Synergy!は、シナジーマーケティング株式会社が提供するクラウド型CRM/顧客管理システムで、データベースマーケティングやメール配信に強みを持つプラットフォームです。しかし、営業管理(SFA)機能の強化やインバウンドマーケティングとの統合を求めて、HubSpotへの移行を検討する企業が増えています。本記事では、Synergy!の各機能のデータをHubSpotにどう移行するか、データエクスポートから変換・インポートまでの具体的な手順を解説します。
Synergy!は顧客データベースの構築とメール・LINEなどのチャネルを活用したCRM施策に特化しており、ECサイトやBtoC企業を中心に利用されています。一方で、BtoB企業がSFA機能やパイプライン管理、マーケティングオートメーションを本格導入する際に、HubSpotへの移行を選択するケースが見られます。
本記事では、Synergy!の主要機能(顧客データベース、メール配信、フォーム、Webトラッキング)をHubSpotでどう代替するか、データ移行の具体的な手順を実務レベルで解説します。
シナジーマーケティング社の公開情報によると、Synergy!は以下の機能を提供しています。
Synergy!の各機能は、HubSpotの以下の機能で代替できます。
Synergy!のデータベースは、利用企業ごとに自由にフィールド(カラム)を定義できる柔軟な構造を持っています。BtoB企業の場合、一般的に以下のようなフィールドが設定されています。
Synergy!のフィールドをHubSpotのプロパティにマッピングします。HubSpotには標準で多数のプロパティが用意されていますが、Synergy!のカスタムフィールドに対応するプロパティがない場合は、カスタムプロパティを事前に作成します。
マッピング作業のポイント
ステップ1:Synergy!からのCSVエクスポート
Synergy!の管理画面からデータベースをCSV形式でエクスポートします。大量データの場合はセグメント別にエクスポートするか、API経由で段階的に取得します。
ステップ2:データクレンジング
エクスポートしたCSVファイルに対して、以下のクレンジング作業を実施します。
ステップ3:HubSpotへのインポート
クレンジング済みCSVファイルをHubSpotのインポート機能でアップロードします。BtoBの場合は「コンタクト+会社」の複合インポートを使用し、コンタクトと会社の関連付けを同時に行います。
Synergy!で作成したセグメント(顧客グループ)は、HubSpotのリストまたはビュー機能で再現します。
Synergy!のRFM分析で使用していたセグメント条件は、HubSpotのリストフィルター(「最終アクティビティ日」「取引合計金額」「取引件数」など)で再現できます。
Synergy!で使用しているメールテンプレートは、HubSpotのマーケティングメールエディタで再構築します。
ドラッグ&ドロップエディタの活用
HubSpotのメールエディタでは、コーディング不要でテンプレートを作成できます。Synergy!で使用していたデザイン(ヘッダー画像、配色、フッター情報)を再現し、HubSpotのパーソナライゼーショントークンを設定します。
差し込み変数の変換
Synergy!のメールテンプレートで使用している差し込み変数(宛名、会社名など)を、HubSpotのパーソナライゼーショントークンに変換します。
Synergy!のステップメール機能で構築したシナリオは、HubSpotのワークフローで再現します。
移行手順は以下のとおりです。
メール配信におけるオプトアウト情報の引き継ぎは、法的にも最も重要な作業です。
Synergy!で作成したWebフォームは、HubSpotフォームに段階的に切り替えます。
ステップ1:フォームの棚卸し
Synergy!で使用しているすべてのフォームを一覧化します。フォームの種類(資料請求、お問い合わせ、セミナー申込、アンケートなど)、設置場所(自社サイト、LP、外部サイト)、入力項目を記録します。
ステップ2:HubSpotフォームの作成
各フォームに対応するHubSpotフォームを作成します。入力項目はSynergy!のフォームに合わせつつ、HubSpotのプログレッシブプロファイリングやスマートフィールドを活用して入力体験を向上させます。
ステップ3:埋め込みコードの差し替え
Synergy!のフォーム埋め込みコードをHubSpotのフォーム埋め込みコードに差し替えます。自社サイトがWordPressの場合はHubSpotのWordPressプラグインを活用すると、フォームの埋め込みが簡単になります。
ステップ4:リダイレクト先の設定
フォーム送信後のサンキューページのURLをHubSpotフォームの設定で指定します。Synergy!で使用していたサンキューページがある場合は、そのURLをそのまま指定するか、HubSpotのランディングページでサンキューページを新規作成します。
