「カスタマーサポートツールとしてHubSpotとIntercomのどちらが適しているか判断できない」 「Intercomのチャット機能は魅力的だが、CRMとの統合を考えるとHubSpotのほうがよいのでは」 ——カスタマーサポートとカスタマーサクセス(CS)の領域で、HubSpotとIntercomは頻繁に比較される2つのプラットフォームです。
「カスタマーサポートツールとしてHubSpotとIntercomのどちらが適しているか判断できない」
「Intercomのチャット機能は魅力的だが、CRMとの統合を考えるとHubSpotのほうがよいのでは」
——カスタマーサポートとカスタマーサクセス(CS)の領域で、HubSpotとIntercomは頻繁に比較される2つのプラットフォームです。Intercomはメッセンジャーベースのカスタマーコミュニケーションに特化し、HubSpotはCRM統合型のサービスプラットフォームとして進化しています。
本記事では、HubSpotとIntercomのカスタマーサポート・CS機能を比較し、自社に最適なプラットフォームの選び方を解説します。
この記事でわかること:
- HubSpotとIntercomのカスタマーサポートのアプローチの違い
- チャット・チケット管理・AIボット・ナレッジベースの機能比較
- 料金体系と総コストの違い
- 企業規模・業種別の選定ガイドライン
本記事はHubSpotゴールドパートナーのStartLinkの「HubSpot完全ガイド」関連記事です。
HubSpotとIntercomのアプローチの違い
Intercomのアプローチ
Intercomは2011年に創業された、カスタマーコミュニケーションに特化したプラットフォームです。「メッセンジャーファースト」の思想で、Webサイトやアプリ内に埋め込むチャットウィジェットを起点に、顧客とのリアルタイムコミュニケーションを実現します。
2024年にはAI機能「Fin」を強化し、AIが顧客の質問に自動回答するチャットボット機能で大きな注目を集めています。SaaS企業やテック企業を中心に、世界25,000社以上に導入されています。
HubSpotのアプローチ
HubSpot Service Hubは、CRMプラットフォームの一部として提供されるカスタマーサービスツールです。チケット管理、ナレッジベース、ライブチャット、フィードバック収集、カスタマーポータルなどの機能を備え、マーケティング(Marketing Hub)や営業(Sales Hub)とデータがシームレスに連携します。
HubSpotのカスタマーサービスの強みは「CRM統合」です。顧客がマーケティング段階でどのコンテンツに触れ、営業段階でどのような商談を経て、購入後にどのような問い合わせをしているかが、一つのタイムラインで把握できます。
機能比較
ライブチャット・メッセンジャー
| 機能 |
HubSpot |
Intercom |
| Webサイトチャットウィジェット |
全プランで利用可能 |
全プランで利用可能 |
| アプリ内メッセンジャー |
未対応(Webのみ) |
iOS / Android SDK対応 |
| プロアクティブメッセージ |
ワークフローで設定 |
行動トリガーで柔軟に設定 |
| チャットのカスタマイズ |
基本的なカスタマイズ |
高度なカスタマイズ(カラー、位置、アニメーション) |
| チャット → チケット変換 |
対応 |
対応 |
| チャット履歴の保存 |
CRMタイムラインに統合 |
Intercom内に保存 |
| 複数チャネル対応 |
チャット、メール、フォーム |
チャット、メール、SMS、WhatsApp、SNS |
ライブチャットの機能では、Intercomが明確に優位です。特にモバイルアプリ内のメッセンジャー機能やプロアクティブメッセージ(顧客の行動に応じて先制的にメッセージを表示する機能)は、Intercomの核心的な強みです。
HubSpotのライブチャットは、CRMとの統合が最大の利点です。チャットで対応した顧客のマーケティング履歴や営業履歴をすぐに参照できるため、コンテキストに基づいた質の高い対応が可能になります。
AIチャットボット
| 機能 |
HubSpot(Breeze Customer Agent) |
Intercom(Fin AI) |
| AI自動応答 |
ナレッジベースに基づく自動回答 |
ナレッジベース + 学習データに基づく回答 |
| 回答精度 |
中〜高(設定次第) |
高い(GPT-4ベース) |
