BtoBマーケティングの手法20選|自社に最適な施策の選び方と優先順位

  • 2026年3月3日
  • 最終更新: 2026年10月5日
この記事の結論

BtoBマーケティングの手法は、オンライン10・オフライン10の計20種類に整理できます。成果を左右するのは手法の数ではなく、自社に合う施策を選び、リードから取引までを一つの流れでつなぐことです。

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BtoBマーケティングの手法は、オンライン10・オフライン10の計20種類に整理できます。成果を左右するのは手法の数ではなく、自社に合う施策を選び、リードから取引までを一つの流れでつなぐことです。

BtoBマーケティングの手法とは、法人顧客に自社を知ってもらい、検討を進めてもらい、商談・受注につなげるための施策の総称です。すべてを同時に実行できるリソースを持つ企業は多くないため、「何をやるか」だけでなく「何をやらないか」を決めることが成果への近道になります。

本記事は「BtoBマーケティングとは?BtoCとの違い・基本施策・始め方を完全解説」シリーズの一部です。


この記事でわかること

限られた予算でBtoBマーケティングの施策選定に悩んでいるマーケティング担当者・事業企画者の方に向けた内容です。20の手法を比べたうえで、自社に合う組み合わせと着手の順番を決められるようになります。

  • 主要手法20選の特徴 — オンライン10手法・オフライン10手法それぞれの概要、メリット・デメリット、必要なスキルを比較できます。
  • 企業規模別おすすめ施策マトリクス — スタートアップから大企業まで、規模ごとに相性の良い施策を一覧で把握できます。
  • 施策の優先順位の付け方 — ICEスコアリングを使い、効果・確信度・容易さの3軸で着手順を決める方法を解説します。
  • ファネル段階別の組み合わせとスタートプラン — 単発の施策で終わらせず、リード獲得から商談・受注までを一つの流れで設計する進め方がわかります。

BtoBマーケティング手法の全体像

BtoBマーケティングの手法は、大きく「オンライン施策」と「オフライン施策」に分けられます。近年はオンライン施策の重要性が増していますが、BtoBではオフラインの対面接点も依然として高い効果を発揮します。個別の手法を見る前に、どの手法がファネルのどの段階を担うのかを押さえておくと、選定で迷いにくくなります。

ファネル段階と手法の対応

次の表は、購買検討の段階ごとに目的と主な手法を対応させたものです。同じ「リード獲得」でも、認知段階と比較・検討段階では向いている手法が異なります。

ファネル段階 目的 主なオンライン手法 主なオフライン手法
認知 ブランド認知、課題喚起 SEO、SNS、ディスプレイ広告 展示会、業界イベント
興味・関心 情報提供、リード獲得 ホワイトペーパー、ウェビナー セミナー、DM
比較・検討 自社優位性の訴求 事例コンテンツ、比較記事 個別相談会
商談 購買意思決定の支援 メールナーチャリング、動画 対面訪問、デモ

さらに深掘りしたい方はBtoBマーケティングとは?BtoCとの違い・基本施策・始め方を完全解説もあわせてお読みください。

オンライン施策とオフライン施策の役割分担

オンライン施策は、地理的な制約なく多くの見込み顧客に届き、行動データを取得しやすいことが強みです。

本記事では、両者を「どちらかを選ぶもの」ではなく「ファネルの段階ごとに役割を分けるもの」と整理します。例えば、展示会で接点を持ったリードにメールで情報提供を続け、検討が進んだ段階で個別相談会に招く、という流れです。

手法を選ぶ前に決めておく3つの前提

手法を比較する前に、次の3点を言葉にしておくことをおすすめします。

前提 確認する問い 結果による判断
ターゲット どの業種・規模・役職の誰に届けたいか 対象企業を具体的に挙げられるならABM・個別訪問も候補、挙げられないなら検索・コンテンツ系から
詰まっている段階 ファネルのどこで止まっているか 問い合わせ自体が少ないなら認知・興味段階、リードはあるのに商談化しないなら比較・検討段階の施策を優先
使えるリソース 担当者の人数・スキル・予算 専任者がいないなら運用負荷の小さい施策から、外注予算があるなら制作系の施策も選択肢に

この3点が決まると、20の手法のうち検討すべきものは自然に絞られます。逆に、前提が曖昧なまま施策を増やすと、どれが効いたのかを判断できないまま予算だけが分散しがちです。


