Senses(Mazrica)からHubSpotへの移行ガイド|機能再現と手順

  • 2026年3月13日
  • 最終更新: 2026年10月12日
Senses(Mazrica)からHubSpotへの移行ガイド|SFA機能の再現と営業フロー再設計
この記事の結論

Senses(Mazrica Sales)からHubSpotへの移行は、案件ボード・AIフォーキャスト・名刺管理を「捨てる」作業ではなく、HubSpotの取引パイプラインと予測ツールで再現する設計作業です。成否を分けるのは、データを移す前の「営業プロセスの再設計」です。

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Senses(Mazrica Sales)からHubSpotへの移行は、案件ボード・AIフォーキャスト・名刺管理を「捨てる」作業ではなく、HubSpotの取引パイプラインと予測ツールで再現する設計作業です。成否を分けるのは、データを移す前の「営業プロセスの再設計」です。

「Sensesで営業管理は回っているが、マーケティングとの連携が弱い」「CRMとSFAを一つのプラットフォームに統合したい」「移行で過去の活動履歴が失われないか不安だ」——SensesからHubSpotへの移行を検討する企業は、こうした課題を感じていることが多いです。

SensesからHubSpotへの移行とは、単なるツールの乗り換えではなく、Sensesで実現していた営業管理の機能をHubSpotの取引パイプライン・コンタクト・アクティビティに写像し直し、マーケティングからカスタマーサクセスまでを一気通貫で管理する基盤へ再設計する取り組みです。

Sensesは株式会社マツリカが提供する国産SFA(営業支援システム)で、直感的な案件ボードUI、AIによる受注確度予測、名刺管理機能などが特徴です。一方、HubSpotはCRM・MA・SFA・カスタマーサポートを統合したプラットフォームで、リード獲得から商談、受注後のサポートまでを同じデータ基盤で管理できます。

本記事では、Sensesの主要機能をHubSpotでどう再現するか、データ移行の具体的手順、営業フロー再設計のポイントを解説します。
本記事はHubSpotゴールドパートナーのStartLinkの「HubSpot完全ガイド」関連記事です。


この記事でわかること

SensesからHubSpotへの移行は「データを移す作業」と「営業フローを再設計する作業」の2層で進めると漏れが出にくくなります。この記事では、その両方を手順化して解説します。

  • SensesとHubSpotの機能対応表 — 案件ボード・名刺管理・アクション記録がHubSpotのどの機能に対応するかを一覧化しています。
  • パイプラインとAIフォーキャストの再現方法 — SensesのフェーズをHubSpotの取引ステージに変換する設計と、受注確度予測の3つの代替手段を解説します。
  • データ移行の具体的な手順 — CSVエクスポートから加工、インポート、検証までの流れと、アクション履歴だけAPIが必要になる注意点をまとめています。
  • 移行を機にした営業フローの再設計 — リード獲得から受注後までの一気通貫フローと、並行運用・トレーニングの進め方を紹介します。

Sensesからの移行を検討しているBtoB企業の営業責任者・CRM担当者の方に向けて書いています。最後まで読むと、Sensesの現行機能を棚卸しし、HubSpot側での再現設計を自分で描けるようになります。


SensesとHubSpotの機能比較と移行の全体像

SensesはSFAに特化したツールです。対してHubSpotは、CRM・マーケティングオートメーション・SFA・カスタマーサポートを統合したプラットフォームです。機能の守備範囲が異なるため、移行設計は「Sensesで実現していた機能をどう再現するか」と「HubSpotで新たに何ができるか」の両面から考えます。

全体像の機能対応

SensesはSFAに特化したツールです。HubSpotはCRM・MA・SFA・CSを統合したプラットフォームです。機能の範囲が異なるため、移行時には「Sensesで実現していた機能」と「HubSpotで新たに実現できる機能」の両面から設計を行います。

機能領域 Senses HubSpot
案件管理(SFA) 案件ボード 取引パイプライン
顧客管理(CRM) 取引先・コンタクト 企業・コンタクト
名刺管理 名刺OCR取込 コンタクト(名刺連携アプリ)
アクション管理 アクション記録 アクティビティ(メモ・タスク・通話)
AIフォーキャスト 受注確度予測 予測リードスコアリング・AIフォーキャスト
メール連携 Gmail/Outlook連携 Gmail/Outlook連携(双方向)
レポート ファネルレポート・分析 カスタムレポート・ダッシュボード
マーケティング なし Marketing Hub(MA・メール・LP・広告)
カスタマーサポート なし Service Hub(チケット・ナレッジベース)

