CMOとは、マーケティングを経営と接続する最高責任者です。肩書きよりも、意思決定・データ・部門連携を一つの仕組みにすることが核心です。
「マーケティングの責任者が曖昧で、施策ごとの判断になっている」「営業とマーケティングが別々の目標を追っている」「活動量は見えても、売上への貢献を説明しにくい」——こうした課題は、担当者の力量だけで解決しようとしても残りやすいものです。
CMOとは、企業のマーケティング活動全体を経営の視点で統括する最高責任者です。戦略、ブランド、顧客体験、データ、テクノロジー、組織をつなぎ、マーケティングを売上成長に結びつける役割を担います。マーケティング予算の管理方法は「マーケティング予算の組み方ガイド」を参考にしてください。
CMOが不在であること自体が問題なのではありません。重要なのは、マーケティングの意思決定者が明確であり、経営戦略と施策、営業活動、顧客データが一つの流れとして管理されていることです。CMOという役職を置かない企業でも、この機能を組織と仕組みで補うことはできます。
本記事は「BtoBマーケティングのKPI設計ガイド|フェーズ別の具体例と管理テンプレート」シリーズの一部です。 関連するトピックを横断的にまとめたマーケ組織・KPIガイドもあわせてご覧ください。
この記事でわかること
マーケティングの責任の置き方や、経営との接続に課題を感じている方が、CMOの役割を自社の体制に置き換えて考えるためのポイントを整理します。
- CMOの定義と責任範囲 — マーケティング部門の管理者ではなく、経営にどのような責任を持つ役職なのかを解説します。
- CMOに求められるスキル — 戦略、データ、テクノロジー、財務、顧客理解などを、実務とのつながりから整理します。
- 日本企業でCMOが広がりにくい理由 — 営業主導の文化、人材育成、投資対効果、組織構造の観点から背景を読み解きます。
- CMOがいない企業の対応策 — 責任者の明確化、外部人材、RevOpsの考え方を使った補完方法を紹介します。
- CRMを経営判断に生かす方法 — Excelやスプレッドシートに分散した情報を整理し、部門横断の意思決定につなげる考え方を解説します。
CMOとは何をする役職なのか
CMOを理解する際は、役職名ではなく、企業の中で果たす機能を見ることがポイントになってきます。マーケティング施策を管理するだけでなく、顧客と市場に関する判断を経営へつなぐ役割です。施策の実行責任と、事業成長に対する説明責任の両方を持ちます。
CMOの定義
CMOは「Chief Marketing Officer」の略称で、日本語では最高マーケティング責任者と呼ばれます。経営チームの一員として、マーケティング戦略の策定から実行、ブランド管理、顧客体験の設計、売上成長への貢献までを統括します。
マーケティング部門の中だけで施策を決めるのではなく、全社の経営方針を顧客や市場への働きかけに置き換える立場です。同時に、顧客接点から得られた情報を経営判断へ戻す役割も担います。
肩書きよりもCMO機能が重要
CMOという肩書きがなくても、マーケティングの意思決定者が明確であれば、CMO機能を持つ体制は作れます。反対に、CMOという役職を置いていても、権限や責任範囲が曖昧であれば、部門横断の判断は進みにくくなります。
確認したいのは、次の点です。
- 方針 ── 誰が全社のマーケティング方針を決めるのか
- 予算と優先順位 ── 誰が予算と優先順位を判断するのか
- 成果の説明 ── 誰が成果を経営へ説明するのか
この責任を明文化し、会議やデータ更新の流れまで仕組みに落とすことで、特定の担当者の経験だけに依存しにくくなります。
CMOが担う責任範囲
CMOの責任は、広告やリード獲得に限られません。市場の選定から顧客体験、データ活用、チーム運営、経営への報告までを一つの流れとして捉えます。
全社方針、予算配分、共通KPIはCMOが最終判断し、施策の実行方法は各部門へ委ねるなど、判断項目ごとに最終決裁者を役割表へ記載します。二つの部門で承認が重なる項目があれば、最終決裁者を一人に定めてから運用へ進みます。
戦略・ブランド・需要創出
CMOは全社のマーケティング戦略を策定し、市場分析やターゲティングの方向性を決めます。ブランドの位置づけやメッセージ、PRもその責任範囲に含まれます。
BtoBでは、リードを獲得して終わるのではなく、その後のナーチャリングや商談への接続までを見ます。リード獲得数、営業への引き渡し数、商談化数を同じ期間で並べます。
- 引き渡し後に商談化率が下がる ── 営業との受け渡し条件を見直します。