オンライン施策①:検索とコンテンツで見つけてもらう手法

ここからは20の手法を順に紹介します。最初のグループは、見込み顧客が自ら情報を探すタイミングで見つけてもらう手法です。各表の「期間」「コスト」の欄は一般的な目安であり、出典に基づいて検証した値ではないため、自社で見積もりを取り直す前提でお読みください。

1. SEO/コンテンツマーケティング

検索エンジン経由でターゲット顧客を自社サイトに集客する手法です。ブログ記事やオウンドメディアを通じて、見込み顧客が検索するキーワードに対応した有益なコンテンツを提供します。実務での応用についてはBtoBデジタルマーケティング入門で具体例とともに紹介しています。

項目 内容
効果が出るまでの期間 6ヶ月〜1年
初期投資 低〜中(月10〜50万円)
必要スキル ライティング、SEO知識
適した企業規模 全規模

メリット: 長期的に安定したリード獲得が可能、コンテンツが資産として蓄積される

デメリット: 成果が出るまでに時間がかかる、継続的なコンテンツ制作が欠かせない

選ぶ目安: 成果が出るまで時間をかけられ、記事を書き続ける体制を組めるなら最優先候補です。今期中に商談が欲しい状況なら、SEOを土台にしつつ次のリスティング広告やウェビナーを併用します。

2. リスティング広告(検索連動型広告)

Google広告やYahoo!広告で、特定のキーワードで検索したユーザーに広告を表示する手法です。検索意図の高い見込み顧客に直接アプローチできます。

項目 内容
効果が出るまでの期間 即日〜1ヶ月
月額予算目安 中〜高(月30〜200万円)
必要スキル 広告運用、LP設計
適した企業規模 中小〜大企業

メリット: 即効性が高い、予算に応じた柔軟な運用が可能

デメリット: 広告費が継続的にかかる、CPC(クリック単価)が高騰する場合がある

選ぶ目安: 自社の商材名や課題名で検索している人がいるかを、まずキーワード調査で見ます。検索されているなら短期の獲得手段として有効で、ほとんど検索されていない新しい領域の商材なら、広告より課題を喚起するコンテンツや展示会を先に検討します。

3. ホワイトペーパー/eBook

業界レポート、ノウハウ集、チェックリストなどの資料をダウンロード形式で提供し、見込み顧客の連絡先情報を取得する手法です。SEO記事で集めた訪問者を「リード」に変える役割を担うため、1・2の手法とセットで設計すると効果が出やすくなります。

項目 内容
効果が出るまでの期間 1〜3ヶ月
初期投資 低(1本あたり5〜30万円)
必要スキル 専門知識、ライティング、デザイン
適した企業規模 全規模

メリット: 質の高いリードを獲得しやすい、専門性のアピールに有効

デメリット: 定期的な更新・新規制作が欠かせない、ダウンロード後のフォロー次第で成果が大きく変わる

選ぶ目安: サイトへの訪問はあるのに問い合わせが少ない場合に向いています。資料を作る前に、ダウンロードした人へ何をいつ送るのか(次のメールナーチャリング)まで決めておくと、リードが放置されずに済みます。


オンライン施策②:リードを育てて関係を深める手法

2つ目のグループは、獲得したリードとの関係を深め、検討を前に進める手法です。

4. メールマーケティング/ナーチャリング

獲得したリードに対して定期的にメールを配信し、関係性を構築・維持する手法です。MA(マーケティングオートメーション)ツールと組み合わせることで、リードの行動に応じた自動配信が可能になります。

項目 内容
効果が出るまでの期間 1〜3ヶ月
月額コスト 低(MAツール月額5〜20万円)
必要スキル メール文面作成、MA運用
適した企業規模 全規模

メリット: 少ない工数で多くのリードにアプローチ可能、自動化しやすい

デメリット: 開封率・クリック率を上げるには、件名や配信タイミングの継続的なテストが欠かせない

選ぶ目安: 手元のリードのうち、すぐ商談にならない人が多いなら優先度が上がります。最初は資料ダウンロード後のステップメール1本から始め、開封やクリックの反応を見ながら配信の種類を増やしていく進め方をおすすめします。

5. ウェビナー(オンラインセミナー)