| 多言語対応 |
対応 |
43言語以上に対応 |
| 人間へのエスカレーション |
自動エスカレーション対応 |
シームレスなハンドオフ |
| 料金モデル |
プランに含まれる |
解決あたり$0.99(従量課金) |
| セットアップの容易さ |
ナレッジベース接続で即座に利用可能 |
コンテンツ設定後すぐに利用可能 |
AIチャットボットの領域では、IntercomのFin AIが業界をリードしています。IntercomはFin AIの解決率が50%を超える事例を公表しており、AIによるカスタマーサポートの自動化において高い評価を得ています。
HubSpotのBreeze Customer Agentも2024年に大幅に強化されており、ナレッジベースの記事に基づいた自動回答が可能です。HubSpotの優位性は、AIボットの利用料がプランに含まれている点です。Intercomは解決あたり$0.99の従量課金のため、問い合わせ量が多い企業ではコストが膨らむ可能性があります。
チケット管理
| 機能 |
HubSpot |
Intercom |
| チケットの作成・管理 |
全プランで利用可能 |
全プランで利用可能(Tickets機能) |
| チケットパイプライン |
複数パイプライン対応 |
カスタムワークフロー |
| SLA管理 |
Professional以上 |
全プランで利用可能 |
| 自動割り当て |
ワークフローで設定 |
ルールベースの自動割り当て |
| レポート・分析 |
詳細なサービスレポート |
Intercomレポート |
| CRM連携 |
ネイティブ統合 |
API / サードパーティ連携 |
チケット管理では、HubSpotがより成熟した機能を提供しています。特に複数のパイプライン(「技術サポート」「請求関連」「機能リクエスト」など)を分けて管理できる点や、CRMの顧客データと直結したレポートが出力できる点はHubSpotの強みです。
ナレッジベース
| 機能 |
HubSpot |
Intercom |
| 記事の作成・管理 |
Professional以上 |
全プランで利用可能 |
| カテゴリ・セクション分類 |
対応 |
対応(コレクション機能) |
| 検索機能 |
全文検索対応 |
AI搭載検索 |
| 多言語対応 |
多言語記事の管理 |
多言語対応 |
| AIによる記事提案 |
Breeze Assistantで補助 |
Finが自動で関連記事を提案 |
| 分析・効果測定 |
記事閲覧数、問い合わせ削減率 |
記事のパフォーマンス分析 |
料金比較
| 項目 |
HubSpot Service Hub |
Intercom |
| 無料プラン |
基本的なチケット管理 + チャット |
なし(14日間トライアル) |
| エントリー |
Starter: 月額$20/シート〜 |
Essential: 月額$39/シート〜 |
| 中間 |
Professional: 月額$100/シート〜 |
Advanced: 月額$99/シート〜 |
| 上位 |
Enterprise: 月額$150/シート〜 |
Expert: 月額$139/シート〜 |
| AIボット料金 |
プランに含まれる |
Fin: $0.99/解決 |
| 従量課金要素 |
データエージェント(クレジット) |
Fin AI(解決あたり課金) |
料金面で注目すべきは、AIボットの課金モデルの違いです。HubSpotはBreeze Customer Agentがプラン料金に含まれるため、問い合わせ量が増えてもAIボットのコストは変わりません。Intercomは解決あたり$0.99の従量課金のため、月間1,000件の問い合わせをFinが解決すると月額$990の追加コストが発生します。
ただし、Intercomは従量課金の代わりに高い解決率を提供しているため、人件費の削減効果と合わせて総コストを評価する必要があります。
企業規模・業種別の選定ガイドライン
HubSpot Service Hubが適しているケース
- マーケティング・営業・CSのデータを統合管理したい
- 既にHubSpotのMarketing HubやSales Hubを利用している
- チケット管理とナレッジベースを中心としたサポート運用
- AIボットのコストを固定化したい
- BtoB企業で、顧客数が数百〜数千件規模
Intercomが適しているケース
- チャットベースのリアルタイムサポートが業務の中心
- モバイルアプリ内にメッセンジャーを組み込みたい