- 引き渡し前に減る ── ナーチャリングの対象と内容を見直します。
顧客体験と部門間連携
顧客は、マーケティング、営業、顧客支援を別々の部門として体験するわけではありません。そのためCMOは、カスタマージャーニーを設計し、顧客の声を経営や各部門の判断へ反映する役割を担います。
マーケティングが獲得した情報を営業が利用できず、営業が得た失注理由をマーケティングへ戻せない状態では、改善の流れが途切れます。部門間の受け渡し条件や共通KPIを決めることが、連携を個人間の調整から組織の仕組みへ変えるポイントです。
データ・テクノロジーと組織運営
CMOはMarTech、CRM、MA、AIなどを、導入すること自体ではなく、経営課題の解決にどう使うかという視点で判断します。あわせて、マーケティングチームの採用や育成、予算管理も担います。
ツールの選定より先に、どのデータを何の判断に使うのかを定義することが大切です。入力項目を増やしすぎると現場の負担が大きくなるため、意思決定に必要な項目へ絞り、更新責任と利用目的を明確にする設計をおすすめします。
経営への成果説明
CMOには、マーケティング活動が売上や利益へどう貢献しているかを可視化し、経営会議で説明する責任があります。活動量だけでなく、リード、商談、受注へつながる流れを見なければ、施策の優先順位を判断しにくくなります。
| 責任領域 |
主な判断 |
| マーケティング戦略 |
どの市場と顧客を重視し、どの施策へ資源を配分するか |
| ブランド管理 |
どのような価値とメッセージを一貫して伝えるか |
| デマンドジェネレーション |
リード獲得から商談創出までをどう設計するか |
| 顧客体験 |
顧客接点をどうつなぎ、顧客の声をどこへ反映するか |
| データ・テクノロジー |
どのデータを蓄積し、どの判断や自動化に使うか |
| 組織マネジメント |
役割、予算、育成、部門間連携をどう整えるか |
| 経営貢献 |
売上・利益への貢献をどの指標で説明するか |
CMOと他の経営責任者は何が違うのか
CMOの役割は、CEO、営業責任者、デジタル責任者、財務責任者と重なる部分があります。重なりを避けることより、最終判断者と協力範囲を決めることが重要です。特にマーケティングと営業は、同じ売上成長を別の工程から支える関係にあります。
CEO・財務責任者との関係
CEOは全社経営とビジョンに責任を持ち、マーケティング戦略の最終承認者となります。CMOは、その経営方針を市場、顧客、ブランド、需要創出の戦略へ落とし込みます。
財務責任者は財務戦略や予算管理を担い、マーケティング投資の承認に関わります。CMOには、施策の必要性をマーケティング用語だけで説明するのではなく、投資と事業成果の関係として示す力が求められます。
営業責任者との関係
営業責任者は営業戦略と売上目標の達成に責任を持ち、CMOは市場開拓や需要創出を通じてパイプライン形成に関わります。両者の間でリードの定義や引き渡し条件が異なると、件数が増えても商談につながらない状態が生まれます。
共同で決めたいのは、次の点です。
- 引き渡し ── 見込み顧客をどの段階で営業へ渡すのか
- 商談化の指標 ── 商談化をどの指標で捉えるのか
- 失注情報 ── 失注情報をどのように次の施策へ戻すのか
ここを共通のプロセスとして定義すると、部門ごとの個別最適を避けやすくなります。
デジタル責任者との関係
デジタル責任者は全社のデジタル戦略を担い、CMOとはMarTechやデジタルマーケティングの領域で協力します。CMOは顧客体験やマーケティング成果の視点から要件を整理し、デジタル責任者は全社のシステムや変革方針との整合を取ります。
| 役職 |
主な責任 |
CMOとの関係 |
| CEO |
全社経営、ビジョン策定 |
マーケティング戦略の承認と経営方針の共有 |
| CMO |
マーケティング戦略全体 |
顧客と市場の視点から事業成長を推進 |
| 営業責任者 |
営業戦略、売上目標達成 |
リードの受け渡し、商談化、失注情報を共有 |
| デジタル責任者 |
デジタル戦略全体 |
MarTechやデジタル施策の領域で連携 |
| 財務責任者 |
財務戦略、予算管理 |
予算と投資対効果について連携 |
CMOに求められるスキル
CMOには、マーケティングの専門知識だけでなく、経営判断を支える複数の能力が求められます。ただし、すべてを一人の個人技で補う考え方には限界があります。責任者が判断すべき領域と、チームやシステムで支える領域を分けることが大切です。
戦略的思考力と顧客理解力