移行で広がる管理領域

SensesからHubSpotに移行することで、以下のメリットが期待できます。

  • マーケティングと営業の一体化: HubSpot Marketing Hubとの連携により、リード獲得から商談化、受注までを一つのプラットフォームで管理できる
  • カスタマーサクセスとの連携: Service Hubを活用することで、受注後のサポート対応も同じCRMで管理できる
  • 豊富な外部連携: HubSpotアプリマーケットプレイスのアプリと連携し、会計や名刺管理など周辺業務までつなげられる
  • 無料CRM基盤: HubSpotの無料CRMでも基本的なコンタクト・企業・取引管理が利用可能

ただし、移行が向かないケースもあります

ただし、すべての企業でHubSpotへの移行が有利とは限りません。営業活動の記録だけが目的で、マーケティングやカスタマーサクセスとの連携予定がない場合は、Sensesの案件ボード中心の運用の方が現場にとってシンプルなケースがあります。

また、Senses独自のAI受注予測の算出ロジックはそのまま移植できません。確度管理の考え方自体を、HubSpotのステージ確率や予測ツールに合わせて再設計する必要がある点は、移行コストとして見込んでおきましょう。


案件ボードをHubSpot取引パイプラインに変換する

Sensesの案件ボードは、カンバン形式で商談の進捗を視覚的に管理する機能です。HubSpotの取引パイプラインも同じくボードビューを持ち、ドラッグ&ドロップでステージを動かせるため、操作感は近いまま移行できます。違いは設計思想にあり、HubSpotではステージごとの確率・定義・必須入力を細かく設計できます。

Sensesの案件ボードの特徴

Sensesの案件ボードは、カンバン形式で商談の進捗を視覚的に管理できる機能です。ドラッグ&ドロップで案件のステージを変更でき、各カードには金額・担当者・更新日などの情報が表示されます。

Sensesの案件ボードで一般的に使われるフェーズ構成は以下のようなものです。

  • 初回接触
  • ヒアリング
  • 提案
  • 見積提出
  • クロージング
  • 受注 / 失注

フェーズを取引ステージに変換する

SensesのフェーズをそのままHubSpotのステージ名に移すことが基本ですが、ここで押さえておきたいのが確率・ステージ定義・必須入力の3点です。HubSpotではステージごとに受注確度(確率)を設定し、金額に掛け合わせた加重金額でフォーキャストを出せます。

Sensesフェーズ HubSpotステージ 確率 ステージ移行時の必須項目(例)
初回接触 初回接触 10% 担当者、企業名
ヒアリング ヒアリング完了 20% 課題、予算感
提案 提案 40% 提案資料URL
見積提出 見積中 60% 見積金額
クロージング 交渉・最終調整 80% 契約予定日
受注 受注 上限(受注扱い) 受注日、契約金額
失注 失注 0% 失注理由

受注ステージは確率が上限に達する扱いで、失注ステージは0%になります。

ステージ定義と必須項目で「仕組み化」する

パイプライン設計では、①受注率が変化するポイントでステージを分ける、②各ステージに受注確度を設定する、③ステージの定義を社内で共有する、④ステージ移行時の必須入力プロパティを決める、という4要素を押さえるのがポイントになってきます。

「SFAに入力してね」と現場に伝えるだけでは、入力漏れはなくなりません。ステージを進める際に必須項目の入力を求める設定にしておけば、個人の力量に頼らず、仕組みとしてデータ品質を保てます。必須項目は、新人が商談で何を確認すべきかを教えるツールにもなります。

ただし、ステージ数や定義に正解はありません。自社の営業プロセス・商材・商談期間によって最適な形は異なります。Senses時代のフェーズをそのまま持ち込むのではなく、トッププレイヤーの受注プロセスや過去の受注率をもとに、自社にフィットしたステージ設計に見直す機会と捉えてください。

なお、Sensesで1つの案件ボードに複数の営業プロセス(新規商談と既存顧客のアップセル等)を混在させていた場合は、HubSpotで複数のパイプラインに分離することを検討してください。パイプラインを分けることで、営業プロセスごとのコンバージョン率や平均商談期間を正確に分析できるようになります。

