士業CRM設計ガイド|顧問先管理・案件進捗・紹介を仕組み化

  • 2026年3月3日
  • 最終更新: 2026年10月9日
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この記事の結論

顧問先・契約・案件・紹介元を関連付け、更新対応から受任後の進捗まで、事務所で確認できる形に整えます。

ブログ目次


顧問先・契約・案件・紹介元を関連付け、更新対応から受任後の進捗まで、事務所で確認できる形に整えます。

「更新時期を確認するたびに契約書や台帳を探している」「紹介後の連絡状況が担当者にしかわからない」「受任案件の次の作業を担当者に聞かなければ把握できない」——そんな課題はありませんか。税理士・社労士・弁護士事務所で顧問先や案件の管理方法を見直す方に向けて、記録すべき情報と、次の対応を決める手順を整理します。自所で判断が止まった場面を一つ思い浮かべながら読み進めてください。

士業CRMは、顧問先と担当者、契約、案件、紹介元を関連付け、対応履歴と次の行動を共有するための仕組みです。最初に、更新対応、案件の引き継ぎ、紹介後の連絡のうち、記録を探したり担当者に聞いたりしないと判断できない業務を選びます。その業務で必要な情報、記録する人、確認する人、次へ進む条件を決めてから項目や通知を設計します。

たとえば更新方針を決められなかった場面では、「契約条件が見つからない」「未完了案件が確認できない」「判断者が決まっていない」のどこで止まったかを分けます。最初の二つなら情報の参照先と更新担当を定め、最後なら確認手順と判断者を決めます。別の所員が同じ記録から次の行動を特定できれば、対象となる契約を広げる判断ができます。

業種ごとに顧客と案件の関係を整理する考え方は、製造業のCRM活用ガイド|代理店管理・技術営業・長期商談を効率化するCRM設計パターンでも紹介しています。


この記事でわかること

顧問先情報を整理しても、更新判断や案件の引き継ぎに使えなければ運用は進みません。この記事では、管理対象の分け方からHubSpotで試す範囲まで、実際の業務で確認できる順序に沿って解説します。読み終えたら、自所で最初に扱う業務と、その業務を次へ進める条件を決められます。

  • 顧問契約の管理 — 更新日を記録した後、案件や要望を誰が確認し、どの条件が揃えば顧問先への連絡へ進めるかを説明します。
  • 案件進捗の可視化 — 受任から納品、フォローまでの段階と、各段階で必要な記録・確認者・移動条件を整理します。
  • 紹介元との関係管理 — 紹介の経緯、相談の結果、お礼や報告の状況を引き継ぎ、連絡の要否を判断する方法を示します。
  • 事務所に合わせた導入 — 最初に扱う業務を選び、記録が実際の確認に使われてから管理範囲を広げる手順を紹介します。

士業事務所でCRMが必要になる背景

士業事務所では、継続する顧問契約、個別に進む案件、紹介元との関係を並行して扱うことがあります。契約一覧、案件表、連絡履歴が別々でも、担当者と次の対応を迷わず確認できるなら、すべてを一度に移す必要はありません。照合のたびに情報を探す、担当者に確認する、対応の抜けを後から知るといった場面があれば、その業務から記録方法を整えます。

次の表には、業務構成に応じて当てはまる論点と、一般化せずに確認すべき特徴の両方を載せています。まず自所の契約構成、案件の工程、紹介経路を確認し、該当する行を選んでください。「収益の柱」「主要チャネル」などの表現は、自所の実績を確認するための問いとして扱います。

士業の特徴 一般的なBtoB企業との違い 顧客管理への影響
顧問契約を継続して扱う場合がある 個別の取引だけでは管理できない場合がある 契約条件と更新対応を追う方法を決める
紹介から相談が始まる場合がある 獲得経路だけでなく紹介後の対応も確認する 紹介元、相談、連絡状況を関連付ける
案件ごとに工程が異なる 一律の営業段階では進捗を表しにくい場合がある 業務ごとの完了条件を決める
守秘義務のある情報を扱う 情報ごとに共有範囲の確認が必要になる 記録範囲と閲覧権限を先に決める
時期によって業務が集中する場合がある 同じ担当者に異なる期限の案件が重なる 対象案件、期限、確認担当を見渡せるようにする
顧問契約が収益の柱 都度取引が中心 契約更新管理・解約防止の仕組みが必要
紹介が新規獲得の主要チャネル Web広告・テレアポが中心 紹介元との関係管理が不可欠
案件ごとに工程が異なる 標準化された営業プロセス 柔軟なパイプライン設計が求められる
守秘義務が厳しい 情報共有が前提 アクセス権限の細かな設定が必要
季節性が高い(確定申告等) 通年均一の業務量 繁忙期の業務負荷管理が重要

表を読んだら、「どの業務で確認が止まったか」を選び、その業務で扱う顧問先・契約・案件・紹介元の関係を現在の台帳に書き出します。同じ顧問先に複数の契約や案件があるなら、それぞれの担当者や履歴が混ざらない記録単位を考えます。関係を説明できるようになってから、移す情報を選びます。

情報が分散すると起きること

顧問先の基本情報が台帳、契約条件が別ファイル、相談内容がメールや個人のメモにある場合、更新の判断には複数の記録を照合する必要があります。紹介経路が担当者の記憶だけに残っていれば、担当変更時にお礼や報告の状況も引き継ぎにくくなります。

最近の更新対応や案件確認を一つ選び、担当者が実際に開いた記録をたどります。同じ内容を重複入力している箇所、所在が不明な箇所、担当者しか説明できない箇所を分けてください。判断に欠かせない情報から参照先を決め、別の所員がその記録を見て次の担当と行動を特定できるか試します。特定できなければ、欠けている情報が何かを確認し、記録先か更新責任者を見直します。

情報の所在とあわせて、内容が現在も有効かを確認します。契約書と台帳でサービス範囲が異なる場合は、どちらを確認の基準にするか、誰が記録を修正するかを決めます。基準が揃った情報から通知や集計に使い、食い違いが残る情報は確認事項として担当者に渡します。

CRMでまとめる管理軸

導入は日程を先に固定せず、各段階で担当者が何を確認できるようになるかで進めます。次の表の期間欄は実際の所要期間を示しません。顧問先と担当者を特定できるようになったら案件へ、案件の次の作業を確認できるようになったら紹介や更新対応へと、業務上の確認結果を進行条件にします。

フェーズ 期間 実施内容 ゴール
Phase 1 判断の目安となる期間 顧問先マスター・契約情報の移行 顧問先情報の一元管理
Phase 2 判断の参考となる期間 案件パイプラインの設計・運用開始 案件進捗の可視化
Phase 3 判断基準となる時期 紹介元管理・更新アラートの設定 紹介管理と契約更新の仕組み化
Phase 4 完了の目安となる段階 自動化シナリオの構築・レポート整備 事務所経営の見える化

費用と効果を比べるときは、次の表の人数や工数の表記を自所の確定値として使わず、見積もりの前提を洗い出すために使います。実際の利用人数、必要な機能、設定範囲、所内の作業を確認し、同じ条件の見積書と照合します。「判断の目安」とある欄から金額を推定せず、現状の記録がない効果は検証方法から決めてください。

