SWOT分析は象限を埋めた後に、選ぶ戦略と次の行動まで決めてこそ役立ちます。
SWOT分析は象限を埋めた後に、選ぶ戦略と次の行動まで決めてこそ役立ちます。
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SWOT分析は象限を埋めた後に、選ぶ戦略と次の行動まで決めてこそ役立ちます。
次のような状態に心当たりはないでしょうか。
SWOT分析とは、自社の強み・弱みと外部環境の機会・脅威を整理し、それらを組み合わせて戦略を検討する手法です。
本記事では、情報を集めるところからクロスSWOTによる選択、実行後の見直しまでを一続きの作業として整理します。
本記事は「経営戦略フレームワーク完全ガイド|実務で使える10の戦略ツール」シリーズの一部です。
本記事はStartLinkの「経営管理DX完全ガイド」関連記事です。
SWOT分析を使って自社の戦略を検討したい経営者・経営企画担当者に向けて、分析前の準備から実行計画への落とし込みまでを説明します。
この記事を読み終えるころには、自社のSWOT分析で何を調べ、どの戦略案を選び、誰がいつまでに何を実行するかが決められます。まずは自社の事業に影響する顧客ニーズや競合の変化をひとつ選び、その根拠を集めるところから始めてください。
SWOT分析の表は、情報を整理するための道具です。表を完成させても、項目の根拠が曖昧だったり、戦略を選ぶ議論がなかったりすると、次の行動は決まりません。まず、分析が止まる場所を見つけます。
「技術力が高い」「市場が伸びている」といった意見から書き始めると、何と比較してそう判断したのかが残りません。
SWOTの項目に移す前に、次の分析で情報を整えます。
会議で根拠を説明できない項目が出たら、その場で結論にせず、必要な情報を確認する担当者を決めます。
根拠が集まれば象限に戻し、集まらなければ戦略の前提から外します。
強みと機会を別々に眺めていても、どの強みを使ってどの機会に対応するかは決まりません。象限を埋めた後には、内部環境と外部環境の要素を組み合わせる「クロスSWOT」へ進みます。
会議の終了条件も「表が埋まった」ではなく、「検討する戦略案と、その根拠が記録された」に置くことをおすすめします。
戦略案が出ない場合は、組み合わせる項目が抽象的すぎないかを先に見直します。
「ブランド力が弱い」だけでは、認知、比較検討、受注のどこに課題があるのか判断できません。抽象的な評価は、具体的な事実に置き換えて書きます。
数値は、出典と確認時点を添えられるものだけを判断材料にします。
添えられない場合は、次のように確かめる対象を明示します。
SWOT分析の精度は、象限に入れる情報の質に左右されます。
本記事では、次の順で進めます。
調べた内容は表計算シートに集めても構いませんが、意見と根拠が離れない形で記録することが大切です。根拠が離れていると、後から確認できず象限から外す判断になります。
PEST分析は、政治・経済・社会・技術という観点から外部環境を捉える手法です。次のような変化が調査対象になります。
変化を見つけたら、すぐに機会や脅威と決めず、「どの顧客の行動に影響するか」を確認します。
3C分析では、顧客の未充足ニーズ、競合の動き、自社が提供できる価値を整理します。同じ市場の変化でも、顧客が求めていないものは、自社にとって優先すべき機会とは限りません。
顧客からの問い合わせや受注・失注の理由に変化が見えるなら、その内容を競合の提案と照らし合わせます。競合にも共通する特徴なら、自社固有の強みとは書かず、差が生じている工程や評価項目を調べます。
内部環境の棚卸しには、バリューチェーン分析やVRIO分析を使えます。
ただし、社内で「強みだ」と考えていることが、顧客の選定理由にもなっているとは限りません。
この区別を記録しておくと、担当者が変わっても判断の経緯を引き継げます。
情報が集まったら、内部環境と外部環境を分けて整理します。書く段階では、評価の言葉だけを残さず、その判断につながった事実と出所を添えます。
項目が多い場合は、戦略の選択に影響するものから検討します。
| 抽象的(NG) | 具体的(OK) |
|---|---|
| 技術力がある | 保有する技術や特許の内容と、競合と比べて差が出ている性能・工程を、確認できる事実で書く |
| ブランド力が弱い | 認知調査や失注理由の記録をもとに、認知・比較検討・受注のどこで選ばれていないかを書く |
| 市場が成長している | 公開された調査の出典と確認時点を添え、対象市場と期間を明記して書く |
強みと弱みは、自社の資源や業務の状態を表します。機会と脅威は、市場、顧客、競合など、自社だけでは動かせない環境の変化を表します。
