BtoB広告のROI測定方法|ROAS・CPAの計算式とアトリビューション設計

  • 2026年3月3日
  • 最終更新: 2026年10月11日
この記事の結論

「広告からの問い合わせは把握できる。でも、その広告が商談や受注にどうつながったかは説明できない」 BtoB広告の費用対効果を判断するには、広告の流入元から商談・受注までを同じ案件としてたどれるか確認します。ROI・ROAS・CPAは、それぞれ費用と成果の捉え方が異なります。計算式を選ぶ前に、判断したい成果、対応づける費用、集計期間を決めてください。

ブログ目次

「広告からの問い合わせは把握できる。でも、その広告が商談や受注にどうつながったかは説明できない」


BtoB広告の費用対効果を判断するには、広告の流入元から商談・受注までを同じ案件としてたどれるか確認します。ROI・ROAS・CPAは、それぞれ費用と成果の捉え方が異なります。計算式を選ぶ前に、判断したい成果、対応づける費用、集計期間を決めてください。

受注まで確認できるなら、取引金額を広告へ対応づける方法を決めて評価します。商談までなら商談、リードまでならリード獲得を基準にします。途中で記録が途切れる場合は、その先の成果を推測せず、欠けている項目と記録方法を特定します。
一つの受注に複数の接点や担当者が関わる場合、受注額を特定の広告へ全額割り当てるかどうかで評価は変わります。接点の記録状況、配分方法、集計から外れた範囲を併せて確認しましょう。

本記事は、広告の成果を商談・受注と照らして予算を判断したい担当者と、CRMの記録を整えたい担当者に向けたものです。指標の選択、記録の点検、アトリビューション、コホート比較、改善判断の順に進めます。読み終えたら、自社の受注取引を一件たどり、現時点で使える指標と次に必要な記録を決めてください。

本記事は「BtoB広告運用の完全ガイド|8つの手法と費用対効果を最大化する戦略」シリーズの一部です。


この記事でわかること

広告費と受注を結びつける前に確認する記録と、記録の状態に応じた指標の選び方を整理します。各手順では、次の分析へ進める条件と、記録が足りない場合の対処も示します。

  • ROI・ROAS・CPAの定義と計算式 — 費用、成果、集計期間をそろえ、追跡できる段階に応じて指標を選びます
  • BtoB広告のアトリビューションの課題とモデルの選び方 — 接点と取引のつながりを確かめ、同じ取引で配分の違いを比較します
  • 費用対効果測定の5つの手順 — UTMの命名から取引との関連づけ、配分、コホート比較、投資判断まで進めます
  • 費用対効果を改善するフレームワーク — ファネルのどこで差が生じたかを確かめ、変更する施策と見直し条件を決めます
  • HubSpotを活用した費用対効果の測定方法 — 自社の環境で使える機能と、実際のレコードで確かめる項目を整理します

ROI・ROAS・CPAの定義と計算式

指標を計算する前に、対象の広告費、成果、期間を決めます。同じ指標名でも、費用に含める範囲やCVの定義が違えば、そのまま比較できません。まず「どの施策について、どの段階の成果を判断するか」を一文で書き、分子と分母に含めるデータを確認します。

主要指標の整理

費用に含める項目を検討する際は、BtoB広告の費用相場も参照し、媒体費以外に何を集計するか、自社の管理項目と照らし合わせてください。

指標 定義 計算式 活用場面
ROI(投資利益率) 投資に対する利益の割合 (売上−広告費)÷広告費(百分率で表示) 経営判断、予算策定
ROAS(広告費用対効果) 広告費に対する売上の倍率 売上÷広告費(百分率で表示) 広告運用の効率評価
CPA(顧客獲得単価) 1件のCVにかかった費用 広告費÷CV数 施策別のコスト管理
CPL(リード獲得単価) 1件のリード獲得にかかった費用 広告費÷リード数 リード獲得施策の評価
CAC(顧客獲得コスト) 1社の顧客獲得にかかった全費用 (広告費+営業費+人件費)÷新規顧客数 事業全体の効率評価

