マーケティングフレームワーク15選|目的別の使い方と実務への活用順序

  • 2026年3月3日
  • 最終更新: 2026年10月12日
この記事の結論

15のマーケティングフレームワークを目的別に整理し、分析結果を施策と効果測定に渡す手順を解説します。

ブログ目次


15のマーケティングフレームワークを目的別に整理し、分析結果を施策と効果測定に渡す手順を解説します。

本記事は2026年8月時点の情報です。

「3C分析で顧客・競合・自社を整理したものの、次にどの施策を優先すべきかわからない」
「SWOT分析の結果が、具体的な施策に結び付かない」
「施策の数字を追っているけれど、戦略を見直す基準が定まらない」——そんな悩みはありませんか。

マーケティングフレームワークとは、市場や顧客の状況を整理し、戦略や施策の判断を支える思考の枠組みです。表を埋めた後に「何を決めるか」「何が分かれば見直すか」まで定めると、実務に使いやすくなります。

本記事は「BtoBマーケティングとは?BtoCとの違い・基本施策・始め方を完全解説」シリーズの一部です。


この記事でわかること

マーケティング施策を企画・見直す担当者に向けて、環境分析から効果測定までの手法を紹介します。読み進めながら自社で判断したい問いを一つ選び、該当する手法の「確認する情報」「比較する選択肢」「次に進む条件」を確かめてください。

最初の表は、後述するビジネスモデルキャンバスの各ブロックを示します。顧客に届けたい価値を起点に、必要な活動や資源、収益とコストの関係をたどれます。価値を届ける方法を説明できないブロックがあれば、施策を決める前に提供体制を確認してください。

ブロック 内容
顧客セグメント 誰に価値を提供するか
価値提案 どんな価値を提供するか
チャネル どうやって届けるか
顧客との関係 どんな関係を構築するか
収益の流れ どうやって収益を得るか
リソース 価値を生むために必要な資源
主要活動 価値を生むために行う活動
パートナー 外部との協力関係
コスト構造 事業を運営するためのコスト

次の表は、施策を設計する際に使うAIDMAとAISASの段階を並べたものです。自社の顧客が情報を探す場面や社内で検討する場面を確認し、どの段階に説明が不足しているかを探す手がかりにしてください。

AIDMA(従来型) AISAS(デジタル時代)
Attention(注意) Attention(注意)
Interest(興味) Interest(興味)
Desire(欲求) Search(検索)
Memory(記憶) Action(行動)
Action(行動) Share(共有)
  • 15の手法の全体像 — 環境分析、戦略立案、施策実行、効果測定のどの段階で使うかを整理します。
  • 使う順番とつなぎ方 — 分析で得た事実と仮説を、対象顧客や提供価値の決定にどう渡すかを説明します。
  • 各フレームワークの使いどころ — 何を比較し、どの条件で次の判断に進むかを示します。
  • 効果測定と改善の進め方 — 指標を確認した後、施策を続けるか、修正するか、上流の前提を見直すかを考えます。
  • 運用時の注意点 — 判断理由と見直し条件をチームで共有する方法を説明します。

マーケティングフレームワークの全体像と活用順序

施策を選ぶ前に、顧客の課題と自社が届けたい価値を確かめます。そのうえで顧客との接点を設計し、結果を見て当初の判断が妥当だったかを確認します。すでに根拠をもって決められている段階は繰り返す必要はありません。判断の根拠が曖昧な箇所に戻って使います。

次の表は、顧客の検討段階ごとに行動、心理、接点、提供する情報を整理したものです。営業やサポートで確認した質問を該当する段階に置き、顧客が次に進むための判断材料が足りているかを調べてください。実際の行動と異なる行は、その段階の想定を見直します。

段階 顧客の行動 感情・心理 タッチポイント 提供コンテンツ
課題認識 業務の問題に気づく 「何とかしたい」 検索、SNS ブログ記事、業界レポート
情報収集 解決策を調べる 「どんな方法があるか」 検索、ウェビナー ホワイトペーパー、比較記事
比較検討 ベンダーを比較する 「どれが最適か」 Webサイト、営業 事例、デモ、ROI試算
意思決定 稟議を通す 「上司を説得したい」 提案書、見積 稟議支援資料、導入計画書
導入・活用 利用を開始する 「うまく使いこなせるか」 サポート 導入ガイド、トレーニング

4段階で考える

最初に「市場の変化を知りたい」「届ける相手を決めたい」「施策を改善したい」など、判断したい問いを言葉にします。その問いに合う段階を選び、結果を次の段階へ渡します。

