社内Wiki構築ガイド|ナレッジベースを定着させる運用のコツ

  • 2026年3月11日
  • 最終更新: 2026年4月15日
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この記事の結論

社内Wikiとナレッジベースは、組織の知識を「使える状態」で蓄積・共有するための基盤です。しかし多くの企業では、導入後に「書かれない」「検索しても見つからない」「情報が古い」という3大課題に直面し、形骸化してしまいます。本記事では、社内Wikiのゼロからの構築方法、ツール選定、Notionの活用法、ナレッジベースの情報設計、FAQ設計、ヘルプデスク活用、さらにナレッジグラフの先進的な活用法まで、社内の知識基盤を確実に定着させるための全体像を解説します。

ブログ目次

記事の内容を、そのまま実務に落とし込みたい方向け

HubSpot導入、AI活用、CRM整備、業務効率化までをまとめて支援しています。記事で気になったテーマを、そのまま相談ベースで整理できます。


社内Wikiとナレッジベースは、組織の知識を「使える状態」で蓄積・共有するための基盤です。しかし多くの企業では、導入後に「書かれない」「検索しても見つからない」「情報が古い」という3大課題に直面し、形骸化してしまいます。本記事では、社内Wikiのゼロからの構築方法、ツール選定、Notionの活用法、ナレッジベースの情報設計、FAQ設計、ヘルプデスク活用、さらにナレッジグラフの先進的な活用法まで、社内の知識基盤を確実に定着させるための全体像を解説します。

ナレッジマネジメントの全体戦略を含む経営管理の俯瞰図は、経営管理完全ガイドをご覧ください。



この記事でわかること

  • 社内Wikiをゼロから構築し、全社に定着させるまでの具体的なステップ
  • Notion・Confluence・Qast・HubSpot KBなど主要ツールの機能・価格比較と選定基準
  • Notionで社内Wikiを構築する際の設計テンプレート・権限管理・運用ルールの実践法
  • 社内Wikiが定着しない典型的な原因と、書いてもらえる仕組みの作り方
  • ナレッジベースの情報設計・カテゴリ分類・検索性向上のベストプラクティス
  • 問い合わせを大幅に削減する社内FAQの設計方法とAIチャットボット連携
  • ナレッジグラフとGraphRAGで社内情報のAI検索精度を飛躍的に高める方法


社内Wikiとは何か――組織の知識基盤としての役割

社内Wikiとは、企業内部の業務知識・手順書・ノウハウ・ルールなどを、社員が自ら編集・閲覧できる形で蓄積する情報共有プラットフォームです。Wikipediaの社内版と考えるとイメージしやすいでしょう。ただし、社内Wikiの本質は「百科事典」ではなく「生きた業務マニュアル」です。日々の業務で参照され、業務の変化に合わせて更新され続けることで初めて価値を持ちます。

社内Wikiが失敗する最大の原因は「ツール」ではなく「運用」です。書いてもらえない・探せない・更新されないの3つの課題に対して、投稿のハードルを下げる仕組みと更新ルールを先に設計することが定着の前提条件です。

社内Wikiが必要とされる背景には、3つの構造的な課題があります。第一に、人材の流動化です。転職が当たり前の時代において、個人に属人化した知識は退職と同時に失われます。第二に、リモートワークの定着です。オフィスで「隣の人に聞く」ことができなくなった環境では、セルフサービスで情報にアクセスできる仕組みが不可欠です。第三に、組織の拡大です。10名の組織であれば口頭での伝達で十分ですが、30名を超えると情報伝達の漏れやズレが発生し、体系化された情報基盤が必要になります。

StartLinkでは、情報基盤の構築は「仕組み化」の第一歩だと考えています。業務プロセスを仕組みに変えるためには、まずそのプロセスが言語化・文書化されている必要があります。社内Wikiは、仕組み化の土台となるインフラです。

社内Wiki・ナレッジベース・FAQの違いと使い分け

社内Wiki、ナレッジベース、FAQは、しばしば混同されますが、それぞれ役割と適したユースケースが異なります。

社内Wikiは「体系的な業務知識の蓄積」に最適です。部門横断的な業務マニュアル、社内ルール、プロジェクトの記録など、構造化された長文コンテンツを管理するのに適しています。ナレッジベースは「特定テーマに関する知識の集約」に適しており、製品情報、技術仕様、顧客対応ガイドラインなど、テーマごとに深く掘り下げた情報を体系化する場です。FAQは「よくある質問への迅速な回答」に特化しており、質問と回答のペアを簡潔に提示する形式です。