項目 金額
投資(年間TCO)
CRMライセンス費用(10名) 10名分の料金に加え、必要な機能の追加費用、初期費用、契約期間を確認し、同じ条件で比較する
初期導入・設定費用(年割) 判断の目安となる水準
運用工数(0.3人工) 対象作業と工数の内訳を確認し、提示金額と照合する
投資合計 投資規模を検討する際の目安となる範囲
リターン(年間)
契約更新率向上(解約防止) 契約更新率と解約理由を確認し、フォロー対象と対応内容を決める。解約理由を確認できない場合は、施策規模の判断を保留する。
紹介件数増加による新規獲得 判断の目安となる金額帯
事務作業の効率化 判断の目安となる金額
リターン合計 目標達成の判断材料となる水準。
ROI(年間) 目安として、費用に対して相応の効果が見込まれる。

「リターン」欄の表現だけでは効果額を算定できません。更新、紹介、事務作業について、導入前から比較できる記録があるかを別々に確認します。記録がなければ金額へ換算せず、対象、記録方法、確認担当を決めます。記録が揃った業務だけを、費用と効果の比較対象にします。

顧問先、契約、案件、紹介元は役割が異なります。同じ顧問先に複数の契約や案件があるか、紹介元が複数の相談につながるかを確認し、それぞれを分けて記録する必要があるか判断します。分けた場合も関係をたどれるようにすれば、顧問先から契約や案件の状況を確認できます。

判断に迷う場合は、現在の記録で一つの顧問先を選び、「契約を更新したい」「進行中の案件を知りたい」「紹介の経緯を知りたい」という問いに答えてみます。一つの記録にまとめると履歴や担当者が混ざる問いがあれば、管理対象を分けます。分けた後に関係をたどれなければ、関連付けに必要な情報を見直します。

弁護士事務所では、案件の種類によって工程の意味が変わります。次の表は段階を検討する例です。段階名を採用する前に、その段階へ移す判断者と必要な確認を所内の手順に合わせて定めます。「長期」「中長期」といった表現から所要期間を見積もらず、個々の案件の期日と進捗で判断します。

パイプライン 対象案件 ステージ例 特徴
企業法務(顧問) 契約書レビュー・法律相談 相談受付→検討→回答→フォロー 相談ごとの回答と後続対応を確認する
訴訟案件 民事訴訟・刑事弁護 受任→訴状作成→弁論→判決→控訴判断 期日・提出物・判断者を段階ごとに確認する
M&A・組織再編 DD・契約交渉 受任→DD→交渉→契約締結→クロージング 工程ごとの確認事項を分ける
債権回収 督促・訴訟・強制執行 受任→催告→訴訟→回収→完了 案件の状況に応じて次の対応を判断する
企業法務(顧問) 契約書レビュー・法律相談 相談受付→検討→回答→フォロー 継続的
訴訟案件 民事訴訟・刑事弁護 受任→訴状作成→弁論→判決→控訴判断 判断材料は長期にわたる傾向がある
M&A・組織再編 DD・契約交渉 受任→DD→交渉→契約締結→クロージング 中長期
債権回収 督促・訴訟・強制執行 受任→催告→訴訟→回収→完了 案件による

導入も、期間を先に固定するより、現在の業務で次に進める条件を決めたほうが運用を見直しやすくなります。次の表を使い、各段階の実施後に別の所員が記録から何を判断できるか確認してください。

フェーズ 次へ進む条件 実施内容 ゴール
Phase 1 顧問先と担当者を特定できる 顧問先マスター・契約情報の移行 顧問先情報の参照先を揃える
Phase 2 案件の担当と次の作業を記録できる 案件パイプラインの設計・運用開始 案件確認に記録を使える
Phase 3 紹介と更新対応の担当が決まっている 紹介元管理・更新アラートの設定 連絡や更新確認を引き継げる
Phase 4 通知後の行動と集計の定義が揃っている 自動化シナリオの構築・レポート整備 確認結果を運用の見直しに使える

費用対効果は、利用人数と必要な機能をそろえて料金を確認し、初期設定と運用担当の作業も費用に含めて検討します。効果は、対象業務と測定方法をそろえた記録で比較します。料金条件や導入前の記録が確認できない場合は効果額を推測せず、比較に必要な情報を揃えてから判断します。

比較の順序は、対象業務の決定、現状の記録方法の確認、導入後も同じ定義で残せる記録の選定、費用条件の確認です。更新対応を評価するなら、対象契約、更新確認の実施状況、未対応の理由を同じ基準で記録します。紹介についても、紹介の受付、相談、受任を別の状態として扱い、どの状態を比較するかを先に決めます。

項目 見積・検証時に確認する内容
投資(年間TCO) 対象に含める費用と契約期間を先に揃える
CRMライセンス費用(10名) 対象人数、必要な機能、追加費用、契約条件を同じ前提で見積もる
初期導入・設定費用(年割) 設定・移行・研修の範囲と、費用を比較する期間を確認する
運用工数(0.3人工) 実際の入力・確認・管理作業を洗い出し、担当者の作業量で見積もる
投資合計 重複する費用を除き、見積書と所内作業を合算する
リターン(年間) 比較できる現状の記録がある業務を選ぶ
契約更新率向上(解約防止) 更新確認の実施状況を記録し、率や金額への換算は根拠が揃ってから行う
紹介件数増加による新規獲得 紹介の定義と記録方法を揃え、実績を確認してから評価する
事務作業の効率化 対象作業と確認方法を決め、作業記録で比較する
リターン合計 検証できた項目だけを集計し、未確認の効果は含めない
ROI(年間) 費用と効果の双方に比較可能な実績が揃った場合に算定する

作業時間が変わった場合は、その間に案件の種類、担当者、対象件数も変わっていないか確認します。条件が異なればCRMによる変化と断定せず、「引き継ぎ先が次の作業を判断できたか」「差し戻しの原因を特定できたか」を先に確かめます。比較できる実績と見積額が揃った段階で、費用対効果の算定へ進みます。

ツールを比べる際は、機能の有無だけでなく、自所の情報と業務で使えるかを確認します。次の表の重要度は検討の順序を考える例です。後半の機能に関する表現は要件候補として扱い、利用する構成で実際に設定できるか、必要な担当者が使えるかを確認してください。

評価軸 重要度 チェックポイント
セキュリティ ★★★ 記録する情報に必要な閲覧権限と保管条件を確認する
カスタマイズ性 ★★★ 顧問契約と案件の関係、段階の完了条件を表せるか確認する
操作の簡便さ ★★★ 入力担当と確認担当が実際の業務で使えるか試す
外部連携 ★★☆ 必要な連携先、対象データ、確認責任者を定めて可否を調べる
コスト ★★☆ 必要な機能と利用規模を揃えて見積もり、契約条件を確認する
セキュリティ ★★★ 守秘義務に対応した権限管理・データ暗号化
カスタマイズ性 ★★★ 顧問契約・案件パイプラインの柔軟な設計
操作の簡便さ ★★★ ITに不慣れな所員でも使いこなせるUI
外部連携 ★★☆ 会計ソフト・電子申告システムとの連携
コスト ★★☆ 料金は契約内容や利用規模に応じて確認が必要です

