HubSpot Service Hub vs Zendesk比較|カスタマーサポートツールの選び方

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「カスタマーサポートツールを導入したいが、HubSpot Service HubとZendeskのどちらが自社に合うのかわからない」「すでにZendeskを使っているが、CRMとの連携不足に課題を感じている」——BtoB企業のサポート部門やIT担当者が、ツール選定で最も頭を悩ませるテーマです。

HubSpot Service Hubは、CRM・マーケティング・営業と統合されたカスタマーサービスプラットフォームです。一方のZendeskは、カスタマーサポート専業として世界20万社以上に導入されている実績を持ちます。どちらも優れたツールですが、設計思想が根本的に異なるため、企業の状況によって最適解は変わります。

本記事では、機能・料金・CRM連携・拡張性の観点から両ツールを比較し、BtoB企業がサポートツールを選ぶための判断軸を提示します。

この記事でわかること

  • HubSpot Service HubとZendeskの設計思想の違い
  • 機能面の詳細比較(チケット管理・ナレッジベース・AI・自動化)
  • 料金体系と総所有コスト(TCO)のシミュレーション
  • CRM・マーケティング連携における実務上の差
  • 企業規模・ユースケース別の選定ガイドライン

設計思想の根本的な違い

オールインワン型 vs ベストオブブリード型

両ツールを比較する前に、プラットフォームの設計思想を理解しておくことが重要です。

HubSpot Service Hubは「オールインワン型」です。CRM・マーケティング・営業・カスタマーサポートが1つのプラットフォームに統合されており、顧客データが全部門で自動的に共有されます。マーケティングで獲得したリードの情報が、商談の経緯を経て、そのままサポート部門に引き継がれる構造です。

Zendeskは「ベストオブブリード型」です。カスタマーサポートに特化した機能を深く作り込んでおり、大規模なサポートセンター運営に強みを持っています。CRM機能はZendesk Sellとして別プロダクトで提供されますが、HubSpotほどの統合度はありません。

ターゲット企業の違い

HubSpot Service Hubは、HubSpot CRMをすでに活用している企業や、部門横断でのデータ統合を目指す企業に最適です。Zendeskは、サポート部門単独で迅速に導入を進めたい企業や、月間数千件以上のチケットを処理する大規模組織に向いています。

コア機能の詳細比較

HubSpot Service Hubチケット管理画面

チケット管理

比較項目HubSpot Service HubZendesk
チケット作成チャネルメール、フォーム、チャット、電話メール、フォーム、チャット、電話、SNS、API
パイプライン管理カスタムパイプライン(複数作成可)ビュー・グループによる管理
SLA管理Professional以上Suite Growth以上
定型応答スニペット機能マクロ(条件付き自動適用対応)
内部コラボレーションコメント・メンションサイドカンバセーション・ライトエージェント
自動振り分けワークフローによるルーティングオムニチャネルルーティング(AIベース)
カスタムフィールド無制限プランにより上限あり

Zendeskはチケット処理の効率性に優れています。マクロの条件分岐、チケットのマージ処理、サイドカンバセーション(チケット内での社内相談)など、大量のチケットをさばく機能が充実しています。

HubSpot Service Hubは、チケットをCRMのコンタクト・会社・取引レコードと直接関連付けて管理できる点が強みです。サポート画面を開いた瞬間に「この顧客は進行中の商談がある」と判断でき、優先度を即座に調整できます。

ナレッジベースとセルフサービス

HubSpotのナレッジベースは、Content Hubと同じCMS基盤で構築されるため、SEO設定やブログとの連携が容易です。記事を閲覧したコンタクトの行動データがCRMに蓄積される点も独自の強みです。

Zendeskのヘルプセンター(Guide)は、サポートに特化した検索性の高さと多言語対応の柔軟性が際立っています。コミュニティフォーラム機能も標準提供しており、ユーザー同士で質問・回答し合える場を構築できます。

AI機能

AI機能HubSpot(Breeze)Zendesk(Fin AI)
料金Professional以上に含まれる解決1件ごとに$0.99〜
応答ソースナレッジベース、Webサイトナレッジベース、ヘルプセンター
対応チャネルチャット、メールチャット、メール、電話
CRMデータ活用可能(同一プラットフォーム)限定的
多言語対応対応対応

HubSpotのBreezeはプラン料金に含まれており追加コストがかかりません。ZendeskのFin AIは従量課金のため、月間チケット数が多い場合はコストが大きく膨らむ可能性があります。一方、ZendeskのFin AIは電話チャネルにも対応しており、オムニチャネルでのAI活用ではZendeskが先行しています。

自動化・ワークフロー

HubSpotのワークフロー機能は、チケットのステータス変更をトリガーにしたメール送信、エスカレーション、タスク作成をビジュアルエディタで設定できます。マーケティングや営業のワークフローと統合できるため、部門横断的な自動化が実現します。

Zendeskのトリガー・自動化は、サポート業務に特化した条件設定が豊富です。チケットの優先度、タグ、グループなど複数の属性を組み合わせた複雑な条件分岐が可能で、大量チケットの自動分類・エスカレーションに適しています。

料金体系の比較

プラン別料金表

プランHubSpot Service Hub(月額/席)Zendesk Suite(月額/席)
最安プランFree($0)
エントリーStarter($20)Team($55)
中間プランProfessional($100)Growth($89)
上位プランEnterprise($150)Professional($115)
最上位Enterprise($169)
無料CRM含まれるZendesk Sell別契約

