知識を集める目的から決めることが、使われるナレッジ基盤をつくる出発点です。
「社内Wikiに資料を置いたのに、必要なときに見つからない」「担当者が替わるたびに、同じ説明をやり直している」——知識を残す場所はあっても、日々の仕事につながっていないと感じることがあります。
ナレッジマネジメント戦略とは、事業上の課題に対して、どの知識を、誰が、どの場面で使えるようにするかを決める方針です。ツールの選定に入る前に、知識の使い道と更新する役割を定めます。資料が足りないのか、探せないのか、読んでも判断できないのかを分ければ、整備する内容も選びやすくなります。
この記事でわかること
知識の共有を経営課題や日々の業務につなげたい方に向けて、対象業務の選定、知識の棚卸し、共有方法の選択、運用の見直しまでを順に解説します。各段階で何を確かめ、結果によって次に何を変えるかも示します。
- 戦略の起点 — 困っている業務を選び、知識を使う場面と期待する行動を明確にします。
- 知識資産の棚卸し — 文書がない問題と、文書はあるのに見つからない問題を分けます。
- 共有方法の選び方 — 文書で伝えられる内容と、対話で判断の背景を確かめる内容を分けます。
- 運用の設計 — 収集、整理、共有、活用、更新の各段階に担当者と見直し条件を結びつけます。
- AIとCRMとの接続 — 参照元の確認と、顧客ごとの経緯から共通知識へたどる方法を考えます。
読み終えたら、知識が見つからずに困っている業務を一つ選び、「誰が、何を判断するために探すか」を書き出してみてください。実際に止まった場面を起点にすると、最初に整える知識と更新担当を決められます。
ナレッジマネジメント戦略を経営課題から考える
資料を保存する場所が増えても、現場で同じ質問や手戻りが続くなら、保管先だけを整えても業務は変わりません。最初に、知識を使って改善したい業務を選び、その業務で判断が止まる場面を特定します。
たとえば「引き継ぎがうまくいかない」という課題でも、状況によって着手点が異なります。
過去の対応記録が存在しない場合と、記録はあるのに次の担当者が見つけられない場合では、着手点が異なります。記録を見つけても対応を決められないなら、当時の判断理由や適用条件を確かめます。
課題名だけで対策を決めず、止まった場面で不足したものを確認してください。
ツール導入だけでは使い道が決まらない
社内Wikiを導入する前に、「誰が何を登録するか」「利用者はどの場面で探すか」を決めます。CRMについても、顧客情報の入力先だけでなく、担当者がどの記録を使って次の対応を判断するかまで確認します。
- 担当者の交代時に顧客対応が滞る ── 一般的な業務説明に加え、顧客とのやり取り、過去の判断理由、次に確認する事項が必要です
- 同じ問い合わせへの回答が担当者ごとに異なる ── 共通の回答、適用できる条件、内容の確認者を先に定めます
対象業務を決めたら、利用者に普段の探し方で情報へたどってもらいます。
- 見つからない ── 参照経路を見直します
- 見つかっても回答を選べない ── 内容を見直します
この確認を経てから、必要な登録項目や保管先を決めると、ツールに何を求めるかが具体的になります。
文書化と対話を使い分ける
ナレッジマネジメントの戦略には、知識を文書やデータベースに残す「コディフィケーション」と、人と人のやり取りで伝える「パーソナライゼーション」があります。繰り返し使う手順は文書から、状況によって結論が変わる判断は前提条件の記録と対話から始めます。
| アプローチ |
コディフィケーション戦略 |
パーソナライゼーション戦略 |
| 重点 |
知識の文書化・データベース化 |
人と人のつながりを通じた知識共有 |
| 主な手段 |
社内Wiki、FAQ、マニュアル |
メンタリング、CoP(実践コミュニティ)、1on1 |
| 向いている企業 |
定型業務が多い、大規模組織 |
創造的業務が多い、コンサルティング |
| 投資比率の目安 |
IT基盤への投資が中心になる |
