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企業データ基盤の構築方法|DWH・データレイクの設計とクラウド活用ガイド

作成者: 今枝 拓海|2026/03/04 16:16:47

データ基盤とは、企業内の様々なデータソースからデータを収集・統合・蓄積し、分析・活用できる状態にする技術基盤です。構造化データの分析にはDWH(データウェアハウス)、非構造化データを含む大量データの蓄積にはデータレイクを使い分けます。クラウドDWHはBigQuery・Snowflake・Amazon Redshiftが主要製品で、中小企業はBigQueryのサーバーレス型が最も着手しやすいです。

DXの推進に伴い、CRM、ERP、MA、Webアナリティクスなど多数のシステムにデータが分散する企業が増えています。各システムのデータを統合的に分析するには、全社データを集約する「データ基盤」の構築が不可欠です。

データ基盤とは、企業内の様々なデータソースからデータを収集・統合・蓄積し、分析・活用できる状態にするための技術基盤です。本記事では、DWH(データウェアハウス)とデータレイクの違い、クラウドDWHの選定、データパイプラインの構築方法を解説します。

本記事は「データドリブン経営の進め方|データに基づく意思決定を組織に実装するステップ」シリーズの一部です。

本記事はStartLinkの「経営管理DX完全ガイド」関連記事です。

この記事でわかること

  • DWH(構造化データ分析向け)とデータレイク(大量非構造化データ蓄積向け)の違いと使い分け
  • BigQuery・Snowflake・Amazon Redshiftの機能・価格・適性の比較
  • ELT/ETLパイプライン、データマート、セマンティックレイヤーなどアーキテクチャ設計の基本
  • CRMデータを含むデータパイプラインの構築手順と運用のポイント

ツール選定は、導入後の成果を大きく左右する重要な意思決定です。本記事では、選定基準から活用のコツまでを網羅的に解説していますので、比較検討中の方はぜひ最後までお読みください。

DWHとデータレイクの違い

比較項目 DWH データレイク
データの種類 構造化データ 構造化+半構造化+非構造化
スキーマ 事前定義(Schema on Write) 利用時定義(Schema on Read)
用途 定型的な分析・レポーティング 探索的分析、機械学習
データ品質 クレンジング済みの高品質データ 生データを含む
ユーザー 経営層、ビジネスアナリスト データサイエンティスト、エンジニア
コスト 中〜高 低〜中

近年は両者の境界が曖昧になり、「レイクハウス」と呼ばれるDWHとデータレイクを統合したアーキテクチャが主流になりつつあります(Databricks、Delta Lake等)。

クラウドDWHの主要製品比較

製品 提供元 特徴 価格モデル 適する企業
BigQuery Google Cloud サーバーレス、SQL対応、高速 従量課金(クエリ量) 全規模
Snowflake Snowflake マルチクラウド、コンピュートとストレージ分離 従量課金(使用量) 中堅〜大企業
Amazon Redshift AWS AWS統合、高パフォーマンス 固定+従量 AWS環境の企業
Azure Synapse Microsoft Microsoft統合、PaaS 従量課金 Microsoft環境の企業

中小企業への推奨

多くの中小企業にはBigQueryが最も適しています。理由は:

  • サーバーレスで運用管理が不要
  • 月10GBまでのストレージと1TBまでのクエリが無料
  • Looker Studioとの統合でBIダッシュボードが構築しやすい
  • SQLで操作できるため、学習コストが低い

データ基盤のアーキテクチャ設計

3層アーキテクチャ

役割 構成要素
データソース層 データの発生源 CRM、ERP、Webサイト、SaaS各種
データ統合層 収集・変換・格納 ETL/ELTパイプライン、DWH
データ活用層 分析・可視化・活用 BIツール、機械学習、レポート

ETLとELTの違い

方式 処理順序 特徴 適する場面
ETL Extract→Transform→Load 変換してからDWHに格納 データ品質を重視
ELT Extract→Load→Transform まずDWHに格納し、DWH上で変換 BigQuery等のクラウドDWH向け