次の表は、各段階の目的と手法を対応させたものです。たとえば「比較検討中の顧客が導入体制を繰り返し尋ねる」という記録があるなら、環境分析では質問の背景を確かめ、戦略立案ではその顧客に説明できる価値を決めます。施策実行では必要な説明を接点に用意し、効果測定では質問や商談の進み方を確認します。質問の背景が分からなければ、提供する資料を決める前に顧客や営業担当へ確かめます。

段階 目的 使用するフレームワーク
1. 環境分析 現状を正しく把握する PEST分析、5Forces、3C分析、SWOT分析
2. 戦略立案 方向性を決定する STP、ポジショニングマップ、バリュープロポジションキャンバス、ビジネスモデルキャンバス
3. 施策実行 具体的な施策を設計する 4P/4C、カスタマージャーニーマップ、AIDMA/AISAS、コンテンツマトリクス
4. 効果測定 成果を測定・改善する KPIツリー、PDCA、OODA

次の表では、段階ごとに答える問いを示します。前の段階の答えが曖昧なら、確認済みの情報と仮説を分け、誰に何を確かめれば次へ進めるかを決めてください。答えを説明できる段階まで確認できたら、その結果を次の担当者へ渡します。

段階 判断したいこと フレームワーク
環境分析 市場、顧客、競争環境、自社の状況はどうなっているか PEST分析、5Forces分析、3C分析、SWOT分析
戦略立案 誰に、どの価値を、どの位置づけで届けるか STP分析、ポジショニングマップ、バリュープロポジションキャンバス、ビジネスモデルキャンバス
施策実行 顧客にどのような体験や情報を届けるか 4P・4C分析、カスタマージャーニーマップ、AIDMA・AISAS、コンテンツマトリクス
効果測定 目標に対して何が進み、何を改善するか KPIツリー、PDCA、OODAループ

上流の判断を次の段階へ渡す

環境分析では、営業記録や顧客の発言から確認できる事実と、その理由についての仮説を分けます。たとえば「比較段階で導入体制について質問された」は記録で確認できますが、「導入負担が購入を妨げている」は検証すべき解釈です。

次に、その課題を持つ顧客が誰か、自社がどう応えられるか、ほかの選択肢と比べて何を説明できるかを整理します。対象顧客と提供価値を言葉にできたら、顧客の検討段階に合う施策を設計します。説明できない場合は、施策を増やす前に顧客の声や営業情報を確認します。

施策担当者へ渡す際は、「どの顧客の、どの質問に答えるか」「回答の根拠は何か」「実行後にどの反応を確かめるか」を添えます。顧客の質問と施策の内容が対応していなければ、配信方法を決める前に内容を見直します。

Excelや個人管理で止めない

分析表や施策を個人の表計算ファイルで管理している場合は、顧客情報や進捗の記録と照らし合わせ、判断の理由を追えるか点検します。表ごとに結論だけを残すのではなく、参照した情報、採用した仮説、担当、見直し条件を共有します。

CRMを活用する場合は、まず施策の判断に使う情報を決めます。その情報が記録され、商談の進行などと照らして確認できる状態になったら、必要に応じて記録項目やレポートを広げます。記録が続かない場合は、項目を増やす前に入力の目的と担当を見直します。


環境分析のフレームワーク4選

環境分析では、外部の変化、顧客の課題、競争環境、自社の状況を区別します。得られた情報から「どの顧客について、何を確かめるべきか」を決めるところまで進めます。

PEST分析

PEST分析は、政治・経済・社会・技術の観点から、自社を取り巻く変化を整理する方法です。まず顧客の業務や購買判断に関係しそうな変化を挙げ、情報源と確認状況を記録します。次に「顧客の課題が変わるか」「自社の提供方法を変える必要があるか」を問い、影響を説明できる変化を優先して検討します。

以下の3Cの表は、PESTで見つけた変化が顧客、競合、自社にどう表れるかを確認する際にも使えます。顧客の質問や自社の対応に変化が見つかれば関連する項目を調べ、情報が得られない項目は推測で埋めずに確認事項として残します。

3C 分析項目 情報の集め方
Customer 市場規模、顧客ニーズ、購買行動、課題 市場調査、顧客インタビュー、アンケート
Competitor 競合の強み・弱み、戦略、シェア 競合サイト分析、レビューサイト、営業情報
Company 自社の強み・弱み、独自資源、実績 社内データ、顧客満足度調査、VRIO分析

