HubSpotのコンタクト上限と料金体系|1,000件→10万件のスケーリング戦略

  • 2026年3月12日
  • 最終更新: 2026年10月12日
この記事の結論

コンタクトが増えても、料金がそのまま増えるわけではありません。課金を決めるのはマーケティングコンタクトの数です。

ブログ目次


コンタクトが増えても、料金がそのまま増えるわけではありません。課金を決めるのはマーケティングコンタクトの数です。

マーケティングコンタクト数 Starter年額 Professional年額 Enterprise年額
1,000件 $240 — —
5,000件 $1,200 $10,680 —
10,000件 $2,400 $13,680 $43,200
25,000件 $6,000 $22,680 $49,200
50,000件 $12,000 $37,680 $55,200
100,000件 $24,000 $67,680 $67,200
プラン 基本マーケティングコンタクト数 月額(年間契約) 追加コンタクトの単価目安
Marketing Hub Starter 1,000件 $20/月 1,000件ごとに約$20/月
Marketing Hub Professional 2,000件 $890/月 5,000件ごとに約$250/月
Marketing Hub Enterprise 10,000件 $3,600/月 10,000件ごとに約$100/月

「コンタクト数が上限に近づいているが、追加するとどれくらいコストが増えるのか」「マーケティングコンタクトと非マーケティングコンタクトの違いがよくわからない」「展示会の名刺をまとめて取り込んだら、急に上限に近づいてしまった」——HubSpotの利用規模が広がる段階で、多くの企業が向き合うのがコンタクト上限と料金の関係です。

HubSpotのコンタクト上限とは、Marketing Hubの契約ティアで決まる「マーケティングコンタクト」の上限数のことで、CRMに保存できるコンタクトの件数とは別の概念です。つまり、マーケティングコンタクトと非マーケティングコンタクトを正しく使い分ければ、すべてのコンタクトが課金対象になるわけではありません。この仕組みを運用に組み込むことが、コストを適正に保つ鍵になります。

本記事では、HubSpotのコンタクト上限の仕組みと料金体系の考え方を整理し、1,000件規模から10万件超への成長を見据えたスケーリング戦略を解説します。


この記事でわかること

HubSpotのコンタクト数増加に伴う料金の仕組みを理解し、スケーリング戦略を立てたい経営者・マーケティング担当者に向けた記事です。課金の構造から、段階ごとの判断基準、日々の運用ルールまでを順に整理しています。

  • マーケティングコンタクトと非マーケティングコンタクトの違い — Marketing Hubの課金対象はマーケティングコンタクトのみです。CRMへの保存と課金が別の概念である理由を説明します。
  • ティア上限と変更反映のタイミング — 上限に達したときの扱いと、ステータス変更の反映が「増やすときは即時・減らすときは次回更新日」と非対称になる点を押さえます。
  • スケーリング段階ごとのプラン判断 — 1,000件・5,000件・2万件・10万件の節目で、何を優先して見直すかを整理します。
  • クリーニングを人ではなく仕組みで回す方法 — インポート時の既定値、ワークフローによる自動切り替え、四半期ごとの点検項目を具体的に示します。
  • この運用の限界と向かないケース — 非マーケティング化で使えなくなる機能と、判断を誤りやすい場面を率直にまとめます。