表中のROIは、売上から広告費だけを差し引く簡易計算です。売上原価や広告費以外の関連費用を含めた利益率ではありません。利益を判断する場合は、含める費用を先に定義してください。また、ROASを百分率で示す場合は、売上÷広告費の結果に100を掛けます。CPAの「CV」は問い合わせ、商談、受注のどれを指すか明記します。分母となる件数を確認できなければ計算を保留し、必要な記録を調べます。

計算例で見る指標の関係

次の数値は計算方法を示すための仮定です。広告運用の目標値や一般的な成果を示すものではありません。実務では、受注金額を対象広告へ対応づけられるか確認してから計算します。

前提条件:

  • 月間広告費: 100万円
  • 獲得リード数: 50件
  • 商談化数: 10件
  • 受注数: 3件
  • 受注合計金額: 600万円
指標 計算 結果
CPL 100万÷50件 20,000円
CPA(商談ベース) 100万÷10件 100,000円
CPA(受注ベース) 100万÷3件 333,333円
ROAS 売上÷広告費(百分率で表示) 広告費に対する売上の割合を確認
ROI (売上−広告費)÷広告費(百分率で表示) 広告費に対する利益の割合を確認

この仮定で受注合計金額の全額を対象広告に対応づけるなら、ROASは600万円÷100万円×100=600%、表の簡易ROIは(600万円−100万円)÷100万円×100=500%です。受注ベースのCPAは割り切れないため、表の結果は概算です。

ただし、別の広告や営業接点も関わる取引では、受注額を全額対応づける仮定が判断目的に合うか検討が必要です。取引ごとの接点をたどり、採用した配分ルールと対象外にした範囲を記録してから施策を比較してください。

どの指標で判断するかの分かれ目

判断したいことを先に決め、その判断に必要な記録が揃っている指標を選びます。表の指標は検討の入口です。記録が揃っていない段階で、無理に算出する必要はありません。

判断したいこと 主に見る指標 次に記録・設定すること
広告の配信設定やクリエイティブの良し悪し CPL・CPA(商談ベース) 広告バリエーションごとにUTMを分け、リード単位で流入元を残す
媒体やキャンペーンへの予算配分 ROAS・ROI 受注金額を取引データに入力し、広告ソースと紐づける
広告を含めた獲得体制全体の妥当性 CAC 営業費・人件費を含めた費用を期間ごとに集計する

広告費とリードの流入元を対応づけられるなら、CPLから確認できます。商談との関連づけも確認できれば、商談ベースのCPAへ進めます。受注額と広告接点までたどれるなら、配分ルールを添えてROASや簡易ROIを比較します。途中で記録が途切れる場合は、その段階までの指標を使い、途切れた箇所と入力担当を特定してください。比較する施策の間で費用や成果の定義を揃えられない場合は、先に集計条件を統一します。

BtoBで注意すべき点

計算式が同じでも、集計に含める取引、接点、期間によって結果は変わります。集計前に次の問いへ答えを揃えます。

  • 広告への接触と受注の時期が異なる場合、広告費と受注額をどの期間で対応づけるか
  • 一つの受注に複数の接点がある場合、成果を各接点にどう配分するか
  • 営業活動やオフライン接点の記録がない場合、レポートの対象と限界をどう示すか
  • 初回受注後の売上も評価する場合、その売上と関連費用をどこまで追跡するか

決めた定義はレポートにも記載します。対象や配分方法を後から変えた場合は、変更前後の数値をそのまま成果の増減として扱わず、同じ条件で再集計できるか確認してください。


BtoB広告のアトリビューション課題

アトリビューションは、商談や受注に至る接点へ成果をどう配分するかという考え方です。配分モデルを検討する前に、どの接点が記録され、どのコンタクトと取引に結びついているかを確認します。

