Mazrica Sales(マツリカセールス)からHubSpotへの移行ガイド|SFA機能の再現と営業フロー再設計の方法

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Mazrica SalesからHubSpotへの移行を検討する背景

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出典: Mazrica Sales公式サイト

Mazrica Sales(マツリカセールス、旧Senses)は、直感的なカード型案件ボードやAIによる受注予測機能で、国内の多くの営業チームに導入されてきたSFAツールです。営業現場のデータ入力負荷を軽減する設計思想は、多くの企業から支持を集めています。

一方で、事業成長にともなって「SFA単体では限界がある」と感じる企業が増えています。具体的には、以下のような課題が移行検討のきっかけになるケースが多く見られます。

  • マーケティングとの連携不足 — リードジェネレーションからナーチャリング、商談化までを一気通貫で管理したいが、Mazrica Salesだけでは完結しない
  • カスタマーサクセスの統合管理 — 受注後のオンボーディングやアップセルまで含めた顧客ライフサイクル全体を一つのプラットフォームで可視化したい
  • レポーティングの高度化 — 営業だけでなく、マーケティングROIやカスタマーサクセスのヘルススコアまで横断的に分析したい
  • グローバル展開への対応 — 海外拠点との統一プラットフォームが必要になった

HubSpot CRMは、Marketing Hub・Sales Hub・Service Hub・Content Hub・Data Hubの5つのHubを統合した「オールインワンCRMプラットフォーム」です。SFA機能はもちろん、マーケティングオートメーション、カスタマーサービス、コンテンツ管理までを一つのデータベース上で運用できるため、上記の課題を根本から解決できます。

本記事では、Mazrica SalesからHubSpotへの移行を成功させるための具体的な手順、機能マッピング、営業フローの再設計方法、そしてチームへの定着施策までを包括的に解説します。

Mazrica SalesとHubSpot CRMの機能比較

移行を進める前に、両プラットフォームの機能差を正確に把握することが重要です。以下の比較表で主要機能を整理します。

SFA(営業支援)コア機能

機能領域Mazrica SalesHubSpot Sales Hub
案件管理カード型ボードで直感的に管理パイプラインボード+リストビュー切替
活動管理アクション管理でタスク・メモを記録タイムライン上にメール・通話・タスクを自動記録
AI機能AIによる受注確度予測・リスク分析Breezeによる予測リードスコアリング・取引予測
名刺管理Sansanなど外部連携HubSpotモバイルアプリで名刺スキャン対応
メール連携Gmail・Outlook連携Gmail・Outlook双方向同期+トラッキング
レポート営業ダッシュボードカスタムレポートビルダー+営業アナリティクス

プラットフォーム拡張性

領域Mazrica SalesHubSpot
マーケティング外部MA連携が必要Marketing Hubでネイティブ統合
カスタマーサービス非対応Service Hubでチケット・ナレッジベース管理
コンテンツ管理非対応Content HubでCMS・ブログ運用
データ連携API・一部連携ありData Hubで双方向同期+1,700以上のアプリ連携
AI機能営業特化のAIBreeze(全Hub横断のAIエージェント・コパイロット)
無料プランなし(有料のみ)無料CRMで基本機能を永続利用可能

Mazrica Salesが営業現場の使いやすさに特化しているのに対し、HubSpotは営業を含むビジネスプロセス全体をカバーするプラットフォームです。移行によって「営業の枠を超えた顧客データの統合管理」が実現します。

移行前の準備:データ監査とワークフローマッピング

移行の成否は、事前準備の質で決まります。以下の3つのステップを確実に実行してください。

ステップ1:現行データの棚卸し

Mazrica Salesに蓄積されているデータを種類別に棚卸しします。

  • 案件(取引)データ — 案件名、金額、フェーズ、受注確度、担当者、予定クロージング日
  • 顧客・コンタクトデータ — 企業名、担当者名、メールアドレス、電話番号、役職
  • 活動履歴 — メール送受信、電話メモ、訪問記録、タスク完了履歴
  • カスタムフィールド — Mazrica Sales上で独自に作成した項目(業種、導入予定時期など)
  • ファイル・添付資料 — 提案書、見積書などの添付ファイル

この段階で「使われていない項目」「重複データ」「不正確なデータ」を特定し、クレンジング方針を決めておくことが重要です。古いデータをそのまま移行すると、新しいCRMの精度が下がります。

ステップ2:プロパティマッピング設計

Mazrica Salesのフィールドを、HubSpotのプロパティにどう対応させるかを設計します。

Mazrica SalesフィールドHubSpotプロパティ備考
案件名取引名(Deal name)そのまま移行
案件金額金額(Amount)通貨設定を確認
フェーズ取引ステージ(Deal stage)パイプライン設計が必要
受注確度取引確度(Deal probability)ステージごとの自動確率も設定可能
予定クロージング日クロージング予定日(Close date)日付フォーマットを統一
担当者取引オーナー(Deal owner)HubSpotユーザーとの紐付け
企業名会社名(Company name)会社オブジェクトに分離
アクションタスク・アクティビティタイプ分けが必要