人材育成や対話の場への投資が中心になる |
| 代表企業 |
アンダーセン・コンサルティング(当時) |
マッキンゼー |
この表は企業全体を片方に分類するためではなく、共有したい知識ごとに方法を選ぶための整理です。
- 回答が定まっている問い合わせ ── FAQに回答と適用条件を記し、利用者が該当する回答を選べるか確かめます
- 提案内容を変えた理由のように文脈が重要なもの ── 結論と判断条件を記録したうえで、担当者同士が背景を確認できる場も設けます
対話で同じ説明が繰り返されるなら、その共通部分を文書へ戻します。一方、文書の条件に当てはまらない相談が続くなら、回答を増やす前に、どこから個別判断に切り替えるかを明示します。
知識資産を棚卸しして優先領域を決める
棚卸しでは、ファイルの一覧だけでなく、知識を必要とする業務、利用者、見つからないときの対応を一緒に記録します。優先するのは資料の多い領域ではなく、知識を使えないことで業務が止まっている領域です。
- 対応が止まった場面を選ぶ ── 利用者が探した情報と探した場所を確認します
- 所在を調べる ── その情報が文書にあるか、人の判断に残っているかを調べます
- 対応を選ぶ ── 所在が分かったら、作成、探し方の改善、判断理由の記録のどれが必要かを選びます
次の図は、知識の所在と業務の困りごとから整備対象を決める流れを示します。所在を確認した後、文書の作成、探し方の改善、判断理由の記録のどれに進むかを選ぶ際に使ってください。

形式知と暗黙知を分けて見る
- 形式知 ── マニュアルや報告書のように文書で確認できる知識です
- 暗黙知 ── 担当者が経験をもとに行っている判断など、まだ十分に文書化されていない知識です
次の分類マトリクスを使い、業務に必要な知識がどこにあるかを確認します。
|
形式知(文書化済み) |
暗黙知(未文書化) |
| コア知識(競争優位の源泉) |
特許、独自ノウハウ文書 |
ベテランの判断力、営業の交渉術 |
| 先進知識(将来の競争力) |
研究レポート、技術論文 |
市場の先読み力、技術トレンドの直感 |
| 基盤知識(業務遂行の前提) |
業務マニュアル、規程 |
社内の暗黙の業務ルール |
まず、担当者が不在でも参照できる文書があるかを確かめます。文書があるのに使われていないなら、利用者が実際に使った検索語と、文書の題名・分類を比べます。
- 検索で見つからない ── 題名や分類を直します
- 見つかっても業務中に開けない ── 参照する場所を見直します
文書がなく、担当者に尋ねないと業務が進まないなら、過去の対応を一緒にたどります。次の点を聞き取り、結論とともに記録します。
- 判断する前に何を確認したか
- どの条件で結論を選んだか
- 条件に当てはまらないとき誰に相談したか
別の担当者がその記録から次の行動を選べるなら共有を進め、迷うなら抜けている前提や相談条件を補います。
状況ごとに判断条件が変わる業務では、文書に一律の結論を置かず、確認項目と相談先を示します。知識の分類は、すべてを書き起こすためではなく、文書だけで扱える範囲を見極めるために使います。
業務の困りごとから対象を絞る
対象を選ぶときは、現場で何が起きているかを確認します。
- 情報を探す時間
- 同じ作業の繰り返し
- 担当者交代時の引き継ぎ
- 判断や回答のばらつき
困りごとを一つ選んだら、「使う人」「使う場面」「探す情報」「現在の保管先」「見つからないときの対応」を記録します。
- 同じ問い合わせへの回答を繰り返し作っている ── 共通の回答と適用条件を整理します
- 引き継ぎで過去の経緯が分からなくなる ── 結論に加えて判断理由と参照した資料を残します
どちらも当てはまる場合は、対応が止まった場面に戻り、次の担当者が先に必要とする情報から整えます。
整備する知識が決まらない場合は、広いテーマを選ぶ前に、直近の具体的な対応をたどってください。誰がどの判断で止まったかを説明できれば、必要な資料と確認者を決める段階へ進めます。