オンラインでセミナーやワークショップを開催し、リード獲得と育成を同時に行う手法です。対面セミナーに比べて費用を抑えやすく、広範囲にリーチできます。

項目 内容
効果が出るまでの期間 即日〜1ヶ月
1回あたりのコスト 低〜中(5〜30万円)
必要スキル プレゼンテーション、集客
適した企業規模 全規模

メリット: 地理的制約がない、参加者データを取得しやすい

デメリット: 参加者の集中力維持が難しい、対面に比べて関係構築が弱い

選ぶ目安: 社内に話せる専門家がいて、既存リストに案内を送れるなら始めやすい手法です。リストが少ない段階では集客に苦戦しやすいため、共催パートナー(16)と組む形も検討します。

6. SNSマーケティング

LinkedIn、X(旧Twitter)、FacebookなどのSNSを活用してブランド認知を高め、見込み顧客との接点を作る手法です。BtoBではLinkedInの活用が特に有効です。

項目 内容
効果が出るまでの期間 3〜6ヶ月
月額コスト 低(人件費のみ〜月10万円)
必要スキル SNS運用、コンテンツ企画
適した企業規模 全規模

メリット: 始めやすい、ブランド認知と信頼構築に有効

デメリット: 直接的なリード獲得には向かない場合がある、継続的な投稿が欠かせない

選ぶ目安: SNSは「リードを取る場」より「信頼を積む場」と位置づけるほうが評価しやすくなります。投稿から自社サイトの記事や資料へ誘導し、そこでリード化する導線にしておくと、成果を他施策とまとめて追えます。

7. 動画マーケティング

製品デモ、顧客インタビュー、解説動画などの動画コンテンツを制作・配信する手法です。YouTubeやWebサイトに掲載し、複雑な製品・サービスをわかりやすく訴求します。

項目 内容
効果が出るまでの期間 1〜3ヶ月
1本あたりのコスト 中(10〜100万円)
必要スキル 企画、撮影、編集
適した企業規模 中小〜大企業

メリット: 情報伝達力が高い、信頼性の訴求に効果的

デメリット: 制作コスト・工数がかかる、効果測定が難しい場合がある

選ぶ目安: 営業が毎回同じ説明をしている製品なら、その説明を動画にする価値があります。ウェビナーの録画を編集して再利用すれば、新たな撮影なしで始められます。


オンライン施策③:狙った企業・検討層に届ける手法

3つ目のグループは、すでに関心を持っている人や、狙いを定めた企業に絞って届ける手法です。対象を絞る分、リストやデータの質が成果を大きく左右します。ここで紹介する3つは、自社の顧客データがどれだけ整っているかで向き不向きが分かれます。

8. リターゲティング広告

一度Webサイトを訪問した見込み顧客に対して、他のサイトやSNS上で広告を表示する手法です。検討期間の長いBtoBでは、継続的な接点を維持するために効果的です。

項目 内容
効果が出るまでの期間 即日〜1ヶ月
月額予算目安 中(月10〜50万円)
必要スキル 広告運用、クリエイティブ制作
適した企業規模 中小〜大企業

メリット: 検討中の見込み顧客に継続アプローチできる、CV率が高い

デメリット: Cookie規制の影響を受ける、対象リストが少ないと効果が限定的

選ぶ目安: サイト訪問者がまだ少ない段階では、配信対象が小さすぎて成果を判断しにくくなります。まずSEOや広告で訪問者を増やし、対象が十分に集まってから追加する順番が無理のない進め方です。

9. ABM(アカウントベースドマーケティング)

ターゲット企業を特定し、その企業に対してパーソナライズされたマーケティング施策を展開する手法です。大口顧客の獲得に特に有効です。

項目 内容
効果が出るまでの期間 3〜6ヶ月
月額コスト 中〜高(ツール+人件費)
必要スキル アカウント分析、パーソナライゼーション
適した企業規模 中堅〜大企業

メリット: 高いROIが期待できる、営業との連携がしやすい

デメリット: 対象企業数が限定的、データ基盤の整備が前提になる

選ぶ目安: 狙う企業のリストを営業と合意できるかが分かれ目です。合意できるなら、企業単位でコンタクト・接点履歴・商談を紐づけられるCRMを用意してから始めます。企業情報の下調べはAIに任せ、どの企業を狙うか、提案の中身をどうするかは人が判断する分担をおすすめします。