10名チームのTCOシミュレーション

単純な月額料金だけでなく、CRMやAI機能を含めた総所有コストで比較します。

項目HubSpot ProfessionalZendesk Suite Growth
月額基本料金$1,000($100×10席)$890($89×10席)
AI機能含まれるFin AI: 月500件解決で$495追加
CRM含まれるZendesk Sell: $19/席×10=$190追加
合計月額$1,000$1,575
年間コスト$12,000$18,900

基本料金はZendeskが安いケースもありますが、CRMとAI機能を含めた総コストではHubSpotが優位になることが多いです。

CRM連携の実務インパクト

HubSpotの統合がもたらす具体的メリット

HubSpot Service Hubの最大の強みは、CRMとの完全統合です。サポート担当者がチケットを開くと、顧客のマーケティング履歴(メール開封、ページ閲覧)、営業履歴(商談ステータス、契約金額)、過去のサポート履歴がすべて1画面に表示されます。

この統合により、追加設定なしで以下が実現します。

  • サポート満足度の低い顧客を自動検知し、カスタマーサクセス担当にアラートを送る
  • NPS調査の回答に基づいてマーケティングキャンペーンの対象を自動調整する
  • チケット対応履歴を営業の取引レコードに反映し、更新提案の判断材料にする

Zendeskの外部連携アプローチ

Zendeskは、APIとマーケットプレイスのアプリを通じて外部ツールと連携します。HubSpotとの連携もHubSpot公式アプリで実現できますが、データ同期にはタイムラグがあり、完全なリアルタイム統合にはなりません。Salesforceとの連携はZendesk公式がサポートしており、Salesforceユーザーにとっては有力な選択肢です。

選定ガイドライン

HubSpot Service Hubが適しているケース

  • HubSpotをすでに利用している企業:CRM・Marketing Hub・Sales Hubとの統合効果が最大化されます
  • サポートチームを立ち上げる中小・中堅企業:無料CRMからスタートし、段階的にService Hubを追加できます
  • マーケティングとサポートの連携を重視する企業:顧客の全ライフサイクルを1つのプラットフォームで管理したい場合に最適です
  • AI機能を追加コストなしで活用したい企業:Breezeの利用料がプランに含まれています

Zendeskが適しているケース

  • 大規模サポートセンターを運営する企業:数百名規模のエージェント管理に豊富な実績があります
  • マルチチャネル対応を高度に行いたい企業:SNS・チャット・電話を含むオムニチャネル対応に強みがあります
  • Salesforceを中心としたエコシステムの企業:Salesforceとの深い連携が実現できます
  • コミュニティ運営を行いたい企業:ユーザーフォーラム機能が標準搭載されています

導入企業の実例

HubSpot Service Hub導入企業としては、ClassPassやFrontifyが知られています。Zendesk導入企業としてはShopifyやSlack、Sansanなどが広く知られています。

移行時のポイント

ZendeskからHubSpot Service Hubへ移行する企業が増えています。移行を検討する際は、以下の点に注意してください。

  • チケット履歴の移行:HubSpotのインポートツールやAPIでCSV形式のチケット移行が可能ですが、添付ファイルの一部は手動対応が必要な場合があります
  • ワークフローの再構築:Zendeskのトリガーをそのまま移植するのではなく、HubSpotのワークフロー設計思想に合わせて再設計するのが効果的です
  • 並行運用の推奨:いきなり全面移行するのではなく、まずHubSpot CRMを導入して営業・マーケ部門から活用を始め、段階的にService Hubを追加する方法が現実的です

よくある質問(FAQ)

Q1. HubSpot Service HubとZendeskは連携して併用できますか?

はい。HubSpotマーケットプレイスにZendesk連携アプリが公開されており、コンタクト情報やチケットデータを双方向で同期できます。ただしリアルタイム同期ではなく定期的な同期のため、即時のデータ反映が必要な場合は注意が必要です。

Q2. 5名以下の小規模チームにはどちらが向いていますか?

小規模チームにはHubSpot Service Hubが有利です。無料CRMにService Hub Starterを追加すれば月額$20/席〜で開始でき、組織拡大に合わせてアップグレードできます。Zendeskは最安プランでも月額$55/席〜のため、初期コストに差が出ます。

Q3. レポート機能はどちらが優れていますか?

HubSpotはCRM・マーケティング・営業・サポートの横断レポートを標準で作成できます。Zendeskはサポート業務に特化したレポート(Zendesk Explore)を提供しており、SLA達成率やエージェントパフォーマンスの分析に強みがあります。部門横断分析ならHubSpot、サポート業務の深掘り分析ならZendeskが適しています。

Q4. 日本語サポートは受けられますか?

HubSpotは日本法人(HubSpot Japan)があり、日本語でのカスタマーサポートと認定パートナーによる導入支援が受けられます。Zendeskも日本法人を持ち、日本語サポートを提供しています。


HubSpot Service HubとZendeskは、それぞれ異なる強みを持つカスタマーサポートツールです。選定の鍵は「サポート部門だけの最適化」を求めるか、「CRM・マーケティング・営業を含めたプラットフォーム統合」を求めるかにあります。自社の現状と将来の成長計画を踏まえて、最適なツールを選んでください。

カテゴリ: Service Hub | HubSpot


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著者情報

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今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。 パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。