A2A(Agent-to-Agent Protocol)とは、Googleが2025年4月に発表した、異なるベンダーのAIエージェント同士が安全に情報交換・タスク委任を行うための標準規格です。MCPが「AIとツールの接続」を担うのに対し、A2Aは「AIとAIの接続」を担い、両プロトコルの組み合わせでマルチエージェントシステムが実現します。Salesforce・SAP・Atlassianなど主要企業が策定に参加しており、エンタープライズ環境でのAIエージェント連携が加速しています。
AIエージェントが外部ツールと連携するMCP(Model Context Protocol)に続き、2025年4月にGoogleが発表したのがA2A(Agent-to-Agent Protocol)です。A2AはAIエージェント同士が安全に情報を交換し、タスクを委任し合うための標準規格です。詳しくは「生成AIとは?ビジネス活用の全体像をわかりやすく解説」で解説しています。
MCPが「AIとツールの接続」を標準化したのに対し、A2Aは「AIとAIの接続」を標準化します。この2つのプロトコルが組み合わさることで、複数のAIエージェントが協調して複雑な業務を遂行する「マルチエージェントシステム」が現実のものとなりつつあります。AI活用完全ガイドで、AI活用の全体像を把握できます。
この記事でわかること
- A2Aの仕組みと3層構造 — A2Aとは、異なるベンダーのAIエージェント同士が安全にタスクを委任・実行するための標準プロトコルです。
- MCPとA2Aの違いと補完関係 — MCPとA2Aは競合するプロトコルではなく、補完関係にあります。
- A2Aが解決する3つの課題 — 現状では、同一ベンダーのエージェント同士しか連携できないケースが多く、企業は特定のAIプラットフォームに依存するリスクがあります。
- 企業活用シナリオとエコシステム — 人間が関与するのは最終的な採用判断のみで、それ以外のオペレーションはAIエージェントが担います。
A2A(Agent-to-Agent Protocol)とは?エージェント間連携の標準規格を解説について理解を深めたい方に、特に参考になる内容です。
A2Aの仕組み:エージェント間通信の3層構造
A2Aとは、異なるベンダーのAIエージェント同士が安全にタスクを委任・実行するための標準プロトコルです。以下の3つの層で構成されます。詳しくは「プロンプトエンジニアリング実践ガイド」で解説しています。
| 層 |
役割 |
内容 |
| Agent Card(名刺層) |
エージェントの自己紹介 |
名前・説明・対応可能なタスク・認証方式 |
| Task管理層 |
タスクの作成・進捗管理 |
タスクの送信・ステータス確認・結果受け取り |
| メッセージ層 |
エージェント間のデータ交換 |
テキスト・ファイル・構造化データの送受信 |
Agent Card:エージェントの自己紹介
A2Aでは、各エージェントが「Agent Card」と呼ばれるJSON形式の自己紹介ファイルを公開します。これにより、他のエージェントが「このエージェントには何を依頼できるか」を自動的に判断できます。人間の組織でいえば、社員が名刺と職務記述書を公開し、誰がどの業務を担当できるかが明確になるイメージです。
Taskライフサイクル
A2Aのタスクは以下のステータスで管理されます。このステータス管理により、委任元のエージェントはタスクの進捗をリアルタイムで把握できます。
| ステータス |
意味 |
| submitted |
タスク依頼が送信された |
| working |
エージェントがタスクを処理中 |
| input-required |
追加情報が必要 |
| completed |
タスク完了 |
| failed |
タスク失敗 |
| canceled |
タスクキャンセル |
MCPとA2Aの違い:補完関係にある2つの規格
MCPとA2Aは競合するプロトコルではなく、補完関係にあります。
| 比較項目 |
MCP |
A2A |
| 接続対象 |
AI ↔ ツール(データソース・API) |
AI ↔ AI(エージェント同士) |
| 提唱者 |
Anthropic |
Google |
| 主な用途 |
CRM・DB・ファイルシステムの操作 |
タスク委任・情報交換・共同作業 |
| 通信方式 |
JSON-RPC 2.0 |
HTTP + JSON-RPC |
| 位置づけ |
エージェントの「手」 |
エージェントの「チームワーク」 |
たとえば、営業エージェントがCRMのデータをMCP経由で取得し、分析エージェントにA2A経由でデータ分析を委任し、その結果をもとに提案書作成エージェントがドキュメントを生成する――といったマルチエージェント連携が実現します。この「一気通貫」のフローが、企業のAI活用を次のステージに押し上げます。
