マーケティングと営業の連携を強化する方法|SLA設計からツール活用まで

この記事の結論

この点についてはマーケティング部門の立ち上げ方が参考になります。

ブログ目次

記事の内容を、そのまま実務に落とし込みたい方向け

HubSpot導入、AI活用、CRM整備、業務効率化までをまとめて支援しています。記事で気になったテーマを、そのまま相談ベースで整理できます。


マーケティングと営業の連携が崩れる5つの根本原因。SLA(サービスレベルアグリーメント)の設計フレームワーク。

「マーケが獲得したリードを営業がフォローしない」「営業から見るとマーケのリードは質が低い」――BtoB企業で最も頻繁に聞かれる部門間の軋轢です。マーケティングと営業の連携不全は、リードの無駄、商談機会の損失、そして売上目標の未達に直結します。

マーケティングと営業の連携が崩れる5つの原因に取り組む企業が増えていますが、具体的な進め方で迷うケースは少なくありません。

この問題の根本原因は、両部門の間に「共通言語」と「明確なルール」がないことにあります。MQLの定義が曖昧なまま、リードを営業に引き渡しても、営業は優先度を判断できません。逆に、営業がフォロー結果をマーケにフィードバックしなければ、リードの質は改善されません。

本記事では、マーケティングと営業の連携を構造的に強化するためのSLA(サービスレベルアグリーメント)設計の方法、MQL定義の合意形成プロセス、情報共有の仕組み、そしてCRM/MAツールを活用した連携基盤の構築まで、実践的なステップを解説します。

本記事は「BtoBマーケティングのKPI設計ガイド|フェーズ別の具体例と管理テンプレート」シリーズの一部です。


この記事でわかること

  • マーケティングと営業の連携が崩れる5つの根本原因 — 少人数でも成果を出せる体制づくりのポイントを実践的に解説します。
  • SLA(サービスレベルアグリーメント)の設計フレームワーク — 自社の状況に合わせた戦略の組み立て方を、フレームワークとともにお伝えします。
  • MQL/SQLの定義を両部門で合意する具体的な手順 — さらに深掘りしたい方はMA・CRM・SFAの違いと連携設計もあわせてお読みください。
  • リード引き渡しからフォローまでの業務フローの設計方法 — 1. リードがMQLスコアに到達する
  • CRM/MAツールを活用した情報共有の仕組み — HubSpotを利用すると、CRM・MA・営業支援が一つのプラットフォームで統合されているため、マーケと営業のデータが自然に繋がります。
  • 連携を持続させるための定例会議の運用方法 — - MQL提供数はSLA目標を達成したか

マーケティング・営業・CRMの取り組みを検討されている方に、


マーケティングと営業の連携が崩れる5つの原因

よくある対立構造

この点についてはマーケティング部門の立ち上げ方が参考になります。

マーケティング側の不満 営業側の不満
せっかく獲得したリードがフォローされない マーケのリードは質が低く、時間の無駄
営業からのフィードバックがない MQLの定義が曖昧で優先順位がつけられない
成果がパイプラインに反映されない マーケは数ばかり追いかけて売上を見ていない
営業の顧客情報がCRMに入力されない マーケはリードを投げるだけで伴走しない

5つの根本原因

  1. MQL/SQLの定義が曖昧: 何をもって「マーケティングが認定したリード」とするかが不明確
  2. SLAが存在しない: リード引き渡し後のフォロー期限や方法が決まっていない
  3. KPIが分断されている: マーケは「リード数」、営業は「売上」と別々のゴールを追っている
  4. 情報共有の仕組みがない: CRMにデータが集約されておらず、双方が別のツールで管理している
  5. 定期的なコミュニケーションの場がない: 月次の振り返りや改善協議の場が設けられていない

SLA設計のフレームワーク

SLAとは

詳細はBtoBマーケティングのKPI設計ガイドをご覧ください。

SLA(Service Level Agreement)とは、マーケティング部門と営業部門の間で交わす「サービス品質の約束」です。具体的には、マーケティングが営業に提供するリードの質と量、営業がリードをフォローする速度と方法を明文化した合意書です。

