1on1の記録は、面談で話したことを次の支援につなぐためのものです。何を残し、誰が読み、次回何を確認するかを決めると、記録を振り返りに使えます。
「前回話した課題に、その後どう対応したか思い出せない」
「マネージャーが引き受けた対応が、次の面談までに進んだか分からない」
「面談の内容を個人のメモに残しているが、継続した支援に使えていない」
1on1の記録とは、面談で話した業務上の課題や成長の希望、合意した行動を、後から振り返れる形で残すことです。ただし、会話を詳しく書くだけでは活用できません。記録する前に共有目的と閲覧範囲を決め、面談後には担当者と次の確認事項を残します。
この記事でわかること
記録をこれから始める場合も、既存の面談メモを活用する場合も、まず「誰の何のための記録か」を決める必要があります。この記事では、記録する内容を選び、次の面談で使えるか確かめるまでの手順を紹介します。
- 記録する意義 — 前回の話題、本人の受け止め、マネージャー側の対応をどうつなげて確認するかを解説します。
- 記録する5項目 — コンディション、業務、成長、フィードバック、次の行動について、残す内容と次回の確認点を紹介します。
- テンプレートと運用ルール — 記録の粒度、担当者、共有範囲を決め、書き手が変わっても振り返れる形を整理します。
- ツールとチームでの活用 — 記録の用途からツールを比較し、個人の支援とチーム課題の検討で情報をどう分けるかを説明します。
1on1ミーティングは、マネージャーとメンバーが行う1対1の面談です。前回の約束や支援後の状況を確認できなければ、話題がその場限りになりかねません。面談で得た気づきを継続して扱う考え方は、ナレッジマネジメントにも通じます。
1on1を記録すると面談の継続性が生まれる
記録の役割は、会話を文字にすることだけではありません。次の点をつないで確認することです。
- 前回の論点
- その後に取った行動
- 現在の状況
この順序で読み返し、同じ課題が続いているなら支援の進め方を話し合います。状況が変わっているなら、以前の記録を前提にせず、今必要な支援を本人に確認します。
メンバーの変化を時系列で捉える
面談では、業務量や仕事への手応え、挑戦したいことなどが話題になります。一回の発言だけでは、課題が解消したのか、別の形で続いているのか判断できません。前回の記録を見て、まず本人が何を課題と捉えていたかを確認し、次に支援後の状況を本人へ尋ねます。
例えば、業務量について相談があった後にタスク管理を見直したなら、次の面談では「仕事の進めやすさに変化はあったか」を確認します。変化が見られなければ、本人の取り組みだけを問題にせず、業務の割り振りや支援内容も話し合います。本人の言葉、実施した対応、現在の状況を分けて残し、何を続け、何を変えるかを決めます。
マネージャー側の対応を追跡する
1on1では、メンバーだけでなくマネージャーが引き受ける行動も生まれます。次のような対応です。
- 研修情報を共有する
- 関係者に相談する
- 業務量の調整を検討する
「対応する」とだけ書くと、次回に進捗を確かめられません。誰が何を行い、次の面談で何を報告するかを残します。対応が進まなかった場合は、理由を共有したうえで、続ける、方法を変える、取りやめるのいずれかを本人と相談します。次に確認すべき相手や情報があるなら、その担当も記録します。
個人の記録から組織の課題を考える
似た業務上の課題が複数の面談で出た場合は、役割分担や手順など、チームで見直すべき点がないか検討できます。暗黙知の可視化の考え方を応用し、個々の気づきを業務上の論点として整理する方法です。ただし、似た相談があることだけで原因を決めず、業務の実態も確認します。
その際は、面談記録をそのまま共有しません。まず、課題の検討に個人を特定する情報が必要かを判断します。不要なら、本人の相談内容とチームで扱う論点を分けて要約します。要約しても本人が特定されるおそれがある場合は、共有範囲や取り上げ方を改めて検討します。共有できる論点を整理できた段階で、チームとして確認する業務や手順を決めます。
1on1で記録する5つの項目
記録する項目は、「次回の対話や支援に使うか」を基準に選びます。
共通項目があると振り返りやすくなりますが、毎回すべてを埋めることは目的にしません。話題にならなかった内容は推測で補わず、必要なら次回の確認事項にします。
