
| 2 |
ヒアリング |
課題と対象者像の確認が完了した |
課題、対象階層、実施希望時期 |
| 3 |
企画・提案 |
提案書を提出した |
提案プログラム、想定回数、想定講師 |
| 4 |
見積提示・条件調整 |
見積を提示した |
金額、実施形態(対面/オンライン) |
| 5 |
受注 |
発注書または契約書を受領した |
契約金額、実施予定期間 |
| 6 |
失注・見送り |
他社決定、予算未成立、時期見送りが確定した |
失注理由、再アプローチ時期 |
「時期見送り」を失注と分ける
研修は、内容には納得しているが予算年度の都合で翌期に回るという案件が一定数あります。これを失注として処理すると、翌期に追いかける先が消えます。再アプローチ時期を持たせて別の扱いにすると、翌年の引合の母集団になります。
年間契約と単発を区別する
年間で複数プログラムを請け負う契約と、単発の研修では、受注後の動き方がまったく違います。取引に契約形態のプロパティーを持たせておけば、年間契約の更新時期を一覧で追えるようになり、更新提案の抜けが減ります。
受注後は開催回に主役が移る
受注した時点で、管理の主体は営業から実施の事務局へ移ります。建設業で引合と施工を分けるのと同じ構造です(工事案件のパイプライン設計で詳しく扱っています)。研修事業の場合は、受注取引に開催回を紐づける形でこの引き継ぎを表現できます。
請求とアンケートをどう扱うか
最後に、受注後のプロセスに触れておきます。問い合わせから受注、開催、請求、振り返りまでを一気通貫で考えると、実施して終わりではなく請求と品質のモニタリングまでがデータ設計の対象になります。CRMと会計システムの線引きも含めて整理します。
請求単位を先に決める
研修の請求には、次のような複数のパターンがあります。
- 実施1回ごと
- 月末締めでまとめて
- 年間契約の分割
- 受講人数に応じた従量
取引の金額欄1つでは表現できません。商品項目(ラインアイテム)を請求単位ごとに作り、請求予定日を持たせる設計にすると、月別の請求予定が集計でき、実施済みなのに請求が漏れている案件も検知できます。
会計システムとの線引きは、次のとおりが基本です。
- CRM ── 請求予定と契約金額
- 会計システム ── 請求書の発行と入金消込
この線を崩すと会計の正が二重になります。考え方はCRMと会計システムの連携設計で整理しています。
アンケートは「集計値」を持つ
受講者アンケートの自由記述まですべてCRMに入れると、レコードが重くなり検索性も落ちます。開催回のレコードには満足度の平均値と回収率という集計値を持たせ、生データは既存のアンケートツールやフォームの回答に残す。この分担であれば、講師別・プログラム別の品質推移が見えつつ、運用も軽く保てます。
実施報告を仕組みにする
実施後に講師や事務局が報告を入れる運用は、フォームで受け、開催回のレコードへ紐づける形にすると続きます。メールや口頭で報告を受けて誰かが転記する運用は、繁忙期に止まってしまいます。入力の入口を1つに固定することが、定着の分かれ目です。人の記憶や口頭の引き継ぎに頼らない形にしておけば、担当者が変わっても同じ仕組みで回せます。
段階的に広げる進め方
一度にすべてを載せようとすると、初期構築だけで長期化します。すべてを一気に進めるのは難しいため、自社で活用できそうなもの、効果が出そうなものから優先順位をつけて広げる進め方をおすすめします。3つの段階に分けて整理します。
3段階の導入ステップ
| 段階 |
やること |
この段階で得られること |
| 第1段階 |
会社・コンタクト・取引の整備、受注パイプラインの運用開始 |
提案中の案件と受注見込みが見えるようになります |
| 第2段階 |
開催回オブジェクトの追加、実施ステータスと請求予定の管理 |
月別の実施回数、稼働、請求漏れが見えるようになります |
| 第3段階 |
講師オブジェクト、アンケート集計、受講者管理 |
アサインの最適化と、品質のモニタリングが回り始めます |
まず1本の線を通す
第1段階と第2段階だけでも、営業と事務局が同じ画面を見られるようになります。まず1本の線を通し、動き始めてから広げる進め方が、結局いちばん現場に残ります。データ構造の正解は1つではなく、提供形態や受講者との関わり方によって最適な形は異なります。小さく始めて運用の実態を見ながら足していくほうが、結果的に自社にフィットした設計になります。
隣接領域の設計も参考になる
教育・スクール事業の観点は教育業界のHubSpot活用ガイドでも扱っています。人材開発の隣接領域として、人材紹介CRMのデータ設計も構造の参考になります。