コンタクト上限と料金の基本構造

HubSpotの料金を考えるときの出発点は、「コンタクトの総数」と「課金対象の数」を分けて見ることです。

CRMにどれだけレコードがあっても、Marketing Hubの課金はマーケティングコンタクトとして設定された件数で決まります。

この区別を最初に押さえておくと、以降のプラン判断やクリーニングの考え方がすっきり整理できます。

課金対象となるのは「マーケティングコンタクト」のみ

以下の画面は、HubSpotのコンタクト一覧です。

HubSpotコンタクト一覧画面

HubSpotの料金体系で押さえておきたいポイントは、Marketing Hubの課金対象はマーケティングコンタクトのみという点です。

  • マーケティングコンタクト ── マーケティングメールの送信対象や広告オーディエンスとして利用されるコンタクトを指します。
  • 非マーケティングコンタクト ── CRMにレコードとして保存されているものの、マーケティング施策の対象にはならないコンタクトです。
区分 定義 課金・利用可能な機能
マーケティングコンタクト マーケティング施策の対象となるコンタクト 課金 Marketing Hubの課金対象
利用可能な機能 メール送信、広告オーディエンス、ワークフロー
非マーケティングコンタクト CRMに記録されているだけのコンタクト 課金 課金対象外(CRM無料枠内)
利用可能な機能 CRMレコード閲覧、取引管理、チケット管理

CRMのレコード保存と課金は別の概念

HubSpotのCRMには、大量のコンタクトレコードを保存できます。ここで大切なのは、CRMへの保存とMarketing Hubの課金が別の概念であることです。

CRMに多くのコンタクトが存在していても、マーケティングコンタクトとして設定している件数が少なければ、課金はその件数に対してだけ発生します。

削除の前に切り替えを検討する

言い換えると、「データを残すかどうか」と「マーケティング施策を打つかどうか」は別々に判断できます。

過去の取引履歴や商談メモを残したいコンタクトを削除する前に、まず非マーケティングコンタクトへの切り替えで足りないかを検討するのが順序としておすすめです。

非マーケティングコンタクトでできること・できないこと

非マーケティングコンタクトにはマーケティングメール(一斉配信メール)を送信できません。

一方で、CRMからの1対1のメール送信や、Sales Hubのシーケンス機能によるメール送信は可能です(出典:Set contacts as marketing(HubSpotナレッジベース))。

やりたいこと 非マーケティングのまま マーケティングコンタクトへ変更
営業担当が個別にメールを送る 可 不要
シーケンスで個別フォローする 可 不要
ニュースレターを一斉配信する 不可 変更してから配信
広告のオーディエンスに含める 不可 変更してから利用
取引・チケットに関連付けて記録する 可 不要

判断の分かれ目は「一斉配信や広告の対象にするかどうか」です。営業が個別に追いかける相手であれば、非マーケティングのままでも業務は止まりません。


スプレッドシート管理から移したときに起きやすい課金の膨らみ

HubSpotへ一元化すると情報が一か所にまとまる反面、そのまま全件をマーケティングコンタクトにすると課金対象も一気に増えます。

名刺・展示会リストを一括インポートする場面

例えば、展示会で集めた名刺をまとめてHubSpotに取り込む場合、全員にメールを送るのではなく、関心度の高い一部だけをマーケティングコンタクトに設定し、残りは非マーケティングコンタクトとしてCRMに保管する運用が可能です。

こうすれば、課金対象は実際にメール施策を打つ相手に限定されます。

スプレッドシートでは「とりあえず全部同じシートに入れる」運用になりがちですが、HubSpotでは取り込む時点で「施策対象か、記録対象か」を分けられます。

ここを移行の段階で決めておくと、後から大がかりな整理をせずに済みます。

インポート時の設定を既定値として決めておく

インポート時には、マーケティングコンタクトとして設定するかどうかを選択できます。この選択を担当者ごとの判断に任せると、同じ種類のリストでも人によって扱いが変わってしまいます。

おすすめは、次のような既定値を社内ルールとして文書化しておくことです。

リストの種類 既定の扱い マーケティングコンタクトへ変更する条件
展示会・イベントの名刺 非マーケティング 資料請求やアンケートで関心が確認できた相手
過去の顧客・休眠顧客 非マーケティング 掘り起こしメールを送る対象として選定した相手
Webフォームからの問い合わせ 対象フォームのみマーケティング フォームごとに事前に決めておく
営業担当の個人名刺 非マーケティング 営業担当が一斉配信への追加を申請した相手