次の画面は、HubSpotのCRM画面内でNotionページを閲覧・編集できるページ閲覧モーダルです。記録の保管場所を検討するときは、画面上で見られるかだけでなく、面談の内容に応じた閲覧範囲を確認します。

コンディションと業務の状況
コンディションには、本人が共有した状態と、その背景として本人が話したことを残します。記録する必要があるか、誰が読むかを先に確認し、本人が共有していない事情を推測して書きません。尺度を使う場合も、点数だけで状態を判断せず、本人の説明と合わせて振り返ります。記録が次回の支援に必要ないほど詳しくなっていないかも確認します。
業務の進捗と課題には、仕事の状況、困っていること、求める支援を記します。進捗だけで終わらせず、支援が必要なら誰が何を確認するかまで決めます。課題の背景がまだ分からない場合は、結論を急がず、次回に尋ねることを残します。
成長、学び、フィードバック
成長と学びには、本人が身についたと感じることや、挑戦したい仕事を記録します。過去の希望を固定した前提にせず、次回以降も考えに変化がないか本人へ確認します。希望する経験と現在の業務に差がある場合は、どの機会を検討できるか話し合います。
フィードバックは、マネージャーから伝えた内容と、メンバーから受け取った内容を分けます。良かった点も見直したい点も、具体的な出来事と合わせて残します。受け止め方が分からないときは推測せず、本人に確認する事項とします。
ネクストアクション
ネクストアクションには、メンバー側とマネージャー側の行動を分けて記載します。担当者、行動内容、次に確認する場面が分かれば、面談後の対応を追えます。未完了の行動は機械的に引き継がず、必要性や実行を妨げた条件を話し合ってから次の対応を決めます。
| 項目 |
記録する内容 |
次回に確認すること |
| コンディション |
本人が共有した状態と背景 |
前回からの変化と本人の受け止め |
| 業務の進捗と課題 |
進捗、困りごと、必要な支援 |
支援後の状況や残る課題 |
| 成長と学び |
学んだこと、挑戦したいこと |
経験を積む機会や希望の変化 |
| フィードバック |
双方向の具体的なコメント |
受け止め方や次の工夫 |
| ネクストアクション |
担当者、行動、確認時期 |
実行状況と次の対応 |
続けやすい記録テンプレートを作る
テンプレートを作る際は、「誰が読むか」「何を次回確認するか」「どこまで詳しく残すか」の順に決めます。
閲覧する人によって必要な情報は変わります。次回の確認に使わない詳細を増やすより、本人の言葉と合意事項を区別できる形にします。
面談前に前回の行動を確認する
面談前には、前回合意した行動、その担当者、継続中の話題を確認します。未完了の行動があれば、実施できなかった理由を決めつけず、現在の状況を尋ねる準備をします。記録の保管場所や閲覧権限が曖昧な場合は、内容を参照する前に確認します。前回の記録が見つからなければ、記憶で補って話を進めず、本人と合意事項を確かめます。
面談後に担当と次の確認時期を残す
面談後は、会話をすべて書き起こすのではなく、本人が共有したこと、双方で合意したこと、次の行動を分けてまとめます。担当者が決まらなかった行動は推測で割り当てず、「担当を確認する」と記載します。次の構成を使い、話題になった欄から記入します。
| 欄 |
記入例の観点 |
| 日付、参加者 |
面談を行った日と参加者 |
| コンディション |
本人が共有した状態と背景 |
| 業務の進捗と課題 |
現状、課題、求める支援 |
| 成長とフィードバック |
学び、挑戦、双方向のコメント |
| 次の行動 |
担当者、行動内容、次回の確認事項 |
記入後は、次の面談に必要な情報が読み取れるかを確認します。行動は書かれていても担当者が分からないなら、担当を確認する事項を残します。本人の相談内容を詳しく残す必要がなければ、対応に必要な範囲へ記述を絞ります。チームごとのテンプレートは、扱う情報と閲覧者を決めてから調整します。
書き手が変わっても読める言葉を使う
略語や文脈が分からない表現は、後から読んでも行動につながりません。「本人が話したこと」「確認できた事実」「合意した行動」を区別して書きます。別の担当者が読む可能性がある記録では、担当者と次の確認事項を読める形にしつつ、共有目的に不要な個人的情報を含めないよう確認します。
記録を育成とチーム運営に活かす
記録を活用する場面は、次のように分けられます。
- 本人との振り返り
- マネージャーによる支援の見直し
- チームの業務課題の検討
