HubSpotスキルマップ|10領域で見る現場で求められる力

  • 2026年5月5日
  • 最終更新: 2026年5月5日
この記事の結論

HubSpotコンサルタントとして現場で求められる10のスキル領域と、初級から上級・エキスパートまでの4段階定義。

ブログ目次

記事の内容を、そのまま実務に落とし込みたい方向け

HubSpot導入、AI活用、CRM整備、業務効率化までをまとめて支援しています。記事で気になったテーマを、そのまま相談ベースで整理できます。


HubSpotコンサルタントとして現場で求められる10のスキル領域と、初級から上級・エキスパートまでの4段階定義。

「HubSpotの認定資格はいくつか取得しているけれど、コンサルタントとして自分に何が足りているのかが正直わからない」「案件に入ったとき、どの領域まで対応できれば一人前と言えるのか基準が見えない」——HubSpotのキャリアを考えはじめた方から、こうした声をよく聞きます。

資格の有無と実務スキルは、必ずしも一致しません。HubSpot Academyの認定を複数持っていても、現場で「データモデルを一から設計してほしい」「既存Salesforceからの移行を担当してほしい」と言われたとき、どこまで対応できるかは別の話です。

本記事では、HubSpotコンサルタントとして現場で求められるスキルを10領域に体系化し、各領域の4段階スキルレベル定義、自己評価の方法、スキルギャップを埋める学習ロードマップまでを実務観点で解説します。執筆はHubSpot Gold Solutions Partnerとして導入支援を行うStartLinkの実務観点に基づきます。

この分野の体系的な情報はHubSpot導入・活用ガイドでまとめています。

本記事はStartLinkの「HubSpotコンサルタントになるには|ロードマップ」シリーズ関連記事です。



この記事でわかること

  • HubSpotコンサルに必要な10のスキル領域 — 要件定義・データモデル設計・ワークフロー・各Hub・レポート設計・データ移行・AI活用まで、現場で問われる領域を体系的に整理します。認定資格では可視化されない「実務スキル」の全体像です。
  • 4段階スキルレベルの定義 — 各領域について「初級(概念理解)/中級(補助で実行)/上級(独立して主導)/エキスパート(設計を教えられる)」の4段階で何ができるかを定義します。自分の現在地を客観的に把握するための基準です。
  • スキルマップを使った自己評価方法 — 10領域×4段階のマトリクスで自分のスキルを可視化し、強み・弱みを整理する具体的な手順を説明します。
  • スキルギャップ別の学習ロードマップ — 「要件定義は中級だが、レポート設計は初級」のような具体的なギャップに対して、何から手をつけるべきかを案件タイプ別に整理します。
  • 専門化 vs ジェネラリストの選択 — 特定Hub・業種・フェーズに特化する道と、幅広く対応できるジェネラリスト型の道、それぞれの有利なシナリオと選択基準を解説します。

HubSpotコンサルタントとしてのスキル開発計画を立てたい方、または案件参画に向けて自分の準備状況を点検したい方に向けた内容です。



HubSpotコンサルタントに必要な10のスキル領域


スキルを10領域に分解する理由

HubSpotコンサルタントのスキルは、「HubSpotが使える」という一言では語れません。案件の規模・フェーズ・クライアントの業種によって、問われるスキルの種類と深さはまったく異なります。

実際の現場では、次のような場面で各領域の専門性が問われます。初期導入フェーズでは要件定義とデータモデル設計が核心になります。Sales Hubの本格活用フェーズではパイプライン設計とワークフロー構築が主役です。MA本格化フェーズではMarketing Hubと連携設計の知識が必要になります。既存システムからの移行案件ではデータ移行スキルが決定的な差になります。

これらをまとめると、HubSpotコンサルタントに求められる専門領域は次の10つに整理できます。

# スキル領域 現場での主な問われ方
1 要件定義 クライアントの業務フローをHubSpotの設計に落とし込む
2 データモデル設計 オブジェクト・プロパティ・リレーション設計
3 ワークフロー/オートメーション 業務自動化の設計と実装
4 Sales Hub 営業プロセスの設計・パイプライン・シーケンス
5 Marketing Hub MA・リードナーチャリング・スコアリング設計
6 Service Hub チケット管理・カスタマーサクセス設計
7 Data Hub/連携設計 外部システム連携・iPaaS活用・API連携
8 レポート設計 ダッシュボード・カスタムレポート・経営指標可視化
9 データ移行 既存SFA・CRMからのデータクレンジング・移行
10 AI活用 Breeze・ワークフロー内AI・生成AI連携