ルールを表にしておけば、担当者が替わっても、入社したばかりのメンバーでも同じ判断ができます。個人の注意力に頼らず、既定値で課金の膨らみを防ぐ考え方です。


プラン・ティアと追加課金の仕組み

Marketing Hubの料金は、プラン(Starter/Professional/Enterprise)と、マーケティングコンタクト数のティアの組み合わせで決まります。

金額は改定されることがあるため、本記事では具体的な料金は扱わず、判断に使う構造だけを整理します。最新の金額はHubSpotの公式料金ページで見てください。

ティア単位で上限が決まる

マーケティングコンタクトは、契約で購入したティア単位で上限が決まります(出典:HubSpot Product & Services Catalog)。

各プランには基本のコンタクト数が含まれており、それを超える分は追加のティアとして課金されます。プランによって、追加ティアの1件あたりの単価の考え方が異なります。

追加購入とアップグレードの比較

大量のマーケティングコンタクトを抱える企業では、下位プランで追加購入を重ねるよりも、上位プランへアップグレードしたほうが総額が抑えられるケースがあります。

どちらが有利になるかはコンタクト数と契約条件で変わるため、見積もりを並べて比較するのが現実的です。

上限に達したときの扱い

マーケティングコンタクト数がティアの上限に達すると、自動的に次のティアに移行し、追加料金が発生します。

上限に近づくとHubSpotから通知が届きますが、通知を受けてから対応するのでは、クリーニングが間に合わないことがあります。

そこで、次のように「通知より前」に動けるしきい値を自社で決めておくことをおすすめします。

状況 取る行動
上限までの余裕がある 月次の件数記録だけ続ける
上限に近づいてきた 直近のクリーニング対象を洗い出し、次回更新日までに切り替える
近いうちに上限を超える見込み 次のティアへの移行とクリーニングのどちらで対応するか、施策計画と照らして決める

変更の反映タイミングは非対称

マーケティングコンタクトの設定は、月次の更新サイクルで処理されます。

非マーケティングからマーケティングへの変更は即時に反映されますが、マーケティングから非マーケティングへの変更は次回の更新日まで反映されません(出典:Set contacts as marketing(HubSpotナレッジベース))。

この仕様が課金に与える影響

この仕様のため、月の途中で非マーケティングに変更しても、その月の課金は変わりません。クリーニング作業は、更新日の前までに終える段取りにしておくのが効率的です。

ティアの上限が迫っている月ほど、「増やす変更は即時、減らす変更は翌サイクル」という時間差を計画に織り込んでおくと、意図しないティア移行を避けやすくなります。


スケーリング段階ごとのプラン判断

コンタクト数が増えるにつれて、優先すべきことは変わっていきます。最初から大規模な運用ルールを整えるよりも、いまの段階で効果が出る部分から始め、節目ごとに運用を広げていくほうが無理なく続けられると考えています。

以下の4つのフェーズは、その見直しのタイミングの目安です。

フェーズ・規模 優先すること プランの検討
フェーズ 1. 立ち上げ期
規模 1,000〜5,000件
データの質と登録ルール Starter または Professional
フェーズ 2. 成長期
規模 5,000〜2万件
非エンゲージメントコンタクトの定期整理 追加ティアとアップグレードの比較
フェーズ 3. 拡大期
規模 2万〜10万件
Enterpriseへの移行検討 機能面と費用面の両方で比較
フェーズ 4. 大規模運用期
規模 10万件超
自動分類とガバナンスルール 部門・地域ごとの運用設計

フェーズ1:1,000〜5,000件(立ち上げ期)

この段階ではStarterプランまたはProfessionalプランで十分対応できます。コンタクト数よりも、データの質を確保することに注力したいフェーズです。

  • 登録ルール ── フォームからの流入時点でマーケティングコンタクトに設定するルールを明確にし、展示会で取得した名刺データなど一括インポートするコンタクトは非マーケティングコンタクトとして取り込む運用を確立します。
  • 早めにルールを固める ── 件数が少ないうちにルールを固めておくと、後のフェーズで整理する量が大きく変わります。