戦略的思考力とは、市場環境を読み、顧客と自社の状況を踏まえて、中長期の方針を設計する力です。施策を増やす前に、誰へどのような価値を届けるのか、どの顧客接点を重視するのかを決めます。
顧客理解力は、顧客の課題、購買行動、意思決定の流れを捉える力です。顧客の声を集めた後、マーケティング、営業、顧客支援の記録を顧客課題ごとに分類します。複数部門で繰り返し挙がる課題は戦略へ反映し、一部の顧客だけに見られる課題は個別対応として分けます。
データリテラシーと財務リテラシー
データリテラシーは、KPIを設計し、活動と成果の関係を読み取り、意思決定に使う力です。数字を並べることではなく、経営や現場が次の行動を選べる状態にすることが目的です。
財務リテラシーは、予算、実績、商談金額、受注金額を同じ対象期間で並べ、施策の継続、縮小、停止を経営へ説明するために使います。短期の反応だけで評価せず、リードから商談、受注までの移行状況を確認します。
- 商談へ進んでいない施策 ── 対象や受け渡し条件を見直します。
- 商談後に停滞する施策 ── 営業プロセスを見直します。
テクノロジー理解とデータ設計
CRMやMA、AIを理解する目的は、機能を多く導入することではありません。顧客情報をどこに集め、どの作業を自動化し、何を可視化すれば意思決定が進むかを設計するためです。
Excelやスプレッドシートを部門ごとに管理していると、同じ顧客の情報が重複し、更新差分や転記作業が生まれやすくなります。
CRM上で営業担当者が同じステージ定義に沿って更新でき、経営会議で商談件数、金額、停滞理由を同じレポートから確認できるなら共通基盤として運用します。どちらかを満たさない場合は、機能追加より先に項目定義と入力責任を見直します。
リーダーシップとコミュニケーション力
CMOはマーケティングチームを率いるだけでなく、経営層、営業、顧客支援、プロダクトに協力を働きかけます。利害や評価指標が異なる部門をつなぐため、共通の目的と用語を定義する力が求められます。
| スキル |
実務で問われること |
| 戦略的思考力 |
市場と顧客を踏まえ、施策の優先順位を決める |
| データリテラシー |
KPIを設計し、データから次の判断を導く |
| テクノロジー理解 |
CRM、MA、AIを業務の流れに位置づける |
| リーダーシップ |
チームを率い、部門横断の協力を引き出す |
| 財務リテラシー |
予算と投資対効果を経営へ説明する |
| 顧客理解力 |
顧客の課題と意思決定の流れを捉える |
| コミュニケーション力 |
経営層や関連部門と合意を形成する |
日本企業でCMOが広がりにくい理由
日本企業でCMOという役職が広がりにくい背景には、単独の原因ではなく、企業文化、人材育成、成果評価、組織構造が関係しています。肩書きを新設するだけでは解決しにくいため、自社でどの要因が強いのかを分けて考える必要があります。
営業主導の企業文化
日本のBtoB企業には、営業主導で成長してきた企業が多くあります。その中では、マーケティングが経営機能ではなく、販促や広告を担当する部門として捉えられているケースがあります。
この認識のままでは、マーケティング責任者が施策実行には関われても、事業戦略、予算、営業プロセスの判断に参加しにくくなります。
- 課題を分ける ── CMOを置く前に、経営課題を「新規商談の不足」「既存顧客の継続」「ブランド認知」のように分けます。
- 一つ選ぶ ── マーケティングが担う課題を一つ選びます。
- 決裁者と指標を決める ── その課題の決裁者と月次の確認指標が決まれば体制設計へ進み、決まらなければ役職新設より責任範囲の合意を先行します。
専門人材の育成と採用
ジョブローテーションを前提とした人材育成では、マーケティング領域の専門性と経営視点の両方を継続して身につけにくい場合があります。また、CMO経験者の人材プールが小さく、外部採用だけで解決することも容易ではありません。
ただし、適任者が見つかるまで意思決定を止める必要はありません。社内責任者、実務チーム、外部人材の役割を分け、CMO機能を組み合わせて補う考え方があります。
投資対効果を説明しにくい
BtoBマーケティングは、施策への反応から商談や受注までに複数の接点を経るため、短期の成果だけでは評価しにくい面があります。部門ごとにデータが分散していると、どの施策がパイプラインへ貢献したのかも説明しにくくなります。
この課題を担当者の報告能力だけに任せず、KPIごとに次の項目を一つの定義表へ記載します。