最初に、記録したい情報と閲覧できる人を確認します。その条件を満たせる構成が見つかったら、契約と案件の関係を表し、入力担当と確認担当に実際の業務を試してもらいます。権限、記録、操作のいずれかで業務を進められなければ、要件か管理方法を見直します。費用は必要な構成が定まってから同じ条件で比較します。

管理軸 記録する情報 次の業務とのつながり
顧問先 事務所名、担当者、連絡履歴、担当所員 面談や問い合わせへの対応
契約 契約種別、開始日、更新日、サービス範囲 更新前の確認や契約内容の見直し
案件 相談内容、担当者、期限、進捗、完了状況 受任判断から処理、納品まで
紹介元 紹介した会社や担当者、紹介日、経緯 お礼、紹介後の報告、関係維持

項目を絞り、業務の仕組みとして使う

項目を決める際は、その情報を使う判断を挙げます。「更新日」は更新確認を始めるため、「案件の次の対応」は引き継ぐ人が行動を決めるために使います。用途が決まったら、誰がどの時点で入力し、誰がどの場面で確認するかを定めます。確認時に空欄で判断が止まるなら入力時点を見直し、記録されても使われないなら用途を再確認します。

社労士事務所では、同じ「作業中」でも手続き、給与計算、就業規則の改定で次の確認が異なります。次の表を使い、依頼を受けた後の書類、確認者、完了報告を業務ごとに整理してください。時期を示す行は個別案件の期限を示しません。契約、依頼内容、実際の期限を確認して作業予定を決めます。

パイプライン 対象案件 ステージ例 季節性
社保手続き 入退社・異動手続き 依頼受付→書類作成→届出→完了報告 依頼が集中する時期を所内の実績で確認する
給与計算 月次給与計算 勤怠データ受領→計算→チェック→納品 契約ごとの処理日程を確認する
労働保険年度更新 年次の保険料申告 資料収集→計算→申告→納付確認 対象先と期限を案件ごとに確認する
就業規則作成 新規作成・改定 ヒアリング→ドラフト→修正→届出 依頼内容に応じて工程を確認する
社保手続き 入退社・異動手続き 依頼受付→書類作成→届出→完了報告 4月に集中
給与計算 月次給与計算 勤怠データ受領→計算→チェック→納品 毎月サイクル
労働保険年度更新 年次の保険料申告 資料収集→計算→申告→納付確認 6〜7月
就業規則作成 新規作成・改定 ヒアリング→ドラフト→修正→届出 通年

優先度は色だけで決めず、期限、顧問先からの連絡、判断が必要な担当者を一緒に確認します。次の表の「当日中」「週次」「月次」は、すべての案件に適用する期限を示しません。案件の期日と所内の確認体制を確かめ、対応担当と次に確認する時点を決めるために使います。

優先度 判定基準 アクション
最優先(赤) 期限が目前、期日や調査への対応判断が必要 対応担当と判断者を確認し、次の行動を決める
高(橙) 期限が迫っている、または顧問先から催促がある 担当者が状況を確認し、対応予定を記録する
中(黄) 期限までに通常の工程を進められるか確認が必要 次の作業と確認時点を記録する
低(緑) 直近の対応期限はないが、確認を続ける案件 次に見直す条件と担当者を記録する
最優先(赤) 目安:期限が目前、裁判期日、税務調査に関わるもの 即時対応、パートナーにエスカレーション
高(橙) 期限が迫っている、または顧問先から催促がある 当日中にステータス更新
中(黄) 期限が近づいているため、通常の進行を維持する段階 週次の進捗確認
低(緑) 期限が迫っていない調査案件 / 急ぎではない案件 月次の進捗確認

優先度を付けたら、色、期限、次の行動が一致しているか確認します。最優先でも判断者が未定なら判断者を指定し、低優先度でも外部の期日が判明したら必要な作業と優先度を見直します。相談受付時には相談内容、緊急度、担当者、次の対応日を記録し、受任が決まった段階で契約や案件に必要な情報を加えます。引き継ぎ先が記録から次の作業を特定できなければ、項目と記録する時点を確認してください。


顧問契約を管理し、更新対応につなげる

契約管理では、更新日を保存した後に誰が対応状況を確認し、誰が顧問先に連絡するかを決めます。同じ顧問先に複数の契約があり、更新日やサービス範囲を契約ごとに追う必要があるなら、契約を独立した管理対象にするか検討します。契約単位の確認が不要なら、まず顧問先情報との関係を整理します。

紹介をきっかけに始まった契約では、契約の更新状況と紹介元への対応状況を区別します。次の表では、紹介元の記録、お礼の担当、相談や受任の扱いを確認できます。自動化や集計は、紹介元を特定でき、対応結果の記録方法と確認担当が決まった後に検討します。

紹介管理の現状 問題点 CRMでの解決策
代表の記憶に依存 担当変更時に紹介経路を確認しにくい 紹介元を会社・コンタクトと関連付けて記録する
お礼の対応が不統一 対応済みか担当者間で確認しにくい 紹介時に担当と連絡予定を決め、結果を記録する
紹介実績の定義が揃っていない 紹介元別の状況を比較しにくい 相談・受任などの記録基準を揃えて確認する
紹介元の属性が未整理 関係の振り返りに必要な情報が揃わない 必要な属性と利用目的を決めて記録する
代表の記憶に依存 代表不在時に紹介経路が不明 紹介元を会社/コンタクトに紐付けて記録
お礼の対応が不統一 紹介元への感謝が伝わらない 紹介発生時に自動リマインドでお礼対応
紹介実績が定量化されていない どの紹介元が有力か不明 紹介元別の紹介件数・成約率をダッシュボード化
紹介元の属性が未整理 戦略的な紹介促進ができない 紹介元の業種・地域・関係性をプロパティで管理

紹介元を関連付けても、お礼が完了したことにはなりません。担当者が紹介の経緯を確認して連絡の要否を判断し、実施結果を記録します。紹介元へ相談や案件の結果を伝える場合は、共有できる範囲を確認してから内容を決めます。

契約レコードに記録する項目

項目は、更新の判断と担当者の引き継ぎに使うものから選びます。契約種別、開始日、次回更新日、サービス範囲、主担当と副担当、紹介元を確認し、契約書や所内の確認手順と対応させます。金額情報は利用目的と閲覧範囲を決めてから扱います。

次の表は、管理項目を使う業務に対応付けたものです。同じ名称の行が複数ある場合も入力欄を重複して作らず、契約書のどの情報を基準にするか、誰が更新するかを先に決めてください。

