title: "部門別損益計算の方法|配賦基準の設計から月次レポートまで"
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metaDescription: "部門別損益計算の方法を解説。間接費の配賦基準の設計、部門別P/Lの作成手順、配賦の精度を上げるポイントまで、管理会計の実務で使えるノウハウを紹介します。"
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keywords: ["部門別損益", "計算方法", "配賦基準", "部門別P/L"]
category: "AU_budget-accounting"
「全社のP/Lは見ているが、どの部門がどれだけ稼いでいるかわからない」——複数の事業を展開する企業にとって、部門別損益の把握は経営の基本です。にもかかわらず、全社のP/Lしか作成していない中小企業は少なくありません。
部門別損益計算とは、企業の利益を事業部門やサービスライン別に分解して把握する管理会計の手法です。部門別のP/Lが見えることで、「どの事業に投資すべきか」「どの事業を縮小・撤退すべきか」という戦略的な判断が可能になります。
本記事では、部門別損益計算の具体的な方法を、配賦基準の設計から月次レポートの運用まで解説します。
部門別損益が必要な理由
全社P/Lで営業利益率10%の企業でも、部門別に見ると以下のような実態が隠れていることがあります。
| 部門 |
売上 |
営業利益 |
利益率 |
| A事業(コンサル) |
5,000万 |
1,500万 |
30% |
| B事業(SaaS) |
3,000万 |
-200万 |
-7% |
| C事業(受託開発) |
2,000万 |
700万 |
35% |
| 全社合計 |
1億 |
2,000万 |
20% |
この場合、B事業の赤字がA事業とC事業の利益を食っている状態です。全社P/Lだけ見ていると、B事業の問題に気づきにくく、対策が遅れます。
部門別P/Lの構造
部門別P/Lは、以下の3層構造で設計します。
第1層:直接費(その部門に直接紐づく費用)
| 項目 |
例 |
| 売上高 |
各部門の売上 |
| 売上原価(直接) |
外注費、仕入原価、部門専属人件費 |
| 部門粗利 |
売上 - 直接原価 |
第2層:部門管理費(部門が管理できる経費)
| 項目 |
例 |
| 部門人件費 |
部門メンバーの給与・社保 |
| 部門経費 |
旅費交通費、交際費、部門固有のSaaS費用 |
| 部門貢献利益 |
粗利 - 部門管理費 |
第3層:共通費の配賦
| 項目 |
例 |
| 本社経費配賦 |
家賃、管理部門人件費、全社共通システム費 |
| 部門営業利益 |
貢献利益 - 共通費配賦 |
実務では、第2層の「部門貢献利益」が最も重要な指標です。部門貢献利益がプラスであれば、その部門は共通費の一部をカバーしており、全社の利益に貢献しています。
配賦基準の設計方法
間接費(共通費)をどのように各部門に配分するかが、部門別損益計算の最大の論点です。
主な配賦基準
| 間接費 |
推奨配賦基準 |
根拠 |
| オフィス家賃 |
占有面積比 |
使用する物理スペースに応じて |
| 管理部門人件費 |
売上比 or 人数比 |
管理対象の規模に応じて |
| 全社IT費用 |
アカウント数比 |
利用人数に応じて |
| 役員報酬 |
売上比 |
経営全体への貢献度合い |
| 広告宣伝費 |
部門別の直接配分 or 売上比 |
広告の受益者に応じて |
| 減価償却費 |
資産の利用実態 |
設備を使用する部門に |
配賦基準設計の3原則
- 因果関係の原則:費用と部門の間に合理的な因果関係がある基準を選ぶ
- 簡便性の原則:完璧な配賦よりも、運用可能な簡便さを優先する
- 一貫性の原則:一度決めた基準は頻繁に変更しない(比較可能性を確保)
月次レポートの作成手順
手順1:売上データの部門別集計
会計ソフトの売上データを部門別に集計します。CRMで営業データを管理している場合は、CRMの受注データと会計データを突合させます。
手順2:直接費の部門別集計
各部門に直接紐づく費用(外注費、部門メンバーの人件費等)を集計します。
手順3:共通費の配賦計算
事前に設計した配賦基準に基づいて、共通費を各部門に配分します。
手順4:部門別P/Lの作成
| 項目 |
A事業 |
B事業 |
C事業 |
共通 |
全社 |
| 売上高 |
500 |
300 |
200 |
- |
1,000 |
| 直接原価 |
150 |
180 |
80 |
- |
410 |
| 粗利 |
350 |
120 |
120 |
- |
590 |
| 部門管理費 |
100 |
80 |
50 |
- |
230 |
| 貢献利益 |
250 |
40 |
70 |
- |
360 |
| 共通費配賦 |
80 |
48 |
32 |
-160 |
0 |
| 営業利益 |
170 |
-8 |
38 |
-160 |
200 |
手順5:差異分析とレポート
前月・前年同期・予算との比較を行い、変動が大きい項目について原因を分析します。
配賦の精度を上げるポイント
ポイント1:ABC(活動基準原価計算)の簡易版を導入
主要な間接費について、実際の活動量(工数、処理件数等)に基づいて配賦することで精度が上がります。完全なABCは負荷が高いですが、金額の大きい費目だけでも活動量ベースに切り替えると効果的です。ABC活動基準原価計算も参考にしてください。
ポイント2:時間記録の導入
管理部門のメンバーが各部門の業務にどれだけ時間を使っているかを記録することで、人件費の配賦精度が向上します。
ポイント3:定期的な配賦基準の見直し
事業構造が変化したら、配賦基準も見直します。半期に1回程度のレビューが推奨です。
CRMデータを活用した顧客別収益分析
部門別損益をさらに深掘りする方法として、顧客別の収益分析があります。CRMに蓄積された顧客データと管理会計データを紐づけることで、「どの顧客が最も利益貢献しているか」「赤字顧客はいないか」を可視化できます。
HubSpotのカスタムプロパティに顧客別の売上・原価を記録し、レポートで可視化すれば、営業チームが収益性を意識した提案を行えるようになります。管理会計の導入ステップで述べたPhase 4の顧客別分析に直結する取り組みです。