HubSpotターゲットアカウント機能の活用法|理想顧客プロファイル設計とABM実行

  • 2026年3月12日
  • 最終更新: 2026年4月25日
この記事の結論

ターゲットアカウント機能は、ABM(アカウントベースドマーケティング)をHubSpot内で一貫して実行するための基盤です。ICPの定義からターゲットアカウントの設定、購買委員会の管理、エンゲージメント

ブログ目次

記事の内容を、そのまま実務に落とし込みたい方向け

HubSpot導入、AI活用、CRM整備、業務効率化までをまとめて支援しています。記事で気になったテーマを、そのまま相談ベースで整理できます。


「大口顧客を狙ったアカウントベースドマーケティング(ABM)を始めたいが、何から手をつければよいか分からない」 「ターゲット企業にアプローチしているが、組織的にどの担当者にリーチできているか把握できていない」 ——こうした課題を持つBtoBマーケティング・営業チームは少なくありません。

「大口顧客を狙ったアカウントベースドマーケティング(ABM)を始めたいが、何から手をつければよいか分からない」

「ターゲット企業にアプローチしているが、組織的にどの担当者にリーチできているか把握できていない」

——こうした課題を持つBtoBマーケティング・営業チームは少なくありません。

HubSpotのターゲットアカウント機能は、ABM(Account-Based Marketing)を実行するための専用ツールセットです。ICP(理想顧客プロファイル)の定義、ターゲットアカウントの指定、アカウントレベルのエンゲージメント追跡、購買委員会(Buying Committee)の管理を一元的に行えます。

この記事では、HubSpotのターゲットアカウント機能を活用してABMを推進するための設定手順・運用方法・効果測定までを体系的に解説します。

この記事でわかること

アカウントベースドマーケティング(ABM)をHubSpotで実践したいBtoBマーケティング・営業担当者に向けた記事です。

  • ABMとインバウンドマーケティングの関係性
  • ICP(理想顧客プロファイル)の定義方法とHubSpotでの設定
  • ターゲットアカウントの選定基準と登録手順
  • アカウントレベルのエンゲージメント追跡
  • ABMダッシュボードの構築と活用
  • 購買委員会(Buying Committee)の役割管理

本記事はStartLinkの「HubSpot完全ガイド」関連記事です。


ABMとインバウンドマーケティングの関係

ABM(Account-Based Marketing)とインバウンドマーケティングは対立する概念ではなく、補完関係にあります。HubSpotでは両方のアプローチを統合的に運用できる点が大きな強みです。

比較表

項目 インバウンドマーケティング ABM
アプローチ 広く集客 → 絞り込み 最初から絞り込み → 深掘り
ターゲット 個人(コンタクト) 企業(アカウント)
KPI リード数、MQL数 ターゲットアカウントのエンゲージメント
コンテンツ 汎用的な教育コンテンツ 企業固有のパーソナライズコンテンツ
適する商材 月額〜数十万円の中単価商材 年額数百万円以上の高単価商材
HubSpotの機能 ブログ、フォーム、ワークフロー ターゲットアカウント、ABMダッシュボード

Terminus社の調査によれば、ABMを導入した企業の87%がインバウンドマーケティングと併用しており、「どちらか一方」ではなく「両方を使い分ける」のが現代のBtoBマーケティングの主流です。


ICP(理想顧客プロファイル)の定義

ICPを構成する要素

HubSpot会社一覧(ターゲットアカウント)

ICPの定義は、既存の優良顧客のデータを分析することから始めます。以下の要素を整理します。

カテゴリ 項目
企業属性 業種 SaaS、製造、コンサルティング
企業属性 従業員数 50〜500名
企業属性 年商 5億〜50億円
企業属性 地域 東京、大阪、名古屋
組織特性 部門 マーケティング部門が存在する
組織特性 決裁プロセス CxOレベルの承認が必要
課題 ビジネス課題 リード獲得の効率化、CRMの統合
テクノロジー 使用ツール Salesforce、Excel管理からの移行

HubSpotでICPを設定する手順

  1. 「コンタクト」→「ターゲットアカウント」→「ICP」 を開く
  2. ICP Tierの条件を設定する(業種・従業員数・年商など)
  3. HubSpotのAI推奨機能が、既存顧客データに基づいてICP条件を提案(Marketing Hub Professional以上)
  4. 推奨条件をレビューし、自社のビジネス判断で調整
  5. ICPの条件を確定し保存