この10領域すべてを上級レベルまで習得できているコンサルタントは、実際にはほとんどいません。重要なのは、「自分がどの領域で何ができるか」を正確に把握し、案件とのマッチングを適切に行えることです。



各スキル領域の4段階定義

各スキル領域について、現場での実力を「初級・中級・上級・エキスパート」の4段階で定義します。重要なのは、自分の実態に即して正直に評価することです。


領域1: 要件定義

要件定義は、クライアントの現状業務フローを理解し、HubSpotで実現すべき設計に変換する力です。HubSpotの技術スキルの土台でもあり、コンサルタントとしての価値が最も問われる領域です。

レベル 定義 できること
初級 概念理解 要件定義の流れを知っている。シニアの要件定義に同席して議事録を取れる
中級 補助で実行 ヒアリング項目を事前に設計し、クライアントのAs-Is/To-Beを整理できる
上級 独立して主導 複数部門をまたぐ業務フローを一人でヒアリングし、HubSpot設計に変換できる
エキスパート 設計を教えられる 複雑な業務要件(マルチパイプライン・カスタムオブジェクト要否判断含む)を整理し、後輩に設計思想ごと伝えられる

要件定義で重要なのは、「HubSpotで何ができるか」という知識以上に、「クライアントのビジネス課題を正確に聞き出す力」です。「何を作ってほしいか」ではなく「なぜそれが必要で、現状何が困っているか」から入る姿勢が、上級以上の実力に直結します。


領域2: データモデル設計

HubSpotのデータ構造(コンタクト・会社・取引・チケット・カスタムオブジェクト)を正しく設計する力です。ここの設計が後工程のすべてに影響するため、「結構ミソになってくる」領域です。

レベル 定義 できること
初級 概念理解 コンタクト・会社・取引の標準オブジェクトとリレーションの概念を理解している
中級 補助で実行 標準オブジェクトの範囲でプロパティ設計ができる。カスタムプロパティを追加できる
上級 独立して主導 カスタムオブジェクトの要否を判断し、オブジェクト間リレーションを設計できる
エキスパート 設計を教えられる 業種・業務フロー・将来拡張性を考慮した最適なデータモデルを設計し、なぜその構造にすべきか説明できる

「項目は最小限に」という設計哲学がここに直結します。不要なプロパティを大量に作ると、利用率が低い項目が乱立し、現場での入力定着が悪化します。上級レベルでは、「このプロパティは本当に必要か」という判断を設計段階で行える実力が求められます。


領域3: ワークフロー/オートメーション

HubSpotのワークフロー機能を使った業務自動化の設計・実装力です。Professional以上のプランで使える機能であり、導入価値を最大化するための核心スキルです。

レベル 定義 できること
初級 概念理解 ワークフローのトリガーとアクションの概念を理解している
中級 補助で実行 通知・ライフサイクルステージ変更・メール配信などの基本ワークフローを単独で作れる
上級 独立して主導 条件分岐・遅延設計・複数ワークフロー間の依存関係を把握した上で、複合的な自動化を設計できる
エキスパート 設計を教えられる カスタムコード(NodeJS/Python)アクションを含む高度なワークフローを設計し、ワークフロー全体のガバナンス設計もできる

ワークフローのよくある落とし穴は「作りすぎ」です。計算プロパティやリスト機能で代替できるケースを見極め、ワークフローの数を最小限に保つ設計が上級以上の実力を示します。


領域4: Sales Hub

営業プロセスの設計・パイプライン構築・シーケンス活用など、Sales Hub機能の実装力です。BtoB企業への導入案件で最も頻繁に問われる領域の一つです。

レベル 定義 できること
初級 概念理解 パイプライン・取引ステージ・活動記録の概念を理解している
中級 補助で実行 パイプラインとカスタムステージを設定できる。シーケンスを使った営業メール配信ができる
上級 独立して主導 受注確率・必須入力プロパティを含むパイプライン設計を一人で完結できる。ABMやMRR管理も対応可
エキスパート 設計を教えられる パイプラインルール(ステージ省略禁止・逆行禁止・編集ロック)を含むガバナンス設計と、経営レポートとの連動まで設計できる

