BCP(事業継続計画)の作り方|策定手順とテンプレート

  • 2026年3月4日
  • 最終更新: 2026年3月11日

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BCP(事業継続計画)は、非常事態発生時に事業の中断を最小限に抑え早期復旧するための計画です。内閣府の調査(2024年)ではBCP策定済みの大企業は約70%ですが中小企業ではわずか約20%にとどまります。ビジネスインパクト分析→復旧優先順位の設定→代替手段の設計→計画書の作成→訓練の5ステップで策定します。

自然災害、パンデミック、サイバー攻撃、サプライチェーンの断絶——企業活動を脅かすリスクは多様化・複雑化しています。こうした非常事態が発生した際に、事業の中断を最小限に抑え、早期に復旧するための計画がBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)です。

内閣府の調査(2024年)によると、BCPを策定済みの大企業は約70%ですが、中小企業ではわずか約20%にとどまります。しかし、取引先からBCP策定を求められるケースは増えており、サプライチェーン全体での事業継続力が問われる時代になっています。

本記事では、BCPの策定手順をステップバイステップで解説し、実務で使えるテンプレートの構成も紹介します。

本記事は「中小企業に必要な内部統制|基本の考え方と構築ステップ」シリーズの一部です。

本記事はStartLinkの「経営管理DX完全ガイド」関連記事です。

この記事でわかること

  • BCPの基本概念と防災計画・DR(災害復旧)との違い
  • ビジネスインパクト分析から訓練実施までの5ステップの策定手順
  • BCP策定率が大企業70%に対し中小企業20%という現状と策定のポイント
  • CRM・SaaSのクラウド活用による事業継続性の確保方法

業界特有の課題には、業界に合ったアプローチが不可欠です。本記事では、現場の実態に即した解決策を具体的に解説していますので、同業界の方はもちろん、異業種の方にも参考になる内容です。ぜひ最後までお読みください。

BCPの基本概念

BCPは、非常事態が発生した際に「何を」「どの順番で」「どうやって」復旧するかを事前に計画しておくものです。

用語 意味
BCP 事業継続計画(ドキュメント)
BCM 事業継続マネジメント(BCPの策定・運用・改善を含む経営活動)
RTO 目標復旧時間(何時間/何日で復旧するか)
RPO 目標復旧時点(どの時点のデータまで復旧するか)
MTPD 最大許容停止時間(事業停止が許容される上限時間)

BCP策定の5ステップ

ステップ1:ビジネスインパクト分析(BIA)

自社の事業活動を洗い出し、各業務が停止した場合の影響を評価します。

業務 停止1日の影響 停止1週間の影響 停止1ヶ月の影響 MTPD
受注・出荷 売上減少 顧客流出開始 事業継続困難 3日
請求・入金管理 軽微 資金繰り悪化 資金ショートリスク 1週間
カスタマーサポート 顧客不満 解約増加 信頼の大幅低下 2日
社内システム 業務効率低下 業務停滞 全社停止 1日

ステップ2:リスクの特定と優先順位付け

自社を脅かすリスクを特定し、発生可能性と影響度で優先順位をつけます。

リスク 発生可能性 影響度 優先度
大規模地震 極大
サイバー攻撃
パンデミック 低〜中
主要取引先の倒産
停電・インフラ障害
キーパーソンの離脱

ステップ3:復旧戦略の策定

各リスクに対して、RTOを満たすための復旧戦略を策定します。

対象 復旧戦略 RTO目標
ITシステム クラウドバックアップ、リージョン冗長化 4時間
オフィス リモートワーク体制、代替オフィス確保 1日
通信 複数キャリアの利用、衛星電話の備蓄 2時間
人員 クロストレーニング、マニュアル整備 1日
サプライチェーン 複数調達先の確保、安全在庫の設定 3日

ステップ4:BCPドキュメントの作成

BCPドキュメントの推奨構成:

内容
1. 目的と適用範囲 BCPの目的、対象事業、対象リスク
2. 基本方針 人命最優先、事業継続の優先順位
3. 組織体制 対策本部の構成、役割分担、連絡体制
4. 初動対応 発生直後(0〜2時間)のアクション
5. 事業継続対応 優先業務の復旧手順(RTO順)
6. 復旧対応 通常業務への完全復帰手順
7. 連絡先一覧 緊急連絡先(社内・社外)
8. 付録 チェックリスト、システム構成図

