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「自社サイトのデザインが古くなり、リニューアルを検討している」「WordPressからHubSpot CMSへ移行したいが、SEOの評価を落としたくない」——Webサイトリニューアルは、BtoB企業にとってマーケティング基盤を刷新する大きなプロジェクトです。
HubSpotのContent Hub(旧CMS Hub)は、CRM・マーケティングオートメーションと一体化したSaaS型CMSです。リニューアルの際にHubSpot CMSを選択する最大のメリットは、Webサイトの訪問者データがCRMに自動的に蓄積され、マーケティング・営業活動に直接活用できる点にあります。
本記事では、HubSpot CMSへのWebサイトリニューアルを計画・実行するために必要な手順を、移行元のCMS別のポイントやSEO引き継ぎの注意点を含めて解説します。
この記事でわかること
- HubSpot CMSでリニューアルするメリットと判断基準
- リニューアルプロジェクトの全体スケジュールと進め方
- テーマの選定とカスタマイズの方法
- 他CMSからの移行手順(WordPress、静的HTML等)
- SEOの評価を落とさないためのリダイレクト設定
リニューアル前の判断基準
HubSpot CMSでリニューアルすべきケース

すべてのWebサイトリニューアルでHubSpot CMSが最適とは限りません。以下の条件に複数当てはまる場合に、HubSpot CMSでのリニューアルが効果的です。
- HubSpot CRMをすでに導入している、または導入予定である
- Webサイトからのリード獲得を強化したい
- マーケティング担当者がエンジニアに依頼せずにページ更新を行いたい
- セキュリティやサーバー運用の負荷を削減したい
- パーソナライゼーション(訪問者属性に応じた表示切り替え)を実現したい
リニューアル規模の見極め
| リニューアル規模 | ページ数の目安 | 期間の目安 | 主な作業 |
|---|---|---|---|
| 小規模 | 〜20ページ | 2〜4週間 | テーマ適用、コンテンツ移行、基本設定 |
| 中規模 | 20〜100ページ | 1〜2ヶ月 | テーマカスタマイズ、ブログ移行、リダイレクト設定 |
| 大規模 | 100ページ以上 | 2〜4ヶ月 | カスタムテーマ開発、段階的移行、SEO監視 |
リニューアルプロジェクトの全体フロー
フェーズ1:企画・設計(1〜2週間)
リニューアルの目的とゴールを明確にし、現行サイトの棚卸しを行います。
現行サイトの棚卸し項目
- 全ページのURL一覧の作成
- 各ページのアクセス数・コンバージョン数の把握
- 残すページ・統合するページ・削除するページの仕分け
- 現行サイトのSEO評価が高いページの特定
- フォーム・CTAの一覧と移行要件の整理
フェーズ2:テーマ選定・デザイン(1〜2週間)
HubSpotのテーママーケットプレイスからテーマを選定するか、カスタムテーマを開発するかを決定します。
テーマ選定のポイント
- レスポンシブデザインに対応しているか
- 必要なページテンプレート(トップ、製品、事例、ブログ等)が揃っているか
- カスタマイズの柔軟性(カラー、フォント、レイアウトの変更範囲)
- ページ速度のパフォーマンス
- HubSpotの最新機能(ドラッグ&ドロップ対応など)への対応状況
フェーズ3:コンテンツ移行(1〜3週間)
現行サイトのコンテンツをHubSpot CMSに移行します。移行方法は現行CMSによって異なります。
WordPressからの移行
WordPressからの移行は、HubSpotが提供するブログインポートツールを利用できます。ブログ記事、画像、カテゴリ(タグ)、著者情報を一括でインポートできます。固定ページについては、HubSpotのページエディタで再作成するか、HTML・CSSをコピーして移植する方法があります。
静的HTML・他CMSからの移行
静的HTMLサイトや、Wix・Squarespace等の他CMSからの移行は、基本的にコンテンツの手動コピーが中心になります。ページ数が多い場合は、HubSpot CMSのAPIを活用したスクリプトによる一括移行も検討してください。
フェーズ4:SEO設定・リダイレクト(3〜5日)
SEOの評価を維持するために、以下の設定を行います。
- 301リダイレクト設定:旧URLから新URLへのリダイレクトを設定
- メタデータの移行:ページタイトル、メタディスクリプションを再設定
- 構造化データの確認:HubSpotテンプレートの構造化データが正しく出力されているか確認
- サイトマップの更新:新しいサイトマップをGoogle Search Consoleに送信
- canonical URLの確認:重複コンテンツが発生していないか確認
フェーズ5:テスト・公開(3〜5日)
本番公開前に以下のテストを実施します。
- 全ページのリンク切れチェック
- レスポンシブ表示(PC・タブレット・スマートフォン)の確認
- フォームの送信テストとCRMへのデータ連携確認
- CTAの動作確認
- ページ速度のチェック(Google PageSpeed Insightsで計測)
- Google Search Consoleでのインデックス状況確認
テーマカスタマイズの方法
ノーコードカスタマイズ
HubSpotのテーマ設定画面から、以下の要素をコードなしでカスタマイズできます。
- ブランドカラー:プライマリカラー、セカンダリカラー、アクセントカラー