管理項目 内容 管理の目的
契約種別 顧問契約 / スポット / 年一(確定申告のみ等) 契約形態に応じた対応の切り分け
契約開始日 顧問契約の開始日 契約期間の把握
契約更新日 更新時期を確認する日 更新前の確認タスクの起点
月額顧問料 契約で定めた金額 契約内容や請求の確認材料
契約サービス範囲 記帳代行、給与計算、社保手続き等 依頼内容が契約範囲に含まれるかの確認
担当者 主担当・副担当 確認と引き継ぎの担当を明確にする
紹介元 どの顧問先・紹介者から紹介されたか 紹介の経緯をたどる
契約更新日 更新時期の目安を示す。 更新アラートの基点
月額顧問料 契約金額 売上予測・値上げ交渉の基準
契約サービス範囲 記帳代行、給与計算、社保手続き等 サービス範囲の明確化
担当者 主担当・副担当 業務分担の可視化
紹介元 どの顧問先・紹介者から紹介されたか 紹介ネットワークの管理

同じ情報でも、登録する内容と使う場面を分けて決めると、入力後の確認方法まで設計できます。次の表を使い、各項目を誰が入力し、更新対応や請求確認のどこで参照するかを確かめてください。

項目 記録内容 使い道
契約種別 顧問、スポット、年次業務など 契約に応じた対応の整理
開始日・更新日 契約の開始日、次回の確認日 更新前タスクの起点
サービス範囲 記帳、給与計算、手続きなど 対応範囲の共有
主担当・副担当 所内の担当者 不在時や変更時の引き継ぎ
紹介元 紹介した会社や担当者 紹介経緯の確認
顧問料 契約で定めた顧問料 契約内容や請求の確認
顧問料 月額顧問料 売上予測や料金見直しの検討材料

HubSpotで契約を独立した管理対象にする場合は、HubSpotのオブジェクトについてを参照し、利用中の環境で必要な構成を確認します。契約ごとに履歴、担当者、更新日を追う必要があるかを先に整理し、その管理単位を表せる方法を選びます。

更新前の確認をタスクにつなげる

更新日を登録したら、契約条件に沿って確認を始める時点を決めます。主担当は未完了の案件、顧問先からの要望、現在のサービス範囲を照合します。依頼内容が現行の範囲に収まるなら更新方針を確認し、範囲の変更が必要なら所内で変更案を検討してから顧問先との連絡へ進みます。必要な情報が揃わなければ、確認項目と回答担当を記録します。

次の表は作業の順序を示します。後半にある更新日から逆算した日程を一律の着手時点として使わず、契約上の通知条件、所内の確認工程、顧問先との連絡方法を確認してください。たとえば契約条件の確認が終わらなければ変更案の検討へ進めず、顧問先の意向が未確認なら更新完了と扱いません。

タイミング アクション 担当
更新方針を検討する前 顧問先の要望と未完了案件を確認する 主担当
内容の見直しが必要なとき 契約範囲と料金に関する変更案を検討する 主担当 + パートナー
所内の方針が決まった後 契約更新について顧問先と連絡・面談する パートナー
顧問先の意向を確認した後 必要な契約書を作成・送付する 事務担当
更新が完了したとき 完了を確認し、次回の確認日を記録する 確認担当
更新3ヶ月前 顧問先の満足度ヒアリングを実施 主担当
更新2ヶ月前 来期の契約内容・料金の見直し案を作成 主担当 + パートナー
更新1ヶ月前 契約更新の打診・面談の実施 パートナー
更新2週間前 契約書の作成・送付 事務担当
更新日 契約更新完了の確認・次回更新日の自動設定 システム自動処理

次の表では、更新対応を段階ごとの確認に分けています。行に同じ作業名があっても別のタスクを機械的に増やさず、現在の契約条件と所内の手順に対応する作業を選びます。各段階で結果を確認する担当者が決まってから次へ進めてください。

更新対応の段階 確認すること 次へ進む条件
状況確認 直近の相談、未完了の案件、顧問先の要望 更新判断に必要な情報が揃っている
内容の見直し 現行のサービス範囲と今後の依頼 変更案または現状維持の方針が決まっている
顧問先との連絡 面談や連絡の実施状況 意向と対応予定が記録されている
更新後の記録 更新状況と次の確認日 契約情報が最新になっている
更新前のタスク 契約書の作成・送付が必要か 必要な場合は事務担当と作業内容が決まっている
更新後の手続き 契約更新の完了と次回確認日 確認担当が結果を記録している
更新前のタスク 更新に伴う契約書の作成・送付 事務担当
更新後の手続き 契約更新の完了を確認し、次回更新日を自動設定する システム自動処理

更新後の日付を自動で設定する場合も、顧問先の意向と契約上の更新条件を確認した結果が先に必要です。確認担当が契約情報と結果を照合し、食い違いがあれば日付と更新状況を見直します。

通知を設定するなら、受け取った人が何を確認し、どこに結果を記録するかを決めます。通知後も未確認の契約が残る場合は、通知時点、担当の割り当て、判断に必要な情報のどこで止まったかを調べ、原因となった箇所を直してから対象を広げます。

契約情報から請求までの流れをつなぐ

契約に含まれる定例業務と、追加で受けた個別案件を区別します。作業完了時に、契約範囲に含まれるか、追加の確認が必要か、請求確認の担当へ何を渡すかを決めます。範囲を判断できない案件は、作業が完了していても請求確認の担当へ戻し、確認結果を残します。

請求管理の場所にかかわらず、案件側には作業結果、完了日、引き継ぎ先、確認状況を残します。サービス範囲との照合で止まるなら契約情報の参照先を、引き継ぎ後に止まるなら受け取る担当者と確認方法を見直します。次の案件で同じ確認を行い、担当者が記録から請求確認の要否を判断できたら、ほかの案件にも適用します。


案件の進捗をパイプラインで共有する

パイプラインは、案件がどの段階にあり、次に何をするかを共有するために使います。相談受付から納品までの工程が異なる業務を同じ段階へ当てはめると、同じ表示でも実際の進捗が違って見えることがあります。各段階の意味と次へ進む条件を定め、別の担当者が案件確認の場で使えるかを確かめます。

取引パイプラインのボードビューの模式図。アポ獲得・初回提案・見積提示・最終調整・受注のステージが列として並び、各列の下に件数が集計されている(ステージ名と件数は説明のための例)

取引パイプラインのボードビューの模式図です。案件がステージ別の列に並びます

受任からフォローまでの段階を定義する

基本の流れとして、相談受付、受任判断、受任・着手、処理・作業中、レビュー・確認、納品・完了、フォローを検討します。必要書類の確認や納品物の受領確認が判断の分かれ目になる業務では、それらも確認対象に含めます。段階を移す人が、必要な記録と確認結果が揃っているかを確かめられるようにします。

段階 完了の目安 記録する情報
相談受付 依頼内容と次の対応が整理されている 相談内容、緊急度、受付日
受任判断 受任可否の確認が済んでいる 判断状況、確認事項
受任・着手 受任し、作業を開始している 担当者、必要書類、期限
処理・作業中 実務を進めている 進捗、作業内容、次の期限
レビュー・確認 所内または顧問先の確認中 確認者、修正事項
納品・完了 成果物の納品や手続きが完了している 完了日、納品状況
フォロー 完了後の連絡や追加対応を進めている 対応履歴、次の連絡
必要書類の確認 委任状を含む必要書類を確認している 確認状況
納品物の受領確認 顧問先が成果物を受領したことを確認 受領状況
フォロー 顧問先へ納品後の連絡を行い、追加対応の要否を確認して結果を記録する 確認結果・追加対応の有無
フォロー 顧問先へ納品後の連絡を行い、満足度や追加対応の要否を確認して結果を記録する 満足度の確認結果・追加対応の有無
成果物・申請の一覧 納品または申請が完了した際に、対象の成果物や申請を記録する 成果物・申請の一覧、顧問先の受領確認

