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「HubSpotの月額費用が想定以上に膨らんでいる」「営業メンバーが増えるたびにシート追加の稟議が必要で、スピード感が出ない」——HubSpotを導入した企業の多くが、シート数(ライセンス数)の管理に課題を感じています。
HubSpotの料金体系は2024年3月に大きく変更され、シートベースの課金モデルへ移行しました。この変更により、誰にどのシートを割り当てるかがコスト最適化の鍵を握るようになっています。適切なシート管理ができていない企業では、必要以上のライセンスコストを支払っているケースが少なくありません。
本記事では、HubSpotのシートの種類と仕組みを整理し、チーム規模やHub構成に応じた最適なシート配分とコスト削減戦略を解説します。
この記事でわかること
- HubSpotのシート種類(コアシート・閲覧専用シート・パートナーシート)の違いと特徴
- Hub別に必要なシート数の考え方と判断基準
- チーム規模別のシートコストモデリングと最適化シミュレーション
- シート数を最小限に抑えながら全社活用を実現する5つの戦略
- シート管理で陥りやすい失敗パターンと対処法
HubSpotのシート体系を理解する
シートとは何か

HubSpotにおけるシートとは、各ユーザーに割り当てるライセンス単位のことです。2024年3月の料金改定以降、HubSpotは「シートベース」の課金モデルに移行しました。以前は「有料ユーザー数」として一括で管理されていましたが、現在はシートの種類によってアクセスできる機能範囲が異なります。
シートの種類と特徴
| シート種類 | アクセス範囲 | 主な対象者 | 追加コスト |
|---|---|---|---|
| コアシート | 各Hubの全機能を利用可能 | 営業担当、マーケター、CS担当 | Hub・プランごとに課金 |
| Sales Hub シート | Sales Hubの有料機能(シーケンス、見積もり等) | 営業担当者 | Sales Hub契約に含まれる |
| Service Hub シート | Service Hubの有料機能(ヘルプデスク等) | カスタマーサポート担当 | Service Hub契約に含まれる |
| 閲覧専用シート | データの閲覧・レポート確認のみ | 経営層、管理部門 | 無料(制限あり) |
| パートナーシート | 代理店・パートナー向けの一時アクセス | 外部パートナー | 無料 |
コアシートと閲覧専用シートの決定的な違い
コアシートと閲覧専用シートの最大の違いは、データの作成・編集権限です。閲覧専用シートのユーザーは、CRMのコンタクト・会社・取引情報を確認し、ダッシュボードやレポートを閲覧できますが、レコードの作成・編集・削除はできません。
この違いを正しく理解することが、シート最適化の第一歩です。たとえば、経営層やバックオフィスのメンバーが「データを確認したいだけ」であれば、閲覧専用シートで十分対応できます。
Hub別のシート必要数を設計する
Marketing Hub
Marketing Hubでは、マーケティングメール、フォーム、ランディングページ、ワークフローなどの機能を利用するメンバーにコアシートが必要です。一方で、キャンペーン結果のレポートを確認するだけの部門長やマネージャーには閲覧専用シートで十分です。
推奨配分の目安(マーケティングチーム10名の場合)
| 役割 | 人数 | シート種別 | 理由 |
|---|---|---|---|
| マーケティング担当 | 4名 | コアシート | メール・LP・ワークフロー作成 |
| コンテンツ担当 | 2名 | コアシート | ブログ・SNS投稿管理 |
| マネージャー | 2名 | 閲覧専用 | レポート確認・承認のみ |
| データアナリスト | 1名 | コアシート | カスタムレポート作成 |
| 部門長 | 1名 | 閲覧専用 | ダッシュボード確認のみ |
Sales Hub
Sales Hubのシート設計は、営業組織の構造によって大きく異なります。フィールドセールス全員にコアシートが必要である一方、インサイドセールスのメンバーは利用する機能範囲に応じて判断します。
Shopifyは、Sales Hubを導入する際に営業チーム全体のシート配分を見直し、マネージャー層を閲覧専用シートに移行することで、ライセンスコストを最適化しながら営業データの可視化を実現しました。
Service Hub
Service Hubでは、チケット対応を行うサポート担当者にはコアシートが必須です。ただし、エスカレーション対応のみを行う上級スタッフや、VOC分析のためにデータを参照するプロダクトチームには閲覧専用シートで対応できます。
チーム規模別コストモデリング
HubSpotのシートコストは、契約するHubとプランの組み合わせで決まります。以下に代表的な構成でのシミュレーションを示します。
シミュレーション:従業員50名のBtoB企業
| 部門 | 人数 | コアシート | 閲覧専用シート | 月額コスト目安 |
|---|---|---|---|---|
| 営業(Sales Hub Professional) | 15名 | 15 | 0 | $1,500 |