主な課題

接点を整理した後の運用を検討する際は、BtoB広告運用の完全ガイドも参照してください。広告の手法を選ぶ際に、どの段階の成果を確認するかを併せて考えられます。

課題 具体例 影響
長い商談サイクル 広告クリックから受注まで6ヶ月 短期のROI測定が困難
マルチタッチポイント 広告→ブログ→ウェビナー→営業→受注 どの接点の貢献かが不明
複数の意思決定者 担当者が広告接触、決裁者は営業経由 個人単位の追跡では不十分
オフライン接点 展示会、電話、訪問営業 デジタルでは追跡不可
ダークファネル SNSでのクチコミ、社内の推薦 データに残らない影響

表の期間と接点は、課題を考えるための例です。自社の受注までの期間や、各接点の記録可否を示すものではありません。広告に接触した担当者と、取引に関連づく決裁者が異なる場合は、コンタクト単位の流入元だけで受注を広告へ割り当てられるか確認します。対応関係が不明なら、会社・取引との関連づけを調べ、その取引を集計に含める条件を決めてください。

手作業の集計が測定を難しくしている

広告のクリック・CVと商談・受注を別々に集計している場合は、何を根拠に同じ会社や案件と判断したかを残します。会社名の表記ゆれや、広告に接触した人と取引に登録された人の違いがあれば、該当レコードを確認してから結びつけます。

受注した取引を一件選び、関連するコンタクト、会社、流入元を順にたどってください。つながりを確認できれば、同じ手順をほかの取引にも適用します。確認できなければ、流入元の取得、コンタクトと会社の関連づけ、会社と取引の関連づけのどこで途切れたかを記録します。その箇所の入力方法を整えた後、対象を広げます。

測れない接点との付き合い方

SNSでのクチコミや社内での推薦など、記録されていない接点は広告の流入データだけでは評価できません。展示会や電話の情報を分析に含めたい場合は、記録する内容、入力する人、取引との結びつけ方を決めます。

  • 問い合わせ時に「当社を知ったきっかけ」を尋ね、回答を自己申告の情報として残す
  • 展示会や電話でのやり取りについて、CRMに記録する項目と担当者を決める
  • レポートと自己申告の結果が食い違う場合は、対象者、記録時点、欠損を確認してから配信を見直す

自己申告と接点の記録は取得方法が異なります。結果が食い違ったら、それぞれが把握している範囲を分けて示します。記録できない影響が残る場合は、その範囲を明記したうえで判断してください。


アトリビューションモデルの比較と選び方

アトリビューションモデルは成果の配分ルールです。同じ取引でも、含める接点と配分先によって広告の評価が変わります。最初に「入口を知りたい」「商談化に至る接点を見たい」など、評価する目的を決めます。

アトリビューションモデルの比較

次の表には配分方法に加え、検討時の目印として適性記号と特徴を載せています。記号は採用順位を表しません。特にU字型・W字型の「◎」は、自社で必要な接点が記録されていることを意味しません。表中の割合も、自社の環境で選べる設定や計算結果を示すものではありません。

モデル 貢献配分 BtoBでの適性 特徴
ラストクリック 最後の接点にすべて配分 △ 広告を過小評価しがち
ファーストクリック 最初の接点にすべて配分 △ 認知施策を過大評価しがち
線形(リニア) 全接点に均等配分 ○ シンプルで導入しやすい
減衰(タイムディケイ) 受注に近い接点ほど高評価 ○ BtoBの検討プロセスに合いやすい
U字型 最初と最後に40%ずつ、中間に20% ◎ 認知と商談化の両方を評価
W字型 最初・MQL・SQLに30%ずつ+残り ◎ BtoBファネルとの適合性を確認
データドリブン 機械学習で自動配分 ◎ データ量が必要