「処理・作業中」から「レビュー・確認」へ移すなら、担当者が作業内容と確認してほしい点を残し、確認者を指定します。確認者が未定なら先に担当を決めます。「納品・完了」でも、作成が終わった状態と、顧問先への納品や受領を確認した状態を区別します。

段階が重複して見える業務では、どの確認を独立した段階にするかを実際の手順で決めます。「必要書類の確認」が着手前の条件なのか、「納品物の受領確認」が完了後の条件なのかを整理してください。案件一覧から停滞理由を説明できなければ、担当者と未完了の確認事項を記録する方法を見直します。

以下の画面は、取引パイプラインをボード形式で表示した模式図です。列は段階、各列に置かれた案件はその段階にある記録を表します。事務所で使う際は、列名だけでなく、移動前に確認する情報と判断者も定めます。

取引パイプラインのボードビューの模式図。アポ獲得・初回提案・見積提示・最終調整・受注のステージが列として並び、各列の下に件数が集計されている(ステージ名と件数は説明のための例)

パイプラインを事務所の業務に合わせる

税理士事務所の月次業務や申告、社労士事務所の手続きや給与計算、弁護士事務所の顧問相談や訴訟では、確認する期限や完了条件が異なります。パイプラインを分ける前に、「段階の意味」「期限や確認者」「同じ一覧で比較する目的」を業務ごとに書き出します。

次の表は、税理士事務所の業務を分ける際に確認する工程を示します。実際に使う段階は所内の作業と確認手順に合わせて決めます。表中の時期を個々の顧問先の期限とせず、案件ごとに対象と期限を確かめてください。

パイプライン 対象案件 ステージ例 季節性
月次顧問業務 月次記帳・巡回監査 資料受領→記帳→チェック→報告 契約ごとの実施日程を確認する
確定申告 個人・法人の確定申告 資料収集→作成→レビュー→申告→控え返却 対象先と期限を案件ごとに確認する
決算・税務申告 法人決算 決算資料収集→決算書作成→税務申告書作成→提出 決算月と提出までの工程を確認する
スポット案件 相続税申告・税務調査対応 受任→調査→作成→提出→フォロー 案件の内容に応じて期限を確認する
月次顧問業務 月次記帳・巡回監査 資料受領→記帳→チェック→報告 毎月サイクル
確定申告 個人・法人の確定申告 資料収集→作成→レビュー→申告→控え返却 1〜3月に集中
決算・税務申告 法人決算 決算資料収集→決算書作成→税務申告書作成→提出 決算月による
スポット案件 相続税申告・税務調査対応 受任→調査→作成→提出→フォロー 通年

段階の意味と移動条件が共通なら、同じパイプラインで始められます。同じ列に置くことで次の作業や確認者を誤解するなら、分けて管理します。運用後に停滞理由が段階から読み取れない場合は、段階を移す条件と必要な記録を確認します。

比較には、異なる業務の実際の案件を使います。同じ段階へ仮に置き、別の担当者に「次の作業」「完了と判断する条件」「確認する期限」を説明してもらいます。説明が一致するなら共通化を検討し、食い違うなら業務別の段階または別のパイプラインを検討します。

入力と確認のルールを整える

受任時には担当者と期限、処理中には次の作業、完了時には納品状況など、後工程が必要とする情報を選びます。段階を移す人と記録を確認する人も決めます。案件確認では「次に誰が何をするか」「その前に何の確認が必要か」を記録から答えられるか試します。

答えられなければ、情報が未入力なのか、記録されているが探しにくいのかを分けます。未入力なら入力時点と担当を、探しにくいなら表示する項目や関連付けを見直します。変更後の案件確認で同じ問いに答えられれば、そのルールをほかの案件にも使えるか検討します。


紹介元と紹介後の対応を記録する

紹介管理では、紹介元と紹介先の関係に加え、紹介を受けた後の対応を追えるようにします。紹介された相談や案件を関連付け、お礼の担当者、連絡状況、結果を確認できる形にします。結果を紹介元へ伝えるか、何を伝えるかは、案件の状況と共有できる範囲を担当者が確認して判断します。

紹介の経緯と結果を一緒に残す

紹介があったら、紹介元、紹介先、紹介日、経緯を記録します。相談が進んだ後に案件化の状況を更新し、お礼や報告の予定も残します。紹介元が個人か会社かを区別する必要がある場合は、担当者と関係性を確認してから記録方法を決めます。

次の表は、自動化を検討する場面と、その前に決める担当者の行動を整理したものです。タスクの作成、連絡内容の確認、実際の連絡、結果の記録を別の状態として扱います。自動送信に関する行は、受け取る人と共有できる内容、集計の定義が揃ったときに適用を判断します。

シナリオ トリガー アクション
紹介お礼の自動リマインド 紹介情報が登録されたとき 担当パートナーにお礼の要否を確認するタスクを割り当てる
紹介元への定期フォロー 次の連絡予定を確認する時点 担当者が連絡の要否と内容を確認する
紹介実績レポートの共有 所内で紹介状況を振り返るとき 記録の定義を確認し、担当者と結果を共有する
成約報告の自動化 紹介案件が成約したとき 共有できる内容を確認するタスクを担当者に割り当てる
紹介お礼の自動リマインド 紹介情報が登録されたとき 担当パートナーにお礼対応のタスクを自動生成
紹介元への定期フォロー 経過したか確認するタイミングが近づいた。 紹介元へのご挨拶のタスクを自動生成
紹介実績レポートの自動送信 月初 紹介元別の実績レポートをパートナーに自動送信
成約報告の自動化 紹介案件が成約したとき 紹介元への成約報告のタスクを自動生成

次の表の項目は、紹介を受けた人が経緯を説明し、お礼や報告の要否を判断するために使います。属性を増やす際は振り返りで何に使うかを決め、必要な範囲を記録してください。

記録項目 確認する内容
紹介元 会社、担当者、既存顧問先など
紹介先 紹介された会社や相談者
紹介日・経緯 いつ、どのような経緯でつながったか
案件化の状況 相談、受任、完了、不成立など
紹介元への対応 お礼や結果共有を行ったか、次の連絡予定
紹介元の業種・地域 振り返りに必要な場合、利用目的を決めて記録する
紹介元の業種・地域 紹介元の業種と地域を記録し、紹介元別の振り返りに使う

お礼や報告をタスク化する

紹介を受けた時点で、お礼の担当者と連絡予定を決めます。担当者は紹介の経緯を確認し、お礼の方法と伝える内容を決めてから結果を記録します。その後の報告は案件の状況と紹介元との関係を確認して判断します。