クラウドDWHの計算能力を活用するELTが現在の主流です。dbt(data build tool)はELTのTransform部分を効率化するツールとして広く使われています。なお、データパイプラインの構築と並行してAIによるデータ分析の自動化を導入すれば、蓄積したデータからのインサイト抽出も効率化できます。

データパイプラインの構築

CRMデータの統合例

CRM(HubSpot等)のデータをBigQueryに集約し、BIダッシュボードで可視化する構成です(関連記事: CRM × データウェアハウス連携の設計)。

構成:

  1. HubSpot API → Fivetran(ETLツール)→ BigQuery
  2. freee API → Fivetran → BigQuery
  3. BigQuery上でdbtを使ってデータモデリング
  4. Looker Studio/Tableauでダッシュボード作成

主要なETL/ELTツール

ツール 特徴 価格
Fivetran マネージドETL、300+コネクタ 従量課金
Airbyte オープンソース、自前運用可 無料〜
trocco 日本製、国内SaaS対応 月額5万円〜
Stitch シンプル、Talend傘下 従量課金

データ基盤構築のロードマップ

フェーズ 期間 内容
Phase 1 0〜3ヶ月 CRMのダッシュボード活用(DWH不要)
Phase 2 3〜6ヶ月 CRM + 会計データのDWH統合
Phase 3 6〜12ヶ月 全社データの統合、高度な分析
Phase 4 12ヶ月〜 AI/ML活用、予測分析

中小企業はPhase 1から始めて十分です。DX戦略の策定方法と組み合わせてロードマップを描くと効果的です。CRMの標準ダッシュボード機能でかなりのデータ分析が可能です(関連記事: CRM導入の進め方完全ガイド)。データ量やユースケースが増えた段階でDWHを導入するのが、コスト効率の良いアプローチです。

HubSpotで実現する企業データ基盤の構築方法

企業データ基盤の構築方法を実務に落とし込むには、CRMツールの活用が不可欠です。詳しくは「HubSpot Data Hub(旧Operations Hub)とは?データ同期・自動化・レポート機能を徹底解説」で解説しています。

次のステップ

企業データ基盤に取り組むなら、CRM・データ基盤の整備が成功の鍵です。以下の記事でHubSpotを使った具体的な実践方法を解説しています。

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まとめ

  • データ基盤はDWH(構造化データ分析)とデータレイク(非構造化データ蓄積)を使い分ける
  • クラウドDWHの主要製品はBigQuery(サーバーレス・手軽)、Snowflake(柔軟・マルチクラウド)、Redshift(AWS統合)
  • 中小企業はBigQueryでのスモールスタートが最も現実的。従量課金で初期コストが低い
  • CRMのデータをDWHに連携し、営業・マーケ・CS・経理のデータを統合分析する体制を構築する
  • データパイプラインは「収集→変換→蓄積→提供」の4層で設計し、品質チェックを各層に組み込む

よくある質問(FAQ)

Q1. データ基盤としてDWHとデータレイクはどちらを選ぶべきですか?

用途によります。DWH(データウェアハウス)は構造化データの集計・分析に最適で、売上レポートやKPIダッシュボードに適しています。データレイクは構造化・非構造化を問わず全データを格納でき、AI/ML用の分析基盤に適しています。中小企業はまずDWH(BigQuery、Snowflake等)から始め、必要に応じてデータレイクを追加する段階的アプローチが推奨されます。

Q2. データサイロとは何ですか?どう解消しますか?

データサイロとは、部門ごとに異なるシステムやExcelにデータが分散し、相互に参照・連携できない状態です。解消するには、CRMを全社データの統合基盤として位置づけ、各システムとAPI連携でデータを集約する方法が効果的です。iPaaSを活用すればノーコードでの連携も可能です。

Q3. クラウドDWHのコストはどの程度ですか?

BigQueryは従量課金制で、月額数千円から利用できます。Snowflakeも利用量に応じた課金です。中小企業の一般的な利用量であれば月額1〜5万円程度で運用可能です。オンプレミスのDWHと比較すると、初期投資が不要でスケーラビリティが高い点がメリットです。

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