次の表は、PESTの観点を顧客への影響に結び付けるための問いです。変化を見つけたら、影響を受ける顧客と、その変化を確認できる情報を記録します。施策への影響を説明できない項目は、対応を決めずに確認を続けます。

観点 確認する情報 判断につなげる問い
Politics(政治) 法規制、政策 制度変更は顧客の業務や購買判断に影響するか
Economy(経済) 景気、為替、金利 顧客の投資や予算配分はどう変わりそうか
Society(社会) 人口動態、価値観 顧客の働き方や期待に変化があるか
Technology(技術) 技術革新、普及状況 新しい技術は課題の解決方法を変えるか

顧客への影響を説明できる変化は、3C分析や戦略立案で検討します。影響が不確かな変化は仮説として残し、顧客への質問や営業記録で確かめます。新たな情報によって影響の見方が変わったときが、PESTを見直す条件です。

5Forces分析

5Forces分析は、業界の競争環境を五つの力から捉える方法です。顧客が選べる方法、参入する企業、提供に必要な仕入先などを整理し、自社がどの条件で選ばれるかを検討します。

次の表では、各項目で集める情報を確認できます。自社の顧客や提供内容に関係する項目から調べ、判断に使った情報の出所を残します。

力 分析のポイント
既存企業間の競争 競合の数と規模、差別化の程度
新規参入の脅威 参入障壁の高さ、必要な投資規模
代替品の脅威 代替となる製品・サービスの存在
買い手の交渉力 顧客のスイッチングコスト、価格感応度
売り手の交渉力 サプライヤーの独占度、原材料の代替性

次の表は、同じ五つの力を顧客の選択肢や自社の依存関係から確認するための視点です。顧客が比較している方法と、自社が提供する際の制約を分けて記録してください。比較対象が確認できたら提供価値を検討し、提供上の制約が未確認なら約束する内容を決める前に社内で確かめます。

力 確認する視点
既存企業間の競争 競合の数や規模、差別化の程度
新規参入の脅威 参入障壁や必要な投資
代替品の脅威 顧客が別の方法で課題を解決できるか
買い手の交渉力 顧客の選択肢や切り替えやすさ、価格への感応度
売り手の交渉力 仕入先や提供元への依存度、原材料を別のものに置き換えられるかを確認する

各項目について「顧客の選び方」と「自社の提供能力」のどちらに影響するかを分けて考えます。顧客が代替手段を比較しているなら、その手段と比べた提供価値を確認します。仕入先への依存が提供条件に影響するなら、施策を約束する前に社内の対応可能な範囲を確かめます。

3C分析

3C分析は、市場・顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の視点から戦略の方向性を探る方法です。顧客が解決したい課題を起点に、顧客が比べる選択肢と自社が提供できることを並べます。

次の表は、各視点で確認する項目と情報源の例です。顧客の課題が確認できたら、競合との比較で自社が説明できる価値を探します。競合情報が不足している場合は、推測と確認済みの内容を分けます。

視点 主な分析項目 情報の例
Customer 市場、ニーズ、購買行動、課題 顧客インタビュー、アンケート、営業記録
Competitor 強み、弱み、戦略、顧客への訴求 競合サイト、レビュー、営業活動で得た情報
Company 自社の強み、弱み、資源、提供実績 社内データ、顧客の評価、提供体制

分析後は「この課題を持つ顧客に、自社は何を提供できるか」を一文にします。顧客の声と自社の実績で説明できれば、STP分析で対象顧客を具体化します。社内が強みと考える点を顧客が評価しているか分からない場合は、顧客への質問や商談での反応を確認してから位置づけを決めます。

SWOT分析

SWOT分析は、自社の強み・弱みと、外部環境の機会・脅威を整理する方法です。PESTや3Cで得た情報を持ち込み、項目ごとに事実、解釈、仮説を区別します。

次の表は、内部と外部の条件を組み合わせて、対応の方向を考えるためのものです。各マスに施策名を先に書くのではなく、どの顧客にどの価値を届ける判断につながるかを検討します。

機会(O) 脅威(T)
強み(S) 強みを生かして機会を広げる 強みを生かして脅威に対応する
弱み(W) 弱みを補いながら機会を活用する 弱みと脅威が重なるリスクを抑える

