BtoB購買行動の構造変化|顧客ジャーニーの本質的な変化と営業・マーケの再設計

この記事の結論

BtoB購買行動がどのように構造変化しているか(従来型 vs 現在型の比較)。顧客ジャーニーの本質的な変化と「買い手主導」の実態。

ブログ目次

記事の内容を、そのまま実務に落とし込みたい方向け

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BtoB購買行動がどのように構造変化しているか(従来型 vs 現在型の比較)。顧客ジャーニーの本質的な変化と「買い手主導」の実態。

「営業がテレアポで商談を作っていた時代と、顧客の購買行動がまったく変わっている気がする」「マーケが作ったリードに営業がアプローチしても、すでに顧客は比較検討を終えていることがある」「顧客が問い合わせをしてくる時点で、もう意思決定の大半が済んでいる」――こうした声が、営業現場からもマーケティング部門からも聞こえてくるようになりました。

BtoB購買行動は、この数年で構造的に変化しています。かつては営業担当者が情報提供の起点となり、顧客は営業からの提案を受けて検討を進めていました。しかし、デジタルコンテンツの充実やSaaS比較サイトの普及により、顧客は営業に会う前に購買プロセスの大半を自力で進めるようになっています。この「売り手主導から買い手主導への構造転換」は、営業・マーケティング組織の設計思想そのものを見直す必要があることを意味します。

本記事では、BtoB購買行動の構造変化を整理したうえで、その変化に対応するための営業・マーケティング組織の再設計方法を解説します。CRM/MAを活用した新しい顧客接点の設計思想を、営業責任者・経営者の視点で提示します。

本記事は「The Modelの限界と次世代営業組織|分業体制のサイロ化を超える進化モデル」シリーズの一部です。


この記事でわかること

  • BtoB購買行動がどのように構造変化しているか(従来型 vs 現在型の比較) — 実務での応用についてはTheModelの限界と次世代営業組織で具体例とともに紹介しています。
  • 顧客ジャーニーの本質的な変化と「買い手主導」の実態 — この領域に関心がある方にはリードナーチャリングと組織変革もおすすめです。
  • 購買行動の変化が営業・マーケティング組織に与えるインパクト — リードの量ではなく、顧客とのエンゲージメントの質が重要に。MQLの定義やSQLとの違いを再整理することが、質の高いリード管理の第一歩です。
  • 変化に対応するための営業プロセス再設計の考え方 — 情報を教えるのではなく、顧客が整理しきれない課題を引き出すコンサルティング的な能力が必要。
  • マーケティング組織の再設計とコンテンツ戦略の転換 — 購買ジャーニーの段階に応じてゲートとオープンを使い分ける設計。
  • CRM/MAを活用した新しい顧客接点の設計思想 — 個人単位のリード管理から、会社(アカウント)単位での購買活動把握へ。
  • 購買行動の変化に対応する組織再設計のステップ — BtoB購買行動の構造変化を実務に落とし込むには、CRMツールの活用が不可欠です。

本記事を通じて、CRMを営業の武器に変えるための実践的なアプローチが見えてきます。「ツールを入れたけど活用できていない」と感じている方にこそ、読んでいただきたい内容です。


BtoB購買行動の構造変化

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SECTION 02
BtoB購買行動の構造変化

従来型の購買プロセス:売り手が情報を握っていた時代

実務での応用についてはThe Modelの限界と次世代営業組織で具体例とともに紹介しています。

従来のBtoB購買プロセスでは、営業担当者が情報提供の主要チャネルでした。顧客は営業に問い合わせ、提案を受け、比較検討する。営業が情報格差の優位性を持っていた時代です。

現在型の購買プロセス:買い手が主導権を握る時代

デジタル化の進展により、顧客はWeb検索、比較サイト、SNS、ウェビナー等を通じて営業接触前に情報収集を完了。営業との接触は購買活動全体のわずかな時間に留まっています。

従来型と現在型の比較

比較項目 従来型(売り手主導) 現在型(買い手主導)
情報の主導権 営業担当者が情報提供の主役 顧客が自ら情報を収集・比較
営業との接触タイミング 検討初期から営業が関与 検討の後半、最終確認段階で接触
意思決定プロセス 営業の提案をベースに社内検討 自社調査をベースに営業の提案を検証
購買の関与者 担当者が中心 複数ステークホルダーが関与、合議制
検討期間 営業のペースでコントロール可能 顧客のペースで進行、長期化傾向
営業の役割 情報提供者・提案者 課題の整理役・意思決定の支援者

顧客ジャーニーの本質的な変化

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SECTION 03
顧客ジャーニーの本質的な変化

従来の顧客ジャーニー:予測可能な直線プロセス

この領域に関心がある方にはリードナーチャリングと組織変革もおすすめです。

認知→興味→検討→購買の直線プロセス。The Modelの分業体制はこのジャーニーに対応した設計です。

現在の顧客ジャーニー:非直線・反復・並行の複雑なプロセス

認知と検討を行ったり来たりし、複数情報ソースを並行参照、社内合意形成のためにプロセスを巻き戻す。6つの購買ジョブ(課題特定・解決策探索・要件定義・サプライヤー選定・検証・合意形成)を非直線的に遂行します。

非直線ジャーニーがもたらす3つの課題

  1. ファネルの転換率管理が機能しにくくなる
  2. 営業の介入タイミングが読めなくなる
  3. 複数ステークホルダーへの対応が複雑化する

購買行動の変化が営業・マーケに与えるインパクト

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SECTION 04
購買行動の変化が営業・マーケに与えるインパクト