表の「過小評価」「過大評価」「合いやすい」は、接点の記録状況と判断目的を調べるための論点です。たとえばW字型を検討するなら、MQL・SQLの定義と発生時点を対象取引で確認します。記録がなければ、その節目への配分は比較できません。U字型でも最初・最後・中間の接点を確認できるか調べます。必要な接点が揃ったモデルだけを、同じ取引で比較してください。企業様によって最適な形は異なります。

自社に合うモデルの判断基準

次の表の「はい」「いいえ」は検討の方向です。どちらの列も、その回答だけでモデルの採用を決める条件にはなりません。各行について、必要な定義、接点、利用環境を確認します。

確認する問い 答えが「はい」の場合 答えが「いいえ」の場合
MQL・SQLの定義が社内で合意され、CRM上で区別して記録されているか W字型を選び、ファネルの節目も評価する U字型から始め、並行してMQL・SQLの定義を決める
接点の記録が揃っていて、取引ごとに複数の接点が残っているか 線形・減衰との比較もしながら評価する ファーストクリックで「どの広告が入口になったか」だけを先に把握する
十分な量の受注データが蓄積しているか データドリブンへの移行を検討する ルールベースのモデル(U字型・W字型)を継続する

MQL・SQLを記録していても、その節目を評価する目的がなければW字型を選ぶ理由にはなりません。定義がない場合にU字型を使うにも、必要な接点を確認できることが前提です。データドリブンも、受注件数だけで利用可否を判断せず、自社の環境で選べるか、必要な記録が揃っているかを確認します。

条件を満たすモデルが複数ある場合は、同じ取引・期間・成果を対象に配分の違いを比べます。どの接点の評価が変わり、それが予算判断を変えるのかを確認してください。必要な記録が足りない場合は、確認できる入口や商談の範囲で評価を続けます。

段階的に移行する進め方

接点の記録が揃っていない段階では、確認できる範囲から始め、次の条件を満たしたら評価を広げます。

  1. 入口を確認する: 流入元から広告が入口となったリードを調べます。不明な流入元があれば、UTMの命名と取得状況を確かめます
  2. 節目を確認する: MQL・SQLを評価したい場合は、定義と記録方法を営業とマーケティングで揃え、対象取引で実際に節目をたどれるか確かめます
  3. 配分を比較する: 必要な接点と取引の対応関係が確認でき、利用環境でもモデルを選べる場合に、同じ対象と期間で結果を比べます

比較結果が変わっても、それだけで施策の成果が変化したとは判断しません。モデル、対象、期間、変更日を残し、配分の違いによるものか、記録や対象の変更によるものかを確認してください。


正確なROI測定の実践手順(前半):データの土台をつくる

分析の前に、広告の流入元を識別するルールと、リードを商談・受注へ対応づける方法を決めます。広告URLの設定だけで済ませず、実際のレコードに値が残るところまで確認します。

手順1: UTMパラメータを全広告に統一ルールで付与する

命名ルールを決める際は、マーケティングROI測定の実践ガイドも参照し、成果と費用の集計条件を現在使っている広告URLと照合してください。

広告URLのUTMパラメータは、同じ媒体・施策を同じ名称で識別するために使います。URLに付けた値がどの項目へ記録されるかは、自社の設定と流入レコードで確認します。トラッキングURLの設定を調べる際は、Create tracking URLs(HubSpotナレッジベース)を参照できます。

UTM設計の推奨ルール:

パラメータ 用途 例
utm_source 広告プラットフォーム google, linkedin, meta
utm_medium 広告種類 cpc, social, display
utm_campaign キャンペーン名 2026q1_crm_whitepaper
utm_content 広告バリエーション banner_a, text_b
utm_term キーワード(検索広告) crm_comparison

表の値は命名例です。出稿前に既存URLとの表記を照合し、出稿後は流入したレコードに意図した値が残るかを確認します。値がなければ取得設定を調べ、別の表記で残っていれば命名ルールと既存データの扱いを決めます。比較対象の広告を同じルールで識別できるようになったら、集計へ進みます。