複数の方向が出たら、顧客にとっての価値、提供できる体制、事業方針との整合性で比較します。根拠を説明できる方向は戦略立案へ渡し、重要でも根拠が不足する方向は何を確認すれば判断できるかを決めます。顧客の反応や外部条件が変わったら、組み合わせを見直します。


戦略立案のフレームワーク4選

戦略立案では、分析で見つけた課題や機会を「誰に、どの価値を、どう届けるか」という選択に変えます。顧客の課題と自社の提供能力を照らし、施策を設計できる程度まで対象と価値を具体化します。

STP分析

STP分析は、市場を分ける(Segmentation)、注力する顧客層を選ぶ(Targeting)、顧客に対する位置づけを決める(Positioning)という手順で考えます。

次の表を使い、分類した顧客層を実際の記録や営業活動で見分けられるか、層ごとに届ける価値を変える必要があるかを確認します。見分けられない分類では施策の対象を決めにくいため、確認できる課題や行動から分類し直します。

ステップ 検討すること アウトプット
Segmentation 顧客を共通する特徴や課題で分類する セグメントの整理
Targeting 自社が価値を届けやすい層を選ぶ 対象顧客の定義
Positioning 顧客に選ばれる理由を定める 提供価値の説明

BtoBでは、業界、企業規模、課題などを分類の切り口にできます。まず顧客の課題に差があるかを見て、差に応じて提供内容や伝え方を変えられる分類を選びます。対象顧客と選ばれる理由を営業・マーケティングで同じ言葉で説明できれば、施策設計に進みます。分類しても対応が変わらない場合は、切り口を見直します。

ポジショニングマップ

ポジショニングマップは、顧客の購買判断に関係する二つの軸で、自社とほかの選択肢の位置関係を整理する方法です。軸は社内で強調したい特徴から決めるのではなく、顧客が比較時に尋ねる点や選択理由から選びます。

たとえば導入の容易さと提供内容を軸にする場合、それぞれを顧客がどう評価するかを確認します。価格帯を軸にする場合も、顧客の判断に関係する負担や価値と合わせて見ます。競合の位置を裏付ける情報が不足する箇所は仮説と示し、その位置を前提に訴求を決める前に営業情報や顧客の声で確かめます。

マップを作った後は、空いている位置を探すだけで終わらせず、「その違いを顧客が重視するか」「自社が実際に提供できるか」を確認します。どちらかが確かめられなければ、軸または位置づけを見直します。

バリュープロポジションキャンバス

バリュープロポジションキャンバスは、顧客が達成したいこと、課題、期待する結果と、自社の提供価値との対応を整理します。顧客側の記述を先に確認し、その課題に提供内容がどう応えるかを結び付けます。

次の表は、顧客側と提供側で対応を確かめる項目です。顧客の発言や行動で確認できたことと、自社が想定していることを分けて記録してください。対応する顧客の課題を示せない提供内容は、訴求に使う前に確認します。

顧客プロファイル 価値マップ
ジョブ:顧客が達成したいこと 製品・サービス:提供する機能や支援
ペイン:課題や不満 ペインリリーバー:課題を軽減する仕組み
ゲイン:期待する結果 ゲインクリエイター:期待する結果を生む要素

提供内容を説明できても、それに対応する顧客の課題が確認できなければ、訴求を決める前に顧客へ確かめます。顧客の課題と提供可能な内容が対応したら、営業資料やコンテンツで何を伝えるかを決めます。顧客の質問が想定と異なれば、対応関係を見直します。

ビジネスモデルキャンバス

ビジネスモデルキャンバスは、事業の仕組みを顧客、提供価値、チャネル、収益、活動、資源などの要素で整理する方法です。顧客に届けると決めた価値を、事業として提供できるか確認します。

次の表では、各ブロックの関係をたどれます。顧客セグメントと価値提案から始め、その価値を届けるチャネル、活動、必要な資源を確認してください。必要な活動を担えるか分からない場合は、施策の実行範囲を決める前に担当部門と確認します。

ブロック 整理する内容
顧客セグメント 価値を届ける相手
価値提案 顧客に提供する価値
チャネル 価値を届ける方法
顧客との関係 顧客との関係の築き方
収益の流れ 収益を得る仕組み
リソース 価値の提供に必要な資源
主要活動 価値を生む活動
パートナー 協力する外部の相手
コスト構造 事業を運営するコスト

キャンバスを整理したら、検討中の施策ごとに対象顧客、届ける価値、必要な活動、確認する指標を並べます。顧客への価値を説明でき、実行に必要な体制も確認できる施策から具体化します。体制や提供条件が合わない場合は、施策の範囲または事業の仮説を見直します。


