「マーケティング戦略を立ててほしい」と言われたものの、何をどの順番で考えればいいかわからない——そんな経験をしたことがある方は少なくないでしょう。戦略の教科書を読んでも抽象的で実務に落とし込みにくく、結局は「とりあえず施策を実行する」という場当たり的なアプローチになってしまうケースが多く見られます。
マーケティング戦略の策定には「正しい順番」があります。環境分析から始まり、戦略の方向性を決め、具体的な施策に落とし込むという一連のプロセスを、適切なフレームワークを使いながら進めることで、誰でも実践的な戦略を作ることができます。
本記事では、マーケティング戦略の立て方を7つのステップに分解し、各ステップで使うべきフレームワークの実践的な活用法を解説します。テンプレートに沿って埋めていくだけで、自社のマーケティング戦略が形になるよう構成しています。
本記事は「BtoBマーケティングとは?BtoCとの違い・基本施策・始め方を完全解説」シリーズの一部です。
この記事でわかること
- マーケティング戦略を設計する7つのステップ — 市場分析から施策実行まで、順を追って戦略を組み立てる方法を解説します
- 各ステップで使えるフレームワーク — PEST・3C・STPなど、各段階で活用できるツールを紹介します
- 戦略を実行計画に落とし込む方法 — 戦略を具体的なアクションとKPIに変換するステップを示します
マーケティング戦略の立て方を体系的に学びたいマーケティング担当者・事業企画者の方に向けた内容です。
マーケティング戦略とは
マーケティング戦略とは、「誰に(Who)」「どんな価値を(What)」「どうやって届けるか(How)」を体系的に設計した計画のことです。
具体的な実践方法はマーケティングフレームワーク15選で詳しく解説しています。
| 要素 |
質問 |
アウトプット |
| Who(誰に) |
ターゲット顧客は誰か? |
ペルソナ、セグメント定義 |
| What(何を) |
どんな価値を提供するか? |
バリュープロポジション、ポジショニング |
| How(どうやって) |
どの手段で届けるか? |
マーケティングミックス(4P/4C) |
戦略なしに施策を実行するのは、地図なしに旅をするようなものです。方向が合っていなければ、どれだけ走っても目的地にはたどり着けません。
ステップ1:目的・ゴールを明確にする
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SECTION 03
ステップ1:目的・ゴールを明確にする
戦略策定の最初のステップは、マーケティングのゴールを定義することです。ゴールが曖昧なままでは、正しい戦略を立てることは不可能です。
この点についてはBtoBマーケティング戦略の立て方が参考になります。
SMARTゴールの設定
マーケティングゴールは「SMART」の基準で設定します。
| 基準 |
説明 |
良い例 |
悪い例 |
| Specific(具体的) |
何を達成するか明確 |
月間リード数を100件にする |
リードを増やす |
| Measurable(測定可能) |
数値で測れる |
CVRを2%に改善 |
CVRを上げる |
| Achievable(達成可能) |
現実的に実現可能 |
前年比130%の売上 |
前年比500%の売上 |
| Relevant(関連性) |
事業目標と整合 |
新規顧客からの売上30%増 |
フォロワー数1万人 |
| Time-bound(期限付き) |
達成期限が明確 |
2026年12月末までに |
いつか |
ゴールの階層構造
事業目標:年間売上5億円(前年比120%)
└ マーケティング目標:新規顧客からの売上2億円
└ リード目標:月間MQL 100件
└ 集客目標:月間サイト訪問 20,000セッション
ステップ2:外部環境を分析する(PEST分析)
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ステップ2:外部環境を分析する(PEST分析)
自社を取り巻くマクロ環境を理解するために、PEST分析を行います。
詳細はBtoBマーケティングのKPI設計ガイドをご覧ください。
| PEST要素 |
分析のポイント |
BtoBでの具体例 |
| Political(政治) |
法規制、政府方針、補助金 |
DX推進補助金、個人情報保護法改正 |
| Economic(経済) |
景気動向、為替、金利 |
IT投資予算の増減、人件費の上昇 |
| Social(社会) |
働き方の変化、価値観 |
リモートワーク普及、サステナビリティ |
| Technological(技術) |
技術トレンド、イノベーション |
AI活用、クラウド移行、ノーコード |
PEST分析のポイントは、単にトレンドを列挙するのではなく「自社のビジネスにどう影響するか」まで考察することです。
ステップ3:競合と自社を分析する(3C分析・SWOT分析)