フェーズ2:5,000〜2万件(成長期)

コンタクトが5,000件を超えると、マーケティングコンタクトの管理がコストに直結し始めます。この段階で優先したいのは、非エンゲージメントコンタクトの定期的なクリーニングです。

  • 切り替え ── 一定期間メールを開封していないコンタクトを非マーケティングコンタクトへ切り替えることで、課金対象を圧縮できます。
  • 期間の決め方 ── 期間は自社の検討期間の長さを踏まえて決め、短すぎて検討中の見込み客まで外してしまわないようにします。
  • 自動抽出 ── HubSpotのアクティブリスト機能を活用し、エンゲージメントの低いコンタクトを自動的に抽出する仕組みを整えておくと、毎回手作業で探す手間がなくなります。

フェーズ3:2万〜10万件(拡大期)

コンタクト数が2万件を超えたら、Enterpriseプランへの移行を本格的に検討するタイミングです。

  • 機能面の比較 ── Enterpriseプランではチーム単位のパーティション管理やカスタム行動イベント、予測リードスコアリングなど高度な機能も利用可能になるため、費用面だけでなく機能面の比較も判断材料になります。
  • 比較の見方 ── 比較の際は、「追加ティアを重ねた場合の総額」と「アップグレードした場合の総額」を並べ、そのうえで上位プランの機能を実際の施策で使う予定があるかを見ます。
  • 現行プランにとどまる判断 ── 使う予定のない機能のために移行するのであれば、クリーニングを徹底して現行プランにとどまる判断も十分にあり得ます。

フェーズ4:10万件超(大規模運用期)

10万件を超える規模では、データベースの健全性を保つことがそのままコスト管理になります。

  • 用意しておくこと ── マーケティングコンタクトの自動分類ワークフロー、地域別・事業部別のガバナンスルール、定期的なデータアーカイブの方針を用意しておきたい段階です。
  • 管理者の役割 ── この規模になると、一人の管理者が全体を把握するのは現実的ではありません。
  • 承認と基準の共有 ── 事業部ごとに「誰がマーケティングコンタクトへの変更を承認するか」を決め、判断基準を共有しておくと、組織が大きくなっても運用が崩れにくくなります。

課金判断をコンタクト単体で終わらせない

マーケティングコンタクトの管理は、コンタクトだけを見て判断すると誤りやすくなります。

HubSpotでは、コンタクトが会社・取引・チケットと関連付けられ、コンタクト→取引→顧客→請求という一連の流れの中で情報がつながっています。

課金を抑える判断も、この全体の流れのどこにいる相手なのかを踏まえて行うのが自然です。

非マーケティングコンタクトも取引・チケットにつながる

非マーケティングコンタクトに切り替えても、取引やチケットとの関連付けはそのまま残ります。営業の商談履歴やサポートの対応記録は失われないため、「課金を抑えるために削除する」必要はありません。

次の図は、受注後プロセスまでを一気通貫でつなぐことを想定した、HubSpotオブジェクト間のリレーション設計案です。

HubSpotデータモデル設計図(オブジェクト間リレーション)