ボードビューのカード表示を整える

HubSpotの取引ボードビューでは、カードに表示する情報をカスタマイズできます。Sensesの案件カードに表示していた情報(金額、担当者、次回アクション日、更新日など)を、HubSpotのボードカードにも反映させましょう。

設定手順は以下のとおりです。

  1. 取引の一覧画面で「ボード」ビューに切り替え
  2. 右上の「ボードアクション」→「カードを編集」をクリック
  3. カードに表示するプロパティを選択・並び替え
  4. 保存

次の画面は、デモ環境の取引ボードビューです。案件がステージ別にカードで並び、Sensesの案件ボードと近い感覚で進捗を俯瞰できます。

デモ環境の取引ボードビュー。案件がステージ別にカード表示されます。
デモ環境の取引ボードビュー。案件がステージ別にカード表示されます。

デモ環境の取引ボードビュー。案件がステージ別にカード表示されます。


AIフォーキャストをHubSpotの予測ツールで代替する

Sensesの大きな特徴の一つが、AIによる受注確度予測です。HubSpotでもAIを使った予測機能と、確率ベースの加重パイプラインという2系統で同じ目的を実現できます。ただしAI系の機能はプランによって利用可否が異なるため、契約プランとの兼ね合いを確認しながら選びます。

SensesのAIフォーキャストの役割

SensesのAIフォーキャストは、過去の商談データをもとに各案件の受注確率を自動算出し、売上予測に活用する機能です。

HubSpotでの3つの代替方法

HubSpotでは、以下の機能でSensesのAIフォーキャストを代替・強化できます。

方法 対象プラン 仕組み 向いているケース
AIフォーキャスト Sales Hub Professional以上 過去の取引データを分析し将来の売上を予測。期間別・担当者別の予測値をダッシュボードで確認 チーム全体の売上着地を可視化したい
予測リードスコアリング Sales Hub Professional以上 エンゲージメント履歴・企業属性・行動データを機械学習で分析し、商談化確率を自動計算 リードの優先順位付けを自動化したい
手動の加重パイプライン 全プラン ステージごとに設定した確率を金額に掛け合わせて加重金額を算出 AI機能なしで手堅く予測したい

予測リードスコアリングは、コンタクトの行動データを総合的に分析してスコアを出すため、Sensesの受注確度予測と近い役割を果たします。

加重金額で予測を組み立てる

AIを使わずに確度を管理する方法として、パイプラインステージごとに設定した確率を使って加重金額を算出する方法もあります。ステージの確率を過去の実績に基づいて設定することで、一定の精度で売上予測が可能です。

ステージ 確率 案件数 金額合計 加重金額
ヒアリング完了 20% 10 ¥5,000万 ¥1,000万
提案 40% 8 ¥4,000万 ¥1,600万
見積中 60% 5 ¥3,000万 ¥1,800万
交渉 80% 3 ¥2,000万 ¥1,600万
合計 — 26 ¥1億4,000万 ¥6,000万

次の画面は、デモ環境のセールスフォーキャスト画面です。移行先となる売上予測機能で、チームの着地見込みを一覧で確認できます。

デモ環境のセールスフォーキャスト画面。移行先となる売上予測機能です。
デモ環境のセールスフォーキャスト画面。移行先となる売上予測機能です。

デモ環境のセールスフォーキャスト画面。移行先となる売上予測機能です。

なお、AIの予測値は、営業アシスタントがリサーチ結果と方向性の案を持ってきてくれるような位置づけで使うのがおすすめです。ステージの確度をどう設定するか、どの案件を大型案件として個別に追うかといった判断は、ビジネス理解が必要なため人間が行います。AIは叩き台として活用し、最終判断はマネージャーが握る分担にすると、予測の精度と納得感が両立しやすくなります。


名刺管理をHubSpotコンタクトに移す

Sensesには、名刺をスマートフォンで撮影し、OCRで文字認識してコンタクト情報を自動登録する機能があります。営業担当者が外出先で名刺交換した情報をその場で取り込めるため、入力の手間を削減できる点が強みです。HubSpotにも近い手段がいくつかあるため、運用方法に合わせて選びます。