施策実行のフレームワーク4選

施策実行では、決めた対象顧客と提供価値を、顧客が情報を得て判断する過程に合わせます。コンテンツや広告を個別に選ぶ前に、顧客がどの段階で何を知りたいかを確認します。

4P・4C分析

4P・4C分析は、施策を売り手側と買い手側の視点から整理します。自社が提供する内容や届け方を決めた後、顧客から見た価値、負担、利用のしやすさ、対話の機会を照らし合わせます。

次の表は、施策設計で対応する視点を示します。各行について、自社の決定が顧客の判断をどう助けるか説明できるか確認してください。

4P(売り手視点) 4C(買い手視点) 設計のポイント
Product(製品) Customer Value(顧客価値) 機能だけでなく、体験やサポートも含めて設計
Price(価格) Cost(顧客のコスト) 金銭的コストだけでなく、導入の手間や学習コストも考慮
Place(流通) Convenience(利便性) 顧客が最も購入しやすいチャネルを設計
Promotion(販促) Communication(対話) 一方的な発信ではなく、双方向のコミュニケーションを設計

次の表では、同じ対応を顧客への問いとして確認します。売り手側の施策案と買い手側の経験が合わない行があれば、顧客の質問や利用時の行動を確認し、調整する箇所を決めます。

4P(売り手の視点) 4C(買い手の視点) 検討すること
Product(製品) Customer Value(顧客価値) 顧客の課題に対し、どの価値を届けるか
Price(価格) Cost(顧客のコスト) 金銭面と導入・学習の負担をどう捉えるか
Place(流通) Convenience(利便性) 顧客が情報を得て利用を始める方法は何か
Promotion(販促) Communication(対話) 顧客とどのように情報をやりとりするか

たとえば情報提供の経路を決めても、顧客が必要な資料にたどり着けなければ、届け方を見直します。顧客側の利点と負担を説明できたら施策を実行し、問い合わせや商談で示される疑問をもとに調整します。

カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップは、顧客が課題を認識してから導入・活用に至るまでの行動、心理、接点を整理します。まず顧客から実際に受けた質問や、商談で確認した行動を段階に置きます。

次の表は、段階ごとの関心と接点の例です。自社の顧客がたどる流れと比べ、情報や支援が足りない段階を見つけます。

段階 顧客の行動・関心 接点や支援の例
課題認識 業務の課題に気づく 検索、ブログ記事
情報収集 解決方法を調べる ウェビナー、比較情報
比較検討 選択肢を比べる Webサイト、営業、事例
意思決定 社内で導入を検討し、稟議を通す 提案書、導入計画、稟議支援資料
導入・活用 利用を始め、定着を目指す サポート、導入ガイド、トレーニング

顧客の行動を企業側の理想だけで描くと、実際の検討とずれることがあります。営業やサポートが把握する質問と照らし、確認できない行動は仮説とします。各段階で顧客が次に進むために必要な情報を特定できたら、提供するコンテンツや担当する接点を決めます。新しい質問が繰り返し現れたら、マップを見直します。

AIDMA・AISAS

AIDMAとAISASは、購買行動を段階で捉えるモデルです。AIDMAは注意、興味、欲求、記憶、行動の流れを、AISASは注意、興味、検索、行動、共有の流れを表します。

どちらかの流れを顧客にそのまま当てはめる前に、実際に確認できる行動を並べます。たとえば、顧客が情報を検索した後に社内の関係者と比較しているなら、その検討に必要な説明を確認します。行動の根拠が不足している段階は営業や顧客への質問で確かめ、確認できた段階に合わせて情報提供を設計します。想定した流れと実際の質問が合わなければ、モデルに合わせて施策を増やす前に顧客の検討過程を描き直します。

コンテンツマトリクス

コンテンツマトリクスは、顧客の検討段階とコンテンツ形式を組み合わせ、制作や改善の優先順位を考えるために使います。空欄を埋める前に、その段階で顧客が抱える疑問と、現在の情報で答えられるかを確認します。

次の表は段階と形式を並べたものです。既存コンテンツを置き、顧客から質問されるのに答えが不足している箇所を探します。形式を選ぶ際は、その疑問に答える根拠を示せるか、顧客が検討する接点で届けられるかを比べてください。

