クラウド移行とは、オンプレミス環境のシステムをクラウド(AWS/Azure/GCP等)に移行するプロジェクトです。移行パターンは7R(Rehost/Relocate/Replatform/Refactor/Repurchase/Retain/Retire)で分類し、システムごとに最適な方式を選択します。中小企業はSaaS置換(Repurchase)を優先し、CRM・会計・MAなど業務SaaSへの移行から着手するのが最もコスト効率が高いアプローチです。
総務省の「情報通信白書」によると、日本企業のクラウド利用率は2024年時点で約77%に達しています。しかし、「全面的にクラウドを活用している」企業はまだ約30%にとどまり、多くの企業がオンプレミスとクラウドの混在環境で運用しています。
クラウド移行は「オンプレミスのサーバーをクラウドに移す」だけの作業ではありません。移行戦略の選択を誤ると、コスト増大やパフォーマンス低下を招きます。本記事では、クラウド移行の戦略パターン、計画の立て方、成功のポイントを解説します。
本記事は「データドリブン経営の進め方|データに基づく意思決定を組織に実装するステップ」シリーズの一部です。
本記事はStartLinkの「経営管理DX完全ガイド」関連記事です。
これらの比較ポイントを押さえることで、自社に最適なツールを選ぶための判断軸が明確になります。導入で後悔しないためにも、ぜひ最後までチェックしてください。
| 動機 | 内容 | 割合(複数回答) |
|---|---|---|
| コスト最適化 | ハードウェア投資の削減、従量課金への移行 | 約60% |
| スケーラビリティ | 需要に応じたリソースの柔軟な増減 | 約55% |
| セキュリティ強化 | クラウドベンダーの高度なセキュリティ基盤 | 約40% |
| BCP(事業継続) | 災害対策、冗長化 | 約35% |
| DX推進の基盤 | SaaS/PaaS活用、API連携の容易さ | 約45% |
| EOL対応 | オンプレサーバー/OSのサポート終了 | 約30% |
AWSが提唱する移行パターンは、システムごとに最適な移行方法を選択するフレームワークです。
| パターン | 内容 | コスト | リスク | 所要時間 | ポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| Rehost | そのままクラウドに移行(リフト&シフト) | 低 | 低 | 短 | EOL対応・緊急時の第一選択 |
| Relocate | VMwareなどの仮想基盤ごとクラウドに移行 | 低 | 低 | 短 | VMware環境の企業向け |
| Replatform | 一部変更してクラウド最適化 | 中 | 低〜中 | 中 | DB変更等の部分最適化に |
| Refactor | クラウドネイティブに再設計 | 高 | 中〜高 | 長 | 将来の拡張性を重視する場合 |
| Repurchase | SaaSに置き換え | 中 | 中 | 中 | 中小企業に最も推奨 |
| Retain | 現時点では移行しない | - | - | - | 移行の必要性が低い場合 |
| Retire | システム自体を廃止 | - | - | - | 使われていないシステム |
| 判断基準 | Rehost推奨 | Repurchase推奨 | Refactor推奨 |
|---|---|---|---|
| 移行の緊急度 | 高い(EOL対応等) | 中程度 | 低い(計画的に進める余裕がある) |
| カスタマイズ度 | 高い(独自仕様が多い) | 低い(標準業務) | 高い(将来の拡張性重視) |
| SaaSの代替有無 | ない | ある | ない |
| 予算 | 限られている | 中程度 | 十分にある |
やるべきこと:
| 項目 | オンプレミス | クラウド |
|---|---|---|
| ハードウェア | サーバー購入費(5年償却) | なし |
| ソフトウェアライセンス | OS、ミドルウェア | インスタンス費用に含む(場合による) |
| 電力・空調 | データセンターの電力費 | なし |
| 人件費(運用) | 自社のインフラエンジニア | マネージドサービスで削減 |
| ネットワーク | 固定回線費用 | データ転送費用 |
| 災害対策 | DR環境の構築・維持 | マルチリージョンで対応 |
注意: クラウドは常にオンプレミスより安いわけではありません。常時高負荷のシステムはクラウドの方が高くなるケースがあります。ワークロードに応じた試算が必要です。
クラウド移行において「セキュリティが心配」は最も多い懸念ですが、主要なクラウドベンダーのセキュリティレベルは、多くの企業のオンプレミス環境より高いです。
「共有責任モデル」の理解:
クラウド移行は、DX戦略を加速させるための基盤整備です。CRM、MA、会計ソフトなどのSaaS活用が進む中、インフラもクラウドに統一することで、全社的なデータ連携が容易になります(関連記事: CRM導入の進め方完全ガイド)。まずは影響の小さいシステムからクラウドに移行し、経験を積みながら段階的に拡大するアプローチが推奨されます(関連記事: CRMとERPの連携設計)。なお、クラウド移行に伴うデータ統合では、データクレンジングを事前に実施し、移行先でのデータ品質を確保することが重要です。
クラウド移行の戦略と進め方を実務に落とし込むには、CRMツールの活用が不可欠です。詳しくは「CRMデータ移行の完全マニュアル|既存システムからの安全な移行手順とチェックリスト」で解説しています。
クラウド移行に取り組むなら、CRM・データ基盤の整備が成功の鍵です。以下の記事でHubSpotを使った具体的な実践方法を解説しています。
リホスト(Lift & Shift、そのまま移行)、リプラットフォーム(一部最適化して移行)、リファクタリング(クラウドネイティブに再設計)、リパーチェス(SaaSに置き換え)の4方式が主流です。既存システムの特性と移行目的に応じて使い分けます。コスト優先ならリホスト、パフォーマンス最適化ならリプラットフォーム、長期的な柔軟性ならリファクタリングが適しています。
自社の技術スタックと要件に応じて選択します。AWSはサービスの豊富さとシェアNo.1の安心感、AzureはMicrosoft製品との親和性、Google Cloudはデータ分析・AI/MLの強さが特徴です。CRMとの連携を重視するなら、HubSpotのData Hubが各クラウドとの連携をサポートしている点も考慮します。
移行費用(アセスメント・設計・実行)と運用費用(月額利用料)を分けて見積もります。移行費用はシステム規模によりますが、中小企業で数百万円〜が目安です。運用費用はオンプレミスの保守費と比較して判断します。TCO(5年間の総所有コスト)で比較すると、多くの場合クラウドの方が有利です。
データ活用やレガシーシステムの刷新でお悩みの方は、CRMを起点としたデータ基盤の設計をStartLinkがサポートします。分散したデータの統合と活用の仕組みをご提案します。
まずはお気軽にご相談ください。現状の課題をヒアリングし、最適なアプローチをご提案します。
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