経営管理とは、経営目標を達成するためにヒト・モノ・カネ・情報を計画的に配分し、実行状況を確かめながら改善を繰り返すマネジメント活動の総称です。担当者の頑張りだけに頼らず、判断に使う数字と振り返りの手順を共有することが要になります。
数字を集める方法と、その数字を使って誰が何を決めるのかを整理します。
「経営管理」は経営企画、財務、人事、業績管理などにまたがる言葉です。経営管理を自社の業務に落とし込むには、まず扱う領域を分け、現在の判断を妨げている箇所から整えると考えやすくなります。
本記事では、経営管理を経営企画・財務会計・人事組織・業績管理・リスク管理の5領域に整理します。そのうえで、優先する領域の選び方、数字を判断につなげる手順、CRMを活用する場合の役割分担を解説します。
本記事はStartLinkの「経営管理DX完全ガイド」関連記事です。
この記事でわかること
経営者や管理部門の担当者が、経営管理の全体像をつかみ、自社でどこから仕組みを整えるかを判断できるよう、次の内容を整理しています。
- 経営管理の定義・目的と、実務上の位置づけ — 目標、資源配分、リスクへの備えをどのように一つの判断につなげるかを説明します。
- 経営管理を構成する5つの業務領域 — 各領域の役割を確認し、いま起きている困りごとから優先順位を決める方法を示します。
- 経営管理・経営企画・管理会計・内部統制の違いと関係性 — それぞれの守備範囲を整理し、社内で判断者と資料の準備担当を決める際の見方を紹介します。
- 経営管理が機能しない原因と、仕組み化の進め方 — データの分散、作業の属人化、振り返りの不足を点検し、ダッシュボードやCRMを使う段階を説明します。
経営管理の定義と目的
経営管理は、経営の「計画」「実行」「振り返り」をひとつながりで扱う活動です。この節では、次を順に確認します。
- 何を管理するのか
- 何のために管理するのか
- 担当者が替わっても判断を続けるには何を決めておくべきか
経営管理の定義
経営管理とは、企業の経営目標を実現するために、経営資源の配分・組織の運営・業績の確認を一体的に行うマネジメント活動です。
ポイントは「一体的に」という部分です。予算を立てる人、数字を集計する人、人員配置を決める人が異なっていても、同じ目標と同じ前提を使って判断できる状態を目指します。
たとえば売上目標を見直すなら、見込み案件の状況だけで決めず、対応できる人員や資金の状況も併せて確認します。
必要な数字の定義と更新担当を先に決めておけば、会議では集計方法の確認よりも判断そのものに時間を使えます。
経営管理の3つの目的
経営管理の目的は、次のように整理できます。
| 目的 |
内容 |
| 経営目標の達成 |
売上・利益・成長率など定量目標の実現 |
| 経営資源の最適配分 |
ヒト・モノ・カネ・情報を最も効果的に使う |
| リスクの最小化 |
環境変化や内部不正に対する備え |
まず、現在の経営会議で決めていることを表の目的に当てはめます。
- 目標の達成状況は話していても、人員や資金の配分を決めていなければ ── 配分を扱う議題と判断者を加えます。
- リスクへの備えが議題に上がらない場合 ── 事業の継続に影響する事項を誰が確認するか決めます。
目的を並べるだけで終えず、各議題について「どの数字を見て、誰が、何を決めるか」まで書き出すことが次の一歩です。
「数値管理」だけでなく「仕組み」として捉える
数字を一覧にしても、次のような場合があります。
- 集計条件が担当者によって異なる ── 判断の土台は揃いません。
- 数字が揃っていても、差が出たときの対応を決める場がない ── 改善にはつながりません。
StartLinkでは、この「仕組み」を、特定の担当者がいなくても同じ数字が同じタイミングで出てくる状態だと考えています。そのために、次を決めます。
- データの置き場所
- 計算方法
- 更新担当
- 確認する会議
- 差が出たときの判断者
最初からすべての数字を揃える必要はありません。会議で実際に判断に使っている数字を一つ選び、別の担当者も同じ手順で出せるか確かめます。再現できなければ、ツールの導入より先に集計の前提を記録します。