このようにオブジェクト同士が関連付けられていると、スプレッドシートで顧客リストと商談リストを別々に持っていた頃のような差分が起きにくくなります。

ライフサイクルステージと連動させた切り替え基準

マーケティングコンタクトにするかどうかは、ライフサイクルステージと連動させると判断がぶれにくくなります。例えば、次のような対応づけが考えられます。

ライフサイクルステージ マーケティングコンタクトの扱い 理由
リード(ナーチャリング中) マーケティング ステップメールの対象
商談中 営業が個別対応するなら非マーケティングでも可 一斉配信が商談の邪魔になることがある
顧客 活用情報を配信するならマーケティング 継続利用・追加提案の接点
失注 掘り起こし対象に選んだ相手のみマーケティング 再検討のタイミングで接点を持つ
競合・パートナー 非マーケティング 施策の対象外
  • 全件を非マーケティングにすると ── 失注した相手をすべて非マーケティングにしてしまうと、時期や予算の理由で見送った見込み客に再び接点を持つ機会がなくなります。
  • 掘り起こし対象だけ残すと ── 失注理由を見て、掘り起こしに回す相手だけをマーケティングコンタクトに残す設計にすると、ナーチャリングの流れに戻すことができます。

どのステージをどう扱うかは、商材や販売の仕方によって変わるため、自社のカスタマージャーニーに合わせて表を作り替えてください。


クリーニングを人ではなく仕組みで回す

コンタクトの整理は、「気づいた人が手作業でやる」運用だと、忙しい時期ほど後回しになります。

定期的な点検項目を決め、自動化できる部分はワークフローに任せることで、担当者の力量に左右されない運用になります。ここでは、点検項目・自動化の手順・ルールの書き方の順に整理します。

四半期ごとの5つのクリーニングアクション

コンタクト数の肥大化を防ぎ、マーケティングコンタクトの課金を適正に保つために、以下のアクションを四半期に1回実施することをおすすめします。

アクション 対象 使う機能・処理
1. バウンスの処理 ハードバウンスが記録されたコンタクト 使う機能 メールヘルスツール
処理 削除または非マーケティングへ変更
2. 未エンゲージメントの非マーケティング化 一定期間メールの開封・クリックがなく、Webサイト訪問もないコンタクト 使う機能 アクティブリスト
処理 非マーケティングへ変更
3. 重複のマージ 同一人物の重複レコード 使う機能 重複管理ツール
処理 レコードを統合
4. 競合・パートナーの除外 競合企業やパートナー企業の担当者 使う機能 リスト(会社ドメインで抽出)
処理 非マーケティングへ変更
5. フリーメール・不正データの精査 BtoBでターゲット外の登録 使う機能 リスト(ドメインで抽出)
処理 内容を見て変更または削除

ハードバウンスが記録されたコンタクトは、メール配信の品質にも悪影響を与えます。重複コンタクトは不要な課金を発生させるだけでなく、正確なレポーティングも妨げます。

この2つは課金だけでなくデータの信頼性にも関わるため、優先して取り組みたい項目です。

ワークフローで切り替えを自動化する手順

未エンゲージメントコンタクトの切り替えは、ワークフローで自動化できます。次の順で組み立て、各段階で条件が満たせてから次に進みます。

  1. 抽出条件をリストで作る — アクティブリストで「一定期間メールの開封・クリックがない」「Webサイト訪問がない」「マーケティングコンタクトである」を組み合わせます。抽出された件数と中身を見て、商談中の相手や既存顧客が混ざっていなければ次へ進みます。
  2. 除外条件を加える — 商談中の取引に関連付いているコンタクトや、特定のライフサイクルステージのコンタクトを除外します。除外後のリストを営業担当に見てもらい、「外されると困る相手」がいなければ次へ進みます。
  3. ワークフローを作成する — リストへの登録をきっかけに、「マーケティングコンタクトのステータスを設定」アクションで非マーケティングへ切り替えます。
  4. 更新日前に件数を記録する — 切り替えは次回の更新日に反映されるため、更新日の前に切り替え件数を記録し、翌月のマーケティングコンタクト数と突き合わせます。

最初からすべてを自動化せず、まずは手順1〜2をリストだけで運用し、判断に迷う相手が出なくなってからワークフローに移すと、誤って施策対象を外すリスクを抑えられます。