目標と共有方法を業務に合わせて設計する
対象を決めたら、「何ができるようになれば役立ったと言えるか」を利用者の行動で表します。業務効率、属人化への対応、品質向上、部門間の共有という目標だけでは、必要な知識の形を選べません。利用場面を決めてから、記録の内容と確認方法を設計します。
判断する際は、次の順に確かめます。
- 見つけられる
- 内容の適用条件を説明できる
- 次の行動を選べる
途中で止まった段階によって、検索方法、記録内容、相談の流れのどれを直すかが分かれます。
目標を利用場面に結びつける
情報検索が課題なら、資料の登録量ではなく、利用者が必要な情報へたどり着き、次の行動を選べるかを確かめます。
- 実際に使う言葉で探す ── 題名から内容を判断できるかを見ます
- 見つからなかった質問を残す ── 分類や題名を直した後、同じ探し方で再確認します
担当者交代が課題なら、引き継いだ人が資料を見て、過去の対応と次に確認する事項を説明できるかを確かめます。
- 説明できない ── 抜けているやり取りや判断理由を特定します
- 説明できても実際の対応に迷う ── 担当者へ確認を戻す条件を追記します
目標を定めるときには、利用者、判断場面、期待する行動、確認方法を一緒に書きます。
たとえば「引き継いだ担当者が、顧客の記録と共通手順を参照し、次に確認する事項を説明できる」という形です。
確認できる行動にすると、資料を増やすべきか、参照経路を直すべきかを選べます。
文書にする範囲と対話で伝える範囲を決める
手順や回答が安定している業務は、文書から着手できます。顧客の状況や案件の背景によって判断が変わる業務では、完成した提案書だけでなく、何を確認して結論を選んだかも残します。共通の確認項目は文書にし、個別の判断はその前提とともに記録します。
文書を読んでも次の行動を選べない場合は、どこで迷ったかを持ち寄って話し合います。
- 同じ判断基準を繰り返し説明している ── 文書に反映します
- 判断の前提が案件ごとに異なる ── 一つの回答へまとめず、確認すべき条件と相談先を示します
文書と対話の境界を確かめるには、対象業務を知らない担当者に記録を読んでもらいます。記録だけで進められる部分は共有し、個別の事情を確認しないと進められない部分は相談に切り替えます。相談で明らかになった共通の判断条件は、内容の確認者を通して文書へ反映してください。
推進体制と更新の流れをつくる
知識を使う場面が決まったら、内容を確認し、更新する役割を割り当てます。次の役割を明確にします。
- 経営上の目的を決める人
- 業務上の正しさを判断する人
- 利用時の困りごとを集める人
兼務か専任かを決める前に、修正依頼がどこへ届き、誰の確認を経て反映されるかを確かめます。資料ごとに、利用者からの連絡先、内容の確認者、反映する担当者が分かる状態にします。
変更が提案されても確認者が決まらないなら、その資料を広く利用する前に責任の所在を決めます。
役割を業務上の責任として割り当てる
推進体制には、KM責任者、各部門の実務担当者、現場で共有を促す人、ツールを支えるIT部門といった役割があります。役職名をそろえることより、優先領域を決める人、内容を確認する人、探しにくさを集める人を決めることが先です。
顧客対応の回答を整えるなら、役割は次のように分かれます。
- 現場 ── 不足している質問を集めます
- 内容に責任を持つ担当者 ── 回答と適用条件を確認します
- 管理担当者 ── 参照先を整えます
利用者が古い回答を見つけたときの連絡先も示します。
意見が分かれた場合は、回答文だけを調整する前に、想定している顧客の状況や適用条件が同じかを確かめます。
- 条件が違う ── 回答を使い分けます
- 同じ条件でも結論が分かれる ── 内容の確認者が判断します
その判断を記録できてから共有範囲を広げます。
収集から更新までを一つの流れにする
基本の流れは「収集→整理→共有→活用→更新」です。