手順2: CRMで広告ソースからの全ファネルを追跡する

広告接触から受注まで、各段階で必要な情報を確認します。表のステージや管理先は確認用の例です。自社で使うステージとレコードの関係に置き換えてください。

ステージ 記録する情報 ツール
広告クリック UTMパラメータ、クリック日時 Google/LinkedIn Ads
リード獲得 フォーム送信、ソース情報 HubSpot
MQL認定 スコアリング結果、認定日時 HubSpot
SQL認定 営業担当の評価、認定日時 HubSpot
商談 商談金額、ステージ、予測受注日 HubSpot
受注 受注金額、受注日 HubSpot

一件の受注取引で、コンタクトとの関連づけ、流入元、受注金額、受注日をたどります。途中でつながらなければ、どのレコードのどの項目が欠けているかを記録します。請求や継続取引も評価に含めるなら、それらを対象取引にどう対応づけるかを別途決めてから集計範囲を広げてください。

入力漏れを人ではなく仕組みで防ぐ

必要な項目が決まったら、いつ、誰が、どのレコードを更新するかを業務の手順に組み込みます。

  • 取引ステージを進める際に確認する項目を決める
  • 受注後に金額や受注日を修正する場合の担当者と確認方法を決める
  • レポートで使う項目の入力ルールを共有し、欠損があれば集計前に確認する

入力漏れは、根拠を確認して修正できる記録と、確認できない記録に分けます。後者は推測で埋めず、対象外にする条件と件数の示し方を決めます。必要項目の取得方法と欠損の扱いをレポート上で説明できるようになったら、次の集計へ進みます。


正確なROI測定の実践手順(後半):分析と投資判断につなげる

流入元と取引を対応づけられたら、成果の配分方法と比較する時点を決めます。集計値を見る際は、欠損と評価途中の取引も一緒に確認します。

手順3: アトリビューションモデルを選択・適用する

コンタクトの獲得、商談、受注のどれを成果とするかを先に決めます。次に、成果に至る接点が取引と対応づいているかを確認し、利用できる配分方法を調べます。表の適性記号やモデル名だけでは採用を決めません。

レポートには、成果の種類、モデル、対象取引、期間、記録されていない接点の扱いを記載します。複数モデルで結果が異なる場合は、同じ取引のどの接点への配分が変わったかを見ます。必要な接点が欠けていれば配分比較を保留し、確認できる入口や商談の評価を続けながら記録を整えます。

手順4: コホート分析で時間軸のROIを測定する

広告接触と受注の時期が異なる場合は、同じ時期に獲得したリードをまとめ、その後の受注を追います。次の表は比較の形を示す仮定です。期間、金額、ROIは自社の目安や期待値を示しません。

広告投資月 広告費 3ヶ月後受注 6ヶ月後受注 12ヶ月後受注 最終ROI
2025年1月 100万 100万 300万 500万 400%
2025年2月 100万 80万 250万 450万 350%
2025年3月 120万 120万 350万 600万 400%

表のROIは、例示した受注額を投資月の広告費に対応づけ、広告費だけを差し引く簡易計算です。実際には、リードをどの時点のコホートへ入れるか、複数の広告に接した取引をどう扱うかを先に決めます。

比較するときは、同じ経過時点のコホートだけを並べます。評価途中の取引は区別し、差が記録漏れや集計条件の変更から生じていないかを確認します。条件を揃えられない場合は、その差を施策の成果と解釈せず、比較できる範囲を示してください。

手順5: 定期レポートで投資判断に活用する

定期レポートには、数値とともに対象、期間、成果の定義、配分方法を載せます。計算できない項目は値を補わず、不足している記録を示します。

レポートに含めるべき項目:

  • 施策別のCPL・CPA・ROAS・ROI
  • ファネル転換率(リード→MQL→SQL→受注)
  • アトリビューション分析結果
  • コホート別のROI推移
  • 前期比・予算比の差異分析

すべての項目を同時に計算する必要はありません。受注まで対応づけられない施策では、算出できる指標と算出できない理由を分けます。前期比や予算比を見る前にも、対象と定義が揃っているかを確認してください。

以下の画面は、HubSpotのレポートで商談をクローズ日別に集計し、色分けして表示したテーブルの例です。

HubSpotレポート「クローズ日別 商談分析(色分け)」のテーブル

会議では、継続・変更・追加調査のどれを選んだかを残します。変更するなら対象施策と確認する指標を決め、追加調査なら不足する記録と確認担当を決めます。次回は同じ対象と定義で見直し、条件が変わった場合はその変更を明示します。


ROI改善の実践フレームワーク

改善策を選ぶ前に、広告費、リード、商談、受注のどの段階で差が生じたかを調べます。以下の表の「期待効果」は検証したい方向を示すもので、施策を実行した結果を保証しません。比較対象と確認する指標を決め、変更後は同じ定義で見直します。

分子(売上)を増やす施策

施策 具体的アクション 期待効果
リードの質の向上 ターゲティングの精緻化、除外キーワードの強化 商談化率の向上
ナーチャリングの強化 MA活用でMQL→SQLの転換率改善 商談数の増加
営業との連携強化 インテントデータの共有、即時フォロー体制 受注率の向上
LTVの最大化 アップセル・クロスセル施策 顧客あたり売上の向上

リードに対して商談が少ないなら、まず商談化の定義と対象リードを確認します。定義が揃っていて差が続く場合は、流入元や広告の訴求と、営業が受け取ったリードの内容を照合します。商談は生まれているのに受注につながらないなら、失注理由と商談記録を確認し、広告の対象や説明を変える根拠があるか判断します。継続・追加取引を見る場合は、初回受注と別に対象売上と費用の範囲を決めます。

分母(広告費)を減らす施策

施策 具体的アクション 期待効果
無駄クリックの削減 除外キーワード、配信時間帯最適化 CPC・CPLの改善
LP最適化 A/Bテスト、フォーム改善 CVRの向上
入札戦略の最適化 自動入札→手動入札のチューニング CPC・CPAの改善
低パフォーマンス施策の停止 ROIが低い施策の予算を移行 全体効率の向上

費用を見直す前に、その広告がどのリードや商談につながっているかを確かめます。表の施策は、成果への影響を調べるための選択肢です。受注まで評価途中の施策は、現時点の簡易ROIだけで停止を決めず、同じ経過時点のコホートと記録済みの商談を確認します。変更する場合は、対象施策と確認する指標を決め、変更後も同じ定義で見直してください。

どちらから手をつけるかの判断

次の表は調査の入口です。「着手する方向」や「最初の一手」は、記録と定義を確認した後に検討する案として扱います。見えている状態だけで原因や施策を確定しません。

ファネルで見える状態 着手する方向 最初の一手
CPLが高く、リード数自体が足りない 分母(広告費) 除外キーワードとLPのフォームを見直す
リードは集まるが、MQL・SQLへの転換が低い 分子(売上) ターゲティングとナーチャリングを見直す
商談は生まれるが、受注率が低い 分子(売上) 営業との連携と失注理由の分析を進める
受注はあるが、継続・追加取引が少ない 分子(売上) 既存顧客へのアップセル・クロスセル施策を検討する

CPLが高く見えても、流入元が不明なリードが集計から外れていれば、先に対象を確認する必要があります。MQL・SQLの定義が担当者によって違えば、転換率だけで広告を変える判断はできません。定義と記録を確認できたら、変更する施策を一つに絞り、変更前と同じ対象・経過時点で結果を見直します。差が確認できなければ、施策を重ねて変える前に対象と記録の条件を再点検してください。