会議前の転記や再集計が残る場合はデータ取得方法を見直し、会議で施策の継続、縮小、停止を選べる状態になったら対象KPIを広げます。
全社横断の責任者を置きにくい
事業部ごとにマーケティング活動を行っている場合、全社横断の責任者を置くと、事業部との権限分担が課題になります。全社で統一する領域と、事業部に委ねる領域を分けないままCMOを設置すると、承認経路が増える可能性もあります。
ただし、事業ごとに顧客や販売方法が異なる場合、すべてを同じ設計にそろえることも適切ではありません。全社ではデータ定義や成果指標の原則を共有し、具体的な施策やプロセスは事業構造に合わせて設計する方法が考えられます。
CMOがいないBtoB企業の体制づくり
CMOを採用できない場合でも、マーケティングの意思決定と経営への説明を止める必要はありません。まず責任の所在を明確にし、不足する専門性を補い、部門横断の運用を作る順序で進めます。小さな範囲から始め、運用できることを確認しながら広げる方法をおすすめします。
マーケティング責任者を明確にする
最初に決めたいのは、マーケティング方針の意思決定者です。部長や事業責任者が担う場合でも、次のことを明確にします。
あわせて、施策の実行担当者と成果の説明責任者を分けて整理します。役割表や会議体として残せば、担当者が変わっても引き継ぎやすくなり、新しいメンバーも判断の流れを理解しやすくなります。
外部CMOを活用する
社内だけで戦略設計や組織の見直しが難しい場合は、外部CMOを活用する選択肢があります。マーケティング戦略の策定、部門の立ち上げ、既存施策の見直しなど、必要な領域を明確にして依頼します。
外部人材には専門性や客観的な視点を期待できます。ただし、社内の意思決定まで外部へ委ねると、契約終了後に運用が残らない可能性があります。
- 社内責任者を一人定める
- 文書化する ── 外部人材が作成した判断基準、会議の議題、レポートの読み方を文書化します。
- 社内だけで回せるか確かめる ── 社内責任者だけで次回の会議を進行し、施策の継続や見直しを決められた段階で引き継ぎ完了とします。
マーケティング部門の組織設計については「マーケティング部門の立ち上げ方」で詳しく解説しています。
RevOpsの考え方で補完する
RevOpsは、マーケティング、営業、顧客支援を横断し、収益につながるプロセスとデータを整える考え方です。CMOがいない企業でも、部門共通のKPIとデータ基盤を作ることで、マーケティングの経営貢献を見えやすくできます。
進める際は、最初から広い範囲を統合するのではなく、リードから商談への引き渡しなど、部門間で課題が生じている接点から着手します。
責任者、定義、入力項目、確認するレポートを決め、運用が定着してから対象範囲を広げます。
CRMでCMO機能を実務へ落とし込む
CMO機能を日々の運用へ落とすには、戦略をデータと業務プロセスへ接続する必要があります。CRMは顧客情報の保管場所にとどまらず、部門間の共通言語と経営判断の基盤として設計できます。
HubSpotを使う場合は、コンタクト、取引、顧客、請求の各段階について、次のことを順に決めます。
- 正とするレコード
- 更新担当者
- 次の段階へ進める条件
前段階の担当者と次段階の担当者が同じ条件で引き渡しを判断できたら、通知やレポートの設定へ進みます。
Excelやスプレッドシート管理の限界を確認する
部門ごとにExcelやスプレッドシートを持つと、顧客名、担当者、商談状況、施策履歴などが複数の場所へ分かれます。更新のたびに転記や突合が必要になり、会議前の集計作業にも時間がかかります。
最初の一歩は、すべての表を移行することではありません。経営判断や部門間の引き渡しに使う情報を選び、どのデータを正とするかを決めます。入力項目も、利用目的を説明できるものへ絞ることが運用定着のポイントです。
APIでデータを移行・連携する場合、HubSpotのObject APIのバッチエンドポイントは1回のリクエストにつき100件の入力に制限されるため、対象件数を100件単位に分け、各処理後に成功件数とエラーを照合します。(出典:Using Object APIs)
一元管理・自動化・可視化で考える
CRMの設計は、一元管理、自動化、可視化の観点に分けると整理しやすくなります。一元管理では顧客と商談に関する情報の所在をそろえ、自動化では通知や更新などの定型作業を仕組みにし、可視化では経営と現場が同じ指標を確認できる状態を目指します。
| 観点 |
解決したい課題 |
設計時に決めること |
| 一元管理 |
情報の重複、更新差分、部門ごとの分断 |