10. 比較・レビューサイト活用

ITreviewやBOXILなどのBtoB向け比較・レビューサイトに自社製品を掲載し、検討段階の見込み顧客を獲得する手法です。

項目 内容
効果が出るまでの期間 1〜3ヶ月
月額コスト 中(月10〜50万円)
必要スキル レビュー管理、製品ページ最適化
適した企業規模 SaaS/IT企業

メリット: 検討段階の見込み顧客に直接リーチ、第三者評価による信頼性

デメリット: 競合と直接比較される、レビュー管理の工数がかかる

選ぶ目安: 自社のカテゴリが比較サイトに存在し、既存顧客にレビューを依頼できる関係があるなら有力な候補です。レビューが集まらないうちに掲載すると比較で不利になりやすいため、先に顧客への依頼の段取りを決めます。


オフライン施策①:対面と直接接触で接点をつくる手法

ここからはオフライン施策です。最初のグループは、展示会やセミナー、DM、電話など、相手に直接働きかけて接点をつくる手法です。短期間で多くの接点を得られる反面、接点を得た後のフォローを誰がどう行うかが決まっていないと、獲得した名刺がそのまま眠ってしまいます。

11. 展示会出展

業界の大規模展示会にブースを出展し、大量のリードを短期間で獲得する手法です。この領域に関心がある方にはBtoBリード獲得方法15選もおすすめです。

項目 内容
効果が出るまでの期間 即日
1回あたりのコスト 高(50〜500万円)
必要スキル ブース設計、名刺交換、フォロー
適した企業規模 中小〜大企業

メリット: 短期間で大量のリードを獲得、対面での信頼構築

デメリット: コストが高い、リードの質にバラつきがある

選ぶ目安: 出展を決める前に、名刺を受け取ってから何日以内に、誰が、どんな内容で連絡するかを決めておきます。展示会のリストをスプレッドシートで別管理すると、既存の顧客リストとの重複や差分が生まれやすいため、取り込み先をCRMに一本化しておくと後の分析が楽になります。

12. 自社セミナー

自社で企画・主催するセミナーを開催し、テーマに関心の高い見込み顧客を集める手法です。

項目 内容
効果が出るまでの期間 即日〜1ヶ月
1回あたりのコスト 中(10〜50万円)
必要スキル 企画、集客、プレゼンテーション
適した企業規模 全規模

メリット: 質の高いリードを獲得しやすい、専門性のアピールに向いている

デメリット: 集客が難しい場合がある、開催頻度を保つ体制が求められる

選ぶ目安: 対面で深く話したいテーマがあり、来場が見込める地域に顧客が集まっているなら有効です。顧客が全国に分散しているなら、同じ内容をウェビナー(5)で開催するほうが参加者を集めやすくなります。

13. DM(ダイレクトメール)/手紙

ターゲット企業のキーパーソンに対して直接手紙やDMを送付する手法です。デジタル全盛の時代にあえてアナログで接触することで差別化が図れます。

項目 内容
効果が出るまでの期間 即日〜2週間
1通あたりのコスト 低〜中(500〜3,000円)
必要スキル コピーライティング、リスト作成
適した企業規模 全規模

メリット: 開封率が高い、デジタル施策との差別化が可能

デメリット: スケールしにくい、ターゲットリストの質が成果を左右する

選ぶ目安: 送る相手を企業名・役職まで特定できる場合に向いています。ABM(9)の対象企業への最初の接点として使い、送付後に電話や訪問で続ける流れにすると、単発で終わりにくくなります。

14. テレマーケティング/コールドコール

電話による直接的なアプローチで、商談のアポイントを獲得する手法です。アウトバウンド型のリード獲得手法として依然として有効です。

項目 内容
効果が出るまでの期間 即日
月額コスト 中(人件費 or 外注費)
必要スキル トークスクリプト、ヒアリング力
適した企業規模 全規模

メリット: 即座に反応を得られる、ニーズの直接ヒアリングが可能

デメリット: 拒否率が高い、担当者の負担が大きい


オフライン施策②:信頼と紹介で広げる手法

2つ目のオフラインのグループは、既存顧客やパートナー、業界とのつながりを通じて広げる手法です。広告のように出稿量で成果をコントロールすることは難しい一方、信頼を土台にした接点のため商談化しやすい特徴があります。日々の関係づくりを「担当者の人脈」で終わらせず、会社の資産として記録しておくことがポイントになってきます。