未対応のタスクが残ったら、担当が不明なのか、連絡の条件が曖昧なのか、連絡済みで結果だけが未記録なのかを見分けます。担当が不明なら割り当てを、条件が曖昧なら連絡の要否を判断する人を、結果が未記録なら完了時の入力方法を見直します。連絡しない判断をした場合も理由を残します。

紹介情報の登録時にお礼対応のタスクを作るなら、紹介元と担当者が特定できることを条件にします。紹介案件の結果を知らせるタスクも、担当者が共有できる内容を確認してから連絡へ進めます。

紹介ネットワークを見直す

紹介元別に相談や受任の状況を振り返る際は、件数とあわせて、相談内容が事務所の対応範囲に合っているか、紹介後の対応が適切だったかを確認します。記録の定義が担当者ごとに異なるなら、集計結果から判断する前に入力方法を揃えます。

レポートを共有する場合は、対象となる相談、集計期間、受任の扱いを先に決めます。そのうえで、次の連絡や対応方針が決まった紹介元について担当者と確認時点を記録します。集計の定義と受け取った後の確認方法が揃えば自動送信を検討できます。紹介件数だけで連絡を増やさず、紹介内容、対応できる業務、共有できる情報を確認して次の行動を決めます。

セミナーと専門コンテンツを相談後のフォローにつなげる

セミナーや専門コンテンツは、見込み客との接点を作るだけでなく、その後の相談や受任へ進んだ過程を確認する材料になります。申込者や参加者をコンタクトとして管理し、セミナーや案件との関係をたどれるようにします。

流れは、案内ページ、申込フォーム、確認メールと開催前のリマインド、参加後のフォロー、相談・面談・受任の状況確認の順です。案内ページはContent Hubで作成し、申込情報はフォームからコンタクトに記録します。

参加後は、全員に同じ案内を送り続けるのではなく、個別相談の希望の有無と対応状況を記録し、次の連絡が必要な人を担当者が一覧で確認できる状態にします。

税制改正、法改正、判例解説、実務上の注意点などの発信も、顧問先向けと見込み客向けで内容を分けて整理します。Marketing Hubのフォームやメール配信と組み合わせる場合も、配信結果だけで判断せず、誰がどの情報を受け取り、その後に相談や面談へ進んだかをCRMの記録とつなげて確認します。発信を続ける体制を整えにくいときは、既存の案内やセミナー告知の整理から始めます。


税理士・社労士・弁護士で変える設計

同じCRMでも、業務ごとに「対象を特定する情報」「担当者が確認する資料」「次へ進める条件」を分けます。次の表は社労士事務所で検討する活用場面です。自動抽出や期限管理に関する行は、抽出条件、元データの更新担当、結果を確認する担当者を決めてから適用を判断してください。

活用場面 CRMでの実現方法 確認する指標と適用上の注意
法改正の影響分析 顧問先の業種・規模で該当企業を自動抽出 法改正情報を対象顧問先に的確に提供
手続き期限管理 入退社・異動に伴う届出期限をタスク化 届出漏れの防止
追加サービス提案 顧問先の属性・課題に合ったサービスをマッチング 追加サービスの提案機会を創出
就業規則の管理 顧問先別に就業規則のバージョン管理 最新版の把握と改定提案

顧問先、契約、案件という管理軸は共通でも、期限、成果物、確認工程は業務によって異なります。共通の情報を揃えたうえで、業務ごとに必要な段階や項目を選びます。案件の内容や関係者情報を記録する前に、閲覧できる人と記録する範囲を確認します。

次の表では、社労士事務所の各業務について、担当者が確かめられる結果を示します。対象を絞った後に元の記録と照合し、担当者が対応方針を決められるか確認してください。

活用場面 CRMでの実現方法 確認する結果
法改正の影響分析 顧問先の属性で確認対象を絞り、担当者が該当性を確かめる 対象先と対応方針を記録できるか
手続き期限管理 手続きごとの期限と確認担当をタスクに記録する 未完了の案件を担当者が確認できるか
追加サービス提案 相談内容と契約範囲を照合して提案の要否を判断する 顧問先の状況に沿った判断を残せるか
就業規則の管理 顧問先別に最新版の所在と改定履歴を記録する 参照する版を担当者が確認できるか

弁護士事務所では、期日、提出物、関係者、作業時間の扱いを分けて考えます。次の表の管理方法を採用する前に、所内の記録先と閲覧権限を確認します。「失念防止」や「正確性」は設定だけで確定する結果ではありません。担当者が元の期日や作業記録と照合し、確認結果を残せるかを見ます。

管理項目 CRMでの管理方法 目的
裁判期日管理 期日と確認担当を記録し、必要に応じて通知を設定する 期日と次の対応の確認
書面の提出期限 提出前の確認事項と担当者を段階の条件に含める 提出までの進捗確認
相手方情報 記録範囲と権限を決めて案件との関係を管理する 関係者の区別と確認
タイムチャージ記録 必要な場合に作業時間の記録先と確認担当を決める 作業内容と請求の照合
裁判期日管理 期日に応じてリマインドを設定 期日の失念防止
書面の提出期限 ステージ移行条件として設定 提出遅延の防止
相手方情報 案件に紐付けてコンタクト管理 関係者の全体把握
タイムチャージ記録 活動記録に作業時間を記録 請求の正確性と工数管理

税理士事務所は季節業務と月次業務を分ける

次の表の月表示は業務を並べて考えるための例です。実際の対象、期限、契約上の作業日は案件ごとに確認します。自動抽出や通知を設定する場合も、元データの確認担当を決め、対象と対応結果を照合してから次の工程へ進めます。

月 主要業務 CRMでの管理
1〜3月 確定申告 申告対象リストの自動抽出、進捗管理
3〜5月 法人3月決算 決算パイプラインでの進捗管理
6〜7月 労働保険年度更新(社労士と連携) 連携先への依頼タスクの自動生成
7月 源泉所得税の納期特例 対象顧問先への通知の自動化
11〜12月 年末調整 資料収集の進捗管理、未回収先のリマインド
通年 月次巡回監査 巡回スケジュールの自動生成

製品を比べるときは、次の表にある機能、適性、価格に関する表現を現在の提供条件として扱わず、各販売元へ確認する論点として使います。必要な管理対象と利用人数を先に決め、同じ業務を扱う構成と見積もりを確認します。

製品 特徴 士業向け適性 価格帯(月額/ユーザー)
HubSpot 無料プランあり、段階導入向き カスタムオブジェクトで顧問契約管理が可能 無料プランの有無を含め、予算に応じて検討しやすい。
Salesforce 高カスタマイズ性、大規模向け 柔軟だが設定難度が高い 販売元への問い合わせが必要な価格帯
kintone ノーコード、日本企業向け アプリの自由設計が可能 判断の目安となる価格帯
MyKomon 士業特化型 税理士事務所向け機能が充実 要問い合わせ

月次業務、確定申告、決算・税務申告、スポット案件では、資料の受領や確認、提出までの流れが異なります。各業務で対象となる顧問先をどう特定し、誰が資料の受領状況と次の作業を確認するかを先に決めます。