正とするデータ、関連付け、更新責任 |
| 自動化 |
手動連絡、転記、対応漏れ |
条件、実行内容、例外時の確認者 |
| 可視化 |
集計負担、会議ごとの数字の不一致 |
KPIの定義、対象期間、確認頻度 |
自動化は、先に処理対象、対象外、例外の3区分を業務ルールとして記載します。HubSpotではワークフローの「登録トリガー」に処理対象を設定し、「分岐」で通常処理と例外処理を分け、各「アクション」の担当者と更新項目を指定します。登録条件に該当するテスト用レコードと該当しないレコードを1件ずつ通し、前者だけが想定した分岐とアクションへ進んだら有効化します。
ダッシュボードを経営判断につなげる
ダッシュボードは、表示できる数字を並べるのではなく、会議で判断する内容から逆算して設計します。例えば、目標と実績の差を確認した後に、担当者や商談の状況へ掘り下げられる構成であれば、報告から次の行動へつなげやすくなります。
以下の画面は、HubSpotレポート「売上目標の達成」で、担当者別にオレンジ色のクローズ済み金額のバーと黒い収益合計の目標線を比較した表示です。

レポートを作成しても、入力する人によって商談ステージの意味が異なれば、経営判断には使いにくくなります。各ステージについて、次の項目を一覧にします。
- 進入条件
- 次へ進む条件
- 失注へ変更する条件
- 入力必須項目
同じテスト商談を複数の担当者が同じステージへ分類できたらレポート運用へ進みます。
HubSpotのカスタムレポートでは、非テーブル形式のレポートはユニーク行数1,000件までに制限され、新しいデータが表示されるまで10〜15分かかる場合があります。レポートは2時間ごとに自動更新され、手動更新は15分に1回行えるため、会議直前の更新結果だけで差異を判断せず、更新時刻をそろえて比較します。(出典:Create reports with the custom report builder)
AIと人の判断範囲を分ける
AIを施策検討に使う場合も、AIに任せる作業と人が判断する事項を分けます。情報整理や案の作成はAIで補助し、戦略、KPI、顧客への最終的な働きかけは責任者が確認する運用が適しています。
AIの出力は、参照するデータや指示の内容に影響されます。そのため、対象業務を一つ選び、入力データ、期待する出力、確認者を決めて試します。
- 事実の抽出や分類 ── AIの結果を人が照合します。
- 予算配分、KPI変更、顧客への送信 ── 責任者が承認します。
誤りが見つかった場合は利用範囲を広げず、参照データか指示内容を修正して再度同じ条件で試します。
HubSpotのマーケティング機能については「HubSpotのMA(Marketing Hub)とは?機能一覧と、実務での活用・導入での注意点を徹底解説!」で解説しています。
CMO機能の今後の展望
マーケティングのデジタル化やAI活用が進むほど、個別ツールの担当者ではなく、全体の目的と判断基準を定める責任者が重要になります。一方で、すべての企業が同じ役職名や組織構造を採用する必要はありません。自社の成長課題に合わせて、必要なCMO機能を定義することが大切です。
デジタルとAIを事業戦略へ接続する
デジタル施策やAI活用を個別に進めるだけでは、データや業務がさらに分散する可能性があります。CMOには、次のことを定める役割があります。
- どの顧客体験を改善するのか
- どの判断を速くするのか
- どこに人の確認を残すのか
テクノロジー理解は必要ですが、CMO自身がすべての設定作業を担うという意味ではありません。CMOは目的、対象KPI、承認が必要な判断を決め、実務担当者はデータ項目、処理手順、設定内容を文書化します。担当者以外が文書を使って同じ処理を再現できたら運用へ進み、再現できなければ設定追加より手順の修正を先に行います。
CGOという選択肢
マーケティングに加えて、営業やプロダクトを含む事業成長全体を統括する役職として、CGOという選択肢もあります。マーケティング部門だけに閉じず、成長に関わる複数部門を一つの方針でつなぐ考え方です。
ただし、CMOをCGOへ呼び替えるだけでは、責任範囲の曖昧さは解消されません。担当する指標、意思決定権、各部門との分担、経営への報告方法まで定義して初めて、役職が組織の機能として働きます。
よくある質問
CMOに関してよく挙がる疑問を、役割、組織、採用、最初の取り組みという観点から整理します。自社で役職を新設するかどうかだけでなく、必要な機能をどう持つかという視点で確認してください。
CMOとマーケティング部長は何が違うのですか?