パイプライン設計で重要なのは4要素(取引ステージ・角度・ステージ定義・必須入力プロパティ)を揃えることです。特に受注確率(角度)の設定は、「1,000万円の案件でも確度10%なら加重で300万円」という形でフォーキャスト精度に直結します。


領域5: Marketing Hub

リードナーチャリング・フォーム設計・メールマーケティング・スコアリングなど、Marketing Hub機能の実装力です。

レベル 定義 できること
初級 概念理解 ライフサイクルステージ・フォーム・メール配信の概念を理解している
中級 補助で実行 ライフサイクルステージの設計と自動化ワークフローを実装できる
上級 独立して主導 スコアリング設計・ナーチャリングシナリオ・マーケティングコンタクト管理を一人で完結できる
エキスパート 設計を教えられる ファネル全体(リード→MQL→SQL→商談→顧客)を設計し、失注分析との連動まで含めた全体設計ができる

スコアリング設計では「エンゲージメントスコア(行動)50点+適合スコア(属性)50点の計100点MAX」「70点以上でIS/FSにトス」といった具体的な閾値設計が求められます。初級段階では概念だけ知っていても、上級ではこの閾値の根拠を業種・業務フローに応じて設計できることが基準になります。


領域6: Service Hub

チケット管理・ナレッジベース・カスタマーサクセス設計など、Service Hub機能の実装力です。

レベル 定義 できること
初級 概念理解 チケット・ヘルプデスク・カスタマーポータルの概念を理解している
中級 補助で実行 チケットパイプラインとカテゴリ分類を設計できる。ナレッジベースの記事作成ができる
上級 独立して主導 AIチャットボット設定・カスタマーサクセスのKPI設計・アンケート連動まで一人で対応できる
エキスパート 設計を教えられる 「攻めのカスタマーサポート」としてCS→アップセル・クロスセルの設計まで含めた、サクセスとセールスの連動設計ができる

Service Hubは「カスタマーサクセス管理顧客数が100社〜200社を超えたタイミングで本格導入を検討するHub」です。それ以下の規模ではチケット管理だけで十分なケースも多く、過剰設計にならないように規模判断できることが上級の証です。


領域7: Data Hub/連携設計

Data Hub(旧Operations Hub)の機能活用と、外部システム(kintone・Salesforce・freee等)との連携設計力です。

レベル 定義 できること
初級 概念理解 Data Hubの役割(データ同期・クレンジング・カスタムコード)を理解している
中級 補助で実行 Yoom・ZapierなどiPaaSを使った基本的なシステム連携ができる
上級 独立して主導 Data Hubのカスタムコードアクション・計算プロパティ・データ品質ツールを活用した連携設計ができる
エキスパート 設計を教えられる HubSpot REST APIを直接活用し、双方向同期・コンフリクト解決ルール含めた連携アーキテクチャ全体を設計できる

連携設計で問われる実力は「どのツールを使うか」より「なぜその連携方式を選ぶか」の判断です。ネイティブ連携・iPaaS・API直叩きのどれが適切かを要件とコストから判断できることが、上級以上のポイントになります。


領域8: レポート設計

ダッシュボード・カスタムレポートビルダー・経営指標の可視化設計力です。どのHubの案件でも必要になる横断スキルです。

レベル 定義 できること
初級 概念理解 ダッシュボードと標準レポートの種類を理解している
中級 補助で実行 標準レポートを使ったダッシュボードを構築できる
上級 独立して主導 カスタムレポートビルダーで複合レポート・2軸グラフを作成し、会議シーン別(経営会議用・営業会議用)にダッシュボードを設計できる
エキスパート 設計を教えられる 目標設定・ダッシュボード定期配信・スナップショット保存を組み合わせた経営管理体制を設計し、経営陣への報告フローまで設計できる

「まず既存の標準レポートを使い、足りなければカスタム」という順序で設計することが大切です。Proプランのレポート上限100件を意識し、ダッシュボードを意味合いごとに整理する設計思想が上級のポイントです。


領域9: データ移行

既存SFA・CRMからHubSpotへのデータクレンジング・インポート・移行設計力です。kintone・Mazrica・Salesforceなど国産・海外SFAからの移行案件で決定的に問われます。

レベル 定義 できること
初級 概念理解 インポート機能の基本操作(CSV/Excelインポート、プロパティマッピング)ができる
中級 補助で実行 データクレンジング(重複除去・姓名分割・表記統一)を実施し、大量データをインポートできる
上級 独立して主導 移行前後のデータ品質検証・ワークフロー発火リスク管理・移行段取り計画を一人で設計できる
エキスパート 設計を教えられる 複数オブジェクト・カスタムオブジェクト・関連付けを含む複雑な移行を設計し、移行後の差分管理・並行運用期間の設計もできる