失注理由を広告改善に戻す

広告経由の商談に失注理由が記録されていれば、対象や訴求を見直す手掛かりになります。

「時期」が挙がれば、広告が届いた相手の検討段階を確かめます。「価格」が挙がれば、広告で伝えた内容と商談時の説明にずれがないかを調べます。同じ理由でも商談内容は異なり得るため、理由の分類だけで原因を決めず、対象の商談を確認します。広告を変更した場合は、どの失注理由や商談内容に変化があるかを次回の確認項目にしてください。


HubSpotを活用したROI測定

HubSpotを利用している場合は、自社の画面とレコードで、広告に関する情報、コンタクト、取引をどこまで対応づけられるか確認します。利用可能な機能やレポートを確かめ、その範囲で集計条件を決めてください。

広告管理ツール

Google・Meta・LinkedIn広告のデータを扱う場合は、自社で必要な広告アカウントの連携状況を確認します。次に、広告で得たコンタクトから取引までを実際のレコードでたどり、対応づけられないものを分けます。

媒体側とCRM側の値を比較するときは、CVの定義、対象期間、集計に含むレコードを揃えます。値に差があれば、先に定義と記録状況を確認してください。同じ対象を比較できると分かってから、配信や導線を見直すか判断します。

アトリビューションレポート

アトリビューションレポートを使う場合は、自社の環境で選べる成果の種類、モデル、集計条件を確認します。設定を調べる際の参照先は、Create attribution reports(HubSpotナレッジベース)です。

比較したいモデルの名称には、次のものがあります。自社の環境で選択できるか、どの接点へどう配分されるかは、実際の設定で確認してください。

  • ファーストタッチ
  • ラストタッチ
  • 線形
  • U字型
  • W字型
  • フルパス

コンタクトの獲得、取引の作成、収益のどれを判断したいかを先に決めます。目的に合うレポートが利用できれば、対象レコードと配分条件を確認し、表示額をその条件での結果として読み取ります。必要な接点が欠けていれば、欠損を示し、比較できる範囲を決めてください。

クローズドループ分析

広告の流入元から受注までを分析するには、コンタクトと取引の関連づけ、受注金額、受注日を確認します。流入元が不明なコンタクトや関連づけのない取引は、広告ごとの成果に含める前に扱いを決めます。

まず一件の受注取引をたどり、必要な記録が揃っているか確認してください。揃っていれば同じ条件で対象を広げます。欠けていれば、その項目、記録する人、確認する時点を決めます。レポートには、対応づけられた範囲と評価できない接点を示しましょう。

HubSpotで実現するBtoB広告のROI測定方法

広告データから取引までの確認方法を検討する際は、「HubSpotの広告管理機能|Facebook・Google広告のROI計測・リード追跡を一元化する方法」も参照してください。広告とコンタクトの記録をどこで確認するかを整理し、自社で利用できる機能を確かめたうえで、広告、コンタクト、取引の順にたどります。対応づけられる範囲で指標を計算し、対応づけられない取引は別に示して、次に整える記録を決めてください。


よくある質問

Q1. ROIとROASは何が違いますか?

ROASは広告費に対する売上の割合です。本文の表にあるROIは、売上から広告費だけを差し引く簡易計算です。どちらも、先に受注額を広告へどう対応づけるか決める必要があります。実際の利益を判断する場合は、売上原価や広告費以外の関連費用を含める範囲を定義してください。受注と広告の対応を確認できないなら、商談やリードの指標から始めます。

Q2. BtoBに適したアトリビューションモデルはどれですか?

企業様によって最適な形は異なります。まず、入口となった広告を知りたいのか、商談・受注に至る接点へ成果を配分したいのかを決めます。次に、必要な接点が記録され、利用環境でモデルを選べるかを確認してください。表の適性記号は採用順位ではありません。同じ取引を対象に配分の違いを確かめ、予算判断に使う理由を説明できるモデルを選びます。記録が足りない場合は、確認できる入口や商談から評価します。

Q3. 商談サイクルが長く当月のROIが判断できません。どう測ればよいですか?