HubSpotにデフォルトで存在しないフィールドは、カスタムプロパティとして事前に作成しておきます。

ステップ3:営業プロセスの再設計

Mazrica Salesのパイプライン構成をそのままHubSpotに移すのではなく、移行を機に営業プロセスを見直すことを推奨します。

HubSpotでは以下の点でより柔軟なパイプライン設計が可能です。

  • 複数パイプラインの運用 — 新規営業・アップセル・パートナー経由など、案件タイプごとにパイプラインを分けられる
  • 必須プロパティの設定 — 特定のステージに進める条件として、必須入力項目を設定できる
  • 自動化トリガー — ステージ変更時にタスク自動作成、通知送信、メールシーケンス開始などを設定できる

移行の具体的ステップ

Step 1:Mazrica Salesからのデータエクスポート

Mazrica Salesの管理画面から、以下のデータをCSV形式でエクスポートします。

  1. 案件データ — 案件一覧からCSVエクスポート
  2. 顧客データ — 取引先一覧からCSVエクスポート
  3. コンタクトデータ — コンタクト一覧からCSVエクスポート
  4. 活動履歴 — アクション履歴のエクスポート(APIを使用する場合もあり)

エクスポート時の注意点として、文字コードはUTF-8を指定し、日付フォーマットはYYYY-MM-DD形式に統一してください。

Step 2:HubSpot側の環境構築

データをインポートする前に、HubSpot側の受け皿を整えます。

  1. パイプラインの作成 — 設計したパイプラインとステージを作成
  2. カスタムプロパティの作成 — マッピング表に基づいてカスタムフィールドを作成
  3. ユーザーの追加 — チームメンバーをHubSpotに招待し、権限を設定
  4. チームの設定 — 営業チームを作成し、メンバーを割り当て

Step 3:データインポートの実行

HubSpotのインポート機能を使用して、以下の順番でデータを投入します。

  1. 会社(Company) — まず企業データをインポート
  2. コンタクト(Contact) — 企業との関連付けIDを含めてインポート
  3. 取引(Deal) — パイプライン・ステージの値をマッピングしてインポート
  4. アクティビティ — 通話ログ、メモ、タスクをインポート(HubSpot APIの活用が効率的)

インポート時は、必ず少数のテストデータで動作確認してから本番データを投入してください。プロパティのマッピングミスや文字化けを事前に検出できます。

Step 4:アソシエーション(関連付け)の確認

HubSpotの強みは、コンタクト・会社・取引が相互に関連付けられる点です。インポート後、以下を確認します。

  • コンタクトと会社が正しく紐付いているか
  • 取引がコンタクト・会社の両方に関連付けられているか
  • 同一企業・同一コンタクトの重複がないか

重複が見つかった場合は、HubSpotの「重複管理ツール」を使って統合します。

Mazrica Salesの主要機能をHubSpotで再現する

カード型案件ボード → HubSpotパイプラインボード

Mazrica Salesのカード型案件ボードは、HubSpotの「取引ボードビュー」でほぼ同じ操作感を再現できます。

  • ドラッグ&ドロップ — 取引カードをステージ間で移動可能
  • カード表示項目のカスタマイズ — 金額、クロージング日、担当者など表示項目を自由に設定
  • フィルター保存 — 担当者別、金額別などのフィルタービューを保存して切替
  • ボードアクション — カード上から直接タスク作成、メモ追加、メール送信が可能

アクション管理 → HubSpotタスク+シーケンス

Mazrica Salesの「アクション管理」機能は、HubSpotでは以下の組み合わせで再現・強化できます。

  • タスク機能 — 期日、優先度、タスクキューで管理。リマインダー通知も自動
  • シーケンス機能 — メール・タスクを組み合わせた営業アクションを自動化。フォローアップの抜け漏れを防止
  • ワークフロー — ステージ変更や特定条件をトリガーに、タスクの自動作成やチーム通知を実行

AI受注予測 → Breeze予測リードスコアリング

Mazrica Salesが提供するAI受注確度予測は、HubSpotのAI「Breeze」で代替・発展させることができます。

  • 予測リードスコアリング — 過去の取引データを学習し、コンバージョン確率を自動スコアリング
  • 取引予測(フォーキャスト) — パイプライン全体の売上予測をAIが算出。加重・ベストケース・コミットの3パターンで表示
  • Breezeコパイロット — コンタクトの調査、メール文面の生成、CRMデータの要約をAIがアシスト

Breezeは営業だけでなく、マーケティングやカスタマーサービスにも横断的に活用できるため、Mazrica SalesのAIよりも広範な業務改善が期待できます。

レポート・ダッシュボード

HubSpotのカスタムレポートビルダーでは、Mazrica Salesで利用していた営業指標をすべて再現できます。

  • パイプライン分析 — ステージごとの滞留日数、コンバージョン率、パイプライン推移
  • 営業活動レポート — 担当者別の活動量(メール、通話、ミーティング)
  • 売上予測レポート — 月次・四半期の売上着地予測
  • クロスオブジェクトレポート — マーケティング施策(キャンペーン)から受注までの一気通貫分析

