DXリテラシー標準(Di-Lite)とは?社内教育への活用と全社デジタル人材化の進め方

  • 2026年3月4日
  • 最終更新: 2026年4月25日
この記事の結論

DXリテラシー標準(Di-Lite)とは、経産省・IPAが策定した「すべてのビジネスパーソンがDX推進に参画するために最低限必要な知識・スキル」を体系化したフレームワークです。Why DX・Whatデータ・Whatデジタル技術・How利活用の4領域で構成されます。社内教育はリテラシー診断→対象者別カリキュラム設計→学習コンテンツ選定→効果測定の4ステップで進めます。

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記事の内容を、そのまま実務に落とし込みたい方向け

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DXリテラシー標準(Di-Lite)とは、経産省・IPAが策定した「すべてのビジネスパーソンがDX推進に参画するために最低限必要な知識・スキル」を体系化したフレームワークです。Why DX・Whatデータ・Whatデジタル技術・How利活用の4領域で構成されます。社内教育はリテラシー診断→対象者別カリキュラム設計→学習コンテンツ選定→効果測定の4ステップで進めます。

「DX推進にはデジタル人材が必要だ」とわかっていても、「全社員にどの程度のデジタルリテラシーを求めるべきか」という基準がなければ、教育計画を立てることすらできません。

この課題に応えるために、経済産業省とIPAが策定したのが「DXリテラシー標準(Di-Lite:Digital Literacy Standard)」です。2022年3月に公開され、すべてのビジネスパーソンがDX推進に参画するために最低限必要な知識・スキルを体系化したものです。

本記事では、Di-Liteの構造と活用方法、社内教育プログラムへの組み込み方を解説します。

DXの基礎知識について体系的に学びたい方は、DX基礎ガイドで全体像を把握できます。

本記事は「DXとは?デジタルトランスフォーメーションの定義・目的・IT化との違いをわかりやすく解説」シリーズの一部です。


この記事でわかること

  • Di-Liteの4つの学習領域(Why DX・Whatデータ・Whatデジタル技術・How利活用)の具体的な内容 — IPAの「DX白書2024」によると、DX推進の最大の障壁は「DX人材の不足」(約67%の企業が回答)です。
  • Di-Lite(全社員向け基礎)とDSS-P(DX推進人材向け専門スキル)の関係と5つの人材類型 — Di-Liteは「全社員向け」の基礎リテラシーですが、DX推進の中核を担う人材には、より高度なスキルが求められます。
  • 社内教育プログラムへの組み込み4ステップ(診断→カリキュラム設計→コンテンツ選定→効果測定) — まず、社員のデジタルリテラシーの現状を把握します。
  • 日立製作所・ダイキン工業のDX人材育成先進事例 — 日立製作所は「全社員DX人材化」を掲げ、約16万人の社員を対象にDXリテラシー教育を実施しています。

DXリテラシー標準(Di-Lite)とは?社内教育への活用と全社デジタル人材化の進め方について理解を深めたい方に、特に参考になる内容です。


DXリテラシー標準(Di-Lite)の全体像

策定の背景

IPAの「DX白書2024」によると、DX推進の最大の障壁は「DX人材の不足」(約67%の企業が回答)です。しかし、ここで言う「DX人材」はエンジニアだけではありません。DXは全社的な取り組みであり、営業・マーケ・経理・人事など、あらゆる部門の社員がデジタルの基礎知識を持つことが前提になります。

Di-Liteは、「すべてのビジネスパーソンに求められるDXリテラシー」を定義することで、全社的なデジタル人材育成の指針を提供しています。

4つの学習領域

Di-Liteは以下の4つの領域で構成されています。

領域 内容 主なトピック
1. Why DX なぜDXが必要か DXの背景・社会変化・ビジネスへの影響
2. What データ データとは何か データの種類・活用方法・データリテラシー
3. What デジタル技術 技術の基礎 AI・クラウド・IoT・セキュリティの基礎
4. How 利活用 どう活用するか データ活用の実践・ツール選定・倫理