同じ記録をすべての場面でそのまま使うのではなく、目的に合わせて参照する内容と共有範囲を決めます。
評価やキャリアの対話を補助する
過去の記録は、どのような課題があり、本人とマネージャーが何を試したかを振り返る材料になります。ただし、記録された発言だけで成果や意欲を判定しません。評価やキャリアについて話す際は、記録に残った出来事を本人と確認し、現在の考えや記録に含まれていない事情も尋ねます。
挑戦したい仕事についても、一度の発言を変わらない希望として扱わないことが大切です。希望が続いているなら経験を積む機会を検討し、変わっているなら記録を更新します。希望と現在の業務機会に差がある場合は、何を試せるかを一緒に考えます。
マネージャー自身の関わりを振り返る
マネージャーは、前回引き受けた対応が進んだか、本人の課題を十分に確認できたかを記録から振り返れます。支援につながらなかった場合は、質問の仕方だけでなく、担当や確認時期が曖昧ではなかったかも見直します。担当者の交代時には、引き継ぎに必要な合意事項と未完了の対応を確認し、共有する情報を必要な範囲に絞ります。引き継ぎ後は、新しい担当者が本人と現在の状況を確かめます。
組織課題とサーベイを照らし合わせる
組織サーベイなどで気になる傾向が見られた場合、1on1で共有された業務上の論点を、追加で確認するテーマの検討に使えます。面談記録だけでサーベイ結果の原因を決めることはできません。まず共通する論点があるかを確認し、次に業務の実態を別の方法でも確かめます。本人の相談内容を共有する必要があるかは、目的と閲覧範囲に照らして判断します。業務上の課題を確認できたら、見直す手順や役割を決め、その後の面談で状況を確かめます。
ツール選びと共有ルールを設計する
ツールを比べる前に、記録を読む人、探す情報、追跡したい行動を決めます。
既存の方法で前回の論点と担当者を確認できるなら、その方法を使い続ける選択もあります。記録が見つからない、閲覧範囲を管理しにくい、行動を追えないといった支障があれば、その原因に合う機能を比較します。
ツールの特性と用途を照らし合わせる
| ツール種別 |
挙げられている例 |
活用しやすい場面 |
選ぶ際の確認点 |
| 1on1専用ツール |
TeamUp、HRBrain、カオナビ |
面談記録やコンディションの推移を扱う |
閲覧範囲と人事評価との関係 |
| 汎用ツール |
Notion、Google ドキュメント、Confluence |
既存の文書やデータベースで記録を始める |
検索、権限、テンプレートの管理 |
| CRM |
HubSpot CRM |
営業チームの面談を取引状況と合わせて確認する |
面談記録の機微さとCRMの閲覧権限 |
表の例は、導入先を決めるための順位ではありません。個人の相談を扱うなら閲覧範囲を先に確認し、営業上の対応を追うなら担当と次の行動を確認できるかを比べます。両方の目的がある場合は、情報を同じ場所に置く必要があるかも検討します。比較しても必要な共有範囲を設定できない場合は、その情報を記録する場所から見直します。
HubSpot CRMを営業チームの流れに位置づける
営業チームの1on1では、案件に関する課題と次の対応を、営業活動の文脈で確認する場合があります。そのときも、面談で話した内容のすべてをCRMに記録するとは決めず、営業上の対応に必要な情報を選びます。
営業上の対応をHubSpot CRMに残す場合は、後から案件の状況と合わせて確認したい情報を選びます(参照:CRMレコードの管理)。運用を決める際は、どの情報をどのレコードに関連付けるか、誰が閲覧できるかを管理者が確認します。個人の相談内容と営業上の対応が混在するなら、記録する内容や保管場所を分けて検討します。
HubSpot CRMでは、ノート機能に面談内容を記録し、タスク機能で次の対応を管理することで、商談の進捗やパイプラインの状況と合わせた振り返りやコーチングに活用できます。
閲覧範囲と振り返り方法を定める
共有範囲は、読む人の役割だけでなく、読む目的から決めます。本人とマネージャーが次回の対話で使う記録、マネージャーが担当する対応の確認、チームで検討する業務課題の要約では、必要な情報が異なります。人事や上位管理職への共有が必要な場合は、目的と対象範囲を本人へ説明します。
振り返る際は、記録の件数ではなく、次に決めたいことから確認します。未完了の行動をどう扱うかを決めるなら担当者と状況を見ます。繰り返す業務課題を検討するなら、個人の相談内容から共有可能な論点を整理します。振り返りで決めた対応は、次回確認できる記録へ戻します。
