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HubSpotデータ同期(Data Sync)の設定方法|双方向同期・フィールドマッピング・競合解決ルール
「HubSpotと他のツールでデータが二重管理になっており、どちらが正しい情報か分からない」
「手動でCSVをエクスポート・インポートしてデータを同期しているが、ミスが頻発する」
——こうした課題は、複数のSaaSツールを併用するBtoB企業で極めて多く見られます。
HubSpotのData Sync(データ同期)機能は、HubSpotと外部アプリケーションの間でデータをリアルタイムに双方向同期するネイティブ機能です。Data Hub(旧Operations Hub)のリリース以降、コードを書くことなく主要なSaaSツールとのデータ連携が可能になりました。
この記事では、HubSpot Data Syncの基本概念から、具体的な設定手順、フィールドマッピング、競合解決ルール、主要アプリとの連携パターンまで、データ同期を正しく設定・運用するための実践的な情報を解説します。
この記事でわかること
- HubSpot Data Syncの仕組みと従来の連携方法との違い
- 双方向同期・一方向同期の使い分け
- フィールドマッピングの設計と設定方法
- 競合解決ルールの考え方と設定
- 主要アプリとの連携パターン
- Data Syncのモニタリングとトラブルシューティング
本記事はStartLinkの「HubSpot完全ガイド」関連記事です。
Data Syncの仕組みと特徴
Data Syncとは

HubSpotのData Sync(データ同期)は、Data Hub(旧Operations Hub)に含まれるデータ統合機能です。HubSpotマーケットプレイスの対応アプリとの間で、コンタクト・会社・取引などのオブジェクトデータをリアルタイムに同期できます。
従来の連携方法との比較
| 連携方法 | 同期方式 | リアルタイム性 | 過去データ | 設定難易度 | コスト |
|---|---|---|---|---|---|
| Data Sync | 双方向/一方向 | リアルタイム | 一括同期可能 | 低(ノーコード) | Data Hub料金内 |
| Zapier/Make | トリガーベース | ほぼリアルタイム | 不可 | 中 | 別途課金 |
| カスタムAPI連携 | 自由設計 | 設計次第 | 開発次第 | 高(開発必要) | 開発工数 |
| CSV手動同期 | 手動 | バッチ処理 | 手動で可能 | 低 | 人的コスト |
Data Syncの最大の強みは、ノーコードで双方向リアルタイム同期と過去データの一括同期(Historical Sync)の両方を実現できる点にあります。Zapierなどのトリガーベースの連携では「設定後に発生した新規データ」しか同期されませんが、Data Syncでは過去のレコードもバックフィル(遡及同期)されます。
対応アプリの一覧
Data Syncは、HubSpot公式およびサードパーティが提供する100以上のアプリとの連携に対応しています。代表的な連携先は以下のとおりです。
| カテゴリ | 対応アプリ | 同期対象 |
|---|---|---|
| CRM | Salesforce、Pipedrive、Zoho CRM | コンタクト、会社、取引 |
| メール配信 | Mailchimp、ActiveCampaign | コンタクト、リスト |
| 会計・ERP | NetSuite、QuickBooks、Xero | 会社、請求書、商品 |
| EC | Shopify、WooCommerce | コンタクト、商品、注文 |
| ヘルプデスク | Zendesk、Intercom | コンタクト、チケット |
| コンタクト管理 | Google Contacts、Outlook Contacts | コンタクト |
| 電話 | Aircall、RingCentral | 通話データ |
双方向同期と一方向同期の使い分け
同期方向の設定
Data Syncでは、データの同期方向を以下の3パターンから選択できます。
| 同期方向 | 動作 | 推奨ユースケース |
|---|---|---|
| 双方向同期 | 両方のシステムで変更が反映される | HubSpot ↔ Salesforce(営業がどちらも使う) |
| HubSpot → 外部アプリ | HubSpotの変更のみ外部に反映 | HubSpot → メール配信ツール(マスターはHubSpot) |
| 外部アプリ → HubSpot | 外部の変更のみHubSpotに反映 | 会計システム → HubSpot(請求データの参照) |