- AIチャットボットで問い合わせの自動解決率を最大化したい
- SaaS・テック企業で、プロダクト内でのカスタマーコミュニケーションが重要
- プロアクティブメッセージでオンボーディングやエンゲージメントを改善したい
実際の選定事例
Atlassian(Jira、Confluenceを提供)は、プロダクト内のカスタマーコミュニケーションにIntercomを採用しています。SaaS製品のユーザーオンボーディングやプロダクト内ガイドにおいて、Intercomのメッセンジャー機能が効果を発揮しています。
一方、Suzuki(二輪・四輪メーカー)のヨーロッパ法人は、顧客管理と営業からカスタマーサービスまでの一貫した管理にHubSpotを採用しています。マーケティング→営業→アフターサービスのデータを統合し、顧客体験の向上を実現しています。
まとめ
HubSpotはCRM一体型のカスタマーサポートとして全体最適に強みを持ち、Intercomはチャットとメッセージングに特化した顧客体験の作り込みに長けています。料金面でもHubSpotはマーケ・営業・サービスをバンドル提供することでコストメリットを出しやすく、Intercomはシート単価こそ高いものの、チャット特化の機能価値で投資を回収する設計になっています。
どちらが最適かは、自社のサポート業務の優先課題次第です。CRM連携と全社データ活用を重視するならHubSpot、顧客とのチャット体験の質で差別化したいならIntercomが有力候補になります。まずは現場の課題を「CRM連携の弱さ」か「チャット体験の不足」のどちらにあるかで明確化し、両ツールのトライアルで実際の運用イメージを検証してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q1: HubSpotとIntercomを併用することは可能ですか?
はい、併用は可能です。HubSpot App MarketplaceにIntercomとの連携アプリが提供されており、Intercomのチャット履歴やコンタクトデータをHubSpotに同期できます。CRM・営業管理はHubSpot、カスタマーサポートのチャット対応はIntercomという使い分けが可能です。ただし、データの二重管理やコストの増加を考慮する必要があります。
Q2: IntercomからHubSpot Service Hubに移行する場合、データは引き継げますか?
Intercomからコンタクトデータ、チャット履歴、チケットデータをエクスポートし、HubSpotにインポートすることは可能です。ただし、チャットの会話履歴やカスタム属性のすべてを完全に移行することは難しい場合があります。移行前に、どのデータが必須でどのデータは参考程度でよいかを整理しておくことをおすすめします。
Q3: AIボットの精度はどちらが高いですか?
2025年時点では、IntercomのFin AIが全体的な解決率と回答の自然さで高い評価を受けています。Intercomは、Fin AIの平均解決率が50%以上(一部の企業では70%以上)と公表しています。HubSpotのBreeze Customer Agentも着実に精度を向上させており、特にHubSpotのナレッジベースと連携した回答においては高い精度を発揮します。AIボットの精度は、ナレッジベースの充実度にも大きく依存するため、どちらを選んでもナレッジベースの整備が成功の鍵です。
Q4: 日本語でのサポートはどちらが充実していますか?
HubSpotは日本法人(HubSpot Japan株式会社)があり、日本語のサポート、ドキュメント、トレーニング(HubSpot Academy)が充実しています。Intercomは日本法人はありませんが、プロダクト自体は日本語に対応しており、Fin AIも日本語での応答が可能です。ただし、技術サポートは英語対応が中心です。日本語でのサポート体制を重視する場合は、HubSpotが有利です。
Q5: カスタマーサクセス(CS)の観点ではどちらが優れていますか?
カスタマーサクセスの観点では、HubSpotが優位です。HubSpotはカスタマーヘルススコアの管理、フィードバック収集(NPS、CSAT)、カスタマーポータルなどのCS向け機能を提供しています。特に、マーケティング・営業データとサービスデータが統合されているため、顧客のライフサイクル全体を通じたヘルス管理が可能です。Intercomはサポート対応の効率化には強いですが、CS向けの分析や健康度管理の機能はHubSpotと比べると限定的です。