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ステップ3:競合と自社を分析する(3C分析・SWOT分析)
3C分析
| 3C要素 |
分析項目 |
情報源 |
| Customer(市場・顧客) |
市場規模、成長率、顧客ニーズ、購買行動 |
業界レポート、顧客アンケート、営業ヒアリング |
| Competitor(競合) |
競合のシェア、強み・弱み、価格帯、施策 |
競合サイト、レビューサイト、展示会 |
| Company(自社) |
自社の強み・弱み、リソース、実績 |
社内データ、顧客の声、営業の肌感覚 |
SWOT分析とクロスSWOT
3C分析の結果をSWOTに落とし込み、4象限で戦略の方向性を導きます。
|
好影響 |
悪影響 |
| 内部要因 |
強み(Strengths) |
弱み(Weaknesses) |
| 外部要因 |
機会(Opportunities) |
脅威(Threats) |
クロスSWOTで戦略オプションを抽出:
- SO戦略(強み×機会):積極的に攻める戦略 → 最優先
- WO戦略(弱み×機会):弱みを克服して機会を活かす → 投資判断
- ST戦略(強み×脅威):強みで脅威を回避する → 差別化
- WT戦略(弱み×脅威):リスクを最小化する → 撤退判断
ステップ4:ターゲットを定義する(STP分析)
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SECTION 06
ステップ4:ターゲットを定義する(STP分析)
セグメンテーション
市場を細分化し、同質なニーズを持つ顧客群を特定します。BtoBでは以下の切り口で分けます。
- デモグラフィック:業界、企業規模、所在地、設立年数
- ニーズベース:解決したい課題、求める価値
- 行動ベース:情報収集チャネル、購買頻度、利用ツール
ターゲティング
複数のセグメントの中から、自社が注力するセグメントを選定します。
ターゲティングの評価基準:
| 基準 |
重み |
セグメントA |
セグメントB |
セグメントC |
| 市場規模 |
25% |
大 |
中 |
小 |
| 成長性 |
20% |
高 |
中 |
高 |
| 競合状況 |
20% |
激しい |
適度 |
少ない |
| 自社適合性 |
25% |
高 |
中 |
高 |
| アクセス可能性 |
10% |
高 |
高 |
低 |
| 総合評価 |
|
B |
A |
A |
ポジショニング
選定したターゲットに対して、競合とは異なる独自のポジションを確立します。ポジショニングマップ(2軸のマトリクス)を使って可視化すると効果的です。
軸の例:
- 価格帯(高価格←→低価格)× サポート品質(手厚い←→セルフサービス)
- 機能の広さ(オールインワン←→特化型)× 導入の容易さ(簡単←→カスタマイズ必要)
ステップ5:バリュープロポジションを設計する
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SECTION 07
ステップ5:バリュープロポジションを設計する
バリュープロポジションキャンバス
ターゲット顧客の「ジョブ(やりたいこと)」「ペイン(困っていること)」「ゲイン(望んでいること)」と、自社の製品・サービスが提供する価値をマッピングします。
| 顧客側 |
自社側 |
| ジョブ(やりたいこと) |
製品・サービスの機能 |
| ペイン(困っていること) |
ペインを解消する仕組み |
| ゲイン(望んでいること) |
ゲインを実現する仕組み |
メッセージングフレームワーク
バリュープロポジションを元に、マーケティングで使うメッセージ体系を設計します。
ワンメッセージ(一言で表す価値)
└ 3つの柱(主要な価値を3つに分解)
└ 各柱のサポートポイント(具体的な証拠・数値)
└ ターゲット別の表現バリエーション
ステップ6:マーケティングミックスを設計する(4P/4C)
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SECTION 08
ステップ6:マーケティングミックスを設計する(4P/4C)
4Pと4Cの対応
| 4P(企業視点) |
4C(顧客視点) |
BtoBでの設計ポイント |
| Product(製品) |
Customer Value(顧客価値) |
課題解決力、導入支援、カスタマーサクセス |
| Price(価格) |
Cost(コスト) |
ROIの提示、価格体系(月額/年額/従量) |
| Place(流通) |
Convenience(利便性) |
直販/パートナー/オンライン |
| Promotion(販促) |
Communication(対話) |
コンテンツ、広告、セミナー、展示会 |
施策ポートフォリオの設計
限られた予算とリソースを最適に配分するために、施策の優先順位を決めます。
予算配分の考え方:
| 施策カテゴリ |
配分目安 |
役割 |
| コンテンツ制作 |