実務では、これら3つを組み合わせて運用するのが効果的です。社内Wikiで業務全体の知識を体系化し、ナレッジベースで顧客対応に必要な知識を集約し、FAQで頻出の質問に即座に回答できる仕組みを構築する、という多層構造が理想です。



社内Wikiのゼロからの構築ステップ

社内Wikiを構築する際、多くの企業が犯す失敗は「とりあえずツールを導入して、みんなで書き始めよう」と始めることです。ツール導入はスタート地点に過ぎず、構築前の設計が成否を分けます。

構築の第一歩は「目的の明確化」です。社内Wikiで何を実現したいのかを具体的に定義します。「業務マニュアルを一元化して、新人の立ち上がりを2週間短縮する」「部門間の情報格差を解消して、クロスセルの提案力を向上させる」といった、測定可能な目標を設定します。目的が曖昧なまま始めると、「何を書けばいいかわからない」という状態に陥り、結果として誰も書かなくなります。

第二のステップは「情報設計(アーキテクチャ)」です。カテゴリ構造、ページの階層、タグ体系、命名規則を先に設計します。カテゴリ構造は「組織構造」ベースと「業務プロセス」ベースの2つの設計方針がありますが、利用者の検索行動に合わせて選択してください。営業部門の人が「営業マニュアル」を探すなら組織構造ベースが直感的であり、「見積もり作成の方法」を探すなら業務プロセスベースが見つけやすくなります。

第三のステップは「最初のコンテンツ投入」です。空のWikiは誰も使いません。最低でも20-30ページの初期コンテンツを運営チームが作成してからリリースすることで、「ここに来れば情報がある」という認知を作ります。

構築から全社定着までの詳細な実践ステップは、社内Wikiの作り方|ゼロから構築して全社に定着させるまでの実践ガイドで、テンプレート例や運用ルールのサンプルを含めて解説しています。

運用ルールの策定が定着を左右する

社内Wikiの構築で最も見落とされがちなのが、運用ルールの策定です。「誰が書くのか」「いつ更新するのか」「レビューは必要か」「古い情報はどう扱うか」といったルールが決まっていないと、Wikiは混沌とした情報の墓場になります。

効果的な運用ルールの例としては、各ページに「オーナー」を設定し、四半期ごとに内容の正確性をレビューする仕組みや、新しいプロジェクトを開始する際にWikiページの作成を必須とするチェックリストの導入などがあります。ルールは厳しすぎると書くハードルが上がり、緩すぎると情報の品質が低下するため、バランスが重要です。



社内Wikiツールの比較と選定基準

社内Wikiツールの選定は、長期的な運用を見据えた戦略的な判断が求められます。現在主要な社内Wikiツールとしては、Notion、Confluence、Qast、HubSpot Knowledge Base、SharePoint、Kibelaなどが挙げられます。

ツール選定で重視すべき軸は5つあります。第一は「使いやすさ」です。Wikiの成否は「書く人の数」で決まります。ITリテラシーの高くない社員でも直感的に記事を作成・編集できるUIかどうかが最重要です。第二は「検索性」です。記事が増えるほど検索の品質が重要になります。全文検索の精度、フィルタリング機能、AIによる関連記事のサジェストなどを評価してください。第三は「権限管理」です。部門ごとのアクセス制御、閲覧専用・編集可能の権限設定、外部共有の可否を確認します。第四は「他ツールとの連携」です。Slack、HubSpot、Google Workspaceなど既存の業務ツールとシームレスに連携できるかどうかが、日常的な活用に直結します。第五は「コスト」です。ユーザー数に応じた料金体系か、ストレージ上限はあるか、将来の拡張時にコストがどう変化するかを見積もります。

各ツールの機能・価格・選定基準の詳細な比較は、社内Wikiツール比較|Notion・Confluence・Qast・HubSpot KBの機能・価格・選定基準で一覧表を含めて整理しています。