15. 紹介/リファラルマーケティング

既存顧客やパートナー企業からの紹介で新規顧客を獲得する手法です。高い成約率が期待できます。

項目 内容
効果が出るまでの期間 不定
コスト 低(紹介手数料のみ)
必要スキル 関係構築、紹介依頼
適した企業規模 全規模

メリット: 成約率が高い、信頼ベースの関係構築

デメリット: コントロールしにくい、スケールしにくい

選ぶ目安: 紹介が「たまたま起きるもの」になっているなら、依頼のタイミングを決めると再現しやすくなります。例えば、導入後の定例で成果を確認できた時点で紹介を依頼する、といった形です。取引の「流入元」に紹介者を記録しておけば、どの顧客から何件の商談が生まれたかを後から追えます。

16. パートナー/アライアンス

自社の製品・サービスと補完関係にある企業と提携し、互いの顧客基盤を活用する手法です。

項目 内容
効果が出るまでの期間 3〜6ヶ月
コスト 低〜中(レベニューシェア型も)
必要スキル パートナー開拓、関係管理
適した企業規模 中小〜大企業

メリット: 自社だけではリーチできない顧客にアクセス可能

デメリット: パートナー管理の工数がかかる、品質管理が難しい

選ぶ目安: 自社の顧客が「導入前後に一緒に使っている製品・サービス」を洗い出すと、提携先の候補が見えてきます。共催ウェビナーなど一回で終わる企画から始め、成果が出た相手と継続的な提携に進む段階的な進め方をおすすめします。

17. 業界団体/コミュニティ活動

業界団体への参加やコミュニティの主催を通じて、ターゲット顧客との関係を構築する手法です。

項目 内容
効果が出るまでの期間 6ヶ月〜1年
コスト 低〜中
必要スキル コミュニティ運営、ネットワーキング
適した企業規模 全規模

メリット: 信頼構築と専門性の確立に有効

デメリット: 即効性がない、継続的な活動が欠かせない

選ぶ目安: ターゲットが特定の業界に集中しているなら投資する価値があります。複数業界にまたがる商材の場合は、コミュニティよりもSEOやウェビナーで広く接点を持つほうが優先順位は上になります。


オフライン施策③:権威づけと深い関係づくりの手法

最後のグループは、メディア露出や出版で専門性を示す手法と、重要な企業に直接向き合う個別訪問です。前者は直接のリード獲得よりも「選ばれる理由」を積み上げる役割、後者は商談の最終局面を担う役割を持ちます。役割が異なるため、評価の物差しも分けて考えます。

18. プレスリリース/PR

新製品発表やイベント開催などのニュースをメディアに向けて発信する手法です。

項目 内容
効果が出るまでの期間 即日〜1ヶ月
1回あたりのコスト 低(配信サービス3〜10万円)
必要スキル プレスリリース作成、メディアリレーション
適した企業規模 全規模

メリット: 広範囲への認知拡大、被リンク獲得によるSEO効果

デメリット: 掲載されるかはメディア次第、直接的なリード獲得は限定的

選ぶ目安: 発信できるニュース(新製品、提携、イベントなど)があるときに使う手法です。リリースの中に詳細ページや資料への導線を入れておくと、認知をリード獲得につなげられます。

19. 書籍出版/寄稿

業界の専門書の出版や、業界メディアへの寄稿を通じてソートリーダーシップを確立する手法です。

項目 内容
効果が出るまでの期間 3〜12ヶ月
コスト 中〜高(出版費用)
必要スキル 専門知識、執筆力
適した企業規模 中小〜大企業

メリット: 高い信頼性と権威の確立、長期的なブランド資産

デメリット: 制作に時間がかかる、直接的なリード獲得は限定的

選ぶ目安: いきなり出版を目指すより、業界メディアへの寄稿から始めて反応を見るほうが負担は小さくなります。寄稿やブログ記事が一定量たまった段階で、書籍化を検討する順番が現実的です。