次の表は、業務ごとに対象先と進捗を確かめる方法を整理したものです。案件を一つ選んで必要な資料と確認者をたどり、表の管理方法で次の作業を判断できるか試してください。実際の日程や対象先は契約と案件の情報で確認します。

時期・区分 主要業務 CRMでの管理
申告業務の準備から完了まで 確定申告 対象先を確認し、資料の受領・作成・申告の進捗を記録する
顧問先の決算期 法人決算 決算パイプラインで担当、資料、確認状況を追う
連携が必要な時期 労働保険年度更新(社労士と連携) 連携先への依頼担当と回答の確認時点を記録する
対象先への確認時期 源泉所得税の納期特例 対象先を確認し、連絡の要否と担当を決める
年末調整の対応時期 年末調整 資料の回収と確認状況を分けて記録する
契約に沿った定例業務 月次巡回監査 対象先、担当者、予定、実施結果を関連付ける

製品比較では、必要な管理対象、権限、操作、費用を同じ条件で確かめます。次の製品名は比較対象の例です。各行の問いを使って、契約更新や案件の引き継ぎという同じ業務を実際の構成で試し、必要な情報から次の行動を決められるか確認してください。

製品 比較時に確認すること 士業向け適性の判断 価格帯(月額/ユーザー)の確認
HubSpot 顧問先、契約、案件の関係を必要な形で表せるか 利用中の環境で必要な構成と権限を確認する 必要な機能と人数を揃えて見積もる
Salesforce 必要な項目、段階、権限を設定できるか 設定と運用を担当できる体制を確認する 同じ条件で販売元の見積もりを確認する
kintone 業務に必要な記録と関連付けを表せるか 入力・確認の手順を実際の画面で試す 必要な構成を含めて見積もる
MyKomon 対象業務と必要な記録が合うか 所内の手順との対応を確認する 販売元に利用条件を確認する

更新対応を比べるなら、各製品で同じ契約情報から未完了案件を確認し、次の連絡担当を決めるところまで試します。必要な権限で情報を扱えない、または記録から次の行動が決まらない場合は、その理由を残して構成や運用方法を見直します。業務を進められる構成が揃ってから費用を比較します。

決算期限から進捗を組み立てる考え方は、税理士事務所の決算進捗管理で解説しています。会計事務所全体の設計は、会計事務所・税理士事務所のHubSpot活用ガイドも参照してください。

確定申告では、対象先を特定する情報を確認してから一覧を作り、資料の受領、内容確認、作成、申告、控え返却を追います。抽出に必要な情報が未入力なら、一覧を確定する前に担当者が元の記録を確認します。資料を受領したら内容確認の担当と結果も残し、作成へ進める状態か判断します。

月次業務では、資料受領、記帳、チェック、報告のうち、どこで担当が替わるかを確認します。決算・税務申告では、決算月と必要資料を案件に関連付け、提出前の確認者を明確にします。相続税申告や税務調査対応などのスポット案件は、共通の段階で次の作業を表せない場合に、業務に合う段階へ分けます。

社労士と連携する業務では、依頼を出した状態と回答を確認した状態を分けます。年末調整で資料が未回収なら連絡担当を決め、届いた後は内容の確認結果を残します。月次巡回監査の予定も、対象先と担当者を確認してから確定します。

社労士事務所は手続きと期限を中心にする

入退社や異動に伴う手続き、給与計算、労働保険の年度更新、就業規則の作成や改定では、受付から完了までに確認する内容が異なります。期限がある案件は、対象顧問先、依頼日、期限、担当者、完了状況を関連付け、次に確認する人を明確にします。

顧問先の属性から対象を抽出する場合は、抽出条件と入力責任者を決めます。条件に必要な情報が未入力なら、一覧を対応対象として使う前に確認します。法改正に関する連絡も、担当者が該当性と伝える内容を確認してから進めます。

社保の入退社・異動手続きでは、依頼受付、必要情報の確認、書類作成、届出、完了報告を分けます。給与計算では、勤怠データの受領、計算、チェック、納品のうち、差し戻しが起きた場合にどの段階へ戻すかを決めます。労働保険年度更新では、申告後に必要な確認を完了条件へ含めます。

就業規則の作成・改定は、聞き取り、ドラフト作成、修正、必要な手続きの順に担当者と確認結果を残します。最新版の所在が不明なら、改定を検討する前に参照する版を確定します。追加サービスの提案も属性だけで決めず、相談内容と現在の契約範囲を照合して要否を判断します。

運用を見直すときは、期限が迫った案件を担当者が見つけられたか、資料不足による停滞を区別できたかを確認します。見つけられなければ期限の記録先と一覧の表示を、停滞理由がわからなければ必要情報の確認時点を見直します。

弁護士事務所は受任判断と長期案件を分けて考える

新規相談、訴訟案件、顧問先からの継続相談は、判断や確認の流れを分けます。新規案件の受任時には所内の手順に沿って利益相反を確認し、確認担当者と結果の記録範囲を決めます。必要な確認が済んだかを担当者が判断してから次の工程へ進めます。

訴訟案件では、期日・提出物・関係者・作業時間を登録する前に、情報ごとの更新担当者、進捗確認か請求確認かという用途、閲覧できる人を決めます。期日と提出物は次の作業の確認に使い、作業時間は請求確認に必要かを判断します。必要な人だけに閲覧を制限できない情報は別の管理先に置き、CRMには共有できる担当者、期限、次の対応を記録します。

顧問相談は、相談受付、検討、回答、フォローの流れで、回答後に追加対応が必要かを確認します。訴訟案件は、訴状作成、弁論、判決、控訴判断などの工程ごとに、次へ進む前の確認者と提出物を決めます。工程が予定どおり進まないときは、止まっている理由と次の判断者を残します。

M&A・組織再編案件は、受任、デューデリジェンス、交渉、契約締結、クロージングの各工程で所内の確認事項を定めます。債権回収案件は、催告、訴訟、回収など、実際の状況に応じて次の対応を判断します。相手方情報を案件に関連付ける場合は、顧問先との区別、記録範囲、閲覧権限を先に決めます。

司法書士・行政書士は受任案件と紹介元を軸にする

司法書士や行政書士では、不動産会社、金融機関、税理士などの紹介から相談が始まることが多く、受任した案件の種類(登記、相続、許認可など)と紹介元をセットで追えると、事務所の強みと紹介の流れが見えてきます。

相談を受けた時点で取引を作り、案件の種類、受任の可否、必要書類の回収状況、完了までの進捗をステージで管理します。書類の提出期限や申請の予定日はタスクにして、担当者が確認できるようにします。相談だけで終わった案件も、不成立の理由を残しておくと、対応範囲の見直しに使えます。

相談者の紹介元は会社またはコンタクトとして関連付け、紹介の件数と受任に至った件数を紹介元ごとに見直します。紹介後のお礼や結果の連絡は、前の節で整理した紹介管理と同じ流れで運用できます。