HubSpotのBreeze AIを活用すると、過去の受注データを分析し、ICPに適合する企業の特徴を自動的に抽出してくれます。たとえば「従業員数100〜300名のIT企業が最も受注率が高い」といったインサイトが得られます。


ターゲットアカウントの設定と管理

ターゲットアカウントの登録方法

HubSpotでターゲットアカウントを指定するには、会社レコードの「ターゲットアカウント」プロパティを「はい」に設定します。登録方法は3つあります。

  1. 手動設定: 会社レコードを開き、「ターゲットアカウント」をオンにする
  2. 一括インポート: CSVファイルで「ターゲットアカウント = はい」の列を含めてインポート
  3. ワークフロー自動化: ICP条件に合致する会社を自動的にターゲットアカウントに設定

ターゲットアカウントの推奨数

ABMの効果を最大化するには、ターゲットアカウントの数を適切にコントロールする必要があります。

チーム規模 推奨ターゲットアカウント数 理由
営業1〜3名 20〜50社 一人あたり10〜20社に注力
営業4〜10名 50〜200社 チーム全体でカバー
営業11名以上 200〜500社 Tier分けで優先度管理

ターゲットアカウント数が多すぎると、各アカウントへのアプローチが薄くなり、ABMの強み(深い関係構築)が失われます。Demandbase社の調査では、ABMの成果が高い企業は1営業あたり平均15社のターゲットアカウントに集中しているとされています。

ターゲットアカウントのTier分け

ターゲットアカウントをさらに3段階のTierに分類し、リソース配分を最適化します。

Tier 基準 アプローチ方法 リソース配分
Tier 1 ICPに完全合致 + 購買シグナルあり 1:1パーソナライズ 60%
Tier 2 ICPに合致 セグメント別カスタマイズ 30%
Tier 3 ICPの一部合致 プログラマティック(自動化) 10%

アカウントレベルのエンゲージメント追跡

エンゲージメントスコア

HubSpotのターゲットアカウント機能では、アカウント(会社)レベルのエンゲージメントを自動的にスコアリングします。個人レベルのスコアだけでなく、「この企業全体として、どれくらい自社に関心を持っているか」を可視化できます。

エンゲージメントスコアは以下の要素で構成されます。

  • ウェブサイト訪問者数(同一企業ドメインからのアクセス数)
  • メール開封・クリック数(企業に紐づくコンタクト全体の合計)
  • フォーム送信数
  • ミーティング予約数
  • 通話・メモなどの営業アクティビティ数

エンゲージメントの推移分析

ターゲットアカウントのエンゲージメント推移を時系列で追跡することで、以下の判断が可能になります。

  • エンゲージメント急上昇: 購買検討が活性化している可能性 → 営業アプローチの好機
  • エンゲージメント横ばい: ナーチャリングコンテンツの見直しが必要
  • エンゲージメント低下: 競合に流れている可能性 → 緊急フォロー

購買委員会(Buying Committee)の管理

購買委員会とは

BtoBの高単価商材では、意思決定が一人で行われることはほとんどありません。複数の関係者(購買委員会)が関与し、それぞれ異なる視点で導入を検討します。HubSpotでは、各コンタクトに「購買役割(Buying Role)」を割り当てることで、購買委員会の構成を管理できます。

購買役割の種類

役割 定義 アプローチのポイント
意思決定者(Decision Maker) 最終承認権限を持つ ROI・経営インパクトの訴求
予算管理者(Budget Holder) 予算配分の権限を持つ コスト対効果・投資回収期間
チャンピオン(Champion) 社内推進者・味方 社内説得用の資料提供
インフルエンサー(Influencer) 間接的に影響力を持つ 専門的なデモ・事例共有
エンドユーザー 実際に使用する人 操作性・導入のしやすさ
ブロッカー(Blocker) 導入に反対する人 懸念の解消・代替案の提示

HubSpotでの購買役割の設定

  1. コンタクトレコードを開く
  2. 関連する会社レコードとのアソシエーションを確認
  3. 「購買役割」プロパティに該当する役割を設定
  4. ターゲットアカウント画面で、購買委員会の全体像を確認