HubSpotでの名刺管理の3つの方法

方法 概要 向いているケース
HubSpotモバイルアプリの名刺スキャン iOS/Androidアプリで名刺を撮影するとOCRで読み取り、コンタクトプロパティに自動入力 Sensesと同じように個人単位で取り込みたい
名刺管理サービスとの連携 Sansan・Eight・myBridgeなどと連携。SansanはHubSpotとの公式連携を提供し、登録した名刺情報をコンタクトに自動同期 名刺情報を組織で共有・蓄積したい
CSVインポート Sensesから名刺データをCSVでエクスポートし、HubSpotに取り込む 移行時の一括登録

ただし、HubSpotのデスクトップ側には標準の名刺OCR機能がないため、PCのブラウザだけで完結させたい運用には向きません。取り込み手段としてモバイルアプリか名刺管理サービスを軸に据えると運用が安定します。

名刺データの移行手順

Sensesに蓄積された名刺・コンタクトデータは、CSVでの一括移行が基本です。

  1. Sensesのコンタクト一覧からCSVをエクスポート
  2. CSVの列名をHubSpotのプロパティ名に変換
  3. 重複するメールアドレスの除去・統合
  4. HubSpotにCSVインポート
  5. インポート後に企業との関連付けを確認

次の画面は、HubSpotの会社一覧です。インポートされた企業・コンタクトのレコードは、このような一覧画面で確認できます。

HubSpotの会社一覧画面


アクション履歴をHubSpotアクティビティに変換する

Sensesでは、商談に紐づくアクション(訪問・電話・メールなど)を記録し、案件の進捗を時系列で追跡します。HubSpotでも同様の記録はアクティビティとして扱いますが、メールやカレンダー連携で自動記録される点が大きな違いです。

アクションとアクティビティの対応

Sensesアクション HubSpotアクティビティ 特徴
訪問 ミーティング カレンダー連携、議事録の記録
電話 通話 通話記録、通話時間の自動記録(VoIP連携時)
メール Eメール Gmail/Outlook連携で自動記録
Web会議 ミーティング Zoom/Teams連携で自動記録
メモ メモ 自由記述
タスク タスク 期日・担当者・リマインダー設定可能

自動記録で入力工数を減らす

HubSpotの大きな利点は、メールやミーティングのアクティビティがCRMに自動記録される点です。Gmail/Outlook連携を設定しておけば、営業担当者が手動でアクションを入力しなくても、メールの送受信履歴がコンタクト・取引のタイムラインに自動的に反映されます。

「活動を記録してください」と現場に依頼し続けるのではなく、連携で自動的に履歴が残る仕組みを作るのがポイントです。情報が分散せず、過去のやり取りもコンタクトや取引のタイムラインで一覧確認できます。

ただし、過去のアクション履歴の移行は手間がかかります

ただし、Sensesに蓄積された過去のアクション履歴は、HubSpotの標準CSVインポートでは移行できません。HubSpot APIのEngagements APIを使ってプログラム的に登録する必要があります。アクション数が少ない場合は、手動でメモとして入力する方法も現実的です。APIで移行する範囲と、重要な案件だけ手入力で済ませる範囲を、工数と費用のバランスで事前に線引きしておきましょう。


データエクスポートからインポートまでの手順

データ移行は「エクスポート→加工→環境構築→インポート→検証」の順に進めます。順序を間違えると関連付けのやり直しが発生するため、流れを押さえてから着手してください。

Step 1: Sensesからデータをエクスポートする

Sensesから以下のデータをCSV形式でエクスポートします。

データ種別 エクスポート元 HubSpotインポート先
取引先(法人) 取引先一覧 企業
コンタクト コンタクト一覧 コンタクト
案件 案件一覧 取引
アクション アクション一覧 アクティビティ
商品 商品マスタ 商品

Sensesの管理画面から、各一覧の「エクスポート」機能を使ってCSVをダウンロードします。エクスポート時には全フィールドを含めることをおすすめします(不要なフィールドは後でCSV加工時に削除できます)。

Step 2: CSVを加工してHubSpotの項目に合わせる

列名の変換例(コンタクト)

Senses列名 HubSpotプロパティ 内部名
氏名(姓) 姓 lastname
氏名(名) 名 firstname
メールアドレス Eメール email
電話番号 電話番号 phone
会社名 関連企業 associatedcompanyid(企業名で関連付け)
役職 役職 jobtitle
部署 — カスタムプロパティを作成

列名の変換例(案件→取引)

