「気づいたらSaaSの月額費用が200万円を超えていた」「使われていないツールに毎月払い続けている」——SaaS利用が当たり前になった現在、企業のSaaS費用は急増しています。
Gartnerの予測によると、企業のSaaS支出は2026年までに全IT支出の40%以上を占めるとされています。しかし、BetterCloudの調査では、企業が契約しているSaaSの約25%が十分に活用されておらず、ライセンスの無駄が発生しています。
本記事では、SaaS費用の可視化から削減までの具体的な方法を解説します。
本記事は「企業のコスト削減方法|優先順位と具体策を実務的に解説」シリーズの一部です。
本記事はStartLinkの「経営管理DX完全ガイド」関連記事です。
この記事でわかること
- シャドーIT・ライセンスの惰性更新・重複機能のSaaS並存という3つのコスト増大原因 — IT部門の承認を経ずに、各部門が独自にSaaSを契約するケースが増えています。
- 棚卸→利用状況分析→ライセンス最適化→統合・代替検討の4ステップ最適化プロセス — 全社で利用しているSaaSを一覧化します。機能が重複しているSaaSを特定し、統合を検討します。
- 未使用ライセンス削減で10〜30%のコスト削減を実現する方法 — データに基づく経営判断を支える基盤をご提案します。現状の課題をヒアリングし、最適なアプローチをご提案します。
- 年次SaaS棚卸・導入時ROI基準・CRM統合による3つの管理ルール — 新しいSaaSの導入は日常的に発生するため、四半期ごとの定期棚卸を制度化します。
SaaSコスト最適化について理解を深めたい方に、特に参考になる内容です。
SaaSコスト増大の3つの原因
原因1:シャドーIT
IT部門の承認を経ずに、各部門が独自にSaaSを契約するケースが増えています。全社で同じ機能を持つツールが複数導入されている状態を招きます。
原因2:ライセンスの過剰購入
「将来的に使うかもしれない」と多めに購入したライセンスが、実際には使われないまま費用だけ発生している状態です。
原因3:アップグレードの惰性
一度上位プランに切り替えると、実際には下位プランで十分でもダウングレードしない傾向があります。
SaaSコスト最適化の4ステップ
ステップ1:SaaS棚卸(現状把握)
全社で利用しているSaaSを一覧化します。
| 項目 |
記録内容 |
| サービス名 |
ツールの正式名称 |
| カテゴリ |
CRM、会計、プロジェクト管理、コミュニケーション等 |
| 契約者 |
契約している部門・担当者 |
| 月額/年額費用 |
ライセンス費用(税込) |
| ライセンス数 |
契約しているアカウント数 |
| 実際利用者数 |
過去3ヶ月で実際にログインしたユーザー数 |
| 利用率 |
実際利用者数 ÷ ライセンス数 |
| 契約更新日 |
次回の契約更新日 |
ステップ2:利用率分析
| 利用率 |
判定 |
アクション |
| 80%以上 |
適正利用 |
現状維持 |
| 50〜79% |
要見直し |
ライセンス数の削減を検討 |
| 30〜49% |
過剰 |
ダウングレード or 解約検討 |
| 30%未満 |
無駄 |
即解約候補 |
ステップ3:統合・代替の検討
機能が重複しているSaaSを特定し、統合を検討します。
よくある重複パターン:
| 重複パターン |
統合先の例 |
| Slack + Microsoft Teams |
どちらかに統一 |
| Zoom + Google Meet + Teams |
1つに統一 |
| Notion + Confluence + Google Docs |
メインを1つに決める |
| 複数のプロジェクト管理ツール |
Asana or Notion に統合 |
ステップ4:契約条件の最適化
| 施策 |
期待効果 |
| 年間契約への切り替え |
10〜25%のディスカウント |
| ボリュームディスカウント交渉 |
10〜15%のディスカウント |
| 更新前の競合見積もり |
値引き交渉の材料 |
| スタートアップ割引の活用 |
最大90%オフ(対象企業のみ) |
SaaS管理ツールの活用
SaaSの数が50以上になると、手動での管理が困難になります。SaaS管理ツールの導入を検討しましょう。
| ツール |
特徴 |
費用感 |
| メタップスクラウド |
日本企業向け、利用状況の可視化 |
要問い合わせ |
| ジョーシス |
SaaS・デバイスの一元管理 |
月額300円〜/ユーザー |
| Zylo |
グローバル大手、AIによる最適化提案 |