HubSpotのナレッジベース機能を活用するメリット

HubSpotを既にCRMとして利用している企業にとって、HubSpotのナレッジベース機能(Knowledge Base)は有力な選択肢です。最大のメリットは、CRMと完全に統合されている点です。顧客がどのナレッジ記事を閲覧したかがコンタクトレコードに紐づくため、営業担当は顧客の関心事を把握した上で提案ができます。

また、HubSpotのナレッジベースは、チケット(問い合わせ)の作成と連動しているため、FAQで解決できなかった問い合わせだけが有人対応に回る仕組みを自然に構築できます。カスタマーサポートの効率化とナレッジ蓄積を同時に実現したい場合に特に効果的です。



Notionで社内Wikiを構築する実践法

Notionは、社内Wikiツールとして最も急速に普及しているプラットフォームの一つです。ドキュメント、データベース、タスク管理、Wikiを1つのツールで統合できる柔軟性が特徴ですが、その自由度の高さゆえに「設計なしで使うと情報が散乱する」というリスクも抱えています。

Notionで社内Wikiを成功させるためには、ワークスペースの設計が極めて重要です。推奨する構造は、トップレベルに「全社共通」「部門別」「プロジェクト別」の3つのセクションを置き、全社共通には社内ルール・経費精算・福利厚生などの全員が参照する情報を、部門別には各部門固有の業務マニュアルやナレッジを、プロジェクト別にはプロジェクト単位の情報をまとめる構造です。

権限管理もNotionの重要な設計ポイントです。Notion for Teamsプランでは、ワークスペースレベル・ページレベル・ブロックレベルでの権限設定が可能です。人事・経理など機密性の高い情報は限定公開とし、それ以外は原則として全社公開にすることで、情報の透明性と機密保持のバランスを取ります。

テンプレート機能の活用も定着のカギです。「議事録テンプレート」「業務マニュアルテンプレート」「トラブル対応記録テンプレート」などを事前に用意しておくことで、書く側のハードルを大幅に下げられます。

Notionでの社内Wiki構築の具体的な手順は、Notionで社内Wikiを構築する方法|設計テンプレート・権限管理・運用ルールの実践ガイドで、実際のスクリーンショットやテンプレート例を交えて解説しています。



社内Wikiが定着しない原因と対策

社内Wikiを導入した企業の多くが、半年後には「ほとんど更新されない」「誰も見ていない」という状態に陥ります。これは偶然ではなく、構造的な原因があります。

最も根本的な原因は「書くインセンティブがない」ことです。社内Wikiにナレッジを書く行為は、短期的には書いた本人にメリットがありません。自分の知識を公開することで、自分の存在価値が下がるのではないかという心理的抵抗すら存在します。この壁を乗り越えるには、ナレッジ共有を評価制度に組み込むか、あるいはナレッジ共有が自然に行われる業務フローを設計するかのいずれかが必要です。

第二の原因は「情報の質が低い」ことです。最初は熱心に書かれたものの、内容が古くなっても更新されず、「ここの情報は当てにならない」という認識が広がると、閲覧者も書き手も離れていきます。品質を維持するには、ページオーナー制度と定期棚卸しの仕組みが不可欠です。

第三の原因は「検索しても見つからない」ことです。社員は忙しい中で情報を探しています。3回検索して見つからなければ、二度とWikiを使いません。検索体験の品質は、Wiki定着の生命線です。カテゴリ設計・タグ付けルール・検索アルゴリズムの品質に投資する価値は非常に高いです。

社内Wikiが定着しない原因の全体像と、それぞれに対する具体的な対策は、社内Wikiが定着しない原因と対策|書いてもらえない・使ってもらえない問題の解決法で事例を交えて詳しく解説しています。

「書かせる」のではなく「自然に蓄積される」仕組みを作る

StartLinkが推奨するのは、「ナレッジを書く」という行為を業務フローから独立させないことです。たとえば、HubSpotで商談をクローズする際に「クローズ理由」「成功要因」「反省点」を記録するフィールドを設け、その内容を定期的に集約してWikiに転記する仕組みを構築すれば、営業担当は「ナレッジを書いている」という意識なく、自然にナレッジが蓄積されます。

Slackでの質問と回答のやり取りをボットで自動的にWikiに転記するワークフローや、顧客からの問い合わせ内容をチケットシステム経由でFAQに自動追加する仕組みなど、「日常業務の副産物としてナレッジが蓄積される」設計が、最も持続性の高いアプローチです。