Senses列名 HubSpotプロパティ 内部名
案件名 取引名 dealname
金額 金額 amount
フェーズ 取引ステージ dealstage
受注予定日 クローズ日 closedate
担当者 取引担当者 hubspot_owner_id
取引先名 関連企業 (企業名で関連付け)

Sensesのフェーズ名は、HubSpotのパイプラインステージ内部名に変換します。事前にHubSpotでパイプラインを作成し、各ステージの内部名を確認しておいてください。

Step 3〜4: HubSpot側を構築し、順番にインポートする

データインポートの前に、HubSpot側の環境を整備します。

  • カスタムプロパティの作成: Sensesのカスタム項目に対応するプロパティを作成
  • パイプラインの設定: Sensesのフェーズ構成を反映したパイプラインを構築
  • チーム・ユーザーの設定: 営業担当者のアカウントを作成し、チーム構成を設定
  • ビューの設定: Sensesで使っていたフィルター条件に対応するビューを作成

インポートは以下の順序で実行します。

  1. 企業(取引先)のインポート
  2. コンタクトのインポート(企業との関連付けを同時に設定)
  3. 取引(案件)のインポート(企業・コンタクトとの関連付けを含む)
  4. アクティビティのインポート(HubSpot APIを使用)

次の画面は、HubSpotのインポートでファイルをアップロードするステップです。

HubSpotのインポート画面(ファイルアップロードのステップ)。
HubSpotのインポート画面(ファイルアップロードのステップ)。

HubSpotのインポート画面(ファイルアップロードのステップ)。

Step 5: データを検証する

インポート完了後、以下を確認します。

  • Sensesとレコード件数が一致しているか
  • 企業 ↔ コンタクトの関連付けが正しいか
  • 取引のステージが正しいステージにマッピングされているか
  • 金額・日付データが正しく反映されているか

次の画面は、HubSpotの会社レコードに関連オブジェクトのカードが表示されている状態です。このようなレコード画面から、企業・コンタクト・取引の紐づきが正しく張られているかをサンプルで確認します。

HubSpotの会社レコードと関連オブジェクトのカード


移行を機に営業フローを再設計する

SensesからHubSpotへの移行は、営業フロー全体を見直す機会でもあります。Sensesでは営業担当者が手動でコンタクトや案件を登録する運用が中心でしたが、HubSpotではリード獲得から受注後のサポートまでを一つのデータ基盤でつなげられます。

リード獲得から受注後までの一気通貫フロー

コンタクト(リード)→取引(商談)→顧客(受注後)という流れを全体で設計します。Webフォームからの自動登録、マーケティングメールによるリードナーチャリング、チャットボットによる問い合わせ対応など、Sensesでは担えなかった入口をMarketing Hubが補います。

受注後はService Hubのチケットでサポート対応を同じCRMに記録でき、営業とサポートで顧客情報が分断されません。失注した取引も、失注理由を分類して蓄積しておけば、掘り起こし対象として再アプローチする設計ができます。

自動化とレポートは段階的に広げる

HubSpotのシーケンス機能を使えば、フォローアップメールの自動送信やタスクの自動作成を設定できます。Sensesでは手動で行っていたフォロー業務を自動化することで、営業担当者の工数を削減できます。カスタムレポートでは、マーケティング施策ごとのROI分析、担当者別のパフォーマンス比較、パイプラインのコンバージョン率推移なども分析可能です。

ただし、全てを一気に導入しようとすると現場がついていけません。まずはコンタクト・企業・取引の基本管理と取引パイプラインの運用から始め、定着してからワークフローやシーケンスを段階的に追加するスモールスタートがおすすめです。

並行運用とトレーニング計画

Sensesの操作に慣れた営業チームにとって、HubSpotへの移行は大きな変化です。切り替え直後は一定期間(例えば2週間前後)の並行運用を設け、両方に入力する期間で操作に慣れてもらい、定着を確認してからSensesの利用を終了する進め方が現実的です。

トレーニング内容 対象者 時間目安
HubSpot基本操作(コンタクト・企業・取引) 全営業担当者 2時間
取引パイプラインの操作 全営業担当者 1時間
メール連携・アクティビティ記録 全営業担当者 1時間
レポート・ダッシュボード 営業マネージャー 2時間
ワークフロー・シーケンス 営業マネージャー・管理者 2時間
管理者向け設定・カスタマイズ CRM管理者 3時間

よくある質問

この節の要点

  • AIフォーキャスト ── Sales Hub Professional以上で利用でき、それ未満でも確率設定の加重金額を算出する方法があります
  • アクション履歴 ── 標準CSVインポートでは移行できず、APIでの登録が必要です
  • 名刺・カスタム項目・並行運用 ── モバイルアプリや連携サービス、カスタムプロパティ、並行運用の考え方を以下で答えます

SensesのAIフォーキャスト(受注確度予測)はHubSpotでも使えますか?