検討段階 ブログ ホワイトペーパー 動画 事例 ウェビナー
認知 課題の解説 基礎資料 概要紹介
興味 解決方法の解説 詳細資料 活用方法 導入背景 解説・質疑
比較 比較情報 検討資料 操作紹介 導入内容 個別テーマ
決定 導入案内 導入後の情報

制作する内容は、質問の重要性、既存情報での回答状況、用意できる根拠を比べて決めます。公開後は閲覧状況だけでなく、問い合わせでの質問や商談の進行と照らします。想定した疑問に答えられていなければ内容を修正し、顧客の疑問そのものが違えば段階の捉え方を見直します。


効果測定のフレームワーク3選

効果測定では、指標の定義、集計対象、確認時点を揃えて結果を比較します。条件が揃わない場合は記録方法を確認し、結果の違いを施策の効果とは判断しません。条件が揃っていても、施策以外の変更が結果に影響していないか確かめます。そのうえで、施策を続けるか変えるか、対象顧客や提供価値の前提に戻るかを判断します。

KPIツリー

KPIツリーは、最終目標であるKGIと、その達成に関係する中間指標をつなぐ方法です。指標の関係を整理すると、結果が想定と異なるときに、どの段階の記録と判断を確かめるべきかを考えられます。

次の画像は、HubSpotレポート「取引パイプラインの件数・金額」(ステージ別)です。施策から商談までの結果を確認する際は、各ステージの定義や集計対象も合わせて確認します。

HubSpotレポート「取引パイプラインの件数・金額」(ステージ別)

売上、受注数、商談数、MQL数、リード数、サイト訪問数をつなぐ場合は、自社で使う指標の定義と計算の前提を明記します。ある段階の結果が変わったら、その前後の指標を確認し、記録方法の変更、顧客の反応、施策内容のどこに違いがあるかを調べます。指標同士の関係を説明できない部分は、目標に使う前に定義を見直します。

リードの記録が増えても商談への進行が想定と異なる場合は、リードと商談の定義、対象顧客、集計期間、記録漏れを確認します。同じ条件で比較でき、記録も揃っていれば、商談に進んだ顧客と進まなかった顧客の質問や対応履歴を見比べます。条件が異なる、または記録が欠けている場合は、施策の評価を保留して記録方法を揃えます。対応履歴が残っていない場合は、進行の違いを生んだ理由まで判断できません。

カスタムレポートビルダーの「Summarized data」セクションでは、レポートの主要なKPIの概要を確認できます(出典:カスタムレポートビルダーでレポートを作成する)。

マーケティングの施策データをCRMに記録する場合は、コンタクトから取引、顧客へとつながる情報と照らして、獲得後の進行も確認します。判断に使わない項目を増やす前に、現在の記録で次の施策を決められるか確かめます。

PDCA

PDCAは、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)を繰り返す方法です。実行前に、対象顧客、施策の仮説、確認する反応、結果に応じた判断を決めます。

次の表は各段階で行うことの例です。評価の段階では、計画時に決めた指標と顧客の反応を照らして考えます。

ステップ 内容 BtoBマーケティングでの実践
Plan(計画) 仮説を立てて施策を設計 キーワード選定、コンテンツ計画、広告設計
Do(実行) 計画に基づいて施策を実施 コンテンツ公開、広告配信、メール送信
Check(評価) KPIの達成状況を確認 アクセス解析、リード数確認、CVR分析
Act(改善) 評価結果に基づいて改善 記事リライト、LP改善、ターゲティング調整

次の表は、結果を次の行動に戻すための確認事項です。施策の実施状況と顧客の反応を分けて見れば、実行上の問題と仮説の問題を区別しやすくなります。

段階 マーケティングで行うこと
Plan 顧客、課題、施策、評価指標を決める
Do 計画したコンテンツや施策を実行する
Check 指標と顧客の反応を確認する
Act 継続、修正、中止を判断する

想定した顧客に届いていなければ、まず届け方を確認します。届いていても想定した反応がなければ、課題や提供価値の仮説に戻ります。反応が判断に足る形で記録されていなければ、継続や中止を決める前に確認方法を整えます。判断の理由と変更内容を残し、次の評価で同じ前提を確認できるようにします。

OODAループ

OODAループは、観察(Observe)、状況判断(Orient)、意思決定(Decide)、行動(Act)の流れで、変化に応じた判断を進める方法です。顧客から新しい質問が続くなど、計画時の前提が変わった可能性があるときに使えます。