担当者が替わっても回る運用ルールの書き方

運用ルールは、「誰が見ても同じ判断になる」形で書くことがポイントです。次のように、判断基準と担当者をセットにしておくと引き継ぎやすくなります。

  • フォーム送信時に自動でマーケティングコンタクトに設定するフォームを一覧化し、それ以外は非マーケティングにする
  • インポート時はデフォルトで非マーケティングコンタクトとし、精査後に変更する
  • 非エンゲージメントコンタクトの切り替えはワークフローに任せ、除外条件の見直しだけを人が行う
  • マーケティングコンタクトへの変更を申請・承認する担当者を決める

こうしたルールがあると、新しく加わったメンバーでも迷わず作業でき、特定の担当者が休んだときにも運用が止まりません。


月次・年次の管理タスクと見直しの判断

クリーニングと並行して、件数の推移を定期的に記録しておくと、ティア移行やプラン見直しの判断を前もって行えます。

  • 担当と見える化 ── 管理タスクは頻度ごとに担当を決め、ダッシュボードやレポートで数値を見られる状態にしておくのがおすすめです。
  • 記録の方法 ── スプレッドシートで件数を手入力で記録するよりも、HubSpotのレポートで推移を自動的に表示するほうが、更新漏れが起きにくくなります。

管理タスクの一覧

タスク 頻度・担当 ツール
コンタクト総数の確認 頻度 月次
担当 マーケティング
HubSpotダッシュボード
マーケティングコンタクト数の確認 頻度 月次
担当 マーケティング
設定 > マーケティングコンタクト
バウンスコンタクトの整理 頻度 月次
担当 マーケティング
コンタクトリスト
重複コンタクトの統合 頻度 月次
担当 CRM管理者
重複管理ツール
コンタクト増加トレンドの分析 頻度 四半期
担当 マーケティング
カスタムレポート
プラン見直し・更新検討 頻度 年次
担当 管理者
HubSpot営業担当と協議

プラン見直しで見る項目と判断の分かれ目

年次のプラン見直しでは、次の項目を並べて判断します。

見る項目 現行プランにとどまる目安 アップグレードを検討する目安
マーケティングコンタクトの増加ペース クリーニングで増加を吸収できている 施策の拡大で増加が続く見込み
追加ティアの総額 アップグレード後の総額より小さい アップグレード後の総額に近い、または上回る
上位プランの機能 当面の施策で使う予定がない 予測リードスコアリングやパーティション管理を使う計画がある
運用体制 一つのチームで管理できている 事業部・地域ごとに管理を分けたい

リード獲得施策の計画とコンタクト数の増加ペースを事前にすり合わせておくと、更新時期になってから慌てて判断することを避けられます。


この運用の限界と向かないケース

非マーケティングコンタクトの活用は課金を適正に保つうえで有効ですが、万能ではありません。切り替えによって使えなくなる機能や、判断を誤りやすい場面もあります。

ここでは、運用を始める前に知っておきたい制約を整理します。

非マーケティング化で使えなくなること

非マーケティングコンタクトには、マーケティングメールの一斉配信ができず、広告オーディエンスにも含められません。

そのため、切り替えた相手に対して後からキャンペーンを打とうとすると、マーケティングコンタクトへ戻す手間が発生し、その時点で課金対象に加わります。

  • 頻繁な切り替え ── ただし、頻繁に切り替えを行ったり来たりさせると、どの時点で誰が課金対象だったのかが追いにくくなります。
  • 切り替えの集約 ── 切り替えは四半期のクリーニングやワークフローの条件に集約し、場当たり的な変更を減らすことをおすすめします。

反映ラグによる一時的な超過

非マーケティングへの変更は次回の更新日まで反映されないため、上限ぎりぎりの状態で大きなリストをマーケティングコンタクトとして取り込むと、整理が間に合わずティアが上がることがあります。

  • 先にクリーニング ── このケースを避けるには、大量インポートの予定が分かった時点で、先にクリーニングを行って余裕を作っておくのが現実的です。
  • 計画表への組み込み ── 「インポートの前に整理、整理の反映は次回更新日」という順序を、イベントやキャンペーンの計画表に組み込んでおくと、判断のタイミングを逃しにくくなります。

よくある質問

Q1. 非マーケティングコンタクトにマーケティングメールを送信できますか?