インポート時の注意点として、「CSVは文字化けのリスクがあるためExcel形式を推奨」「インポート前に既存ワークフローの発火チェックが必須」「姓名は別カラムに分割してパーソナライズ精度を上げる」といった実務ノウハウが、中級以上の実力を示します。


領域10: AI活用

HubSpot Breeze・ワークフロー内AI・生成AI連携を活用した業務自動化と、AI機能の限界を正確に把握する判断力です。

レベル 定義 できること
初級 概念理解 Breeze AIの機能(コンテンツエージェント・コパイロット・スマートプロパティ)の概念を理解している
中級 補助で実行 スマートプロパティ設定・AIチャットボットのナレッジ設定ができる
上級 独立して主導 ワークフロー内AIアクションを使った問い合わせ分類・案件創出エージェント活用・AI×人間の役割分担設計ができる
エキスパート 設計を教えられる 日本語ビジネスマナーを考慮したプロンプト設計・AIの限界を踏まえた「最終判断は人間が行う」設計思想・AI機能のROI評価まで設計できる

AI活用で重要なのは「自律モードは使わない、必ず人間レビュー」という基本姿勢です。大型案件・高確度案件は自動送信せず人間が確認する設計にすること、AIは「営業アシスタント」として位置づけて過信しないことが、エキスパートレベルの実務判断です。



スキルマップを使った自己評価の方法


10領域×4段階で現在地を可視化する

自己評価の手順は次の通りです。

まず、10領域それぞれについて「初級(1)・中級(2)・上級(3)・エキスパート(4)」のスコアを自分に付けます。判断基準は「案件の中で実際にやったことがあるか」です。研修・学習・見学経験のみの場合は1段階下げて評価することを推奨します。

スキル領域 自己評価 (1〜4) 根拠となる実案件
要件定義
データモデル設計
ワークフロー/オートメーション
Sales Hub
Marketing Hub
Service Hub
Data Hub/連携設計
レポート設計
データ移行
AI活用

自己評価シートに記入するとき、「根拠となる実案件」の欄を必ず埋めることがポイントです。実案件での経験がない領域は、どれだけ知識があっても「中級」以上には評価しないことをおすすめします。


自己評価結果の3パターン

自己評価を行うと、多くの場合、次の3パターンに分類されます。

パターン①: 特定Hub集中型(例: Sales Hubのみ上級)

Sales HubとMarketing Hubは中級以上だが、Service Hub・Data Hub・AI活用は初級という状態です。BtoB営業支援の案件経験が豊富な方に多いパターンです。次のステップとしてはレポート設計の強化と、Service Hubの基礎固めが案件の幅を広げます。

パターン②: 広く浅い型(全領域が初〜中級)

10領域すべてで初級〜中級はあるが、上級以上の領域がない状態です。学習意欲は高いが実案件経験が少ない方に多いパターンです。次のステップとしては、得意な1〜2領域を意識的に「上級」まで引き上げる集中投資が有効です。

パターン③: 縦深型(要件定義・データモデルが上級、他は中級)

設計上流が強く、実装系(WF・連携)は補助レベルという状態です。上流コンサル型としての専門性は明確ですが、一人請負型の案件では実装力が求められる場面があります。



スキルギャップ別の学習ロードマップ


案件タイプ別に必要なスキルセットが違う

スキルギャップを埋める優先順位は、「どんな案件に入りたいか」によって変わります。

案件タイプ 最優先スキル 次に強化すべきスキル
初期導入(中小BtoB) 要件定義 + Sales Hub データモデル設計 + ワークフロー
MA本格活用 Marketing Hub + ワークフロー レポート設計 + スコアリング設計
移行案件(kintone→HubSpot等) データ移行 + データモデル設計 要件定義 + 連携設計
上流設計特化 要件定義 + データモデル設計 レポート設計 + ワークフロー
CS・サクセス強化 Service Hub ワークフロー + レポート設計


領域別の強化手順

各領域の学習で有効なルートは次の通りです。

要件定義・データモデル設計(書籍・実案件一択)