各領域の詳細

領域1: Why DX

  • 社会の変化とDXの必要性
  • デジタル技術によるビジネスモデルの変革事例
  • DXとイノベーションの関係

領域2: What データ

  • データの種類(構造化/非構造化、定量/定性)
  • データの収集・管理・活用の基本
  • データ分析の基礎概念(統計、可視化)
  • データに基づく意思決定のプロセス

領域3: What デジタル技術

  • AI・機械学習の基礎概念(ディープラーニング、自然言語処理)
  • クラウドコンピューティングの基礎
  • IoT・5Gの基礎
  • サイバーセキュリティの基礎

領域4: How 利活用

  • デジタルツール・サービスの選定と活用
  • データ活用プロジェクトの進め方
  • AI・デジタル技術活用における倫理・法規制
  • 業務改善へのデジタル技術適用

関連するテーマとして、経産省DX推進ガイドラインの要点と自社への適用方法もあわせてご覧ください。


DX推進スキル標準(DSS-P)との関係

Di-Liteは「全社員向け」の基礎リテラシーですが、DX推進の中核を担う人材には、より高度なスキルが求められます。この上位スキルを定義しているのが「DX推進スキル標準(DSS-P:Digital Skill Standard for DX Promotion)」です。

フレームワーク 対象 レベル
Di-Lite 全社員 基礎リテラシー
DSS-P DX推進人材 専門スキル

DSS-Pでは、DX推進人材を5つの類型で定義しています。

類型 役割 必要スキル
ビジネスアーキテクト DXの取り組みを推進するリーダー 戦略策定、プロジェクトマネジメント
デザイナー 顧客・ユーザー体験を設計 UXデザイン、サービスデザイン
データサイエンティスト データを分析し価値を創出 統計分析、AI/ML、ビジネス理解
ソフトウェアエンジニア デジタルサービスを構築 開発技術、アーキテクチャ設計
サイバーセキュリティ セキュリティリスクを管理 セキュリティ設計、インシデント対応

関連するテーマとして、DX戦略の策定方法もあわせてご覧ください。


社内教育プログラムへの組み込み方

ステップ1: 現状のリテラシーレベルの把握

まず、社員のデジタルリテラシーの現状を把握します。IPAが提供する「DXリテラシー標準に準拠した自己診断ツール」や、民間のデジタルスキル診断サービスを活用できます。

ステップ2: 対象者別の教育カリキュラム設計

全社員一律のカリキュラムではなく、役職・部門に応じたレベル設計が効果的です。

対象 必須レベル 推奨学習内容
経営層 Why DX + How利活用 DX戦略の理解、投資判断に必要な技術知識
管理職 4領域すべての基礎 部門DXの推進方法、データ活用の実践
一般社員(事務系) Why DX + What データ 業務データの活用、ノーコードツールの操作
一般社員(技術系) 4領域すべて + DSS-P 専門技術スキルの深化

ステップ3: 学習コンテンツの選定

学習方法 コスト 特徴 推奨ツール例
eラーニング 自分のペースで学習可能 Udemy Business、Schoo
社内研修 自社の事例に即した内容にカスタマイズ可能 社内講師 + 外部講師
ハンズオン 中〜高 実際のデータ・ツールを使った実践学習 BIツール、CRM操作研修
外部資格 低〜中 客観的なスキル証明 ITパスポート、G検定

ステップ4: 効果測定とPDCA

教育プログラムの効果は、以下の指標で測定します。

  • スキルスコアの変化: 研修前後でのリテラシー診断スコアの比較
  • 業務への適用度: 学んだスキルが業務改善に活用されたか
  • デジタルツール利用率: CRMやBIツールの利用率の変化(関連記事: CRM導入の進め方完全ガイド

関連するテーマとして、「2025年の崖」とは?レガシーシステム問題の実態と企業が今もあわせてご覧ください。


DX人材育成の先進事例

日立製作所のDX人材育成

日立製作所は「全社員DX人材化」を掲げ、約16万人の社員を対象にDXリテラシー教育を実施しています。基礎リテラシー(Di-Lite相当)のeラーニングを全社員必修とし、さらに高度人材にはDSSP準拠の専門研修を提供しています。