| マーケティング(Marketing Hub Professional) | 5名 | 3 | 2 | $800 |
| カスタマーサポート(Service Hub Professional) | 8名 | 6 | 2 | $600 |
| 経営層・管理部門 | 10名 | 0 | 10 | $0 |
| その他(総務・人事) | 12名 | 0 | 5 | $0 |
| 合計 | 50名 | 24 | 19 | $2,900 |
仮に全員にコアシートを割り当てた場合、月額コストは約$6,000以上になるため、閲覧専用シートの活用だけで月額$3,100以上を削減できる計算です。
シート数を最適化する5つの戦略
戦略1:役割ベースのシート棚卸し
四半期に一度、全ユーザーのシート利用状況を棚卸しします。HubSpotの「ユーザーとチーム」画面で、各ユーザーの最終ログイン日時を確認し、30日以上ログインしていないユーザーのシートを回収または閲覧専用に変更します。
戦略2:チーム単位でのシートプール制
全員に個別のコアシートを割り当てるのではなく、チーム内でシートを共有する運用も検討します。たとえば、週に数回しかHubSpotを使わないメンバーがいる場合、そのメンバーの利用頻度に応じてシートを調整します。
戦略3:閲覧専用シートの積極活用
前述のとおり、データの閲覧・レポート確認だけで業務が成り立つメンバーには、閲覧専用シートを割り当てます。特に経営層、管理部門、プロジェクトマネージャーなど、CRMデータを「見る側」のメンバーには閲覧専用で十分です。
戦略4:年間契約での割引活用
HubSpotは月額契約と年間契約で価格が異なります。年間契約にすることで、月額契約比で最大25%の割引が適用されます。シート数が確定している場合は、年間契約への切り替えがコスト削減に直結します。
戦略5:Hub統合バンドルの検討
複数のHubを個別に契約している場合、Customer Platform(旧CRM Suite)バンドルへの統合を検討します。バンドル契約では、個別契約の合計額より割安になるケースがあり、特に3つ以上のHubを利用している企業ではコストメリットが大きくなります。
シート管理でよくある失敗パターン
失敗1:退職者のシートが放置されている
退職や異動でHubSpotを使わなくなったメンバーのシートが放置されるケースは非常に多いです。人事異動のタイミングでシートの棚卸しを行うプロセスを構築することが重要です。
失敗2:全員にコアシートを割り当てている
「全員がデータを編集できるようにしておきたい」という要望から全員にコアシートを割り当てると、不要なコストが発生するだけでなく、データの不整合リスクも高まります。編集権限は業務上必要なメンバーに限定することが、コストとデータ品質の両面で有効です。
失敗3:契約更新時にシート数を見直していない
HubSpotの契約更新は年1回のタイミングで行われますが、このタイミングでシート数を見直さないと、不要なシートに対して翌年も課金され続けます。契約更新の1〜2ヶ月前にシート棚卸しを実施することを推奨します。
よくある質問(FAQ)
Q1. 閲覧専用シートで利用できる機能の範囲を教えてください
閲覧専用シートでは、CRMレコード(コンタクト・会社・取引)の閲覧、ダッシュボード・レポートの確認、アクティビティタイムラインの確認が可能です。一方、レコードの作成・編集・削除、メールの送信、ワークフローの作成・編集はできません。
Q2. シートの種類は後から変更できますか?
はい。管理者権限を持つユーザーが「設定」→「ユーザーとチーム」からシートの割り当てを変更できます。コアシートから閲覧専用シートへの変更は即座に反映されます。ただし、契約しているシート数の上限を超える割り当てはできないため、必要に応じてシート数の追加購入が必要です。
Q3. 閲覧専用シートに上限はありますか?
閲覧専用シートには、プランに応じた上限数が設定されています。Professional以上のプランでは一定数が含まれており、追加が必要な場合はHubSpotの営業担当に相談します。具体的な上限数はプランや契約条件によって異なるため、契約内容を確認してください。
Q4. シート数の最適化を外部に相談できますか?
HubSpotの認定パートナーに相談することで、組織構造やCRM活用状況に応じた最適なシート配分の提案を受けられます。特に50名以上の組織でHubSpotを導入する場合、初期設計の段階でシート最適化を組み込むことで、長期的なコスト削減が実現できます。
HubSpotのシート管理は、導入時だけでなく継続的に見直すことが重要です。閲覧専用シートの活用と定期的な棚卸しを組み合わせることで、全社でCRMデータを活用しながら、ライセンスコストを最適化できます。
カテゴリ: HubSpot導入・料金・移行 | HubSpot
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著者情報
今枝 拓海 / Takumi Imaeda
株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。
パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。