購買委員会のカバー率目標

ABMの成功には、ターゲットアカウントの購買委員会メンバー全員にリーチすることが重要です。

  • 最低ライン: 意思決定者 + チャンピオンの2名にリーチ
  • 推奨ライン: 購買委員会の4名以上にリーチ
  • 理想ライン: 全役割にリーチ + 定期的なエンゲージメント維持

6sense社のデータによれば、購買委員会の4名以上にリーチしている商談は、1名のみの商談と比較して受注率が3.2倍高いとされています。


ABMダッシュボードの構築

推奨するABMレポート

レポート名 表示形式 目的
ターゲットアカウント概要 数値カード 全体のアカウント数・エンゲージメント平均
Tier別エンゲージメント 棒グラフ Tier間のエンゲージメント差を可視化
購買委員会カバー率 ゲージ 各アカウントの意思決定者へのリーチ状況
アカウント別パイプライン テーブル ターゲットアカウントの取引進捗一覧
エンゲージメントトレンド 折れ線グラフ 月次のエンゲージメント推移

HubSpotには、ABM専用のダッシュボードテンプレートが用意されています。「レポート」→「ダッシュボード」→「新規作成」→「ABM」 を選択すると、ABMに最適化されたレポートが自動配置されたダッシュボードが生成されます。


まとめ

ターゲットアカウント機能は、ABM(アカウントベースドマーケティング)をHubSpot内で一貫して実行するための基盤です。ICPの定義からターゲットアカウントの設定、購買委員会の管理、エンゲージメント追跡までを一連の流れで運用することで、大企業向けの長期戦略的な営業活動をCRMの中で再現できます。

ABMダッシュボードを使えばアカウントレベルで進捗を可視化でき、マーケティングと営業の連携精度を上げるための共通言語になります。まずは自社のICPを5つの条件で定義し、最も重要な10社をターゲットアカウントとして登録するところから運用を始めてみてください。


よくある質問(FAQ)

Q1: ターゲットアカウント機能はどのプランで使えますか?

ターゲットアカウント機能は、Marketing Hub Professional以上、またはSales Hub Professional以上で利用できます。ABMダッシュボードテンプレートやAIによるICP推奨機能もProfessional以上で利用可能です。無料プランやStarterプランでは、手動でのターゲットアカウント管理(プロパティの設定)のみ可能です。

Q2: ターゲットアカウントの数に上限はありますか?

HubSpotではターゲットアカウントの数に技術的な上限はありません。ただし、ABMの効果を最大化するにはチーム規模に応じた適切な数に絞ることが重要です。全ての会社をターゲットアカウントに設定してしまうと、ABMの「集中投資」という本来の目的が失われます。

Q3: ABMとリードスコアリングは併用すべきですか?

はい、ABMとリードスコアリングの併用を強く推奨します。ABMはアカウントレベル(企業単位)の優先度を決定し、リードスコアリングはコンタクトレベル(個人単位)の優先度を決定します。「ターゲットアカウントに属する高スコアのコンタクト」が、最も優先的にフォローすべきリードです。

Q4: ABMの効果測定にはどの指標を使うべきですか?

ABMの効果測定では、従来のリード数ベースのKPIではなく、アカウントベースの指標を使用します。具体的には、ターゲットアカウントからの商談創出数、ターゲットアカウントの受注率、ターゲットアカウントの平均取引額、購買委員会のカバー率などが主要な指標です。HubSpotのABMダッシュボードでこれらを一元的に監視できます。


カテゴリ: HubSpot機能ガイド | HubSpot


株式会社StartLinkは、事業推進に関わる「販売促進」「DXによる業務効率化(ERP/CRM/SFA/MAの導入)」などのご相談を受け付けております。 サービスのプランについてのご相談/お見積もり依頼や、ノウハウのお問い合わせについては、無料のお問い合わせページより、お気軽にご連絡くださいませ。

関連キーワード:

サービス資料を無料DL

著者情報

7-1

今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLink 代表取締役。累計150社以上のHubSpotプロジェクト支援実績を持ち、Claude CodeやHubSpotを軸にしたAI活用支援・経営基盤AXのコンサルティング事業を展開。
HubSpotのトップパートナー企業や大手人材グループにて、エンタープライズCRM戦略策定・AI戦略ディレクションを経験した後、StartLinkを創業。現在はCRM×AIエージェントによる経営管理支援を専門とする。