経営管理に含まれる5つの業務領域
経営管理は、経営企画・財務会計・人事組織・業績管理・リスク管理の5領域に整理できます。この節では、それぞれが何を決める領域かを確認したうえで、自社の困りごとから着手順を選ぶ方法を説明します。
方向と資源を決める領域:経営企画・財務会計
1. 経営企画・戦略管理
中長期の事業計画、市場の見方、新規事業の検討など、企業の方向性を決める領域です。
- 計画を作る際 ── 目標だけでなく、優先する事業と見直す条件も決めます。
- 前提が変わったとき ── 実績や市場の状況が当初の前提と異なったときに、どの会議で計画を見直すかまで定めると、計画を判断に使いやすくなります。
2. 財務・会計管理
資金繰り、予算、決算、経営判断に使う会計情報を扱う領域です。
- 財務会計と管理会計 ── 過去の取引を記録する財務会計の数字と、これからの配分を決めるために見る管理会計の数字は、用途を分けて考えます。
- 資金の状況が判断を左右するなら ── まず確認する数字、締め日、会議で使える日を揃えます。
人と成果を動かす領域:人事組織・業績管理
3. 人事・組織管理
採用、育成、評価、組織設計、労務管理を扱う領域です。
- 事業計画に対して ── 必要な役割を挙げ、現在の体制で担えるかを確認します。
- 担えない役割があれば ── 採用、育成、役割の変更のどれで対応するかを検討します。
4. 業績管理・KPIモニタリング
計画と実績を比べ、差が生じた理由と次の行動を決める領域です。
- KPIを増やす前に ── 会議で何を判断するかを定め、その判断に必要な指標を選びます。
- CRMやダッシュボードを使う場合も ── 指標の定義と対象期間を揃えることから始めます。
変化に備える領域:リスク管理
5. リスク管理・コンプライアンス
業務上の不正や誤りへの備え、法令への対応、事業を継続するための手順などを扱う領域です。
- 何が起きたら ── 誰が確認し、どの判断を止めるかを決めておくと、問題が起きた際の対応を進めやすくなります。
- ほかの領域で決めた計画や運用を守るために ── 担当と確認方法を明確にします。
自社で優先する領域を見極める
5領域を一度に整えようとする前に、現在の経営判断を妨げていることを挙げます。次の表を使い、困りごとに対応する領域と、最初に決める事項を確認してください。
| いま起きていること |
優先する領域 |
最初に決めること |
| 数か月先の資金繰りが読めない |
財務・会計管理 |
月次で締める数字と締め日 |
| 売上の見込みが担当者ごとにばらつく |
業績管理・KPIモニタリング |
見込みを記録する場所と定義 |
| 採用・離職が事業拡大の制約になっている |
人事・組織管理 |
採用計画と評価の基準 |
| 事業の方向性について経営陣の認識が揃わない |
経営企画・戦略管理 |
中長期の目標と優先順位 |
複数に当てはまる場合は、「その判断に必要な数字が出せるか」を先に確かめます。
- 数字の定義や集計手順が揃っていなければ ── 業績管理や財務会計から着手する方法があります。
- 数字は揃っているのに優先する事業を決められないなら ── 経営企画の議論を先に進めます。
着手する領域を決めたら、その領域で次の会議に持ち込む数字と決める事項を一つずつ指定します。
経営管理と類似概念の違い
経営企画・管理会計・内部統制は、経営管理と重なる部分があります。この節では各用語の守備範囲を整理し、自社で担当が決まっていない仕事を見つける方法を説明します。
4つの概念の守備範囲
社内で同じ言葉を異なる意味で使っていないか、次の表で確認できます。
| 用語(英語) |
範囲 |
主な担い手 |
| 経営管理(Management Control) |
企業全体の資源配分・業績管理 |
経営企画、CFO |
| 経営企画(Corporate Planning) |
中長期戦略の立案・新規事業 |
経営企画部 |