領域 HubSpotで管理できる 専用システムに任せる
相談・受任 相談の受付、受任案件の進捗、紹介元との関係、期限のタスク管理 登記・許認可の申請書の作成、添付書類の編集
守秘 閲覧権限の設計、記録する情報の範囲の取り決め 申請に使う個人情報を含む書類の保管・処理

登記や許認可の申請書作成は、申請書作成システムの領域でHubSpotは向きません。HubSpotには案件の進捗と紹介元の関係を置き、申請書そのものは専用システムで作成する分担にします。


HubSpotで段階的に始める手順

導入時は、更新対応、案件進捗、紹介後のフォローから、現在の確認方法で困りごとが明確な業務を選びます。顧問先と担当者の関係を整理し、その業務に必要な契約や案件、次のタスクを関連付けます。実際の確認で使われた情報を確かめてから、項目や通知を追加します。

まず一つの管理対象を選ぶ

台帳や案件表を確認し、選んだ業務に必要な情報の所在、重複、古い記録を洗い出します。そのうえで移す項目と更新責任者を決めます。「誰が入力するか」「いつ更新するか」「どの作業で見るか」を具体化してから、実際の案件で試します。

更新対応を選ぶなら、契約条件、更新日、主担当、未完了案件の所在を確認します。情報が揃ったら別の所員に記録を見てもらい、次の作業と担当を判断できるか確かめます。判断できなければ、不足している情報、記録先、入力時点のどこに原因があるかを調べ、直してから対象契約を広げます。所員が日々の入力と確認に使える画面かもあわせて試します。

関連付けと自動化を小さく構成する

HubSpotで顧問先、担当者、案件の関係を表す際は、必要な記録をどの単位に持たせるかを決めます。案件進捗を取引で表せるか確認し、契約ごとに更新日や履歴を追う必要がある場合に、独立した管理対象を検討します。採用する構成は利用中の環境で確認します。

最初の通知は、担当者が受け取った後の行動を決められるものから選びます。更新前の確認や案件期限の通知なら、対象を判定する情報、通知先、通知後の記録先を揃えます。通知を受けても判断できなければ、元のデータ、通知時点、担当の割り当てを確認し、原因を直してから対象を広げます。

段階ごとに運用を評価する

入力件数に加え、更新確認、案件の引き継ぎ、紹介後の対応に記録が使われたかを確認します。使われていない項目は利用場面を見直し、判断が止まった場面には必要な情報だけを補います。次の表では、各段階から進む前に確かめる業務上の結果を示します。

段階 取り組む内容 次に進む目安
基本情報 顧問先と担当者を整理して登録 担当者が顧問先を特定できる
契約または案件 更新日または案件段階を記録 次の対応と担当が確認できる
共有とタスク 会議や日々の確認にCRMを使う 記録が引き継ぎや確認に使われる
自動化とレポート 安定した運用に必要な通知や集計を追加 通知後の行動と集計の定義が揃う
外部連携 必要な対象データと連携先を整理する 連携可否と結果の確認担当が決まっている
費用負担 必要な機能と運用作業を同じ条件で見積もる 事務所の予算と担当体制で継続できると判断できる
外部連携 ★★☆ 会計ソフト・電子申告システムとの連携可否を確認する
費用負担 ★★☆ 小規模事務所で無理なく負担できる費用か、導入前に確認する

基本情報から共有とタスクまで進め、担当者が実際に次の行動を判断できる状態を確かめます。通知や集計を加えた後も、結果を誰が確認し、どの業務判断に使うかが曖昧なら運用を見直します。表の重要度表示だけで進行を決めず、各段階で記録を使った業務確認を行います。


よくある質問

少人数の士業事務所でもCRMを使えますか?

顧問先情報や次の対応が一人に集中し、別の所員が確認できないなら、共有する情報を整理する意義があります。まず顧問先、担当者、次の対応を記録し、実際の引き継ぎで使えるか確認します。引き継ぎ先が記録から対応を判断できれば契約や案件の管理を加えるか検討し、判断できなければ記録する時点と担当者を見直します。

守秘義務のある案件情報もCRMに登録できますか?

登録する範囲は、所内の権限設計と情報の保管方法に沿って決めます。情報ごとに閲覧が必要な担当者を特定し、権限と保管条件を確認します。条件を満たせない情報は別の管理先に置き、CRMには共有可能な担当者、期限、次の対応を記録する方法もあります。データ暗号化を含む所内の要件を確認し、扱える情報が決まってから登録範囲を定めます。

顧問契約はHubSpotのどの機能で管理しますか?

顧問先に対して確認する契約情報が限られるなら、会社やコンタクトのプロパティで扱う方法を検討します。顧問先に複数の契約があり、契約ごとの更新日や履歴、レポートが必要なら、契約を独立させる構成を検討します。実際の契約と更新確認の流れを整理し、その構成を利用中の環境で扱えるか確認してから決めます。

案件のパイプラインは一つにまとめるべきですか?

段階の意味と次へ進む条件が共通なら、一つのパイプラインで始められます。同じ列でも業務によって期限や完了条件が異なり、次の作業を誤解する場合は分けます。異なる業務の案件を同じ段階に置き、担当者がそれぞれの次の対応を記録から判断できるか試してください。できなければ段階の定義や分け方を見直します。

既存の台帳はすべて移行してから運用を始めるべきですか?

現在の対応に使う顧問先情報、担当者、更新日や案件状況を選び、内容を確認してから運用します。過去の情報は、参照や引き継ぎに必要な範囲を判断して追加します。実際の業務で必要な情報が見つからなければ、その所在と移行方法を確認し、同じ場面で次の対応を判断できるようになってから対象を広げます。


まとめ

士業CRMでは、顧問先、契約、案件、紹介元を関連付け、次の担当と対応を確認できるようにします。まず更新対応か案件進捗を選び、記録する情報、確認する担当者、次へ進む条件を決めましょう。会議や日々の対応で記録が使われることを確かめてから、通知やレポートを加えます。

企業様によって最適な形は異なります。自所で判断が止まった場面から、次の順序で設計を進めてください。

  1. 台帳や案件表をたどり、判断に必要な情報の所在と更新担当を確認します。
  2. 担当者が記録を見て次の対応を決められるよう、確認方法と進行条件を定めます。
  3. 実際の案件で試し、足りない情報や止まった作業を直してから管理範囲を広げます。

更新、案件、紹介のどこから始めるか迷う場合は、直近に判断が止まった業務を選びます。その記録を別の所員が読んで次の対応を決められたら、同じ方法をほかの対象にも使えるか確かめます。判断できなかったら、情報の所在、記録時点、確認担当のうち原因となった箇所を見直します。

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著者情報

7-1

今枝 / Imaeda

株式会社StartLink 代表取締役。累計150社以上のHubSpotプロジェクト支援実績を持ち、Claude CodeやHubSpotを軸にしたAI活用支援・経営基盤AXのコンサルティング事業を展開。
HubSpotのトップパートナー企業や大手人材グループにて、エンタープライズCRM戦略策定・AI戦略ディレクションを経験した後、StartLinkを創業。現在はCRM×AIエージェントによる経営管理支援を専門とする。