A2Aが解決する課題
課題1:ベンダーロックイン
現状では、同一ベンダーのエージェント同士しか連携できないケースが多く、企業は特定のAIプラットフォームに依存するリスクがあります。A2Aはオープン標準として異なるベンダーのエージェント間でも通信を可能にします。企業様によって利用するAIプラットフォームは異なりますが、A2Aにより「最適なエージェントを選んで組み合わせる」自由度が確保されます。
課題2:タスクの専門分化
1つのAIエージェントにすべての業務を任せるのは非効率です。A2Aにより「営業特化エージェント」「データ分析特化エージェント」「法務特化エージェント」がそれぞれの強みを活かして協調できます。人間の組織設計と同様、専門分化と連携の仕組み化がAIエージェントの世界でも重要です。こうしたClaude Codeの活用に関心のある方は、経営データの可視化やコンテンツマーケティングの効率化もぜひご覧ください。
課題3:セキュリティと認証
エージェント間の通信にはセキュリティが不可欠です。A2Aは認証・認可の仕組みを標準に組み込み、安全なエージェント間通信を実現します。
A2Aの企業活用シナリオ
シナリオ:採用業務のマルチエージェント連携
- 採用エージェント: 求人要件を受け取り、候補者のスクリーニングを実施
- スケジュールエージェント: 面接日程の調整をCalendar APIと連携して実行
- レファレンスチェックエージェント: 候補者の経歴確認レポートを生成
- レポートエージェント: 全候補者の評価サマリーを作成し、採用担当者に提出
各エージェントがA2Aプロトコルでタスクを受け渡し、一連の採用プロセスを自律的に完了します。人間が関与するのは最終的な採用判断のみで、それ以外のオペレーションはAIエージェントが担います。
A2Aのエコシステム:参加企業
A2Aの策定にはGoogleのほか、以下の企業が参加しています。
- Salesforce
- SAP
- Atlassian
- MongoDB
- ServiceNow
- Accenture
これらの企業が自社製品にA2A対応エージェントを組み込むことで、エンタープライズ環境でのマルチエージェント連携が加速すると見込まれています。
A2Aの現時点での限界
A2Aはまだ策定段階であり、以下の点に注意が必要です。
- 本番環境での実績が限定的: 大規模な本番運用事例はまだ少なく、プロトコル仕様の変更リスクがあります。
- エージェントの品質保証: A2Aは通信規格であり、各エージェントの出力品質は保証しません。委任先エージェントの精度検証は別途必要です。
- コスト管理の複雑化: マルチエージェント構成では、各エージェントのAPI利用費が積み上がるため、全体のコスト最適化設計が重要になります。
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まとめ
- A2AはGoogleが策定した、異なるベンダーのAIエージェント同士の連携標準規格
- MCPが「AIとツール」、A2Aが「AIとAI」の接続を担い、両者は補完関係
- Agent Card・Task管理・メッセージの3層構造で安全なエージェント間通信を実現
- Salesforce・SAP・Atlassian等が策定に参加し、エンタープライズ連携が加速
- まずMCPでCRM接続を確立し、A2Aでマルチエージェント連携を段階的に拡張するのが現実的
まずはMCPでCRMとAIの接続を確立し、その上でA2Aによるマルチエージェント連携を段階的に検討してください。
よくある質問(FAQ)
Q1. A2AとMCPはどちらを先に導入すべきですか?
MCPを先に導入することを推奨します。MCPでAIと業務ツール(CRM、Slack、DB等)の接続を確立し、単一エージェントによる業務自動化の成果を確認してから、A2Aによるマルチエージェント連携に進むのが段階的で現実的なアプローチです。詳しくは「MCP(Model Context Protocol)とは?」をご覧ください。
Q2. A2Aは現時点で本番業務に使えますか?
プロトコル仕様は公開されていますが、本番環境での大規模運用実績はまだ限定的です。現時点では、社内のPoC環境でマルチエージェント連携の検証を行い、プロトコルの成熟を見ながら本番適用の判断をするのが賢明です。
Q3. CRMとA2Aはどう関係しますか?
CRMに蓄積されたデータを起点に、営業エージェント・分析エージェント・レポートエージェントがA2A経由で連携することで、リード対応から商談分析、提案書生成までの一気通貫フローが実現します。SalesforceがA2Aの策定に参加していることからも、CRM×マルチエージェント連携は今後の主要トレンドとなることが予想されます。
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