例えば「生成AIの利用が広がる」という変化そのものは外部環境です。それに対応できる知見や業務体制が自社にあるかは内部環境として別に書きます。
分けておけば、変化への対応を検討するときに「外で何が起きているか」と「自社に何ができるか」を混ぜずに話せます。
| 外部環境と内部環境の組み合わせ | 強み(S) | 弱み(W) |
|---|---|---|
| 機会(O) | SO戦略 | WO戦略 |
| 脅威(T) | ST戦略 | WT戦略 |
数値を置く場合は、出典と確認時点をセットにします。
出典を示せない値は目安として読み、表に載せるより、確認できる顧客の発言や受注・失注理由を記録するほうが、次の調査につながります。
「技術者が多い」を強み、「技術者のコストが高い」を弱みとして挙げる例があります。同じ人員構成から出た評価でも、顧客への提供価値と事業上の負担は別の論点です。
この場合は、次のように調べます。
両方の根拠が確認できれば別々に残し、確認できなければ表現を修正します。
クロスSWOTは、内部環境と外部環境の項目を組み合わせ、行動の方向を考える作業です。
組み合わせから出た案は、その時点では決定事項ではありません。顧客への影響と実行に必要な条件を確かめてから選びます。
どちらも同じ機会を対象にしていても、今使える強みがあるか、先に補強が必要かで着手順が変わります。
次の表は、戦略案の読み方を示したものです。実名の事例は公開情報をもとにした例であり、自社への適用を判断するときは、自社の根拠に置き換えて検討します。
| 戦略・組み合わせ | 方向性 | 実例 |
|---|---|---|
| SO戦略(積極攻勢) 強み × 機会 |
強みを活かして機会を捉える | Zoomはビデオ技術の安定性(強み)でリモートワーク需要(機会)を獲得 |
| WO戦略(弱点補強) 弱み × 機会 |
弱みを補強して機会を逃さない | 中小SaaS企業がマーケ力不足(弱み)を解消しBtoB市場拡大(機会)に対応 |
| ST戦略(差別化) 強み × 脅威 |
強みで脅威を回避・無力化 | 富士フイルムは化学技術(強み)でデジタル化(脅威)をヘルスケア事業に転換 |
| WT戦略(防衛・撤退) 弱み × 脅威 |
最悪のシナリオを回避 | 不採算事業からの撤退、リソースの再配分 |
SO案を優先できるのは、強みが顧客の選定理由として確認でき、機会に対応する体制がある場合です。その条件が揃わなければ、WO案として何を補うかを明らかにし、補強に必要な作業を先に計画します。
SOを優先し、WTを最終手段とする考え方もありますが、実際の優先順位は脅威の影響と対応の余地を見て決めます。
どちらの判断も、前提となる顧客の反応と事業の状態を記録しておきます。
AI技術の進化は、機会にも脅威にもなり得ます。変化の名前だけで象限を決めず、自社の提供価値と業務体制にどのような影響があるかを見ます。
両面がある場合は、影響を受ける顧客や事業を分けて記録すると、異なる戦略案を比較できます。
クロスSWOTから複数の案が出ても、すべてを同時に進める前提にはしません。顧客や事業への影響、実行に必要な人員・予算・時間を比べます。
選ばなかった案も、判断理由を残しておけば環境が変わったときに見直せます。
優先順位は、インパクトと実現難易度の二つで判断できます。
まず「実行した場合、どの顧客課題や事業上の課題が変わるか」を書き、その後に「着手に必要な条件が揃っているか」を確認します。
| 確認すること | 判断の分かれ目 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 顧客・事業への影響 | 影響と根拠を説明できるか | 説明できれば実行条件を調べ、できなければ情報収集へ戻る |
| 自社の実行条件 | 使える強みと担当体制があるか | あれば施策化し、なければ補強作業を先に定義する |
| 進捗の把握方法 | 行動と成果を追えるか | 追える指標を選び、記録方法を決める |
戦略案を選んだら、次の項目を定義します。
「新しい需要を取り込む」だけでは実行の状態がわからないため、何を作り、誰に届け、どの反応を見て継続を判断するかまで書きます。
KPIは、戦略とのつながりを説明できるものを選びます。
例えば顧客の未充足ニーズへの対応を施策にするなら、単なる作業件数だけでなく、顧客の反応や商談の結果を確認する方法も決めます。
記録方法が決まらなければ、KPIを掲げる前に業務上どこで情報が生まれるかを洗い出し、その場所で記録できる項目を指標にします。