ステップ5:訓練と見直し

BCPは作成しただけでは機能しません。定期的な訓練と見直しが不可欠です。

訓練の種類 内容 頻度
机上訓練 シナリオに基づくシミュレーション 年1回
連絡訓練 緊急連絡網の実動テスト 半年1回
IT復旧訓練 バックアップからのリストア 年1回
実地訓練 代替拠点での業務実施 年1回(可能なら)

中小企業のBCP策定のポイント

ポイント1:完璧を目指さず、まず作る

100ページのBCPを作る必要はありません。「最も重要な3つの業務」の復旧手順と、緊急連絡網だけでも、ないよりはるかにましです。

ポイント2:クラウド化はそれ自体がBCP対策

SaaSやクラウドサービスを活用することで、オフィスが使えなくてもリモートで業務を継続できます。CRM、会計ソフト、コミュニケーションツールのクラウド化は、BCPの観点からも優先度の高い施策です。

ポイント3:取引先への説明材料として活用

BCPの策定は、取引先からの信頼獲得にもつながります。大企業のサプライチェーンに入るための要件としてBCPが求められるケースも増えています。

CRM・SaaSの事業継続性

CRMは営業活動の基盤であり、その事業継続性はBCPにおいて重要な要素です。HubSpotのようなクラウドCRMは、データセンターの冗長化、自動バックアップ、99.99%のSLA(サービスレベル保証)を提供しており、オンプレミスのシステムと比較してBCPの観点で優位です。

リスクマネジメントのフレームワークで述べたERMの一環として、BCPを位置づけることで、組織全体のリスク管理体制が強化されます。経営管理とはで解説した経営管理の5領域のうち、リスク管理の具体的な実装がBCPです。

CRMで実現するBCP(事業継続計画)の作り方

BCP(事業継続計画)の作り方を実務に落とし込むには、CRMツールの活用が不可欠です。詳しくは「CRM導入の進め方完全ガイド|準備・ツール選定・データ移行・定着化の全ステップ」で解説しています。


次のステップ

BCPに取り組むなら、CRMツールの活用が効果的です。以下の記事でHubSpotを使った具体的な実践方法を解説しています。

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まとめ

  • BCPは非常事態発生時に事業中断を最小限に抑え、早期復旧するための計画
  • BCP策定率は大企業70%に対し中小企業20%と大きな格差がある(内閣府2024年)
  • ビジネスインパクト分析→復旧優先順位設定→代替手段設計→計画書作成→訓練の5ステップで策定
  • 取引先からBCP策定を求められるケースが増加し、サプライチェーン全体の継続力が問われている
  • CRM・会計ソフトなどSaaSのクラウド活用がデータ保全と事業継続性の確保に有効

よくある質問(FAQ)

Q1. BCPは中小企業でも策定すべきですか?

はい。内閣府の調査(2024年)ではBCP策定済みの中小企業はわずか約20%ですが、取引先からBCP策定を求められるケースは増えています。完璧な100ページのBCPを作る必要はなく、「最も重要な3つの業務」の復旧手順と緊急連絡網だけでも、ないよりはるかに有効です。

Q2. BCPの策定で最初に取り組むべきことは何ですか?

ビジネスインパクト分析(BIA)が最初のステップです。自社の業務を洗い出し、各業務が停止した場合の影響を「1日・1週間・1ヶ月」の時間軸で評価します。これにより復旧の優先順位とRTO(目標復旧時間)が明確になり、限られたリソースを効果的に配分できます。

Q3. クラウドCRMの導入はBCPにどう貢献しますか?

HubSpotなどのクラウドCRMはデータセンターの冗長化、自動バックアップ、99.99%のSLAを提供しており、オフィスが使えなくてもリモートで営業活動を継続できます。CRM・会計ソフト・コミュニケーションツールのクラウド化は、それ自体がBCP対策として有効です。

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著者情報

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今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。 パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。