| 管理会計(Management Accounting) |
内部意思決定のための会計情報 |
経理・FP&A |
| 内部統制(Internal Control) |
業務プロセスの適正性確保 |
内部監査、管理部門 |
経営管理はすべてを包含する上位概念
経営管理は、経営企画・管理会計・内部統制を含め、目標に向けて資源を配分し、実行状況を確かめる仕組み全体として捉えられます。
- 経営企画 ── 方向を考えます。
- 管理会計 ── 判断に使う数字を用意します。
- 内部統制 ── 業務の進め方を支えます。
経営管理では、これらを別々の成果物で終わらせず、同じ判断につなぎます。たとえば投資を検討するなら、計画上の優先順位、採算を見るための数字、承認の手順を併せて確認します。
担い手がいない領域を見つける
表の「主な担い手」を自社の部署名や担当者名に置き換えます。次に、各機能について次の役割を書き分けます。
- 判断する人
- 数字や資料を用意する人
- 内容を確かめる人
担当が空欄になった仕事は、まず既存の役割に割り当てられるか検討します。担当を決めたら、次の会議で何を提出し、そこで何を決めるかまで定めます。
資料が作られても判断に使われなければ、提出する数字や会議の議題を見直します。
経営管理が機能しない3つの原因
経営会議で使う数字について、次を確認します。
- どこから取っているか
- 担当者以外も同じ手順で集計できるか
- 計画との差を次の行動に変えているか
この節では、データの分散、作業の属人化、振り返りの不足について、点検する順序と次に進む条件を示します。
課題1:経営データが分散している
売上、顧客、会計、人事のデータを別々に管理している場合、すべてを一か所へ移す前に、経営会議で使う数字の出所を確認します。同じ顧客や案件が複数のファイルにあるなら、どれを更新元とするかを決めます。
まず会議資料の指標を一つ選び、次の4点を書き出します。
元データを特定でき、別の担当者も同じ結果を出せるようになったら、ほかの指標にも対象を広げます。
課題2:属人化している
「この数字は特定の担当者しか出せない」という場合、ツールの設定だけでなく、その人が行っている判断も記録する必要があります。
担当者の作業を次のように分けて書き出します。
- どこからデータを取るか
- どの条件で計算するか
- 例外をどう扱うか
- いつ誰に出すか
その手順を別の担当者に試してもらい、迷った箇所を補います。手順を再現できるようになってから、繰り返し行う集計を自動化するか判断します。
課題3:PDCAが回っていない
計画と実績を並べても、差の理由や次の対応を決めなければ、振り返りは報告で止まります。
会議では、次の順に進めます。
- 対象期間と数字の定義を確認する
- 差が生じた箇所を特定する
- 対応する人、行うこと、次に確かめる数字を決める
次回の会議で前回の対応を確認できるようになれば、指標や分析の範囲を広げる段階です。
経営管理を仕組みにする3つの実務ポイント
課題が見つかったら、次を進めます。
- 判断に使う数字を見えるようにする
- その数字の作り方を揃える
- 必要に応じて営業活動の情報と結びつける
この節では、ダッシュボード、管理会計、CRMをそれぞれ何の判断に使うかを説明します。
ポイント1:経営ダッシュボードを構築する
ダッシュボードに載せる指標は、会議で決めることから選びます。受注目標との差を議論するなら、目標と実績について次の集計条件を揃えます。
設計の考え方は経営ダッシュボードの作り方でも解説しています。
以下は、レポート画面を使って目標と実績を確認する際の参考画像です。
画面に表示する指標を決めるときは、比較条件と、差が出た場合に取る行動を併せて定めます。
次の画像は、目標と実績を確認するレポート画面の参考画像です。

- 会議で使ってみて、数字の意味を説明できない場合 ── 定義を見直します。
- 数字は読めても次の行動を決められない場合 ── その指標を載せる目的を確かめます。
- 会議の判断に使える状態になったら ── 表示する指標を追加するか検討します。