要問い合わせ |
| Productiv |
SaaS利用状況の分析に特化 |
要問い合わせ |
SaaSコスト最適化の3つのルール
ルール1:四半期ごとにSaaS棚卸を実施
新しいSaaSの導入は日常的に発生するため、四半期ごとの定期棚卸を制度化します。
ルール2:導入時に「出口戦略」を決める
新規SaaSを導入する際に、「3ヶ月後に利用率が50%未満なら解約する」という基準を事前に設定します。
ルール3:IT部門の承認フローを設ける
各部門が勝手にSaaSを契約するシャドーITを防ぐため、一定金額以上のSaaS契約にはIT部門の承認を必須にします。
CRMプラットフォームの統合効果
SaaSコスト最適化の観点では、HubSpotのようなオールインワンCRMプラットフォームの導入は、複数のポイントソリューション(MA単体、SFA単体、CS単体)を統合する効果があります。
マーケティング(MA)、営業(SFA)、カスタマーサービス(CS)のデータが1つのプラットフォーム上で統合されることで、ツール間の連携コスト(iPaaS費用、カスタム開発費)も削減できます。コスト削減の方法で述べた「業務プロセスの自動化」と「SaaS統合」を同時に実現できるアプローチです。
CRMで実現するSaaSコスト最適化
SaaSコスト最適化を実務に落とし込むには、CRMツールの活用が不可欠です。詳しくは「CRM料金の相場と費用対効果|主要6ツールの価格体系を徹底比較【2026年版】」で解説しています。
次のステップ
SaaSコスト最適化に取り組むなら、CRMツールの活用が効果的です。以下の記事でHubSpotを使った具体的な実践方法を解説しています。
まとめ
企業が契約しているSaaSの約25%が十分に活用されていない(BetterCloud調査)。シャドーIT・惰性更新・重複機能が主なコスト増大原因。
実践にあたっては、以下のポイントを押さえておくことが大切です。
- 棚卸→利用状況分析→ライセンス最適化→統合・代替検討の4ステップで最適化
- 未使用ライセンス削減だけで10〜30%のコスト削減が見込める
- CRMを中核に据え、周辺SaaSとのAPI連携で機能重複を解消するアプローチが有効
よくある質問(FAQ)
Q1. SaaSの棚卸は何から始めればよいですか?
まず全社で契約しているSaaSの一覧表を作成してください。ツール名・月額費用・契約ライセンス数・実際の利用アカウント数・利用部門・契約更新日を項目として整理します。クレジットカードの明細や経費精算データから洗い出すと漏れが少なくなります。
Q2. 未使用のSaaSライセンスはどの程度無駄になっていますか?
BetterCloudの調査では、企業が契約しているSaaSの約25%が十分に活用されておらず、未使用ライセンスの削減だけで10〜30%のコスト削減が見込めます。特に退職者のアカウント放置、部門ごとの重複契約、無料プランで十分な用途への有料プラン契約がよくある無駄のパターンです。
Q3. SaaSの統合・集約はどう判断すればよいですか?
CRM・MA・CS・営業支援など機能が重複するSaaSがある場合、HubSpotのようなオールインワンプラットフォームへの集約を検討してください。判断基準は、統合後のTCO(総所有コスト)が現状を下回るか、データ連携の手間が削減されるか、運用管理の負荷が軽減されるかの3点です。
StartLinkのHubSpot × freee連携と Claude Code エージェント活用サポート
StartLinkはHubSpotゴールドパートナーとして、CRM・SFA・MAの設計・導入・運用を一気通貫で支援しています。加えて、独自開発した Sync for freee により HubSpot と freee 会計をリアルタイム連携し、SaaS利用状況と会計データを一元化した費用可視化の基盤を構築します。さらに Claude Code エージェントを活用したAI業務自動化で、SaaS利用状況レポート作成や月次集計といった繰り返し業務の省力化もご提案可能です。
なお、SaaS契約管理ツールや予算管理システムそのものの構築、記帳・決算業務の代行、ERPや基幹システムのリプレースは対応範囲外です。HubSpot を起点にした「顧客データ × 会計データ × AI」の連携領域に特化してご支援します。
SaaSコスト最適化や費用の見える化でお困りの方は、まずはお気軽にご相談ください。
経営管理の理解をさらに深めるために、損益分岐点の計算方法と経営判断への活用もあわせてご覧ください。また、外注費削減と内製化の判断基準も関連するテーマを扱っています。