これら上流スキルは、HubSpot Academyの認定コースだけでは身につきません。シニアコンサルタントの案件に同席して「なぜこの設計を選んだか」を質問し、自分でも仮設計を作って比較するサイクルを繰り返すことが最速の習得ルートです。

Sales Hub・Marketing Hub・Service Hub(Academy認定 + 実案件)

HubSpot Academyの「Sales Hub Software認定」「Marketing Hub Software認定」「Service Hub Software認定」を学習の土台にし、実案件での設定経験を積み上げる形が効率的です。認定コースは「何ができるか」を体系的に学べますが、「なぜこの設定を選ぶか」は実案件でしか身につきません。

ワークフロー・レポート設計(デモ環境での実験 + 実案件)

HubSpotの無料アカウントまたはデモ環境を使い、様々なワークフローパターンやレポートを実際に組んでみることが有効です。「通知 → ステージ変更 → メール配信 → 条件分岐 → カスタムコード」という難易度順に習得する段階構成を意識してください。

データ移行・連携設計(実案件経験がほぼ必須)

データ移行スキルは、実際の移行案件に入らないと身につかない部分が大きい領域です。まずは小規模な移行(コンタクト数百件のkintone移行等)から経験を積み、その後に複数オブジェクト・カスタムオブジェクト含む複雑な移行に進む段階設計を推奨します。

AI活用(HubSpotアップデートの継続追跡が必須)

AI機能は半年ごとに大幅アップデートがあります。HubSpot Community・HubSpot Academyの新リリースコース・INBOUND等のイベント情報を定期的にキャッチアップし、「現在使えるAI機能の全体像」を常に最新の状態に保つことが重要です。



専門化 vs ジェネラリストの選択


どちらが有利かは「市場の状況」と「自分のキャリア段階」による

HubSpotコンサルタントとして活動する上で、「特定領域のスペシャリスト」を目指すか「広く対応できるジェネラリスト」を目指すかは、よく問われる問いです。

どちらが有利かは、2つの軸で判断するのが現実的です。

専門化 vs ジェネラリスト — 判断の2軸

軸①: 案件の獲得経路 — 紹介・個人受注型なら専門化が有利。パートナー経由の業務委託ならジェネラリスト型が対応範囲を広げやすい。

軸②: キャリア段階 — 経験5件未満ならまずジェネラリスト型で幅を作る。経験10件超えたら強い軸を1〜2本作る専門化を検討する。


専門化が有利なシナリオ

業種×Hub特化型

「SaaS企業のMRR管理×Sales Hubを専門にしている」「不動産会社のカスタムオブジェクト設計が得意」といった業種×Hubの組み合わせ特化は、非常に明確な差別化になります。同じ業種の案件が横展開しやすく、ノウハウの蓄積が速い点が利点です。

データ移行特化型

Salesforce・kintone・Mazricaなど特定SFAからHubSpotへの移行に特化するルートは、希少性が高く単価も高い傾向があります。競合するコンサルタントが少なく、移行後の「定着支援」まで含めると長期案件につながりやすいという特徴があります。

上流設計特化型

要件定義・データモデル設計・ワークフロー設計の上流を中心に担い、実装は他のコンサルタントに委ねるスタイルです。設計の質が直接成果に影響するため、単価が上がりやすい反面、「設計だけやる」という仕事が成立する規模の案件(30名以上の導入等)が必要になります。


ジェネラリスト型が有利なシナリオ

パートナー企業経由での案件参画

HubSpot Gold Solutions Partner等のパートナー企業から業務委託で案件に参画する場合、案件のタイプは毎回変わります。「Sales Hub中心の営業系案件」「MA構築中心のマーケ系案件」「Service Hub+データ移行の複合案件」をすべて対応できるジェネラリスト型は、参画できる案件数が多くなります。

少数精鋭型フリーランス

クライアント1社を継続的に担当し、初期導入から運用定着・改善まで一貫して伴走するスタイルです。単一クライアントでフェーズが変わるたびに異なるHubが主役になるため、幅広く対応できるジェネラリスト型の方が長期契約につながりやすい特徴があります。


推奨の判断基準

実案件経験が5件未満の段階では、まずジェネラリスト型として様々な案件・Hubに触れ、「自分が得意なフェーズ・業種・機能はどこか」を探索することを推奨します。

5件を超えたあたりで、自分のスキルマップを見直して「上位2〜3領域で特に強みのある軸を1本作る」方向に切り替えると、案件ポートフォリオを意図的に設計できるようになります。