SLAに含めるべき項目

項目 マーケティングのコミットメント 営業のコミットメント
リード量 月間○件のMQLを提供する 受け取ったMQLの100%をフォローする
リード品質 定義されたスコアリング基準を満たすリードのみ引き渡す フォロー結果を5営業日以内にCRMに記録する
フォロー速度 リード情報を即時にCRMに登録する MQL受領後24〜48時間以内に初回コンタクトする
フィードバック 四半期ごとにMQL品質レポートを提出する 不適格リードの理由をCRMに記録する
共通KPI パイプライン貢献金額を報告する マーケ起点案件の受注率を報告する

SLA策定の5ステップ

ステップ1: 現状データの収集

過去6〜12ヶ月のリードデータを分析し、現在のMQL→SQL転換率、フォロー率、受注率を把握します。

ステップ2: 共通目標の設定

売上目標から逆算し、マーケティングが提供すべきMQL数と、営業が達成すべき受注数を算出します。

ステップ3: MQL/SQLの定義合意

後述するMQL定義の合意プロセスを実施します。

ステップ4: SLA文書の作成

上記の各項目について、具体的な数値目標と運用ルールを文書化します。

ステップ5: 運用開始と定期レビュー

月次でSLAの達成状況を確認し、四半期ごとに基準の見直しを行います。


MQL/SQLの定義を合意する手順

リードステージの整理

さらに深掘りしたい方はMA・CRM・SFAの違いと連携設計もあわせてお読みください。

まず、リードのライフサイクルステージを定義します。

ステージ 定義 管理責任
Raw Lead 情報を取得しただけの未分類リード マーケティング
MQL(Marketing Qualified Lead) マーケティングが設定した基準を満たしたリード マーケティング
SAL(Sales Accepted Lead) 営業が受け取り、フォロー対象として受け入れたリード 営業
SQL(Sales Qualified Lead) 営業がヒアリングの結果、商談化の見込みがあると判断したリード 営業
Opportunity 具体的な商談として進行中の案件 営業

MQL定義の合意プロセス

ステップ1: ワークショップの開催

マーケティング責任者と営業責任者(+現場の代表者)が参加するワークショップを開催します。

ステップ2: 過去の成約顧客の分析

過去12ヶ月の成約顧客を分析し、共通する属性と行動パターンを抽出します。

ステップ3: スコアリング基準の策定

スコアリング要素 配点例 判定基準
企業規模(従業員数) 0〜20点 100名以上: 20点 / 50〜99名: 10点 / 49名以下: 0点
役職 0〜20点 部長以上: 20点 / 課長: 10点 / 一般: 5点
業種 0〜15点 ターゲット業種: 15点 / 準ターゲット: 8点
Web行動(ページ閲覧) 0〜20点 料金ページ: 20点 / 事例ページ: 10点
コンテンツDL 0〜15点 導入ガイド: 15点 / ホワイトペーパー: 8点
イベント参加 0〜10点 製品デモ: 10点 / ウェビナー: 5点

MQL閾値の設定例: 合計スコア60点以上をMQLとする

ステップ4: テスト運用と調整

2〜3ヶ月のテスト運用を行い、営業のフィードバックを基にスコアリング基準を調整します。


リード引き渡しフローの設計

理想的なフロー

  1. リードがMQLスコアに到達する
  2. CRM/MAツールが自動で営業にアラート通知を送信する
  3. 営業が24時間以内にCRMでリード情報を確認する
  4. 営業が48時間以内に初回コンタクト(メールまたは電話)を実施する
  5. 営業がフォロー結果をCRMに記録する(SAL承認 or リサイクル)
  6. SAL承認後、ヒアリングを実施しSQL判定を行う

7. 不適格の場合は「リサイクル」としてマーケティングのナーチャリングリストに戻す

リサイクルの仕組み

営業が「今すぐではない」と判断したリードを捨てるのではなく、マーケティングのナーチャリングリストに戻す仕組みが重要です。

リサイクル理由 マーケティングのアクション
タイミングが合わない 定期的なメールナーチャリングを継続
予算がない ROI事例のコンテンツを配信
決裁者ではない 決裁者向けコンテンツに誘導
情報収集段階 教育コンテンツで育成を継続

CRM/MAツールを活用した連携基盤

ツールに求められる機能

機能 用途 連携のポイント
リードスコアリング MQL判定の自動化 マーケ・営業で基準を共同設定
ライフサイクルステージ管理 リードの進捗可視化 ステージ変更を自動で通知
タスク自動割り当て フォロー漏れの防止 MQL到達時に営業に自動タスク生成
共通ダッシュボード ファネル全体の可視化 マーケ・営業が同じ画面を見る
フィードバック記録 リサイクル・不適格の記録 構造化された入力フォーム