商談の振り返りで得た知見を収集したら、次に使う人が探せる題名と説明を付け、共有します。次の提案で参照されたときに不足が見つかれば、内容の確認者へ戻して更新します。
更新時には、どの資料のどの条件が実態と合わなかったかを利用者から受け取ります。
確認者が修正内容を決めたら、利用者が現行の内容を選べるようにします。古い説明が残っていて区別できない場合は、参照方法を整えてから利用を広げてください。
ツールを選ぶ際は、次の点を確認します。
- 利用者が業務の途中で参照できるか
- 更新担当が古い情報を見分けられるか
- 参照してよい範囲を扱えるか
使う場面で開けないなら参照経路を、現行の内容を選べないなら更新の表示方法を見直します。
選定の観点はナレッジマネジメントツール比較でも扱っています。
実名事例を戦略設計にどう生かすか
実名事例を見るときは、企業名やツール名を自社に当てはめる前に、解こうとした業務課題と共有した知識を確認します。以下では、検索と再利用、共有の動機、部門間の接続という設計上の論点に分けます。個別の取り組みや成果を判断材料に使う際は、各社が公開している情報で確認してください。
事例を読む際は、次の点を並べて考えます。
- どの場面で使う知識か
- 利用者は何を判断するか
- 自社では同じ前提が成り立つか
前提が異なる場合は仕組みをそのまま採り入れず、自社で起きている困りごとに戻って対象を選びます。
デロイト トーマツの事例から考える検索と再利用
過去のプロジェクト知見を次の案件で参照する取り組みを考える際は、蓄積された資料が必要な場面で見つかり、使えるかを分けて確認します。
自社では、案件の着手時に担当者が何を探し、見つけた資料のどの部分を判断に使うかを聞き取ります。
- 資料を見つけられない ── 題名や分類、内容の説明を見直します
- 見つけても使えない ── 当時の前提や判断理由が残っているかを確認します
過去の結論を別の案件にも使えるか迷う場合は、共通する条件と異なる条件を確認し、担当者に相談する場面を決めます。
アクセンチュアの事例から考える共有の動機
アクセンチュアの「Knowledge Exchange」のような知識共有の仕組みを検討する際は、登録する人が業務のどの段階で何を残すかに注目します。
自社では、案件や対応の終了時に、次の担当者が再利用する結論と判断理由を残せるかを確かめます。
- 記録が続かない ── 入力する内容が多すぎないか、記録する場面が業務の流れに合っているかを見直します
- 記録は残っても利用者が判断に迷う ── 登録量を増やす前に、欠けている前提条件を利用者から集めます
その条件を記録項目へ反映し、次の担当者が使えるか確かめます。
日立製作所の事例から考える部門間の接続
部門を越えた知識共有を考える際は、別部門の人が資料の用途を理解し、必要なら担当者へ相談できるかを確認します。
まず、部門間の相談が起きる業務を選び、共有する資料の専門用語、対象業務、問い合わせ先を見ます。
- 別部門の人が用途を判断できない ── 資料を増やす前に説明を加えます
- 用途は分かっても内容を適用できない ── どの条件で使えるかと相談先を示します
説明を加えた後は、実際に使う部門の担当者に資料を読んでもらい、相談が必要な場面まで判断できるかを確かめます。
AIとCRMをナレッジ戦略につなげる
AIで知識を探す前に、参照先ごとに内容の確認者と更新手順を決めます。提示された内容が顧客の状況に合うか、参照先が現行の内容かを担当者が確認してから業務判断に使います。
顧客への回答を想定するなら、共通の説明と顧客固有の経緯を分けて確認します。
共通の説明だけで判断できない場合に、どの記録をたどり、誰が最終的に確かめるかまで設計してください。
AIが参照する知識を整える
AIに文書の検索や要約を任せるなら、資料の対象業務、内容の確認者、利用できる条件を分かるようにします。似た題名の資料が並ぶ場合は、現行の内容を選べるか確認します。判断が分かれる知識は、結論だけでなく前提条件も残します。
AIの提示内容を確認するときは、次の順に進めます。
