部門別損益計算の方法|配賦基準の設計から月次レポートまで

  • 2026年3月4日

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title: "部門別損益計算の方法|配賦基準の設計から月次レポートまで"

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metaDescription: "部門別損益計算の方法を解説。間接費の配賦基準の設計、部門別P/Lの作成手順、配賦の精度を上げるポイントまで、管理会計の実務で使えるノウハウを紹介します。"

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keywords: ["部門別損益", "計算方法", "配賦基準", "部門別P/L"]

category: "AU_budget-accounting"


「全社のP/Lは見ているが、どの部門がどれだけ稼いでいるかわからない」——複数の事業を展開する企業にとって、部門別損益の把握は経営の基本です。にもかかわらず、全社のP/Lしか作成していない中小企業は少なくありません。

部門別損益計算とは、企業の利益を事業部門やサービスライン別に分解して把握する管理会計の手法です。部門別のP/Lが見えることで、「どの事業に投資すべきか」「どの事業を縮小・撤退すべきか」という戦略的な判断が可能になります。

本記事では、部門別損益計算の具体的な方法を、配賦基準の設計から月次レポートの運用まで解説します。

部門別損益が必要な理由

全社P/Lで営業利益率10%の企業でも、部門別に見ると以下のような実態が隠れていることがあります。

部門 売上 営業利益 利益率
A事業(コンサル) 5,000万 1,500万 30%
B事業(SaaS) 3,000万 -200万 -7%
C事業(受託開発) 2,000万 700万 35%
全社合計 1億 2,000万 20%

この場合、B事業の赤字がA事業とC事業の利益を食っている状態です。全社P/Lだけ見ていると、B事業の問題に気づきにくく、対策が遅れます。

部門別P/Lの構造

部門別P/Lは、以下の3層構造で設計します。

第1層:直接費(その部門に直接紐づく費用)

項目
売上高 各部門の売上
売上原価(直接) 外注費、仕入原価、部門専属人件費
部門粗利 売上 - 直接原価

第2層:部門管理費(部門が管理できる経費)

項目
部門人件費 部門メンバーの給与・社保
部門経費 旅費交通費、交際費、部門固有のSaaS費用
部門貢献利益 粗利 - 部門管理費

第3層:共通費の配賦

項目
本社経費配賦 家賃、管理部門人件費、全社共通システム費
部門営業利益 貢献利益 - 共通費配賦

実務では、第2層の「部門貢献利益」が最も重要な指標です。部門貢献利益がプラスであれば、その部門は共通費の一部をカバーしており、全社の利益に貢献しています。

配賦基準の設計方法

間接費(共通費)をどのように各部門に配分するかが、部門別損益計算の最大の論点です。

主な配賦基準

間接費 推奨配賦基準 根拠
オフィス家賃 占有面積比 使用する物理スペースに応じて
管理部門人件費 売上比 or 人数比 管理対象の規模に応じて
全社IT費用 アカウント数比 利用人数に応じて
役員報酬 売上比 経営全体への貢献度合い
広告宣伝費 部門別の直接配分 or 売上比 広告の受益者に応じて
減価償却費 資産の利用実態 設備を使用する部門に

配賦基準設計の3原則

  1. 因果関係の原則:費用と部門の間に合理的な因果関係がある基準を選ぶ
  2. 簡便性の原則:完璧な配賦よりも、運用可能な簡便さを優先する
  3. 一貫性の原則:一度決めた基準は頻繁に変更しない(比較可能性を確保)

月次レポートの作成手順

手順1:売上データの部門別集計

会計ソフトの売上データを部門別に集計します。CRMで営業データを管理している場合は、CRMの受注データと会計データを突合させます。

手順2:直接費の部門別集計

各部門に直接紐づく費用(外注費、部門メンバーの人件費等)を集計します。

手順3:共通費の配賦計算

事前に設計した配賦基準に基づいて、共通費を各部門に配分します。

手順4:部門別P/Lの作成

項目 A事業 B事業 C事業 共通 全社
売上高 500 300 200 - 1,000
直接原価 150 180 80 - 410
粗利 350 120 120 - 590
部門管理費 100 80 50 - 230
貢献利益 250 40 70 - 360
共通費配賦 80 48 32 -160 0
営業利益 170 -8 38 -160 200

手順5:差異分析とレポート

前月・前年同期・予算との比較を行い、変動が大きい項目について原因を分析します。

配賦の精度を上げるポイント

ポイント1:ABC(活動基準原価計算)の簡易版を導入

主要な間接費について、実際の活動量(工数、処理件数等)に基づいて配賦することで精度が上がります。完全なABCは負荷が高いですが、金額の大きい費目だけでも活動量ベースに切り替えると効果的です。ABC活動基準原価計算も参考にしてください。

ポイント2:時間記録の導入

管理部門のメンバーが各部門の業務にどれだけ時間を使っているかを記録することで、人件費の配賦精度が向上します。

ポイント3:定期的な配賦基準の見直し

事業構造が変化したら、配賦基準も見直します。半期に1回程度のレビューが推奨です。

CRMデータを活用した顧客別収益分析

部門別損益をさらに深掘りする方法として、顧客別の収益分析があります。CRMに蓄積された顧客データと管理会計データを紐づけることで、「どの顧客が最も利益貢献しているか」「赤字顧客はいないか」を可視化できます。

HubSpotのカスタムプロパティに顧客別の売上・原価を記録し、レポートで可視化すれば、営業チームが収益性を意識した提案を行えるようになります。管理会計の導入ステップで述べたPhase 4の顧客別分析に直結する取り組みです。


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著者情報

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今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。 パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。