30〜40% |
中長期の集客基盤構築 |
| 広告運用 |
20〜30% |
短期のリード獲得 |
| ツール・インフラ |
15〜25% |
MA/CRM等のテクノロジー |
| イベント |
10〜20% |
認知拡大・関係構築 |
ステップ7:KPI設計と実行計画の策定
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SECTION 09
ステップ7:KPI設計と実行計画の策定
KPIの設計
ファネルの各段階にKPIを設定し、進捗を可視化します。
| ファネル段階 |
KPI例 |
目標値の設定方法 |
| 認知 |
サイト訪問数、インプレッション |
ゴールから逆算(CVR×目標リード数) |
| リード獲得 |
リード数、CVR、CPL |
過去実績 or 業界ベンチマーク |
| 育成 |
MQL数、メール開封率・クリック率 |
リード数×MQL化率で逆算 |
| 商談化 |
SQL数、商談化率 |
MQL数×商談化率で逆算 |
| 受注 |
受注数、受注率、受注金額 |
SQL数×受注率で逆算 |
実行計画(90日プラン)
戦略を実行に移すために、最初の90日間の具体的なアクションプランを作成します。
| 期間 |
重点テーマ |
具体的アクション |
| 1〜30日 |
基盤整備 |
ペルソナ確定、コンテンツ計画策定、ツール選定 |
| 31〜60日 |
仕組み構築 |
Webサイト改修、初期コンテンツ制作、MA設定 |
| 61〜90日 |
運用開始 |
コンテンツ公開、広告運用開始、ナーチャリング開始 |
よくある失敗パターンと回避策
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SECTION 10
よくある失敗パターンと回避策
| 失敗パターン |
原因 |
回避策 |
| 分析に時間をかけすぎる |
完璧を求めて実行が遅れる |
分析は2〜3週間で区切り、仮説ベースで進める |
| ターゲットが広すぎる |
「全部狙いたい」という欲求 |
最初は1つのセグメントに絞り、成功後に拡大 |
| 戦略と施策が乖離する |
戦略の共有・浸透不足 |
戦略を1枚のシートに要約し、全員が参照 |
| KPIが最終成果だけ |
途中のプロセスが管理できない |
ファネル全体のKPIを設計し、先行指標を追う |
| 一度作って放置する |
環境変化への対応不足 |
四半期ごとに戦略をレビュー・アップデート |
HubSpotで実現するマーケティング戦略の立て方
マーケティング戦略の立て方を実務に落とし込むには、CRMツールの活用が不可欠です。詳しくは「HubSpotのMA(Marketing Hub)とは?機能一覧と、実務での活用・導入での注意点を徹底解説!」で解説しています。
まとめ
- マーケティング戦略は、7つのステップを順番に進めることで体系的に策定できます
- 1. ゴール設定:SMARTな目標を定義する 2. 外部環境分析:PEST分析でマクロ環境を把握する 3. 3C・SWOT分析:競合と自社のポジションを理解する 4. STP分析:ターゲットを絞り、ポジショニングを決める 5. バリュープロポジション:提供する独自の価値を明確化する 6. 4P設計:具体的なマーケティングミックスを設計する 7. KPI・実行計画:数値目標と90日プランに落とし込む
- 戦略策定で最も重要なのは「完璧を目指さないこと」です
- 80点の戦略を素早く作り、実行しながら改善していくアプローチが、最も確実に成果につながります
マーケティング戦略の策定や見直しをご検討の方は、HubSpotゴールドパートナーのStartLinkにお気軽にご相談ください。HubSpotを活用した戦略設計と実行を一気通貫でご支援いたします。
よくある質問(FAQ)
Q1. マーケティング戦略の立て方とは何ですか?
マーケティング戦略の立て方とは、企業の業務効率化や成果向上を目的とした取り組み・手法のことです。本記事で解説している通り、適切な設計と運用が成功の鍵となります。導入前に自社の課題を明確にし、段階的に取り組むことが推奨されます。
Q2. マーケティング戦略とはで最も重要なポイントは何ですか?
最も重要なのは、明確な目標設定とKPIの定義です。ゴールが曖昧なまま施策を進めると、効果測定ができず改善サイクルが回りません。まず「何を達成したいか」を具体的な数値で定義し、そこから逆算して施策を設計することが成功への近道です。
Q3. マーケティング戦略の立て方を始める際の最初のステップは?
最初のステップは現状分析です。自社の課題を洗い出し、優先順位をつけたうえで、最もインパクトの大きい領域から着手します。いきなり全体を変えようとせず、小さく始めて成功体験を積み重ねるアプローチが効果的です。HubSpotなどのツールを活用すれば、データに基づいた意思決定が可能になります。
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