選択の判断基準
同期方向を決める際は、「どのシステムがマスターデータを持つか」を明確にすることが最も重要です。
- 両方のシステムでデータを編集する場合: 双方向同期
- 一方のシステムがマスター(正)の場合: マスターから他方への一方向同期
- データの参照のみが必要な場合: 外部 → HubSpotの一方向同期
双方向同期を選択する場合は、次のセクションで解説する「競合解決ルール」の設計が必須です。
フィールドマッピングの設計
フィールドマッピングとは

フィールドマッピングは、HubSpotのプロパティと外部アプリのフィールドを対応付ける設定です。たとえば、HubSpotの「電話番号」プロパティをSalesforceの「Phone」フィールドにマッピングすることで、電話番号のデータが双方で同期されます。
マッピング設定の手順
- HubSpotの 「設定」→「連携」→「接続済みアプリ」 を開く
- 対象のアプリを選択し、「同期設定」 をクリック
- 「フィールドマッピング」 タブを開く
- 自動的に提案されるデフォルトマッピングを確認
- 必要に応じてカスタムマッピングを追加・編集
- マッピングの同期方向(双方向/一方向)をフィールドごとに設定
デフォルトマッピングとカスタムマッピング
Data Syncを設定すると、HubSpotが標準フィールドのデフォルトマッピングを自動的に提案します。
| HubSpotプロパティ | Salesforceフィールド | データ型 |
|---|---|---|
| テキスト | ||
| First Name | FirstName | テキスト |
| Last Name | LastName | テキスト |
| Company Name | Account Name | テキスト |
| Phone Number | Phone | テキスト |
| Deal Amount | Amount | 通貨 |
| Deal Stage | Stage | ドロップダウン |
デフォルトマッピングでカバーされないカスタムフィールドは、手動でマッピングを追加します。
マッピング設計のベストプラクティス
| 原則 | 具体例 | 理由 |
|---|---|---|
| データ型を一致させる | テキスト ↔ テキスト、数値 ↔ 数値 | 型の不一致はエラーの原因 |
| 必須フィールドを先にマッピング | メール、氏名、会社名 | 同期の基本データを確保 |
| ドロップダウンの値を統一 | HubSpot「IT」= Salesforce「Information Technology」 | 値の不一致で同期が失敗する |
| 不要なフィールドはマッピングしない | 内部管理用フラグ等 | 同期対象を最小化しパフォーマンス向上 |
競合解決ルールの設計
競合とは何か
双方向同期において、両方のシステムで同じレコードの同じフィールドが同時に更新された場合、「競合」が発生します。たとえば、HubSpotで電話番号を「03-1234-5678」に更新し、同じタイミングでSalesforceで「03-9876-5432」に更新した場合、どちらの値を採用すべきかをルールで定義する必要があります。
競合解決ルールの選択肢
| ルール | 動作 | 推奨ケース |
|---|---|---|
| HubSpotを優先 | 競合時はHubSpotの値を採用 | HubSpotがマスターデータの場合 |
| 外部アプリを優先 | 競合時は外部アプリの値を採用 | 外部システムがマスターの場合 |
| 最新の更新を優先 | タイムスタンプが新しい方を採用 | どちらも同等に信頼できる場合 |
| 値が空でない方を優先 | 空白でない値を採用 | データ充填率を最大化したい場合 |
競合解決ルール設計の指針
- マスターデータの特定: まず「どのシステムのデータが最も正確か」を決める
- フィールドごとの判断: すべてのフィールドに同じルールを適用するのではなく、フィールドの性質に応じて個別設定する
- 例外対応の設計: 競合が頻発するフィールドは、一方向同期に変更することを検討する
たとえば、コンタクト情報(電話番号・メール)はSalesforce優先、マーケティング情報(リードステータス・スコア)はHubSpot優先、というフィールドごとの使い分けが実務では一般的です。
過去データの一括同期(Historical Sync)
Historical Syncとは
Data Syncの設定時に、過去データの一括同期(Historical Sync)を有効にすることで、連携開始前に蓄積されたデータも同期対象に含めることができます。この機能により、新規連携の際に手動でCSVインポートを行う必要がなくなります。