施策の進捗が担当者ごとの表計算シートや口頭報告に分かれると、判断の前提を追いにくくなります。
次の3つを同じ定義で記録し、引き継げる形にすることをおすすめします。
HubSpotのようなCRMを使う場合も、最初に決めるのは機能ではなく、どの顧客接点をどの事業判断につなぐかです。
コンタクトから取引、顧客、請求へと続く業務のうち、SWOTで選んだ施策の結果が現れる場所を定めます。
入力項目は判断に使うものから設計し、記録した情報をレポートで見直す流れにつなげます。
SWOT分析で選んだ戦略は、実行中に前提が変わることがあります。最初の表を固定した結論として扱わず、顧客の反応や市場の変化と照合します。
見直しでは、施策が遅れた理由だけでなく、象限に置いた判断自体が妥当だったかを確かめ、妥当でなければ該当項目を書き換えて戦略案を選び直します。
次の画面は、HubSpotのレポートで失注理由を案件別に集計した例です。競合他社・製品機能・社内決裁・予算不足といった理由の割合が可視化されており、前提の検証に使えます。

反対に、失注理由に同じ課題が繰り返し現れるなら、弱みや脅威の項目として整理できるかを検討します。
会議の印象だけで書き換えず、判断に使った顧客の声や取引の記録を参照できる状態にします。
SWOT分析だけで、すべての項目の根拠を作ることはできません。
各手法の役割は、次の表のとおりです。いま判断できないことに合わせて戻り先を選び、得られた情報をSWOTの該当項目に反映します。
| フレームワーク | 分析対象と主なアウトプット | SWOT分析との関係 |
|---|---|---|
| PEST分析 | マクロ環境(政治・経済・社会・技術) 外部環境の変化トレンド |
「機会」「脅威」のインプット |
| 3C分析 | 顧客・競合・自社 市場構造と競争優位の把握 |
「強み」「弱み」「機会」「脅威」のインプット |
| VRIO分析 | 自社の経営資源 持続的競争優位の評価 |
「強み」の深掘り・検証 |
| バリューチェーン分析 | 自社の業務プロセス 各工程の付加価値と課題 |
「強み」「弱み」の具体化 |
| ファイブフォース分析 | 業界の競争環境 業界の収益性と参入障壁 |
「脅威」の構造的理解 |
顧客の課題、競合の動き、社内の実態について情報が揃っていない段階では、クロスSWOTを進めても推測の組み合わせになりがちです。その場合は戦略案を増やすより、判断に足りない情報を特定して調べるほうが先です。
また、すでに進める施策が決まっている場合でも、SWOT分析を後から都合よく埋める使い方は避けたいところです。施策を支持しない顧客の反応や、実行を妨げる弱みも記録し、計画を修正する材料にします。
新規事業を検討するとき、事業計画を見直すとき、顧客や競合の動きが変わったときに役立ちます。既存の分析がある場合は、前提となった機会・脅威や強み・弱みが今も当てはまるかを確認し、当てはまらない項目があればその根拠を調べ直して更新します。
経営層に加え、営業、マーケティング、開発、カスタマーサポートなど、顧客や業務の実態を把握している部門のリーダーを交えることをおすすめします。意見が分かれた項目は多数決で決めず、各部門が見ている根拠を並べて確認します。
項目数を先に満たすより、戦略の判断に使える内容かを優先します。各項目について「何と比べた評価か」「顧客や事業にどう影響するか」を説明できなければ、書き方を具体化するか、調査対象として保留します。
対象とする機会に対して、顧客に評価されている強みと実行体制があればSO案を検討します。弱みの補強がなければ機会に対応できない場合は、WO案の前提となる作業を洗い出します。両案を並べ、影響と実行条件を記録して選びます。
SWOT分析は、次の流れで進めます。
選んだ案は施策・担当者・期限・KPIに変え、顧客の反応と事業の結果を見ながら前提を見直します。
まずは、自社の事業に影響する顧客ニーズや競合の変化をひとつ選ぶところから始めてみてください。次の順に進めます。
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株式会社StartLink 代表取締役。累計150社以上のHubSpotプロジェクト支援実績を持ち、Claude CodeやHubSpotを軸にしたAI活用支援・経営基盤AXのコンサルティング事業を展開。
HubSpotのトップパートナー企業や大手人材グループにて、エンタープライズCRM戦略策定・AI戦略ディレクションを経験した後、StartLinkを創業。現在はCRM×AIエージェントによる経営管理支援を専門とする。