ポイント2:管理会計を導入する
管理会計では、経営判断に合わせて数字を見る単位を決めます。財務会計との違いは管理会計と財務会計の違いで解説しています。
「その数字で何を決めるか」から集計の粒度を選びます。たとえば次のようになります。
- 事業部ごとの資源配分を決めたい ── 部門別で見ます。
- 案件を受けるか判断したい ── プロジェクト別で見ます。
選んだ単位で必要な費用や売上を対応付けられるか確認し、対応付けが難しい項目は配分方法を決めてから比較します。比較結果を会議で使えるようになったら、対象とする部門や案件を広げます。
ポイント3:CRMで顧客データと経営指標を接続する
商談の進み具合と経営上の数字を併せて見たい場合は、まず両者で共通に使う次を決めます。
CRMに記録した商談数や受注の状況をレポートで確認し、必要な財務データと照らし合わせる方法があります。扱えるデータや表示方法は、利用するCRMや契約内容、設定によって異なります。
CRMは会計ソフトの代わりではありません。仕訳や決算は会計ソフトで行い、CRMでは商談や受注に至る情報を扱う、という役割分担から考えます。
まず一つの判断に必要なデータが揃うか確かめ、揃わない場合は入力項目と照合の手順を見直します。
CRMを起点に経営数値を一気通貫でつなぐ
営業の数字を経営判断に使うには、顧客や案件の情報がどの段階で記録され、どの数字に反映されるかを追えることが必要です。
この節では、次を説明します。
- データの流れ
- 見込みの定義
- 失注の振り返り
- 運用を広げる順番
コンタクトから請求までを一本のフローで捉える
HubSpotでは、コンタクト(人)・会社・取引・チケットなどのデータを関連付けて管理できます。この関連付けを使い、経営判断に必要な顧客と案件のつながりを確認します。
データの流れは、次のように整理できます。
| 段階 |
CRMで扱うデータ |
経営管理での使い道 |
| コンタクト・会社 |
見込み顧客の情報・接点 |
顧客セグメント別の分析 |
| 取引 |
商談のステージ・金額・クローズ日 |
売上見込み・予実管理 |
| 顧客 |
受注後の顧客情報 |
継続・追加取引の把握 |
| 請求 |
請求・入金の状況 |
会計データとの突き合わせ |
表を自社の業務に当てはめて、次の順に進めます。
- 各段階の情報をどこで管理しているかを書き込む
- 経営会議で確認したい数字について、どの段階の情報が必要かをたどる
- 対応する顧客や案件を特定できない場合は、照合に使う項目と更新担当を先に決める
どこまでをCRMで持ち、どこから会計ソフトに任せるかは、自社の請求の流れに合わせて設計してください。
パイプライン設計で「見込み」を経営数値にする
売上の見込みが担当者ごとに異なる場合は、商談が次の段階に進んだと判断する条件を確認します。パイプラインでは、取引ステージ、受注確度、ステージ定義、必須入力項目を整理します。
| 要素 |
設計の考え方 |
| 取引ステージ |
受注の可能性が変わるポイントでステージを区切ります |
| 受注確度 |
ステージごとに受注確度を設定し、金額に掛けた見込みでフォーキャストを見ます |
| ステージ定義 |
「どの状態になったら次のステージか」を言葉で定義し、社内で共有します |
| 必須入力項目 |
ステージを進めるときに入力が必要な項目を決め、データの品質を保ちます |
見込みを揃えるときは、次の順で進めます。
- 担当者によって判断が分かれるステージを選び、次へ進める条件を言葉にする
- その条件を確認するために必要な項目だけを入力対象にする
- 実際の商談に当てはめて、担当者間で判断が揃えば、見込みの集計に使う
判断が分かれるなら、確度を調整する前にステージの定義を見直します。
必須入力項目は、商談の進捗判断やレポートで使う情報に絞ります。入力されても参照されない項目は、必要性と入力する段階を見直します。
失注分析を次の計画に戻す