HubSpotでの連携設計のポイント

HubSpotを利用すると、CRM・MA・営業支援が一つのプラットフォームで統合されているため、マーケと営業のデータが自然に繋がります。リードスコアリング、ライフサイクルステージ、ワークフローによる自動通知、共通ダッシュボードなど、連携に必要な機能が標準で備わっています。


連携を持続させるための定例会議

推奨ミーティング体制

会議 頻度 参加者 アジェンダ
ファネルレビュー 週次 マーケ担当+営業担当 今週のMQL/SQL数、フォロー状況
SLAレビュー 月次 マーケ責任者+営業責任者 SLA達成状況、MQL品質の評価
戦略すり合わせ 四半期 経営+マーケ+営業 KPI見直し、MQL定義の調整

月次SLAレビューのチェック項目

  • MQL提供数はSLA目標を達成したか
  • 営業のフォロー率は100%か
  • 初回コンタクトは48時間以内に実施されたか
  • MQL→SQL転換率は目標を達成しているか
  • リサイクルリードの理由に偏りはないか
  • SLAの基準に修正が必要な項目はないか

HubSpotで実現するマーケティングと営業の連携を強化する方法

マーケティングと営業の連携を強化する方法を実務に落とし込むには、CRMツールの活用が不可欠です。詳しくは「HubSpot目標(Goals)機能の設定方法|営業・マーケ・CSのKPI目標管理と進捗トラッキング」で解説しています。


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まとめ

  • マーケティングと営業の連携強化は、SLAの策定、MQL/SQLの定義合意、リード引き渡しフローの設計、そして定期的なコミュニケーションの4つの柱で成り立ちます
  • どれか一つが欠けても、連携は形骸化してしまいます
  • 特に重要なのは、両部門が「パイプライン金額」と「受注率」という共通KPIを持ち、同じダッシュボードで進捗を確認する体制を作ることです
  • 個別のKPI(マーケはリード数、営業は受注数)だけでなく、共通のゴールを持つことで、部門間の利害対立を構造的に解消できます

HubSpotのようなCRM/MAプラットフォームを活用すれば、リードスコアリングからSLA管理、共通ダッシュボードまで一つのツールで完結できます。StartLinkでは、SLA設計やMQL定義のワークショップから、HubSpotを活用した連携基盤の構築まで、マーケ・営業連携の強化を一貫して支援しています。お気軽にご相談ください。


よくある質問(FAQ)

Q1. マーケティングと営業の連携を強化する方法とは何ですか?

マーケティングと営業の連携を強化する方法とは、企業の業務効率化や成果向上を目的とした取り組み・手法のことです。本記事で解説している通り、適切な設計と運用が成功の鍵となります。導入前に自社の課題を明確にし、段階的に取り組むことが推奨されます。

Q2. マーケティングと営業の連携が崩れる5つの原因で最も重要なポイントは何ですか?

最も重要なのは、明確な目標設定とKPIの定義です。ゴールが曖昧なまま施策を進めると、効果測定ができず改善サイクルが回りません。まず「何を達成したいか」を具体的な数値で定義し、そこから逆算して施策を設計することが成功への近道です。

Q3. マーケティングと営業の連携を強化する方法を始める際の最初のステップは?

最初のステップは現状分析です。自社の課題を洗い出し、優先順位をつけたうえで、最もインパクトの大きい領域から着手します。いきなり全体を変えようとせず、小さく始めて成功体験を積み重ねるアプローチが効果的です。HubSpotなどのツールを活用すれば、データに基づいた意思決定が可能になります。

このテーマに関連する記事はマーケティング組織・KPIカテゴリで網羅的にまとめています。


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著者情報

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今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLink 代表取締役。累計150社以上のHubSpotプロジェクト支援実績を持ち、Claude CodeやHubSpotを軸にしたAI活用支援・経営基盤AXのコンサルティング事業を展開。
HubSpotのトップパートナー企業や大手人材グループにて、エンタープライズCRM戦略策定・AI戦略ディレクションを経験した後、StartLinkを創業。現在はCRM×AIエージェントによる経営管理支援を専門とする。