認定資格とスキルの関係については、「HubSpot認定資格は仕事につながるか|資格と受注の本当の関係」もあわせてご参照ください。スキルマップで整理した領域と、どの認定が対応するかを紐づけて考えると、学習計画が立てやすくなります。



HubSpotスキルマップに関するよくある質問


Q. 全10領域を上級まで習得する必要がありますか?

必要はありません。現実的には、10領域すべてを上級レベルまで習得しているコンサルタントは稀です。重要なのは「2〜3領域で上級以上の実力を持ち、残りは中級レベルで対応できること」です。全領域を一定以上カバーしながら、特定領域で突出した強みを持つ形が、案件での信頼を得やすい構成です。


Q. スキルマップで初級ばかりの状態から始めるにはどうすればよいですか?

まず優先すべきは「要件定義」と「Sales Hub」または「Marketing Hub」のいずれかです。この3領域が中級レベルになれば、中小BtoBの初期導入案件の大半には対応できます。認定資格(Sales Hub Software認定またはMarketing Hub Software認定)の取得と並行して、小規模な実案件(知人企業のHubSpot設定代行等)から経験を積んでください。


Q. AI活用はいつから学ぶべきですか?

HubSpotのAI機能は進化が速いため、「いずれ学ぼう」と後回しにすると急速に置いていかれるリスクがあります。一方で、AI機能の多くはProfessionalプラン以上の機能であり、基礎的なHub(Sales Hub・Marketing Hub)の実務知識がないとAI機能を設計に活かすことも難しい状況です。目安としては、Sales Hub・Marketing HubのどちらかがHub的に中級になったタイミングで、並行してAI活用の学習を始めることを推奨します。


Q. スキルマップの評価を採用担当者やクライアントに提出することはできますか?

スキルマップは自己評価ツールであるため、そのまま「証明書」として提出するものではありません。ただし、「自分がどの領域で何ができるか」を整理した材料として、面談・案件参画時の自己紹介に活用することは有効です。各スキル領域の評価根拠として「実案件での担当内容」を具体的に語れる状態にしておくことが、信頼性を高めます。



まとめ:スキルマップは「今の自分の地図」として使う

HubSpotコンサルタントとして求められるスキルを10領域に整理し、各領域の4段階定義を解説しました。要点を整理します。

  • 10領域すべてを上級にする必要はない — 2〜3領域で上級以上の強みを作り、残りは中級レベルでカバーする構成が現実的です
  • 自己評価は実案件根拠で行う — 研修・学習のみの経験は1段階下げて評価することで、自分の現在地を正確に把握できます
  • 案件タイプによって最優先スキルが違う — 初期導入案件なら要件定義+Sales Hub、移行案件ならデータ移行+データモデル設計が最重要です
  • スペシャリスト vs ジェネラリストは段階で変わる — 実案件5件未満はジェネラリスト型で幅を作り、10件超えたら専門化の軸を決める流れが現実的です
  • スキルマップは定期的に更新する — HubSpotのAI機能・新Hub展開は速い。半年に一度は10領域の自己評価を見直すことを習慣化してください

HubSpotコンサルタントとしてのキャリア全体像については「HubSpotコンサルタントになるには|未経験から案件獲得までのロードマップ」も合わせてご参照ください。

案件を獲得するためのチャネル設計については「HubSpotコンサル案件の見つけ方|フリーランスが使うべき7つのチャネル」で詳しく解説しています。

AI時代にコンサルスキルをどう進化させるかについては「HubSpot×AI時代に生き残るコンサルスキル」も参考にしてください。


HubSpotコンサルタントとしてのキャリアを進めたい方へ

StartLink(HubSpot Gold Solutions Partner)では、HubSpot導入支援のご経験が5件以上あり、月20時間以上のHubSpot稼働が可能なフリーランス・業務委託の方を対象に、上流からのHubSpotコンサルティング案件をご紹介する 「LinkProject」 を運営しています。

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著者情報

7-1

今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLink 代表取締役。累計150社以上のHubSpotプロジェクト支援実績を持ち、Claude CodeやHubSpotを軸にしたAI活用支援・経営基盤AXのコンサルティング事業を展開。
HubSpotのトップパートナー企業や大手人材グループにて、エンタープライズCRM戦略策定・AI戦略ディレクションを経験した後、StartLinkを創業。現在はCRM×AIエージェントによる経営管理支援を専門とする。