失注分析では、理由を数える前に、担当者が同じ基準で理由を記録できるかを確かめます。理由が曖昧なままでは、内訳を見ても次の行動を決めにくいためです。
以下は、失注に関するレポート画面を確認する際の参考画像です。集計を見るときは、次を揃えます。
次の画像は、失注に関するレポート画面の参考画像です。

内訳を確認したら、目立つ理由について案件の記録を読み、次のどこを見直すか決めます。
理由だけでは判断できない場合は、案件に残す情報を見直します。対応を決めたら、次の会議でその対応を実施したか確認し、分析が打ち手につながっているかを確かめます。
スモールスタートで段階的に広げる
最初は、会議で判断に使う指標を選び、同じ条件で継続して確認できるようにします。受注目標や受注件数など、現在の記録から確認できる指標を起点にできます。
- 取引のパイプラインを作り、受注目標と実績をダッシュボードで並べる
- 経営会議で対象期間と集計条件を確認し、予実の差について次の行動を決める
- 前回決めた行動を振り返れるようになったら、失注理由や担当者別の推移など分析の項目を足す
各段階で、数字を見て誰が何を決めたかを確認します。判断に使えていなければ、指標を増やす前に定義や会議の議題を見直します。
初期設定の進め方はHubSpot初期設定・オンボーディング完全マニュアル、予実管理の設定はHubSpotで予実管理を自動化!KPIダッシュボードの設定方法と活用術で解説しています。
経営管理に必要なスキルセット
経営管理では、数字を読み、事業上の選択肢を考え、関係者と判断を揃え、情報を扱う力が必要です。この節ではスキルを4領域に分け、人が担う判断と、手順やツールで支える作業をどう分けるか説明します。
4つのスキル領域
必要な能力を確認する際は、次の表を使えます。
| スキル領域 |
具体的な能力 |
| 数値分析力 |
財務諸表の読解、KPI設計、予実差異分析 |
| 戦略思考力 |
中長期視点での課題設定、シナリオプランニング |
| コミュニケーション力 |
経営層への報告、部門間の調整、会議ファシリテーション |
| ITリテラシー |
BIツール、クラウド会計、CRM、ダッシュボード構築 |
スキルを人に背負わせすぎない
まず、表の各領域について、社内の誰がどの仕事を担っているかを書き出します。数字を集める人と、その数字を使って判断する人が異なる場合は、数字の定義と確認方法を共有します。
不足している領域が見つかったら、採用や外部支援を検討する前に、仕事を次に分けます。
たとえば集計手順を共有できれば、担当者は数字を作る作業と差の理由を考える作業を分担できます。分担後も判断が止まる箇所があれば、そこで必要なスキルの育成や支援を検討します。
Excelからの脱却をスキル習得の入口にする
Excelで集計している場合は、まず現在の数式や加工手順を確認します。そこには、自社で使っている指標の定義が含まれていることがあります。
別のツールへ移す際は、次を書き出し、移行後も同じ意味の数字を出せるか比べます。
比較して差が出たら、元データと集計条件を確認します。数字の意味を引き継げるようになってから、手作業を置き換える範囲を決めます。
連携の範囲や更新のタイミングは、利用するツールや設定に合わせて確認します。
経営管理の未来:AIとデータ活用
AIの活用を考える際も、出発点は経営判断に使うデータの定義です。この節では、AIに任せる作業の選び方、結果を人が確かめる手順、CRMに蓄積した情報を判断材料として使う条件を整理します。
AIが担う作業をどう選ぶか
まず、現在の業務を「データを集める」「整理する」「差を見つける」「対応を決める」に分けます。整理や下書きにAIを使う場合は、入力するデータの出所と、出力を確認する担当者を決めます。
同じ指標が複数のファイルで異なる定義になっているなら、AIの利用範囲を広げる前に定義を揃えます。担当者が元データと照らして結果を確認できる状態になったら、対象とする作業を広げるか判断します。
AIに任せる範囲と人が判断する範囲
作業と判断を分ける際は、次の表を参考にできます。
| AIに任せやすい作業 |