- 参照元を開く ── 資料の対象と適用条件を読みます
- 状況を照らす ── 実際の顧客や案件の状況がその条件に当てはまるかを確かめます
参照元を特定できないなら元資料を探し、元資料にも判断基準がなければ、内容の確認者へ戻して基準を記録します。この確認を実務で行える状態になってから、回答への活用範囲を決めます。
AIナレッジ共有では、AIが参照する知識の整え方と、回答を人が確認する流れを考える際の論点を扱っています。
顧客対応の流れの中でCRMと結びつける
顧客対応では、共通のFAQだけでなく、顧客ごとの経緯が判断に必要なことがあります。問い合わせの背景、商談で確認した事項、取引後の対応について、次の担当者がどの記録からたどるかを決めます。コンタクトから取引、顧客対応、請求へと業務が進むなかで、参照する人と場面を確かめます。
- 顧客ごとの経緯 ── 顧客の記録からたどれるようにします
- 共通の手順や設計資料 ── 内容の確認と更新ができる保管先を決めます
引き継ぎの場面で、担当者に顧客の記録から必要な共通資料を探してもらいます。たどり着けないなら参照先を示し、たどり着いても判断できないなら顧客固有の経緯か共通手順のどちらが不足しているかを確認します。
HubSpotで進行中のプロジェクトの詳細設計や議事録をNotionで管理している場合は、担当者が必要な資料へたどる経路を確認します。StartLinkのSync for Notionは、プロジェクトの記録と設計資料の参照を考える際の選択肢です。
利用を検討する際は、HubSpotマーケットプレイスの掲載ページで現在の対応内容を確認し、自社の運用に合うかを判断してください。
ナレッジ戦略を使い続けるために見直すこと
戦略を見直す材料は、利用者が探せなかった情報と、読んでも判断できなかった資料です。保存量だけで評価せず、選んだ業務の中で知識を見つけ、使い、必要な修正を戻せるかを確かめます。
確認は実際の業務場面に沿って行い、止まった段階に応じて見直す箇所が変わります。
| 止まった場面 |
見直す箇所 |
| 利用者が参照を試みなかった |
使う場面と場所 |
| 探しても見つからなかった |
題名や分類 |
| 読んでも判断できなかった |
適用条件や判断理由 |
| 修正依頼が届いても反映されない |
更新する役割と確認の流れ |
利用できなかった理由を記録する
資料が見つからないときは、知識が存在しないのか、存在するのに探せないのかを分けます。
- 存在しない ── 作成担当を決めます
- 存在するのに探せない ── 利用者が使った言葉と資料の題名・分類を比べて直します
- 見つかったのに使えない ── 適用条件や判断理由を確認します
利用者からは「何を探したか」「どこで止まったか」「何を判断できなかったか」を集めます。
修正後は、同じ場面で別の担当者が資料を見つけ、次の行動を選べるかを確かめます。まだ迷うなら、説明の追加が必要なのか、人へ相談する条件を示すべきなのかを判断します。
- 修正内容を決める際 ── 困った場面と資料の対応箇所を結びつけます
- 個別の相談だけで解決した場合 ── 共通の説明に反映すべき条件が見つかったなら確認者へ戻します
利用者の困りごとが更新につながって初めて、次の利用場面で再確認できます。
小さな対象で確かめてから広げる
対象を広げる前に、選んだ業務で知識が参照されているかを確認します。
- 参照されない ── 利用場面が明確か、業務中に開ける場所にあるかを見直します
- 参照されても判断が進まない ── 前提条件や判断理由を補います
- 修正依頼が更新担当へ届かない ── 連絡経路を整えます
利用者が資料を使って行動を選び、不足を更新へ戻せるようになったら、似た課題を持つ別の業務を検討します。
その際は、利用者と判断場面を改めて確認します。企業様によって最適な形は異なります。選んだ業務で確かめた結果をもとに、記録する内容と共有方法を調整してください。
よくある質問
ナレッジマネジメント戦略は何から始めればよいですか?