次の表は、観察した事実をそのまま施策変更に結び付けず、意味を確認してから行動を決める手順です。顧客の質問が変わった場合は、質問がどの接点で生じたか、従来の説明で答えられるかを調べてから対応を選びます。

段階 進め方
Observe 顧客の反応や市場の変化を把握する
Orient 自社の状況や既存の仮説に照らして意味を考える
Decide 対応する施策や優先順位を決める
Act 決めた行動を実行し、次の観察につなげる

数値の変化だけで施策を切り替えず、記録条件と顧客への影響を照らし合わせます。記録条件が変わっていた場合は比較方法を整え、顧客の質問や行動から前提の変化を確認できた場合は対応範囲を決めます。どちらとも判断できない場合は、確認する接点、観察する反応、再判断の条件を定めます。実行後は、顧客の疑問や行動と対応が合っていたかを確かめます。


フレームワーク活用の注意点

フレームワークは、情報を整理して意思決定を助けるものです。作成した資料の数ではなく、判断の理由を説明でき、結果を受けて見直せるかを基準に使います。

次の表は、運用時に確認したい点です。それぞれについて、誰が情報を確認し、どの判断に使うかを決めておきます。情報が更新されたときは、その変更によって結論も変わるかを確かめます。

注意点 説明
フレームワークは手段であり目的ではない 「埋めること」が目的にならないよう注意
全部使う必要はない 目的に応じて必要なものを選択する
定期的に更新する 一度作って終わりではなく、環境変化に応じて見直す
チームで共有する 個人の頭の中に留めず、チーム全体で活用する
データに基づく 推測ではなく、可能な限り実データで裏付ける

目的に合う手法を選ぶ

最初に解決したい問いを決めます。市場の変化が顧客に及ぼす影響を知りたいならPEST分析、顧客・競合・自社の関係を整理したいなら3C分析、施策のどの段階を見直すか知りたいならKPIツリーを使います。

問いに答えられたら、次に必要な判断だけを進めます。十分な情報がなくても試せる施策なら、仮説と確認する反応を明記して実行します。顧客や提供価値を説明できない場合は、施策の評価より先に上流の前提を確かめます。

事実と仮説を分ける

分析の表には、確認できた事実と、まだ検証していない仮説が混在しやすくなります。項目ごとに情報源と確認状況を添えます。営業記録で確認できた顧客の質問と、その質問から推測した課題は別に記録します。

重要な仮説については、何を確かめれば採用、修正、保留を判断できるか決めます。顧客の課題なら質問や行動、競合の位置づけなら比較時に挙がる選択肢など、判断に合う情報を確認します。

チームで引き継げる運用にする

分析結果を共有するときは、結論とともに判断に使った情報、未確認の前提、次に見直す条件を残します。用語や指標の定義、更新担当をそろえれば、担当者が変わっても同じ前提から検討できます。

CRMを使う場合は、顧客情報、活動履歴、商談状況、成果指標のうち、実際の判断に必要なつながりを確認します。入力されない項目があれば、項目の必要性と記録方法を見直します。運用できている範囲が確認できたら、次に必要な情報を加えます。

結果を次の判断に戻す

施策の結果が想定と違ったときは、実行内容、届けた顧客、顧客の反応、当初の課題認識を順に確認します。実行が計画と違えば運用を修正し、実行できていても反応が違えば、顧客や提供価値の仮説に戻ります。

見直しのきっかけは、顧客の質問が変わる、指標の動きが想定と異なる、施策の実行条件が変わるなど、判断に影響する変化から決めます。更新した理由も記録し、次の担当者が判断をたどれるようにします。


HubSpotを使った実務への落とし込み

フレームワークで決めた顧客像や施策を実務につなぐには、顧客接点と成果を確認できる記録が役立ちます。記録する目的は、施策の件数を増やすことではなく、顧客の反応を見て次の判断をすることです。

顧客情報から施策の振り返りまでつなぐ

表計算ファイルや個人管理のメールに情報が分散している場合は、まず施策を判断するために必要な顧客の接点と商談情報を洗い出します。HubSpotを使う場合は、コンタクトの情報と活動履歴を記録し、商談や顧客の状態と照らして振り返ります。