移行時のよくある課題と解決策

課題1:活動履歴の完全移行が難しい

Mazrica Salesに蓄積された活動メモや電話記録は、CSVエクスポートだけでは完全に移行できないケースがあります。

解決策: HubSpotのEngagements APIを使用して、活動履歴をプログラマティックにインポートします。タイムスタンプやオーナー情報を保持したまま、ノート・通話・メールのエンゲージメントとして取り込めます。重要な商談の経緯が失われないよう、直近の活動データを優先的に移行しましょう。

課題2:営業メンバーの操作習慣の違い

Mazrica Salesの操作に慣れたメンバーにとって、HubSpotのUI変化は短期的なストレスになります。

解決策: 移行前に「HubSpotハンズオンワークショップ」を実施します。特に日常的に使う「取引ボード」「タスクキュー」「メール連携」の3操作に絞って、実データを使ったトレーニングを行うと効果的です。HubSpot Academyの無料トレーニングコースも活用してください。

課題3:カスタムフィールドの型違い

Mazrica SalesとHubSpotでは、プロパティの型定義が異なる場合があります。特に選択肢型(ドロップダウン)やタグ型のフィールドは注意が必要です。

解決策: マッピング表の段階で、フィールドの型(テキスト、数値、日付、ドロップダウン、複数選択)を明確にし、HubSpot側で事前にプロパティを作成しておきます。選択肢の値は完全一致させるか、インポート時のマッピングテーブルで変換を定義してください。

課題4:並行稼働期間の二重管理

移行期間中に「Mazrica SalesとHubSpotの両方にデータを入力する」二重管理が発生すると、現場の負担が急増します。

解決策: 並行稼働は最大2週間に限定し、移行完了のカットオーバー日を事前に宣言します。並行期間中は「新規案件はHubSpotのみ」「既存案件はMazrica Salesで継続」というルールを明確にすると混乱を防げます。

移行後の検証とチーム定着

データ検証チェックリスト

移行完了後、以下の項目を検証します。

  • 取引件数がMazrica Salesと一致しているか
  • 取引金額の合計がエクスポート前と一致しているか
  • コンタクト・会社のレコード数が正しいか
  • パイプラインのステージ分布が移行前と一致しているか
  • 主要な取引の活動履歴が正しく表示されているか
  • アソシエーション(コンタクト↔会社↔取引)が正しいか

チーム定着のための施策

SFAの移行で最も重要なのは、ツール変更後に営業チームが実際に使い続けることです。

  1. 移行チャンピオンの任命 — 各チームから1名、HubSpotの操作に精通したメンバーを育成し、現場の質問窓口にする
  2. 初週の集中サポート — 移行後の最初の1週間は、日次で短い(15分程度の)振り返りミーティングを実施し、つまずきポイントを即座に解消
  3. ダッシュボードの即日公開 — 営業メンバーが「自分の数字」をすぐ確認できるダッシュボードを移行初日から提供。データが見えることで定着が加速する
  4. 段階的な機能拡張 — 初期はSFA機能(取引管理・タスク・メール連携)に集中し、慣れてからシーケンス・ワークフロー・レポートなどの高度機能を導入

中長期で活かすHubSpotの拡張性

Mazrica Salesでは実現が難しかった以下の領域を、HubSpotへの移行後に段階的に拡張できます。

  • Marketing Hubの導入 — フォーム、ランディングページ、メールナーチャリングをCRMデータと統合
  • Service Hubの活用 — カスタマーサポートのチケット管理、ナレッジベース、顧客満足度調査
  • Data Hubによる外部連携 — 基幹システム、会計ソフト、ERPなど既存ツールとの双方向データ同期
  • Breezeの全社活用 — 営業だけでなく、マーケティング・カスタマーサクセス・コンテンツ制作まで、AIによる業務効率化を全社展開

まとめ

Mazrica Sales(マツリカセールス)からHubSpotへの移行は、単なるSFAツールの入れ替えではなく、営業プロセスを含むビジネス全体のデジタル基盤を再構築する機会です。

移行を成功させるポイントを改めて整理します。

  1. 事前準備に時間をかける — データ監査、プロパティマッピング、営業プロセスの再設計を丁寧に行う
  2. 段階的に移行する — テストインポート→本番インポート→検証の順で、手戻りリスクを最小化
  3. 機能を1対1で再現する — カード型ボード、アクション管理、AI予測など、既存の業務フローをHubSpotで確実に再現
  4. チーム定着を最優先する — チャンピオン任命、集中サポート、ダッシュボード即日公開で定着を加速
  5. 中長期の拡張を見据える — SFAから始めて、マーケティング・カスタマーサービス・データ連携へ段階的に拡張

Mazrica Salesで培った営業データと運用ノウハウは、HubSpotプラットフォーム上でさらに大きな価値を発揮します。適切な移行計画と実行により、営業生産性の向上と顧客体験の統合管理を同時に実現してください。


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著者情報

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今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。 パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。