いいえ。非マーケティングコンタクトにはマーケティングメール(一斉配信メール)を送信できません。一方で、CRMからの1対1のメール送信やSales Hubのシーケンス機能によるメール送信は可能です。一斉配信の対象にしたい場合は、配信の前にマーケティングコンタクトへ変更してください。

Q2. マーケティングコンタクトから非マーケティングコンタクトへの変更はいつ反映されますか?

次回の更新日に反映されます。月の途中で変更しても、その月の課金は変わりません。クリーニング作業は更新日の前までに終えるよう、スケジュールを組んでおくことをおすすめします。

Q3. コンタクト数がティアの上限に達した場合、どうなりますか?

マーケティングコンタクト数がティアの上限に達すると、自動的に次のティアに移行し、追加料金が発生します。上限に近づくとHubSpotから通知が届きますが、通知の前に動けるよう、月次で件数を記録し、自社でしきい値を決めておくと計画的に対応できます。

Q4. 大量のコンタクトを一括インポートした場合、すべてマーケティングコンタクトになりますか?

いいえ。インポート時に、マーケティングコンタクトとして設定するかどうかを選択できます。「マーケティングコンタクトとして設定しない」を選択すれば、非マーケティングコンタクトとしてCRMに保存されます。この選択を担当者任せにせず、リストの種類ごとに既定値を決めておくと、不要な課金を防げます。

Q5. コンタクトを削除せずに課金を抑える方法はありますか?

コンタクトを非マーケティングコンタクトに変更することで、データを保持したまま課金対象から外せます。取引やチケットとの関連付け、過去の活動履歴も残るため、現時点ではマーケティング施策の対象ではないが、記録は残しておきたいコンタクトに向いています。


まとめ

HubSpotのコンタクト課金は、Marketing Hubのマーケティングコンタクトだけが対象で、CRMへの保存とは別の概念です。

この構造を理解していないと、スプレッドシートからの移行や展示会リストの取り込みをきっかけに、想定外のティア移行が起こります。押さえておきたいポイントは次のとおりです。

  • 一斉配信や広告の対象にする相手だけをマーケティングコンタクトにし、それ以外は非マーケティングで保管する
  • 非マーケティングへの変更は次回の更新日まで反映されないため、更新日前にクリーニングを終える
  • 1,000件・5,000件・2万件・10万件の節目で、優先することとプランの選択肢を見直す
  • 切り替えの判断はライフサイクルステージと連動させ、失注した相手のうち掘り起こし対象はナーチャリングに戻す
  • インポートの既定値とワークフローで、担当者が替わっても回る仕組みにする

まずは、現在のコンタクト総数とマーケティング/非マーケティングの内訳を把握し、「今すぐ非マーケティング化できる対象」を洗い出すところから始めてみてください。

  1. 設定画面でマーケティングコンタクト数を把握し、ティアの上限までの余裕を記録する
  2. アクティブリストで未エンゲージメント・バウンス・競合の3種類を抽出し、次回更新日までに切り替える
  3. リストの種類ごとのインポート既定値を表にまとめ、チーム内で共有する

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著者情報

7-1

今枝 / Imaeda

株式会社StartLink 代表取締役。累計150社以上のHubSpotプロジェクト支援実績を持ち、Claude CodeやHubSpotを軸にしたAI活用支援・経営基盤AXのコンサルティング事業を展開。
HubSpotのトップパートナー企業や大手人材グループにて、エンタープライズCRM戦略策定・AI戦略ディレクションを経験した後、StartLinkを創業。現在はCRM×AIエージェントによる経営管理支援を専門とする。