ダイキン工業のDX人材育成

ダイキン工業は大阪大学と連携し、社内にAI・IoTの人材育成組織「ダイキン情報技術大学」を設立。2年間のプログラムで、事業部門の社員をデータサイエンティストに育成しています。2023年時点で約1,500名が修了し、各事業部門でDX推進の中核を担っています。


全社デジタル人材化のロードマップ

フェーズ 期間 目標 施策
Phase 1 0〜6ヶ月 現状把握と方針策定 リテラシー診断、教育計画策定
Phase 2 6〜12ヶ月 全社員基礎教育 Di-Lite準拠のeラーニング必修化
Phase 3 1〜2年 実践力強化 ハンズオン研修、OJT、資格取得支援
Phase 4 2年〜 高度人材育成 DSS-P準拠の専門教育、外部連携

DXリテラシー標準(Di-Lite)は、全社員のデジタル教育を体系的に進めるための「共通言語」です。教育投資はDX推進の基盤であり、ツール導入と同じかそれ以上に重要な投資です(関連記事: CRM導入で失敗しない経営判断)。

CRMで実現するDXリテラシー標準(Di-Lite)とは?社内教育への活用と

DXリテラシー標準(Di-Lite)とは?社内教育への活用と全社デジタル人材化の進め方を実務に落とし込むには、CRMツールの活用が不可欠です。詳しくは「CRM導入の進め方完全ガイド|準備・ツール選定・データ移行・定着化の全ステップ」で解説しています。


次のステップ

DXリテラシー標準に取り組むなら、CRM・データ基盤の整備が成功の鍵です。以下の記事でHubSpotを使った具体的な実践方法を解説しています。


まとめ

Di-Liteは経産省・IPA策定の「全社員がDX推進に参画するために必要な最低限の知識・スキル」を定義したフレームワーク。4つの学習領域(Why DX・Whatデータ・Whatデジタル技術・How利活用)で構成され、役職・部門に応じたレベル設計が効果的。

実践にあたっては、以下のポイントを押さえておくことが大切です。

  • DX推進の中核人材にはDSS-Pで定義される5つの類型(ビジネスアーキテクト・デザイナー・データサイエンティスト・エンジニア・セキュリティ)の専門スキルが必要
  • 日立製作所は16万人の全社員DX人材化、ダイキン工業は社内大学で約1,500名のデータサイエンティストを育成
  • 教育投資はDX推進の基盤であり、ツール導入と同等かそれ以上に重要

よくある質問(FAQ)

Q1. Di-Liteは全社員が学ぶ必要がありますか?

はい、Di-Liteは「すべてのビジネスパーソン」を対象とした基礎リテラシーです。ただし全社員一律ではなく、役職・部門に応じたレベル設計が効果的です。経営層はWhy DX + How利活用、一般社員(事務系)はWhy DX + Whatデータを中心に学ぶなど、対象者別にカリキュラムを設計します。

Q2. DX人材育成にかかる期間と費用は?

Level 1(全社員基礎)のeラーニングは約20時間で、Udemy Business等を活用すれば1人あたり月額数千円程度です。Level 2(部門DXリーダー候補)は約60時間、Level 3(DXスペシャリスト)は約120時間が目安です。日立製作所は16万人規模で実施しており、中小企業でも規模に応じた設計で取り組めます。

Q3. ITパスポートやG検定の取得は必要ですか?

必須ではありませんが、客観的なスキル証明として有効です。特にG検定(ジェネラリスト検定)はAI・データサイエンスの基礎知識を体系的に学べるため、DX人材育成のマイルストーンとして活用する企業が増えています。資格取得支援(試験費用補助や合格報奨金)を設けることで、学習のインセンティブにもなります。


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著者情報

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今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLink 代表取締役。累計150社以上のHubSpotプロジェクト支援実績を持ち、Claude CodeやHubSpotを軸にしたAI活用支援・経営基盤AXのコンサルティング事業を展開。
HubSpotのトップパートナー企業や大手人材グループにて、エンタープライズCRM戦略策定・AI戦略ディレクションを経験した後、StartLinkを創業。現在はCRM×AIエージェントによる経営管理支援を専門とする。