HubSpotのSales Hub Professional以上では、AIフォーキャスト機能と予測リードスコアリング機能が利用可能です。過去の取引データを分析して将来の売上を予測でき、Sensesの受注確度予測と同等の役割を果たします。Professional未満のプランでも、パイプラインステージごとの確率設定で加重金額を算出する方法があります。

Sensesのアクション(活動履歴)はCSVインポートで移行できますか?

アクティビティデータはHubSpotの標準CSVインポートでは移行できません。HubSpot APIのEngagements APIを使ってプログラム的にインポートする必要があります。アクション数が少ない場合は、手動でメモとして入力する方法も現実的な選択肢です。

Sensesの名刺スキャン機能はHubSpotにもありますか?

HubSpotのモバイルアプリ(iOS/Android)に名刺スキャン機能が搭載されています。カメラで名刺を撮影するとOCRで読み取った情報がコンタクトプロパティに自動入力されます。また、SansanやEightなどの名刺管理サービスとHubSpotを連携する方法もあります。

Sensesのカスタム項目はHubSpotに移せますか?

Sensesのカスタム項目は、HubSpot側でカスタムプロパティを作成して対応します。インポート前に項目名と型を棚卸しし、使っていない項目は移行の機会に整理すると、移行後の画面がすっきりします。項目は最小限に絞る方が、現場が入力に集中できます。

移行期間中、SensesとHubSpotを並行運用する必要がありますか?

2週間程度の並行運用期間を設けることを推奨します。営業チームがHubSpotの操作に慣れるまでの移行期間として、SensesとHubSpotの両方にデータを入力する運用を行い、定着を確認してからSensesの利用を終了してください。


まとめ

Senses(Mazrica Sales)からHubSpotへの移行は、単なるSFAの乗り換えではなく、マーケティング・営業・カスタマーサクセスを一気通貫で管理する基盤への再設計です。論点は3つに集約されます。1つ目は案件ボードを取引パイプラインに写像する際のステージ・確度・定義・必須項目の設計、2つ目はSensesのAIフォーキャストをHubSpotの予測ツールと加重パイプラインでどう代替するか、3つ目がアクション履歴の移行方法です。

特にアクション履歴はCSVインポートだけでは完結しないため、HubSpot APIを使う範囲と手動入力で済ませる範囲を事前に線引きしておく必要があります。

まずはSensesの現行フェーズ構成・カスタム項目・アクション記録量の棚卸しから始めてください。次の3ステップで進めると設計が前に進みます。

  1. Sensesで使っているフェーズ・カスタム項目・レポートを一覧化し、HubSpotで再現するものと廃止するものに仕分ける
  2. HubSpot側でパイプラインと必須プロパティを先に設計し、ステージ定義を文章化する
  3. 企業・コンタクトの小さな範囲でテストインポートを行い、関連付けと金額・日付の整合を確認する

CRMを活用した業務効率化やAIとの連携に関するご相談は、CRM特化型コンサルティングのHubSpotゴールドパートナーのStartLinkまでお気軽にお問い合わせください。

Sensesからの移行は、SFA機能の再現に加えて、マーケティングとの一体化による営業プロセス全体の強化が実現できます。パイプライン設計からアクション履歴の移行、チーム定着支援まで、お問い合わせにてご相談を承っています。


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著者情報

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今枝 / Imaeda

株式会社StartLink 代表取締役。累計150社以上のHubSpotプロジェクト支援実績を持ち、Claude CodeやHubSpotを軸にしたAI活用支援・経営基盤AXのコンサルティング事業を展開。
HubSpotのトップパートナー企業や大手人材グループにて、エンタープライズCRM戦略策定・AI戦略ディレクションを経験した後、StartLinkを創業。現在はCRM×AIエージェントによる経営管理支援を専門とする。