20. 個別訪問/アカウント営業

ターゲット企業に直接訪問し、対面で関係構築と提案を行う手法です。ABMの一環として、重要なアカウントに対して実施します。

項目 内容
効果が出るまでの期間 1〜3ヶ月
コスト 中(人件費+交通費)
必要スキル 提案力、ヒアリング力
適した企業規模 全規模

メリット: 深い関係構築が可能、受注確度が高い

デメリット: スケールしない、1社あたりのコストが高い

選ぶ目安: 受注した場合の金額が大きい企業や、他施策で関心が高まっている企業に絞って使います。訪問の前に、その企業がどの資料を読み、どのセミナーに参加したかをCRM上で確認できると、提案の焦点を合わせやすくなります。


自社に合う施策の選び方:企業規模別マトリクスと優先順位の付け方

20の手法を把握したら、次は自社がどれに取り組むかを決めます。本記事では、まず企業規模別のマトリクスで候補を絞り、残った候補をICEスコアリングで順位付けする2段階で整理します。最後に「やらない施策」を決めるところまで進めると、リソースが分散しにくくなります。

企業規模別おすすめ施策マトリクス

次の表は、主要な10施策について企業規模ごとの相性を示したものです。

施策 スタートアップ(〜30名) 中小企業(30〜100名) 中堅企業(100〜500名) 大企業(500名〜)
SEO/コンテンツ ◎ ◎ ◎ ◎
リスティング広告 △ ◎ ◎ ◎
ホワイトペーパー ◎ ◎ ◎ ◎
メールナーチャリング ○ ◎ ◎ ◎
ウェビナー ◎ ◎ ◎ ◎
SNS ◎ ○ ○ ○
ABM × △ ◎ ◎
展示会 △ ○ ◎ ◎
DM/手紙 ○ ○ ○ △
紹介 ◎ ◎ ○ ○

◎=特におすすめ ○=推奨 △=条件付き ×=非推奨

マトリクスの読み取り方

表を横に見ると、SEO/コンテンツ、ホワイトペーパー、ウェビナーはすべての規模で◎になっています。これらは規模を問わず土台になりやすい施策と読み取れます。一方、ABMや展示会は規模が大きくなるほど評価が上がり、SNSや紹介は小さい規模ほど評価が高くなっています。

ただし、マトリクスは従業員規模だけを軸にした目安です。同じ規模でも、扱う商材の単価や顧客数によって相性は変わります。例えば、スタートアップでも狙う顧客が数十社に限られるなら、ABMの考え方を取り入れたDMや個別訪問のほうが合う場合があります。マトリクスで△や×の施策でも、前述の「3つの前提」に照らして当てはまる理由があれば候補に残してください。

ICEスコアリングで着手順を決める

候補を絞ったら、各施策を以下の3軸で1〜10点でスコアリングし、スコアの高い順に着手します。

  • I(Impact:効果):成果へのインパクトの大きさ
  • C(Confidence:確信度):成果が出る確信度
  • E(Ease:容易さ):実行の容易さ

ICEスコア = Impact × Confidence × Ease

3軸を足し合わせて比べる方法もありますが、本記事では元の式どおり掛け算で整理します。掛け算にすると、どれか1つの軸が極端に低い施策は全体の点数が下がるため、「効果は大きそうだが今の体制では実行できない」施策を後回しにしやすくなります。スコアの高い施策から順に着手していくことで、限られたリソースで成果を追求できます。

採点の手順は次のとおりです。

手順 やること 次に進む目安
1 マトリクスで残った候補を5〜6個に絞る 候補ごとに「狙うファネル段階」を1つ言える
2 マーケ・営業の関係者が各自で3軸を採点する 全員の点数が出そろう
3 点数が大きく割れた施策について理由を話し合う 確信度(C)の根拠を言葉にできる
4 上位2〜3施策を当面の実行対象にする 担当者と評価する指標が決まっている

点数が割れる施策は、関係者の間で前提がずれているサインです。その議論自体が、施策の目的をそろえる機会になります。

「やらない施策」を決めて記録する

ICEスコアで下位になった施策は、「今期はやらない」と明示して記録しておくことをおすすめします。やらないと決めておかないと、展示会の誘いや広告の提案が来るたびに検討がやり直しになり、上位施策に集中できなくなるためです。