インパクト1:「リードの量」から「エンゲージメントの質」へ

具体的な実践方法はCRM/SFA導入の社内チェンジマネジメントで詳しく解説しています。

リードの量ではなく、顧客とのエンゲージメントの質が重要に。MQLの定義やSQLとの違いを再整理することが、質の高いリード管理の第一歩です。詳しくはMQLとは?定義・SQLとの違い・創出方法をBtoB実務で解説を参照してください。

インパクト2:「営業主導のプロセス管理」から「顧客主導のジャーニー支援」へ

営業の役割は「プロセスの管理者」から「ジャーニーの支援者」へ。

インパクト3:「部門の壁」が顧客体験の最大の障害になる

非直線的なジャーニーでは、部門間のリアルタイム情報共有がなければ顧客の現在地さえ把握できません。


営業プロセスの再設計

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SECTION 05
営業プロセスの再設計

再設計の原則1:営業が「教える」から「引き出す」へ

情報を教えるのではなく、顧客が整理しきれない課題を引き出すコンサルティング的な能力が必要。

再設計の原則2:「ステージ管理」から「シグナル対応」へ

パイプライン管理を維持しつつ、顧客のデジタル行動シグナルに基づいた営業アクションを組み合わせる。

再設計の原則3:個人営業から「バイイングセンター対応」へ

取引に関わるすべてのステークホルダーをCRM上で可視化し、各コンタクトの役割と関心事を把握する。


マーケティング組織の再設計

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SECTION 06
マーケティング組織の再設計

コンテンツ戦略の転換:ゲートコンテンツからオープンコンテンツへ

購買ジャーニーの段階に応じてゲートとオープンを使い分ける設計。フォーム送信のタイミング自体が購買意欲のシグナルとなる。

リードスコアリングの再定義:行動スコアの重心移動

行動スコアの配分を70〜80%に設定。料金ページや事例ページの閲覧に高スコアを付与。

マーケティングの役割の拡張

リード獲得部門から、顧客の購買ジャーニー全体にわたる体験を設計する機能へ。


CRM/MAを活用した新しい顧客接点の設計思想

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SECTION 07
CRM/MAを活用した新しい顧客接点の設計思想

設計思想1:「リード管理」から「アカウント管理」へ

個人単位のリード管理から、会社(アカウント)単位での購買活動把握へ。

設計思想2:「一方向のナーチャリング」から「双方向のエンゲージメント」へ

顧客の行動に応じてコミュニケーションの内容とタイミングを動的に変化させる設計。

設計思想3:「部門別ツール」から「統一プラットフォーム」へ

MA・SFA・カスタマーサービスが単一プラットフォーム上で統合されたCRMで、全部門のデータを一元管理。ツール統合の考え方はCRM・SFA・MAの一元化戦略|ツールを統合して顧客データのサイロ化を解消する方法でも詳しく解説しています。

設計思想4:「過去データの記録」から「未来シグナルの検知」へ

CRMを「記録システム」から「シグナル検知システム」へ。顧客の行動から購買意欲の変化をリアルタイムに検知する。


組織再設計のステップ

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SECTION 08
組織再設計のステップ
  1. 自社の顧客ジャーニーを再マッピングする
  2. コンテンツ資産を購買ジャーニーにマッピングする
  3. リードスコアリングを行動ベースに再設計する
  4. CRM/MAのデータ基盤を統合する
  5. 営業とマーケの連携プロセスを再定義する
  6. 段階的に実行し、データで検証する

CRMで実現するBtoB購買行動の構造変化

BtoB購買行動の構造変化を実務に落とし込むには、CRMツールの活用が不可欠です。詳しくは「SFA導入で営業組織はどう変わる?導入メリットと成功のための5つの条件」で解説しています。


あわせて読みたい

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SECTION 09
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まとめ

BtoB購買行動の「売り手主導→買い手主導」への構造変化に対応するには、営業は「意思決定の支援者」へ、マーケティングは「購買体験設計部門」へ、CRM/MAは「シグナル検知システム」へと進化させる必要があります

押さえておきたいポイントは以下の通りです。

  • その土台は部門横断の統一データ基盤です
  • まずは自社の顧客ジャーニーを再マッピングし、データに基づいた現状把握から始めてください

よくある質問(FAQ)

Q. BtoB購買行動の変化は、すべての業界で同じように起きていますか?

変化の度合いは業界や商材特性で異なりますが、方向性としてはすべての業界で「買い手が事前に情報収集する」傾向は強まっています。

Q. リードの量を追わなくなると、マーケティングのKPIはどう設計すればよいですか?

MQL化率、コンテンツエンゲージメント指標、営業が「有効」と判断したリードの割合(SAL率)などを組み合わせたKPI設計が効果的です。

Q. シグナルベースの営業とは、具体的にどのように実現しますか?

CRM/MAの標準機能(ワークフロー通知、リードスコアリング、メール通知等)で着手できます。追加ツール不要です。

Q. 購買行動の変化に対応するために、営業に求められるスキルは変わりますか?

「製品知識・提案力」から「課題ヒアリング力・意思決定支援力」へ。コンサルティング的スキルが重要になります。

Q. この記事の内容はThe Modelを否定するものですか?

否定ではなく進化です。T-1(The Modelの限界と進化モデル)、T-2(The Modelとフライホイールのハイブリッド設計)と合わせて、組織の進化を検討してください。


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著者情報

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今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLink 代表取締役。累計150社以上のHubSpotプロジェクト支援実績を持ち、Claude CodeやHubSpotを軸にしたAI活用支援・経営基盤AXのコンサルティング事業を展開。
HubSpotのトップパートナー企業や大手人材グループにて、エンタープライズCRM戦略策定・AI戦略ディレクションを経験した後、StartLinkを創業。現在はCRM×AIエージェントによる経営管理支援を専門とする。