同じ時期に獲得したリードをコホートとしてまとめ、その後の商談・受注を追います。月別表の期間は比較方法を示す仮定であり、受注までの目安ではありません。コホートを比べる際は同じ経過時点を選び、評価途中の取引を区別します。広告費と取引の対応方法が定まっていなければ、先に流入元と取引の記録を確認し、対応づけられる範囲から比較してください。

Q4. 広告効果を正確に測るために最初にやるべきことは何ですか?

出稿中の広告URLとUTMの命名ルールを確認し、実際の流入レコードに値が残っているか照合します。続いて受注取引を一件選び、コンタクトとの関連づけ、受注金額、受注日をたどります。確認できれば同じ方法で対象を広げます。途中で途切れた場合は、欠けている項目と入力担当を決めてから集計範囲を広げてください。


まとめ

BtoB広告の費用対効果は、次の順に確認します。

  1. 指標の対象を決める: 広告費、成果、CV、期間を定義します
  2. 流入元と取引をたどる: UTM、コンタクト、取引、受注金額と日付を確認します
  3. 配分方法を決める: 記録された接点と判断目的に合うモデルを比較します
  4. 時間軸を揃える: コホートを同じ経過時点で比べ、評価途中の取引を区別します
  5. 判断と見直し条件を残す: 欠損を示し、変更する施策または次に整える記録を決めます

最初の作業は、受注した取引を一件選び、関連するコンタクトと広告の流入元をたどることです。対応関係を確認できれば同じ方法で対象を広げます。確認できなければ、途切れた項目と入力方法を特定します。その結果に応じて、受注まで評価するか、商談やリードの指標から始めるかを決めてください。

  1. 現在出稿中の広告URLを一覧にし、UTMパラメータの命名ルールと実際の記録を照合します
  2. 取引に受注金額・受注日が入力され、コンタクト・会社と関連づいているかを見直します
  3. 対応づけられる範囲で月別コホートを作り、配分方法と評価途中の案件を添えて予算会議で検討します

広告のROI測定やアトリビューション分析にお悩みの方は、StartLinkにご相談ください。貴社の広告運用データに基づいた正確なROI測定と改善戦略をご提案いたします。

CRMを活用した業務効率化やAIとの連携に関するご相談は、StartLinkまでお気軽にお問い合わせください。


あわせて読みたい

このテーマと関連する内容を、次の記事でも詳しく解説しています。

このテーマに関連する記事はWeb広告・ABMカテゴリで網羅的にまとめています。

記事の内容を、そのまま実務に落とし込みたい方向け

HubSpotゴールドパートナーのStartLinkが、HubSpot導入・AI活用・CRM整備・業務効率化までをまとめて支援しています。記事で気になったテーマを、そのまま相談ベースで整理できます。

記事の内容を、そのまま実務に落とし込みたい方向け


株式会社StartLinkは、事業推進に関わる「販売促進」「DXによる業務効率化(ERP/CRM/SFA/MAの導入)」などのご相談を受け付けております。 サービスのプランについてのご相談/お見積もり依頼や、ノウハウのお問い合わせについては、無料のお問い合わせページより、お気軽にご連絡くださいませ。

サービス資料を無料DL

著者情報

7-1

今枝 / Imaeda

株式会社StartLink 代表取締役。累計150社以上のHubSpotプロジェクト支援実績を持ち、Claude CodeやHubSpotを軸にしたAI活用支援・経営基盤AXのコンサルティング事業を展開。
HubSpotのトップパートナー企業や大手人材グループにて、エンタープライズCRM戦略策定・AI戦略ディレクションを経験した後、StartLinkを創業。現在はCRM×AIエージェントによる経営管理支援を専門とする。