記録には、やらない理由と、見直す条件を書いておきます。例えば「ABM:対象企業リストが営業と合意できていないため見送り。リストが合意できた時点で再採点」といった形です。条件が満たされたら再採点すれば、判断の根拠を後任者にも引き継げます。


施策を一気通貫でつなぐ仕組みとスタートプラン

施策を選んだあとに成果を分けるのは、施策同士をつなぐ仕組みです。展示会、ウェビナー、メール、営業訪問がそれぞれ別のリストで管理されていると、どの施策が商談や受注につながったのかが見えません。ここでは、ファネル段階別の組み合わせ方、データを一元管理する考え方、そして初めて取り組む企業向けのスタートプランを紹介します。

ファネル段階別の施策の組み合わせ

本記事では、20の手法を次のように段階ごとに組み合わせる流れを基本形と整理します。

段階 役割 組み合わせの例
認知 自社や課題を知ってもらう SEO/コンテンツ、SNS、展示会、プレスリリース
興味・関心 連絡先を得てリードにする ホワイトペーパー、ウェビナー、自社セミナー
育成 検討を前に進める メールナーチャリング、動画、リターゲティング広告
商談 購買判断を支援する 個別訪問、デモ、比較・レビューサイト
拡張 次の顧客につなげる 紹介、パートナー、ABM

この流れは一方通行ではありません。失注理由を「価格」「競合他社」「製品機能」「時期」「社内決裁」などに分類して記録しておけば、どの理由の失注を掘り起こしの対象にするかも判断できます。

Excelでの施策管理から、CRMでの一元管理へ

多くの企業では、展示会の名刺はスプレッドシート、ウェビナー参加者は配信ツールのリスト、商談は営業の個人管理、といった形で情報が分散しています。この状態だと、同じ人が展示会とウェビナーの両方に参加していても気づけず、重複や差分の修正に手作業が発生します。

CRMで管理すると、コンタクト(人)と会社、取引(商談)がリレーション(関連付け)でつながります。HubSpotの場合、施策で得たリードをコンタクトとして登録し、ライフサイクルステージ(リード→MQL→SQL→商談→顧客などの検討段階)で状態を管理し、商談になったら取引としてパイプラインで受注まで追い、受注後は請求や継続取引の管理へとつなげられます。コンタクト→取引→顧客→請求が一つのデータでつながるため、「どの施策から来たリードが、いくらの受注になったか」を後から辿れます。なお、リレーションデータベースを持つCRMであれば、HubSpot以外でも同様の管理は可能です。

人に頼らず回る仕組みにするために、次の2点を設定しておくことをおすすめします。

  • ステージを移るときに入力する項目を決めておく:例えば商談化の時点で「流入元の施策」を入力必須にすれば、新しく入った担当者でも記録が漏れず、施策別の成果集計が崩れません。
  • フォローをワークフローで自動化する:資料ダウンロード後のステップメールや、失注時の育成段階への戻しを自動化すれば、担当者の忙しさによってフォローが抜けることを防げます。

ただし、CRMを導入しただけで施策の質が上がるわけではありません。入力項目を増やしすぎると現場が入力しなくなるため、最初は「流入元」「ライフサイクルステージ」「取引金額」など、施策の評価に直結する項目だけに絞ります。運用が回り始めてから、不足を感じた項目を追加していく順番が無理のない進め方です。

BtoBマーケティングの手法20選を実務に落とし込むツールについては、「HubSpotのMA(Marketing Hub)とは?機能一覧と、実務での活用・導入での注意点を徹底解説!」で解説しています。

施策の成果をレポートで確かめる

施策の評価は、リード数だけでなく商談・受注までつなげて見ることがポイントになってきます。リード数が多い施策が、受注金額でも上位とは限らないためです。

以下の画面は、HubSpotのレポートで商談をクローズ日ごとに集計し、色分けして表示したテーブルの例です。

HubSpotレポート「クローズ日別 商談分析(色分け)」のテーブル

このような商談のレポートに「流入元の施策」の切り口を加えると、施策ごとの貢献を比べられます。判断の目安は次のとおりです。

レポートで見える状態 判断 次の行動
リードは多いが商談化が少ない 獲得の質か、育成の仕組みに課題がある ターゲット設定とメールナーチャリングの内容を見直す
リードは少ないが受注につながりやすい 有望な施策の量が足りていない ICEスコアを再採点し、予算配分を増やすか検討する
商談化するが失注が多い 比較・検討段階の訴求が弱い 失注理由を分類し、事例や比較コンテンツを補強する