よくある質問
研修事業のデータ設計について、ご相談の場でよくいただく質問をまとめました。
Q1. 開催回をカスタムオブジェクトにしないと管理できませんか。
そんなことはありません。年間の実施回数が数十回程度で、1受注1開催がほとんどであれば、取引のプロパティーに開催日を持たせる設計で十分に運用できます。オブジェクトを増やすと入力と関連付けの手間も増えるため、必要性が明確になってから足すほうが定着します。判断の起点は次の2点です。
- 1件の受注に対して開催が複数回に分かれるか
- 講師別・月別の稼働を集計したいか
Q2. 受講者名簿をCRMに入れることに社内で懸念があります。
懸念は妥当です。受講者情報は発注企業から預かった個人情報にあたることが多く、利用目的の範囲を超えた保有や活用は避ける必要があります。判断を保留したまま「とりあえず入れる」運用が最も危険です。人数と出席状況だけで実務が回るのであれば、無理にコンタクト化しないことをおすすめします。個人向けにも講座を提供しており、本人から直接同意を得られる場合に限り、コンタクト化を検討する順序が安全です。
Q3. 講師の稼働管理までCRMでできますか。
登壇回数の集計と、空き状況の目安の管理まではできます。ただし、講師の詳細なスケジュール管理(他社の案件を含む予定表)までをCRMで持とうとすると、更新されずに実態とずれます。CRM側は「自社の案件でどこが埋まっているか」に絞り、最終的な可否は講師への確認で取る運用が現実的です。
Q4. スプレッドシートでの実施管理をやめる必要がありますか。
すぐにやめる必要はありません。むしろ、当日の進行表や会場レイアウトのような運営資料は表計算のほうが向いています。CRMに移すべきなのは、後から検索・集計したくなる情報——いつ・誰に・何を・誰が提供したか——です。この線引きをせずに全部を移そうとすると、事務局の作業が増えるだけで終わります。
Q5. どのプランから始めるべきですか。
開催回や講師をカスタムオブジェクトで独立させる必要があるかどうかで変わります。取引のプロパティーで開催日を持つ設計であれば、Professionalの範囲でパイプラインの分割、関連付けラベル、ワークフローによる自動化まで組めます。実施回数が多く、講師別・月別の稼働を集計したい場合は、カスタムオブジェクトが使えるEnterpriseが前提になります。プランから決めるのではなく、必要なデータ構造を先に描いてから確認する順序をおすすめします。
まとめ
研修事業のデータ設計は、「売る単位」と「実施する単位」のずれをどう表現するかに尽きます。要点を整理します。
- 開催回(デリバリー)を独立させるのが要。1受注に複数の開催が紐づく構造にすると、稼働・講師別実績・請求漏れが同時に見えます
- 講師はコンタクトで足りる場合とオブジェクトが必要な場合がある。条件で絞り込んでアサインしたくなったら、独立させる時期です
- 受講者は「持てるから持つ」ものではない。直接連絡するか、将来の個人顧客になりうるか、利用目的を説明できるかの3点で判断します
- 公開講座型は開催回が先、講師派遣型は受注が先。順序が逆なので、パイプラインは分けたほうが読みやすくなります
- 請求単位を先に決める。商品項目で分割し請求予定日を持たせると、実施済みなのに請求が漏れている状態を検知できます
最初の一歩としておすすめしたいのは、「直近1年の実施を10件書き出し、受注1件に対して何回の開催があったかを数える」ことです。ほとんどが1対1であれば取引のプロパティーで足りますし、1対多が目立つなら開催回の独立が必要です。他社の設計を借りてくるより、この10件のほうが確かな判断材料になります。
そのうえで、次の順序で進めるのが現実的です。
- 会社・コンタクト・取引で受注側のパイプラインを先に動かす
- 開催回オブジェクトを追加し、実施と請求予定を同じ画面で管理する
- 必要性が明確になってから、講師・受講者の管理へ広げる
この「まず1本の線を通し、動き始めてから広げる」進め方が、現場に残ります。
自社の研修事業をどのデータ構造で持つか具体的に検討したい場合は、StartLinkの無料相談もご活用ください。CRMを活用した業務効率化やAIとの連携に関するご相談は、CRM特化型コンサルティングのHubSpotゴールドパートナーのStartLinkまでお気軽にお問い合わせください。
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