ナレッジベースの情報設計とベストプラクティス

ナレッジベースの価値は「中身の質」と「見つけやすさ」の掛け算で決まります。どんなに良い記事が書かれていても、必要なときに見つからなければ価値はゼロです。情報設計(Information Architecture)は、ナレッジベースの成否を左右する最も重要な設計領域です。

情報設計の基本原則は3つあります。第一は「ユーザーの検索行動に合わせたカテゴリ構造」です。社員が情報を探すとき、「部門」で探すのか「業務プロセス」で探すのか「キーワード」で探すのかを調査し、最も多い検索パターンに最適化した構造にします。第二は「一貫した命名規則とフォーマット」です。記事のタイトル形式、見出し構造、本文の粒度を統一することで、ユーザーは「どのページを見ても同じ構造」という安心感を持ち、情報の取得速度が上がります。第三は「段階的な深さ設計」です。概要ページから詳細ページへ、さらにリファレンスページへと段階的に深掘りできる構造にすることで、初心者も熟練者も自分に合った情報レベルにアクセスできます。

タグ設計も重要な要素です。タグは「カテゴリに収まらない横断的な分類」を実現する手段です。「部門タグ」「スキルレベルタグ」「製品タグ」「更新頻度タグ」など、複数の軸でタグを設計することで、多角的な検索を可能にします。ただし、タグの種類が多すぎると運用が破綻するため、最初は5-8種類程度に抑え、利用状況を見ながら拡充するのが現実的です。

ナレッジベースの情報設計の詳細は、ナレッジベースの構築方法|情報設計・カテゴリ分類・検索性向上のベストプラクティスで、設計フレームワークと実装例を交えて解説しています。



社内FAQの設計とAIチャットボット連携

社内FAQは、ナレッジマネジメントの中で最も即効性の高い施策の一つです。多くの組織で発生している「同じ質問に何度も答える」問題を直接的に解決できるため、導入のROIが非常に高い取り組みです。

効果的なFAQ設計のポイントは3つあります。第一は「実際の問い合わせデータに基づくQ&Aの選定」です。FAQ担当者が「よくありそうな質問」を想像で作るのではなく、ヘルプデスクやSlackの問い合わせログを分析して、実際に多い質問をリストアップします。第二は「回答の粒度設計」です。FAQの回答は「短すぎず長すぎず」が理想です。一般的には、回答の冒頭で結論を述べ、その後に補足説明を2-3文添える形式が最も読まれやすいとされています。第三は「定期的な見直しサイクル」です。業務ルールの変更、新ツールの導入、組織変更などに応じてFAQを更新し続けなければ、古い情報が残って信頼性が低下します。

近年では、FAQとAIチャットボットの連携が急速に進んでいます。SlackやTeamsにチャットボットを設置し、社員の質問に対してFAQデータベースから最適な回答を自動で返すことで、ヘルプデスクへの問い合わせを大幅に削減できます。HubSpotのチャットボット機能を活用すれば、ナレッジベースと連携した自動応答を簡単に構築できます。

FAQ設計の具体的な方法論とAIチャットボット連携については、社内FAQの作り方|問い合わせを80%削減するFAQ設計とAIチャットボット連携で詳しく解説しています。

FAQとナレッジベースの連携設計

FAQとナレッジベースは、別々に運用するのではなく連携させることで大きな相乗効果を生みます。FAQの回答から、より詳細なナレッジベースの記事へリンクを張ることで、「簡潔な回答→詳細な解説」という自然な導線を作れます。逆に、ナレッジベースの記事のうち頻繁に参照されるものをFAQ化すると、よくある疑問に対するアクセス性が向上します。

HubSpotでは、ナレッジベースとチケット機能が統合されているため、「FAQ→ナレッジベース→チケット(有人対応)」というエスカレーションの導線を一つのプラットフォーム上で構築できます。



ヘルプデスクにおけるナレッジ活用の仕組み

ヘルプデスク(社内IT支援・カスタマーサポート)は、ナレッジマネジメントの投資効果が最も直接的に現れる部門です。ヘルプデスクの業務の大部分は、「同じ質問に繰り返し回答する」ことに費やされています。この重複業務をナレッジで解消することが、効率化の最大のレバレッジポイントです。