初めてBtoBマーケティングに取り組む企業のスタートプラン

初めて取り組む企業は、施策を一度に広げるより、土台となる施策から段階的に積み上げることをおすすめします。

段階 主な施策 次の段階に進む目安
1. 中長期の集客基盤をつくる SEO/コンテンツ、ホワイトペーパー 記事と資料からリードが継続的に入り始めている
2. 短期の成果を補う リスティング広告、ウェビナー 施策ごとのリード数と商談数をCRMで比べられる
3. 獲得したリードを育成する メールナーチャリング 資料ダウンロード後のフォローが自動で回っている
4. リード基盤を活かして拡張する ABM、パートナー施策 狙う企業リストや提携先の候補を営業と合意できている

各段階で「次に進む目安」を満たしていないまま次の施策を足すと、成果の原因がわからなくなります。施策を足す前に、今の施策の成果が測れているかを見直す習慣をつけてください。


よくある質問

BtoBマーケティングの手法は、最初にいくつ選べばよいですか?

まずは2〜3施策に絞ることをおすすめします。施策を多く並行すると、リソースが分散するうえに、どの施策が成果につながったのかを判断できなくなるためです。企業規模別マトリクスで候補を絞り、ICEスコアで上位の施策から始めてください。

オンライン施策とオフライン施策は、どちらを優先すべきですか?

どちらか一方ではなく、ファネルの段階ごとに役割を分けて組み合わせるのが基本です。オンライン施策は幅広い接点づくりとデータ取得に、オフライン施策は対面での信頼構築や商談の後押しに向いています。自社のファネルのどこで止まっているかを見て、その段階に強い施策から選びます。

展示会で集めた名刺は、どう管理すればよいですか?

スプレッドシートで別管理するのではなく、既存の顧客リストと同じCRMに取り込むことをおすすめします。別管理にすると、既存顧客との重複や情報の差分が生まれ、フォローの漏れにつながります。取り込み時に「流入元:〇〇展示会」と記録しておけば、後から展示会経由の商談数や受注額を集計できます。

施策の効果は、何を指標に判断すればよいですか?

リード数だけでなく、商談数・受注数・受注金額まで施策ごとに追うことが判断の軸になります。リード数が多くても商談化しない施策と、件数は少なくても受注につながる施策では、評価が大きく変わるためです。そのためには、リードの流入元から取引までを一つのCRMでつないで記録しておく仕組みが前提になります。


まとめ

  • BtoBマーケティングの手法は、オンライン10・オフライン10の計20種類に整理でき、それぞれファネルの異なる段階を担います。
  • 成功の鍵は「全部やる」ことではなく、自社に合った手法を選び、集中して取り組むことです。企業規模別マトリクスで候補を絞り、ICEスコアで着手順を決め、やらない施策も記録しておきます。
  • 施策同士をつなぎ、リードから商談・受注までを一つのデータで追える仕組みをつくることで、どの施策に投資すべきかを判断できるようになります。失注したリードを育成段階に戻すループも、仕組みとして用意しておくと効果的です。

まずは、SEO/コンテンツとホワイトペーパーで中長期の集客基盤づくりから始めてみてください。次の3ステップで進めると、無理なく施策を広げられます。

  1. 前提を書き出す:ターゲット、ファネルで詰まっている段階、使えるリソースの3点を言葉にする
  2. 候補を採点する:企業規模別マトリクスで5〜6施策に絞り、関係者でICEスコアを付けて上位2〜3施策を決める
  3. 成果を測る準備をする:リードの流入元をCRMに記録するルールを決め、施策ごとの商談数・受注額を見られる状態にしてから実行する

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著者情報

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今枝 / Imaeda

株式会社StartLink 代表取締役。累計150社以上のHubSpotプロジェクト支援実績を持ち、Claude CodeやHubSpotを軸にしたAI活用支援・経営基盤AXのコンサルティング事業を展開。
HubSpotのトップパートナー企業や大手人材グループにて、エンタープライズCRM戦略策定・AI戦略ディレクションを経験した後、StartLinkを創業。現在はCRM×AIエージェントによる経営管理支援を専門とする。