人が判断する事項 |
| 大量の取引・顧客レコードの要約 |
KPIの定義と優先順位 |
| データの分類・表記ゆれの整理 |
経営資源の配分の意思決定 |
| 予実の差や異常値の検知 |
大型案件への対応方針 |
| 予算や報告資料の下書き作成 |
経営会議での打ち手の決定 |
AIの出力を会議で使うときは、まず対象データと集計条件を示し、次に担当者が元データと突き合わせます。
差異や分類の理由を説明できない結果は、そのまま判断材料にせず、確認できた範囲を明らかにします。資源配分や社外への伝達は、確認した情報をもとに人が決めます。
CRMを核にした経営管理体制
CRMにある顧客や商談の情報を経営管理に使うなら、どの判断にどの情報が必要かを先に決めます。次のどちらを見たいのかによって、必要な入力項目と集計方法は変わります。
別に管理する財務データと照らし合わせる場合は、次を揃えます。
照合できないものがあれば、入力の方法や管理する場所を見直します。
実務への落とし込み方は「CRM導入の進め方完全ガイド|準備・ツール選定・データ移行・定着化の全ステップ」でも解説しています。
よくある質問
Q1. 経営管理は中小企業でも取り組むべきですか?
取り組む範囲を自社の判断課題に合わせて決めることができます。まず、経営者や担当者が不在でも会議に必要な数字を出せるか確認してください。出せない数字があれば、その定義、元データ、集計手順を共有することから始めます。手順を共有できたら、その数字を使って決めることと判断者を定めます。
Q2. 経営管理と経営企画の違いは何ですか?
経営企画は、中長期の事業方針や優先順位を考える機能です。経営管理は、その方針に沿って資源を配分し、実行状況を確認して判断を見直す仕組み全体を指します。自社で役割を分ける際は、計画を作る担当に加え、必要な数字を用意する担当と、計画の見直しを決める担当も明確にします。
Q3. 経営管理を強化するために、まず何から始めればよいですか?
最初に、経営会議で決めたいことを一つ選びます。その判断に必要な数字について、元データ、定義、更新担当を確認してください。数字を同じ条件で出せるなら、目標と実績を並べて差を話し合います。数字が揃わない場合は、ダッシュボードを作る前に集計手順を整えます。
Q4. Excelでの経営管理を続けてもよいのでしょうか?
関わる人が少なく、数字を集める元のファイルが1つで済んでいるうちは、Excelでも運用できます。複数の担当者が同じ情報を別々のファイルで更新している、会議資料のたびに転記しているといった場合は、更新元と集計手順を確認します。移行を検討するなら、Excelの計算ルールを書き出し、移行後の数字と照らし合わせてから運用を切り替えます。
まとめ
経営管理とは、ヒト・モノ・カネ・情報の配分と実行状況の確認を一体的に行う活動です。
本記事では、経営企画・財務会計・人事組織・業績管理・リスク管理の5領域と、経営企画・管理会計・内部統制との関係を整理しました。実務では、次の順序で進めます。
- 経営会議で決めたいことを挙げ、判断を妨げている領域を選ぶ
- 判断に必要な数字の元データ、定義、更新担当を揃える
- 目標と実績を同じ条件で比べ、差の理由と次の行動を決める
- 前回決めた行動を振り返れるようになったら、分析する指標や対象を広げる
CRMやダッシュボードを使う場合も、この順序に沿って、まず会議で使う数字から設計します。
- 数字を再現できなければ ── 集計手順に戻ります。
- 数字は揃っていても行動を決められなければ ── 議題や判断者を見直します。
企業様によって最適な形は異なります。
CRMを活用した業務効率化やAIとの連携に関するご相談は、StartLinkまでお気軽にお問い合わせください。
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経営管理の体制づくり、計画の立て方、予実管理の設定、CRM導入の手順をさらに確認したい方は、次の記事もご覧ください。
本記事は経営リーダーシップカテゴリに属しています。