Synergy!のWebトラッキング機能は、サイトにタグを埋め込むことで訪問者のページ閲覧履歴を追跡し、個人が特定された後にその行動データをCRMレコードに紐づけます。
HubSpotのトラッキングコードを自社サイトに設置することで、同等のWebトラッキング機能が利用できます。
タグ直前に設置する注意点:トラッキングデータの引き継ぎ
Synergy!に蓄積されたWebトラッキングデータ(過去のページ閲覧履歴)は、HubSpotに移行することはできません。HubSpotでのトラッキングはHubSpotトラッキングコード設置後のデータのみが対象です。Synergy!の過去データは参照用として一定期間Synergy!の管理画面で確認できる状態を維持しておくことを推奨します。
Synergy!はLINE公式アカウントとの連携機能を持ち、CRMのセグメント情報に基づいたLINEメッセージ配信が可能です。BtoC企業やEC事業者にとって重要な機能です。
HubSpot単体にはLINE配信機能はありませんが、以下の方法で対応できます。
LINE配信がビジネス上の重要チャネルである場合は、移行前にLINE連携の実現方法を十分に検証してください。
第1〜2週:要件整理・設計
第3〜4週:HubSpot環境構築
第5〜6週:データ移行・テスト
第7〜8週:本番移行・並行運用
第9〜10週:最適化・安定化
Synergy!からHubSpotに移行すると、Synergy!のトラッキングCookieとHubSpotのトラッキングCookieは別物になります。移行前にSynergy!で特定されていた訪問者のWeb行動データは、HubSpotでは引き継がれません。HubSpotでのトラッキングは、訪問者がHubSpotフォームを送信して個人特定された時点から蓄積されます。
Synergy!からHubSpotにメール配信を切り替える際、HubSpotの送信ドメインでの配信実績がゼロの状態から始まるため、ISP(Gmail、Yahoo!メールなど)による一時的な配信制限がかかる可能性があります。
HubSpotの配信ドメイン認証(SPF/DKIM/DMARC)を正しく設定したうえで、初期は少量のセグメントから配信を開始し、段階的に配信量を増やす「ウォームアップ」を行ってください。
インポート後は必ず以下の検証を行います。
Synergy!からHubSpotへの移行は、データベースマーケティング特化型のCRMからCRM/SFA/MA統合型プラットフォームへの進化です。Synergy!の顧客データベースはHubSpot CRMに、メール配信はMarketing Hubに、フォーム機能はHubSpotフォームに移行することで、営業とマーケティングの連携を強化できます。
移行成功のポイントは、データクレンジングの丁寧さとオプトアウト情報の確実な引き継ぎです。LINE配信などSynergy!特有の機能については、サードパーティ連携で対応可能かを事前に検証し、移行後の運用イメージを明確にしてからプロジェクトを進めてください。HubSpotへの移行により、Webサイトのトラッキング、パイプライン管理、BreezeによるAI活用など、Synergy!では実現が難しかった領域への拡張が可能になります。
CRM移行の全体的なデータ設計については「CRM移行のデータ設計完全ガイド」も参考にしてください。
Synergy!のメール配信実績データをHubSpotに直接インポートすることはできません。過去の配信実績レポートはPDFやCSVとしてエクスポートし、参照用に保管しておくことを推奨します。HubSpotでの配信実績はHubSpotからの配信開始後に蓄積されます。
一般的には2〜4週間の並行運用を推奨します。この期間中にメール配信の切り替え、フォームの差し替え、トラッキングコードの移行を段階的に進め、すべての機能がHubSpotに移行できたことを確認してからSynergy!を停止します。
HubSpot単体にはLINE配信機能はありませんが、LITTLE HELP CONNECTなどのサードパーティ連携アプリを活用することで、HubSpotのセグメント情報に基づいたLINE配信が可能です。ただし、Synergy!のLINE配信機能と完全に同等ではないため、移行前に検証環境でテストすることをおすすめします。
Synergy!からHubSpotへの移行は、データベースマーケティングの基盤を維持しながらCRM/SFA機能を強化する重要なステップです。データのクレンジングからオプトアウト情報の引き継ぎ、メール配信のウォームアップまで、移行プロジェクトの全工程をサポートしています。
移行計画の策定や工数見積もりについて、まずはお気軽にご相談ください。
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