小さく始め、運用を見直す
運用は次の順に進めます。
- 目的を決める
- 記録を試す
- 次回に使えたか確かめる
次の面談で使えなかった場合は、入力を増やす前に、必要な情報が欠けていたのか、見つけにくかったのか、共有範囲が合っていなかったのかを切り分けます。原因に応じて、記録の書き方、保管場所、共有ルールを見直します。
最初に対象と目的を決める
まず、どのチームの面談を対象にするかを決めます。次に、記録の主な用途を一つ選びます。営業上の支援を追うなら案件に関する課題と対応、成長の対話を続けるなら本人の希望と経験の変化が中心になります。
用途が複数ある場合は、記録を読む人と共有してよい内容を用途ごとに確認します。一つのテンプレートで扱いにくければ、共通の項目を残しながら、相談内容と業務上の行動を分けます。企業様によって最適な形は異なります。判断の基準は、次回の面談で必要な内容を確認でき、本人に共有範囲を説明できるかです。
テンプレートを試し、記録負担を確かめる
共通の5項目をもとにテンプレートを作り、実際の面談で使います。次回に参照しなかった欄は、目的を確認してから統合や削除を検討します。必要な行動が読み取れなかった場合は、欄を増やす前に、担当者や確認事項の書き方を見直します。
面談中の入力で会話が途切れるなら、要点だけを控え、終了後に合意事項を整理する方法を試します。記録の負担が続く場合は、次回の支援に使う情報から優先して残します。情報を減らした後も担当者と次の確認事項が分かるなら、その粒度で運用を続けます。
振り返りの結果から段階的に広げる
試した後は、前回の論点を見つけられたか、本人と対応状況を確認できたか、次の行動を決められたかを確かめます。できなかった箇所に応じて、記録項目、保管場所、閲覧範囲のどれを直すか選びます。
個人の面談からチーム課題の検討へ広げるのは、共有する目的と要約方法を決め、本人の相談内容を必要以上に広めずに扱えると確認してからです。既存の管理方法で次の面談までつなげられるなら、その方法を活かします。ツールの変更は、運用上の支障と必要な条件が明らかになった段階で検討します。
よくある質問
1on1の記録には何を書けばよいですか?
コンディション、業務の進捗と課題、成長と学び、双方向のフィードバック、次の行動を基本項目にできます。最初に次回確認したいことを決め、話題になった項目を記録します。担当者が決まらなかった行動は推測で埋めず、確認事項として残します。次回に使わなかった項目は、記録する目的を確かめてから見直します。
1on1の記録は誰と共有しますか?
記録を使う目的から共有先を決めます。本人とマネージャーが振り返る内容と、チームで検討する業務課題は分けて扱います。共有先を広げる必要が生じたら、目的と対象範囲を本人に説明し、共有する内容を選び直します。要約しても個人が特定される場合は、共有の仕方を再検討します。
HubSpot CRMで1on1を管理できますか?
営業チームの面談で、営業上の課題や次の対応を確認する用途が考えられます。導入を決める前に、記録したい内容、関連付けるレコード、閲覧できる人を確認します。個人の相談内容を扱う場合は、その目的と閲覧範囲に照らして保管方法を別に検討します。
記録は面談中と面談後のどちらに行いますか?
会話を続けながら要点を残せるなら面談中に記録できます。入力で対話が途切れるなら、面談中は合意事項を確かめ、終了後に本人の言葉と次の行動を整理します。どちらの場合も、次回に担当と対応状況を確認できるかを基準に見直します。
まとめ
1on1の記録を活用するには、残す内容より先に、利用目的と閲覧範囲を決めます。そのうえで、本人が話したこと、双方が合意したこと、次の行動を分けて記録し、次回の面談で確かめます。
まずは、現在の記録方法で前回の話題と次の行動を追えるかを確認してください。進め方は次のとおりです。
- 記録を誰が何のために使うか決め、共有範囲を本人に説明します。
- 5項目をもとに、担当者と次回の確認事項が分かるテンプレートを作ります。
- 次の面談で実際に参照し、足りない情報、使わない欄、探しにくい記録を見直します。
CRMを活用した業務効率化やAIとの連携に関するご相談は、StartLinkまでお気軽にお問い合わせください。
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