ヘルプデスクでのナレッジ活用は、3つのレイヤーで設計します。第一のレイヤーは「セルフサービス」です。社員や顧客が自分でFAQやナレッジベースを検索して問題を解決するレイヤーです。ここで解決できる問い合わせが増えるほど、有人対応の負荷が下がります。第二のレイヤーは「オペレーター支援」です。有人対応の際に、オペレーターがナレッジベースを参照しながら回答するレイヤーです。回答の品質が均一化され、新人オペレーターでもベテランと同等の対応が可能になります。第三のレイヤーは「ナレッジ生成」です。新しい問い合わせに対応した際に、その回答内容をナレッジとして記録し、ナレッジベースに追加するレイヤーです。対応のたびにナレッジが充実していく好循環を作ります。

ヘルプデスクにおけるナレッジ活用の具体的な運用設計は、ヘルプデスクのナレッジ活用ガイド|問い合わせ対応を効率化するKB運用の仕組みで、KPIの設定からオペレーションフローの設計まで解説しています。

HubSpotを活用したヘルプデスクのナレッジ運用

HubSpotのService Hubは、チケット管理・ナレッジベース・チャットボット・フィードバック収集を一元的に管理できるため、ヘルプデスクのナレッジ運用基盤として非常に適しています。チケットの解決時に、その回答をワンクリックでナレッジベースに追加する導線を構築すれば、日々の対応業務の中で自然にナレッジが蓄積されます。

また、HubSpotのレポート機能で「どのナレッジ記事が多く閲覧されているか」「どの質問がFAQで解決できていないか」を可視化することで、ナレッジの改善ポイントをデータドリブンに特定できます。



ナレッジグラフとGraphRAGの企業活用

ナレッジグラフは、社内の情報資産をさらに高度に活用するための先進的な技術です。従来のナレッジベースは「記事単位」で情報を管理しますが、ナレッジグラフは「情報同士の関係性」をグラフ構造で表現することで、より文脈を理解した情報検索を可能にします。

たとえば、「顧客Xが属する業界のトレンド」「顧客Xの担当者が過去に興味を示した製品カテゴリ」「同業界の他社が直面した課題」といった情報は、記事検索では見つけにくいものの、ナレッジグラフ上では関連ノードをたどることで自然に導き出せます。

さらに注目されているのが、ナレッジグラフとRAG(Retrieval Augmented Generation)を組み合わせたGraphRAGです。従来のRAGは文書からテキストチャンクを検索して回答を生成しますが、GraphRAGはナレッジグラフの関係性情報も加味して検索するため、より正確で文脈に沿った回答を生成できます。

GraphRAGの導入は技術的なハードルが高いものの、先行して取り組んでいる企業では、社内問い合わせの回答精度の大幅な向上や、営業担当への提案材料の自動生成など、具体的な成果が報告されています。

ナレッジグラフの構築方法とGraphRAGの実装については、ナレッジグラフの企業活用ガイド|GraphRAGで社内情報のAI検索精度を飛躍的に向上させる方法で、技術的な概要から導入ステップまで解説しています。

ナレッジグラフ構築の前提条件

ナレッジグラフの構築には、まず社内の情報がデジタル化・構造化されている必要があります。CRMのデータ(顧客情報・商談履歴)、ナレッジベースの記事、プロジェクト管理ツールのデータ、財務データなど、各システムに分散した情報を統合するデータ基盤が前提となります。

HubSpotのCRMは、コンタクト・企業・取引・チケットがリレーション(関連付け)で結ばれた構造を持っており、ナレッジグラフの原型とも言えるデータモデルです。HubSpotのデータを起点にナレッジグラフを構築することは、技術的にも実用的にも合理的なアプローチです。



よくある質問(FAQ)

Q1: 社内Wikiの構築で最初にすべきことは何ですか?

最初にすべきことは「目的の明確化」です。「新人の立ち上がり期間を短縮する」「部門間の情報格差を解消する」など、測定可能な目標を定義してください。目的が曖昧なまま始めると「何を書けばいいかわからない」状態に陥ります。その上で情報設計(カテゴリ構造・命名規則)を行い、初期コンテンツを20-30ページ投入してからリリースすることを推奨します。詳細は社内Wikiの作り方|ゼロから構築して全社に定着させるまでの実践ガイドをご覧ください。

Q2: NotionとConfluenceのどちらを選ぶべきですか?

