ABC(活動基準原価計算)の導入方法|間接費配賦の精度を上げる

  • 2026年3月4日

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title: "ABC(活動基準原価計算)の導入方法|間接費配賦の精度を上げる"

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metaDescription: "ABC(活動基準原価計算)の導入方法を解説。従来の配賦方法との違い、ABC設計の手順、活動ドライバーの選定、導入時の注意点まで実務的に紹介します。"

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keywords: ["ABC", "活動基準原価計算", "間接費", "配賦"]

category: "AX_cost-management"


「利益が出ていると思っていた製品が、実は赤字だった」——この問題の原因は多くの場合、間接費の配賦方法にあります。従来の配賦方法(売上比、人数比など)では、間接費を正確に各製品・サービスに割り当てることができず、原価計算の精度が低下します。

ABC(Activity-Based Costing:活動基準原価計算)は、間接費を「活動(Activity)」単位で集計し、その活動がどの製品・サービスにどれだけ消費されたかに基づいて配賦する手法です。1980年代にハーバード・ビジネス・スクールのロバート・キャプランとロビン・クーパーが提唱し、製造業を中心に普及しました。

本記事では、ABCの基本概念と導入手順を解説します。

従来の配賦方法とABCの違い

従来の方法(部門配賦法)

間接費 → 売上比で各製品に配賦

問題: 売上が大きい製品に間接費が偏り、手間のかかる少量製品の原価が過小評価される。

ABC

間接費 → 活動ごとに集計 → 各活動がどの製品にどれだけ消費されたかで配賦

メリット: 実際にリソースを消費している製品に適正にコストが割り当てられる。

具体例

製品 売上 従来の間接費配賦(売上比) ABCによる配賦(活動量ベース)
製品A(大量生産) 8,000万 800万(80%) 400万(40%)
製品B(少量多品種) 2,000万 200万(20%) 600万(60%)
合計 1億 1,000万 1,000万

ABCを適用すると、少量多品種の製品Bが実は大量の間接リソースを消費しており、利益が想定より小さいことが判明します。

ABCの導入手順(5ステップ)

ステップ1:活動(Activity)の特定

業務プロセスを「活動」単位に分解します。

部門 活動の例
生産管理 生産計画策定、段取り替え、品質検査
購買 発注処理、入荷検収、サプライヤー管理
物流 ピッキング、梱包、出荷手配
営業 見積作成、商談対応、契約処理
カスタマーサポート 問い合わせ対応、クレーム処理

ステップ2:活動コストの集計

各活動にかかるコスト(人件費、設備費、消耗品費等)を集計します。

活動 人件費 設備費 その他 合計
段取り替え 300万 100万 50万 450万
品質検査 200万 50万 30万 280万
発注処理 150万 20万 10万 180万

ステップ3:活動ドライバー(コスト・ドライバー)の選定

各活動のコストを製品・サービスに配賦するための基準を選定します。

活動 活動ドライバー 根拠
段取り替え 段取り替え回数 段取り替え1回ごとにコスト発生
品質検査 検査回数 検査1回ごとに工数が発生
発注処理 発注件数 発注1件ごとに処理が発生
出荷手配 出荷件数 出荷1件ごとに作業が発生
問い合わせ対応 問い合わせ件数 対応1件ごとに工数が発生

ステップ4:活動ドライバーの実績データ収集

各製品がどれだけの活動ドライバーを消費しているかを集計します。

活動ドライバー 製品A 製品B 合計
段取り替え回数 10回 50回 60回
検査回数 100回 200回 300回
発注件数 20件 80件 100件

ステップ5:原価の計算

活動コスト÷ドライバー合計量×各製品の消費量で、製品別原価を算出します。

ABC導入の注意点

注意点1:全間接費にABCを適用する必要はない

金額の大きい間接費(上位80%)にABCを適用し、残りは従来の配賦で十分です。

注意点2:データ収集の負荷を管理する

活動ドライバーのデータ収集に手間がかかりすぎると、ABCの運用が続きません。可能な限りシステムから自動で取得できるドライバーを選定します。

注意点3:定期的な見直し

事業環境や業務プロセスの変化に合わせて、活動の定義とドライバーを見直しましょう。年1回の見直しが推奨です。

Time-Driven ABC(TDABC)という選択肢

従来のABCの運用負荷を軽減したのが、Time-Driven ABC(TDABC)です。各活動のコストを「時間単価×所要時間」で計算する方法で、データ収集がシンプルになります。

活動コスト = 部門の時間単価 × その活動の所要時間 × 処理件数

CRMデータを活用したサービス業のABC

製造業だけでなく、サービス業やBtoB企業でもABCは有効です。CRMに記録された営業活動データ(商談数、訪問回数、メール数、サポート対応件数)は、活動ドライバーとして直接活用できます。

HubSpotの活動ログから顧客別の営業工数を集計し、顧客別の「隠れた営業コスト」を可視化すれば、部門別損益計算の方法で述べた顧客別収益分析の精度が大幅に向上します。


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著者情報

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今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。 パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。