知識が使えないことで困っている業務を一つ選び、誰がどの判断で止まったかを確認します。その場面で探した情報が存在しないなら作成する内容と担当者を、存在するのに見つからないなら題名や分類を決めます。見つけても判断できないなら、適用条件や判断理由を調べてください。
文書化と対話による共有は、どちらを選ぶべきですか?
繰り返し参照する手順や共通の回答は、文書化から始めます。状況によって判断が変わる知識は、結論と前提を残し、判断の背景を話せる場も設けます。文書を読んだ人が次の行動を選べるなら共有を進め、迷う箇所があれば対話で確認して、共通する条件を文書に反映します。
KM責任者は専任で置くべきですか?
まず、対象業務の優先順位を決める人、内容を確認する人、修正依頼を受ける人を明確にします。兼務で進める場合も、利用者が古い情報を見つけたときに誰へ連絡するかを示します。依頼が届いても判断の行き先が曖昧なら、担当の割り当てを見直してから共有範囲を広げてください。
AIを使う前に何を整えるべきですか?
参照させる資料の内容の確認者、利用できる条件、更新時の扱いを決めます。古い資料と現行の資料を区別できないなら、先に整理します。AIが示した回答を業務で使う際は、人が参照元を開き、資料の条件と実際の状況を照らし合わせられるかを確認してください。
CRMとナレッジはどのように結びつけますか?
顧客ごとのやり取りや判断の経緯を、該当する顧客の記録からたどれるようにします。共通の手順や回答は更新担当を決め、顧客対応中に参照できる経路を用意します。引き継ぎで不足しがちな情報を特定し、担当者が顧客の記録と共通資料を使って次に確認する事項を説明できるかを確かめてください。
まとめ
ナレッジマネジメント戦略では、改善したい業務を選び、知識を使う人と判断場面を明確にします。次に、知識がない、探せない、見つけても使えない、という状態を分けて対策を選びます。文書化と対話を使い分け、利用時に見つかった不足を更新へ戻す役割まで決めてください。
最初の業務では、次の順序で進められます。
- 誰が何を判断するために知識を探すかを記録します。
- 必要な知識が文書にあるか、人の判断に残っているかを確認します。
- 共有方法と更新担当を決め、別の担当者が使えるか確かめます。
- 使えなかった理由に応じて参照経路、内容、相談条件を直し、その結果を見て対象を広げるか判断します。
CRMを活用した業務効率化やAIとの連携に関するご相談は、StartLinkまでお気軽にお問い合わせください。
経営管理の理解をさらに深めるために、AI時代のナレッジマネジメントでは、AIが参照する知識を整える際の論点と、提示内容を人が確認する流れを考えられます。また、ナレッジマネジメントとは?知識経営の基本概念から導入メリット・成功事例までを解説では、知識の共有方法を選ぶ前提となる基本概念を確認できます。
本記事はナレッジマネジメント基礎カテゴリに属しています。知識の共有を経営管理のほかの取り組みと合わせて考える際は、経営管理完全ガイドをご覧ください。
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知識を使う業務や組織上の課題を具体化したい方は、次の記事も参照してください。業務の変え方、推進する役割、判断に使う情報を整理する際の入口になります。