主な違いは、経営チームの一員として全社の意思決定に関与するかどうかです。CMOは施策の実行管理に加え、ブランド、需要創出、顧客体験、データ、テクノロジー、組織、予算を横断して統括し、売上や利益への貢献を経営へ説明します。
ただし、役職名だけで一律に区別できるものではありません。マーケティング部長が同様の権限と責任を持つ場合は、実質的にCMO機能を担っていると考えられます。
日本企業でCMOが広がりにくいのはなぜですか?
営業主導の企業文化、マーケティング専門人材の育成と採用、BtoBマーケティングの投資対効果を説明する難しさ、全社横断の責任者を置きにくい組織構造が関係しています。複数の要因が重なるため、役職を新設するだけでは解決しにくい課題です。
まず自社の不足を権限、専門性、データ、部門連携の四つに分けます。最終決裁者が不明なら権限、施策を設計できないなら専門性、部門間で数値が一致しないならデータ、受け渡し後に対応が止まるなら部門連携を最初の改善対象にします。そのうえで、社内責任者の任命や外部人材、RevOpsの考え方を組み合わせます。
フルタイムのCMOを採用できない場合はどうすればよいですか?
社内のマーケティング責任者を明確にしたうえで、外部CMOから戦略設計や組織づくりの支援を受ける選択肢があります。契約前に、戦略案や分析は外部、予算配分やKPI変更は社内責任者というように役割表へ記載します。どちらにも最終決裁者がいない項目が残る場合は、支援開始前に社内の承認者を定めます。
また、マーケティング、営業、顧客支援の共通KPIとデータ運用を整え、CMO機能を組織で補う方法もあります。外部支援の終了後も運用できるように、判断基準や会議の進め方を社内へ残します。
CMOがいない企業は何から整えるべきですか?
最初に、マーケティングの意思決定権を持つ人物と、その責任範囲を決めます。次に、経営会議で確認するKPIと、マーケティングから営業へ情報を渡す条件を定義します。
その後、Excelやスプレッドシートに分散した情報のうち、部門間の判断に使うデータからCRMへ集約します。対象を絞って運用を始め、入力と活用が定着した段階で可視化や自動化の範囲を広げます。
まとめ
CMOについて考える際は、役職を置くかどうかより、マーケティングの意思決定を経営、営業、顧客データへどう接続するかが重要です。責任者、プロセス、KPI、データの関係を整理することで、CMO不在の企業でも必要な機能を段階的に整えられます。
CMOの要点
- CMOは、マーケティング活動全体を経営の視点で統括する最高責任者です。
- 責任範囲は、戦略、ブランド、需要創出、顧客体験、データ、テクノロジー、組織、予算、経営への成果説明に及びます。
- 日本企業で広がりにくい背景には、営業主導の文化、人材、成果評価、組織構造の課題があります。
- CMOがいない場合も、社内責任者、外部人材、RevOpsを組み合わせて機能を補えます。
- CRMでは、正とするデータ、更新担当者、ステージの変更条件を決め、経営と現場が同じレポートから次の行動を選べる状態を目指します。
まず取り組むこと
まずは「マーケティングの最終判断者は誰か」を決めるところから始めます。そのうえで、次の順序で現状を整理してください。
| ステップ |
行動 |
| 責任を決める |
マーケティング責任者の権限と説明責任を明文化します。 |
| 流れを整理する |
マーケティングから商談、顧客へつながる流れと共通KPIを整理します。 |
| データを集約する |
経営判断に使うデータからCRMへ集約し、会議で施策の継続、縮小、停止を選びます。 |
CRMを活用した業務効率化やAIとの連携に関するご相談は、StartLinkまでお気軽にお問い合わせください。
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