チームの規模と技術スタックによります。Notionは直感的なUIと柔軟な構造で、10-100名規模のチームやスタートアップに適しています。Confluenceは権限管理の細かさとJiraとの連携が強みで、100名以上の組織やアトラシアン製品を利用している企業に適しています。また、HubSpotを利用している企業であれば、HubSpot Knowledge Baseも候補に入ります。詳細な比較は社内Wikiツール比較|Notion・Confluence・Qast・HubSpot KBの機能・価格・選定基準で確認できます。

Q3: 社内Wikiが「書かれない」状態をどう解決すればよいですか?

「書かせる」のではなく「自然に蓄積される仕組み」を作ることが本質的な解決策です。CRMの商談クローズ時に成功要因を記録するフィールドを設ける、Slackの質問回答を自動でWikiに転記するボットを導入する、など、日常業務の副産物としてナレッジが蓄積される設計を推奨します。それでも不足する場合は、ナレッジ共有を評価制度に組み込むことも検討してください。原因と対策の全体像は社内Wikiが定着しない原因と対策|書いてもらえない・使ってもらえない問題の解決法で解説しています。

Q4: 社内FAQで問い合わせをどの程度削減できますか?

適切に設計されたFAQは、問い合わせの50-80%を削減できるとされています。ポイントは「想像で質問を作る」のではなく「実際の問い合わせログを分析して頻出質問をリストアップする」ことです。さらにAIチャットボットと連携すれば、24時間自動で回答できる体制を構築できます。FAQ設計の具体的な方法論は社内FAQの作り方|問い合わせを80%削減するFAQ設計とAIチャットボット連携をご参照ください。

Q5: ナレッジグラフの導入は中小企業にも必要ですか?

中小企業が最初からナレッジグラフに取り組む必要はありません。まずは社内WikiやFAQでナレッジの基盤を整備し、情報量が増えてきた段階で検討するのが現実的です。ただし、HubSpotのCRMを活用してデータを構造化して蓄積していれば、将来的にナレッジグラフを構築する際の基盤になります。スモールスタートで土台を作りながら、段階的に高度化していくアプローチを推奨します。ナレッジグラフの詳細はナレッジグラフの企業活用ガイド|GraphRAGで社内情報のAI検索精度を飛躍的に向上させる方法で確認できます。



まとめ

  • 社内Wikiは「ツール導入」ではなく「目的の明確化→情報設計→初期コンテンツ投入→運用ルール策定」の順序で構築することで、定着率が大幅に向上する
  • ツール選定では「使いやすさ」「検索性」「権限管理」「既存ツールとの連携」「コスト」の5軸で評価し、自社の課題と組織規模に合ったものを選ぶ
  • 社内Wikiが定着しない最大の原因は「書くインセンティブがない」ことであり、日常業務の副産物としてナレッジが蓄積される仕組みの設計が最も効果的な対策である
  • ナレッジベースの情報設計では、ユーザーの検索行動に合わせたカテゴリ構造・一貫した命名規則・段階的な深さ設計の3原則を押さえる
  • FAQは実際の問い合わせデータに基づいて設計し、AIチャットボットと連携させることで問い合わせの大幅な削減を実現できる
  • ヘルプデスクは「セルフサービス→オペレーター支援→ナレッジ生成」の3層構造で設計することで、対応効率とナレッジ品質の両方が向上する
  • 将来的にはナレッジグラフとGraphRAGの活用により、文脈を理解した高精度なナレッジ検索が実現する。まずはCRMでデータを構造化して蓄積することが、その基盤となる

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このページは、経営管理完全ガイドの中の「社内Wiki・ナレッジベース」カテゴリのガイドページです。各記事は、HubSpot認定パートナーであるStartLinkが実務経験をもとに執筆しています。


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著者情報

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今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLink 代表取締役。累計150社以上のHubSpotプロジェクト支援実績を持ち、Claude CodeやHubSpotを軸にしたAI活用支援・経営基盤AXのコンサルティング事業を展開。
HubSpotのトップパートナー企業や大手人材グループにて、エンタープライズCRM戦略策定・AI戦略ディレクションを経験した後、StartLinkを創業。現在はCRM×AIエージェントによる経営管理支援を専門とする。