- フォント:見出し・本文のフォントファミリーとサイズ
- ヘッダー・フッター:ロゴ、ナビゲーションメニュー、フッターの構成
- レイアウト:コンテンツ幅、サイドバーの有無
コードベースのカスタマイズ
より高度なカスタマイズが必要な場合は、HubSpotのデザインマネージャーやCLI(コマンドラインツール)を使って、HTML・CSS・HubL(HubSpotのテンプレート言語)を直接編集できます。
- カスタムモジュールの作成:独自のコンテンツブロックを部品として作成
- テンプレートの編集:ページのレイアウト構造をHTML/HubLで変更
- CSSの上書き:テーマのスタイルを細かく調整
- JavaScriptの追加:動的な演出やサードパーティツールの組み込み
SEOを落とさないためのリダイレクト設計
リダイレクトの基本ルール

Webサイトリニューアルで最も注意すべきは、既存のSEO評価を失わないことです。URL構造が変わるページには必ず301リダイレクトを設定します。
| 旧URL | 新URL | リダイレクト |
|---|---|---|
/products/product-a | /solutions/product-a | 301リダイレクト必須 |
/blog/2024/01/article-title | /blog/article-title | 301リダイレクト必須 |
/about-us | /about | 301リダイレクト必須 |
/contact | /contact(変更なし) | 不要 |
HubSpotでのリダイレクト設定
HubSpotの「設定」→「コンテンツ」→「URLリダイレクト」から、旧URLと新URLのマッピングを登録します。CSVファイルによる一括インポートにも対応しているため、ページ数が多い場合も効率的に設定できます。
リダイレクト後の監視
公開後は、Google Search Consoleでクロールエラー(404エラー)が発生していないかを定期的に確認します。リダイレクト漏れがあった場合は速やかに追加設定を行います。
リニューアル後の運用ポイント
パフォーマンスの計測
リニューアル後1〜3ヶ月は、以下の指標を注意深くモニタリングします。
- オーガニック検索トラフィック:リニューアル前後での変動
- ページ速度:Core Web Vitals(LCP、FID、CLS)の数値
- コンバージョン率:フォーム送信数・CTA クリック率の変化
- 直帰率:ユーザー体験の改善度合い
- インデックス数:Google にインデックスされているページ数の推移
段階的な改善
リニューアル直後に完璧を求める必要はありません。公開後にデータを蓄積し、A/Bテストやヒートマップ分析を通じて段階的に改善していくアプローチが効果的です。HubSpotのProfessional以上ではA/Bテスト機能が標準搭載されているため、ページの最適化を継続的に行えます。
よくある質問(FAQ)
Q1. リニューアル中も現行サイトは公開し続けられますか?
はい。HubSpot CMSではステージング環境(プレビュー用の非公開環境)で新サイトを構築し、準備が整った段階でDNSの切り替えによって本番公開を行います。現行サイトを停止する必要はありません。
Q2. リニューアル後にSEOの順位が下がることはありますか?
URL構造の変更に伴い、一時的に順位が変動することはあります。301リダイレクトを正しく設定していれば、通常1〜3ヶ月で元の順位に回復します。リダイレクト設定漏れや大幅なコンテンツ削減がある場合は、回復に時間がかかる可能性があります。
Q3. WordPressのプラグイン機能はHubSpotでも再現できますか?
プラグインの種類によります。SEO分析、フォーム、チャット、A/Bテストなどの機能はHubSpotに標準搭載されています。EC機能(WooCommerce)や高度なフォーラム機能など、WordPress固有のプラグインに強く依存している場合は、代替手段の検討が必要です。
Q4. リニューアルに社内エンジニアは必要ですか?
テーママーケットプレイスの既存テーマを使用する場合は、マーケティング担当者だけでもリニューアルを完了できます。カスタムテーマの開発やAPIを使った移行が必要な場合は、HubSpotの開発に対応できるエンジニアやHubSpot認定パートナーの支援を検討してください。
Q5. リニューアルの費用はどの程度かかりますか?
HubSpot CMSの月額費用(Starter $20〜、Professional $500〜)に加え、テーマの購入費用(無料〜$500程度)がかかります。外部パートナーに依頼する場合は、サイト規模に応じて50万〜300万円程度が相場です。テーママーケットプレイスのテーマを活用し、自社で構築する場合はCMSの月額費用のみで済みます。
HubSpot CMSでのWebサイトリニューアルは、マーケティング基盤の刷新とCRM連携の強化を同時に実現できるプロジェクトです。成功の鍵は、事前のサイト棚卸しとSEOリダイレクト設計にあります。現行サイトの分析から始めて、計画的にリニューアルを進めてください。
カテゴリ: Content Hub | HubSpot
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著者情報
今枝 拓海 / Takumi Imaeda
株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。
パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。