設定時の注意点
- 初回同期に時間がかかる: データ量が多い場合、初回の一括同期には数時間〜数日を要することがあります
- 重複レコードのリスク: 同一コンタクトが両方のシステムに異なるメールアドレスで存在する場合、重複レコードが作成される可能性があります
- テスト環境での検証: 本番環境で一括同期を実行する前に、サンドボックス環境でテストすることを推奨します
Data Syncのモニタリングとトラブルシューティング
同期ヘルスの確認
HubSpotの 「設定」→「連携」→「接続済みアプリ」→ 該当アプリ → 「同期ヘルス」 から、同期の状態をリアルタイムに確認できます。同期済みレコード数、エラー数、最終同期日時が表示されるため、問題が発生した場合は早期に検出できます。
よくある同期エラーと対処法
| エラー内容 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| フィールドマッピングエラー | データ型の不一致 | マッピング設定でデータ型を確認・修正 |
| 重複レコードの作成 | 一意識別子の不一致 | メールアドレスを一意キーとして設定 |
| 同期の遅延 | データ量が多い、API制限 | 同期フィルターで対象データを絞り込む |
| ドロップダウン値の不一致 | 選択肢の名称が異なる | 値のマッピングを手動で設定 |
| 権限エラー | 外部アプリのAPI権限不足 | 接続アカウントの権限を確認・更新 |
Data Sync活用の実践パターン
パターン1: HubSpot x 会計ソフト連携
受注した取引の顧客情報を会計ソフト(QuickBooks、Xero等)に自動連携するパターンです。同期方向はHubSpot → 会計ソフトの一方向とし、フィルターで取引ステージ = 受注済みのレコードのみを対象にします。
パターン2: HubSpot x メール配信ツール連携
Mailchimpなどのメール配信ツールとコンタクトデータを双方向同期し、メール配信リストを自動更新するパターンです。マーケティングコンタクトのみを同期対象とすることで、不要なデータの連携を防ぎます。
パターン3: HubSpot x ECプラットフォーム連携
ShopifyやWooCommerceの顧客データ・注文データを外部アプリ → HubSpotの一方向で同期し、ECサイトの購買行動をCRMで管理するパターンです。購買履歴に基づくセグメンテーションやリテンション施策が可能になります。
よくある質問(FAQ)
Q1: Data Syncは無料プランでも使えますか?
はい、HubSpotのData Sync機能は無料プランを含むすべてのプランで利用可能です。ただし、同期できるフィールド数やフィルター条件の柔軟性はプランによって異なります。Data Hub(旧Operations Hub)のProfessional以上では、カスタムフィールドマッピングや高度なフィルター条件が利用でき、より精密なデータ同期が可能です。
Q2: 同期の頻度はリアルタイムですか?
Data Syncはほぼリアルタイム(数分以内)でデータを同期します。ただし、大量のレコードが同時に更新された場合やAPI制限に達した場合は、同期に遅延が発生することがあります。初回バックフィル(過去データの一括同期)はレコード数に応じて数時間〜数日かかる場合があります。
Q3: 同期を一時停止できますか?
はい、同期はいつでも一時停止・再開が可能です。「設定」→「連携」→ 該当アプリ から「同期を停止」をクリックしてください。停止中はデータの同期が行われませんが、停止前のデータは保持されます。再開すると、停止中に蓄積された差分データが自動的に同期されます。
Q4: Data Syncと既存のZapier連携を併用できますか?
技術的には併用可能ですが、推奨しません。Data SyncとZapierの両方で同じデータを同期すると、二重更新やデータ競合が発生するリスクがあります。Data Syncで対応できるフィールドはData Syncに統一し、Data Syncでは実現できないカスタムロジック(条件分岐や変換処理)のみZapierで補完する設計を推奨します。
カテゴリ: HubSpot機能ガイド | HubSpot
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著者情報
今枝 拓海 / Takumi Imaeda
株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。
パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。