たとえば、特定の顧客層に向けた情報提供を検討するなら、次の点を先に決めます。

  • 見分け方 ── その層をどう見分けるか
  • 記録する内容 ── 接点で何を記録するか
  • 内容を変える基準 ── どの反応を見て内容を変えるか

必要な情報が記録できていなければ、分析を増やす前に入力方法を整えます。

最小限の運用から始めて広げる

最小限の運用は、次の順で始めます。

  1. 優先順位を決める ── 最初に優先する顧客層、施策、成果指標を決めます。
  2. 記録項目とレポートを用意する ── その判断に必要な記録項目とレポートを用意します。
  3. 使われているか確認する ── 入力の目的を担当者に共有し、記録した情報が施策や営業の次の対応に使われているか確認します。

記録が続き、指標をもとに判断できるようになったら、別の施策や指標へ広げます。記録が続かない場合は、項目の数や入力の手順を見直します。HubSpotの機能だけで顧客理解や戦略が決まるわけではないため、判断基準はチームで設計します。企業様によって最適な形は異なります。

マーケティング戦略の具体的な進め方は、マーケティング戦略の立て方もあわせてご覧ください。HubSpotの機能や活用方法は「HubSpotのMA(Marketing Hub)とは?機能一覧と、実務での活用・導入での注意点を徹底解説!」で紹介しています。


よくある質問

マーケティングフレームワークはどの順番で使いますか?

環境分析、戦略立案、施策実行、効果測定の順で考えます。ただし、すでに根拠をもって決められている段階は、その判断を確認して次へ進めます。施策の結果が想定と異なれば、実行内容、対象顧客、顧客の反応を順に確かめます。実行上の問題なら施策を修正し、顧客の課題についての想定が違えば対象顧客や提供価値の判断に戻ります。

15個すべてを毎回使う必要がありますか?

すべてを使う必要はありません。まず「何を決めたいか」を明確にし、その判断に必要な手法を選びます。顧客・競合・自社の関係が曖昧なら3C分析から始め、対象顧客を決める段階でSTP分析へ進みます。施策の改善が目的なら、指標の比較条件と顧客の反応を確かめ、上流の前提を見直す必要があるか判断します。

次の表はOODAループの手順と活用場面です。急な変化を見たときも、観察した事実の意味を確かめてから対応を決めるために使えます。記録の条件や顧客の状況が分からない場合は、対応を決める前に確認する情報を定めます。

ステップ 内容 活用場面
Observe(観察) 市場や顧客の変化をリアルタイムに観察 アクセス急増/急減、競合の動き
Orient(状況判断) 観察結果を自社の状況に照らして判断 原因分析、機会/リスクの判断
Decide(意思決定) 次のアクションを素早く決定 施策の追加、変更、中止
Act(行動) 即座に実行 広告予算の再配分、緊急コンテンツの制作

施策実行や効果測定の手法だけを使えますか?

対象顧客と提供価値が明確なら、施策実行や効果測定から取り組めます。まず、その前提をチームで説明できるか確認してください。説明できなければ簡潔な環境分析に戻ります。成果が想定と異なる場合は、指標の比較条件と施策の実行状況を確かめます。条件が揃っていても顧客の反応が想定と違えば、顧客や戦略の仮説を見直します。

BtoBマーケティングでは何を重視するとよいですか?

顧客の課題と購買過程を把握し、マーケティングでの接点から営業活動、商談、顧客化までをつなげて考えます。顧客が各段階で必要とする情報を営業やサポートの記録と照らし、施策の結果を見て次の対応を決めます。部門間で顧客や指標の定義が異なる場合は、成果を比較する前にそろえます。


まとめ

マーケティングフレームワークは、顧客や市場の状況を整理し、戦略、施策、効果測定をつなぐために使います。表を完成させたら、結論の根拠と次に進む条件を確認しましょう。

まずは、顧客、課題、現在の施策のうち、見直したい問いを一つ選んでください。

  1. 顧客の声や営業記録を確認し、事実と仮説を分けて課題を整理します。
  2. 問いに合うフレームワークを使い、対象顧客と届ける価値を決めます。根拠が足りなければ、何を確認するかを先に定めます。
  3. 施策と確認する指標を決めます。結果が想定と異なれば比較条件と実行内容から確かめ、必要に応じて顧客や戦略の前提に戻ります。

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著者情報

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今枝 / Imaeda

株式会社StartLink 代表取締役。累計150社以上のHubSpotプロジェクト支援実績を持ち、Claude CodeやHubSpotを軸にしたAI活用支援・経営基盤AXのコンサルティング事業を展開。
HubSpotのトップパートナー企業や大手人材グループにて、エンタープライズCRM戦略策定・AI戦略ディレクションを経験した後、StartLinkを創業。現在はCRM×AIエージェントによる経営管理支援を専門とする。